説明

自立性袋

【課題】内容物の充填状態において、安定な自立姿勢を保つことが可能な構造ないし機構を有し、消費者の注目を喚起しうる独特かつ斬新な形状および構造を有する自立性袋を提供する。
【解決手段】平袋型の側縁xと横ガセット袋型の側縁y,yとを有する片ガセット構造の袋Pであって、その底部シール部のうち、最下端側の帯状の領域が第1シール部S1に形成され、平袋型の側縁x側のコーナー領域が第2シール部S2に形成され、横ガセット袋型の側縁y,y側のコーナー領域が第3シール部S3,S3に形成され、袋Pに内容物Cを充填して自立させた状態においては、内容物Cの自重により、第2シール部S2は横折れ姿勢になり、第3シール部S3,S3は水平に扁平化した姿勢となるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物の充填状態において、安定な自立姿勢を保つことが可能な構造ないし
機構を有すると共に、その自立時の姿が独特の印象を与える自立性袋に関するものである

【背景技術】
【0002】
(自立性の袋)
−1−
包装用袋として、内容物を他の容器(特に、吐出具付きのボトル等の容器)に詰め替え
る使い方をするものが普及している。この目的の包装用袋は、廃棄時の容積や重量の減少
に貢献するところが大である上、消費者においては詰め替え品の方が割安で購入できると
いうメリットがある。この詰め替え用の包装用袋は、店頭に展示したときに消費者の注目
を惹くようにすると共に、詰め替え作業の途中で床や流し台に置くことがあるため、自立
可能な袋(つまりスタンディングパウチ)とするのが通常である。
【0003】
−2−
自立性袋については多数の文献が知られているが、次に詳述する特許文献1と特許文献
2とが、本発明と対比されるべきバックグラウンド技術であると思われる。
【0004】
(特許文献1)
−1−
特許第3809694号(特開平9−79744号公報)(特許文献1)には、「合成
樹脂フィルム等の可撓性素材を半折りして表裏体1,2とし、該表裏体1,2の半折側縁
部3と対向する側縁部4を接合するとともに、表裏体1,2の内側に折込まれた底部5を
設けて、自立可能に形成した自立袋であって、表裏体1,2の上端部近傍における非接合
状態の前記半折側縁部3の側が開封したときの注出用口部7として形成されるとともに、
前記半折側縁部3は下端側から前記注出用口部7の近傍の位置までが接合されてなること
を特徴とする流動物包装用自立袋。」が示されている。ここで、「前記半折側縁部3は下
端側から前記注出用口部7の近傍の位置までが接合されてなる」態様の代表例は図1であ
り、その段落0021の後半においては図6の態様も可能であるとしている。
【0005】
−2−
なお、この特許文献1の段落0021の前半には、「図5の実施例のように、底部5側
端の接合部5cより上方部を非接合部として残存させておくことも・・・可能である」と
の記載があるものの、上述の請求項1の「前記半折側縁部3は下端側から前記注出用口部
7の近傍の位置までが接合されてなる」との記載と矛盾しているように見える。この矛盾
は、図7においても同様である。図5にも図7にも、図1や図6に記載の接合物3aが記
載されていないからである。
【0006】
−3−
いずれにせよ、特許文献1の自立袋は、半折りして形成した表裏体1,2の半折側縁部
3と対向する側縁部4をそのまま接合する方式にかかるものであり(その側縁部4の側か
ら他の半折りした表裏体を差し込んでから製袋する方式にかかるものではない)、またそ
の段落0027〜0029や図9のように、底部用のチューブ状フィルム22を上記の表
裏体1,2間に挿入して袋の底部5を形成する方式にかかるものである。
【0007】
(特許文献2)
−1−
特許第3997717号(特開2002−284186号公報)(特許文献2)には、
「最内にシーラント層を有する2枚の側壁フィルム10,10と1枚の縦方向にガゼット
折りされた側壁フィルム11でなり、それぞれの両端縁と上下縁のシーラント層面でシー
ルされている自立性詰替え容器において、下縁シール部14が、中央に頂点を有し、その
角度が40〜160°の略2等辺逆山形を形成し、且つ、
『前記1枚の縦方向にガゼット折りされた側壁フィルム11の両側において、それぞれ
、側壁フィルム10,10とガゼット折りされた側壁フィルム11との下縁シール部14
aに切抜き部30を刻設し、内容物を充填して底部が開くとき、その切抜き部30が支点
となっていずれか一方の下縁シール部14aが曲がり、底部が開いて自立し易くなること

を特徴とする自立性詰替え容器。」が示されている。
【0008】
−2−
なお、この特許文献2の段落0016、0019、0023および[符号の説明]の箇
所においては符号30が「底部」を示すものとして使われているにもかかわらず、その段
落0020、0021の4箇所および図2、4においては同じ符号30が「切抜き部」を
示すものとして使われているので、注意を要する。
【0009】
−3−
この特許文献2の請求項1の発明においては、上記の『 』内の構成および機能を主た
る特徴点としている。そして段落0021には、「図4に底面図を示すように、ガゼット
折りされた側壁フィルム11の2つの下縁シール部14aに刻設された切り抜き部30の
内の一方の切り抜き部30が支点となって、その切り抜き部30のある下縁シール部14
aが曲がり易くなり、すなわち底部が開き易くなり安定して自立する自立性詰替え容器1
とすることができる。」とある。
【0010】
−4−
つまり、内容物入りの容器を自立させるときには、2つの下縁シール部14a,14a
に加えて下縁シール部14も下方に向けて「リブ」のように張り出し、しかも計3本の下
縁シール部のシール幅は狭いので剛性がある上、それら3本の「リブ(シール部)」が最
も安定なY字状に配置されている。そのため、そのY字状の部分にかなりの荷重がかかっ
ても、3本が互いに協力してその荷重に耐えてしまうことは容易に理解できることである
。(ちなみに、従来の典型的な自立性袋においては、特許文献1の各図のように、下縁部
の円弧状の側縁部5a,5bが下方に向けての「リブ」となっており、そのリブで全荷重
を安定に支えている。)
【0011】
−5−
1.特許文献2における上記のような「Y字状のリブ」の形成は、上質紙のような紙を
切って、側壁フィルム10,10に相当する2枚の紙片と、ガゼット折りした側壁フィル
ム11に相当する1枚のガゼット折りした紙片とを作り、それらの紙片の側縁をステープ
ラーの針で留めて三角筒を作成し、ついでその三角筒の内部に手を入れて底が平らになる
ように折り目を入れると、一目瞭然に理解できる。そしてこの三角筒を底面側から見ると
「Y字形」になり、三角筒の内部に物を入れても「リブ」は簡単にはひしゃげない。
2.次に、上記の3条の「リブ」のうちの2条の中ほどの位置に下方側から鋏で「切り
抜き部」を設けると、その「切り抜き部を設けた」2条は、残りの「切り抜き部を設けな
い」1条に比しては上方からの圧力に耐えられなくなるので、その2条のうちの1条がま
ず曲がるように座屈し、続いてもう1条が座屈し、最後に「切り抜き部を設けない」1条
が座屈して、狙いとする平らな底部が比較的すみやかに形成される。
3.なお、上記の3条の「リブ」のうちの1条の中ほどの位置に下方側から鋏で「切り
抜き部を設け」、残りの2条には「切り抜き部を設けない」ようにすると、内容物の充填
量や内容物の偏りあるいは立ち姿勢によってはその残りの2条で準安定構造が形成される
ことがあるので、上記の「切り抜き部」による効果が奏されたり奏されなかったりするこ
とがある。
4.このモデルからも明らかなように、特許文献2の図4の底面図に見られる2つの下
縁シール部14a,14a(切り抜き部30を形成してある)および下縁シール部14の
形状、構造、技術思想、作用効果は、後述する本発明のそれらとは基本的に相違している

【0012】
【特許文献1】特許第3809694号
【特許文献2】特許第3997717号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
(特許文献1、2)
1.上述の特許文献1の流動物包装用自立袋は、特に注出口まわりの形状・構造に関し
て工夫を講じてあるが、底部側の形状・構造は広く普及しているものと少しも変わらない
ので、店頭に置かれた状態においても、そしてそれを手に取って眺めた場合にも、斬新性
の点でさらに改善の余地があるように思われる。
【0014】
2.上述の特許文献2の自立性詰替え容器は、その底部の「Y字状になる3条のシール
部(リブ)」のうちの2条に「切り抜き部」を設けることにより、平らな底部が形成され
るとされているが、リブの高さが低いので思いのほか剛性があり、そのリブを確実に横伏
せ姿勢にすることは必ずしも容易ではない。
【0015】
3.また、特許文献1と特許文献2とを組み合わせようとしても、前者の自立袋と後者
の容器とは構造や技術思想が本質的に異なるので、対処に窮することになる。
【0016】
(発明の目的)
本発明は、このような背景下において、内容物の充填状態において、安定な自立姿勢を
保つことが可能な構造ないし機構を有すると共に、その自立時の姿が独特の印象を与える
自立性袋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の自立性袋は、
正面視において、一方の側縁は平袋型の側縁(x)に形成され、他方の側縁は横ガセッ
ト袋型の側縁(y),(y)に形成され、かつ下縁側が底部シール部(z)に形成された
構成を有する片ガセット構造の袋Pであって、
前記の底部シール部(z)においては、その最下端側の帯状の領域が第1シール部(S
1)に形成され、前記の平袋型の側縁(x)側のコーナー領域が第2シール部(S2)に
形成され、前記の横ガセット袋型の側縁(y),(y)側のコーナー領域が第3シール部
(S3),(S3)に形成されていること、
もって、前記の袋Pに内容物Cを充填して該袋Pを自立させた状態においては、内容物
Cの自重により、前記の第2シール部(S2)は横折れ姿勢になり、前記の第3シール部
(S3),(S3)は水平に扁平化した姿勢となるように構成したこと、
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内容物の充填状態において安定な自立姿勢を保つことが可能な構造を
有する自立性袋を提供することができる。しかも、この自立性袋は、その自立時の姿が独
特かつ斬新な印象を与えるため、消費者の注目を喚起しうるという点においても市場性の
高いものである。つまり、本発明にあっては、その構造が機能を生み、その構造および機
能が市場性をもたらしているということができる。
【0019】
付言するに、本発明の自立性袋に内容物Cを充填した包装体の自立姿勢は、「立ってい
る」というよりも「座っている」というイメージを与える。これを喩えると、正座の状態
から足を横にずらすと横座りの状態になるところ、和服姿の女性がそのように横座りした
印象が感じられる。本発明の自立性袋は、その構造に従来にはない特異性があるため、そ
れを包装体としたときに予想しえないような意匠性が現出したのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明を詳細に説明する。
【0021】
(袋Pの基本構造)
図1は、本発明の自立性袋を模式的を示した正面図である。
本発明の自立性袋は、正面視において、一方の側縁は平袋型の側縁(x)に形成され、
他方の側縁は横ガセット袋型の側縁(y),(y)に形成され、かつ下縁側が底部シール
部(z)に形成された構成を有する片ガセット構造の袋Pにかかるものである。
【0022】
(袋Pの側縁の構造)
−1−
平袋型の側縁(x)とは、半折りされた1枚のシートの半折り部からなる側縁のほか、
表裏2枚のシートが側縁でシールされた状態の側縁をも包含するものとする。言い換えれ
ば、「側縁が、次に述べる横ガセット袋型の2つに分かれた側縁ではないこと」を意味す
るものとする。
【0023】
−2−
一方、横ガセット袋型の側縁(y),(y)は、文字通り、袋の内方に入り込むガセッ
トに形成された2つ分かれの側縁(Σ字形の側縁)を意味する。
【0024】
−3−
1.そのような平袋型の側縁(x)と横ガセット袋型の側縁(y),(y)とを有する
片ガセット構造の袋Pは、任意の方法により作製することができる。図2は、袋Pの側縁
の形成例を示した説明図である。
・図2(a)は、半折りシートした2枚のシートから、シール、切断などの手段により
、目的の袋を得たものである。
・図2(b)は、1枚のシートから、折り込み、シール、切断などの手段により、目的
の袋を得たものである。
・図2(c)は、チューブ状のシートから、折り込み、シール、切断などの手段により
、目的の袋を得たものである。
2.片ガセット構造の袋Pの工業的な製袋は、長尺のシートを用いて連続法や半連続法
により行うのが通常である。ただし、バッチ法により1袋単位で製袋することもある。
【0025】
(袋Pの底部側の構造)
−1−
本発明においては、上記の片ガセット構造の袋Pの下縁側は、図1に示されているよう
に、下記のような特別の底部シール部(z)に形成される。
1.底部シール部(z)の最下端側の帯状の領域は、第1シール部(S1)に形成され
る。
2.底部シール部(z)のうち上記の平袋型の側縁(x)側のコーナー領域は、第2シ
ール部(S2)に形成される。
3.底部シール部(z)のうち上記の横ガセット袋型の側縁(y),(y)側のコーナ
ー領域は、第3シール部(S3),(S3)に形成される。
4.上記において、第2シール部(S2)と第3シール部(S3),(S3)との境界
は、図1に縦の破線で示した横ガセットの折り込み先端の位置かその付近に設定する。
5.底部シール部(z)を構成するこれらの第1シール部(S1)、第2シール部(S
2)、第3シール部(S3),(S3)は、任意の順序であるいは同時に形成することが
できる。
6.図1の第2シール部(S2)の面積と第3シール部(S3)の正面視における面積
とは、通常はほぼ同じに設定する。さもないと、内容物Cを充填した包装体を自立させた
ときに、包装体が図1の右側または左側に許容限度以上に傾いてしまうからである。ただ
し、故意に傾いた自立姿勢になるようにすることもできる。
【0026】
−2−
底部シール部(z)の形成は、ヒートシール法(熱融着法)や接着剤を用いる方法をは
じめ任意であるが、袋Pの構成材料であるシートとして単層または複層のプラスチックス
フィルムを用いることが多いことから、ヒートシール法により行うのが実際的である。ヒ
ートシール法とは、周知のように、板状、棒状、帯状、円盤状などの金属体をシートの表
面に圧着させ、外部加熱による熱伝導によりその圧着部を溶融して接着する方法である。
ヒートシール法のほか、インパルスシール法、超音波シール法、高周波シール法なども採
用しうる。
【0027】
(内容物C充填後の袋Pの自立姿勢)
上記のように、一方の側縁は平袋型の側縁(x)に形成され、他方の側縁は横ガセット
袋型の側縁(y),(y)に形成され、かつ下縁側が底部シール部(z)に形成された構
成を有する片ガセット構造の袋Pにおいては、該袋Pに内容物Cを充填した包装体は、内
容物Cの自重により自立する。この自立姿勢においては、上記の第2シール部(S2)は
、相応の面積があるため柔軟であり、容易に横折れ姿勢になる。上記の第3シール部(S
3),(S3)も、相応の面積があるため柔軟であり、容易に水平に扁平化した姿勢とな
る。このときの状態は後述する。
【0028】
(袋Pの下縁側の底部シール部(z)の各シール部の役割)
−1−
第1シール部(S1)は、本来の底部シールの役割を果たす。
【0029】
−2−
第1シール部(S1)の上方でかつ平袋型の側縁(x)側のコーナー領域に形成される
第2シール部(S2)は、図1のように、直角三角形状となる。この袋Pに内容物Cを充
填した包装体を自立させたときには、袋Pが膨らむためにd−f線が包装体の底面レベル
になると共に、この直角三角形の斜辺d−eの位置も包装体の底面レベルとなる。その結
果、内容物Cの自重により、直角三角形の斜辺d−eよりも下方に位置する第2シール部
(S2)は自然に横折れする。このときには、第2シール部(S2)の下方に連続して位
置する第1シール部(S1)も一緒に(連れ立って)横折れすることになる。
【0030】
−3−
第1シール部(S1),(S1)の上方でかつ横ガセット袋型の側縁(y),(y)側
のコーナー領域に形成される第3シール部(S3),(S3)も、図1のように、直角三
角形状となる。この袋Pに内容物Cを充填した包装体を自立させたときには、袋Pが膨ら
むためにd−f線が包装体の底面レベルになると共に、この直角三角形の斜辺e−fの位
置も包装体の底面レベルとなる。その結果、内容物Cの自重により、直角三角形の斜辺e
−fよりも下方に位置する第3シール部(S3),(S3)が影響を受ける。そのときの
態様には次のようなケースがある。
【0031】
−4−
ケース1:第3シール部(S3),(S3)の双方が互いに外側方向になるように折れ
込む。第1シール部(S1),(S1)もそれに従う。
ケース2:第3シール部(S3),(S3)の双方が互いに内側方向になるように折れ
込む。第1シール部(S1),(S1)は横折れすることが多い。
ケース3:第3シール部(S3),(S3)の片方が外側方向に折れ込み、他方が内側
方向になるように折れ込む。その折れ込みに第1シール部(S1),(S1)もそれぞれ
従う。
ケース4:第3シール部(S3),(S3)双方または一方が途中で折れ曲がって座屈
する。第1シール部(S1),(S1)は折れ曲がったり座屈したりする。
【0032】
−5−
ケース1は比較的安定ではあるが、包装体を持ち上げたときにその底面から第3シール
部(S3),(S3)が下方に突き出るように戻ってしまう傾向があるため、外観の点で
は難がある。
ケース2は、第3シール部(S3),(S3)の下方にある第1シール部(S1),(
S1)の存在により、安定な自立が損なわれることがある。
ケース3は、バランスが不均等になるため、自立させたときに包装体が横倒れするおそ
れが強い。
ケース4は、自立させたときの安定性の点で難がある上、外観の点でも難がある。
【0033】
−6−
上記の片ガセット構造の袋Pの下縁側における底部シール部(z)は、見方を変えれば
ユニークなものである。この底部シール部(z)は、袋Pに内容物Cを充填した包装体を
自立させたときに底面レベルよりも下方に位置することになるため、上記のように包装体
の自立時の安定性を妨げるおそれがあるように見える。
【0034】
−7−
しかしながら、もしそのフラップ状の底部シール部(z)に何らかの機能を果たさせる
ことができれば、欠点は一転して利点に変わる。この課題を解決するのが、次に述べる2
つの手段、すなわち、ポイントシール部(S4)および打ち抜き小孔(h),(h)であ
る。図3は、図1の袋Pに、ポイントシール部(S4)および打ち抜き小孔(h),(h
)(さらには後述のシール部(S5)およびポイントシール部(S6))を設けた状態を
示した説明図である。
【0035】
(ポイントシール部(S4))
−1−
その1つは、図3のように、上記の第3シール部(S3),(S3)の下方の第1シー
ル部(S1),(S1)に、これらの第1シール部(S1),(S1)同士を接合するポ
イントシール部(S4)を設けることである。これにより、袋Pに内容物Cを充填した包
装体を自立させたときには、内容物Cの自重により、第3シール部(S3),(S3)の
双方が上記のケース2のように互いに内側方向になるように折れ込んで、水平に扁平化し
た姿勢(伸縮するパンタグラフの縮み姿勢)となる。上記のケース1、3、4のような現
象は生じなくなるのである。
【0036】
−2−
このときのポイントシール部(S4)の形成は、たとえば袋Pを形成するシート材料が
「基材層/シーラント層]からなるときは、そのシート材料を準備するときに、基材層の
該当部位をスポット状に打ち抜いておいてから、その基材層上にシーラント層を設けてお
き、袋Pの形成工程の適当な段階あるいは袋Pの形成後に、その打ち抜き部の箇所をポイ
ントシールすることにより達成できる。
【0037】
−3−
ポイントシール部(S4)の形成により、包装体を自立させたときには第3シール部(
S3),(S3)は水平に扁平化した姿勢になるが、その第3シール部(S3),(S3
)の下方に連設している第1シール部(S1),(S1)は高さ方向の幅が狭いためある
程度の剛性があり、包装体の自立時に円滑には横折れしないことがある。そこで、次のよ
うな手段を講じることが特に好ましい。
【0038】
(打ち抜き小孔(h),(h))
−1−
すなわち、上記の第3シール部(S3),(S3)の下方の第1シール部(S1),(
S1)との境界部位に、打ち抜き小孔(h),(h)を設けるのである。このような工夫
を講ずることにより、第3シール部(S3),(S3)の下方に位置する第1シール部(
S1),(S1)は、内容物Cの自重を受けて円滑に横折れする。
【0039】
−2−
この場合、第3シール部(S3),(S3)の下方の第1シール部(S1),(S1)
と、先に述べた第2シール部(S2)下方に位置する第1シール部(S1)とは、互いに
連続しているので、第2シール部(S2)およびその下方の第1シール部(S1)の横折
れ方向に、第3シール部(S3),(S3)の下方の第1シール部(S1),(S1)も
追随し、結局は帯状の第1シール部(S1)全体が同じ方向に横折れすることになる。
【0040】
−3−
上記の打ち抜き小孔(h)の形状は、種々の形状とすることができるが、横長の長円形
や横長の長方形であることが特に好ましい。また、四辺形や円形の小孔を横方向に近接さ
させて複数個連設することも好ましい。
【0041】
(袋Pの上部側の構造)
−1−
袋Pの上辺側の平袋型の側縁(x)側には、図3にも記載してあるように、注出口とな
る部位に適宜形状のシール部(S5)が設けられる。平袋型の側縁(x)が半折りシート
の側縁でできているときは、内容物Cの注ぎ出しや他の容器への詰め替えを極めて円滑に
行うことができる。注出口の開口を容易にするために、図示せざる開封補助線を設けてお
くこともできる。
【0042】
−2−
袋Pの上辺側の横ガセット袋型の側縁(y),(y)寄りの上辺側には、図3にも記載
してあるように、側縁(y),(y)の上辺側を一体化するポイントシール部(S6)を
設けることができ、また内容物Cを充填するための開口部の大きさの調節のための図示せ
ざるシール部も設けることができる。
【0043】
(袋Pを形成するシート)
−1−
上記の袋Pを形成するためのシートとしては、単層または複層のシートが用いられる。
シートの材質に特に限定はないが、「基材層/シーラント層」の基本の層構成からなるシ
ートを用いるのが通常である。
【0044】
−2−
基材層の例は、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)、二軸延伸ナイロンフィルム
(ONY)、無延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、無
延伸ポリプロピレンフィルム、セルロース系フィルム、合成紙(ポリプロピレン系の多層
の合成紙等)、金属箔(アルミニウム箔(AL)等)などである。ナイロンフィルムやポ
リエステルフィルムはレーザー光を吸収しやすい樹脂であるので、後述の注出口(3)
現出させるための開封補助線をレーザー光の照射により形成させるときは、基材層として
特に好ましいフィルムである。基材層は、2層以上で構成してもよい。また基材層は、ガ
スバリア性樹脂層、接着性樹脂層、アンカーコーティング層、蒸着層(金属蒸着層や酸化
珪素等のセラミックス蒸着層)、印刷層、トップコート層などを有していてもよい。基材
層の厚みは、所定の強度が得られる限りにおいて任意であるが、たとえば12〜120μ
m 程度とすることが多い。
【0045】
−3−
シーラント層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン
(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合
体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合
体等のポリエチレン系樹脂;CPPと称されるポリプロピレン系樹脂;をはじめ、ヒート
シール性を有する種々の樹脂の層があげられる。シーラント層も2層以上で構成してもよ
い。シーラント層の厚みにも限定はないが、10〜250μm 程度、殊に20〜200μ
m 程度とすることが多い。
【0046】
−4−
各層間の積層は、蒸着層の形成の場合を除き、ドライラミネート法、ウエットラミネー
ト法、流延法、サンドラミネート法、共押出法、エクストルージョンコーティング法、印
刷法などの方法によりなされる。
【0047】
(包装体)
−1−
上述の袋Pからなる自立性袋には、その上辺側の開口部から内容物Cが充填され、つい
でその開口部がシールされて包装体となる。
【0048】
−2−
内容物Cは、袋Pの注出口から吐出できるものであれば、低粘度の液体から高粘度のペ
ーストまで任意であり、場合よっては粉粒体であってもよい。内容物Cの例は、液体洗剤
、シャンプー、リンス、入浴剤、調味料、食品や飲料、ペットフード、オイル類、消臭剤
、接着剤、塗料をはじめ多岐に渡る。
【実施例】
【0049】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0050】
(図面の説明)
図4は、実施例1における袋Pの正面図である。図4には、寸法(単位はmm)も付記
してある。
図5は、図4の袋Pに内容物Cを充填した包装体の模式的な底面図である。実際には、
内容物Cの自重により、包装体は図5に破線で示したように膨らむ。
【0051】
[実施例1]
(原反シートの準備)
−1−
「厚み15μm の二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)/印刷層」の層構成のシートと
、「厚み12μm の二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)/アルミニウム蒸着層」の
層構成のシートとを用い、これらのシートを接着剤層を介して貼り合わせることにより、
「二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)/印刷層/接着剤層/アルミニウム蒸着層/二軸
延伸ポリエステルフィルム(PET)」の層構成を有する厚み約30μm の基材層を準備
した。
【0052】
−2−
次に、この基材層に、シーラント層としての厚み140μm の直鎖状低密度ポリエチレ
ン層をドライラミネーション法によりラミネートすることにより、「基材層/シーラント
層」からなる長尺のシートを得た。
【0053】
(第1および第2半折りシート(1),(2)の準備)
−1−
このようにして得た長尺のシートを、そのシーラント層の側が内側になるように折り込
んで、半折り後の巾Wが110mmの第1半折りシート(1)を作製し、それを袋Pとし
たときの高さが200mmとなるピースに裁断した。
【0054】
−2−
上記と同様にして得た長尺のシートを、今度はシーラント層の側が外側になるように折
り込んで、半折り後の巾wが40mmの第2半折りシート(2)を作製し、それを袋Pと
したときの高さが200mmとなるピースに裁断した。
【0055】
(側縁ヒートシール部の形成)
このようにして準備した第1半折りシート(1)に第2半折りシート(2)を先に述べ
た図2(a)のように差し込み、ついでヒートシールを行って、シール幅が5mmの側縁
シール部(S0),(S0)を形成させた。
【0056】
(第1、第2、第3シール部の形成)
続いて、熱板を用いたヒートシール法により、図4のように、袋の底部側に第1シール
部(S1)、第2シール部(S2)、第3シール部(S3),(S3)を形成させた。た
だし、(S1)と(S2)とは1つの熱板を用いて同時にヒートシールを行い、また(S
1)と(S3)とは1つの熱板を用いて同時にヒートシールを行っている。帯状の第1シ
ール部(S1)の高さ方向の幅は5mmである。直角三角形状の第2シール部(S2)の
高さは20mmで面積は70×20/2=700であり、直角三角形状の第3シール部(
S3)の高さは35mmで面積は40×35/2=700である。図4には、寸法も付記
してある。
【0057】
(ポイントシール部(S4)の形成)
袋Pには、図4に破線で示してあるように、第3シール部(S3),(S3)の下方の
第1シール部(S1),(S1)に、これらの第1シール部(S1),(S1)同士を接
合するポイントシール部(S4)を形成させた。
【0058】
(打ち抜き小孔(h)の形成)
さらに、上記の直角三角形状の第3シール部(S3),(S3)と帯状の第1シール部
(S1),(S1)との境界部位には、横幅10mm、縦幅3mmの打ち抜き小孔(h)
,(h)を形成させた。
【0059】
(袋Pの上辺側のシール部の形成)
そして、袋Pの上辺側には、図4のように、注出口となる部位にシール部(S5)を形
成させ、また側縁ヒートシール部(S0),(S0)同士を接合するポイントシール部(
S6)を形成させておいた。
【0060】
(包装体)
−1−
上記のようにして作製された図4の袋Pに、実験用の内容物Cとして水を420ml充
填し、ついで袋Pの上辺の開口部をヒートシールすることにより、10個の包装体を作製
した。
【0061】
−2−
これらの包装体を机上に載置したところ、図5に包装体の底面図を示したように、第2
シール部(S2)はその下方に連設している第1シール部(S1)と共に円滑に横折れし
、第3シール部(S3),(S3)は水平に扁平化した姿勢となり、それらの第3シール
部(S3),(S3)の下方に連設している第1シール部(S1),(S1)は、上記の
第2シール部(S2)の下方に連設している第1シール部(S1)の横折れ方向と同方向
に円滑に横折れした。
【0062】
−3−
第3シール部(S3),(S3)の下方に連設している第1シール部(S1),(S1
)の横折れ部位は、打ち抜き小孔(h),(h)のうちの一方であり、打ち抜き小孔(h
)の存在がこの部位の第1シール部(S1),(S1)の円滑な横折れに大きく機能して
いることが明白であった。
【0063】
−4−
注出口(3)の開口は、図4に1点鎖線で示したラインに沿って行われる。このライン
に沿う開口は、予め設けておいた開封補助線に沿って行ってもよく、鋏でカットすること
により行ってもよい。
【0064】
[実施例2]
実施例1における第1半折りシート(1)と第2半折りシート(2)とを用いる製袋法
(つまり図2(a)の製袋法)に代えて、1枚のシートを用いる図2(b)の製袋法を採
用したほかは実施例1を繰り返した。この方法は、連続製袋の点で実際的な方法であると
いうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に自立性袋は、内容物Cの充填状態において安定な自立姿勢を保つことが可能で
あり、特に内容物Cを他の容器に詰め替える使い方をする袋として有用である。また、詰
め替えを目的としていない一般の自立性袋の用途にも広く使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の自立性袋を模式的を示した正面図である。
【図2】袋Pの側縁の形成例を示した説明図である。
【図3】図1の袋Pに、ポイントシール部(S4)および打ち抜き小孔(h),(h)(さらにはシール部(S5)およびポイントシール部(S6))を設けた状態を示した説明図である。
【図4】実施例1における袋Pの正面図である。
【図5】図4の袋Pに内容物Cを充填した包装体の模式的な底面図である。
【符号の説明】
【0067】
(P)…袋、
(x)…平袋型の側縁、
(y)…横ガセット袋型の側縁、
(z)…底部シール部、
(S1)…第1シール部、
(S2)…第2シール部、
(S3)…第3シール部、
(S4)…ポイントシール部、
(S5)…(注出口となる部位の)シール部、
(S6)…(側縁(y),(y)の上辺側を一体化する)ポイントシール部、
(S0)…側縁シール部、
(h)…打ち抜き小孔、
(1)…第1半折りシート、
(2)…第2半折りシート



【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面視において、一方の側縁は平袋型の側縁(x)に形成され、他方の側縁は横ガセッ
ト袋型の側縁(y),(y)に形成され、かつ下縁側が底部シール部(z)に形成された
構成を有する片ガセット構造の袋Pであって、
前記の底部シール部(z)においては、その最下端側の帯状の領域が第1シール部(S
1)に形成され、前記の平袋型の側縁(x)側のコーナー領域が第2シール部(S2)に
形成され、前記の横ガセット袋型の側縁(y),(y)側のコーナー領域が第3シール部
(S3),(S3)に形成されていること、
もって、前記の袋Pに内容物Cを充填して該袋Pを自立させた状態においては、内容物
Cの自重により、前記の第2シール部(S2)は横折れ姿勢になり、前記の第3シール部
(S3),(S3)は水平に扁平化した姿勢となるように構成したこと、
を特徴とする自立性袋。
【請求項2】
前記の第3シール部(S3),(S3)の下方側の部位において、前記の帯状の第1シ
ール部(S1),(S1)同士を接合するポイントシール部(S4)を設けてあることを
特徴とする請求項1記載の自立性袋。
【請求項3】
前記の第3シール部(S3),(S3)とその下方の第1シール部(S1),(S1)
との境界部位に、打ち抜き小孔(h),(h)を設けてあることを特徴とする請求項1または2記載の自立性袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−131531(P2012−131531A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285205(P2010−285205)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(390033868)株式会社メイワパックス (27)
【Fターム(参考)】