説明

船上設置型漁業用具起倒・昇降装置とその使用方法

【課題】養殖用支柱立て込み、引き抜き、貝採取等を行う作業の作業性、操作性に優れ、漁業従事者の労力軽減が図れる船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の提供。
【解決手段】本発明は、装置基台10と、装置基台に設けられるスライド体11と、スライド体の長手方向と直交する第1鉛直面内において、漁業用具を載置するための倒伏位置と、漁業用具の起立位置とに起倒動作可能な柱状体25と、柱状体を起倒動作させる柱状体起倒装置70と、柱状体の両端部に、漁業用具を載置するための漁業用具載置装置50と、柱状体の長手方向に設けられ、漁業用具に、回転駆動体の回転駆動力を伝達するための複数の駆動ローラ31a、31bと、駆動ローラと対向するように、駆動ローラに対して、進退移動可能に設けられる複数の押さえローラ45と、第1鉛直面と直交する第2鉛直面内において、柱状体の起立姿勢を調整するための柱状体起立姿勢調整装置80とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔養殖、貝採取等に使用する漁業用具を起倒・昇降動作等させるための船上設置型漁業用具起倒・昇降装置に関する。更に詳しくは、漁業用具を起倒・昇降動作等させる作業の作業性、操作性に優れ、漁業従事者の労力軽減を図ることができる船上設置型漁業用具起倒・昇降装置とその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海苔の養殖には、海底に立て込んだ支柱を利用して養殖を行う方法がある。例えば、海苔の養殖方法には、浅い海の海底に複数の支柱を立て込み、その支柱間に網をはって海苔の育成を行う支柱式栽培法と、海の深いところに浮きとオモリとでロープのいかだを作りその中に網をはり海苔の育成を行う浮き流し式栽培法とがある。支柱式栽培法では、短期間内に、何百〜何千本もの多数の支柱を海底に立て込む作業が必要であり、従来より行われている人手で立て込む方法はかなりの重労働であった。また、不安定な船上で行うことも作業性を悪くしている。そのため、立て込み作業の労力を軽減して楽に行えるようにするためにいろいろな提案がなされている。
【0003】
例えば、開閉用シリンダで挟持可能に形成されたチャックと、このチャックを昇降させる昇降用シリンダとからなる海藻網支持用竹類の突き刺し装置、海苔網固定杆の差込み引き抜き装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
また、圧力水の水圧によって海底に穴を開けながら支柱を打ち込む漁業用支柱打ち込み工法、海苔支柱の貫入方法及びその抜き取り方法に関する技術も知られている(例えば、特許文献3、4参照)。さらに、高圧水の噴出で掘った縦穴に支柱を挿入後、ハンマーの打撃で支柱を打ち込む海苔網用支柱打込機に関する技術も知られている(例えば、特許文献5参照)。また、海底に、ノリ竹、支柱をローラ駆動で立て込むようにしたノリ竹打込み引抜き装置、支柱差込・抜取装置に関する技術も知られている(例えば、特許文献6、7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭59−42860号公報
【特許文献2】実開昭58−59455号公報
【特許文献3】特開平07−303428号公報
【特許文献4】特開昭62−74229号公報
【特許文献5】特開平09−322666号公報
【特許文献6】実開昭59−4270号公報
【特許文献7】特開平11−89457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3〜5の技術では、人が行う作業が残り、多数の支柱立て込み作業の労力低減にはまだ改良の余地があるものであった。特許文献1、2の技術は、船体の上方側に昇降用シリンダを立設する構成のため突き刺し装置等の高さが高くなって船体の姿勢が不安定になるおそれがあり、かつ、突き刺し装置等が大型になってしまうおそれがあるという問題がある技術であった。
【0007】
一方、海底の地盤が固く、支柱の立て込みが容易でない場合がある。このような場合、支柱を上下方向に昇降させて、支柱に反動をつけることにより、支柱を海底に立て込むことができる。しかし、特許文献6、7の技術は、支柱差込装置等の高さを低くすることは可能であるが、支柱を上下方向に昇降させて立て込みを行う動作をすばやく行うことが難しく、海底の地盤が固い場合支柱を海底に深く打ち込むことが困難であるという問題点があった。一方、海苔養殖等を行う漁業従事者の高齢化が少しずつ進んでおり、これに対応した作業改善が必要であるという問題点もある。また、海底の地盤の固いところでも容易に養殖用支柱を立て込めるようにすることにより、海苔の養殖場所の拡大が図れると期待されている。
【0008】
また、採取用網を海底まで人手で下ろし、船の上を人が動いてあさり等貝を採取する方法が知られている。しかしながら、水深が深いと、採取用網を横に動かすこと、泥が入った採取用網を引き上げることは、貝採取等を行う漁業従事者にとってたいへんな作業で重労働になるという問題点がある。
そのため、前述した問題点を解決して、養殖用支柱の立て込み作業、採取用網による貝採取作業等の労力低減を図れる船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の開発が要望されている。
【0009】
本発明は、前述したような技術背景のもとになされたものであり、下記の目的を達成する。本発明の目的は、海苔養殖、貝採取等の作業における作業改善を行うことができるとともに、固い地盤の海底、水深の深い海底でも、容易に作業を行うことができる船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明1の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、
船体上から、長尺に形成された棒状体または管状体を有する漁業用具を支持して作動させるための船上設置型漁業用具起倒・昇降装置であって、前記船体上に設けられる装置基台と、前記装置基台に、前記船体内から前記船体の外方に延在するように設けられているスライド体と、前記スライド体が延在している長手方向と直交する鉛直方向の平面である第1鉛直面内において、前記スライド体に対して、前記漁業用具の前記棒状体または前記管状体を載置するための倒伏位置と、前記漁業用具を起立状態に起こすための起立位置との間を揺動して起倒動作可能な柱状体と、前記柱状体を起倒動作させるための柱状体起倒装置と、前記柱状体の長手方向の両端部に、各々、前記棒状体または前記管状体を載置するために設けられ、前記柱状体が前記倒伏位置にあるとき、前記棒状体または前記管状体が載置される載置面が、水平面内に位置するとともに、前記柱状体より上部に位置する漁業用具載置装置と、前記柱状体の長手方向に、複数個、設けられ、前記漁業用具載置装置の前記載置面と平行であって、前記棒状体または前記管状体の軸線と直交する方向に回転軸線を有し、回転駆動力を前記棒状体または前記管状体に伝達して前記漁業用具を昇降移動させるための駆動ローラと、回転駆動体の回転駆動力を、回転伝達機構を介して、前記駆動ローラに伝達するための回転駆動装置と、前記駆動ローラと対向するように、かつ、前記駆動ローラに対して、押さえローラ進退駆動体により進退移動可能に設けられ、前記駆動ローラ側に移動して前記棒状体または前記管状体と当接したとき、前記駆動ローラと協働して前記棒状体または前記管状体を案内支持するための複数の押さえローラと、前記第1鉛直面と直交する第2鉛直面内において、起立させたときの前記柱状体の起立姿勢を調整するための柱状体起立姿勢調整装置とを備えている。
【0011】
本発明2の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、本発明1において、
前記駆動ローラは、所定の半径をしたR形状の外周面に形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明3の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、本発明2において、
前記駆動ローラは、外周面部に所定の角度毎に、所定の深さの切り込みが、放射状に入っていることを特徴とする。
【0013】
本発明4の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、本発明2または3において、
前記漁業用具載置装置は、前記載置面に前記漁業用具を載置したとき、駆動ローラの外周面のR形状の中心と、前記漁業用具の前記棒状体または前記管状体の中心とが一致、または、ほぼ一致するように、前記載置面が移動調整可能になっていることを特徴とする。
【0014】
本発明5の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、本発明1から4において、
前記スライド体は、前記船体に対して、接近、離隔する方向に移動可能に、前記装置基台に設けられているものであることを特徴とする。
【0015】
本発明6の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、本発明5において、
前記スライド体を、前記接近、隔離する方向に、駆動力で移動させるためのスライド体駆動装置が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明7の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、本発明1から6において、
前記装置基台には、前記船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を旋回させ、前記船体の舷の所望の角度位置に方向転換させるための起倒・昇降動作位置方向転換装置が設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明8の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、本発明7において、
前記スライド体と前記柱状体との間には、水平面内で、前記スライド体に対して前記柱状体を180度旋回運動させる第2旋回装置が設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明9の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、本発明1から8において、
前記装置基台または前記起倒・昇降動作位置方向転換装置と、前記スライド体との間には、前記船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を前記船体内に収納する収納位置と、前記柱状体を前記船体の外方に位置させ、前記漁業用具に対する作業を行うための作業位置とに、前記スライド体を旋回させるための第1旋回装置が設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明10の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、本発明9において、
前記第1旋回装置には、駆動力で旋回運動させるための旋回駆動装置が設けられていることを特徴とする。
【0020】
本発明11の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、本発明1から10において、
前記漁業用具は、海苔を含む海産物の養殖を行うために、海底に立て込まれる養殖用支柱、または、海底から貝を採取するための貝採取用網体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、養殖用支柱、採取用網等漁業用具を、複数の駆動ローラと、この駆動ローラに対向するように設けられた複数の押さえローラとで挟持しながら昇降駆動させたり、鉛直面内で揺動運動させることができる構成のものである。このような構成にすることにより、漁業用具の棒状体または管状体を高精度に案内支持しながら上下方向に昇降させることができる。また、漁業従事者は、漁業用具の棒状体、管状体を、倒伏位置にある漁業用具載置装置に載置した後、操作レバーにより操作するだけでよく、作業性、操作性に優れ、漁業従事者の労力軽減、作業改善を図ることができる。また、漁業従事者の高齢化が進みつつあるが、労力軽減が図れているので、このような作業に長く従事することができるようになった。
【0022】
この船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の駆動ローラは、軟質な材料で形成されているとともに、外周面がR形状に形成され、さらに、所定角度毎に切り込みが形成されている。そのため、漁業用具の棒状体または管状体と駆動ローラとを所定の押し付け力で押圧した状態にすると、滑りを生じることなく漁業用具を確実に昇降移動させることができる。また、このときに、漁業用具を破損させたり、割れを生じさせることがない。
【0023】
さらに、起倒・昇降動作位置方向転換装置を備えた船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、船体の舷の所定の角度位置(例えば、右舷側、左舷側の所望の角度位置)に柱状体、漁業用具昇降駆動装置等を位置決めして、漁業用具の起倒動作、昇降動作等を行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0024】
この船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、漁業用具が養殖用支柱の場合、養殖用支柱を海底に立て込んだり引き抜いたりすることが容易にできる。また、この船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、養殖用支柱に、すばやい昇降動作を行うことができるため、立て込む海底の地盤が固い場合でも、容易に、立て込み作業、引き抜き作業を行うことができ、養殖場所の拡大を図ることができる。
【0025】
この船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、倒伏位置にある載置部上に養殖用支柱を載せ、操作レバーを操作するだけで、海底に養殖用支柱を短時間で立て込む作業、引き抜く作業を行うことができる。そのため、短期間内に、多数の養殖用支柱を立て込む必要がある養殖用支柱の立て込み作業の労力軽減を図ることができる。養殖用支柱は、互いに直交する第1鉛直面、第2鉛直面の両方の起立姿勢を容易に調整可能になっているので、短時間で、正確な立て込みを行うことができる。さらに、この船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、駆動ローラ、押さえローラ等昇降駆動装置の高さを低くすることができるので、船体の安定性を低下させるおそれが生じない。
【0026】
この船上設置型漁業用具起倒・昇降装置は、漁業用具が貝採取用網体の場合、漁業従事者は、倒伏位置にある載置部上に貝採取用網体の柄部を載せた後、操作レバーを操作するだけで、貝採取用網体を海底まで下ろしたり、貝、泥等の入った貝採取用網体を引き上げたりする作業が容易に行える。水深が深い海底でも、作業性が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の正面図である。
【図2】図2は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の平面図であって、船体に取り付けた状態の図として示している。
【図3】図3は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の側面図である。
【図4】図4は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の背面図である。
【図5】図5は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を正面側から斜視した外観図であって、船体に取り付けた状態の図として示している。
【図6】図6は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を背面側から斜視した外観図である。
【図7】図7は、柱状体起倒装置の揺動連結体近傍を部分的に斜視した斜視図である。
【図8】図8は、駆動ローラを単体で示す部品図であって、(a)が正面図、(b)が断面図である。
【図9】図9は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の他の使用例を示す正面図である。
【図10】図10は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の他の使用例を示す側面図である。
【図11】図11は、船体の右舷側に船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を配置させた平面図である。
【図12】図12は、船体の左舷側に船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を配置させた平面図である。
【図13】図13は、図11をC−C線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の実施の形態を図1〜8に基づき説明を行う。
図1は、本発明の実施の形態の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の正面図、図2は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の平面図、図3は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の側面図、図4は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の背面図である。図5は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を正面側から斜視した外観図、図6は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を背面側から斜視した外観図、図7は、柱状体起倒装置を部分的に斜視した斜視図、図8は、駆動ローラを単体で示す部品図であって、(a)が正面図、(b)が断面図である。なお、以下に行う説明では、図1における矢印A方向を前方、矢印B方向を後方としている。また、図2において、V1−V1線で示した鉛直面を第1鉛直面、V2−V2線で示した鉛直面を第2鉛直面として説明を行っている。さらに、図2、図5は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を船体に取り付けた状態の図として示している。
【0029】
〔装置基台、旋回装置、進退移動装置〕
船体S上には、装置基台10が固定されている。装置基台10の上部には、旋回装置20が設けられている。旋回装置20は、装置基台10に固定されている半円板状固定部材21と、半円板状固定部材21に対して旋回可能に設けられた旋回体22等からなる。旋回体22は、所定の角度位置に旋回後、長穴21a等を介して固定されている(図6参照)。旋回装置20は、後述するスライド体11を水平面内で旋回させるものである。この旋回装置20は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1を船体S内に収納する収納位置と、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1の漁業用具の起倒動作、昇降動作等による作業(例えば、海苔養殖用支柱の立て込み(建て込み)作業、引き抜き作業)を行うための作業位置とに、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1のスライド体11より上方の構成部位を旋回動作させるものである。また、この船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1は、例えば、船体Sの右側(図2の状態)、船体Sの左側、船体Sの斜め45度、船体Sの前方側などの船体Sの舷の所望の角度位置に、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等を旋回させることができるものであるとよい。
【0030】
旋回体22は、上方両端に、側面板部22aが形成されており、側面板部22aにスライダ13が固定されている。スライダ13には、案内レール12が移動可能に設けられている。スライダ13、案内レール12は、直動ころがり案内を構成するものである。案内レール12にはスライド体11が固定されている。すなわち、スライド体11は、両側面に設けられた一対の案内レール12、スライダ13を介して、旋回体22に対して進退移動する。言い換えると、スライド体11は、船体Sに対して、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等が接近する方向(図1における矢印B方向)、離隔する方向(図1における矢印A方向)に進退移動可能なものであり、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等を所望の位置に移動させて漁業用具の起倒、昇降動作等を行うために移動調整されるものである。例えば、スライド体11は、船体Sから所望の距離離れた位置に、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等を位置させるものである。スライド体11と旋回体22のあいだには、固定レバー14を有する固定装置が設けられており、固定レバー14を回転操作することで、スライド体11を固定状態、固定解除状態にすることができる。スライド体11は、所望の位置に移動後、固定される。柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等は、所望の角度位置、所望の進退移動位置で、漁業用具の起倒、昇降動作等が行えるように移動調整されるものである。
【0031】
〔柱状体、漁業用具昇降駆動装置、漁業用具載置装置〕
この実施の形態の漁業用具は、海苔養殖を行うため海底に立て込まれる海苔養殖用支柱(以下、支柱と記載する。)Pである。船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1は、海苔養殖前に載置された海苔養殖に使用するための支柱Pを海底に立て込む作業、海苔養殖終了時に海底より支柱Pを引き抜く作業を行うものである。支柱Pは、両端に、先端側が小径となるテーパ状の下側ソケットPa、上側ソケットPbが設けられた管状体である。なお、この実施の形態では、漁業用具を海苔養殖用支柱で説明を行っているが、漁業用具は、他の海産物の養殖のための養殖用支柱であってもよい。
【0032】
スライド体11の前方側には、揺動連結体60(図7参照)等を介して柱状体25が設けられている。柱状体25は、長手方向に延びた柱状の部材である。柱状体25は後述する柱状体起倒装置70によって起倒動作を行うものであり、柱状体25が起立位置にあるときの長手方向上端部には、第1ローラ支持部材53がボルト53aで固定されている。柱状体25の一方の取付板部25aにはねじ穴が形成され、第1ローラ支持部材53には調整用長穴が形成されている。第1ローラ支持部材53は、矢印U方向に調整用長穴を介して移動調整可能であり、所定の位置に移動調整された後、ボルト53aで一方の取付板部25aに固定される。第1ローラ支持部材53は第1ローラ軸52を回転可能に支持している。第1載置ローラ51は、第1ローラ軸52を介して、第1ローラ支持部材53に支持されている。
【0033】
柱状体25が起立状態にあるときの長手方向下端部には、第2ローラ支持部材56がボルト56aで固定されている。柱状体25の他方の取付板部25bにはねじ穴が形成され、第2ローラ支持部材56には調整用長穴が形成されている。第2ローラ支持部材56は、矢印U方向に調整用長穴を介して移動調整可能であり、所定の位置に移動調整された後、ボルト56aで他方の取付板部25bに固定される。第2ローラ支持部材56は第2ローラ軸55を回転可能に支持している。第2載置ローラ54は、第2ローラ軸55を介して、第2ローラ支持部材56に支持されている。第1ローラ支持部材53、第2支持部材56の移動調整は、後述する駆動ローラ31a、駆動ローラ31bのR形状の外周面と押さえローラ45,45のR形状の外周面とに挟まれて支持されている支柱Pの外周面が、第1載置ローラ51、第2載置ローラ54の外周面に当接、または、ほぼ当接するように行われる。すなわち、第1載置ローラ51、第2載置ローラ54に載置された支柱Pの中心と、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bの外周部のR形状の中心、及び、押さえローラ45,45の外周部のR形状の中心とが一致、ほぼ一致するように調整されている。、言い換えると、第1載置ローラ51、第2載置ローラ54に支柱Pが載置された状態で、駆動ローラ31aのR形状の外周部、及び、駆動ローラ31bのR形状の外周部と、押さえローラ45,45のR形状の外周部とに、支柱Pがスムースに挟持されるように調整されている。
【0034】
第1ローラ軸52、第2ローラ軸55は、柱状体25が倒伏位置に位置しているとき、ローラ軸線が水平方向を向くようになっている。そして、第1載置ローラ51、第2載置ローラ54は、柱状体25が倒伏位置に位置しているとき、支柱Pを、長手方向の2位置で、水平の姿勢で支持するためのものである。言い換えると、支柱Pを、水平な載置面で載置している状態になっている。第1載置ローラ51、第1ローラ軸52、第1ローラ支持部材53、第2載置ローラ54、第2ローラ軸55、第2ローラ支持部材56等が漁業用具載置装置50を構成する。なお、支柱Pは、合成樹脂等で形成された軽量の材質で形成されたものが好ましい。また、地盤への挿入を容易にするために、海底側の下側ソケットPaに立て溝、空気穴等が形成されているもの〔例えば、商品名:セキスイ New タフポール(九州積水化学工業株式会社製)〕等が好ましい。このような立て溝がある支柱であると、支柱Pを上下方向に昇降動作させると、水と泥を排出しながら立て込むことができる。
【0035】
柱状体25の前方側の側部には、漁業用具昇降駆動装置30が設けられている。漁業用具昇降駆動装置30は、昇降駆動装置本体(以下、昇降本体と記載する。)37、回転運動させるための回転駆動体(例えば、油圧モータ等流体圧モータであり、以下、油圧モータと記載する。)32、回転力伝達機構であるチェーン・スプロケット機構33、駆動ローラ31a、駆動ローラ31b等から構成されている。柱状体25の前方側の側部には、昇降本体37が固定されている。昇降本体37には、軸受体35、昇降本体37内の軸受(図示せず)等に回転可能に支持された駆動ローラ31a、駆動ローラ31bが設けられている。駆動ローラ31aの回転軸(図示せず)は、油圧モータ32の出力軸に、連結部材(図示せず)を介して連結されている。
【0036】
また、駆動ローラ31aの回転軸と、駆動ローラ31bの回転軸には、各々、スプロケットが設けられており、このスプロケットの間にはチェーン34が巻回されている。すなわち、駆動ローラ31aの回転軸と駆動ローラ31bの回転軸との間には、チェーン・スプロケット機構33が設けられている(図5参照)。そして、油圧モータ32の出力軸が回転すると、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bが、同じ回転方向に、同じ回転速度で回転する。駆動ローラ31aは、金属材料(例えば、ステンレス)製の基体部31a1の外周に、軟質材料(例えば、ポリウレタンゴム、熱可塑性エラストマー、軟質の熱可塑性合成樹脂、ゴム)製のローラ部31a2が一体に固定されたものである。ローラ部31a2は、外周面が、部分的に所定の半径rをしたR形状に凹んだローラである(図8参照)。ローラ部31a2の外周面は、駆動ローラ31aの軸線方向の中央部、中央部近傍に半径rの中心が位置するようになっている。駆動ローラ31aは、回転軸に嵌合される内径部31a4が形成されキー結合されている。R形状の半径rは、支柱Pの最大直径より、所定量大きい寸法(例えば、支柱Pの最大直径がφ56mmのとき、半径rは30mm)のようになっているとよい。後述する押さえローラ35と協働して支柱Pを挟持するが、その場合に、支柱Pを所定の押し付け力で押圧する必要があり、支柱Pを保護するためローラ部31a2を軟質材料で形成している。
【0037】
駆動ローラ31bも、駆動ローラ31aと同一のものであり、内径部31b4が形成された基体部31b1、ローラ部31b2とからなる。また、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bの外周面には、放射状の切り込み31a3、切り込み31b3が所定角度θ(例えば、1〜10度が好ましく、この形態では9度である。)毎に形成されている。切り込み31a3、切り込み31b3は、所定の幅w(例えば、0.3〜3mm)で所定の深さhのものである。切り込み31cの深さh(例えば、5〜15mmが好ましく、この形態では8mmである。)は、外周面に対するR形状の凹み量(例えば、1〜10mmが好ましく、この形態では5mmである。)より深い寸法である。このように形成された駆動ローラ31a、駆動ローラ31bは、押さえローラ45、45が支柱Pを所定の押し付け力(例えば、3500N)で押圧して挟持したとき、外周面側が弾性変形して、支柱Pの外周面に接触し、確実に駆動力を伝達する。なお、駆動ローラは、外周面がV字状、楕円形状、長円形状をしたローラ等であってもよい。すなわち、駆動ローラは、駆動ローラと支柱Pとの間で、滑り等が生じることがなく、確実に駆動力を伝達できる形状であればよい。また、回転力伝達機構は、ベルト・プーリ機構、歯車機構等であってもよい。さらに、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bの外周面は、所定の角度毎に、所定の深さ凹凸する凹凸面等であってもよい。
【0038】
〔漁業用具押さえローラ装置〕
漁業用具昇降駆動装置30の後方側(装置基台10側)には、漁業用具押さえローラ装置40が設けられている。漁業用具押さえローラ装置40は、押さえローラ45,45と、押さえローラ45,45を進退移動させるための押さえローラ進退駆動体である押さえローラ進退用流体圧シリンダ(例えばローラ進退用油圧シリンダであり、以下、ローラ進退シリンダと記載する。)41と、押さえローラ45を回転可能に支持する押さえローラ支持体43等からなっている。押さえローラ45は、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bに、各々、対向するように複数個(例えば、この形態では2個)設けられている。
【0039】
ローラ進退シリンダ41のシリンダ本体部は、柱状体25に取り付け部材48を介して取り付けられ、シリンダ本体部に対してピストンロッド42が進退移動する。ピストンロッド42の先端部には押さえローラ支持体43が固定されており、押さえローラ支持体43はガイド部材46、46に案内されて駆動ローラ31a、駆動ローラ31bに接近または離隔するように進退移動する。押さえローラ支持体43には、押さえローラ45,45が押さえローラ軸44,44を介して回転可能に設けられている。押さえローラ45,45は、外周面の中央部が所定の半径のR形状に凹んだローラである。このR形状の半径は、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bと同じ半径であればよい。押さえローラ45,45の外周面側は、駆動ローラ31a等と同様に軟質材料で形成されている。
【0040】
押さえローラ45,45は、ローラ進退シリンダ41のピストンロッド42がシリンダ本体から伸長する伸長方向に移動したとき、駆動ローラ31a、駆動ローラ31b側(矢印A側)に移動し、押さえローラ45,45の外周面と駆動ローラ31a、駆動ローラ31bの外周面とで支柱Pを所定の押し付け力で挟持する。また、押さえローラ45,45は、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bから回転力を伝達して支柱Pを昇降移動させるときの支柱の昇降方向に移動させるためのガイドを行う。また、ローラ進退シリンダ41のピストンロッド42が縮小位置に位置したとき、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bから離れる側(矢印B側)に移動し、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bと、押さえローラ45,45との間が大きく開いた状態になる。すなわち、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bと、押さえローラ45,45との間に支柱Pを入れたり、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bと、押さえローラ45,45との間から支柱Pを取り出したりすることが容易にできるようになっている。
【0041】
〔柱状体起倒装置〕
図6、7に従って、柱状体起倒装置70の説明を行う。
柱状体起倒装置70は、駆動ローラ31a、駆動ローラ31b、押さえローラ45,45等が設けられた柱状体25を、支柱Pを柱状体25上に載置するための倒伏位置(図3に2点鎖線で示した図)と、支柱Pを起立させた起立位置(図3の実線で示した図)とに、第1鉛直面(図2にV1−V1線で示す鉛直面)内で、矢印α方向に、揺動動作させるためのものである。この起立位置は、漁業用具昇降駆動装置30と漁業用具押さえローラ装置40との協働によって、海底に、支柱Pを立て込む作業を行うための位置である。
【0042】
起倒用駆動体である起倒用流体圧シリンダ(例えば起倒用油圧シリンダであり、以下、起倒シリンダと記載する。)71の一端側であるピストンロッド72の先端連結部72aが、柱状体25が起立したとき上部に位置する柱状体上側連結部26に、揺動可能に、第1揺動軸73を介して連結されている。起倒シリンダ71はクレビス形の揺動式シリンダであり、クレビス形シリンダ本体の他端側に設けられたクレビス形の取付部71aが、揺動連結体60に形成された第2連結部62に、揺動可能に、第2揺動軸74を介して連結されている。柱状体25が起立したとき下部側に位置する柱状体下側連結部27と、揺動連結体60の第1連結部61とは、揺動可能に、起倒動作支点軸75を介して連結されている。すなわち、柱状体25は、起倒シリンダ71のピストンロッド72が進退移動したとき、揺動連結体60に対して、起倒動作支点軸75を支点にして、第1鉛直面内で揺動動作を行う。そして、揺動連結体60を基点とすると、ピストンロッド72が伸長位置にあるとき、柱状体25等が起立した姿勢となる。また、ピストンロッド72が縮小位置にあるとき、柱状体25等が倒伏した姿勢となる。
【0043】
〔柱状体起立姿勢調整装置〕
図4、6に従って、柱状体起立姿勢調整装置80について説明を行う。
柱状体起立姿勢調整装置80は、柱状体25が起倒動作を行う第1鉛直面に対して直交する第2鉛直面(図2にV2−V2線で示す鉛直面)内において、柱状体25が起立したときの姿勢を調整するためのものである。スライド体11の揺動連結体60側(前方側)の端部にはスライド体前側連結部15が、下部側にはスライド体下側連結部16が形成されている。揺動連結体60は、スライド体11側の端部に第3連結部63が、下部側に第4連結部64が形成されている。
【0044】
スライド体前側連結部15と第3連結部63との間には、姿勢調整支点軸88が設けられており、姿勢調整支点軸88を支点にして揺動動作可能に構成されている。起立姿勢調整用駆動体である起立姿勢調整用流体圧シリンダ(以下、姿勢調整シリンダと記載する。)81は、トラニオン形のシリンダであり、シリンダ本体に形成されたトラニオンアーム85が第4連結部64に回動可能に支持されている。姿勢調整シリンダ81のピストンロッド82は、先端連結部82aが、スライド体下連結部16に第3揺動軸84を介して回動可能に連結されている。
【0045】
姿勢調整シリンダ81のピストンロッド82を伸縮動作させることにより、揺動連結体60は、スライド体11に対して第2鉛直面内で、矢印β方向に、揺動動作を行う。このことは、柱状体25が、第2鉛直面内で起立姿勢の調整を行えることを意味している。言い換えると、この船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1は、支柱Pを立て込むための姿勢、引き抜くための姿勢を、互いに直交する第1鉛直面、第2鉛直面内で、調整することができるので、正確な立て込み、引き抜き作業を行うことができる。
【0046】
〔操作装置〕
スライド体11の後方側には、操作装置支持部材93が設けられている。操作装置支持部材93の上方には、切換バルブ群92、操作レバー群91等が設けられている。漁業従事者(作業者)が、操作レバー群91のうち所定の操作レバ−を操作することにより、油圧モータ32、起倒シリンダ71、姿勢調整シリンダ81、ローラ進退シリンダ41等の油圧回路に設けられた切換バルブを制御し、図示しない圧力源から供給されている圧油(圧力流体)の供給方向を切り換えて、前述した支柱Pの昇降動作、柱状体25等の起倒動作、柱状体25の起立姿勢調整動作等を行うことができるようになっている。この切換バルブ群92、操作レバー群91、操作装置支持部材93等が、操作装置90を構成する。
【0047】
〔船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の使用例〕
〔養殖用支柱の立て込み方法〕
本発明の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1の使用例として、海底に支柱Pを立て込む養殖用支柱立て込み、養殖用支柱の引き抜き方法について説明を行う。
スライド体11、旋回装置20を、立て込みを行うための所望の位置に調整して固定する。
漁業従事者が起倒シリンダ71用の操作レバーを操作して、起倒シリンダ71への圧油の供給方向を切換え、ピストンロッド72がシリンダ本体に対して縮小した縮小状態にすることより、柱状体25を倒伏位置(水平位置)に位置させる(図3の2点鎖線の図参照)。また、漁業従事者は、ローラ進退シリンダ41用の操作レバーを操作して、ローラ進退シリンダ41への圧油の供給方向を切換え、ローラ進退シリンダ41のピストンロッド42がシリンダ本体に対して縮小する方向に移動させる。ピストンロッド42が縮小位置に位置したとき、押さえローラ45,45と駆動ローラ31a、駆動ローラ31bとの間隔が大きく開いた状態となる。漁業従事者は、支柱Pを図示しない養殖用支柱置き場から持ち上げ、支柱Pを、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bの外周面と押さえローラ45,45の外周面との間に位置させるとともに、第1載置ローラ51、第2載置ローラ54の外周面上に載置する。
【0048】
漁業従事者は、ローラ進退シリンダ41用の操作レバーを操作して、ローラ進退シリンダ41への圧油の供給方向を切換え、ピストンロッド42をシリンダ本体に対して伸長する方向に移動させる。この押さえローラ45,45の伸長方向への移動により、支柱Pが、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bと押さえローラ45,45との間で挟持される。このとき、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bの外周面のR形状の中心位置、及び、押さえローラ45,45の外周面のR形状の中心位置と、第1載置ローラ51、第2載置ローラ54の外周面に載置された支柱Pの中心とが、一致またはほぼ一致するように調整されているので、支柱Pは、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bと押さえローラ45,45とにスムースに挟持される。また、支柱Pが、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bによる駆動で、上下方向に昇降運動を行うとき、第1載置ローラ51、第2載置ローラ54が支柱Pの昇降移動に影響を与えることが生じない。また、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bと押さえローラ45,45の外周面は弾性変形して、支柱Pの外周面に確実に接触する。
【0049】
漁業従事者が起倒シリンダ71用の操作レバーを操作し、起倒シリンダ71に供給される圧油の供給方向を切換え、起倒シリンダ71のピストンロッド72を縮小状態から伸長状態にし、柱状体25、駆動ローラ31a、駆動ローラ31b、押さえローラ45,45に挟持された支柱P等を第1鉛直面内で矢印α方向(図3参照)に揺動させ、支柱Pの軸線が鉛直方向を向くように起立させる(図3の実線の図参照)。また、第1鉛直面に直交する第2鉛直面において、支柱P等の軸線が鉛直方向を向いているか否か確認する。第2鉛直面方向で調整が必要な場合、漁業従事者が姿勢調整用シリンダ81用の操作レバーを操作し、姿勢調整用シリンダ81を駆動して、第2鉛直面内で矢印β方向(図4参照)に柱状体25、支柱P等を揺動させ、支柱Pの立て込み姿勢を調整する。支柱Pは、軸線がほぼ鉛直方向を向くように調整される。
【0050】
駆動ローラ31a、駆動ローラ31bを油圧モータ32で回転させ、支柱Pを、海底に、所定の深さまで挿入する。このとき、支柱Pと駆動ローラ31a、駆動ローラ31bとを所定の押し付け力で押圧した状態にしているので、支柱Pの外周面と駆動ローラ31a、駆動ローラ31bの外周面との間に滑りを生じることなく支柱Pを確実に昇降移動させることができる。また、このときに、支柱Pを破損させたり、割れを生じさせることがない。さらに、支柱Pは、駆動ローラ31aと、駆動ローラ31aと対向するように設けられた押さえローラ45、駆動ローラ31aに対して長手方向に所定量離れた位置に設けられた駆動ローラ31bと、駆動ローラ31bに対向するように設けられた押さえローラ45とで案内支持されながら挿入されるので、傾いて立て込まれることが生じない。また、海底の地盤が固い場合には、支柱Pを上下方向に昇降させる動作すばやく行うことで、容易に海底に挿入して立て込むことができる。すなわち、駆動ローラ31a、駆動ローラ31b等は慣性が小さく、長手方向の複数の位置で、確実に、ころがり支持することができる。このことにより、すばやく正逆方向に回転させることができるため、地盤の固い海底にも容易に立て込みを行うことが可能となるのである。また、支柱Pの正確な立て込みを行うことができる。
【0051】
所定の深さまで支柱Pを挿入した後、漁業従事者は、油圧モータ32用の操作レバーを操作して、油圧モータ32への圧油の供給を停止し、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bの回転を停止する。その後、ローラ進退シリンダ41用の操作レバーを操作して、ローラ進退シリンダ41の圧油の供給方向を切換え、ピストンロッド42をシリンダ本体に対して縮小する方向に移動させる。押さえローラ45,45が、支柱Pから離れる方向に移動し、支柱Pの挟持が解除される。
【0052】
この船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1は、支柱Pを、複数の駆動ローラ35a、駆動ローラ35bと、この駆動ローラ35a、駆動ローラ35bに対向するように設けられた複数の押さえローラ45,45とで挟持しながら昇降駆動させることができる構成のものである。このような構成にすることにより、支柱Pを高精度に案内支持しながら上下方向に昇降させて、支柱Pを海底に立て込むことができる。さらに、この船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1は、支柱Pに、すばやい昇降動作を行うことができるため、立て込む海底の地盤が固い場合でも、容易に、立て込み動作を行うことができ、養殖場所の拡大を図ることができる。
【0053】
〔養殖用支柱の引き抜き方法〕
また、この船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1は、前述した立て込み方法の逆の手順で支柱Pを海底から引き抜く引き抜き作業を行うこともできる。すなわち、柱状体25を第1鉛直面、第2鉛直面における起立状態、または、立て込まれた支柱Pの立っている姿勢と平行な状態に位置させる。ローラ進退シリンダ41の駆動により押さえローラ45,45を、駆動ローラ31a、駆動ローラ31b側に移動させる。海底に立て込まれた支柱Pを駆動ローラ31a、駆動ローラ31b、押さえローラ45,45で挟持させる。この後、油圧モータ32を支柱Pを引き抜く方向に駆動させることにより、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bを回転させ、支柱Pを引き抜く。引き抜いた後、起倒シリンダ71を駆動させて柱状体25を倒伏位置に位置させる。ローラ進退シリンダ41の駆動により、押さえローラ45,45を駆動ローラ31a、駆動ローラ31bから離れる方向に移動させる。これらの各動作は、漁業従事者が操作レバー群91の所定の操作レバーを操作することで行える。漁業従事者は、第1載置ローラ51、第2載置ローラ54上から支柱Pを取り出す。
【0054】
〔船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の他の使用例〕
図9、10に従って、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1の他の使用例について説明を行う。図9は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の他の使用例を示す正面図、図10は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の他の使用例を示す側面図である。なお、この他の使用例は、漁業用具である貝採取用網体で、あさり、赤貝等海底の貝を採取するものであり、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1の構成は、前述した構成と同一のものである。
【0055】
漁業用具は、棒状体または管状体である柄部Ncと、海底から貝を採取するための袋状網部Naと、網部の開口部周縁を支持するとともに柄部Ncに取り付けられる枠部Ndとからなる貝採取用網体Nである。この貝採取用網体Nは、開口部が四角形状をした袋状の網体である。
柱状体25を倒伏位置に位置させ、第1載置ローラ51、第2載置ローラ54上に、貝採取用網体Nの柄部Ncを載置する。このとき、貝採取用網体Nは、一方の端部に袋状網部Naを有するため、重量バランスがとれるように、第1載置ローラ51、第2載置ローラ54上に柄部Ncを載置するとよい。ローラ進退シリンダ41により、押さえローラ45,45が、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bに接近する方向に移動させ、柄部Ncを駆動ローラ31a、駆動ローラ31bの外周面と、押さえローラ45,45の外周面とで挟持する。
【0056】
柱状体25を起倒シリンダ71により起立位置に揺動させ、柱状体25が起立位置に位置したとき、袋状網部Naが下側(海底面G側)に位置しているようにする。油圧モータ32の駆動により駆動ローラ31a、駆動ローラ31bを、貝採取用網体Nが下降移動する方向に回転させ、貝採取用網体Nを下降させる。この下降動作で、袋状網部Naの先端が海底面Gより所定の深さeもぐった状態に位置させる。この深さeは、海底の砂、泥等の状態、貝のもぐっている状態等から、漁業従事者が適宜選択するものである。船を走らせて、貝採取用網体Nの袋状網部Na内に貝と砂、泥等とが入るようにする。油圧モータ32の駆動により、駆動ローラ31a、駆動ローラ31bを、貝採取用網体Nが上昇移動する方向に回転させ、貝採取用網体Nを引き上げる。この貝採取用網体Nを引き上げる過程で網目より小さい物体は袋状網部Naから落ちていき、所望の大きさ以上の貝等が残る。袋状網部Naから船体S内に貝を落下させる。この動作を繰り返すことで、海底の貝の採取が行える。
【0057】
〔船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の他の実施の形態〕
図11〜13に従って、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置の他の実施の形態の説明を行う。
図11は、船体の右舷側に船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を配置させた平面図、図12は、船体の左舷側に船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を配置させた平面図である。図13は、図11をC−C線で切断した断面図である。
この他の実施の形態の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置101は、前述した船上設置型漁業用具起倒・昇降装置1における作業の自動化、省力化をさらに進め、さらなる作業の労力低減を図れるようにしたものである。具体的には、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置101の柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等を船体の右舷側、左舷側に配置可能であるとともに、スライド体141等の進退移動動作、第1旋回装置120の旋回動作の自動化、省力化を行い、労力低減を図ったものである。なお、この他の実施の形態の説明では、前述した実施の形態と同一の部位には、同一の符号を付与して詳細な説明を省略している。
【0058】
船体S上には、右舷側から左舷側にわたって、起倒・昇降動作位置方向転換装置(以下、方向転換装置と記載する)110が設けられている。方向転換装置110は、装置基台111と、装置基台上を旋回運動する旋回アーム112、旋回アーム112の下部に設けられるキャスター113、旋回アーム112を所定の位置に固定させるための固定部材114等から構成されている。旋回アーム112は、一方の端部側が、装置基台111の中央に設けられた支点軸部111aの中心線CL1を中心に、図13における矢印R1方向に、水平面内で旋回可能に設けられている。旋回アーム112は、支点軸部111aの中心線CL1方向に移動できないように規制されている。旋回アーム112の他方の側の上部には、第1旋回装置120が設けられている。キャスター113は、旋回アーム112が支点軸部111aを中心に旋回するとき、旋回アーム112の他方の側近傍で、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等の重量を支えるものである。
【0059】
キャスター113は、装置基台111、及び、装置基台111に連続するように所定の幅を有しR状に形成されたR状案内面111b上を、転動運動する。固定部材114は、装置基台111の所定の位置に形成された固定用ねじ部111cにねじ込まれたとき旋回アーム112が旋回運動することを規制する。この昇降位置方向転換装置110を備えていることにより、船体Sの右舷側でも、左舷側でも、支柱Pに対する立て込み・引き抜き作業、貝採取用網体Nに対する下降・引き上げ作業等を容易に行うことができる。なお、方向転換装置は、他の角度位置に方向転換できるものであってもよい。例えば、方向転換装置は、右舷側の45度位置、左舷側の45度位置など、船体Sの舷の所望の角度位置に方向転換するものであってもよい。
【0060】
旋回アーム112とスライド体141との間に第1旋回装置120が設けられている。この第1旋回装置120は、前述した旋回装置20に相当するものであり、旋回体122は、前述した旋回体22に相当するものである。旋回体122は、旋回軸121の中心線CL2の回り方向(図11、13において、矢印R2で示す方向)に旋回可能に構成されている。旋回体12は、旋回軸121の中心線CL2方向に移動できないように規制されている。第1旋回装置120は、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置101を船体S内に収納する収納位置と、船上設置型漁業用具起倒・昇降装置101の柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等を前記船体の外方に位置させ、漁業用具に対する作業(例えば、支柱Pに対する立て込み・引き抜き作業、貝採取用網体Nに対する下降・引き上げ作業等)を行うための作業位置とに旋回移動させるものである。旋回駆動装置は、揺動シリンダ124、リンク機構126等とから構成されている。
【0061】
言い換えると、この第1旋回装置120は、揺動シリンダ124の駆動力をリンク機構126を介して旋回体122に伝達し、水平面内で、旋回体122を旋回運動させるものである。揺動シリンダ124は、第1旋回装置120の固定側である支持部材123に一端を支持されたクレビス形の揺動シリンダ124である。揺動シリンダ124の一端は、揺動軸123aを介して、支持部材123に揺動可能に設けられている。揺動シリンダ124は、圧力流体の供給によりピストンロッド124aが進退移動する流体圧シリンダである。
【0062】
リンク機構126は、第1リンク128、第2リンク129、連結ピン127等から構成されるものである。第1リンク128は、一端が支持部材123に設けられた揺動軸123bに揺動可能に連結されている。第2リンク129は、一端が旋回体122の連結部122aに設けられた揺動軸129aに揺動可能に連結されている。揺動シリンダ124のピストンロッド124aの先端には連結部材(例えば、ロッドエンド軸受)124bがねじ込まれ固定されている。連結部材124bの先端には、連結ピン127が挿通するための穴が形成されている。連結部材124bの先端の穴、第1リンク128の他端、第2リンク129の他端は、連結ピン127により、揺動可能に連結されている。
【0063】
このように構成された第1旋回装置120は、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等を船体S内に収納する収納位置と、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等を船体Sの外方に位置させ、前記漁業用具に対する作業を行うための作業位置とに、水平面内で、旋回運動するものである。言い換えると、揺動シリンダ124のピストンロッド124aが伸長位置から縮小位置に移動するとき、連結ピン127で連結されたピストンロッド124a先端の連結部材124b、第1リンク128、及び、第2リンク129が揺動動作を行い、旋回体122、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等は、中心線CL2を中心に、図11における反時計回り方向に旋回し、図11の実線で示す作業位置に位置する。また、ピストンロッド124aが縮小位置から伸長位置に移動するとき、ピストンロッド124a先端の連結部材124bと連結ピン127で連結された第1リンク128、第2リンク129が揺動動作を行い、旋回体122、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等は、中心線CL2を中心に、図11における時計回り方向に旋回し、図11の想像線で示す収納位置に位置する。なお、旋回駆動装置は、流体圧シリンダとラック・ピニオン機構、モータとねじ機構、ロータリーアクチュエータ等他の駆動機構であってもよい。
【0064】
図13に示すように、揺動連結体60と柱状体25との間には、第2旋回装置150が設けられている。第2旋回装置150は、水平面内で、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等を揺動連結体60に対して旋回動作させるためのものである。揺動連結体60には、旋回軸151が立設されている。旋回体152は、旋回軸151の中心線CL3を中心にして、図13における矢印R3方向に、180度旋回運動するように設けられている。旋回体152は、旋回軸151の中心線CL3方向に移動できないように規制されている。この旋回体152の上部には、柱状体25が固定されている。旋回体152と旋回軸151との間には、旋回体152が旋回動作することを規制するための固定ピン153が設けられている。言い換えると、通常は、固定ピン153が差し込まれて旋回体152、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等は、旋回軸151に対して旋回できないようになっている。
【0065】
この第2旋回装置150は、前述した方向転換装置110により、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等を右舷側から左舷側に方向転換させたとき、漁業用具(例えば、支柱P、貝採取用網体N)のつかむ部分が、船体Sの進行方向に対して逆方向に位置してしまうことを転換するためのものである。すなわち、図12に示すように、左舷側に柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等を位置させた場合でも、漁業用具(例えば、支柱P、貝採取用網体N)が右舷側にあるときと同一方向を向くように180度旋回動作させるものである。この場合、漁業従事者は、第2旋回装置150の固定ピン153を引き抜き、中心線CL3の回り方向(図13の矢印R3で示す方向)に、旋回体152、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等を180度旋回させる。旋回動作後、漁業従事者が、旋回体152と旋回軸151との間に固定ピン153を差し込むことで、第2旋回装置150の旋回動作が規制される。
【0066】
操作装置支持部材93とスライド体141との間には、スライド体141を進退移動させるための駆動シリンダ140が設けられている。スライド体141は、前述したスライド体11に相当するものであり、スライド体駆動装置である駆動シリンダ140の駆動力で進退移動するものである。駆動シリンダ140のピストンロッド140aは、スライド体141の連結部141aに連結されている。駆動シリンダ140は圧力流体の供給によりピストンロッド140aが進退移動する流体圧シリンダである。駆動シリンダ140は、スライド体141を介して、柱状体25、漁業用具昇降駆動装置30等が、船体Sに対して、接近する方向(図1における矢印B方向)、離隔する方向(図1における矢印A方向)に進退移動させるものである。なお、スライド体駆動機構は、モータとねじ機構等他の駆動機構であってもよい。
【0067】
なお、実施の形態、他の実施の形態の説明で行っている「鉛直」とは、鉛直線に対して所定の角度傾斜している「略鉛直」を含むものであり、「鉛直方向」も所定の角度傾斜している「略鉛直方向」を含むものである。同様に、鉛直面も、所定の角度傾斜している「略鉛直面」を含むものである。また、「水平」、「水平面」も所定の角度傾斜している「略水平」、「略水平面」を含むものである。この所定の角度とは、例えば、±10度以内である。なお、漁業用具が、養殖用支柱である場合、場所によっては鉛直線に対して30度まで傾けて海底に立て込むこともあり、その場合の所定の角度は±30度以内となる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態を種々説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。例えば、駆動ローラ、押さえローラの個数は、2個に限定されることはなく、3個以上であってもよい。また、回転駆動体、押さえローラ駆動体、起倒用駆動体、起立位置調整用駆動体は、圧縮空気で作動する空気圧シリンダ、空気圧モータ等の流体圧機器であってもよい。また、起倒・昇降動作位置方向転換装置、第2旋回装置は、駆動体の駆動力で駆動されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1、101…船上設置型漁業用具起倒・昇降装置
10…装置基台
11…スライド体
20…旋回装置
25…柱状体
30…漁業用具昇降駆動装置
31a、31b…駆動ローラ
32…回転駆動体
40…漁業用具押さえローラ装置
41…ローラ進退駆動体
45…押さえローラ
50…漁業用具載置装置
60…揺動連結体
70…柱状体起倒装置
71…起倒用駆動体
80…柱状体起立姿勢調整装置
81…起立姿勢調整用駆動体
90…操作装置
91…操作レバー群
110…起倒・昇降動作位置方向転換装置
120…第1旋回装置
140…スライド体駆動装置
150…第2旋回装置
P…養殖用支柱
N…貝採取用網体
S…船体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体上から、長尺に形成された棒状体または管状体を有する漁業用具を支持して作動させるための船上設置型漁業用具起倒・昇降装置であって、
前記船体上に設けられる装置基台と、
前記装置基台に、前記船体内から前記船体の外方に延在するように設けられているスライド体と、
前記スライド体が延在している長手方向と直交する鉛直方向の平面である第1鉛直面内において、前記スライド体に対して、前記漁業用具の前記棒状体または前記管状体を載置するための倒伏位置と、前記漁業用具を起立状態に起こすための起立位置との間を揺動して起倒動作可能な柱状体と、
前記柱状体を起倒動作させるための柱状体起倒装置と、
前記柱状体の長手方向の両端部に、各々、前記棒状体または前記管状体を載置するために設けられ、前記柱状体が前記倒伏位置にあるとき、前記棒状体または前記管状体が載置される載置面が、水平面内に位置するとともに、前記柱状体より上部に位置する漁業用具載置装置と、
前記柱状体の長手方向に、複数個、設けられ、前記漁業用具載置装置の前記載置面と平行であって、前記棒状体または前記管状体の軸線と直交する方向に回転軸線を有し、回転駆動力を前記棒状体または前記管状体に伝達して前記漁業用具を昇降移動させるための駆動ローラと、
回転駆動体の回転駆動力を、回転伝達機構を介して、前記駆動ローラに伝達するための回転駆動装置と、
前記駆動ローラと対向するように、かつ、前記駆動ローラに対して、押さえローラ進退駆動体により進退移動可能に設けられ、前記駆動ローラ側に移動して前記棒状体または前記管状体と当接したとき、前記駆動ローラと協働して前記棒状体または前記管状体を案内支持するための複数の押さえローラと、
前記第1鉛直面と直交する第2鉛直面内において、起立させたときの前記柱状体の起立姿勢を調整するための柱状体起立姿勢調整装置と
を備えている船上設置型漁業用具起倒・昇降装置。
【請求項2】
請求項1に記載の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置において、
前記駆動ローラは、所定の半径をしたR形状の外周面に形成されている
ことを特徴とする船上設置型漁業用具起倒・昇降装置。
【請求項3】
請求項2に記載の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置において、
前記駆動ローラは、外周面部に所定の角度毎に、所定の深さの切り込みが、放射状に入っている
ことを特徴とする船上設置型漁業用具起倒・昇降装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の船上設置型漁業用具起倒・昇降装置において、
前記漁業用具載置装置は、前記載置面に前記漁業用具を載置したとき、駆動ローラの外周面のR形状の中心と、前記漁業用具の前記棒状体または前記管状体の中心とが一致、または、ほぼ一致するように、前記載置面が移動調整可能になっている
ことを特徴とする船上設置型漁業用具起倒・昇降装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された船上設置型漁業用具起倒・昇降装置において、
前記スライド体は、前記船体に対して、接近、離隔する方向に移動可能に、前記装置基台に設けられているものである
ことを特徴とする船上設置型漁業用具起倒・昇降装置。
【請求項6】
請求項5に記載された船上設置型漁業用具起倒・昇降装置において、
前記スライド体を、前記接近、隔離する方向に駆動力で移動させるためのスライド体駆動装置が設けられている
ことを特徴とする船上設置型漁業用具起倒・昇降装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された船上設置型漁業用具起倒・昇降装置において、
前記装置基台には、前記船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を旋回させ、前記船体の舷の所望の角度位置に方向転換させるための起倒・昇降動作位置方向転換装置が設けられている
ことを特徴とする船上設置型漁業用具起倒・昇降装置。
【請求項8】
請求項7に記載された船上設置型漁業用具起倒・昇降装置において、
前記スライド体と前記柱状体の間には、水平面内で、前記スライド体に対して前記柱状体を180度旋回運動させる第2旋回装置が設けられている
ことを特徴とする船上設置型漁業用具起倒・昇降装置
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載された船上設置型漁業用具起倒・昇降装置において、
前記装置基台または前記起倒・昇降動作位置方向転換装置と、前記スライド体との間には、前記船上設置型漁業用具起倒・昇降装置を前記船体内に収納する収納位置と、前記柱状体を前記船体の外方に位置させ、前記漁業用具に対する作業を行うための作業位置とに、前記スライド体を旋回させるための第1旋回装置が設けられている
ことを特徴とする船上設置型漁業用具起倒・昇降装置。
【請求項10】
請求項9に記載された船上設置型漁業用具起倒・昇降装置において、
前記第1旋回装置には、駆動力で旋回運動させるための旋回駆動装置が設けられている
ことを特徴とする船上設置型漁業用具起倒・昇降装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載された船上設置型漁業用具起倒・昇降装置において、
前記漁業用具は、海苔を含む海産物の養殖を行うために、海底に立て込まれる養殖用支柱、または、海底から貝を採取するための貝採取用網体である
ことを特徴とする船上設置型漁業用具起倒・昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−115264(P2012−115264A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247633(P2011−247633)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(390025759)株式会社ワイビーエム (26)
【出願人】(505455417)株式会社イツワ工業 (9)
【Fターム(参考)】