説明

航空機のフライトデッキのための視覚的なディスプレイ

【課題】輝度調整可能なヘッドダウンディスプレイを提供する。
【解決手段】航空機100のための操縦室112は、光を通すことのできる透明な窓ガラスを有する風防122と、風防から離間され、かつそれに面している座席130と、風防の下に少なくとも一部を配置し、かつ輝度信号により設定されうる調整可能な輝度を有するヘッドダウンディスプレイ142を有するフライトデッキ114と、座席の一部を含む視野を有し、かつ視野内のルミナンス情報を示す画像信号を出力するカメラ146と、カメラおよびヘッドダウンディスプレイに動作可能に結合され、かつ画像信号を受け取り、視野のルミナンスを測定し、測定されたルミナンスに基づきヘッドダウンディスプレイに対する輝度を決定するように構成され、かつ決定された輝度に対応する輝度信号をヘッドダウンディスプレイに出力するプロセッサとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機のフライトデッキのための視覚的なディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の航空機の操縦室は、1つまたは複数のヘッドダウンディスプレイ(HDD)を有するフライトデッキを含んでおり、HDDは、航空機の操作および制御で使用される広範囲な航空機情報、飛行情報、航法情報、および他の情報を、パイロットおよび航空機搭乗員に表示する。ディスプレイは、パイロットが関係する情報を閲覧し、かつ特定するのを助けるために照明することができる。表示された情報の良好な視認性をパイロットに提供するために、周囲の照明条件に応じて輝度を変化させる。例えば、通常の日中の条件では、パイロットが容易にディスプレイを見ることができるように、ディスプレイを高い輝度レベルに照明することが必要になりうる。夜間の条件下では、その同じ量の輝度では、ディスプレイを使用するのに明るくなり過ぎる可能性があり、パイロットが、明るさの低い他の対象物を容易に閲覧し、気付くことが妨げられる可能性もある。さらに、HDDを直接照らす、またはパイロットの目に直接入る日光は、ディスプレイの輝度が、それを補うように調整されない限り、ディスプレイを読み取ることを非常に困難にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0218501号明細書
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、航空機用の操縦室は、光を通すことのできる少なくとも1つの透明な窓ガラスを有する風防と、風防から離間され、かつ風防に面している少なくとも1つの座席と、風防の下に少なくとも一部を配置し、かつ輝度信号により設定されうる調整可能な輝度を有する少なくとも1つのヘッドダウンディスプレイを有するフライトデッキと、少なくとも1つの座席の少なくとも一部を含む視野を有し、かつ視野内のルミナンス情報を示す画像信号を出力するカメラと、カメラおよびヘッドダウンディスプレイに動作可能に結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、画像信号を受け取り、視野の少なくとも一部のルミナンスを測定し、測定されたルミナンスに基づき、ヘッドダウンディスプレイに対する輝度を決定するように構成され、かつ決定された輝度に対応する輝度信号をヘッドダウンディスプレイに出力する。
【0005】
他の実施形態では、航空機のフライトデッキ用のヘッドダウンディスプレイ組立体は、ハウジングと、ハウジング内に取り付けられ、かつ視野角を有するヘッドダウンディスプレイと、ハウジングにより担持され、視野角の少なくとも一部を包含する視野を有し、かつ視野内のルミナンス情報を示す画像信号を出力するカメラと、カメラに動作可能に結合されて画像信号を受け取り、かつ画像信号に対応するルミナンス信号を出力する画像プロセッサと、画像プロセッサに動作可能に結合されてルミナンス信号を受け取り、かつそれに応じてヘッドダウンディスプレイの輝度を調整するグラフィックプロセッサとを含む。
【0006】
さらに他の実施形態では、航空機の操縦室における少なくとも1つのヘッドダウンディスプレイの輝度レベルを調整する方法は、ヘッドダウンディスプレイの視野角内の操縦室の少なくとも一部の画像を撮るステップと、画像の少なくとも一部のルミナンスを測定するステップと、測定されたルミナンスに従って、ヘッドダウンディスプレイの輝度レベルを設定するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】従来技術で知られたフライトデッキを備えた航空機の操縦室の一部の斜視図である。
【図2】本発明による複数のヘッドダウンディスプレイ組立体を有するフライトデッキを備える航空機の操縦室の一部の斜視図である。
【図3】図2の航空機の操縦室の一部の上面図である。
【図4】図2および図3のフライトデッキで使用できるヘッドダウンディスプレイ組立体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、複数のヘッドダウンディスプレイ16を有するフライトデッキ14を備える操縦室12を有する従来技術の航空機10の一部を示している。ヘッドダウンディスプレイ16は、通常、照明されており、操縦室12内の周囲の照明に応じて様々な輝度レベルを有することができる。周囲光センサ18は、通常、ディスプレイ16上に位置しており、通常、周囲光センサ18に直接入る光を検出する。周囲光センサ18は、通常、操縦室12と比較して比較的限定された、センサ18に対する有効視野19を画定するセンサ18に直接入るルミナンスを測定する。光がセンサに入ることのできる領域を特定する視野19が円錐で示されている。センサ18の形状および角度に応じて、円錐は、例示のものよりも大きく、または小さくなる可能性があり、また例示のものとは異なる角度になる可能性もある。太陽などの周囲光の源に対する相対的なその位置に応じて、センサ18は、ディスプレイ16を照らす光の真の測定値を与えることも、与えないこともありうる。例えば、周囲光センサ18は陰になる部分に存在するが、ディスプレイ16の大部分は、周囲光により直接照らされることもありうる。
【0009】
光センサ18は、通常、ディスプレイを囲むハウジング内に取り付けられる。複数の周囲光センサ18は、ディスプレイ16の様々な部分に当たる光を検出するために、ディスプレイの周りのハウジング上に配置することができる。しかし、利用可能な空間およびコストなど、この手法には実際上の制限が存在する。
【0010】
センサ18は、ディスプレイ16の一部が陰の中にあり、その他の部分が明るい日光の中にある場合、正確な光の測定が得られないことが知られている。これは、場合によっては、ディスプレイ16が意図せずに薄暗くなり、読み取ることができなくなる可能性があり、また同じ手法がすべてのディスプレイで使用されるので、すべてのディスプレイ16が同時に薄暗くなるおそれもある。
【0011】
フライトデッキ14内のこれらの周囲光センサ18の全体的な位置に起因して、センサ18が、操縦室12内の照明量、およびどの程度の照明がパイロットの目に入っているかを正確に測定することは非常に困難になりうる。典型的な問題は、航空機10が太陽に向かって飛行し、ディスプレイ16に当たる光がない場合に、ディスプレイ16が薄暗くなってしまうことである。同時に、パイロットは直接太陽を注視しており、したがって、ディスプレイ16を見ることができない。したがって、センサ18は、センサに入る光を感知するだけであり、それは、パイロットの目に入る光と同じであるとは保証されていない。この問題を支援するために、前方監視遠隔光センサ20が、このような航空機10にしばしば含まれており、風防22を通して到来する光を検出するが、それは、パイロットの目の中に導かれることになる光と相関がある。ディスプレイ16の輝度は、両方のタイプのセンサ18、20により検出された光により制御することができる。操縦室12内の照明レベルを多少正確に測定するために必要な多数のセンサ18、20は、コストがかかることが多く、また操縦室12内の照明レベルを正確に測定することができないこともあり、場合によっては、問題のある輝度レベルをディスプレイ16に導入することになる。
【0012】
図2は、複数のヘッドダウンディスプレイ(HDD)組立体116を有するフライトデッキ114を備えた操縦室112を有する航空機100の一部を示している。商用の定期航空機で示されているが、本発明のHDD組立体116は、例えば、限定することなく、固定翼、回転翼、ロケット、商用航空機、個人用航空機、および軍事用航空機など、任意のタイプの航空機で使用することができる。
【0013】
風防122は、操縦室112の前部領域に配置することができ、光が通過することのできる少なくとも1つの透明な窓ガラスを有することができる。風防122は、操縦室の前部領域中に配置された2つの透明な窓ガラスを含むものとして示されており、航空機搭乗員が、航空機100の前方の操縦室112の外側を見ることができるようにする。1つまたは複数の窓124を、操縦室112の側部に含めることもできる。窓124はまた、光を通すことのできる透明な窓ガラスを含むことができ、それを通して、航空機搭乗員は、操縦室112の外側のさらなる領域を見ることができる。
【0014】
1つまたは複数の座席130が、操縦室112内に配置され、また風防122から離間され、かつ風防122に面している。2つの座席130が、横に並べた配置で示されている。操縦室112中に、より少ない、またはさらに多い座席を含めること、およびさらなる座席が、風防122の方向へと前方に向いていること、または窓124の方向へと横を向くことも可能であることが企図される。
【0015】
フライトデッキ114は、様々な計器および制御機構132、ならびに複数のHDD組立体116を含むことができ、そのすべてにより、航空機搭乗員が航空機100を飛行させることが可能になる。フライトデッキ114は、座席130の周囲に配置することができ、またフライトデッキ114の一部は、図示のように、風防122の下に配置することができる。さらに、HDD組立体116は、風防122の下に配置することができる。HDD組立体116を含むフライトデッキ114の部分が、風防122の上方に配置できることも企図される。HDD組立体116は、任意の数およびレイアウトで構成できること、およびその構成は、示された例に限定されないことが理解されよう。
【0016】
HDD組立体116は、それぞれ、ハウジング140と、ハウジング140内に取り付けられたヘッドダウンディスプレイ(HDD)142とを含むことができる。HDD142は、非限定的な例として、LCDディスプレイ、またはLEDディスプレイを含む輝度信号により設定できる調整可能な輝度を有する任意の適切なタイプのディスプレイとすることができる。各HDD142は視野角144を有することができるが、視野角144は、いくつかのHDD142に対して概略的に示されており、HDD142を許容できる視覚的性能で見ることのできる最大角である。HDD142を、視野角144の外から見る場合、HDD142は、輝度を失うか、あるいは色ずれを生ずる可能性がある。
【0017】
カメラ146は、1つまたは複数のHDD組立体116に取り付ける、またはそれにより担持することができる。非限定的な例として、カメラ146は、HDD組立体116のうちの2つに組み込まれるものとして示されている。残りのHDD組立体116は、カメラのないHDD組立体116であると考えることができる。カメラ146を有するHDD組立体116は、フライトデッキ114の様々な場所に配置できることが企図される。HDD組立体116のそれぞれが、カメラ146を有することができることも企図される。さらに、1つだけのHDD116がカメラ146を有することができるようにも企図される。
【0018】
例示の実施形態では、各カメラ146は、別個のハウジング140内に存在し、対応するハウジング140の開口部と位置を合わせることができる。カメラ146は、カメラの視野内のルミナンス情報を示す画像信号を出力する任意の適切なタイプのカメラとすることができる。例示的なカメラは、CCDカメラ、CMOSカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、または画像を取り込むことのできる任意の他のタイプの装置を含む。
【0019】
各カメラ146は、想像線で概略的に示された、カメラ146による被写域である視野148を有することができる。カメラの視野148は、1つの座席130の少なくとも一部を含むことができ、かつ図示のように、2つの座席130の少なくともそれぞれの一部を包含できるように企図される。カメラの視野148は、ヘッドダウンディスプレイの視野角144の少なくとも一部を含むことができる。カメラの視野とヘッドダウンディスプレイの視野角144との重複する部分は、2つの座席130のそれぞれの一部を含むように示されている。操縦室112の全体幅を、カメラ146の視野148内に含みうることがさらに示されている。操縦室112の全体幅を、単一のカメラ146の視野148内に含めるようにもさらに企図される。
【0020】
図3は、例示的なヘッドダウンディスプレイの視野角144、およびカメラの視野148をさらに明確に示している。図3はまた、所定の反射率を有するルミナンスターゲット150(想像線で示されている)を、カメラの視野148内で、操縦室112に含めることができることも示している。このようなルミナンスターゲット150は、単に、知られた反射率を有する表面または壁とすることができる。照明ターゲット150は、可視スペクトルにわたり平坦な反射率スペクトルを与えるように、18%の灰色など中間色の灰色とすることができることも企図される。照明ターゲット150は、操縦室の壁の上のカードまたは同様のものとすることができるが、あるいは操縦室を、このような色で塗ることもできる。カメラ146の位置は、操縦室112に対して固定することができ、それにより、画像のどの部分が、操縦室112のどの部分に関係するかを判定することが簡単になる。したがって、様々なルミナンスを測定して、良好な処理判断を行うために、画像の別個の部分を処理することが可能である。例えば、座席130は、限られた調節可能性を有し、かつパイロットの高さの変化は限られており、したがって、パイロットの頭部が画像内に含まれることになる所定の領域が知れられるはずである。中間色の灰色は、頭部領域に対する背景を形成することもできる。
【0021】
図4は、カメラからの画像を処理し、かつ処理された画像に従ってディスプレイの輝度を調整するためのプロセッサ、または制御装置152を示している。便宜上、制御装置152は、カメラ146を有するHDD組立体116内に含めることができる。制御装置152は、カメラ146およびヘッドダウンディスプレイ142に動作可能に結合させることができる。画像プロセッサ154、およびグラフィックプロセッサ156、ならびに任意の関連するメモリ158を制御装置152内に含むことができる。画像プロセッサ154は、カメラ146に動作可能に結合することができ、かつカメラ146から画像信号を受信することができる。画像プロセッサ154は、画像の少なくとも一部のルミナンスを測定し、かつ画像信号の測定されたルミナンスに対応するルミナンス信号を出力することのできる任意の適切な画像プロセッサとすることができる。
【0022】
グラフィックプロセッサ156は、画像プロセッサ154およびHDD142に動作可能に結合させることができる。グラフィックプロセッサ156は、ルミナンス信号を受け取り、測定されたルミナンスに基づいてHDD142に対する輝度レベルを決定することのできる任意の適切なグラフィックプロセッサとすることができる。グラフィックプロセッサ156は、決定された輝度に相当する輝度信号をHDD142に出力することができ、したがってそれに対応して、HDD142の輝度を調整することができる。
【0023】
メモリ158は、画像プロセッサ154およびグラフィックプロセッサ156の制御ソフトウェア、ならびに制御装置152により必要な何らかのさらなるソフトウェアを記憶するために使用することができる。メモリ158はまた、データベースまたは表などの情報を記憶するために、かつカメラ146から受け取った画像またはビデオを記憶するために使用することもできる。
【0024】
制御装置152はまた、構成要素と通信するために、航空機100の1つまたは複数の構成要素と動作可能に結合することもできる。例えば、情報システムサーバ160、航空機システム162、およびカメラのないHDD組立体116が、制御装置152と結合されるように示されている。情報システムサーバ160は、画像プロセッサ154から圧縮された画像またはビデオを受け取ることができるが、航空機システム162は、航空機データをHDD組立体116に供給することができ、したがって、このような情報をHDD142上に示すことができる。航空機システムはまた、制御装置152から情報を受け取ることもできる。単一のカメラ146が複数のHDD142を制御するために使用される場合、制御装置152はまた、さらなるカメラのないHDD組立体116(想像線で示されている)に動作可能に結合することができ、かつそのHDD142の輝度を制御するように構成されうる。このようなカメラのないHDD組立体116はまた、同様に、カメラのないHDD組立体116を動作させるためにも使用できる制御装置(図示せず)を有することができる。
【0025】
航空機100の操作中、操縦室112の少なくとも1つのHDD142の輝度レベルを、カメラ146により撮られた画像またはビデオに基づいた輝度信号により調整することができる。より具体的には、画像は、HDD142の視野角144内の操縦室112の少なくとも一部から撮ることができる。カメラ146がビデオカメラである場合、これはビデオを撮ることを含むことができる。画像またはビデオは、画像プロセッサ154に送ることができ、また画像の少なくとも一部のルミナンスを、画像処理ソフトウェアを使用して、取り込まれた画像中のルミナンスを測定できる画像プロセッサ154により測定することができる。画像の一部における周囲光量を測定するために、任意の適切なソフトウェアを使用することができる。ソフトウェアは、カメラ146からの画像が、ルミナンス/クロミナンス色空間(例えば、YCrCbまたはYUV)に格納されて、ソフトウェアがルミナンス成分を理解できるようにすることを保証できる。次いで、画像のヒストグラム解析を行うことができるが、その場合、画像のルミナンスレベルは、いくつかの範囲に分割されて、各ルミナンス範囲内の画素数が測定される。これは、画像のルミナンスの全体レベルを測定するために使用することができる。ヒストグラム解析から、ルミナンスの分布を決定することができる。ルミナンスの分布が決定された後、平均的な、または中心的なルミナンス、したがって、そのシーンの周囲光の推定をさらに決定することができる。
【0026】
画像処理はまた、操縦室の壁の後部にある窓または領域など、カメラの視野中の特定の要素を探すために、画像の小領域で行うことも可能であるように企図される。こうすることにより、シーン中の全体的な周囲光の様々な成分を計算することを可能にする。これらの領域は、表示カメラごとに異なることができ、また異なる航空機タイプ間で変わりうることも企図される。
【0027】
ルミナンスが、画像全体で、または画像の任意の部分で測定されうることも企図される。画像プロセッサ154はまた、直接的に航空機100の前部から、操縦室112およびパイロットの後部の反射から受け取る光を測定することもできる。ルミナンスを測定することはまた、操縦室112の反射率ターゲット150に対応する画像の一部のルミナンスを測定することを含みうることが企図される。画像プロセッサは、知られた反射率に基づいて表面上のルミナンスを測定し、その部分のルミナンスを決めることができる。測定されたルミナンスに基づき、制御装置152は、HDD142の輝度レベルを設定することができる。より具体的には、制御装置152の出力は、決定された輝度レベルに対応する輝度信号をHDD142に送る。
【0028】
複数の画像が撮られている場合、ルミナンスを繰り返し測定することができる。制御装置152は、各画像のルミナンスを測定することができ、かつ各測定されたルミナンスを用いてHDD142に対する輝度レベルを設定することができる。ビデオが撮られた場合は、ルミナンスは、時間の経過と共に繰り返し測定することができ、輝度レベルの設定は、繰り返し測定されたルミナンスに従って、輝度レベルを繰り返し設定することを含むことができる。画像またはビデオのルミナンスのこのように繰り返される測定は、連続して行うことができ、この方法では、HDD142の輝度を連続的に調整できることが企図される。
【0029】
複数のカメラ146の場合では、画像プロセッサ154は、画像を組み合わせることができ、また制御装置152は、操縦室112全体に対するルミナンス分布図を測定することができる。この方法では、複数のカメラからのデータが組み合わされて、シーンのルミナンスデータを形成することができ、それを、すべてのHDD142の間で共用することができる。さらに、複数のカメラ146の場合、制御装置152は、各画像に対して測定されたルミナンスの平均、または重みを付けた平均を使用することができる。各HDD142は、その輝度を、それ自体のルミナンス測定値の方向に偏らせることができるが、全体的なシーンのルミナンス値を得るために他のルミナンスレベルを使用できることも企図される。
【0030】
単一のカメラにより撮られた画像またはビデオが、少なくとも2つのHDD142の視野角144に含まれる操縦室112の少なくとも一部のものでありうること、かつ単一のカメラ146を使用して、複数のHDD142を制御するために制御装置152に画像またはビデオを送ることができるようにも企図される。このような例では、ルミナンスを測定することは、視野角144のそれぞれに含まれる画像の一部に対するルミナンスを測定することを含むことができる。制御装置152は、その視野角144に対応する画像の一部における測定されたルミナンスに基づいて、カメラのないHDD組立体116に対する輝度を決定するように構成することができる。制御装置152は、測定されたルミナンスに基づき、カメラのないHDD142に対する適切な輝度を決定することができ、また決定された輝度に対応する輝度信号をカメラのないHDD組立体116に出力することができる。この方法では、カメラのないHDD142の輝度もまた制御することができる。
【0031】
上記で述べた本発明の実施形態は、航空機100の前部から直接受け取った光を含む、操縦室112内の周囲光状態を良好に感知できるようにする。カメラ146は、航空機の前部から受け取る光を測定するためにディスプレイ上に取り付けられたもの、および遠隔に取り付けられたものなどの複数の周囲光センサと置き換えることができる。カメラ146は、操縦室112をはるかに広い視野で見ることにより、操縦室112内におけるより高度のルミナンス測定を行うことを可能にする。
【0032】
座席130がカメラの視野148内にある操縦室112内にカメラを有することにより、他の利点をさらに実現することも可能であることが理解されよう。このような利点は、パイロットの認識性の監視を含むことができ、それは、航空機100が、パイロットの注意力が維持される必要のある一人だけのパイロットにより操作される場合に非常に重要となるはずである。カメラ146は、パイロットが眠気を催しているかどうかを判定するために、パイロットの頭部の動きを監視するために使うことができる。制御装置152は、パイロットの画像またはビデオのフレームを比較することに基づいて、パイロットの頭部の動きを判定することができる。プロセッサの1つは、パイロットが眠気を催しているか、あるいは何らかの状態で能力を失っているかどうかを、画像またはビデオから判定するためのアルゴリズムを動作させることができる。パイロットの頭部の動きがパイロットに眠気があることを示していると判定された場合、制御装置152を使用して、警告を生成し、かつ注意を促すことができ、装置にパイロットの注意を引きつけるようにさせる。制御装置152は、航空機の完全に自動的な操作に従事しており、かつ/または何らかの方法で、パイロットが能力を失っていることを地上に警告できるようにすることも企図される。
【0033】
パイロットの動きは、画像またはビデオから判定することができるので、ジェスチャー制御をHDD142の制御に使用できることも企図される。より具体的には、制御装置152は、上記で述べたようにパイロットの動きを判定することができ、次いで、パイロットの判定された動きに基づいてHDD142を動作させることができる。こうすることにより、高度の対話的制御手法を得ることができる。
【0034】
カメラ146はまた、ビデオ会議などの他の機能に対しても使用することができ、その場合、パイロットの圧縮されたビデオを、衛星、セルラ式電話、Wi−Fi接続、または何らかの他の接続を介して、地上の受信装置に送ることができる。代替的には、ビデオは、パイロットと客室乗務員との間の内部の通信のために使用することもできる。実現できる他の利点は、繰り返し撮られる画像またはビデオを記録することであり、またそれをメモリ158に記憶することである。このような記録は、後で調べることができ、普通であれば利用することのできない操縦室内の活動に関する有益な情報を提供することができる。
【0035】
本記述は、最良の形態を含めて本発明を開示するために、かつ当業者が、任意の装置またはシステムを製作し、かつ使用し、任意の組み込まれた方法を実施することを含めて本発明を実施できるようにするために、諸例を使用している。本発明の特許姓のある範囲は、特許請求の範囲により定義されるが、当業者に想到される他の諸例を含むこともできる。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言とは異ならない構造的要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言とは非実質的な差を有する均等な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0036】
10 航空機
12 操縦室
14 フライトデッキ
16 ヘッドダウンディスプレイ
18 周囲光センサ
19 有効視野
20 前方監視遠隔光センサ
22 風防
100 航空機
112 操縦室
114 フライトデッキ
116 ヘッドダウンディスプレイ(HDD)組立体
122 風防
124 窓
130 座席
132 様々な計器および制御機構
140 ハウジング
142 ヘッドダウンディスプレイ(HDD)
144 ヘッドダウンディスプレイの視野角
146 カメラ
148 カメラの視野
150 ルミナンスターゲット、照明ターゲット、反射率ターゲット
152 制御装置、プロセッサ
154 画像プロセッサ
156 グラフィックプロセッサ
158 メモリ
160 情報システムサーバ
162 航空機システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のための操縦室であって、
光を通すことのできる少なくとも1つの透明な窓ガラスを有する風防と、
前記風防から離間され、かつ前記風防に面している少なくとも1つの座席と、
前記風防の下に少なくとも一部を配置し、かつ輝度信号により設定されうる調整可能な輝度を有する少なくとも1つのヘッドダウンディスプレイを有するフライトデッキと、
前記少なくとも1つの座席の少なくとも一部を含む視野を有し、かつ前記視野内のルミナンス情報を示す画像信号を出力するカメラと、
前記カメラおよび前記ヘッドダウンディスプレイに動作可能に結合されるプロセッサであり、前記画像信号を受け取り、前記視野の少なくとも一部のルミナンスを測定し、前記測定されたルミナンスに基づき前記ヘッドダウンディスプレイに対する輝度を決定するように構成され、前記決定された輝度に対応する輝度信号を前記ヘッドダウンディスプレイに出力する、プロセッサと
を備える操縦室。
【請求項2】
前記ヘッドダウンディスプレイが、前記カメラの視野の少なくとも一部と重複する視野角を有する、請求項1記載の操縦室。
【請求項3】
前記カメラの視野が、前記ヘッドダウンディスプレイの視野角を包含する、請求項2記載の操縦室。
【請求項4】
前記重複する部分が、前記座席の少なくとも一部を含む、請求項2または3記載の操縦室。
【請求項5】
所定の反射率を有するルミナンスターゲットをさらに備え、前記ルミナンスターゲットが前記カメラの視野内に位置する、請求項1乃至4のいずれかに記載の操縦室。
【請求項6】
横に並べて配置された2つの座席をさらに備え、前記カメラの視野が、前記2つの座席のそれぞれの少なくとも一部を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の操縦室。
【請求項7】
前記カメラが、前記ヘッドダウンディスプレイに取り付けられる、請求項1乃至6のいずれかに記載の操縦室。
【請求項8】
前記ヘッドダウンディスプレイが前記風防の下に配置される、請求項7記載の操縦室。
【請求項9】
前記プロセッサが、
前記カメラに動作可能に結合されて前記画像信号を受け取り、かつ前記画像信号に対応するルミナンス信号を出力する画像プロセッサと、
前記画像プロセッサに動作可能に結合されて前記ルミナンス信号を受け取り、かつそれに応じて前記ヘッドダウンディスプレイの輝度を調整するグラフィックプロセッサと
を備える、請求項1乃至8のいずれかに記載の操縦室。
【請求項10】
前記カメラがビデオカメラである、請求項1乃至9のいずれかに記載の操縦室。
【請求項11】
実質的に添付の図面を参照して本明細書で前に述べた操縦室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−39910(P2013−39910A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−140460(P2012−140460)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)