説明

舖装材

【課題】外観が良く剛性がありしかも軽量で素人でも容易に敷設施工できる舗装材を提供することである。
【解決手段】合成樹脂発泡板材に50〜200mm間隔で直径5〜30mmで合成樹脂発泡板材の表面側は大きく裏面側は小さく絞った形状の穴を穿孔してその穴にセメントモルタルを充填すると共に、表裏面及び端面にセメントモルタルを塗布し、表面側に無機系建築材料の表面材を積層貼着して舗装材とする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は床材に係るもので特に公園内の歩道や広場、アーケードのある歩道、屋上、住宅のガレージ、玄関回り、ベランダ等に使用する舗装材である。
【0002】
【従来の技術】
公園内の歩道や広場、アーケードのある歩道、住宅のガレージ、玄関回り等には従来インターロッキングブロックが使用されている。インターロッキングブロクは、超硬練りコンクリートを高振動加圧即時脱型方式で製造する。剪断に対する噛み合わせ効果(インターロック)で重量物に耐えられ、種々の色、形状によりその組合せにより美しい模様を描くことができ景観的価値を有するものである。
【0003】
インターロッキングは路床の上に下層路盤及び上層路盤を施工しその上にサンドクッションを作りここに敷設するのが一般的である。
【0004】
インターロッキングブロックもコンクリート製の他、軽量コンクリート、れんが、タイル、天然石、ゴム状コンクリートなど種々の材質のものがある。又表面材に天然石や擬石を使いコンクリートを裏打材としたものもある。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
前記製品はいずれも重いものであり素人が容易に施工できるものではない。本考案は軽量で素人でも容易に運搬・施工することができしかも重量物に耐えられ、面圧強度を有し景観的価値にも優れた舗装材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は合成樹脂発泡板材に50〜200mm間隔で直径5〜30mmの穴を穿孔して、この穴にセメントモルタルを充填し、さらに合成樹脂発泡板材の表裏面及び端面にセメントモルタルを塗布し、この表面側に無機系建築材料例えばセメント2次製品、天然石、タイル、れんがなどいずれも薄板を積層貼着する。
【0007】
合成樹脂発泡板材に穿孔する穴は、合成樹脂発泡板材の表面側は大きく裏面側は小さく絞った形状とすることが好適である。
【0008】
【考案の実施の形態】
合成樹脂発泡板材は、軽量でハンドリングが容易であるが、発泡倍率を上げると面圧強度が低下する。例えば発泡倍率60倍前後の合成樹脂発泡板材の表面に合板等の表面材を積層した場合、合板上面に集中荷重がかかると合成樹脂発泡板材にへこみ等を生ずることがある。合成樹脂発泡板材の倍率をさらに上げると一層面圧強度は低下する。
【0009】
本考案に使用する合成樹脂発泡板材に使用する樹脂の種類は、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニール、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂、ユリア、エポキシ、硬質ポリウレタン、フェノールなどの熱硬化性樹脂などであるが、熱可塑性樹脂で特にポリスチレンが最も適している。又合成樹脂発泡板材の一部に廃プラスチック発泡材の粉砕物を使用することもできる。
【0010】
合成樹脂発泡板材に50〜200mm間隔で直径5〜30mmの穴を穿孔してこれにセメントモルタルを充填することによつて面圧強度は大幅に向上する。セメントモルタルが合成樹脂発泡板材の垂直方向に対する圧縮力を補強するからである。
【0011】
合成樹脂発泡板材に穿孔する穴は、合成樹脂発泡板材の寸法が小さい場合は同一直径で貫通した穴でもよいが、同一直径で貫通しているよりも穴の直径を絞って裏面側を小さくした方が面圧強度は向上する。
【0012】
合成樹脂発泡板材の表裏面にセメントモルタルを塗布して穴を介して表裏面のセメントモルタル層を一体とすることができる。この場合裏面材をセメントモルタル層とし合成樹脂発泡板材の端面もセメントモルタルで被覆することにより、合成樹脂発泡板材に剛性のみならず防火性、耐水性、耐候性を付与することができる。
【0013】
セメントモルタルの厚みは3〜15mmの範囲が好適である。裏面側のセメントモルタルの厚みを変えることによって裏面に勾配を付けることもできる。
【0014】
合成樹脂発泡板材の面にセメントモルタルを塗布する場合、セメントモルタルの付着強度を上げるため合成樹脂発泡板材の面に凹凸を付けたり、プラスチック製又は金属製のラス又はメッシュ等を敷設し合成樹脂発泡板材に食い込ませその上にセメントモルタルを塗布すればより密着強度は高くなる。
【0015】
合成樹脂発泡板材に穿孔する穴を合成樹脂発泡板材の表面側は大きく、裏面側を小さく絞るのは裏面にセメントモルタルが過剰に流出しないためと合成樹脂発泡板材の穴に充填したセメントモルタルが根を張る形となり面圧強度を一層高くするためである。このため穴は貫通はしているが裏面側を小さくする場合は裏面側の穴直径を表面側の穴直径の0.2〜0.8倍程度とする。0.2以下では面圧強度の向上は充分でなく、0.8以上ではセメントモルタルの流出が多くなるからである。
【0016】
合成樹脂発泡板材に穴を穿孔しセメントモルタルを充填した板材の上面に表面材を積層する場合、合成樹脂発泡板材の上面にセメントモルタルを塗布しセメントモルタル硬化後接着剤を使用して積層しても良いが、セメントモルタル塗布後接着剤を用いず直ちに表面材を積層するのが最も良い。耐水性、耐候性に支障ない使用箇所の場合は、上面にセメントモルタルを塗布せず、合成樹脂発泡板材に直接接着剤を使用して積層してもよい。
【0017】
表面側に積層する表面材は、無機系建築材料でセメント2次製品、天然石、タイル、れんが等が好適である。これらはいずれも厚さ3〜15mmの薄いものを使用する。表面材は薄くても所定位置に穴を穿孔しこの穴にセメントモルタルを充填した合成樹脂発泡板材を裏打材に使用することによって、剪断力は大幅に向上するのである。このため外観的には優れ強度も高くしかも非常に軽量で施工も容易となる。
【0018】
セメント2次製品は、例えば各種の着色顔料をコンクリートに添加したカラーコンクリート板、骨材に天然砕石を用いこれに着色無機顔料などを配合した擬石、コンクリートに粒状または繊維状の特殊ゴムチップを添加し通気性、透水性があり、多少弾性を持った成形品などが使用できる。
【0019】
天然石は、花崗岩、安山岩、凝灰岩、大理石、蛇紋岩などを3〜15mm厚にスライスしたものを使用する。
【0020】
タイルは、磁器質タイル、火石器質クリンカータイルで一般に床用タイル、モザイクタイルなどと称するものである。本考案の場合は裏打材が面圧強度を高めた合成樹脂発泡板材であるため陶器質タイルを表面材に使用することができ、又れんがは薄型れんがを使用する。この他各種材料を焼結して造る結晶石、各種材料を溶融して造る結晶化ガラス、発泡セラミック板なども使用できる。
【0021】
この他無機系又は有機系バインダーを用いて大理石や花崗岩など石目調に成形したものも好適に使用できる。
【0022】
【実施例】
以下本考案の実施例について詳述する。
【0023】
実施例1 厚さ45mm、幅490mm、横490mm発泡倍率80倍のポリスチレン発泡板材に、100mm間隔で穴を穿孔した。穴の寸法はポリスチレン発泡板材の表面から40mmまでは直径15mmで40mmから裏面は穴の径を絞り裏面側は直径5mmとした。
【0024】
このポリスチレン発泡板材の穴にセメントモルタルを充填すると共にポリスチレン発泡板材の表裏面及び端面にメタルラス#240を敷設してポリスチレン発泡板材に食い込ませその上にセメントモルタルを表裏面5mm厚に塗布し、直ちに表面側にコンクリートに花崗岩砕石の骨材と着色無機顔料を使用した擬石で厚さ10mm、幅500mm、横500mmの板材を積層貼着した。又ポリスチレン発泡板材の端面も5mm厚にセメントモルタルを塗布した。形状寸法500×500×60mmで重量僅か10kgの舗装材を作製することができた。従来のインターロッキングブロックは36kgである。
【0025】
実施例2 実施例1に使用した擬石の替りに厚さ10mmの大理石を積層貼着した。形状寸法は500×500×60mmで重量僅か10.5kgの舗装材を作製することができた。
【0026】
実施例3 厚さ45mm、幅170mm、横170mmのポリスチレン発泡板材を用いて所定間隔に実施例1と同様の穴を穿孔しセメントモルタルを充填及びラス張りセメントモルタル塗布後直ちに、厚さ10mm、幅180mm、横180mmの磁器タイルを積層貼着した。ポリスチレン発泡板材の端面も5mm厚にセメントモルタルを塗布した。形状寸法180×180×60mmで重量僅か1.3kgの舗装材を作製することができた。従来の同寸法のインターロッキングブロックは、4.7kgである。
【0027】
【考案の効果】
以上述べた如く本考案は、合成樹脂発泡板材に50〜200mm間隔で直径5〜30mmの穴を穿孔して、この穴にセメントモルタルを充填すると共に合成樹脂発泡板材の表裏面及び端面にセメントモルタルを塗布しその上面に表面材を積層して、舗装材を作製した。この舗装材はきわめて軽量で面圧強度が高く防火性、耐水性、耐候性に優れ素人でも容易に施工することができた。
【0028】
特に合成樹脂発泡板材に所定間隔で表面側より裏面側を絞った穴を穿孔し、この穴にセメントモルタルを充填することによって、発泡倍率が高く面圧強度の低い合成樹脂発泡板材であるにもかかわらず、面圧強度と舗装材としての剪断力を大幅に増加させることができたのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1舗装材断面図
【図2】実施例1舗装材施工断面図
【図3】実施例2舗装材断面図
【図4】実施例3舗装材断面図
【符号の説明】
1.擬石
2.セメントモルタル
3.メタル平ラス
4.合成樹脂発泡板材
5.穴
6.目地
7.サンドクッション
8.上層路盤
9.下層路盤
10.路床
11.タイル
12.大理石

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項 1】 合成樹脂発泡板材に50〜200mm間隔で直径5〜30mmで、合成樹脂発泡板材の表面側は大きく裏面側は小さく絞った形状の穴を穿孔しこの穴にセメントモルタルを充填すると共に合成樹脂発泡板材表裏面及び端面にセメントモルタルを塗布し、この表面側に表面材を積層したことを特徴とする舗装材。
【請求項 2】 表面材が無機系建築材料であることを特徴とする請求項1記載の舗装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3046375号
【登録日】平成9年(1997)12月10日
【発行日】平成10年(1998)3月6日
【考案の名称】舖装材
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平9−8422
【出願日】平成9年(1997)8月19日
【出願人】(392031158)株式会社リボール (8)