説明

航空機用ビデオ表示ユニット及びシステム

ビデオ表示ユニットは、航空機客室の一部分に結合されるハウジングと、少なくとも部分的に前記ハウジングの内部に配設されるローカル・エリア・ネットワーク・インターフェースと、前記ハウジングの内部に配設されるビデオ・デコーダとを含む。前記ビデオ・デコーダは、前記ネットワーク・インターフェースを介してビデオ・コンテンツを受信し、前記ビデオ・コンテンツを復号化する。前記ビデオ表示ユニットは、前記ハウジングに結合される表示画面も有する。前記表示画面は、前記ビデオ・コンテンツを表示する。前記表示画面を用いると、例えば磁気カード・リーダを使用してクレジット・カードでアイテムを購入することを含めて、乗客が画面上の指示に応答して前記表示画面と対話することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] (関連出願の相互参照)本願は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる、2006年7月21日に出願された米国仮出願第60/807947号の利益を主張する。
【0002】
[0002] 本願に関する主題は、参照によりそれらの内容全体が本明細書に組み込まれる、2005年5月25日に出願された米国特許出願第11/137011号、及び2004年5月27日に出願された米国仮出願第60/547897号に開示されている。
【0003】
[0003] 本発明は一般に、機内(in‐flight)エンターテインメント・システムに関し、より詳細には、ネットワークとリンクされた乗客ビデオ表示ユニットを有する機内エンターテインメント・システムに関する。
【背景技術】
【0004】
[0004] 近年、旅行者は価格を重視して航空会社を選択する傾向があることから、航空業界の競争は熾烈さを増しており、業務のコモディティ化が進んでいる。事業継続のために、航空会社はコスト管理を行う必要がある。一方、そのようなサービスへの乗客の期待が高まっていることから、航空会社は、いくつかの機内アメニティを提供する必要もある。かかるアメニティの一例は、機内エンターテインメントである。一般に、フライトが数時間以上に及ぶ場合、乗客は少なくとも1本の映画が上映されることを期待する。しかしながら、従来の機内映画上映の1つの問題は、必ずしもすべての乗客の鑑賞嗜好が一致しないにも関わらず、すべての乗客に同じ映画が上映されることである。また、どのようなフライトであれ最も落ち着きのない乗客は子供であるが、子供達は成人向けの映画には興味を示さない。したがって、航空会社は、少なくとも一部の乗客には好まれるはずの優良な映画は無視して、大衆受けが見込める映画を選ばざるを得ない。そのため、目の肥えた乗客ほど、フライト中にバッテリが切れないことを願いながら各自の所有するパーソナル・ムービー・プレーヤ及びビデオ・コンテンツを持参せざるを得なくなる。別の問題としては、必ずしもすべての乗客が映画を見ることを望んでいないことが挙げられる。多くの乗客は、インターネットを見ながら、あるいはビデオ・ゲームで遊びながら、あるいはフライト中に提供される商品の買い物などをしながら時間を過ごすことを好むはずである。これらの代替手段での気晴らしを望む乗客はやはり、各自の所有するデバイスを持参するしかない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上記の課題を解決する航空機用ビデオ表示ユニットが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0005] 上記に鑑みて、航空機乗客用ビデオ表示ユニット(aircraft passenger video display unit)が提供される。ここで、前記ビデオ表示ユニットの一実施形態について説明する。本実施形態では、前記ビデオ表示ユニットは、航空機客室の一部分に結合されるハウジングと、少なくとも部分的に前記ハウジングの内部に配設されるローカル・エリア・ネットワーク・インターフェースと、前記ハウジングの内部に配設されるビデオ・デコーダとを含む。前記ビデオ・デコーダは、前記ネットワーク・インターフェースを介してビデオ・コンテンツを受信し、前記ビデオ・コンテンツを復号化する。前記ビデオ表示ユニットは、前記ハウジングに結合される表示画面も有する。前記表示画面は、復号化された前記ビデオ・コンテンツを表示し、乗客に磁気カードを挿入するよう指示するプロンプトを表示する。前記ビデオ表示ユニットは、前記ハウジングに結合される磁気カード・リーダも有する。前記磁気カード・リーダは、前記磁気カードを受け入れ、前記磁気カード(クレジット・カードであってもよい)のデータを読み込み、読み込まれた前記データを前記ネットワーク・インターフェースを介して送信する。前記ビデオ・コンテンツは、販売アイテムについて説明することができ、前記ネットワーク・インターフェースを介して送信される前記磁気カードの前記データは、乗客が前記表示ユニットを使用して前記アイテムを購入することが可能となるデータを含むことができる。
【0007】
[0006] 一実装形態では、前記ビデオ表示は、前記表示画面に結合されるタッチ・スクリーン・インターフェースを有する。前記タッチ・スクリーン・インターフェースは、前記乗客の前記ビデオ・コンテンツの選択を受信する。
【0008】
[0007] 別の実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、前記ハウジングに結合され、磁界を感知したときに信号を生成する磁気センサと、前記表示画面に結合されるバックライトとを有する。前記ビデオ表示ユニットは、前記磁気センサによって生成された前記信号が少なくとも所定の期間にわたって検出されたときは前記バックライトをオフに切り替える。
【0009】
[0008] また別の実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、ヘッドセットの接続を受け入れるオーディオ・インターフェースを有する。
【0010】
[0009] 他の実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、前記ハウジングの内部に配設されるイーサネット(登録商標)・スイッチと、前記ハウジングの外部に露出し、前記イーサネット(登録商標)・スイッチと通信可能にリンクされる複数のイーサネット(登録商標)・ポートとを有する。
【0011】
[0010] 他の実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、前記ハウジングに組み込まれた無線アンテナ・インターフェースを有し、それにより、前記無線アンテナは、前記ハウジングの外部に露出し、それぞれビデオ、オーディオ、及びデータの無線通信用に前記内部プロセッサとリンクされることになる。
【0012】
[0011] 他の実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、前記表示画面上に表示されるユーザ・インターフェイスからの複数の選択のうちの1つに関する、前記乗客による選択を表す赤外線信号を受信し、前記赤外線信号を電気信号に変換し、前記電気信号を送信する赤外線トランシーバを有する。本実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、前記電気信号を受信し、前記ネットワーク・インターフェースを介して前記ユーザ選択を表すデータを送信するプロセッサも有する。
【0013】
[0012] 他の実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、外部ドライブ・インターフェースを有する。
【0014】
[0013] 他の実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、シリアル・データ・ポートを有し、前記シリアル・データ・ポートを介してカーネル・ソフトウェアを受信する。前記ビデオ表示ユニットは、前記ネットワーク・インターフェースを介してアプリケーション・ソフトウェア・コードを受信する。
【0015】
[0014] 次に、本発明の別の実施形態について説明する。本実施形態では、航空機乗客にビデオ・コンテンツを表示するシステムは、航空機の内部に取り付けられるビデオ表示ユニットを含む。前記ビデオ表示ユニットは、表示画面、ローカル・エリア・ネットワーク・インターフェース、及び赤外線トランシーバを有する。前記ビデオ表示ユニットは、前記表示画面上にユーザ・インターフェイスを表示し、前記赤外線トランシーバを介して前記ユーザ・インターフェイスからのアイテムのユーザ選択を示す信号を受信し、前記ネットワーク・インターフェースを介して少なくとも部分的に前記ユーザ選択に基づくデータを送信する。本実施形態では、前記システムは、赤外線トランシーバを備える乗客用制御ユニットを含む。前記乗客用制御ユニットは、前記ユーザ選択を表すユーザ入力を受けつけ、前記ユーザ選択を示す前記信号を前記ビデオ表示ユニットに送信する。
【0016】
[0015] 一実装形態では、前記システムは、前記航空機上に位置するローカル・エリア・ネットワークと、前記ネットワークと通信可能にリンクされるサーバとを含む。前記サーバにはビデオ・コンテンツが記憶される。
【0017】
[0016] 別の実装形態では、前記ビデオ・コンテンツは、複数のデジタル・フォーマット・ビデオを含む。前記ユーザ選択は、前記複数のビデオのうちの1つを表す。前記ビデオ表示ユニットは、前記ユーザ選択を表すデータを前記サーバに送信し、選択された前記ビデオを前記ネットワーク・インターフェースを介して受信し、選択された前記ビデオを復号化し、選択された前記ビデオを前記表示画面上に表示する。
【0018】
[0017] また別の実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、複数のビデオ表示ユニットのうちの1つであり、前記システムは、前記ローカル・エリア・ネットワークと通信可能にリンクされたネットワーク・スイッチを有する座席エレクトロニクス・ボックス(seat electronics box)をさらに含む。前記複数のビデオ表示ユニットは、それぞれ別個のネットワーク・リンクを介して前記座席エレクトロニクス・ボックスと通信可能にリンクされる。
【0019】
[0018] 他の実装形態では、前記座席エレクトロニクス・ボックスは、前記ローカル・エリア・ネットワークを介して受信されたデータをRF信号に変換するRFタップと、前記RFタップを介して前記座席エレクトロニクス・ボックスから前記RF信号を受信するオーバーヘッドディスプレイユニットとを有する。
【0020】
[0019] 他の実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、シリアル・データ・ポートを有する。本実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、前記ネットワーク・インターフェースを介してアプリケーション・ソフトウェア・コードを受信し、前記シリアル・データ・ポートを介してカーネル・ソフトウェア・コードを受信する。
【0021】
[0020] 他の実装形態では、前記ビデオ表示ユニットは、挿入された磁気カードを受け入れ、前記磁気カードのデータを読み込み、前記ネットワーク・インターフェースを利用して、読み込まれた前記データを前記ローカル・エリア・ネットワークを介して送信する磁気カード・リーダを有する。
【0022】
[0021] 他の実装形態では、前記磁気カードは、クレジット・カードであり、前記ローカル・エリア・ネットワークを介して送信されるデータは、乗客がビデオ・コンテンツを購入することが可能となるデータを含む。
【0023】
[0022] 次に、本発明のまた別の実施形態について説明する。本実施形態では、ビデオ・コンテンツを提供するシステムは、航空機内に搭載され、複数の乗客席と、ローカル・エリア・ネットワークと、(それぞれ前記複数の乗客席のうちの少なくとも1つの近傍に位置する)複数のビデオ表示ユニットとを有する。本実施形態の各ビデオ表示ユニットは、表示画面と、前記ローカル・エリア・ネットワークと通信可能にリンクされるネットワーク・インターフェースと、保守インターフェースと、プロセッサが上部に配設されるプリント回路基板とを有する。前記プロセッサは、それ自体がビデオ信号を復号化することが可能となる命令を実行する。前記システムは、前記ローカル・エリア・ネットワークと通信可能にリンクされ、前記ローカル・エリア・ネットワークを介して符号化されたビデオ信号を送信するサーバも有する。前記複数のビデオ表示ユニットはそれぞれ、前記ネットワーク・インターフェース・カードを介して前記符号化されたビデオ信号を受信する。前記プロセッサは、前記符号化されたビデオ信号を復号化する。前記ビデオ表示ユニットは、前記ビデオ・コンテンツを前記表示画面上に表示する。本実施形態の前記ビデオ表示ユニットは、前記保守インターフェースを介して試験信号も受信する。前記ビデオ表示ユニットは、前記保守インターフェースを介して前記プリント回路基板の状態を表す前記試験信号に対する応答を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】[0023] 本発明の一実施形態に係るスマート・ビデオ表示ユニット(SVDU)が動作するシステムの一例を示す図である。
【図2】[0024] SVDUの一実施形態を示すブロック図である。
【図3】[0025] エリア・ディストリビューション・ボックス(ADB)(図1)の一実施形態を示す図である。
【図4】[0026] 座席エレクトロニクス・ボックス(SEB)(図1)の一実施形態を示す図である。
【図5】[0027] SVDUの一実施形態におけるデータ・フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0028] 図1は、本発明の一実施形態に従って構成されたビデオ表示ユニットが配備されるシステムを示す。このシステムは、全体的に符号10で示されており、インフライト・エンターテインメント(IFE)・ラック12と、1つ又は複数のエリア・ディストリビューション・ボックス(ADB)14と、1つ又は複数の座席エレクトロニクス・ボックス(SEB)16と、1つ又は複数のタッピング・ユニット18と、1つ又は複数のオーバーヘッドモニタ20と、1つ又は複数のイーサネット(登録商標)・リンク22とを含む。IFE ラック12には、2つのデジタル・サーバ・ユニット(DSU)26及び28、イーサネット(登録商標)・スイッチング・ユニット(ESU)30を備えたオーディオ・ビデオ・コントローラ(AVC)24と、キャビン・ターミナル・ユニット(CTU)31とが収容され、又は、旧世代のAVC、DSU、及びESUをすべて組み合わせた機能を有するより新しいデジタル・オーディオ・ビデオ・サーバ・ユニット(AVC‐D)24と、キャビン・ターミナル・ユニット(CTU)31とが収容される。AVC又はAVC‐D 24は、オーディオ及びビデオ・コンテンツの乗客への配信を制御し、CTU 31は、客室乗務員が使用する端末インターフェースを提供する。IFE ラックに収容される構成部品は、ESU 30又はAVC‐D 24を介して切り替えられるイーサネット(登録商標)・リンク22を介してADB 14と通信可能にリンクされている。図1に示されるように、ADB 14のうちのいくつかは、無線周波数(RF)リンクを介してタッピング・ユニット18と通信可能にリンクされている。一方、各タッピング・ユニット18は、RFリンクを介してオーバーヘッドモニタ20と通信可能にリンクされている。イーサネット(登録商標)・リンク22は無線であってもよいことを理解していただきたい。各SEB 16には、乗客用制御ユニット(passenger control unit:PCU)32(ユニバーサル・シリアル・バス(USB)又はイーサネット(登録商標)を介してSEB 16と通信可能にリンクされている)と、SVDU 34(イーサネット(登録商標)・リンクを介してSEB 16と通信可能にリンクされている)と、オーディオ・ジャック(AJ)38とが関連付けられている。いくつかの実施形態では、PCU 32は無線であり、無線送信機(RF送信機やIR送信機等)を収容し、SEB 16を介さずにSVDU 34と直接通信する。本発明の様々な実施形態において、図1に示される構成部品はすべて、航空機の客室内に位置する。言うまでもなく、本明細書に記載の各実施形態は、航空機、バス、電車、船舶等の任意のタイプのビークルで採用することができる。
【0026】
[0029] 本発明の一実施形態によれば、SVDU 34は、乗客が、システム10を通して通信するために使用することができる端末である。SVDU 34は、座席後部上、肘掛け上、客室壁上等、客室内の様々な場所に設置することができる。各SVDU 34は、タッチ・スクリーンや磁気カード・リーダ等のオプションを有する、表示画面及びハウジングを含む。SVDU 34は、該当する航空機規制に準拠するように選択された材料でできている。例えば、回路基板アセンブリに関してはFR‐4材料が使用される。SVDU 34の外面は、イソプロピルアルコール、家庭用アンモニア、食物酸(例えばレモンジュースやソフト・ドリンク等)、及び商用洗浄剤への耐性を有するように設計される。さらに、SVDU 34の外面全体の仕上げは、商用洗浄剤に浸した業務用洗浄パッドへの耐摩耗性を有するように設計される。また、SVDU 34は、安全性、保守性、及び信頼性を最大化するために、人間工学の設計基準及び原理に従って設計される。本発明の一実施形態では、SVDU 34は、バックライトを有する液晶ディスプレイ(LCD)を含む。SVDU 34は、LCD上でオン・スクリーン・ディスプレイ(OSD)の機能を提供する。
【0027】
[0030] 次に図2を参照して、図1のADB 14の例示的な一実装形態について説明する。本実装形態によれば、ADBは、マイクロプロセッサ44(例えば300MHz G3 PowerPC)によって制御され、イーサネット(登録商標)・スイッチ42を含む。ADBは、1000BaseT又は光ファイバ・イーサネット(登録商標)を介してESU 30又はAVC‐D 24(図1)と通信可能にリンクされている。ADBは、イーサネット(登録商標)・リンク(1000BaseT又は100BaseT)を介してそれ自体のサブネット内のSEB 28のうちのいくつかと通信可能にリンクされている。ADBは、ESU 30又はAVC‐D 24からイーサネット(登録商標)・フレームを受信し、受信された各フレームの宛先MACアドレス及びマルチキャスト・プロトコル・コマンドに基づいて、各イーサネット(登録商標)・フレームを該当するSEBに送信する。また、ADBは、イーサネット(登録商標)・フレーム内に含まれるパケットのIPアドレスを検出し、それらのIPアドレスに基づいて各イーサネット(登録商標)・フレームを該当するSEBに送信することが可能であってもよい。
【0028】
[0031] 次に図3を参照して、図1のSEB 16の例示的な一実装形態について説明する。本実装形態によれば、SEB 16は、マイクロプロセッサ54(例えば300MHz G3 PowerPC)によって制御され、イーサネット(登録商標)・スイッチ52を含む。SEBは、イーサネット(登録商標)・リンク(1000BaseT又は100BaseT)を介してESU又はAVC‐D 30(図1)あるいは別のSEBと通信可能にリンクされている。SEBは、1000BaseT又は100BaseTイーサネット(登録商標)を介して第1、第2、第3、場合によっては第4のSVDU 34とも通信可能にリンクされている。SEB 16は、ESU 30又はAVC‐D 24から直接又は他のSEBを介してイーサネット(登録商標)・フレームを受信し、受信されたフレームの宛先MACアドレス及びマルチキャスト・プロトコル・コマンドに少なくとも部分的に基づいて、各イーサネット(登録商標)・フレームを該当するデジタル・ビデオ・プレーヤに送信する。また、SEBは、イーサネット(登録商標)・フレーム内に含まれるパケットのIPアドレスを検出し、それらのIPアドレスに基づいて各イーサネット(登録商標)・フレームを該当するSVDU 34に送信することが可能であってもよい。
【0029】
[0032] 一実施形態では、SVDU 34(図1)は、3つの主要な構成部品、即ち、バックライト及びオプションのタッチ・スクリーン及び/又は磁気カード・リーダを有する液晶ディスプレイ(LCD)と、バックライト・インバータ電源を有する電力インターフェース・プリント回路基板(PCB)と、メイン・プロセッサが配置されるプロセッサ・プリント回路基板(PCB)とを有する。
【0030】
[0033] 次に図4のブロック図を参照して、本発明の一実施形態に係るSVDU 34の一構成について説明する。図4に示される構成部品のうちのいくつかは、後述する図5にも示されている(ただし、参照番号は異なる)。SVDU 34は、バックライト102で照明されるLCD画面100と、タッチ・パネル104とを含む。SVDU 34は、プロセッサ106、グラフィックス・ジェネレータ108、MPEGデコーダ109又はプロセッサ106と一体化されたMPEGデコーダ、NTSCコンバータ110、サウンド・ジェネレータ112、USBインターフェース114、及びイーサネット(登録商標)・インターフェース116も含む。RAM 118、ブート/BIOS ROM 120、フラッシュ・ディスク122、及び拡張メモリ124は、すべてプロセッサ106と通信可能にリンクされている。MPEGデコーダ109は、独自のメモリ126も有する。
【0031】
[0034] ここで、本発明の一実施形態においてMPEGデコーダ109が有し得る特徴について説明する。MPEGデコーダ109は、複数の言語を含む素材を復号化することができ、特定のビデオ及びオーディオ・ストリームを選択し復号化することができる。MPEGデコーダ109は、以下の解像度で符号化されたMPEG素材、即ち、352×240(SIF)のMPEG‐1素材、352×480(Half D‐1)のMPEG‐2素材、及び720×480(Full D‐1)のMPEG‐2素材の復号化をサポートする。MPEGデコーダ109は、MPEG‐1素材では1.5Mbps、MPEG‐2素材では最大7Mbpsのレートの定ビット・レート(CBR)・ビデオをサポートする。これらのビット・レートは、エレメンタル・ビデオ・ストリームを対象とするものであり、符号化されたオーディオ、データ、又は多重化オーバーヘッドは含まない。
【0032】
[0035] SVDU 34はさらに、MPEG‐1レイヤ3復号化アルゴリズムを使用することにより、圧縮されたMP3オーディオ・ファイルを復号化するMP3オーディオ・デコーダを含む。SVDU 34は、WAEA規格0395に従って符号化されたオーディオの復号化をサポートする。
【0033】
[0036] SVDU 34は、音響生成能力を提供し、WAVE、FM合成、及びMIDI合成フォーマットで符号化されるオーディオをサポートする。SVDU 34内で作成されたオーディオは、SEB 16(図3)に供給される。オーディオ・インターフェースは、左オーディオ信号(AudL)、右オーディオ信号(AudR)、及び共通の基準(reference)オーディオ・リターン(AudRtn)を含む。一実施形態では、オーディオ・ドライバの出力インピーダンスが50Ω未満となり、最大音量信号では、WAEA‐1289‐1及びWAEA‐1289‐2で規定されるように、600Ωで0dBmの出力レベル(2.2Vp‐p)が生み出される。オーディオ・ドライバは、過度のクリッピング又は歪みを伴うことなく最大10ミリ秒にわたって+3dBmの信号を生成することができる。オーディオ・ドライバは、16Ωのヘッドセットで100mVを出力することもできる。
【0034】
[0037] 一般に、SVDU 34は、マルチメディア・プレゼンテーション・デバイスとして動作するのに十分な処理能力、メモリ、グラフィックス機能、及びMPEG 1及び2の復号化機能を有する。SVDU 34は、図1のSEB 16を介して第1のDSU 26、第2のDSU 28、又はAVC‐D 24を含めた様々なソースから受信されるNTSCベース・ビデオ、内部生成グラフィックス、及びMPEGデジタル・ビデオ及びオーディオを含む情報を乗客に提示する。システム10(図1)は、乗客の座席又はその付近に配置されたSVDU 34を介して各乗客にビデオ・グラフィックス、ビデオ・オン・デマンド、オーディオ・オン・デマンド、ローカル・ゲーム、及びウェブ・コンテンツを提示する。各自のSVDU 34上で乗客に配信され得る他のタイプのコンテンツとしては、衛星TV、デジタル・ラジオ、(外部プロバイダから提供される)外部インターネット、ウェブ・ポータル・アクセス、電子書籍コンテンツ、すべてのタイプのMPEGコンテンツ(MPEG‐4を含む)、ピクチャー・イン・ピクチャー、ボイス・オーバIP(VoIP)、機内食メニュー、及び機内ショッピング・カタログが挙げられる。このようなコンテンツは、航空機内部の電子ストレージから取得することも、(航空機が地上にいるときは)地上接続から取得することも、Swift‐64やKuバンドデータ通信等の様々な無線接続から取得することもできる。SVDU 34は、128kbpsのレートで符号化されたMPEG‐1レイヤ2のシングル・チャンネル又はジョイント・ステレオを復号化することができる。SVDUは、最大256kbpsのレートで符号化されたMPEGオーディオを復号化することになる。
【0035】
[0038] 各SVDU 34は、SVDU 34のディスプレイ100に結合された高解像度のタッチ・パネル104(図4参照)を有することができる。乗客は、タッチ・パネル104を介してSVDU 34と対話し、SVDU 34を制御することができる。SVDU 34は、エンターテインメント・サービスを乗客が利用可能なときはいつでも電源投入されることができる。例えば、搭乗員によるセイフティ・デモンストレーションの間にエンターテインメント・サービスを中断するときは、対応するSEB 16を介してSVDUの電源を切ることができる。
【0036】
[0039] イーサネット(登録商標)・インターフェース116は、SVDU 34がイーサネット(登録商標)・リンク22を介してシステム10内の他の構成部品と通信することを可能にする。このインターフェースは、IEEE 802.3xで規定される10BaseT、IEEE 802.3xで規定される100BaseTをサポートし、IEEE 802.3xで規定される動作速度を自動感知することができる。SVDU 34は、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)、伝送制御プロトコル(TCP)、及びファイル転送プロトコル(FTP)を含めた様々なハイレベル及びローレベル・ネットワーキング・プロトコルをサポートすることができる。さらに、SVDU 34に様々な機能を実行させることが可能となるアプリケーション・コードは、(例えば工場担当者又は保守担当者によって)イーサネット(登録商標)・インターフェース116を介してダウンロードされる。一般に、イーサネット(登録商標)通信は、SVDU 34の制御、状態、及びBITE能力(BITE capabilities)を提供するのに使用することができる。
【0037】
[0040] 本発明の一実施形態では、各SVDU 34は、2つの異なるMACアドレス、即ち、工場割り当て(factory‐assigned)MACアドレスと、システム割り当て(system‐assigned)MACアドレスとをサポートすることができる。工場割り当てMACアドレスは、SVDU 34の不揮発性メモリ(ROM 120やフラッシュ・ディスク122等)に記憶され、SVDU 34の寿命期間中修正されることはない。対照的に、システム割り当てMACアドレスは、揮発性メモリ(RAM 118等)に記憶され、SVDU 34の起動毎に割り当てられる。システム割り当てMACアドレスは、システム10によって修正することができる。システム割り当てMACアドレスを修正するために、システム10は、「MACアドレス割り当てメッセージ」を送出し、当該メッセージがSVDU 34内のイーサネット(登録商標)・コントローラによって受信される。イーサネット(登録商標)・インターフェース116は、当該割り当てメッセージで指示されるMACアドレスと一致するように揮発性メモリ内の現在のMACアドレスを修正することによって応答する。システム割り当てMACアドレスを有することにより、システム10(特にESU 30又はAVC‐D 24)の性能が最適化される。SVDU 34のMACアドレスは、工場割り当てMACアドレスに戻すこともできる。SVDU 34のMACアドレスを工場割り当てMACアドレスに戻すために、システム10は、「工場MACアドレス復元」メッセージを送信し、当該メッセージがSVDU 34のイーサネット(登録商標)・コントローラによって受信される。これに応答して、イーサネット(登録商標)・インターフェース116は、不揮発性メモリから工場割り当てMACアドレスを検索し、当該MACアドレスを揮発性メモリに記憶する。
【0038】
[0041] SVDU 34は、インターネット・プロトコル・アドレスを使用してそれ自体をシステム10に識別させる。SVDU 34は、システム10からIPアドレスが付与されていない場合は、デフォルトIPアドレス「192.x.x.x」を使用することができる。SVDU 34にIPアドレスを割り当てるために、システム10は、IPシーケンス(IP Sequencing)・プロセス又はDHCP(動的ホスト構成プロトコル)を実施することができる。IPシーケンス・プロセスの一実施形態は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる2005年2月15日に出願された米国特許出願第11/058037号に記載されている。SVDU 34は、システム10からIPアドレスを受信すると、それを不揮発性メモリに記憶する。システム割り当てIPアドレスは、IPシーケンス又はDHCPプロセスの結果としてシステム10によって新しいIPアドレスが割り当てられるまで、SVDU 34によって使用される。追加的なIPアドレスは、IPエイリアシング機能を介してSVDU 34内の特定のソフトウェア・コンポーネント(ウェブ・サーバ等)によって利用され得る。
【0039】
[0042] 本発明の様々な実施形態では、SVDU 34のディスプレイは、カラーLCD画面であり、SVDU 34はさらに、ハウジングと、電力を受け取るハウジング内の内部ハードウェアと、NTSC(M)ビデオと、SVDU 34に関連するSEB 16からのイーサネット(登録商標)・データ(MPEG‐1/MPEG‐2ストリーミング・ビデオ/オーディオ)とを含む。SVDU 34の内部ハードウェアは、バックライト・インバータ電源を有する電力インターフェース・プリント回路基板(PCB)と、プロセッサ・プリント回路基板(PCB)とを含む。
【0040】
[0043] さらに図4を参照すると、グラフィックス・ジェネレータ108は、以下の解像度、即ち、640×480、800×600、1024×768、1024×600、1280×768、及び1280×800の解像度でLCD 100上に表示されるカラー・グラフィック画像を生成する。LCD 100のすべての実施形態がこれらの解像度をサポート可能であることを意図するものではない。したがって、SVDUは、それ自体が利用可能な解像度のうち、任意の解像度を選択することが可能である。より低い解像度の画像(SIF(352×240)のビデオ画像等)は、LCD 100上で全画面提示される。グラフィックス・ジェネレータ108は、16ビットカラー及び24ビット・カラーをサポートする。グラフィックス・ジェネレータ108は、マルチフォーマットαブレンディングもサポートする。
【0041】
[0044] SVDU 34は、それ自体の前面にローカル手動輝度制御部(local manual brightness control)も備える。一実装形態では、SVDU 34の前面にLCDの輝度を制御するための2つのボタンが設けられる。一方のボタンは輝度を増加させ、他方のボタンは輝度を低下させる。各ボタンの表面は、乗客による破損を防止又は最小限に抑えるのに十分な硬さを有する。SVDU 34は、バックライト102のオン/オフを切り替える第3のボタンを有することもできる。バックライト102がオフである場合は、通常ならバックライト102をオンにする必要がある他の何らかのアクションによってLCD 100が自動的にオンに切り替えられる。
【0042】
[0045] SVDU 34は、コンパクト・フラッシュ、SDRAM、PCMCIA等の商用不揮発性メモリ・コンポーネントが挿入され得るコネクタも含む。このコネクタは、乗客はアクセスできないが、保守担当者が挿入、交換、又は取り外しのために容易にアクセスできるような場所に配置される。
【0043】
[0046] 一実施形態では、SVDU 34で実行するソフトウェアは、次の2つのクラス、即ち、ブート/基本入出力ソフトウェア(BIOS)と、航空機ロード可能ソフトウェア(aircraft‐loadable software)との2つのクラスに分けられる。航空機ロード可能ソフトウェアのタイプとしては、コア・ソフトウェア、共通アプリケーション・ソフトウェア、及び顧客固有のアプリケーション・ソフトウェアが挙げられる。コア・ソフトウェアの一例は、SVDU 34の内部ハードウェアの完全検証(complete verification)を実行する受入試験手順(Acceptance Test Procedure:ATP)ソフトウェア又はその等価物である。共通アプリケーション・ソフトウェアの一例は、HTMLウェブ・ページとしてフォーマット設定されたメニュー、リスト、及び他の素材にアクセスし、それらの素材を表示するウェブ・ブラウザ(Linux用のOpera等)である。SVDU 34にロード可能であり、特にMPEGデコーダ109によって使用され得る共通アプリケーション・ソフトウェアの別の例は、DSU(図1)のうちの1つから取得されるMPEG素材を再生することが可能なメディア・プレーヤである。メディア・プレーヤは、SVDU 34のハードウェアと連動して、ブラウザ・ウィンドウからアクセス可能なものであり、MPEG‐1素材又はMPEG‐2素材の要求、バッファリング、逆多重化、及び復号化をサポートする。
【0044】
[0047] ROM 120は、アドレス割り当て(IP及びMAC)、構成レポート(「Config Check」)、及びソフトウェア・ダウンロードを含む1組の基本機能を実行することが可能なブート/BIOSソフトウェアを含む。ソフトウェア・ダウンロード機能は、航空機ロード可能ソフトウェアをダウンロードするのに使用される。ROMに記憶可能なソフトウェアの別の例としては、プロセッサ106が電源投入時にNTSCビデオ及びMPEG‐1/MPEG‐2デコーダを初期化し、内蔵試験機器(built‐in test equipment:BITE)を監視し、輝度を制御することが可能となるソフトウェアが挙げられる。言うまでもなく、このソフトウェアはRAMに記憶することもできる。
【0045】
[0048] 次に図5を参照して、SVDU 34の1つの可能な構成について説明する。図5に示される構成では、SVDU 34は、矢印線で示される通信経路によって互いに通信可能にリンクされたいくつかの構成部品を含む。これらの構成部品には、プロセッサ・コントローラ50と、LCDタッチ・スクリーン51と、ビデオ・デコーダ52と、フラッシュ・メモリ62と、液晶ディスプレイ(LCD)・コントローラ66と、タッチ・スクリーン・コントローラ67と、EEPROM 70とが含まれる。プロセッサ・コントローラ50は、様々なメモリ要素のうちの1つ又は複数に記憶されているソフトウェアを実行する。例えば、プロセッサ・コントローラ50は、LinuxやWindows(登録商標) CE等のオペレーティング・システムのソフトウェアを実行する。
【0046】
[0049] SVDU 34は、バックライト・インバータ72及び温度モニタ74も含む。温度モニタ74は、SVDU 34の内部温度を監視する。バックライト・インバータ72は、LCDタッチ・スクリーン51に結合されるLCDのバックライトに接続され、当該バックライトを操作する。一実施形態では、タッチ・スクリーン51は、8ワイヤ・インターフェースを有する。SVDU 34はさらに、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)53と、イーサネット(登録商標)・コントローラ56又はイーサネット(登録商標)・スイッチ111と、シンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(SDRAM)60と、電圧監視ユニット78と、USBインターフェース80と、統合デバイス・エレクトロニクス(IDE)コネクタ82と、デジタル・アナログ・コントローラ(DAC)84と、オーディオ・ドライバ85とを含む。
【0047】
[0050] ビデオ・デコーダ52は、MPEG‐1とMPEG‐2の両方のビデオ/オーディオ・デコーディングが可能なMPEG高性能ビデオ/オーディオ・デコーダである。ビデオ・デコーダ52は、オーディオ・デコーダと、ハードウェアMPEG‐2トランスポート・デマルチプレクサとを含む。ビデオ・デコーダ52の機能には、ビデオ/オーディオ同期、エラー検出、隠蔽(concealment)、及び通知が含まれる。ビデオ・デコーダ52は、(ISO 13818‐1で定義される)MPEG‐2システム・ストリームの逆多重化をサポートする。ビデオ・デコーダ52は、(ISO 13818‐2で定義される)MPEG‐2エレメンタリ・ビデオ及びオーディオ・ストリームの復号化、(ISO 11172‐2で定義される)MPEG‐1ビデオの復号化、及び(ISO 11172‐3で定義される)オーディオの復号化もサポートする。さらに、ビデオ・デコーダ52は、WAEA規格0395に従って符号化されるビデオ及びオーディオもサポートする。また、ビデオ・デコーダ52は、トランスポート・レベル又はパケット化エレメンタリ・ストリーム(PES)レベルの逆スクランブルをサポートする組み込み型デジタル・ビデオ放送(DVB)共通デスクランブラをイネーブルするように構成することができる。SVDU 34は、SEB 16から差動ビデオ入力信号を受け入れ、また、ビデオ・デコーダ52を使用することにより、EIA‐RS170、EIA‐RS170A、EIA‐RS343、及びSMPTE170Mに準拠したNTSCビデオを受け入れ、適切な形で提示することが可能である。これらのプレゼンテーション機能には、ランダムなサイズのウィンドウ及びクローズド・キャプション用の水平及び垂直ビデオ・スケーリングが含まれる。
【0048】
[0051] 再び図5を参照すると、SVDU 34は、ジョイント・テスト・アクション・グループ(JTAG)・インターフェース96と通信する保守ポート118を含む。JTAGインターフェース96は、SVDU 34の回路基板の境界走査試験(boundary scan testing)を実行し、ハードウェア・デバイスのシステム内プログラミング又は再プログラミングを可能にする能力を提供する。JTAGインターフェース96には、シリアル・デバッグ・インターフェースが組み込まれている。このデバッグ・インターフェースは、プロセッサ・コントローラ50にデバッギング能力を提供する。例えば、保守作業員は、ノートブック・コンピュータを(適切なコネクタを用いて)保守ポートにつなぎ、IEEE 1149.1規格に従ってソフトウェアを実行することができる。ノートブック・コンピュータは、保守ポートを介して試験信号を送信し、その応答信号を受信する。この受信信号に基づいて、ノートブック・コンピュータ上で実行されているソフトウェアは、PCB(電力インターフェースPCB又はプロセッサPCB)の異常を保守作業員に知らせることができる。
【0049】
[0052] 本発明の一実施形態では、SVDU 34は、電源投入モード又は保守モード中に以下の各構成部品、即ち、SDRAM メモリ60、フラッシュ・メモリ62、イーサネット(登録商標)・インターフェース56、及びバックライト・インバータ72をテストするBITE(内蔵試験エレクトロニクス)を提供する。SVDU 34は、それ自体のON状態経過時間(elapsed ON time)をフラッシュ・メモリ62等の不揮発性メモリに記録する。ON状態経過時間のデータは、オン・スクリーン・ディスプレイ又はイーサネット(登録商標)・インターフェース56を介してLCDモニタから取得することができる。カーネル及びルート・ファイル・システム(RFS)は、JTAGインターフェース96を介してSVDU 34のプロセッサ・コントローラ50及び様々なメモリ・コンポーネントにダウンロードすることができる。アプリケーション・コードは、イーサネット(登録商標)・インターフェース56を介してダウンロードすることができる。イーサネット(登録商標)通信は、SVDU 34の制御、状態、及びBITE能力を提供するのに使用される。一実施形態では、プロセッサ・コントローラ50は、電源投入時にNTSCビデオ及びMPEG‐1/MPEG‐2デコーダを初期化し、BITEを監視し、LCDのバックライトの輝度を制御することが可能となるプログラミング・コードを含む。
【0050】
[0053] 再び図5を参照すると、SVDU 34は、SEB 16から未調整の+32VDC 112を受信し、それをLCDのエレクトロニクス及びLCDに関連するプリント回路基板での使用向けに調整された1.8VDC ±5%、+2.5VDC ±5%、+3.3VDC ±5%、+5.0VDC ±5%、及び12VDC ±5%に変換する電力変換ユニット86を有する。電源投入時、及び、+3.3VDCが12%未満まで降下したときは、プロセッサ・コントローラ50にリセット信号が供給される。
【0051】
[0054] 引き続き図5を参照すると、SVDU 34はさらに、LCDコントローラ66とリンクされたLVDS送信機68を含む。LCDコントローラ66は、ビデオ・デコーダ52からのRGB信号を変換する。LVDS送信機68は、LCDコントローラ66から受信した24ビットRGBデジタル・データを3つのLVDSデータ・ストリームに変換する。LVDS送信機は、一般に広帯域高速TTLインターフェースに関連するEMI及びケーブル・サイズの問題を最小限に抑える。
【0052】
[0055] SVDU 34はさらに、赤外線ベースの携帯型乗客用制御ユニット(PCU)等からの赤外線信号を受信し、それらの赤外線信号に含まれるデータを電気信号に符号化し、逆もまた同様に処理するIrDA(infrared data association)トランシーバ90を含む。システム10(図1)は、SVDU 34のIPアドレスに基づいてSVDU 34に赤外線データベース・アドレスを割り当てる。IrDAトランシーバ90は、リモートIRセンダ制御ユニット(remote IR sender control unit)までの経路が遮られないようにSVDU 34の前方に取り付けられる。一実施形態では、乗客は、IRベースのPCUを使用してSVDU 34の表示画面上に表示されているオン・スクリーン・ユーザ・インターフェースから選択を行う。先述したように、このようなユーザ・インターフェイスは、乗客が映画等のビデオ・コンテンツをオーダーし、食事を選び、アイテム(免税品等)の買い物をするための選択肢を与えることができる。
【0053】
[0056] SVDU 34は、SVDU 34の前部に取り付けられた磁気センサ92も含む。磁気センサ92が磁界の存在を検出したときは、磁気センサ92は、プロセッサ・コントローラ50に信号を送信する。プロセッサ・コントローラ50が20秒を超えて磁気センサ92から信号を受信したときは、プロセッサ・コントローラ50は、LCDのバックライトをオフに切り替えるよう指令する。磁気センサ92からの信号が途絶えると、プロセッサ・コントローラ50は、LCDのバックライトをオフに切り替えるよう指令する。いくつかの実施形態では、SVDU 34は、例えば背もたれの陥凹部内の収容位置に入れることができる。陥凹部内には磁石が取り付けられており、この磁石は、陥凹部内にSVDU 34が収容されたときに磁気センサ92に近接するようになっており、その結果磁気センサ92が磁界を検出するようになっている。したがって、SVDU 34は、それ自体が収容されるときにLCDのバックライトを自動的に消灯し、それ自体が取り出されるときにバックライトを再点灯させる。
【0054】
[0057] 引き続き図5を参照すると、SVDU 34は、乗客がLCDのバックライトの輝度を制御することが可能となる輝度ボタンを含む。一実施形態では、最小輝度から最大輝度まで16のステップが存在する。いくつかの実施形態では、輝度は、タッチ・スクリーン51を介して制御される。
【0055】
[0058] 引き続き図5を参照すると、SVDU 34の様々な実施形態は、タッチ・スクリーン51に加えてユーザ入力デバイスもサポートする。ユーザ入力デバイスの例としては、ポインティング・デバイス(ローカルUSB又はリモート)、ゲーム・コントローラ(ローカルUSB又はリモート)、標準的な84キーPCキーボード(ローカルUSB又はリモート)、及び磁気カード・リーダ(着脱可能なUSB又はRS232コネクタ)120が挙げられる。磁気カード・リーダ120が含まれる場合、磁気カード・リーダ120は、保守担当者又は修理担当者によって容易に取り外されるモジュールとなる。磁気カード・リーダ120は、クレジット・カードを読み込むことが可能であってもよい。一実施形態では、SVDU 34は、乗客が購入可能な様々なアイテムを示すユーザ・インターフェイスを表示画面上に提示する。これらのアイテムとしては、機内映画、機内販売品(免税品等)、機内食品等を挙げることができる。このユーザ・インターフェイスは、例えばカード・リーダ120に乗客のクレジット・カードを挿入する(例えばカードを通す)よう促すプロンプトを乗客に出す。その後、カード・リーダ120は、クレジット・カードのデータを読み込み、当該データを(SVDU 34のネットワーク・インターフェース及び介在するネットワーク・リンク、SEB及びADB(図1)を介して)IFE ラック12内の構成部品のうちの1つに送信し、買い物が完了する。
【0056】
[0059] 本発明の様々な実施形態では、SVDUは、データ及び電力がそれらを介して送受信されるコネクタを有する。図5には、これらのコネクタのうちのいくつかが示されている(「J」+数字)。以下では、このようなコネクタが実装され得る例示的な手法について説明する。一例では、コネクタJ1がメイン入出力コネクタであり、ピン割り当ては以下の表1のとおりとなる。
【表1】

【0057】
[0060] 別の例では、コネクタJ40は、デュアル・ポート・イーサネット(登録商標)AUXコネクタであり、ピン割り当ては以下の表2のとおりとなる。
【表2】

【0058】
[0061] また別の例では、コネクタJ2は、USBキーボード・インターフェース・コネクタであり、ピン割り当ては以下の表3のとおりとなる。
【表3】

【0059】
[0062] また別の例では、コネクタJ3は、USBマウス/ゲーム・コントローラ・インターフェース・コネクタであり、ピン割り当ては、以下の表4のとおりとなる。
【表4】

【0060】
[0063] また別の例では、コネクタJ15は、JTAGインターフェース・コネクタであり、ピン割り当ては以下の表5のとおりとなる。シリアル・デバッグ・インターフェースは、JTAGインターフェース・コネクタJ15の一部であり、SVDUの内部プロセッサにデバッギング能力を提供する。
【表5】

【0061】
[0064] また別の例では、コネクタJ5は、電力/信号コネクタであり、ピン割り当ては以下の表6のとおりとなる。嵌合ケーブル・アセンブリ・コネクタ(mating cable assembly connector)は、標準的なDサブ・レセプタクル9Pコネクタである。
【表6】

【0062】
[0065] 以上、新しい有益な航空機用ビデオ表示ユニット及びシステムについて説明した。本明細書に開示される実施形態には、添付の特許請求の範囲に含まれる様々な変更形態が存在し得ることに留意されたい。さらに、本明細書に記載される実装形態及び構成はすべて単なる例示にすぎず、特許請求の範囲に記載される各請求項の範囲を限定するものと解釈すべきではない。また、本発明の説明(特に特許請求の範囲)の文脈で冠詞の「a」を使用した場合は、単数形と複数形の両方をカバーするように解釈すべきであることに留意していただきたい。最後に、本明細書に記載されるすべての方法ステップは、特に明記しない限りあるいは文脈上明らかな矛盾が生じない限り任意の適切な順序で実行することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機乗客用ビデオ表示ユニットであって、
航空機客室の一部分に結合されるハウジングと、
少なくとも部分的に前記ハウジングの内部に配設されるローカル・エリア・ネットワーク・インターフェースと、
前記ハウジングの内部に配設されるビデオ・デコーダであって、
前記ネットワーク・インターフェースを介してビデオ・コンテンツを受信するステップと、
前記ビデオ・コンテンツを復号化するステップと
を実行するビデオ・デコーダと、
前記ハウジングに結合される表示画面であって、
復号化された前記ビデオ・コンテンツを表示するステップと、
乗客に磁気カードを挿入するよう指示するプロンプトを表示するステップと
を実行する表示画面と、
前記ハウジングに結合される磁気カード・リーダであって、
前記磁気カードを受け入れるステップと、
前記磁気カードのデータを読み込むステップと、
読み込まれた前記データを前記ネットワーク・インターフェースを介して送信するステップと
を実行する磁気カード・リーダと
を備えるビデオ表示ユニット。
【請求項2】
前記磁気カードは、クレジット・カードである、請求項1に記載のビデオ表示ユニット。
【請求項3】
前記ビデオ・コンテンツは、販売アイテムについて説明し、前記磁気カードは、クレジット・カードであり、前記ネットワーク・インターフェースを介して送信される前記磁気カードの前記データは、乗客が前記表示ユニットを使用して前記アイテムを購入することが可能となるデータを含む、請求項1に記載のビデオ表示ユニット。
【請求項4】
前記表示画面に結合されるタッチ・スクリーン・インターフェースをさらに備え、前記タッチ・スクリーン・インターフェースは、前記乗客の前記ビデオ・コンテンツの選択を受信するステップを実行する、請求項1に記載のビデオ表示ユニット。
【請求項5】
前記ハウジングに結合され、磁界を感知したときに信号を生成する磁気センサと、
前記表示画面に結合されるバックライトとをさらに備え、
前記ビデオ表示ユニットは、前記磁気センサによって生成された前記信号が少なくとも所定の期間にわたって検出されたときは前記バックライトをオフに切り替える、請求項1に記載のビデオ表示ユニット。
【請求項6】
ヘッドセットの接続を受け入れるオーディオ・インターフェースをさらに備える請求項1に記載のビデオ表示ユニット。
【請求項7】
前記ハウジングの内部に配設されるイーサネット(登録商標)・スイッチと、前記ハウジングの外部に露出し、前記イーサネット(登録商標)・スイッチと通信可能にリンクされる複数のイーサネット(登録商標)・ポートとをさらに備える、請求項1に記載のビデオ表示ユニット。
【請求項8】
赤外線トランシーバであって、
前記表示画面上に表示されるユーザ・インターフェイスからの複数の選択のうちの1つに関する、前記乗客による選択を表す赤外線信号を受信するステップと、
前記赤外線信号を電気信号に変換するステップと、
前記電気信号を送信するステップと
を実行する赤外線トランシーバと、
プロセッサであって、
前記電気信号を受信するステップと、
前記ネットワーク・インターフェースを介して前記ユーザ選択を表すデータを送信するステップと
を実行するプロセッサと
をさらに備える、請求項1に記載のビデオ表示ユニット。
【請求項9】
外部ドライブ・インターフェースをさらに備える、請求項1に記載のビデオ表示ユニット。
【請求項10】
シリアル・データ・ポートをさらに備え、前記ビデオ表示ユニットは、前記ネットワーク・インターフェースを介してアプリケーション・ソフトウェア・コードを受信し、前記シリアル・データ・ポートを介してカーネル・ソフトウェア・コードを受信する、請求項1に記載のビデオ表示ユニット。
【請求項11】
航空機乗客にビデオ・コンテンツを表示するシステムであって、
表示画面、ローカル・エリア・ネットワーク・インターフェース、及び赤外線トランシーバを備え、航空機の内部に取り付けられるビデオ表示ユニットであって、
前記表示画面上にユーザ・インターフェイスを表示するステップと、
前記赤外線トランシーバを介して前記ユーザ・インターフェイスからのアイテムのユーザ選択を示す信号を受信するステップと、
前記ネットワーク・インターフェースを介して少なくとも部分的に前記ユーザ選択に基づくデータを送信するステップと
を実行するビデオ表示ユニットと、
赤外線トランシーバを備える乗客用制御ユニットであって、
前記ユーザ選択を表すユーザ入力を受けつけるステップと、
前記ユーザ選択を示す前記信号を前記ビデオ表示ユニットに送信するステップと
を実行する乗客用制御ユニットと
を備えるシステム。
【請求項12】
前記航空機上に位置するローカル・エリア・ネットワークと、前記ネットワークと通信可能にリンクされ、それ自体にビデオ・コンテンツが記憶されたサーバとをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ビデオ・コンテンツは、複数のデジタル・フォーマット・ビデオを含み、前記ユーザ選択は、前記複数のビデオのうちの1つを表し、前記ビデオ表示ユニットは、
前記ユーザ選択を表すデータを前記サーバに送信するステップと、
選択された前記ビデオを前記ネットワーク・インターフェースを介して受信するステップと、
選択された前記ビデオを復号化するステップと、
選択された前記ビデオを前記表示画面上に表示するステップと
を実行する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ビデオ表示ユニットは、複数のビデオ表示ユニットのうちの1つであり、前記システムは、前記ローカル・エリア・ネットワークと通信可能にリンクされたネットワーク・スイッチを有する座席エレクトロニクス・ボックスをさらに備え、前記複数のビデオ表示ユニットは、それぞれ別個のネットワーク・リンクを介して前記座席エレクトロニクス・ボックスと通信可能にリンクされる、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記座席エレクトロニクス・ボックスは、前記ローカル・エリア・ネットワークを介して受信されたデータをRF信号に変換するRFタップをさらに備え、前記システムは、前記RFタップを介して前記座席エレクトロニクス・ボックスから前記RF信号を受信するオーバーヘッドディスプレイユニットをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ビデオ表示ユニットは、
前記ビデオ表示ユニットのハウジングに結合され、磁界を感知したときに信号を生成する磁気センサと、
前記表示画面に結合されるバックライトと
をさらに備え、前記ビデオ表示ユニットは、前記磁気センサによって生成された前記信号が少なくとも所定の期間にわたって検出されたときは前記バックライトをオフに切り替える、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記ビデオ表示ユニットは、シリアル・データ・ポートをさらに備え、前記ネットワーク・インターフェースを介してアプリケーション・ソフトウェア・コードを受信し、前記シリアル・データ・ポートを介してカーネル・ソフトウェア・コードを受信する、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記ビデオ表示ユニットは、
磁気カード・リーダであって、
挿入された磁気カードを受け入れるステップと、
前記磁気カードのデータを読み込むステップと、
前記ネットワーク・インターフェースを利用して、読み込まれた前記データを前記ローカル・エリア・ネットワークを介して送信するステップと
を実行する磁気カード・リーダ
をさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記磁気カードは、クレジット・カードであり、前記ローカル・エリア・ネットワークを介して送信されるデータは、乗客がビデオ・コンテンツを購入することが可能となるデータを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
航空機内に搭載される、ビデオ・コンテンツを提供するシステムであって、
複数の乗客席と、
ローカル・エリア・ネットワークと、
複数のビデオ表示ユニットであって、
それぞれ前記複数の乗客席のうちの少なくとも1つの近傍に位置し、
表示画面と、
前記ローカル・エリア・ネットワークと通信可能にリンクされるネットワーク・インターフェースと、
保守インターフェースと、
ビデオ信号を復号化することが可能となる命令を実行するプロセッサが上部に配設されるプリント回路基板と
を備える複数のビデオ表示ユニットと、
前記ローカル・エリア・ネットワークと通信可能にリンクされ、前記ローカル・エリア・ネットワークを介して符号化されたビデオ信号を送信するサーバと
を備え、
前記複数のビデオ表示ユニットはそれぞれ、
前記ネットワーク・インターフェース・カードを介して前記符号化されたビデオ信号を受信するステップと、
前記ビデオ表示ユニットの前記プロセッサが前記符号化されたビデオ信号を復号化するステップと、
前記ビデオ・コンテンツを前記表示画面上に表示するステップと、
前記保守インターフェースを介して試験信号を受信するステップと、
前記保守インターフェースを介して前記プリント回路基板の状態を表す前記試験信号に対する応答を送信するステップと
を実行する、
システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−544508(P2009−544508A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520831(P2009−520831)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/016344
【国際公開番号】WO2008/013729
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.EEPROM
【出願人】(503202756)タレス アビオニクス インコーポレイテッド (20)