説明

自然光追従型LED照明装置。

【課題】 設計の自由度が高く、2階以上の建物においても場所を問わず設置することができ、複雑な制御を必要としない自然光追従型LED照明装置1を提供する。
【解決手段】 自然光追従型LED照明装置1は、屋根4などの屋外に設置され、太陽光発電を行う第1の太陽電池11と、該第1の太陽電池11が発電した電力をそのまま屋内に供給する直流配線12と、該直流配線12に接続するLED照明ユニット13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に居住空間に用いられるLED照明装置に関し、特に、自然光の光量変化に伴って、自動的にLED照明装置の照度を調光することができる自然光追従型LED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
都市部の住宅密集地などにおいては、隣地住宅との間に距離をあけることが困難な場合が多く、住宅壁面に設置される窓からの採光が不十分になる場合が多い。そこで、住宅壁面の窓からの採光が不十分な場合に、住宅の採光機能を補完するために、種々の技術が開発されてきた。
【0003】
例えば、住宅の屋根面に設置する採光用の天窓は、近隣の建物による太陽光の遮蔽が少なく十分な採光を行うことができる。また、例えば、屋根面に開口を設け内側を鏡面仕上げにした光ダクトは、この光ダクトにより光を建物の任意の場所に導くことができる。このように住宅の屋根に採光部を設けることで、住宅壁面に設けられた窓から十分な採光ができない場合でも、十分な採光を得ることができる(例えば特許文献1)。
【0004】
また、近年住宅の照明においては、太陽電池と2次電池とを含み、昼間に太陽電池が発電した電力を2次電池に充電しておき、夜間に2次電池の電力を用いて、LED等の照明器具を発光させる照明装置が種々提案されている(例えば特許文献2)。さらに、このような照明においては、目的に応じて照度や色温度を調光する機能を有しているものもある(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−176606号公報
【特許文献2】特開2007−227324号公報
【特許文献3】特開2008−281239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、天窓は、屋根の直下に設置される部屋にしか光を供給することができないので、2階建て以上の住宅においては、最上階以外の部屋に対しては十分な光を供給することができない。また、光ダクトは、十分な採光をするためにはダクトの断面形状を大きくする必要があるので、設置するためには大きなスペースが必要となる。しかも、住宅の梁や柱などの構造躯体の位置を避けて設置する必要性から、設置位置を自由に決定することができない。また、既存の建物に対して天窓や光ダクトを施工する場合、屋根等を貫通させる必要があるので、大掛かりな工事をする必要がある。
【0007】
一方、種々の調光機能を有する照明は、外部の照度や色温度などを検知するセンサを備え、このセンサが検知した情報に応じて照明を制御することになるので、その処理が複雑なものとなりやすい。
【0008】
そこで、本発明は、設計の自由度が高く、2階以上の建物においても場所を問わず設置することができ、複雑な制御を必要としない自然光追従型LED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の自然光追従型LED照明装置は、太陽光発電を行う太陽電池と、該太陽電池が発電した電力をそのまま供給する直流配線と、該直流配線に接続するLED照明と、を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の自然光追従型LED照明装置は、前記直流配線が、複数に分岐して、そのそれぞれに前記LED照明が接続されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の自然光追従型LED照明装置によると、太陽電池が発電した電力を何の制御もすることなく、そのまま、LED照明に供給することにより、太陽電池の発電量に応じてLED照明の照度を制御することができる。したがって、屋外の天候が晴れのときには、太陽電池の発電量が多くなり、その結果、LED照明の照度も高くなる。また、屋外の天候が曇りや雨のときには、太陽電池の発電量が少なくなり、LEDの照度も低くなる。これにより、屋外の自然光の照度にLED照明の照度が連動することになり、外光を取り込む窓を設置することができないような場合にも、擬似的に外光に連動して光を発する疑似天窓を提供することができる。したがって、居住者が長期間屋内で生活するような場合でも、居住者のサーカディアンリズムが崩れることなく、居住者の生活リズムへの影響を軽減することができる。
【0012】
しかも、LEDは直流の電流により発光することができるので、太陽電池が発電した電力をそのまま直流配線を介してLED照明に供給するだけでよく、直流から交流に変換するパワーコンディショナーなどが不必要であり、構成を単純なものとすることができるとともに電力の変換ロスもなくなる。また、外光の明るさを検知する必要もないので、明るさ検知センサを設ける必要もない。
【0013】
請求項2に記載の自然光追従型LED照明装置によると、直流配線が複数に分岐して、そのそれぞれにLED照明が接続されるので、1つの太陽電池で2以上の部屋に疑似天窓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】自然光追従型照明装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】自然光追従型照明装置を採用した住宅の電気配線を示した簡略構成図。
【図3】LED照明の一例を示す斜視図。
【図4】自然光追従型照明装置の他の実施形態を説明する住宅の電気配線を示した簡略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、自然光追従型LED照明装置1の最良の実施形態について、図1から図4を参照しつつ説明する。この自然光追従型LED照明装置1は、主にマンションや住宅、老人ホームなど居住用建物2に設置されるものであって、昼間に外光を十分に取り入れることができない空間であっても外光と連動して照度が変化し、外光を取り入れることができる天窓と同様の機能を果たすものである。この自然光追従型LED照明装置1は、図1に示すように、建物2の屋根4に設置される太陽光を受光して発電を行うパネル状の第1の太陽電池11と、この第1の太陽電池11が発電した電力を建物2の屋内に供給する直流配線12と、この直流配線12により電圧が印加されて発光するLED照明ユニット13と、により構成されている。
【0016】
第1の太陽電池11は、例えばシリコンウエハなどの材料を用いた複数のセルを接続して所望の電力を発電できるように構成したシリコン系の太陽電池が挙げられるが、他の材料を用いたものや複数の材料により構成されたものであってもよい。
【0017】
また、LED照明ユニット13は、図3に示すように、部屋の天井板5に天窓を模した形状に形成された照明ユニットであって、複数のLED14と、表面に反射シート15を備えこのLED14を固定するベース板16と、このベース板16を覆いLED14の発光を一部反射しつつ拡散させる例えば白濁色の拡散カバー17と、LED14に過大な電圧が印加することを防ぐ図示しない保護回路と、から構成されている。
【0018】
複数のLED14は、太陽光線に近いスペクトルを発光する1又は複数のLED14の組合せが疑似天窓としては好適であるが、これに限定されるものではなく、LED照明ユニット13が設置される部屋の用途や居住者の好みなどに応じて適宜選択される。また、可視光のみならず、紫外線や赤外線を発光するLED14を組み合わせることで、より一層天窓に近づけることもできるが、屋内の冷暖房効率や有害光線の排除なども考慮して適切なLED14を組み合わせることが好ましい。また、拡散カバー17は、点光源のLED14の光を部屋内に広く拡散させるためのものであるが、居住者の好みによってはこの拡散カバー17に色温度を変換できるフィルムを貼着するなどしても良い。
【0019】
また、図示しないが保護回路は、例えば各LED14と並列に接続された回避回路であって、所定の電圧以上の電圧が印加された場合に、ツェナーダイオードにより電圧を所定の電圧に制限し、LED14に所定値以上の電圧が印加されることを回避させるものである。なお、保護回路はLED照明ユニット13に用いられる周知のその他の保護回路であっても良い。また、第1の太陽電池11の最大発電量が各LED14の定格電圧の合計以下である場合には、保護回路をもうけない構成としてもよい。
【0020】
自然光追従型LED照明装置1はこのように構成されることで、第1の太陽電池11の受光量が多いときには、第1の太陽電池11の発電量もそれに伴って大きくなり、直流配線12を介してLED照明ユニット13にも大きな電圧が印加され、LED14が高照度で発光する。一方、第1の太陽電池11の受光量が少ないときには、第1の太陽電池11の発電量も少なくなり、LED照明ユニット13に印加される電圧も低くなり、LED14が低照度で発光する。したがって、屋外の太陽光の照度に追従してLED照明ユニット13の明るさが決まるため、窓からの採光が困難な部屋にこの自然光追従型LED照明装置1を設置することで、擬似的に窓からの採光と同様の変化がある光を部屋に供給することができる。
【0021】
なお、この自然光追従型LED照明装置1を設置する建物2には、電力会社から供給される電力を建物2内の各部に供給する交流配線21も配設されており、LED照明ユニット13にもこの電力を供給できるように配線されている。図2に示すように、電力会社の電線3から引き込み線22を介して建物2内に供給された電力は、配電盤23により各部に振り分けられる。また、この建物2の屋根4には第1の太陽電池11の他に、第2の太陽電池25が設置されている。そして更に、第2の太陽電池25が発電した電力を充電する2次電池26と、この2次電池26充電された電力を直流から交流に変換するパワーコンディショナー27とを備えており、配電盤23に接続されている。配電盤23から伸びる交流配線21には、他の照明機器などの建物2に付属する電気機器28aやコンセント28bにそれぞれ配線されて電力を供給する他に、LED照明ユニット13にもACアダプタ24を介して配線されている。
【0022】
このように構成されることにより、第2の太陽電池25により発電された電力は2次電池26に充電され、消費電力が大きくなる時間帯にこの充電した電力を消費することができる。また、配電盤23から伸びる交流配線21はACアダプタ24を介してLED照明ユニット13にも配線されているので、LED照明ユニット13は、昼間は外光に追従して発光する疑似天窓として機能するとともに、夜間は通常の照明機器として使用することができる。
【0023】
なお、上述の実施形態においては、1つのLED照明ユニット13を使用した自然光追従型LED照明装置1の例について説明したが、LED照明ユニット13の数はこれに限定されるものではない。例えば、図4に示すように、2階建ての建物2aにおいて、建物2aの1階に設置される1階用LED照明ユニット13aと、建物2の2階に設置される2階用LED照明ユニット13bとの2つのLED照明ユニット13a、13bを設けてもよい。すなわち、第1の太陽電池11から直流配線12が並列的に配線されており、それぞれのLED照明ユニット13a、13bに接続されている。また、各LED照明ユニット13a、13bには、それぞれ配電盤23から伸びる交流配線21がACアダプタ24を介して配線されている。
【0024】
このように構成すると、外光を受光した第1の太陽電池11が発電した電力は、各LED照明ユニット13a,13bに振り分けて供給されるので、第1の太陽電池11が受光する外光の照度に応じて、各LED照明ユニット13a,13bをそれぞれ発光させることができ、疑似天窓として機能することができる。また、夜間は配電盤23から配線されている交流配線21が供給する電力により、LED照明ユニット13を通常の照明機器として使用することができる。このLED照明ユニット13の数は3以上であってもよく、また同一階に2つ以上設置してもよい。
【0025】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る自然光追従型LED照明装置1は、例えば狭小地の住宅や複数階の建物2において、窓からの採光では十分な外光を取り込むことができない場合に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 自然光追従型LED照明装置
2 建物
11 第1の太陽電池(太陽電池)
12 直流配線
13 LED照明ユニット(LED照明)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電を行う太陽電池と、
該太陽電池が発電した電力をそのまま供給する直流配線と、
該直流配線に接続するLED照明と、を備えることを特徴とする自然光追従型LED照明装置。
【請求項2】
前記直流配線は、複数に分岐して、そのそれぞれに前記LED照明が接続されることを特徴とする請求項1に記載の自然光追従型LED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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