説明

自転車走行練習器

【課題】 老人、婦人、小児でも容易に乗降でき、小車輪径の自転車でも円滑に走行練習ができ、安全、安価、小型に製作でき、使用及び格納に便利な自転車走行練習器を提供する。
【解決手段】 フレーム10、10に平行に配置した少なくとも4個の小径の遊転ローラー20のうち、前端ローラーと後端ローラーを、他のローラーより高く配置すると共に、他のローラー間を、小径のため、自転車の車輪のタイヤに喰い込まない間隔に形成した2台のローラー台1、2のうち、ローラー台1に、前輪31を電動機311により駆動回転できるようにした自転車30の前輪31をのせ、別のローラー台2に、自転車30の後輪32をのせ、ペダル33を回動することにより、後輪32を自力で回転すると共に、前輪31を電動機により駆動回転して、自立走行練習ができるようにしたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車の前輪と後輪とを、それぞれローラーの上にのせて、ペダルを回動することにより、前記ローラーを回転させて、自転車をローラー上に、自力で自立走行させる練習ができるようにした自転車走行練習器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自転車走行練習器は、実公開平2−77060号公報の図1及び図3に示すように、1個の前輪のせロール2上に自転車の前輪をのせ、1対の後輪のせロール3、3に後輪を狭着するようにのせて、ペダルを回動することにより、後輪のせロール3、3を回転させると共に、ベルト10の伝動により前輪のせロール2を従動させて、自力による自転車の自立走行練習ができるように装置されていた。
しかしながら、従来の自転車走行練習器は、前輪を1個のローラー上にのせ、後輪を2個のローラーの間に狭着するようにのせるため、ローラー径を約100ミリメートル以上の大径にする必要があり、そのため自転車をのせた場合、乗降が困難になる欠点があった。また、従来の自転車走行練習器は、主として、26インチ、27インチの車輪径の自転車に使用されていたため、車輪径が24インチ、20インチ又は16インチ等の小径の車輪径の自転車をのせるためには、前輪のせロールの位置、1対の後輪間の間隔、ベルト長さ等をその都度変更しなければ使用できない欠点があった。
そこで、本発明者は、前輪のせローラー径、後輪のせローラー径を小さく形成して前記欠点に対応することを検討したが、ローラー径を乗降容易な約40ミリメートル以下に形成すると、前輪のせローラー、後輪のせローラーは、いずれも、自転車に乗車した場合、車輪タイヤの喰い込みが大きく走行困難になることが判明した。
【特許文献1】実公開平2−77060号公報
【特許文献1】特公昭50−71425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前輪のせローラー径、後輪のせローラー径が小さく、老人、婦人、小児でも容易に乗降して、使用できるようにした自転車走行練習器を提供するものである。
また、本発明は、小車輪径の自転車でも容易に走行練習ができるようにした自転車走行練習器を提供するものである。
さらに、本発明は、安全で、安価、小型に製作でき、使用及び格納に便利な自転車走行練習器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明自転車走行練習器は、上記課題を達成するため、図示するように、フレーム10、10に平行に配置した少なくとも4個の遊転ローラー20のうち、前端のローラー20(1)の頂面と後端のローラー20(2)の頂面とを、他のローラー20(3)、20(4)、20(5)の頂面より高く配置して、ローラー20にのせられた自転車30の車輪31又は32の回転に伴って、車輪31又は32が前端のローラー20(1)又は後端のローラー20(2)を乗りこえてはみ出ないようにすると共に、前端のローラー20(1)と後端のローラー20(2)とを除く他の複数のローラー20(3)、20(4)、20(5)を乗者が乗ったときの車輪31又は32のタイヤがローラー20(3)、20(4)、20(5)に喰い込まない間隔に形成した2台のローラー台1、2を設けて、1台のローラー台1に、前輪31を電動機311により駆動回転できるようにした自転車30の前輪31をのせ、別の1台のローラー台2に、自転車30の後輪32をのせられるように、設置できるようにすると共に、乗者が地面(床面)に両足が着く範囲内になるように、前輪31をのせたローラー径と、後輪32をのせたローラー径とを小径に形成して、ペダル33を回動することにより、後輪32を自力で回転すると共に、前輪31を電動機により駆動回転して、自立走行練習ができるようにしたものである。
本発明において、遊転ローラーのうち、前端ローラーと後端ローラーとは、自転車の車輪が乗りこえないものであれば、ローラー径の大小は関係ないが、ローラー径は小径であることが好ましい。遊転ローラーのうち、前端ローラーと後端ローラーとを除く他のローラー(以下、中間ローラーという。)は、自転車の車輪をのって乗者が乗降できるようにするため、ローラー径は小径にすることが必要で、ローラー径は外径40ミリメートル以下から選ばれることが好ましい。
また、中間ローラーの相互の間隔は、乗者が乗ったとき、車輪タイヤがローラーに喰い込まない間隔にする必要があり、乗者の体重や車輪径やタイヤ構造により間隔距離は変化するが、通常、約30ミリメートル以下が望ましい。
前輪を電動機により駆動回転できるようにした自転車は、ペダルを回動してペダルの負荷により電動機を起動するいわゆる電動自転車のほか、ペダルの回動と無関係に前輪駆動の電動機が起動できるようにした自転車も含まれる。
上記自転車は、前輪は電動機により駆動回転して前輪のせローラー台を遊転させるが、後輪は自力によるペダル回動により後輪のせローラー台を遊転させて自立走行練習ができることになる。
【発明の効果】
【0005】
本発明自転車走行練習器は、少なくとも4個の遊転ローラーを配置したローラー台2台にそれぞれ自転車の前輪と後輪とをのせ、後輪を乗者が自力でペダル回動すると同時に、前輪を電動機により駆動回転すれば、自転車は自立走行の練習ができ、また、ペダル回動は乗者が自力のみで自立走行できるので、全身運動と共に、平衡感覚を訓練できるという他の健康機器にない利点を有する。
また、本発明自転車走行練習器は、地面(床面)に近い複数の小径の中間ローラー上に自転車の車輪がのるので段差が小さく、老人、婦人、小児でも気軽に使用でき、また、2台のローラー台の配置により自転車の前輪と後輪の間隔が自由に変更できるので、小径車輪の自転車でも走行練習や健康機器として容易に使用できる利点がある。
さらに、本発明自転車走行練習器は、格納や運搬移動が便利で、また、構造簡単で量産可能なため安価に製作できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明自転車走行練習器は、同一構造の2台のローラー台を備えている。各ローラー台は、1対のフレームと5組の同一構造の軸棒付き遊転ローラー(軸受、カラー、座金及びナットを含む)を備えている。
【実施例1】
【0007】
本発明自転車走行練習器が図1乃至図5に示されている。本発明実施例1の自転車走行練習器は、同一構造の2台のローラー台1、2を備え、各ローラー台1又は2は、1対のフレーム10と5組の同一構造の遊転ローラー20からなる。
各フレーム10は、各遊転ローラー20の軸棒21を貫通する貫通孔11が穿設されている。
遊転ローラー20は、1組の前端遊転ローラー20(1)と1組の後端遊転ローラー20(2)と3組の中間遊転ローラー20(3)、20(4)、20(5)からなる。
遊転ローラー20(1)及び20(2)の各頂面は、中間遊転ローラー20(3)、20(4)及び20(5)の各頂面より高い位置に設けられるように、図2に示すように、各フレーム10の貫通孔11(1)、11(2)、11(3)、11(4)、11(5)が穿設され、自転車の車輪径26インチ〜16インチが乗りこえられないようにしている。
また、中間遊転ローラー20(3)と20(4)との間隔、20(4)と20(5)との間隔は、自転車の車輪タイヤが喰い込まない間隔になるように、貫通孔11(3)、11(4)、11(5)が穿設されている。
各遊転ローラー20は、図3及び図4に示すように、軸受22の外輪が嵌着できる鉄製パイプ23と、軸受22の内輪に嵌入する軸棒21と、軸受22の内輪とフレーム10との間に嵌入するカラー24とフレーム10とナット25の間に嵌入する座金251と、軸棒21の両端の螺刻面に螺着するナット25とを備えている。
本発明の構成は上述のとおりであるので、図5に示すように、2台のローラー台1、2のうち、1台のローラー台1に自転車30の前輪31をのせ、自転車30の後輪32を別の1台のローラー台2にのせて、各中間遊転ローラー20(3)〜20(5)に前輪31及び後輪32のタイヤ踏面がくるようにすれば、ペタル33の回動による後輪32の自力回転と共に、前輪31の電動機311の起動により前輪31も回転するので、自転車30は自立走行練習ができることになる。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明自転車走行練習器は、構造簡単、小型軽量、安価に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明実施例の平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】図1のC−C線端面図である。
【図5】本発明実施例の使用状態説明図である。
【符号の説明】
【0010】
1、2 ローラー台
10 フレーム
20 遊転ローラー
20(1) 前端遊転ローラー
20(2) 後端遊転ローラー
20(3) 他の遊転ローラー(中間ローラー)
20(4) 他の遊転ローラー(中間ローラー)
20(5) 他の遊転ローラー(中間ローラー)
30 自転車
31 車輪(前輪)
311 前輪駆動電動機
32 車輪(後輪)
33 ペタル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに平行に配置した少なくとも4個の遊転ローラーのうち、前端のローラーの頂面と後端のローラーの頂面とを、他のローラーの頂面より高く配置して、ローラーにのせられた自転車の車輪の回転に伴って、車輪が前端のローラー又は後端のローラーを乗りこえてはみ出ないようにすると共に、前端ローラーと後端ローラーとを除く他の複数のローラーを乗者が乗ったときの車輪タイヤがローラーに喰い込まない間隔に形成した2台のローラー台を設けて、1台のローラー台に、前輪を電動機により駆動回転できるようにした自転車の前輪をのせ、別の1台のローラー台に、自転車の後輪をのせられるように、設置できるようにすると共に、乗者が地面(床面)に両足が着く範囲内になるように、前輪をのせたローラー径と、後輪をのせたローラー径とを小径に形成して、ペダルを回動することにより、後輪を自力で回転すると共に、前輪を電動機により駆動回転して、自立走行練習ができるようにしたことを特徴とする自転車走行練習器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−301268(P2007−301268A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134736(P2006−134736)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(391042232)ワタナベ株式会社 (41)