説明

舗装ブロック

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
この発明は歩道等の舗装に用いられる通水機能を備えた舗装ブロックに関する。
[従来の技術]
従来の通水機能を備えた舗装ブロックとしては、上面から下面に抜ける小さな透孔が多数形成されたものや、全体が多孔質の物質に形成されたものなどがあった。このような従来の舗装ブロックは、舗装した直後は有効に機能するが、しばらくすると、細かい砂粒や泥などが通水孔を開いてしまい、全く通水機能を失ってしまうのが通例であった。
[発明が解決しようとする課題]
この発明は上記のような問題点を解消し、長期間にわたって通水機能を維持することのできる舗装ブロックを得ることを目的とする。
[課題を解決するための手段]
この発明に係る舗装ブロックは、上面から下面に抜ける透孔が形成されているコンクリート板と、上記透孔内に少なくとも一部分が上面に露出する状態でもって保持されており、降水時には吸水して伸長もしくは膨張し、乾燥時には原形に復帰する伸縮部材と、この伸縮部材の乾燥時には上記透孔を閉塞し、当該伸縮部材の吸水時には当該伸縮部材の変形もしくは変形力によって上記透孔の閉塞を解除する開閉手段とを備えた点を特徴とする。
[作 用]
伸縮部材は、降水時に吸水して膨張し、軸方向に伸長するが膨張にともなう変形を生じる。透孔の閉塞を解除する開閉手段は、この伸縮部材の伸長力もしくは変形力によって透孔の閉塞を解除するので、晴天時には透孔を閉塞して泥などで透孔が詰まるのを阻止し、降水時には透孔を開いて雨水を通過させる開閉弁としての作用を行なう。このため、長期間にわたって透孔が泥などによって閉塞されることがなく通水機能を維持することができる。
[発明の実施例]
以下、この発明の実施例を説明する。
第1図は一実施例の斜視図、第2図はその要部の拡大断面図である。図において、(1)はコンクリート平板、(2)はその上面(1a)から下面(1b)に抜ける透孔で、これに続いてコンクリート板(1)の上面(1a)に開口する傾斜面(2a)が形成されている。(3)は吸水性ゴムで形成された弁体で、傾斜面(2a)に当接して閉塞する頭部(3a)と、伸縮部材を構成する軸部(3b)とで構成されている。(4)は弁体(3)を透孔(2)内に保持する金属または合成樹脂で形成された持部材で、透孔(2)内に圧入されて壁面に係止される外筒部(4a)と、軸部(3b)の下端部を保持する保持部(4b)と、通水孔(4c)とが形成されている。
このように構成された舗装ブロックは、晴天時で弁体(3)が乾燥状態であるときには、第2図(a)に示すように軸部(3b)が縮小して頭部(3a)の周縁が傾斜面(2a)に当接して透孔(2)を閉塞するので、コンクリート板(1)の上面(1a)から透孔(2)の内部に、砂粒や泥、ほこりなどが侵入しない。他方、降水時には弁体(3)の頭部(3a)および軸部(3b)が雨水を吸収して軸部(3b)が軸方向に伸長し、第2図(b)に示すように頭部(3a)がもち上げられて傾斜面(3a)との間に隙間が形成され、雨水は透孔(4c)を通ってコンクリート板(1)の下面(1b)に放出される。
このように、この実施例の舗装ブロックは、晴天時には透孔(2)が閉塞され、降水時のみ透孔(2)が開かれるので、泥などによって透孔(2)が閉塞されることが少なくなり、長期間にわたって通水機能を維持することができる。
第3図はこの発明の他の実施例の要部の構成を示す図で、図面(a)は晴天時の状態を示す断面図、図面(b)は降水時の状態を示す断面図、図面(c)は平面図である。図において,(2b)は透孔(2)の上面の段部、(6)はこの段部(2b)に外周部(6a)が嵌着されている保持部材、(5)は保持部材(6)の保持部(6b)に上端部が保持されている吸水性ゴム材で構成された伸縮部材、(7)は通水孔開閉部材で、伸縮部材(5)の下端部に嵌着される取付部(7a)と、保持部材(6)に形成されている通水孔(6c)内に挿入され、伸縮部材(5)の伸縮に応じて開閉する弁体(7b)と、通水孔(7c)とを備えており、金属材もしくは合成樹脂材で形成されている。(5a)は伸縮部材(5)に同軸に形成されている透孔である。
このように構成されている舗装ブロックは、晴天時には伸縮部材(5)が縮小し、降水時には伸縮部材(5)が伸長して弁体(7b)が下降して通水孔(6c)を開くので、第2図に示した実施例と同様の効果が得られる。
第4図はこの発明の他の実施例の構成とその作用を説明するための要部断面図で、(5)は吸水性ゴムで形成された伸縮部材、(9)は逆U字形の断面形状に合成ゴムで形成された弁体、(10)はコンクリート板(1)に形成された細長い矩形状の透孔、(11)は透孔(10)の一端につづいて直角方向が長い矩形状に形成された透孔で、弁体(9)は透孔(11)内に上面側から挿入され、自身の弾性力でもって透孔(11)の周囲の壁面に両側部(9a),(9b)および端面(9c)が当接して透孔(11)を閉塞する。(12)は透孔(10)の途中に、コンクリート板(1a)と平行の向に形成された凹部で、伸縮部材(5)が装着される保持部を構成し、伸縮部材(5)は上面(1a)から縦長に押しつぶした形状にして透孔(10)をとおって保持部(12)内に挿入される。
このように構成された舗装ブロックは、降水時に伸縮部材(5)が吸水して伸長したときには、弁体(9)を押して第10図(b)のように変形させて透孔(11)と弁体(9)との間にコンクリート板(1)の上面から下面に抜ける通水隙間(13)を形成し、晴天時に脱水したときには縮小して弁体(9)で透孔(11)を閉塞するので、第2図および第3図に示した実施例と同様の効果が得られる。
なお、透孔(10)は、伸縮部材(5)の一部分をコンクリート板(1)の上面(1a)に露出させ、吸水および脱水を速やかに行なわせる作用を行なっている。
第5図はこの発明の他の実施例の構成とその作用を説明するための要部の断面図で、(13)は通水孔(13a)が形成されている保持部材、(14)は伸縮部材(15a),(15b)の両端を保持するとともに下面を支承する保持部材で、保持部材(13)に固着されており、端部保持部(14a)と通水孔(14b)とが形成されている。(15a),(15b)は吸水性ゴム材で矩形のブロック状に形成された伸縮部材で、内面を当接させた状態でもって両端部が端部保持部(14a)に保持され、下面を保持部材(14)で保持されている。(16)は保持部材(13)をコンクリート板(1)の段部(2b)内に取り付けるねじである。
このように構成された舗装ブロックは、晴天時には第5図(a)および第5図(b)に示すように、通水孔(13a)が伸縮部材(15a)(15b)によって閉塞し、降水時に伸縮部材(15a),(15b)が吸水して伸長すると、両端部が保持されているので第5図(c)に示すように中間部分が外側に曲がる変形を生じて隙間(17)が形成され、雨水は透孔(13a)、隙間(17)および通水孔(14b)を通ってコンクリート板(1)の下面(1b)に放出されるので、第2図ないし第4図に示した実施例と同様の効果が得られる。
第6図はこの発明の他の実施例を示す図で、(18)は吸水性ゴム材で環状に形成された伸縮部材、(19)は保持部材(13)に固着された保持部材で、伸縮部材(18)を両側から保持する保持部(19a)と、下面を支承する支承部(19b)とで構成され、下面支承部(19b)には通水孔(19c)が形成されている。
このように構成された舗装ブロックは、晴天時には6図(a)および第6図(b)に示すように、伸縮部材(18)の上面で保持部材(13)に形成されている通水孔(13a)を閉塞し、降水時に伸縮部材(18)が吸水して伸長すると、一方の側辺のみが保持部(19a)で押さえられているので、第6図(c)に示すように変形して隙間(17)が形成され、雨水は透孔(13a)、隙間(17)および通水孔(19c)を通ってコンクリート板(1)の下面に放出されるので、第2図ないし第5図の実施例と同様の効果が得られる。
なお、上記実施例では、伸縮部材に吸水性ゴム材を用いたが、吸水性ゴムは、合成ゴムに混練する吸水性ポリマ(例えば、ポリビニール・アルコール(PVA)と、ポリアクリル酸塩とのブロック共重合体)の種類、混練量などによって特性が変化するので、構成に適合するゴム材を用いればよい。
また、吸水性ゴムに限らず、吸水時に伸長または膨張し、乾燥時に原形に復帰するものであれば使用できる。
[発明の効果]
以上のように、この発明によれば、吸水時には伸長または膨張し、乾燥時には原形に復帰する伸縮部材の伸縮もしくは膨張または伸縮力もしくは膨張力を利用してコンクリート板に形成されている透孔、またはこの透孔に通じている通水孔を開閉するように構成したので、泥透によって透孔が閉塞されることが少なくなり、長期間にわたって通水機能を維持できる舗装ブロックが得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例の斜視図、第2図はこの実施例の要部の構成とその作用を説明するための図、第3図R>図ないし第6図は、それぞれこの発明の異なる実施例の要部の構成とその作用を説明するための図である。
(1)……コンクリート板、(1a)……上面、(1b)……下面、(2),(10),(11)……透孔、(3b),(5),(15a),(15b),(18)……伸縮部材、(3a)……頭部、(5a)……透孔、(4),(6),(13),(14),(19)……保持部材、(4c),(6c),(13a),(19c)……通水孔、(7)……通水孔開閉部材、(7a),(9)……弁体、(12),(14a),(19a)……保持部。
なお、各図中、同一符号は同一、または相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】上面から下面に抜ける透孔が形成されてなるコンクリート板と、上記透孔内に少なくとも一部分が上面に露出する状態でもって保持されており、降水時には吸水して伸長もしくは膨張し乾燥時には原形に復帰する伸縮部材と、この伸縮部材の乾燥時には上記透孔を閉塞し、当該伸縮部材の吸水時には当該伸縮部材の変形もしくは変形力によって上記透孔の閉塞を解除する開閉手段とを備えた舗装ブロック。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第6図】
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【第5図】
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【特許番号】第2640515号
【登録日】平成9年(1997)5月2日
【発行日】平成9年(1997)8月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−274214
【出願日】昭和63年(1988)10月28日
【公開番号】特開平2−120404
【公開日】平成2年(1990)5月8日
【出願人】(999999999)株式会社内田
【参考文献】
【文献】実開 平2−11807(JP,U)
【文献】実開 昭53−86930(JP,U)
【文献】実開 昭53−30231(JP,U)