説明

航空機・宇宙機用流体冷却システム及び航空機・宇宙機用流体冷却方法

【課題】航空機・宇宙機に設置された配管内の流体を効率良く冷却することができ、流体の冷却に必要な流体量を低減することが可能な航空機・宇宙機用流体冷却システム及び航空機・宇宙機用流体冷却方法を提供することを目的とする。
【解決手段】流体冷却システム1は、貯蔵タンク4からポンプ8に流体を供給するフィードライン6と、ポンプ8を通過した推進薬を膨張させて、フィードライン6の外周に推進薬を供給し、フィードライン6内部の推進薬を冷却し、膨張した推進薬を外部に排出する冷却部26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機・宇宙機に設置された配管内の流体を冷却する航空機・宇宙機用流体冷却システム及び航空機・宇宙機用流体冷却方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体ロケットの多くは、極低温流体、例えば液体水素などの液体燃料及び液体酸素を推進薬としており、エンジン着火時に要求される機器温度や推進薬供給温度を低温に維持する必要がある。
【0003】
図4を参照して、液体ロケットにて推進薬供給温度を維持する流体冷却システム3について説明する。流体冷却システム3は、人工衛星等を積んで、軌道修正しながら惑星周囲を慣性飛行する第2段ロケットに使用される。
【0004】
貯蔵タンク4からポンプ8まで推進薬を供給するフィードライン6、及びポンプ8からメインライン11の先に接続されたエンジン(図示せず。)まで推進薬を供給するメインライン9,11、及び内部流体は、第2段ロケットが宇宙空間を慣性飛行中、外部又はポンプ8からの入熱によって温度上昇する。そこで、液体冷却システム3は、外部入熱によって飽和温度以上になりフィードライン6及びメインライン9,11に溜まった推進薬を一定間隔で外部(宇宙空間)に廃棄する。外部に推進薬が廃棄されることによって、フィードライン6及びメインライン9,11内部は、貯蔵タンク4内の低温の推進薬に置換される。
【0005】
図4に示す流体冷却システム3の場合、第2段ロケットがエンジンで推進薬を燃焼させずに慣性飛行している間は、通常、メインバルブ10、予冷弁14及びベアリング予冷弁16が閉状態にある。そして、慣性飛行中に推進薬の置換が実行される場合、予冷弁14とベアリング予冷弁16が開放されて、フィードライン6及びメインライン9に溜まった推進薬が、排気管13及び排気口18を介して外部に廃棄される。
【0006】
非特許文献1には、流体を微小流量ずつ廃棄して、配管内を連続置換することによって、流体を予冷する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−347113号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Bernard F.Kutter, Frank Zegler, Jon Barr, Mari Gravlee, Jake Szatkowski, Jeff Patton,Scott Ward, "Ongoing Launch Vehicle Innovation at United Launch Alliance",IEEE 2010-1020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の技術では、慣性飛行時間が長くなるほど、予冷のために廃棄しなければならない推進薬量(すなわち燃焼に使用されない無効推進薬量)が過大となる。そのため、貯蔵タンクには、無効推進薬量分を見込んだ推進薬を搭載する必要があるため、重量の増大につながり、ロケット打ち上げ能力の向上の妨げとなっている。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、航空機・宇宙機に設置された配管内の流体を効率良く冷却することができ、流体の冷却に必要な流体量を低減することが可能な航空機・宇宙機用流体冷却システム及び航空機・宇宙機用流体冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の航空機・宇宙機用流体冷却システム及び航空機・宇宙機用流体冷却方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る航空機・宇宙機用流体冷却システムは、貯蔵タンクからポンプに流体を供給する第1供給管、又はポンプから燃焼器に流体を供給する第2供給管と、ポンプを通過した流体を膨張させて、第1供給管及び第2供給管の少なくともいずれか一方の外周に流体を供給し、第1供給管及び第2供給管の少なくともいずれか一方の内部の流体を冷却し、膨張した流体を外部に排出する冷却部とを備える。
【0012】
この発明によれば、流体は、例えば液化した状態で貯蔵タンクに貯蔵されており、第1供給管を介して、貯蔵タンクからポンプへ供給され、第2供給管を介して、ポンプから燃焼器へ供給される。流体は、例えば水素、LNG等の液体燃料、又は液体酸素である。冷却部では、ポンプを通過した流体が膨張することによって低温化し、低温化した流体が、第1供給管及び第2供給管の少なくともいずれか一方の外周側から第1供給管及び第2供給管の少なくともいずれか一方の内部の流体を冷却する。その後、膨張した流体は外部に排出される。
【0013】
第1供給管及び第2供給管の少なくともいずれか一方の内部の流体は、冷却部によって冷却されるため、低温で維持される。したがって、燃焼器が作動して流体を燃焼する前の状態において、第1供給管及び第2供給管の少なくともいずれか一方の内部に流体が滞留し、外部から熱を受けて飽和温度以上になることを防止できる。また、貯蔵タンクから第1供給管を経てポンプを通過した流体が冷却部へ供給されるため、流体が冷却部へ供給されると、第1供給管とポンプ内の流体は、貯蔵タンクから供給される流体で置換される。したがって、貯蔵タンクから供給される比較的低温の流体によって、第1供給管とポンプを冷却できる。なお、冷却部における冷却用の流体を気液二相流とした場合、蒸発潜熱を利用でき、交換熱量を大きくすることができるため、効率的に第1供給管又は第2供給管内の流体を冷却できる。なお、ポンプは、例えばターボポンプである。
【0014】
上記発明において、冷却部は、第1供給管及び第2供給管の少なくともいずれか一方の長さ方向に沿って外周に流体を供給してもよい。
【0015】
この発明によれば、第1供給管及び第2供給管の少なくともいずれか一方の外周に供給された流体は、第1供給管及び第2供給管の少なくともいずれか一方の長さ方向、すなわち管路に沿って流れるため、内部の流体を効率的に冷却できる。
【0016】
上記発明において、冷却部は、第1供給管及び第2供給管の少なくともいずれか一方と二重配管を形成し、二重配管の内管が第1供給管又は第2供給管であって、冷却部は、二重配管の外管と内管の間に流体を通過させてもよい。
【0017】
この発明によれば、内管である第1供給管又は第2供給管内の流体は、内管を包含する外管と内管の間を通過する流体によって冷却されるため、低温の流体との接触面積が広く、効率的に温度が降下する。
【0018】
また、本発明に係る航空機・宇宙機用流体冷却方法は、貯蔵タンクとポンプを連結する第1供給管の内部を介して貯蔵タンクからポンプへ流体を供給するステップと、ポンプを通過した流体を膨張させるステップと、膨張した流体を、第1供給管の外周、及びポンプと燃焼器を連結する第2供給管の外周の少なくともいずれか一方に供給するステップと、第1供給管の外周及び第2供給管の外周の少なくともいずれか一方に供給された流体が、第1供給管の内部及び第2供給管の内部の少なくともいずれか一方の流体を冷却するステップと、第1供給管の内部及び第2供給管の内部の少なくともいずれか一方の流体を冷却した、第1供給管の外周及び第2供給管の外周の少なくともいずれか一方に供給された流体を外部に排出するステップとを備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、航空機・宇宙機に設置された配管内の流体を効率良く冷却することができ、流体の冷却に必要な流体量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る流体冷却システムを示す配管図である。
【図2】二重配管を示す部分拡大断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る流体冷却システムを示す配管図である。
【図4】従来の流体冷却システムを示す配管図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る流体冷却システム1について、図1を用いて説明する。流体冷却システム1は、液体ロケット、特に、人工衛星等を積んで、軌道修正しながら惑星周囲を慣性飛行する第2段ロケット等に使用される。
【0022】
流体冷却システム1は、冷却部26がフィードライン6を冷却することによって、フィードライン6内の推進薬を冷却することができる。推進薬は、流体の一例であり、例えば液体水素などの液体燃料、又は液体酸素である。推進薬は、エンジン(図示せず。)の燃焼に使用される。流体冷却システム1は、液体ロケット内における液体燃料系統と液体酸素系統の2系統にそれぞれ設けられてもよいし、いずれか一方の系統のみに設けられてもよい。なお、液体酸素のほうが、液体燃料に比べて分子量が大きいため、液体酸素系統に設けられる場合のほうが液体燃料系統に設けられる場合よりも、後述する廃棄量削減の効果が高い。
【0023】
第2段ロケットは、推進薬を貯蔵する貯蔵タンク4と、推進薬をエンジンに供給するポンプ8を有する。ポンプ8は、例えばターボポンプである。なお、本発明は、ターボポンプ以外のポンプを用いるエンジンシステムにも適用可能である。
【0024】
フィードライン6は、第1供給管の一例であり、貯蔵タンク4に設けられた取出し口5と、ポンプ8を連結している。フィードライン6は、貯蔵タンク4からポンプ8へ推進薬を供給する。なお、フィードライン6とポンプ8の接続部分には、蛇腹状の管材であるベローズ7が使用される。ベローズ7によれば、フィードライン6とポンプ8の間に可とう性を持たせることができる。フィードライン6は、取出し口5からベローズ7の入口までの間、二重配管27の内管を構成する。
【0025】
メインライン9,11は、第2供給管の一例であり、メインバルブ10を介してポンプ8とエンジン(燃焼器)を連結している。メインライン9,11は、ポンプ8からエンジンに推進薬を供給する。メインライン9は、ポンプ8からメインバルブ10までの配管であり、メインライン11は、メインバルブ10からエンジンまでの配管である。
【0026】
メインバルブ10は、第2段ロケットの軌道修正などのため、エンジンで推進薬を燃焼させる際は開状態にされ、慣性飛行中であってエンジンで推進薬を燃焼させない間は閉状態にされる。
【0027】
メインライン9には、分岐部12が設けられ、排気管13が分岐部12に接続される。排気管13は、排気口18が設けられており、排気口18から推進薬を廃棄する。また、排気管13には、予冷弁14が設けられる。予冷弁14は、エンジン燃焼中、及び慣性飛行中ともに、通常は閉状態である。予冷弁14は、外部からの入熱によって飽和し、メインライン9に溜まった推進薬を廃棄する場合に開状態にされる。
【0028】
ポンプ8には、ベアリング予冷ライン15が接続される。ベアリング予冷ライン15は、ポンプ8と、合流部17を連結している。合流部17は、ベアリング予冷ライン15と排気管13との合流地点である。ベアリング予冷ライン15には、ベアリング予冷弁16が設けられる。ベアリング予冷弁16は、エンジン停止中にポンプ8に設けられたベアリング(図示せず。)を冷却するため、開状態にされる。ベアリングは、ベアリング予冷ライン15を通過する推進薬によって冷却される。ベアリングを冷却した推進薬は、排気管13及び排気口18を介して外部に廃棄される。ベアリング予冷弁16は、エンジン燃焼中及びベアリングの冷却が不要な間は、閉状態にされる。
【0029】
ベアリング予冷ライン15には、分岐部21が設けられ、冷却部入口管22が分岐部21に接続される。冷却部入口管22は、分岐部21と、外管入口25を連結している。外管入口25は、冷却部26の入口であって、フィードライン6の外周のうち貯蔵タンク4側に設けられる。なお、外管入口25は、フィードライン6の外周のうちポンプ8側に設けられてもよい。冷却部入口管22には、上流オリフィス23と、開閉弁24が設けられる。開閉弁24は、冷却部26に推進薬を通過させる際、開状態にされ、冷却部26に推進薬を通過させない場合に、閉状態にされる。
【0030】
冷却部26は、二重配管27の外管であり、二重配管27のうち内管を構成するフィードライン6と接触しつつ、フィードライン6の外周を包含する。冷却部26の出口である外管出口28には、冷却部出口管29が接続される。外管出口28は、フィードライン6の外周のうちポンプ8側に設けられる。なお、外管出口28は、外管入口25がポンプ8側に設けられるとき、フィードライン6の外周のうち貯蔵タンク4側に設けられてもよい。冷却部出口管29は、外管出口28と、合流部31を連結している。合流部31は、冷却部出口管29と、排気管13との合流地点である。冷却部出口管29には、下流オリフィス30が設けられる。冷却部出口管29は、排気管13及び排気口18を介して、膨張した推進薬を外部へ廃棄する。
【0031】
上流オリフィス23と下流オリフィス30は、それぞれ流量調整機構を有しており、開閉弁24が開状態にあるとき、上流オリフィス23と下流オリフィス30間で、推進薬をジュール・トムソン効果によって膨張させる。その結果、上流オリフィス23と下流オリフィス30間で、推進薬は低温化し、冷却部26を通過する低温の推進薬が、フィードライン6内の推進薬を冷却する。上流オリフィス23と下流オリフィス30は、事前試験によって得られる流量に基づいて、例えば固定である。なお、上流オリフィス23と下流オリフィス30は、可変としてもよく、温度に応じて冷却部26を流れる流量を変化させるようにしてもよい。
【0032】
冷却部26に供給された推進薬は、フィードライン6の管路方向に沿って流れることによって、フィードライン6内の推進薬を効率的に冷却できる。また、冷却部26への推進薬の供給は、慣性飛行中、エンジンの着火前にわたって常時継続させてもよい。常時推進薬を流し続けたとしても、膨張低温化の効果によって、従来の間欠的に推進薬を廃棄し、置換する方法に比べて、推進薬の廃棄量を削減できる。
【0033】
図2を参照して、二重配管27について説明する。
二重配管27は、内管33と外管34からなる。内管33内部は、フィードライン6であって、貯蔵タンク4からポンプ8へ流れる推進薬が通過する。外管34と内管33の間は、冷却部26であって、膨張低温化した推進薬が通過する。
【0034】
冷却部26を低温化した推進薬が通過することによって、外管34を介する外部からの入熱がフィードライン6を通過する推進薬へ伝達されるのを防ぐ。また、冷却部26を通過する推進薬が、内管33の外周側から、フィードライン6を通過する推進薬を冷却し、飽和した推進薬を凝縮させる。
【0035】
二重配管27によれば、内管33は、外管34と内管33を通過する推進薬との接触面積が広く、効率的に内管33内部の推進薬の温度を低下させることができる。なお、内管33の外周部にフィンを設けて、熱伝達を促進させるようにしてもよい。
【0036】
フィードライン6内部の推進薬は、冷却部26によって冷却されるため、低温で維持される。したがって、エンジンが作動して推進薬を燃焼する前の状態において、フィードライン6内部に推進薬が滞留し、外部から熱を受けて飽和温度以上になることを防止できる。また、貯蔵タンク4からフィードライン6を経てポンプ8を通過した推進薬が冷却部26へ供給されるため、推進薬が冷却部26へ供給されると、フィードライン6とポンプ8内の推進薬は、貯蔵タンク4から供給される推進薬で置換される。したがって、貯蔵タンク4から供給される比較的低温の推進薬によって、フィードライン6とポンプ8を冷却できる。
【0037】
なお、冷却部26における冷却用の推進薬を気液二相流とした場合、冷却部26内部では沸騰と強制対流が生じる。そして、冷却部26内部の推進薬の蒸発潜熱を利用でき、交換熱量を大きくすることができるため、効率的にフィードライン6内の流体を冷却できる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る流体冷却システム2について、図3を用いて説明する。尚、第1実施形態と重複する構成については省略する。
【0039】
上述した第1実施形態では、冷却部26がフィードライン6の外周部に設けられる場合について説明したが、第2実施形態では、冷却部26がメインライン9の外周部に設けられる。そして、メインライン9と冷却部26によって、二重配管32が構成される。メインライン9は、二重配管32の内管を構成する。
【0040】
本実施形態の外管入口25は、冷却部26の入口であって、メインライン9の外周のうちポンプ8側に設けられる。なお、外管入口25は、メインライン9の外周のうちエンジン側に設けられてもよい。冷却部26は、二重配管32の外管であり、二重配管32のうち内管を構成するメインライン9と接触しつつ、メインライン9の外周を包含する。外管出口28は、メインライン9の外周のうちエンジン側に設けられる。なお、外管出口28は、外管入口25がエンジン側に設けられるとき、メインライン9の外周のうちポンプ8側に設けられてもよい。
【0041】
本実施形態では、上流オリフィス23と下流オリフィス30間で、推進薬が低温化し、冷却部26を通過する低温の推進薬が、メインライン9内の推進薬を冷却する。
【0042】
冷却部26に供給された推進薬は、メインライン9の管路方向に沿って流れることによって、メインライン9内の推進薬を効率的に冷却できる。
【0043】
メインライン9内部の推進薬は、冷却部26によって冷却されるため、低温で維持される。したがって、エンジンが作動して推進薬を燃焼する前の状態において、メインライン9内部に推進薬が滞留し、外部から熱を受けて飽和温度以上になることを防止できる。また、貯蔵タンク4からフィードライン6を経てポンプ8を通過した推進薬が冷却部26へ供給されるため、推進薬が冷却部26へ供給されると、フィードライン6とポンプ8内の推進薬は、貯蔵タンク4から供給される推進薬で置換される。したがって、貯蔵タンク4から供給される比較的低温の推進薬によって、フィードライン6とポンプ8を冷却できる。
【0044】
以上、本発明の第1、第2実施形態によれば、推進薬の膨張低温化によって、フィードライン6又はメインライン9内の推進薬を冷却できる。また、従来の間欠的に推進薬を廃棄し、置換する方法に比べて、推進薬の廃棄量を削減できる。システム条件によっては、廃棄量を1/3以下に削減できる。
【0045】
なお、上記第1実施形態と第2実施形態では、いずれか一つのシステムからなる場合について説明したが、本発明は、第1実施形態と第2実施形態を組み合わせたシステムとすることも可能である。また、推進薬の膨張低温化や推進薬の置換によって冷却できる対象は、フィードライン6又はメインライン9内部の推進薬や、ポンプ8に限られず、二重配管27,32の外管34近傍の部材も含まれる。
【0046】
また、上記実施形態では、液体ロケットのうち第2段ロケットの場合について説明したが、本発明はこの例に限定されず、液体燃料及び液体酸素などの極低温流体を使用してエンジンを燃焼させる航空機や宇宙機にも適用できる。更に、上記実施形態では、冷却部26は、二重配管27,32の外管34と内管33の間で構成されるとしたが、本発明はこの例に限定されない。膨張低温化させた推進薬がフィードライン6又はメインライン9と接触して、熱伝達できればよく、二重配管を使用しない構成でもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、ジュール・トムソン効果によって推進薬の膨張低温化する例について説明したが、他の方法によって推進薬を膨張低温化させて、フィードライン6又はメインライン9内の推進薬を冷却させてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,2,3 流体冷却システム
4 貯蔵タンク
5 取出し口
6 フィードライン(第1供給管)
7 ベローズ
8 ポンプ
9,11 メインライン(第2供給管)
10 メインバルブ
12 分岐部
13 排気管
14 予冷弁
15 ベアリング予冷ライン
16 ベアリング予冷弁
17 合流部
18 排気口
21 分岐部
22 冷却部入口管
23 上流オリフィス
24 開閉弁
25 外管入口
26 冷却部
27,32 二重配管
28 外管出口
29 冷却部出口管
30 下流オリフィス
31 合流部
33 内管
34 外管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵タンクからポンプに流体を供給する第1供給管、又は前記ポンプから燃焼器に前記流体を供給する第2供給管と、
前記ポンプを通過した前記流体を膨張させて、前記第1供給管及び前記第2供給管の少なくともいずれか一方の外周に前記流体を供給し、前記第1供給管及び前記第2供給管の少なくともいずれか一方の内部の前記流体を冷却し、膨張した前記流体を外部に排出する冷却部と、
を備える航空機・宇宙機用流体冷却システム。
【請求項2】
前記冷却部は、前記第1供給管及び前記第2供給管の少なくともいずれか一方の長さ方向に沿って外周に前記流体を供給する請求項1に記載の航空機・宇宙機用流体冷却システム。
【請求項3】
前記冷却部は、前記第1供給管及び前記第2供給管の少なくともいずれか一方と二重配管を形成し、前記二重配管の内管が前記第1供給管又は前記第2供給管であって、前記冷却部は、前記二重配管の外管と前記内管の間に前記流体を通過させる請求項1又は2に記載の航空機・宇宙機用流体冷却システム。
【請求項4】
貯蔵タンクとポンプを連結する第1供給管の内部を介して前記貯蔵タンクから前記ポンプへ流体を供給するステップと、
前記ポンプを通過した前記流体を膨張させるステップと、
膨張した前記流体を、前記第1供給管の外周、及び前記ポンプと燃焼器を連結する第2供給管の外周の少なくともいずれか一方に供給するステップと、
前記第1供給管の外周及び前記第2供給管の外周の少なくともいずれか一方に供給された前記流体が、前記第1供給管の内部及び前記第2供給管の内部の少なくともいずれか一方の前記流体を冷却するステップと、
前記第1供給管の内部及び前記第2供給管の内部の少なくともいずれか一方の前記流体を冷却した、前記第1供給管の外周及び前記第2供給管の外周の少なくともいずれか一方に供給された前記流体を外部に排出するステップと、
を備える航空機・宇宙機用流体冷却方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−214148(P2012−214148A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81257(P2011−81257)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)