説明

自転車用スタンド

【課題】 競技用自転車や、車体構造上の理由により自転車を立てて駐輪できない自転車のために、自転車に付属させずに携帯する自転車用スタンドにおいて、小型軽量で且つ着脱が容易である携帯式の自転車用スタンドを提供する。
【解決手段】 自転車のクランク10に対して、ペダル側の先端部から長手方向に挿抜自在に外嵌するチヤンネル形状の本体支柱2を具備し、前記本体支柱2の挿抜側端部の中央には前記端部に開放し且つペダル軸91に外嵌するペダル軸挿入溝21が形成されると共に、前記本体支柱2の内側には、クランク先端部を保持するクランク先端受金5が付いている。一方、前記本体支柱2のペダル軸挿入溝21の形成側と反対側の端部には、使用時には略V字状に拡がり、不使用時には折り畳み可能な接地ステー4、4が連設された接地ステー支持体3が前記本体支柱2の内側に収納できるよう回動自在に装着された構成の自転車用スタンドである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車に付属させずに携帯し、必要な時に取付けて、自転車を立てて駐輪させる自転車用スタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、一般のサイクリング用として、ロードレーサータイプの自転車が広く普及しているが、車体の軽量化や接触事故に起因する怪我を防止するために、スタンドを組み付けていないものが数多く見受けられる。 また、カーボン材使用の殆どのフレームには、車体構造上の理由によりスタンドを取り付けられないのが現状である。
【0003】
この様な自転車を駐輪するには、車輪を挟んで自転車を立てて置く専用設備が必要となるが、レース場や一部の商業施設にしか設置されていないのが現状であり、駐輪する場合は自転車を横に倒して置くか、最寄りの壁等に立てかけた状態にしなければならず、大変不便である。
【0004】
かかる不便を解消できるものとして図6に示すように、自転車の後車輪Aのハブ軸両端部を支持する着脱自在の携帯式スタンドが一般に知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
これは図6に示すように、一対のU字形状の脚部C1、C2の上端を、保持筒B1、B2の部分で回動自在に結合することにより、二つ折りできるようにしたもので、脚部C1、C2を開いた使用状態で、ハブ軸の両端に保持筒B1、B2を外嵌させることにより自転車を立てて駐輪させることができる。上記自転車用スタンドは自転車と別体に構成され、走行時には自転車から取外し、二つ折りに畳んで携帯できる。従って、この自転車用スタンドを用いれば、専用設備の無い所でも自転車を立てて駐輪することができる利点がある。
【0006】
しかし、上記図6の自転車用スタンドは、その着脱時には、脚部C1、C2を広げながら自転車を持ち上げる手間を必要とし、大きな力が必要である。また、後車輪Aを跨ぐ態様であるため、大型で重量も重くなり携帯するのに不都合がある。
【特許文献1】 実公平9−3041056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、係る問題点を改善すべく構成されたもので、自転車に付属させずに携帯する自転車用スタンドにおいて、小型軽量で持ち運びに便利で、且つ着脱が容易であるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の手段は、
『自転車のクランクに対して、ペダル側の先端部から長手方向に挿入自在に外嵌するチヤンネル形状の本体支柱2を具備し、前記本体支柱2の挿入側端部の中央部には、前記端部に開放し且つペダル軸91に外嵌するペダル軸挿入溝21が形成され、又、前記本体支柱2の内側にはクランク先端部を保持するクランク先端受金5が形成されている。
一方、前記本体支柱2のペダル軸挿入溝21の形成側と反対側の端部には、使用時には略V字状に拡がり、不使用時には折り畳み可能な接地ステー4,4が取り付けられた接地ステー支持体3が本体支柱2の内側に回動自在に装着されている』ことを特徴とする。
【0009】
本発明の自転車用スタンドを使用するときは、先ず、自転車の一方のクランクをほぼ下向きの姿勢にする。次に、本体支柱2に於けるペダル軸挿入溝21の形成側と反対側に位置する接地ステー支持体3から一対の接地ステー4,4を引き出す。すると、各接地ステー4,4は一端が本体支柱2に保持された状態になると共に、他端が相互に離反するように自転車側方へ向けて、先広がり状態になる。 続いて、本体支柱2に形成されたペダル軸挿入溝21の開放端を、クランクの下端から突出するペダル軸の基端部に臨ませ、この状態で、本体支柱2をクランクの下端に添ってクランク先端受金5に当接するまで外嵌させる。すると、前記ペダル軸挿入溝21がペダル軸91に外嵌した状態で、本体支柱2が必要長さクランクに取り付けられる。この取付け状態では、既に引き出し状態にある接地ステー4,4は、前述したように自転車側方へ向けて先広がり状態にあるから、地面に着地して安定する。これにより、自転車を立てた状態に駐輪させることができる。
【0010】
本発明の自転車用スタンドを使用しない時は、先ず、接地ステー4,4を平行に並べた状態にし、次に、接地ステー支持体3を回転させ、本体支柱2の内側に収納する。これにより、自転車用スタンドが本体支柱2の大きさに折り畳まれる。
【0011】
請求項2に係る発明の手段は、請求項1に係る発明において、
『クランク先端部分を保持するクランク先端受金5が、チヤンネル形状の本体支柱2の内側に起伏可能なように取り付けられた構成』であり、スタンドを折り畳んで携帯する時、前記クランク先端受金5を本体支柱2の内側に倒せば、全体の厚みを小さくできる。
【0012】
請求項3に係る発明の手段は、請求項1と請求項2に係る発明において、
『本体支柱2と、該本体支柱2の一端に回動自在に取り付けられた接地ステー支持体3とで成す開き角度を、そのどちらか一方に螺設された角度調整ネジ11の螺入深さを調整することによって、接地ステー4,4の着地面からペダル軸91までの高さを任意に設定できる構成』である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は次の特有の効果を有する。
自転車への装着位置が地面に最も近いクランクの先端部であるから、自転車用スタンドの全体寸法を短くすることができ、これにより自転車用スタンドの小型化が図れる。又、自転車用スタンドが本体支柱2の大きさに折り畳まれるから、さらに小型化が図れて、携帯し易くなる。又、本発明のスタンドの使用に当たっては、接地ステー4,4を引き出した状態で、本体支柱2を自転車のクランク先端に外嵌させるだけでよいから、自転車への着脱が容易であり、短時間で自転車を立てた状態に駐輪させることができる。
請求項3に係る発明では、上記効果に加え、地面からペダル軸91までの寸法の異なる自転車に対応できるように、スタンドの高さ調整をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施の形態に係る自転車用スタンド1は、自転車のクランクに着脱自在に取り付けられるものであり、自転車に附属させることなく携帯し、駐輪の際に必要に応じて取り付けて使用できるようになっている。更に詳しくは、チヤンネル形状の本体支柱2の一端に、ほぼ真下向きに下ろしたクランク10とこれに取り付けられているペダル軸91を嵌合させる操作と、本体支柱2の他端に回動自在に取り付けられた接地ステー支持体3に連接された2本の折り畳み可能な接地ステー4,4を略V字状に広げて地面に接地させる操作により、自転車を立てた状態に駐輪させることができるように成っている。
【0015】
続いて、図2〜図5に基づいて、具体的に説明をおこなう。
チヤンネル形状の本体支柱2はその一端からクランク10に対して、挿抜自在に外嵌できる程度の大きさに設定されている。又、本体支柱2に於ける前記挿抜側の端部中央には、前記端部に開放するペダル軸挿入溝21が形成されており、該ペダル軸挿入溝21はペダル軸91に外嵌できる幅および長さに設定されている。
【0016】
又、本体支柱2に於けるペダル軸挿入溝21の底部に位置する左右の側壁には、ピン6を介してクランク先端受金5を回動自在に装着すべく、ピン取付け穴22,22が形成されている。
【0017】
又、本体支柱2に於けるペダル軸挿入溝21と反対側の端部の左右側壁には、回転軸7を介して接地ステー支持体3を回動自在に装着すべく、回転軸取付け穴23,23が形成されている。
【0018】
クランク先端受金5は略L形断面形状をしていて、クランク10の先端部分を受ける主体部51と、本体支柱2の内壁に対し主体部51の上面が直角に保持されるための当り部52と、クランク先端部の裏側を保持するためのクランク裏受部53とを具備しており、ピン6により、本体支柱2の左右側壁の間に起伏自在に装着されている。
【0019】
更に詳しくは、
クランク先端受金5の主体部51は、その一端には、上記本体支柱2のピン取付け穴22,22にピン止めされるためのピン貫通穴54が形成されている。又、当り部52は主体部51のピン貫通穴54側の端に、主体部51の上面に対し90度下向けて形成されている。又、クランク裏受け部53は、ピン穴貫通穴54の反対側の端に、主体部51の上面に対して90度上向きに立ち上げて形成されている。
【0020】
クランク先端受金5は上記形態となっているので、スタンドを使用しない時は、クランク裏受け部を押し倒すことにより、本体支柱2の内側に折り畳むことができ、携帯する時のスタンド全体の厚みを薄くすることができる。
【0021】
接地ステー支持体3は、本体支柱2の内側に収納しえる直方体状の主体部を持ち、その上端部には上記回転軸7を保持する回転軸穴31が形成されている。又、その下端部には、摺動可能に一対の接地ステー4,4を挟持すべく、接地ステー取付け溝32、接地ステー取付けネジ8用の貫通穴33と取付けネジ穴34が形成されている。
【0022】
接地ステー4の接地ステー支持体3への取付け側の先端部には、接地ステー取付け穴41が形成されると共に、該取付け穴41を中心に、円周部42と、該円周部42に接続して接地ステー4の長手方向に対し一定の角度を持ってなる直線部43が形成されている。これにより、一対の接地ステー4,4は上記接地ステー取付け溝32の底面と前記直線部43が当接することで、一定の開き角度で先広がりに展開されることができる。又、反対側の先端部には、スタンド1が地面に対して動くのを防ぐために、ゴム等でできた接地部44が固着されている。
【0023】
更に、接地ステー支持体3には、角度調整ネジ11の先端が本体支柱2の下端に当接する位置に、前記角度調整ネジ11を螺入するための角度調整用ネジ穴35が螺設されている。角度調整ネジの螺入度により、本体支柱2と接地ステー4の傾斜角度を調整できるので、接地部44からペダル軸91までの高さが任意に設定できる。
【0024】
図3、図5は本実施形態に係るスタンド1を自転車から外して携帯する時の、折り畳んだ収納状態を示す図であり、図2の使用状態から図3の収納状態に折り畳む時は、先ず、クランク先端受金5を本体支柱2の内側に押し当て、次に、V字状に開いている接地ステー4,4を平行に揃えた後、回転させて本体支柱2の内側に押し込めば収納完了する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の自転車用スタンド1の用途は、ロードレーサータイプの自転車や、車体構造によりスタンドの取り付け不可能な自転車等に幅広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】 本願発明の自転車用スタンド1の実地例を自転車に装着して、自転車を立てて駐輪した状態を示す斜視図である。
【図2】 本願発明の実施例の完成組立状態の斜視図である。
【図3】 本願発明の実施例の折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【図4】 本願発明のスタンドを分解した斜視図である。
【図5】 図3に於ける A−A断面図である。
【図6】 従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 本発明のスタンド
2 本体支柱
21 ペダル軸挿入溝
22 ピン取付け穴
23 回転軸取付け穴
3 接地ステー支持体
31 回転軸穴
32 接地ステー取付け溝
33 ネジ用貫通穴
34 取付けネジ穴
35 角度調整用ネジ穴
4 接地ステー
41 接地ステー取付け穴
42 円周部
43 直線部
44 接地部
5 クランク先端受金
51 先端受金の主体部
52 当り部
53 クランク裏受部
54 ピン貫通穴
6 ピン
7 回転軸
8 接地ステー取付けネジ
9 ペダル
91 ペダル軸
10 クランク
11 角度調整ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車と別体の自転車用スタンドにおいて、自転車のクランクに対して、ペダル側の先端部から長手方向に挿抜自在に外嵌するチヤンネル形状の本体支柱2を具備し、前記本体支柱2の挿抜側の端部中央には、前記端部に開放し且つペダル軸91に外嵌するペダル軸挿入溝21が形成され、前記本体支柱2の内側には前記ペダル軸挿入溝21と共にクランク先端部分を保持するクランク先端受金5が付いている。
一方、前記本体支柱2のペダル軸挿入溝21の形成側と反対側の端部には、使用時には略V字状に拡がり、不使用時には折り畳み可能な一対の接地ステー4、4が取り付けられた接地ステー支持体3が前記本体支柱2の内側に収納できるべく回動自在に装着されている。
以上の構成で成る自転車用スタンド。
【請求項2】
請求項体1に記載の自転車用スタンドにおいて、
クランク先端部分を保持する上記クランク先端受金5が本体支柱2の内側に折り畳み可能に装着された自転車用スタンド。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載の自転車用スタンドにおいて、
上記本体支柱2と上記接地ステー支持体3とで作る開き角度が、上記本体支柱2または上記接地ステー支持体3のどちらか一方に螺設された角度調整ネジ11により、必要に応じて調整可能である構成の自転車用スタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−126152(P2010−126152A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335883(P2008−335883)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(505410818)