説明

自転車駐輪用プロテクタ

【課題】スタンドのない自転車を倒して駐輪させる際に、地面に触れる部分を防護する自転車駐輪用プロテクタを開発する。この際、着脱が簡便且つ短時間ででき、軽量で嵩張らず競技中にも容易に携行可能で、繰り返しの使用に耐える構成と素材のものとする。
【解決手段】いずれも素材が伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂で、三角形状の基板に2つに袋状の被覆部と1つの水かき状被覆部を持つハンドル・ブレーキ用プロテクタ1と、ペダルの側面部を密着被覆できる袋状のペダル用プロテクタ2からなる自転車駐輪用プロテクタを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、競技用自転車のようなドロップハンドルを有しスタンドを有しない自転車を駐輪させる際に、地面あるいは立体物の面に触れるハンドルグリップの外側部あるいは端部とブレーキレバーの下端部を密着被覆できる伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂を素材としたハンドル・ブレーキ用プロテクタと、同様に地面あるいは立体物の面に触れるペダルの側面部を密着被覆できる伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂を素材としたペダル用プロテクタからなることを特徴とする自転車駐輪用プロテクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
競技用自転車に代表される、ドロップハンドルを有し、スタンドを有しない自転車を駐輪させる際には、図16に見るように、自転車BY全体を地面Gに寝かせるように倒して駐輪するのが通常の方法である。あるいは、壁面や電柱(図示せず)などの立体物の面のあるところではそのような面に立てかけることも可能であるが、競技などで一時期自転車BYを駐輪させておく場合には、図16のように地面Gに寝かせる形にするケースが多い。
【0003】
この際、多くの場合は、ギアGR等の走行用メカニズムがある左側面側(搭乗者から見れば右側)が下になるのを避け、右側面側(搭乗者から見れば左側)が下になるように置かれる。なお、この場合には、自転車BYの前輪FCのある方向が前で後輪RCのある方向が後になる。搭乗者(図示せず)は前向きに乗るので、ギアGR等の走行用メカニズムある方が左側面側になり、ない方が右側面側になる。搭乗者自身は、ギアGR等の走行用メカニズムある方を右側、ない方を左側として意識するが、ここでは図面の原則に従って、ギアGR等の走行用メカニズムある方を左側面側、ない方を右側面側として以降の記述を進めるものとする。
【0004】
自転車BYがこのように地面Gに載置されると、前輪FC、後輪RCのタイヤt1、t2は当然地面Gに接触するが、これ以外に地面Gに接触する接触箇所Tが通常は3ヶ所生じる。すなわち図16に示すハンドルグリップHGの外側部HGa、ブレーキレバーBLの下端部BLa、そしてペダルPの側面部Paである。図16aは自転車BYの右側面側(搭乗者から見ると左側)を下にして地面Gに載置しているので、ハンドルグリップHGの外側部HGa、ブレーキレバーBLの下端部BLa、ペダルPの側面部Paはすべて右側面側(搭乗者から見ると左側)の部品となる。
【0005】
地面Gが草地等の場合には接触箇所TとなるハンドルグリップHGの外側部HGa、ブレーキレバーBLの下端部BLa、ペダルPの側面部Paに傷が付くことはあまりないが、地面Gがアスファルトやコンクリート、敷石や岩盤、砂利道など荒れた表面をもっている場合には、ハンドルグリップHGの外側部HGa、ブレーキレバーBLの下端部BLa、ペダルPの側面部Paに傷が付く可能性がある。
【0006】
競技用自転車などのドロップハンドルを有し、スタンドを有しない自転車は一般に高価であり、また強い愛着を持つユーザーも多い。こういう人の中には、上記接触箇所Tに傷が付くのを嫌う人も当然いるが、接触箇所Tを防護する方法がないので、仕方なく図16のような状態で駐輪させているのが現状である。
【0007】
従来技術としては、下記特許文献1に「自転車用スタンド」が開示されている。しかしながら、競技においては、走行中にこのようなスタンドを携行することは好まれない。嵩張り、かつある程度の重量もあるので、競技タイムに影響するからである。また、下記特許文献2〜4に示すように、ハンドル部分を搭乗者の手まで含めて風雨や冷気から守るためのハンドルカバーは多数存在するが、これは着脱に時間がかかる。また、走行中に外して携行することを前提とした構成ではないので重く嵩張り、実際上は競技における携行は不可能である。さらに、図16のような駐輪方法の場合には、ペダルPの側面部Paも接触部分Tとなるが、この部分を防護するプロテクタも従来技術の中には見出せなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−126152号公報
【特許文献2】特開2010−228588号公報
【特許文献3】特開2008−37172号公報
【特許文献4】特開2005−35503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、発明が解決しようとする課題は次のとおりである。
<課題1>
ドロップハンドルを有しスタンドを有しない自転車を駐輪させる際に、地面あるいは壁面などの立体物の面等に触れるハンドルグリップの外側部、ブレーキレバーの下端部、ペダルの側面端部の3ヶ所を地面等との接触から防護する自転車駐輪用プロテクタを開発する。
<課題2>
上記自転車駐輪用プロテクタは、着脱が簡便且つ短時間ででき、携行の際も軽量で嵩張らず、競技中にも容易に携行可能なものとする。
<課題3>
上記自転車駐輪用プロテクタは、平滑ではない面を有するコンクリート面やアスファルト面、あるいは凹凸の激しい敷石面や岩盤面、さらには小石や砂利が敷かれた路面等荒れた路面や壁面等に接触しても容易に摩損したり機能が低下せず、繰り返しの使用に耐え得る素材と構成のものとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、下記に示す解決手段を提供するものである。
<解決手段1>
ドロップハンドルを有しスタンドを有しない自転車を駐輪させる際に、地面あるいは立体物の面に触れるハンドルグリップの外側部あるいは端部とブレーキレバーの下端部を密着被覆できる伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂を素材としたハンドル・ブレーキ用プロテクタと、同様に地面あるいは立体物の面に触れるペダルの側面部を密着被覆できる伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂を素材としたペダル用プロテクタからなることを特徴とする自転車駐輪用プロテクタ。
<解決手段2>
ハンドル・ブレーキ用プロテクタが、三角形状の基板の3つの角部のうちの2つの角部に袋状の第1被覆部と第2被覆部を有し、残る1つの角部が水かき状の第3被覆部として形成されていることを特徴とする解決手段1に記載の自転車駐輪用プロテクタ。
<解決手段3>
ハンドル・ブレーキ用プロテクタが、第1被覆部と第2被覆部と第3被覆部及び第1被覆部と第3被覆部を連結する連結部分及び第2被覆部と第3被覆部を連結する連結部分の素材が他の部分より厚く形成されていることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2に記載の自転車駐輪用プロテクタ。
<解決手段4>
ペダル用プロテクタが、開口部を有する袋状で、開口部の形状が一端が幅狭く、他端が幅広く形成されており、素材の厚さが1mmから5mmの範囲内であることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2あるいは解決手段3に記載の自転車駐輪用プロテクタ。
<解決手段5>
ペダル用プロテクタが、開口部を有する袋状で、開口部の形状が両端が同一の幅に形成されており、素材の厚さが1mmから5mmの範囲内であることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2あるいは解決手段3に記載の自転車駐輪用プロテクタ。
【発明の効果】
【0011】
本発明の解決手段1の発明によれば、ドロップハンドルを有しスタンドを有しない自転車を駐輪させる際に、地面あるいは立体物の面に触れるハンドルグリップの外側部あるいは端部とブレーキレバーの下端部を密着被覆できる伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂を素材としたハンドル・ブレーキ用プロテクタと、同様に地面あるいは立体物の面に触れるペダルの側面部を密着被覆できる伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂を素材としたペダル用プロテクタからなるので、タイヤ以外の地面あるいは壁面等の立体物の面に接触する接触箇所を確実に防護することが可能である。
【0012】
また、ハンドル・ブレーキ用プロテクタもペダル用プロテクタも素材が伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂なので、着脱が容易で着脱に要する時間も短く、さらに繰り返しの使用にも耐え得るものである。また、嵩張らず軽量であるので、競技中にも携行することが可能である。ハンドル・ブレーキ用プロテクタはペダル用プロテクタに比較するとややサイズが大きいが、素材が伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂なので、折畳んで携行することも可能である。
【0013】
本発明の解決手段2の発明によれば、ハンドル・ブレーキ用プロテクタが、三角形状の基板の3つの角部のうちの2つの角部に袋状の第1被覆部と第2被覆部を有し、残る1つの角部が水かき状の第3被覆部として形成されているので、装着の際には袋状の第1被覆部と第2被覆部をハンドルグリップの端部とブレーキレバーの頭部に被覆させ、水かき状の第3被覆部をブレーキレバーの下端部に被覆させるだけで良いので極めて合理的であり、装着に要する時間も極く短時間である。また、外す場合も3ヶ所の被覆部を手で引っ張って外すだけでよいので極めて簡便で短時間に行える。
【0014】
本発明の解決手段3の発明によれば、第1被覆部と第2被覆部と第3被覆部及び第1被覆部と第3被覆部を連結する連結部分及び第2被覆部と第3被覆部を連結する連結部分の素材が他の部分より厚く形成されているので、地面あるいは壁面等の立体物の面に接触する部位が厚く構成されており、損傷による磨耗に良く耐える。また、着脱の際にも厚みがあるので指がかかりやすく、着脱が容易に行える。さらに、ハンドル・ブレーキ用プロテクタを左右どちらのハンドル・ブレーキ部分に用いても地面あるいは壁面等の立体物の面に接触する部位が厚みがあるので損傷が表面だけに押えられる。
【0015】
本発明の解決手段4の発明によれば、ペダル用プロテクタが、開口部の形状が一端が幅狭く、他端が幅広く形成された袋状であるので、主たるペダルメーカーの製品の殆どに適合する形状であり、適用範囲が広い。また、素材の厚さが1mmから5mmの範囲内であるので、着脱させる際にも容易であり、且つ地面あるいは壁面等の立体物の面との接触による磨耗や損傷にも充分に耐え得るものである。
【0016】
本発明の解決手段5の発明によれば、ペダル用プロテクタが、開口部の形状が両端が同一の幅に形成された袋状であるので、前後を回転対称に形成しているペダルメーカーの製品の殆どに適合する形状であり、適用範囲が広い。また、素材の厚さが1mmから5mmの範囲内であるので、着脱させる際にも容易であり、且つ地面あるいは壁面等の立体物の面との接触による磨耗や損傷にも充分に耐え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)ドロップハンドルを有しスタンドを有しない自転車の右側面図である。(b)ドロップハンドルを有しスタンドを有しない自転車の平面図である。
【図2】(a)本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタを右側面側を下にして地面に載置した状態のドロップハンドルを有しスタンドを有しない自転車に使用した状態を示す説明図である。(b)図2aの要部の拡大図で、本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタのハンドル・ブレーキ用プロテクタをハンドルグリップの外側部とブレーキレバーの下端部に使用した状態を示す説明図である。(c)図2aの要部の拡大図で、本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタのペダル用プロテクタをペダルの側面部に使用した状態を示す説明図である。
【図3】(a)本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタのハンドル・ブレーキ用プロテクタの左側面図である。 (b)本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタのハンドル・ブレーキ用プロテクタの右側面図である。
【図4】(a)本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタのハンドル・ブレーキ用プロテクタの底面図である。 (b)本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタのハンドル・ブレーキ用プロテクタの正面図である。 (c)図3bのA−A線断面図である。 (d)図3bのB−B線断面図である。 (e)図3bのB´−B´線端面図である。
【図5】(a)本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタのハンドル・ブレーキ用プロテクタの左側から見た外観斜視図である。 (b)本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタのハンドル・ブレーキ用プロテクタの右側から見た外観斜視図である。
【図6】(a)本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタのハンドル・ブレーキ用プロテクタを右側面側のハンドルグリップ部分とブレーキレバー部分に用いた状態を説明するための説明図である。 (b)右側面側のハンドルグリップ部分とブレーキレバー部分の外観を説明するための説明図である。 (c)本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタのハンドル・ブレーキ用プロテクタを右側面側のハンドルグリップ部分とブレーキレバー部分に用いるためにブレーキレバーを若干引いた状態にすることを説明するための説明図である。
【図7】(a)本発明の実施例1のペダル用プロテクタの使用状態を説明する説明図である。 (b)図7aのペダルの平面形状を説明するための説明図である。 (c)図7aのペダルの右側面形状を説明するための説明図である。
【図8】(a)本発明の実施例1のペダル用プロテクタの使用状態を説明する説明図である。 (b)図8aのペダルの平面形状を説明するための説明図である。 (c)図8aのペダルの右側面形状を説明するための説明図である。
【図9】(a)本発明の実施例1のペダル用プロテクタの使用状態を説明する説明図である。 (b)図9aのペダルの平面形状を説明するための説明図である。(c)図9aのペダルの右側面形状を説明するための説明図である。
【図10】(a)本発明の実施例1のペダル用プロテクタの平面図である。 (b)本発明の実施例1のペダル用プロテクタの右側面図である。 (c)本発明の実施例1のペダル用プロテクタの左側面図である。(d)図10cのC−C線断面図である。
【図11】(a)本発明の実施例1のペダル用プロテクタの正面図である。(b)図10bのD−D線断面図である。(c)図10bのE−E線断面図である。(d)図10bのF−F線断面図である。(e)本発明の実施例1のペダル用プロテクタの外観斜視図である。
【図12】(a)本発明の実施例2のペダル用プロテクタの使用状態を説明する説明図である。 (b)図12aのペダルの平面形状を説明するための説明図である。(c)図12aのペダルの右側面形状を説明するための説明図である。
【図13】(a)本発明の実施例2のペダル用プロテクタの平面図である。 (b)本発明の実施例2のペダル用プロテクタの右側面図である。 (c)本発明の実施例2のペダル用プロテクタの左側面図である。(d)図13cのG−G線断面図である。
【図14】(a)本発明の実施例2のペダル用プロテクタの正面図である。(b)図13bのH−H線断面図である。(c)図13bのI−I線断面図である。(d)図10bのJ−J線断面図である。(e)本発明の実施例2のペダル用プロテクタの外観斜視図である。
【図15】(a)本発明の実施例2の自転車駐輪用プロテクタを右側面側を下にして地面に載置した状態のドロップハンドルを有しスタンドを有しない自転車に使用した状態を示す説明図である。(b)図15aの要部の拡大図で、本発明の実施例2の自転車駐輪用プロテクタのハンドル・ブレーキ用プロテクタをハンドルグリップの外側部とブレーキレバーの下端部に使用した状態を示す説明図である。(c)図15aの要部の拡大図で、本発明の実施例2の自転車駐輪用プロテクタのペダル用プロテクタをペダルの側面部に使用した状態を示す説明図である。
【図16】(a)ドロップハンドルを有しスタンドを有しない自転車を、右側面側を下にして地面に載置した状態を示す説明図である。(b)図16aのハンドルグリップの外側部とブレーキレバーの下端部の地面への接触部分を示す拡大図である。(c)図16aのペダルの側面部の地面への接触部分を示す拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態を、以下に、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1の自転車駐輪用プロテクタPR1は、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1とペダル用プロテクタ2から構成されている。ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1の構成を図3〜図5に、ペダル用プロテクタ2の構成を図10、図11に示す。
【0020】
<ハンドル・ブレーキ用プロテクタの構成と作用>
ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1は、伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂を素材とするが、これらと同等の性質を有する素材を用いてもかまわない。ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1は、図3〜図5に示すように、三角形状の基板10の3つの角部A1、A2、A3のうちの角部A1に袋状に形成された第1被覆部11を、角部A2に袋状に形成された第2被覆部12を有し、残る1つの角部A3に水かき状に形成された第3被覆部13を有するものとして構成されている。
【0021】
さらに、第1被覆部11と第2被覆部12と第3被覆部13の夫々の外側部分及び第1被覆部11と第3被覆部13を連結する連結部分14及び2被覆部12と第3被覆部13を連結する連結部分15の素材が他の部分より厚く形成されている。この状態は、図4c、図4d、図4eに示すとおりである。図4c、図4d、図4eには連結部分15を示すが、連結部分14も全く同様の構成である。
【0022】
所謂ドロップハンドルのハンドルグリップHGとブレーキレバーBLは、図6bに示すような形状である。ここで、自転車BYが地面Gに載置された場合(図2参照)、あるいは壁面(図示せず)等の立体物の面に立てかけられた場合に接触部分TとなるのはブレーキレバーBLの下端部BLaとハンドルグリップHGの外側部HGaの2ヶ所である。なお、自転車BYは前述のように右側面側(搭乗者から見れば左側)を下にして載置される場合が殆どであるので、ここでは右側面側のハンドルグリップHGとブレーキレバーBLを示している。
【0023】
図6aはハンドルグリップHGとブレーキレバーBLにハンドル・ブレーキ用プロテクタ1を用いた状態を示している。ここで、袋状に形成された第2被覆部12がハンドルグリップHGの端部HGbに被せられ、同じく袋状に形成された第1被覆部11がブレーキレバーBLの頭部BLbに被せられ、水かき状に形成された第3被覆部13はブレーキレバーBLの下端部BLaに被せられている。
【0024】
地面G等に接触する接触箇所Tは、ブレーキレバーBLの下端部BLaとハンドルグリップHGの外側部HGaであるが、この2ヶ所を被覆する部分、すなわち、ブレーキレバーBLの下端部BLaに対しては第3被覆部13の素材が、ハンドルグリップHGの外側部HGaに対しては、第2被覆部12と第3被覆部13を連結する連結部分15の素材が他の部分より厚めに形成されているので、地面G(図2参照)等の状態が荒れていた場合、表面に損傷を受けることがあっても内部にまでは及ばず、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1の機能は保持される。
【0025】
なお、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1においては、これ以外の部分でも、第1被覆部11と第2被覆部12において、やはり素材が他の部分より厚めに形成されているが、これには次のような意味がある。すなわち、第2被覆部12はハンドルグリップHGの端部HGbを覆うものであるが、車種によってはドロップハンドルの形状自体が異なり、ハンドルグリップHGの端部HGbが接地(雪面)するものもある。すなわちハンドルグリップHGの端部HGbが接触箇所Tとなるものもある。
【0026】
したがって、こういう車種の場合には、素材が他の部分より厚めに形成されている第2被覆部12がハンドルグリップHGの端部HGbを被覆保護することによりハンドルグリップHGの端部HGbが損傷を免れ、また第2被覆部12自体の損傷も表面にのみとどまる。
【0027】
また、ブレーキレバーBLの頭部BLbを被覆する第1被覆部11の素材が他の部分より厚めに形成されている理由は以下のとおりである。すなわち、前述のように自転車BYを地面Gに倒して駐輪する場合(図2参照)には、ギアGR等のメカニズムのある側を下にするのが避けられるので、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1は殆どの場合、右側面側(搭乗者から見れば左側)のハンドルグリップHGとブレーキレバーBLに対して用いられる。
【0028】
この場合には、ブレーキレバーBLの頭部BLbを被覆する第1被覆部11の役割は、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1を安定的にハンドルグリップHGとブレーキレバーBLに係止させる補助的役割にすぎないので、これだけであれば第1被覆部11の素材を他の部分より厚めに形成しておく理由は余りないことになる。
【0029】
しかしながら、中には左側面側(搭乗者から見れば右側)を下にして地面Gに倒して駐輪する搭乗者も僅かながら見られるし、地形的状況によっては左側面側(搭乗者から見れば右側)を下にして地面Gに倒して駐輪する方が簡単な場合もある。例えば、搭乗者から見て右側が高く、左側が低くなっている斜面地に倒して駐輪する場合などである。あるいは、左側面側(搭乗者から見れば右側)に、立てかけるのにちょうど良い壁面があったりする場合である。
【0030】
このような場合には、左側面側(搭乗者から見れば右側)のハンドルグリップhgとブレーキレバーbl(図1、図2参照)に対してハンドル・ブレーキ用プロテクタ1を用いなければならない。この場合には、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1の前後を逆転させ、第2被覆部12をブレーキレバーblの頭部blbに被せ、第1被覆部11をハンドルグリップhgの端部hgbに被せることになる。
【0031】
したがって、第1被覆部11の素材が薄く、しかもハンドルグリップhgの端部hgbが接触部分Tとなる場合には、地面G等が荒れた状態の場合、損傷が表面だけではすまず、穴があいたり、甚だしい場合には断裂したりしてハンドル・ブレーキ用プロテクタ1の機能自体が使用不能となってしまう。このような事態を避けるために、通常は右側面側(搭乗者から見れば左側)のブレーキレバーBLの頭部BLbに被せられる第1被覆部11の素材も他の部分より厚めにしておく必要があるのである。
【0032】
なお、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1が左側面側(搭乗者から見れば右側)のハンドルグリップhgとブレーキレバーblに被せられた場合には、ハンドルグリップhgの外側面hgaを覆うのは第1被覆部11と第3被覆部13を連結する連結部分14である。通常はこの外側面hgaが接触部分Tとなるので、やはりこの部分の素材も他の部分の素材より厚めに形成しておく必要があるのである。
【0033】
また、具体的な厚さに関してであるが、素材の性質にもよるが、第1被覆部11と第2被覆部12と第3被覆部13の夫々の外側部分及び第1被覆部11と第3被覆部13を連結する連結部分14及び第2被覆部12と第3被覆部13を連結する連結部分15の厚さは、最小値が1mm、最大値は5mm程度であると考えられる。
【0034】
これらの部分の厚さが1mmを下回ると繰り返しの使用によって損傷が甚だしくなり、場合によっては穴があいたり断裂したりする危険がある。また逆に、これらの部分の厚さが5mmを上回ると、被せる動作を行う場合に硬すぎて扱いにくいものとなってしまう。実際の使用上にては、2mm〜4mm程度の厚さが適切と考えられる。
【0035】
なお、これらの場所以外の部分の厚さは、やはり素材の性質にもよるものの、0.5mm〜3mm程度の範囲が適切であろうと思われる。ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1は着脱の場合に全体を伸ばして着脱させるので、厚さが0.5mmを下回ると小さな傷がついても断裂する危険があるし、逆に厚さが3mmを上回ると、全体が硬くなって着脱の際に充分に伸ばすことができず、着脱操作が困難となる。
【0036】
なお、以上のことには、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1の形状も関係してくる。実施例1のハンドル・ブレーキ用プロテクタ1は、図3bに見るように、基板10が略二等辺三角形状をなしている。
【0037】
すなわち、基板10の第1被覆部11のある角部A1と第3被覆部13のある角部A3との間の距離、即ち連結部分14の距離をD1とし、第2被覆部12のある角部A2と第3被覆部13のある角部A3との間の距離、即ち連結部分15の距離をD2とし、第1被覆部11のある角部A1と第2被覆部12のある角部A2との間の距離、即ち連結部分16の距離をD3とすると、
D1=D2<D3
となっている。また、連結部分14と連結部分15のなす角度をθとすれば、図3bに見るハンドル・ブレーキ用プロテクタ1においては、
θ>90°
となっている。
【0038】
この理由は次のとおりである。すなわち、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1を、自転車BY(図1b参照)の右側面側(搭乗者から見て左側)のハンドルグリップHGとブレーキレバーBLにも、左側面側(搭乗者から見て右側)のハンドルグリップhgとブレーキレバーblにも、どちらにも用いることができるようにするということは、すなわちハンドル・ブレーキ用プロテクタ1の連結部分14の距離D1と連結部分15の距離D2を等しくするということに他ならない。このようにしないと、前後を逆転して用いることができなくなってしまう。
【0039】
通常のドロップハンドルの自転車BYの場合、図6bに見るように、ブレーキレバーBLの頭部BLbとブレーキレバーBLの下端部BLaの間の距離をd1、ハンドルグリップHGの端部HGbとブレーキレバーBLの下端部BLaの間の距離をd2とすると、距離d1と距離d2の間には、
d1<d2
という関係がある。
【0040】
しかし、図6cに見るように、ブレーキレバーBLを若干引く(α方向に動かす)ことによって、距離d1と距離d2を等しくすることができるので、この状態でハンドル・ブレーキ用プロテクタ1を被せることにより、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1の距離D1は距離d1に一致し、距離D2は距離d2に一致し、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1は安定的にハンドルグリップHGとブレーキレバーBLに装着することが可能である。
【0041】
また、この状態にて、ブレーキレバーBLは戻り方向(図6cの方向β)に付勢された状態となるので、この反発力によってハンドル・ブレーキ用プロテクタ1の装着状態はさらに安定したものとなる。なお、このことは、左側面側(搭乗者から見て右側)のハンドルグリップhgとブレーキレバーblに関しても同様である。
【0042】
なお、ドロップハンドルのハンドルグリップHGとブレーキレバーBLの形状とサイズに関しては、各メーカーにおける差異はあまり見られないので、実施例1のハンドル・ブレーキ用プロテクタ1は1種類の構成で、略いかなる種類のハンドルグリップHGとブレーキレバーBLにも適合させることが可能である。
【0043】
これをさらに具体的にいうならば次のとおりとなる。すなわち、いろいろなメーカーの平均値をとってみると、図6におけるブレーキレバーBLの下端部BLaの球面の中心から頭部BLbまでの距離d1は13〜16cm程度であり、ハンドルグリップHGの端部HGbのやや内側からブレーキレバーBLの下端部BLaまでの距離d2は16〜19cm程度である。これは、距離d1、d2が人間の手の構成やサイズから決まってくる値であることを考えれば、メーカー間において余り差が生じないのは当然のことといえる。
【0044】
したがって、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1を伸ばしながらハンドルグリップHGとブレーキレバーBLに掛けていくということを考えると、ブレーキレバーBLを引くことなくそのまま掛ける場合には、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1の第1被覆部11から第3被覆部13までの距離D1は距離d1よりやや短い12cm〜15cm程度、第2被覆部12から第3被覆部13までの距離D2は距離d2よりやや短い15〜18cm程度が適切であるといえる。
【0045】
しかしながら、上述のようにブレーキレバーBLを若干引いた状態にして、距離d1、d2を等しくした状態にして掛けることを考えると、距離D1を若干伸ばし、距離D2を若干縮めて、距離D1と距離D2を等しくした状態で、距離D1=距離D2(図3b参照)が14〜16cm程度が適切な値ではないかと考えられる。
【0046】
また、ブレーキレバーBLの頭部BLbの球面の中心からハンドルグリップHGの端部HGbのやや内側までの距離d3(図6b参照)は凡そ20〜25cm程度であるので、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1の第1被覆部11から第2被覆部12までの距離D3は、やはりハンドル・ブレーキ用プロテクタ1を伸ばしながら掛けることを考えると、19〜24cm程度が適切な値となると考えられる。また、図3bにおける角度θを作図によって求めてみると、70°〜120°程度の角度となることがわかる。但し、距離d3は女性用など小サイズにつくられるものを除けば殆どが23cm前後なので、これを考えると角度θは多くの場合、図3bに示されるように鈍角になるものと考えられる。
【0047】
なお、以上の長さや角度の数値については、あくまで標準的なハンドルグリップHGとブレーキレバーBLの構成とサイズに関して述べたものであるが、標準的なハンドルグリップHGとブレーキレバーBLの構成とサイズを外れるものも少数ながら当然あり得る。こういった標準的なハンドルグリップHGとブレーキレバーBLの構成とサイズを外れるものに関しては、上記の長さや角度の数値は当然変化してくるものであることは言をまたない。
【0048】
<ペダル用プロテクタの構成と作用>
実施例1のペダル用プロテクタ2は、図10、図11に見るように、全体が袋状で平面形状(図10a参照)は正面21側がやや幅が狭く(深さが小)背面22側がやや幅が広く(深さが大)なった略長方形状であり、右側面23形状(図10b参照)は前方端(正面21側)が幅狭く(高さが小)、後方端(背面22側)が幅広く(高さが大)形成された長円形状である。左側面24側(図10c)は全面的に開口部OPとなっており、右側面23側は全面的に閉じられていて、正面21、上面25、背面22、底面26との夫々の連接部分が若干の丸みを帯びるように曲面として一体的に形成されている。なお、ペダル用プロテクタ2は、図10b、図10cに明らかなように、上下対称に形成されている。
【0049】
実施例1のペダル用プロテクタ2の素材は伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂のいずれでもよく、また、これらと同等の性質を有する他の素材を用いてもかまわない。厚さは全体が略均一で1〜5mmの範囲内の厚さとすることができる。素材の性質にもよるが、実際の製作上は、2〜4mm程度の厚さが最適と考えられる。
【0050】
実施例1のペダル用プロテクタ2は、現在競技用自転車を主体とする車体において多用されている3種類のタイプのペダルのいずれにも適合するように考えてその形状が形成されたものである。以下、図7〜図9においてその詳細を述べる。
【0051】
図7aには、実施例1のペダル用プロテクタ2を第1のタイプのペダルであるペダルP1に装着した状態を説明している。この状態は、自転車BYの右側面側(搭乗者から見て左側)のペダルP1に装着した状態を示すが、反対側のペダル(図示せず)に装着する場合には、ペダル用プロテクタ2の上下を逆にし、上面25を下に、下面26を上にし、開口部OPが右側にくるようにして装着すればよい。ペダル用プロテクタ2は既述のように上下対称に形成されているので、左右どちらの側のペダルにも同一の要領で用いることが可能である。
【0052】
ペダルP1は、平面視(図7b)で正面側が幅狭く、背面側が幅広く形成されており、また右側面視(図7c)でも正面側が尖り、背面側が膨らみがあるように形成されている。ペダル用プロテクタ2は、図7aに見るように、開口部OPである左側面24側がペダルP1の平面視における中心線CL1よりやや左に入った状態に被せられるように形成されている。したがって、一旦被せてしまえば自然に脱落するということがない。
【0053】
ペダル用プロテクタ2は、素材が伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂であるので、正面21側も背面22側もある程度変形させながらペダルP1に被せていくことができる。この際、図10cに見るようにペダル用プロテクタ2の正面21側は幅が狭く丸みをもって形成され、背面22側は幅が広く丸みをもって形成されているので、ペダルP1の形状に略適合する。したがって、被せる際の変形は最小限に留めることができる(図7c参照)。
【0054】
図8aには、実施例1のペダル用プロテクタ2を第2のタイプのペダルであるペダルP2に装着した状態を説明している。この状態は、自転車BYの右側面側(搭乗者から見て左側)のペダルP2に装着した状態を示すが、反対側のペダル(図示せず)に装着する場合には、ペダル用プロテクタ2の上下を逆にし、上面25を下に、下面26を上にし、開口部OPが右側にくるようにして装着すればよい。この点は、ペダルP1に装着させた状態(図7参照)と同様である。
【0055】
ペダルP2は、平面視(図8b)で正面側が幅狭く、背面側が幅広く形成されており、また右側面視(図8c)でも正面側がやや尖り、背面側がやや厚みがあるように形成されている。ペダル用プロテクタ2は、図8aに見るように、開口部OPである左側面24側がペダルP2の平面視における中心線CL2よりやや左に入った状態に被せられるように形成されている。したがって、一旦被せてしまえば自然に脱落するということがない。
【0056】
ペダル用プロテクタ2は、素材が伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂であるので、正面21側も背面22側もある程度変形させながらペダルP2に被せていくことができる。この際、図7に示すペダルP1に比較すると、ペダルP2の右側面視(図8c)における正面側と背面側の厚みの差があまりないので、ペダル用プロテクタ2の開口部OPの正面側をやや強く開く必要がある。このようにして装着すれば、ペダル用プロテクタ2は図8cに示すようにペダルP2の形状に略適合する。
【0057】
図9aには、実施例1のペダル用プロテクタ2を第3のタイプのペダルであるペダルP3に装着した状態を説明している。この状態は、自転車BYの右側面側(搭乗者から見て左側)のペダルP3に装着した状態を示すが、反対側のペダル(図示せず)に装着する場合には、ペダル用プロテクタ2の上下を逆にし、上面25を下に、下面26を上にし、開口部OPを右側にして装着すればよい。この点も、ペダルP1、P2に装着する場合と同様である。
【0058】
ペダルP3はペダルP1と同様で、平面視(図9b)で正面側が幅狭く、背面側が幅広く形成されており、また右側面視(図9c)でも正面側が尖り、背面側は厚みがあるように形成されている。ペダル用プロテクタ2は、図9aに見るように、開口部OPである左側面24側がペダルP3の平面視における中心線CL3よりやや左に入った状態に被せられるように形成されている。したがって、一旦被せてしまえば自然に脱落するということがない。
【0059】
ペダル用プロテクタ2は、素材が伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂であるので、正面21側も背面22側もある程度変形させながらペダルP3に被せていくことができる。この際、図10cに見るようにペダル用プロテクタ2の正面21側は幅が狭く丸みをもって形成され、背面22側は幅が広く丸みをもって形成されているので、ペダルP3の形状に略適合する。したがって、被せる際の変形は最小限に留めることができる。
【0060】
以上より明らかなように、実施例1のペダル用プロテクタ2は、現在競技用自転車を主体とする車体において多用されている3つのタイプのペダルのいずれにも適合するように構成されている。なお、サイズにおいても、やはり競技用自転車のペダルは人間の足が元になってそのサイズが一定に決まってくるので、上記3つのタイプのペダルP1、P2、P3におけるサイズの差異は、ペダル用プロテクタ2の素材の伸縮性の範囲内で吸収できる程度のものである。
【0061】
ちなみに、図7のペダルP1の長さL1は約90mm、幅W1は約58mm、図8のペダルP2の長さL2は約95mm、幅W2は約50mm、図9のペダルP3の長さL3は約90mm、幅W2は約55mmである。
【0062】
したがって、ペダル用プロテクタ2の素材の厚さを4mmとすると、ペダル用プロテクタ2の長さPL(図10a参照)は、ペダルP1、P3が抜け落ちないように設定するということを考えると、90mmに8mm(4mm×2)を足した値98mmをやや縮小して、96〜97mm程度が適切ということになる。
【0063】
これくらいの値であれば、長さL2が95mmのペダルP2にも素材の伸縮性によって無理なく被せることが可能であると考えられるが、ペダルP2用に少し大きめのサイズを造るとすれば、長さPLは95mmに8mm(4mm×2)を足した値103mmをやや縮小して、100〜102mm程度が適切ということになる。したがって、長さPLの値は96〜102mmの範囲内ということになるが、素材の厚さの変化も考えると、長さPLの値は90〜104mmの範囲内ということになる。
【0064】
次に、ペダル用プロテクタ2の幅PW(図10a参照)を考えて見る。これも基準になるのはペダルP1〜P3の幅であるが、これは、ペダルP1の幅W1は約58mm(図7)、ペダルP2の幅W2は約50mm(図8)、ペダルP3の幅W3は約55mm(図9)である。
【0065】
したがって、一番幅の広いペダルP1(W1が約58mm)に抜け落ちずに被さることを考えると、完全に被せた状態でペダル用プロテクタ2の左側面はペダルP1の中心線CL1を越えて左方に存在しないといけないので、ペダル用プロテクタ2の幅PWは、素材の厚さを4mmとした場合、ペダルP1の右側面と当接する部分において、29mm(58mmの半分)+4mm(素材の厚さ)+α(中心線C1を越えて左方に出る分)が必要となり、33mm+αとなる。ただ、ペダル用プロテクタ2の形状から、背面近傍で幅PWが最大値となるので、幅PWの最大値は35〜39mm程度になるものと考えられる。
【0066】
なお、最も幅の狭いペダルP3においては、幅W3が50mmであるので、幅PWの最大値は上記の計算から、31〜35mm程度になるものと考えられる。したがって、素材の厚さを4mmとした場合に、ペダル用プロテクタ2の幅PWは、31mm〜35mmの範囲内になるが、これに素材の厚さの変化(1〜5mm)を加味すれば、ペダル用プロテクタ2の幅PWは、28mm〜36mmの範囲内が適切であろうと考えられる。
【0067】
なお、以上は、ペダルP1〜P3の長さと幅の数値が上記のとおりと仮定してのものであるので、長さと幅の数値が異なるペダルにおいては当然この範囲内に入らないケースもあり得るものである。
【実施例2】
【0068】
図15に、本発明の実施例2の自転車駐輪用プロテクタPR2の構成を示す。自転車駐輪用プロテクタPR2においては、ハンドル・ブレーキ用プロテクタ1は実施例1におけるハンドル・ブレーキ用プロテクタ1と全く同一の構成、作用であるのでこれについての説明は省略し、以下、ペダル用プロテクタ3の構成、作用に絞って説明する。
【0069】
実施例2のペダル用プロテクタ3は、その目的は実施例1のペダル用プロテクタ2と同様、ペダル側面部Paの保護である。しかしながら、実施例2のペダル用プロテクタ3が被せられるペダルP4は、図12に示すように、実施例1におけるペダルP1〜P3とは顕著な相違点を有している。
【0070】
すなわち、ペダルP4は、図12cに明らかなように右側面形状が中心点CPを中心にして回転対称に形成されている。したがって、このペダルP4については、実施例1のペダル用プロテクタ2の形状では合わないので、これに適合する形態として考えたのが実施例2のペダル用プロテクタ3である。
【0071】
ペダル用プロテクタ3は、図13、図14に示すように、開口部OPの左側面視の形状が、両端が同一の幅(膨らみ具合)に形成された袋状である。したがって、右側面形状が中心点CPを中心にして回転対称に形成されているペダルP4に被せた場合、ぴったりと適合するのである。なお、ペダル用プロテクタ3もやはり素材は伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂であり、素材の厚さは1〜5mmの範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上に説明してきたように、本発明の自転車駐輪用プロテクタは、競技用自転車に代表されるドロップハンドルを有しスタンドを有しないタイプの自転車においては、これからの必需品となるべき重要な用具になり得るものである。
【0073】
わが国においても競技用自転車の愛好者は飛躍的に増え続けており、ごく普通の人々が参加できる自転車競技も各種のものが行われ、夫々が活況を呈している。しかしながらこれは、実はわが国だけの傾向ではなく、全世界的にそのような風潮が増しつつある。そして、これに伴って、競技用自転車の需要も世界的に伸びつつあるのが現状である。
【0074】
あるいはまた、ドロップハンドルを有しスタンドを有しないタイプの自転車は、競技に用いられるのみならず、ツーリングを楽しんだり、さらには通勤や通学にさえ用いられるケースもあり、このタイプの自転車はどんどん一般化しているといって過言ではない。
【0075】
このような傾向の中で取り上げられてくるのが、やはり駐輪の問題である。すなわちこのようなタイプの自転車はスタンドを有しないので、駐輪時は地面に寝かせるか壁面等に立てかけるしかなく、この際に地面や壁面に接触する部分の損傷がやはり気になるところである。
【0076】
このタイプの自転車が限られた人々だけのものであったときには、駐輪方法まで含めてこのタイプの自転車の特色であるとメーカー側も使用者も双方が思っていたのであまり問題にならなかったが、現今のように幅広い層に普及すると、当然問題にする人々も増えてくる。しかしながら、メーカー側においては、やはり駐輪方法まで含めてこのタイプの自転車の特色であると考えているので、この問題を解決するような試みさえ見られなかったのが現状である。
【0077】
本発明は、この問題に対して根本的な解決手段を提供せんとするものであり、これからさらにこのタイプの自転車の愛好家が全世界に増加していくことを考えた場合、産業上の利用可能性は非常に大きいものがあると期待されるのである。
【符号の説明】
【0078】
1 ハンドル・ブレーキ用プロテクタ
11 第1被覆部
12 第2被覆部
13 第3被覆部
14 連結部分
15 連結部分
10 基板
2 ペダル用プロテクタ
21 正面
22 背面
23 右側面
24 左側面
25 上面
26 下面
A1 角部
A2 角部
A3 角部
BL ブレーキレバー
BLa 下端部
BLb 頭部
BY 自転車
CL1 中心線
CL2 中心線
CL3 中心線
CP 中心点
D1 距離
D2 距離
D3 距離
FC 前輪
G 地面
GR ギア
HG ハンドルグリップ
HGa 外側部
HGb 端部
L1 長さ
L2 長さ
L3 長さ
OP 開口部
P ペダル
P1 ペダル
P2 ペダル
P3 ペダル
P4 ペダル
PL 長さ
PW 幅
Pa 側面部
PR1 自転車駐輪用プロテクタ
RC 後輪
T 接触箇所
W1 幅
W2 幅
W3 幅
bl ブレーキレバー
blb 頭部
d1 距離
d2 距離
d3 距離
hg ハンドルグリップ
hga 外側部
hgb 端部
t1 タイヤ
t2 タイヤ
α 方向
β 方向
θ 角度












【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドロップハンドルを有しスタンドを有しない自転車を駐輪させる際に、地面あるいは立体物の面に触れるハンドルグリップの外側部あるいは端部とブレーキレバーの下端部を密着被覆できる伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂を素材としたハンドル・ブレーキ用プロテクタと、同様に地面あるいは立体物の面に触れるペダルの側面部を密着被覆できる伸縮性のあるゴム又は軟質合成樹脂を素材としたペダル用プロテクタからなることを特徴とする自転車駐輪用プロテクタ。
【請求項2】
ハンドル・ブレーキ用プロテクタが、三角形状の基板の3つの角部のうちの2つの角部に袋状の第1被覆部と第2被覆部を有し、残る1つの角部が水かき状の第3被覆部として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自転車駐輪用プロテクタ。
【請求項3】
ハンドル・ブレーキ用プロテクタが、第1被覆部と第2被覆部と第3被覆部及び第1被覆部と第3被覆部を連結する連結部分及び第2被覆部と第3被覆部を連結する連結部分の素材が他の部分より厚く形成されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の自転車駐輪用プロテクタ。
【請求項4】
ペダル用プロテクタが、開口部を有する袋状で、開口部の形状が一端が幅狭く、他端が幅広く形成されており、素材の厚さが1mmから5mmの範囲内であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3に記載の自転車駐輪用プロテクタ。
【請求項5】
ペダル用プロテクタが、開口部を有する袋状で、開口部の形状が両端が同一の幅に形成されており、素材の厚さが1mmから5mmの範囲内であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3に記載の自転車駐輪用プロテクタ。



























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−111276(P2012−111276A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259992(P2010−259992)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【特許番号】特許第4700763号(P4700763)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(510308610)