説明

船舶の電力制御方法及び船舶電力制御システム

【課題】スラスタ装置への給電を行っても需要電力が発電機の発電電力を超えるおそれを低減できる船舶の電力制御方法及び船舶電力制御システムを提供する。
【解決手段】船舶の電力制御方法は、発電機11,12,13と、空調装置38Xを含む電力を消費する複数の負荷機器と、船舶に横方向推進力を与えるスラスタ装置31と、を有する船舶の電力制御方法であって、船舶の離岸および接岸時に、空調装置の運転を抑制する。また、船舶電力制御システム1は、制御装置80がスラスタ装置の稼働を予測し、スラスタ装置の稼働前における消費電力計測手段44〜49の消費電力情報を初期基準として、スラスタ装置の稼働時におけるスラスタ装置の消費電力を含む複数の負荷機器の総消費電力を推定する演算を行い、スラスタ装置の稼働時における負荷機器の総消費電力が複数の発電機の総発電量内に収まるように空調装置を制御し、負荷機器の総消費電力を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の電力制御方法及び船舶電力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、船舶における居住区内では、生活設備である厨房及び洗濯設備の需要電力を監視し、負荷の電力使用状況を表示して適正な負荷の使用状況となるように制御する厨房及び洗濯設備の需要電力監視装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−43732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、厨房及び洗濯設備といった船体サービス補機以外にも他の負荷機器の搭載が増え電力が消費されている。一方、船舶では、航行時に外部から電力を供給できないので、自家発電している。航海において一時的な接岸、離岸時に必要な横方向推進力を与えるスラスタ装置への電力給電をすると、船舶の消費電力が運航状態に応じて変動し、消費電力の変動に対応するために、発電機の容量は一時的に使用するスラスタ最大消費電力にあわせ、余裕をもたせている。これにより、造船コストが上昇する一因となっている。発電機の容量に余裕をもたせない場合、需要電力が発電機の発電電力を超えるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、スラスタ装置への給電を行っても需要電力が発電機の発電電力を超えるおそれを低減できる船舶の電力制御方法及び船舶電力制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の船舶の電力制御方法は、発電機と、空調装置を含む電力を消費する複数の負荷機器と、船舶に横方向推進力を与えるスラスタ装置と、を有する船舶の電力制御方法であって、前記船舶の離岸および接岸時に、前記空調装置の運転を抑制することを特徴とする。
【0007】
このため、スラスタ装置への給電を行っても需要電力が発電機の発電電力を超えるおそれを低減できる。地球環境保護又は燃料油価格の高騰等を背景に、船舶は、燃料消費量低減が求められている。そこで本発明の船舶の電力制御方法によれば、船舶の運航状態に応じて船舶の燃料消費量を低減できるよう運航することができる。また、同じ定期航路の同型船舶であれば、次期就航の船舶の建造において船主の運航方法により生まれる発電機の余裕容量を減らし、定格出力を下げた発電機を搭載することもできる。ここで、空調装置の運転を抑制することには、空調装置の温度設定を変更すること、及び空調装置の停止を行うことが含まれる。空調装置は、乗組員室及び客室毎に設置されることが多く、定期航路船舶では数百となる。このため、定期航路船舶において空調装置の運転を抑制することにより、スラスタ装置への給電を補うことが可能となる。
【0008】
本発明の望ましい態様として本発明の船舶の電力制御方法は、前記スラスタ装置の稼働時における前記複数の発電機のうち個々の発電機の負荷率が65%以上100%未満となるように前記空調装置の消費電力を抑制する制御信号を前記空調装置へ送信することが好ましい。これにより、船舶の発電機が低燃費な運転となる。
【0009】
本発明の望ましい態様として本発明の船舶の電力制御方法は、前記船舶が停泊、出港、航行、入港、停泊の運航状態区分を1航海として繰り返す定期航路を運航する定期航路船舶であり、前記空調装置の消費電力データを取得し、前記空調装置の消費電力データを前記運航状態の区分とともに航海毎に同時表示することが好ましい。これにより、乗客の人数による影響や、季節変動による影響を把握することができる。
【0010】
上述の目的を達成するために本発明の船舶電力制御システムは、船舶に横方向推進力を与えるスラスタ装置と、空調装置とを含む電力を消費する複数の負荷機器と、複数の発電機と、前記発電機の供給電力を計測する供給電力計測手段と、前記負荷機器の消費電力を計測する消費電力計測手段と、前記発電機に接続され、前記発電機から供給された電力を前記負荷機器へ供給する配電手段と、前記供給電力計測手段及び前記消費電力計測手段を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記スラスタ装置の稼働を予測し、前記スラスタ装置の稼働前における前記消費電力計測手段の消費電力情報を初期基準として、前記スラスタ装置の稼働時における前記スラスタ装置の消費電力を含む前記複数の負荷機器の総消費電力を推定する演算を行い、前記スラスタ装置の稼働時における前記負荷機器の総消費電力が前記複数の発電機の総発電量内に収まるように前記空調装置を制御し、前記負荷機器の総消費電力を抑制することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、スラスタ装置への給電を行っても需要電力が発電機の発電電力を超えるおそれを低減できる。これにより、電力需要の最大15%が低減でき、船舶が低燃費な運転となる。また、同じ定期航路の同型船舶であれば、次期就航の船舶の建造において船主の運航方法により生まれる発電機の余裕容量を減らし、定格出力を下げた発電機を搭載することもできる。
【0012】
本発明の望ましい態様として本発明の船舶電力制御システムは、前記負荷機器にはヒータ付濾過装置が含まれ、前記スラスタ装置の稼働時の消費電力を含む前記負荷機器の総消費電力が前記複数の発電機の総発電量内に収まるように前記空調装置及び前記ヒータ付濾過装置を制御することが好ましい。これにより、空調装置を停止すべき部屋の数を低減できる。
【0013】
本発明の望ましい態様として本発明の船舶電力制御システムは、前記制御装置が前記船舶の現在位置情報、船速信号、前記スラスタ装置への操作信号、前記スラスタ装置の駆動準備信号のいずれか1以上に基づいて前記スラスタ装置の稼働を予測することが好ましい。その結果、スラスタ装置への給電を行っても需要電力が発電機の発電電力を超えるおそれを低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の船舶の電力制御方法及び船舶電力制御システムによれば、スラスタ装置への給電を行っても需要電力が発電機の発電電力を超えるおそれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施形態1に係る船舶電力監視システムの構成図である。
【図2】図2は、スラスタ装置を説明する模式図である。
【図3】図3は、図2のIII−III断面図である。
【図4】図4は、図2のIV−IV断面図である。
【図5】図5は、発電機及び負荷区分毎の負荷機器区分データベースを示す説明図である。
【図6】図6は、電力計測ユニット及び電力モニタによる電力計測の説明図である。
【図7】図7は、制御装置を示す模式図である。
【図8】図8は、本実施形態に係る電力監視方法の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、運航状態の区分を説明するための説明図である。
【図10】図10は、発電機稼働状況と運航状態の区分との関係を説明する説明図である。
【図11】図11は、電力計測データベースの一例を示す説明図である。
【図12】図12は、一航海毎に出力する消費電力のデータを運航状態の区分とともに時系列に表示する表示画面の一例を示す説明図である。
【図13】図13は、本実施形態1に係る船舶電力制御方法の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、空調抑制モードステップを詳細に説明するためのフローチャートである。
【図15−1】図15−1は、船舶電力制御による省エネルギーの効果領域を説明するための説明図である。
【図15−2】図15−2は、船舶電力制御による空調消費電力の表示を説明するための説明図である。
【図16】図16は、本実施形態1に係る船舶電力制御方法により制御された発電機の稼働状況の一例を説明する説明図である。
【図17】図17は、本実施形態2に係る船舶電力制御システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0017】
(実施形態1)
図1は、本実施形態1に係る船舶電力制御システムの構成図である。船舶電力制御システム1は、発電機群10と、配電盤20と、負荷機器30と、電力計測ユニット41〜49、電力モニタ51〜59と、制御装置80と、船速計測手段71と、主機関計測手段72とを有している。
【0018】
図1に示す発電機群10は、発電機11、発電機12、発電機13と、を有している。発電機11、発電機12、発電機13とは、例えばディーゼル発電機関である。発電機11、発電機12、発電機13とは、同型形式であると、作業員の習熟によりメンテナンスが容易となる。また、発電機11、発電機12、発電機13とは、同型形式であると、いずれかの発電機が故障した場合に代替稼働ができて好ましい。発電機群10は、負荷機器30の需要電力に応じて発電機群10の1以上の発電機を停止することで、発電量を調整できる。発電機群10には、スラスタ装置31への給電を主とする軸発電機とよばれるディーゼル発電機関を併設してもよい。
【0019】
配電盤20は、受電系統P1、P2、P3からの受電電力を配電系統p1、p2、p3、p4、p5、p6へ配電する配電手段である。また配電盤20は、電力の変圧、電力の投入、開閉、制御、又は作業安全のために遮断する電力開閉制御装置である。配電盤20は、受電系統P1、P2、P3を介して、発電機11、12、13と接続されている。また、配電盤20は、負荷機器30と配電系統p1、p2、p3、p4、p5、p6を介して接続されている。
【0020】
負荷機器30は、スラスタ装置31、機関補機32、甲板補機33、荷役装置34、照明装置35、船体サービス補機36を含んでいる。図1に示す負荷機器30は、例示であり、他種類の負荷機器を含んでいてもよい。
【0021】
スラスタ装置31は、船舶に横方向推進力を与える装置である。図2から図4を用いてスラスタ装置31について説明する。図2は、スラスタ装置を説明する模式図である。図3は、図2のIII−III断面図である。図4は、図2のIV−IV断面図である。
【0022】
図2に示すように、船舶の船体100には、船舶の主推進力源となる主機関39と、主機関39に接続し推進力を伝達するプロペラ111と、船体100の方向を制御する舵110と、ダクト101、102と、バウスラスタ装置31a、スタンスラスタ装置31bとを有している。図3及び図4に示すように、ダクト101、102は、船体100の両側に貫通し、バウスラスタ装置31a、スタンスラスタ装置31bを内在させている。バウスラスタ装置31aは、プロペラ111の回転により船体100の船首に横方向の推進力を与えることができる。また、スタンスラスタ装置31bは、プロペラ111の回転により船体100の船尾に横方向の推進力を与えることができる。
【0023】
ここで図1に示すスラスタ装置31は、図2に示すバウスラスタ装置31a、スタンスラスタ装置31bのいずれか一方又は両方を含む装置である。例えば、プロペラ111と舵110とにより、スタンスラスタ装置31bを省略して、船舶を運航することも可能である。スラスタ装置31によりタグボートなしで、船舶は出港又は入港時に離岸又は接岸の所用時間を短くすることができる。これにより、スラスタ装置31を有する船舶は、旅客、乗用車、貨物等を積載し、停泊、出港、航行、入港、停泊の運航状態区分を1航海として繰り返す定期航路を運航する定期航路船舶の用途に適している。
【0024】
機関補機32、甲板補機33、荷役装置34、照明装置35、船体サービス補機36は、図5を参照して説明する。図5は、発電機及び負荷区分毎の負荷機器区分データベースを示す説明図である。機関補機32は、主機関39及び発電機群10のための補機であり、図5に示す主冷却海水ポンプ、機関室給気通風機、発電機室給気通風機等がある。甲板補機33は、油圧ポンプユニット等であり、甲板上の作業に使用する機器である。荷役装置34は、トリミングポンプ、ヒールポンプ等の船舶の傾き又は水位を調整可能な機器、あるいは、保冷車への給電用変圧器等がある。照明装置35は、一般照明用の変圧器、厨房機器用変圧器等がある。
【0025】
図1及び図5に示すように、船体サービス補機36は、例えば、図1に示すように、複数の空調圧縮機371〜37Xと、複数の空調装置381〜38Xと、複数のヒータ付濾過装置391〜39Xとを含んでいる。複数の空調圧縮機371〜37Xと、複数の空調装置381〜38Xとは、空調システム(空気調和システム)として作用する。ヒータ付濾過装置391〜39Xは、船舶内の風呂の加熱及び濾過のための装置である。上述した空調圧縮機、空調装置又はヒータ付濾過装置は、単数であってもよい。また、空調装置は、乗組員室及び客室毎に設置されることが多く、定期航路船舶では数百となる。
【0026】
電力計測ユニット41〜49、電力モニタ51〜54とは、電力を計測する装置である。図1に示すように、受電系統P1、P2、P3には、各々電力計測ユニット41〜43が取り付けられている。電力計測ユニット41〜43からの電圧入力及び電流入力は各々電力モニタ51〜53へ信号線を通じて伝達される。電力計測ユニット41〜43及び電力モニタ51〜53は、発電機11、12、13の供給電力を計測する供給電力計測手段として作用する。
【0027】
また、配電系統p1、p2、p3、p4、p5、p6には、各々電力計測ユニット44〜49が取り付けられている。電力計測ユニット44〜49は、電力モニタ54〜59へ信号線を介して接続されている。電力計測ユニット44〜49及び電力モニタ54〜59は、図1に示す負荷機器30のいずれかの消費電力を計測する消費電力計測手段として作用する。図1に示す電力計測ユニット44〜49は、電力モニタ54〜59へ並列に信号線を介して接続されているが、どの電力計測ユニットのデータか判別可能な電力計測ユニット毎のチャンネル情報とともに計測データを1つの電力モニタへ送付できれば、電力モニタ54〜59が直列に接続されていてもよい。
【0028】
図6は、電力計測ユニット及び電力モニタによる電力計測の説明図である。図6は、変流器の説明図である。電力計測ユニット41及び電力モニタ51を代表して図5及び図6を参照して説明し、電力計測ユニット42〜49及び電力モニタ52〜54の説明は電力計測ユニット41及び電力モニタ51と同じ構成要素であるので省略する。
【0029】
図6に示すように、受電系統P1は、3相3線式であって、R相線P1、S相線P1、T相線P1を有している。電力モニタ51は、電力計測回路511と、モニタ512とを有している。電力計測回路511は、電力計測ユニット41のヒューズF1、F2を介して、電力計測ユニット41の受電系統P1に接続し、受電系統P1の電圧を検出可能としている。電力計測ユニット41は、変流器CT1、CT2を有しており、受電系統P1に接続し、受電系統P1の電流を検出可能としている。なお、変流器CT1、CT2は、ニッケル鉄合金等の軟磁性体のコアに1次コイルと2次コイルとを巻き付けた電流センサである。変流器CT1、CT2は、変流比(CT比)が1次コイルの巻き線数に対する2次コイルの巻き線数の比となっている。これにより、受電系統P1に流れる電流(1次電流)は、電力計測回路511に入力される電流(2次電流)に変流比(CT比)を積算した値として計算できる。変流器CT1、CT2の代わりに、ホールセンサ等の磁気センサによる電流センサを使用して電流計測を行ってもよい。
【0030】
以上のようにして、電力計測ユニット41からの信号により、電力計測回路511は電圧データとして電圧実効値の瞬時値V1(R相線P1−S相線P1間の線間電圧)、電圧実効値の瞬時値V2(S相線P1−T相線P1間の線間電圧)を取得する。また、電力計測回路511は、電流データとして電流実効値の瞬時値I1(R相線P1の線電流)、電流実効値の瞬時値I2(T相線P1の線電流)を取得する。
【0031】
電力モニタ51のモニタ512は、通信機能を備え電力計測ユニット毎のチャンネル情報、計測時間データとともに電圧データ及び電流データに基づく計測データを制御装置80に送信可能な装置である。電圧データ及び電流データに基づく計測データとして、直接電圧データ及び電流データを制御装置80へ送出してもよい。また、電力モニタ51が内部に演算装置、記憶装置を有し、計測データとして、有効電力、無効電力、皮相電力、相別の実行電圧及び電流、力率のいずれかについて、各々の瞬時値、最大値、最小値を演算装置で計算し、記憶装置のRAM(Random Access Memory)等に1次記憶する。これにより、電力モニタ51は、1次記憶した計測データを制御装置80へ送出してもよい。
【0032】
次に、図1に示す船速計測手段71は、例えば汎地球測位システム(GPS:Global Positioning System)により、船舶の現在位置情報を取得し、対地船速として速度データを取得する。又は、電磁ログにより、船体100の底部を流れる水流を検知し、対水船速として速度データを取得する。あるいは、音響式ログにより速度データを取得する。船速計測手段71は、例えば、RS422等のシリアル通信可能な信号線を介して制御装置80へ接続されている。
【0033】
次に、図1に示す主機関計測手段72は、例えばエンコーダにより、図2に示す主機関39の回転数データを取得する。主機関計測手段72は、例えば、RS422等のシリアル通信可能な信号線を介して制御装置80へ接続されている。
【0034】
制御装置80は、複数の発電機11、12、13を有する発電機群10、配電盤20、船体サービス補機36等の負荷機器、電力モニタ51〜54、船速計測手段71、主機関計測手段72等を制御する装置である。図7は、制御装置を示す模式図である。図7に示す制御装置80は、入力処理回路81と、入力ポート82と、処理部90と、記憶部94と、出力ポート83と、出力処理回路84と、表示装置85、必要があればキーボード等の入力装置86とを有する。処理部90は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)91と、RAM(Random Access Memory)92と、ROM(Read Only Memory)93とを含んでいる。
【0035】
処理部90と、記憶部94と、入力ポート82及び出力ポート83とは、バス87、バス88、バス89を介して接続される。バス87、バス88及びバス89により、処理部90のCPU91は、記憶部94と、入力ポート82及び出力ポート83と相互に制御データをやり取りしたり、一方に命令を出したりできるように構成される。
【0036】
入力ポート82には、入力処理回路81が接続されている。入力処理回路81には、電気変換部22からの計測データisが接続されている。そして、計測データisは、入力処理回路81に備えられるノイズフィルタやA/Dコンバータ等により、処理部90が利用できる信号に変換されてから、入力ポート82を介して処理部90へ送られる。これにより、処理部90は、必要な情報を取得することができる。
【0037】
出力ポート83には、出力処理回路84が接続されている。出力処理回路84には、表示装置85や、外部出力用の端子が接続されている。出力処理回路84は、表示装置制御回路、配電盤等の制御信号回路、信号増幅回路等を備えている。出力処理回路84は、処理部90が算出した消費電力データ等を、表示装置85に表示させる表示信号として出力したり、配電盤20へ伝達する指示信号idとして出力したりする。表示装置85は、例えば液晶表示パネルやCRT(Cathode Ray Tube)等を用いることができる。
【0038】
記憶部94は、船舶電力制御システム1の動作手順を含むコンピュータプログラム等が記憶されている。ここで、記憶部94は、RAMのような揮発性のメモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、ハードディスクドライブあるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。ここで、RAM92又は記憶部94は、記憶手段である。
【0039】
上記コンピュータプログラムは、処理部90へすでに記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、船舶電力制御システム1の動作手順を実行するものであってもよい。また、この制御装置80は、コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、船舶電力制御システム1の動作手順を実行するものであってもよい。
【0040】
また、船舶電力制御システム1の動作手順は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション、あるいはプラント制御用コンピュータ等のコンピュータシステムで実行することによって実現することもできる。また、このプログラムは、ハードディスク等の記録装置、フレキシブルディスク(FD)、ROM、CD−ROM、MO、DVD、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0041】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」には、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線網を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを含むものとする。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0042】
制御装置80は、RAM92又は記憶部94に、上述した図5に示す発電機及び負荷区分毎の負荷機器区分データベース121を記憶している。制御装置80は、RAM92又は記憶部94から発電機及び負荷区分毎の負荷機器区分データベース121をRAM92のワークエリアに読み込むとともに、電力計測ユニット毎のチャンネル情報(ChNo.)毎に、供給電力計測手段及び消費電力計測手段からの計測データを対応付けてRAM92又は記憶部94に記憶できる。
【0043】
次に、図1、図2、図8〜図10を用いて、船舶電力制御システム1の電力監視動作について手順を説明する。図8は、本実施形態に係る電力監視方法の手順を示すフローチャートである。図9は、運航状態の区分を説明するための説明図である。図10は、発電機稼働状況と運航状態の区分との完成関係を説明する説明図である。以下、図8に示すフローチャートに沿って船舶電力制御システム1の電力監視動作について手順を説明する。
【0044】
図8に示すように、船舶電力制御システム1の制御装置80は、発電機稼働状況把握ステップ(ステップS10)、負荷総消費電力把握ステップ(ステップS20)、船速把握ステップ(ステップS30)を同時に実行するよう、電力モニタ51〜54、船速計測手段71に制御信号を送付する。
【0045】
ここで、発電機稼働状況把握ステップ(ステップS10)では、発電機11、12、13が供給する供給電力を電力計測ユニット41、42、43により計測する。計測データは、電力モニタ51、52、53を介して制御装置80のRAM92又は記憶部94に記憶される。
【0046】
制御装置80は、供給電力を例えば、図5に示す発電機及び負荷区分毎の負荷機器区分データベース121の電力計測ユニット毎のチャンネル情報(ChNo.)毎に、発電機毎の供給電力計測手段からの計測データを加算して算出することができる。
【0047】
負荷総消費電力把握ステップ(ステップS20)では、配電盤20から供給され負荷機器30で消費される総消費電力を電力計測ユニット44、45、46、47、48、49により計測する。計測データは、電力モニタ54を介して制御装置80のRAM92又は記憶部94に記憶される。
【0048】
制御装置80は、配電盤20から供給され負荷機器30で消費される総消費電力を、例えば、図5に示す発電機及び負荷区分毎の負荷機器区分データベース121の電力計測ユニット毎のチャンネル情報(ChNo.)毎に、消費電力計測手段からの計測データを加算して算出することができる。
【0049】
船速把握ステップ(ステップS30)では、船速計測手段71により速度データを計測する。計測データは、制御装置80のRAM92又は記憶部94に記憶される。船速把握ステップ(ステップS30)では、主機関計測手段72により主機関39の回転数データを計測することが好ましい。
【0050】
制御装置80は、船舶の運航状態を判別する運航状態判別ステップ(ステップS31)を実行する。制御装置80は、運航状態の区分を判別する船舶の運航状態判別手段となる。本実施形態では、図9に示すように運航状態の区分を、例えば停泊、出港、航行、入港の4区分とする。これら運航状態の区分は、例示であり、より詳細に区分してもよい。
【0051】
制御装置80は、速度データVが0又は0近傍である場合、停泊の区分を出力する。制御装置80は、速度データVが最大港内船速以下であって所定の単位時間当たりの速度上昇を検知している場合は、出港の区分を出力する。また、制御装置80は、速度データVが航行で所定の閾値速度以上である場合、航行の区分を出力する。制御装置80は、速度データVが所定の単位時間当たりの速度減速を検知している場合は、入港の区分を出力する。
【0052】
制御装置80は、速度データV及び主機関39の回転数データRにより、運航状態の区分を判断してもよい。制御装置80は、速度データVが0又は0近傍である場合かつ主機関39の回転数データRが0又は0近傍である場合、停泊の区分を出力する。制御装置80は、速度データVが最大港内船速以下であって所定の単位時間当たりの速度上昇を検知している場合及び主機関39の回転数データRが所定回転数以上である場合、出港の区分を出力する。また、制御装置80は、速度データVが航行で所定の閾値速度以上である場合かつ航行での主機関39の回転数データRが所定の範囲にある場合、航行の区分を出力する。制御装置80は、速度データVが所定の単位時間当たりの速度減速を検知している場合かつ航行の区分での所定内の主機関39の回転数データRを下回る場合は、入港の区分を出力する。
【0053】
次に、図8に示すように、船舶電力制御システム1の制御装置80は、運航状態判別ステップ(ステップS31)により判断された運航状態の区分とともに、負荷総消費電力把握ステップ(ステップS20)により受信する総消費電力の信号と、発電機稼働状況把握ステップ(ステップS10)により受信する供給電力の信号とを、記憶手段であるRAM92又は記憶部94に電力計測データベースとして記憶するデータベース記憶ステップ(ステップS40)を実行する。
【0054】
制御装置80は、図9の横軸に時系列で運航状態の区分を並べ、表示装置85で表示することができる。図9では、運航状態の区分とともに、総消費電力のデータWを表示させている。図9から分かるように、出港及び入港の区分で総消費電力のデータWが増加していることが分かる。これは、船舶に横方向推進力を与えるスラスタ装置31が出港及び入港の区分で稼働しており、総消費電力が増加していると考えられる。
【0055】
図10では、運航状態の区分とともに、総供給電力のデータXを表示させている。総供給電力Xは、発電機11の供給電力X1と、発電機12の供給電力X2と、発電機13の供給電力X3との加算値となる。発電機11の供給電力X1と、発電機12の供給電力X2と、発電機13の供給電力X3の各供給電力量は、負荷にあわせて稼働台数を変更し、供給電力量を調整できる。図10では、例えば供給電力X1と、供給電力X2とは、航行の区分時に供給電力を均等に発電する。また、出港又は入港の区分では、発電機13が供給電力X3を供給する。
【0056】
また、出港及び入港の区分での総消費電力を満たせるように、供給電力Xを増減させる。図10に示すように、総供給電力Xは、発電機11の供給電力X1と、発電機12の供給電力X2とを、発電機13での供給電力X3とを均等となるように発電し、総供給電力Xも増減させることができる。なお、総供給電力Xは、発電機11の供給電力X1と、発電機12の供給電力X2とを一定とし、発電機13での供給電力X3での供給電力量の増減(稼働)に応じて、総供給電力Xも増減させるようにしてもよい。
【0057】
本実施形態の電力監視方法では、複数の発電機と、電力を消費する複数の補機と、船舶に横方向推進力を与えるスラスタ装置と、を有する船舶の船舶電力監視方法であって、前記複数の発電機の稼働状況の信号を受信する発電機稼働状況把握ステップと、前記補機及び前記スラスタ装置の総消費電力の信号を受信する負荷総消費電力把握ステップと、前記船舶の速度の信号を受信する船速把握ステップと、船速把握ステップにより、前記船舶の運航状態を判別する運航状態判別ステップと、前記運航状態判別ステップにより判断された運航状態の区分とともに、前記負荷総消費電力把握ステップにより受信する総消費電力の信号と、発電機稼働状況把握ステップにより受信する供給電力の信号とを、データベースに記憶する記憶ステップと、を有している。
【0058】
これにより、船舶の運航状態と供給電力及び消費電力との関係が明確となり、船舶の運航状態に応じて船舶の燃料消費量を低減できるよう運航することができる。例えば、発電機の稼働効率を高めるために、発電機の電力を居住区内だけでなく、船舶内の電力を運航に直接関わるスラスタ装置に給電することが望ましい。船舶に横方向推進力を与えるスラスタ装置が出港及び入港の区分で稼働しており、総消費電力が急に増加しても、出港及び入港の区分での総消費電力を満たせるように、発電機群10での総供給電力を把握することができる。その結果、スラスタ装置への電力給電により、一時的に需要電力が発電機の発電電力を超えるおそれを低減できる。
【0059】
停泊、出港、航行、入港、停泊の運航状態区分を1航海として繰り返す定期航路を運航する定期航路船舶の電力監視方法において、機関補機、船体サービス補機、甲板補機、荷役装置、スラスタ装置、照明装置のいずれか1以上の負荷機器の総消費電力データを取得し、前記総消費電力データを前記運航状態の区分とともに時系列に表示する。定期航路での総消費電力を把握でき、船舶の運航状態に応じて船舶の燃料消費量を低減できるよう運航することができる。また、同じ定期航路の船舶であれば、次期就航の船舶の建造において船主の運航方法により生まれる発電機の余裕容量を減らし、定格出力を下げた発電機を搭載することもできる。
【0060】
図11は、電力計測データベースの一例を示す説明図である。図11に示す電力計測データベース122は一航海毎に出力するデータである。本実施形態1の船舶電力制御システム1は、発電機群10に接続され、前記発電機群10から供給された電力を負荷機器30へ供給する配電手段である配電盤20と、前記発電機群10の供給電力を計測する供給電力計測手段である電力計測ユニット41〜43及び電力モニタ51〜53と、前記負荷機器30の消費電力を計測する消費電力計測手段である電力計測ユニット44〜49及び電力モニタ54と、制御装置80の処理部90において運航状態の区分を判別する船舶の運航状態判別手段と、データを記憶する記憶手段であるRAM92又は記憶部94と、を有し、前記運行状態判別手段により判断された運航状態の区分に対応付けて、前記供給電力計測手段により計測された供給電力データ及び前記消費電力計測手段により計測された消費電力のデータを前記記憶手段に電力計測データベース122として記憶する。本実施形態の船舶電力制御システム1の制御装置80は、図9又は図10に示すように、時系列に運航状態の区分を並べ、記憶する一航海毎に出力する総消費電力又は総供給電力のデータを表示する表示画面を表示装置85へ表示させてもよい。あるいは、総消費電力及び総供給電力のデータが、時系列に運航状態の区分を並べて重ね合わせ表示画面として表示装置85へ表示されてもよい。
【0061】
図12は、一航海毎に出力する消費電力のデータを運航状態の区分とともに時系列に表示する表示画面の一例を示す説明図である。表示画面123で表示される総消費電力データは、負荷機器30が個々に消費した消費電力のデータの総和である。つまり、総消費電力データは、機関補機32、船体サービス補機36、甲板補機33、荷役装置34、スラスタ装置31、照明装置35のいずれか1以上の稼働している負荷機器の総和である総消費電力データとなる。制御装置80が表示装置85に出力する図12に示す表示画面123には、1航海を航海Kとして7航海分の総消費電力データが時系列に表示されている。図12は、縦軸が上方に行くに従い総消費電力が上昇する。図12は、横軸が右向きに時間(日時)の経過を示しており、7航海分の航行一、航行二、航行三、航行四、航行五、航行六、航行七を含む航海Kが表示されている。制御装置80は、処理部90において、出港又は入港の区分における総消費電力のピークの平均を演算し、演算結果を表示装置85へ出力する。これにより、船舶の運航者は、出港又は入港の区分における総消費電力のピークの平均である総消費電力平均PLのPL値を把握でき、PL値を超える消費電力ピークPkの発生も把握することができる。以上のように、本実施形態1の船舶電力制御システム1は船舶の航海毎の前記消費電力のデータを時系列に表示する表示装置を有する。また、前記消費電力のデータが、前記負荷機器が消費した総和の総消費電力データである。その結果、船舶の航海毎の燃料消費量を把握でき、低燃費な運航を心がけることができる。
【0062】
図13は、本実施形態1に係る船舶の電力制御方法の手順を示すフローチャートである。ここで、船舶電力制御方法の手順の実行前は、空調システムは、室内の環境温度を感知し所定の温度設定となるように自律した制御が行われている空調自動制御モードとして稼働している。
【0063】
船舶に横方向推進力を与えるスラスタ装置31が出港及び入港の区分で稼働しており総消費電力が増加するので、図10の出港及び入港の区分における発電機13での供給電力X3が示すように、制御装置80は、稼働している発電機を増やす発電機追加運転ステップ(ステップS51)を実行する。追加運転後、発電機11、12、13のいずれかがスラスタ装置31の駆動準備信号を制御装置80へ送信してもよい。なお、後述するように、総消費電力を抑えるように本実施形態の船舶電力制御方法は実行することもできるので、発電機11の供給電力X1と、発電機12の供給電力X2とで総供給電力量をまかなうことができれば、発電機追加運転ステップ(ステップS51)は省略することもできる。
【0064】
次に、制御装置80は、スラスタ装置31の駆動タイミングを予測するスラスタ装置の駆動予測ステップ(ステップS52)を実行する。制御装置80は、上述した汎地球測位システム(GPS:Global Positioning System)により、船舶の現在位置情報(測位情報)を取得しスラスタ装置31の駆動予測をする。あるいは、制御装置80は、測位情報、船速信号(離岸・接岸時の低速信号)、スラスタ装置31への操作信号、スラスタ装置31の駆動準備信号等の1以上の情報によりスラスタ装置31の駆動を予測する。
【0065】
次に、制御装置80は、スラスタ装置31の稼働前の消費電力計測手段の消費電力情報を初期基準として、スラスタ装置31の稼働時のスラスタ装置31の消費電力と稼働している他の複数の負荷機器30の消費電力との和を推定する演算を行い、スラスタ装置31の消費電力を含む複数の負荷機器30の総消費電力を推定する。次に、制御装置80は、スラスタ装置31の稼働時の負荷機器30の総消費電力が複数の発電機の総発電量内に収まるかどうか需要電力推定を行う需要電力推定ステップ(ステップS53)を実行する。本実施形態では、記憶手段であるRAM92又は記憶部94に電力計測データベースが記憶されているので、制御装置80は、電力計測データベースを参照し、例えば、上述したPL値、あるいは消費電力ピークPkをRAM92に読み出し、スラスタ装置31の稼働時の負荷機器30の総消費電力(総需要電力)として推定しても良い。
【0066】
スラスタ装置31の稼働前の消費電力計測手段の消費電力情報を初期基準とするのは、機関補機32、甲板補機33、荷役装置34、照明装置35、船体サービス補機36等の負荷機器が別々のタイミングで稼働しており、これらは季節変動や搭載する貨物、旅客数、保冷車数等の要因で変動することが想定されるためである。スラスタ装置31の稼働前の消費電力は、入港の区分でのスラスタ装置31の稼働であれば、航行の区分での総消費電力の情報を初期基準とすることができる。出港の区分でのスラスタ装置31の稼働であれば、上述した発電機追加運転のステップ(ステップS51)を実行し、複数の発電機11、12、13が所定数稼働して電力を供給する信号を制御装置80が受信して、そのときの総消費電力を消費電力計測手段から入手して初期基準としても良い。
【0067】
次に、制御装置80は、スラスタ装置の稼働時の負荷機器の消費電力の和が複数の発電機の総発電量内に収まる場合(ステップS53、No)、スラスタ装置を駆動するスラスタ装置駆動ステップ(ステップS55)を実行する。
【0068】
次に、制御装置80は、スラスタ装置の稼働時の負荷機器の消費電力の和が複数の発電機の総発電量内に収まらない電力不足と判断される場合(ステップS53、Yes)、制御装置80は、空調抑制モードとなるよう空調装置を制御する空調抑制モードステップ(ステップS54)を実行する。
【0069】
図14は、空調抑制モードステップ(ステップS54)を詳細に説明するためのフローチャートである。図14に示すように、制御装置80は、電力の不足量を計算する電力不足量計算ステップ(ステップS61)を実行する。あるいは、上述した需要電力推定ステップ(ステップS53)において電力の不足量が判明していれば、電力の不足量をRAM92のワークエリアに読み込むだけでよい。
【0070】
次に、空調の設定温度を変更することによる消費電力軽減が電力の不足量を補えるかどうか判断する設定温度変更判断ステップ(ステップS62)を実行する。空調の設定温度を変更することによる消費電力軽減が電力の不足量を補える場合(ステップS62、Yes)は、設定温度変更ステップ(ステップS67)を実行する。空調の設定温度を変更することによる消費電力軽減が電力の不足量を補えないと判断した場合(ステップS62、No)は、空調装置を停止する部屋数を決定する空調停止部屋数決定ステップ(ステップS63)を実行する。
【0071】
空調停止部屋数決定ステップ(ステップS63)では、電力の不足量を補える空調装置を停止すべき部屋の数が決定される。ここで、空調装置ができるだけ稼働するように稼働している空調装置の設定温度を変更する前提で、制御装置80は空調装置を停止する部屋の数を決定する。制御装置80は空調装置を停止すべき部屋の数を減らすために、ヒータ付濾過装置391〜39Xを停止または、ヒータ温度設定を変更し、消費電力を低減させても良い。この場合、制御装置80はヒータ付濾過装置391〜39Xが停止または、ヒータ温度設定を変更され、低減された消費電力を加えた上で、電力の不足量を補える空調装置を停止すべき部屋の数を決定する。
【0072】
次に、制御装置80は、全室空調停止するか判断する全室空調停止判断ステップ(ステップS64)を実行する。制御装置80は、全室空調停止すると判断する場合(ステップS64、Yes)、全空調装置へ停止信号を送信する空調制御信号送信ステップ(ステップ68)を実行する。制御装置80は、全空調システムへ停止の制御信号を送信する。または、制御装置80は、配電盤20へ停止の制御信号を送信する。配電盤20は、停止の制御信号を受けて全空調システム又は船体サービス補機36への給電を遮断する。
【0073】
制御装置80は、全室空調停止する必要がないと判断した場合(ステップS64、No)、空調を停止する部屋を決定する空調停止部屋決定ステップ(ステップS65)を実行する。空調停止部屋決定ステップ(ステップS65)では、制御装置80が予め定められた空調停止の優先順序をRAM92のワークエリアに読み込み、空調を停止する部屋及び部屋数を決定する。例えば、空調停止の優先順序は、乗組員室の空調装置を先に停止し、客室の空調装置ができるだけ稼働するように判断される。乗務員室の空調装置の停止でも電力不足である場合は、制御装置80は客室の空調装置を停止することができる。
【0074】
空調停止部屋決定ステップ(ステップS65)の後、制御装置80は、停止しない空調装置の設定温度の変更を判断する設定温度変更判断ステップ(ステップS66)を実行する。制御装置80は、停止しない空調装置の設定温度の変更を不要と判断する場合(ステップS66、No)、停止する空調装置へ停止信号を送信する空調制御信号送信ステップ(ステップ68)を実行する。
【0075】
制御装置80は、停止しない空調装置の設定温度の変更を必要と判断する場合(ステップS66、Yes)、設定温度変更ステップ(ステップS67)を実行する。設定温度変更ステップ(ステップS67)では、制御装置80が設定温度の制御信号を生成する。例えば、暖房の設定であれば、設定温度を下げると空調装置の消費電力を軽減できる。あるいは、冷房の設定であれば、空調装置の設定温度を上げると消費電力を軽減できる。
【0076】
制御装置80は、設定温度変更ステップ(ステップS67)の実行後、停止する空調装置へ停止信号を送信し、停止しない空調装置へは設定温度の制御信号を送信する空調制御信号送信ステップ(ステップ68)を実行する。
【0077】
図1に示す空調装置381〜空調装置38Xは、制御装置80から信号線を通じて伝達される制御信号を受けて、停止または温度変更を行う空調抑制モードステップ(ステップS54)が実行される。空調抑制モードステップ(ステップS54)が実行され、次に、制御装置80は、スラスタ装置を駆動するスラスタ装置駆動ステップ(ステップS55)を実行する。なお、制御装置80は、ヒータ付濾過装置391〜39Xを停止または、ヒータ温度設定を変更する場合には、ヒータ付濾過装置391〜39Xに対しても制御信号を送信する。制御信号を受けて、ヒータ付濾過装置391〜39Xは、停止またはヒータの温度を変更する。
【0078】
スラスタ装置駆動ステップ(ステップS55)では、図2に示すスラスタ装置31を駆動する。スラスタ装置31は、船体100に横方向の推進力を与え、離岸または接岸する。図9で示す出港及び入港の区分で総消費電力のデータWが増加しているが、出港及び入港の区分では、スラスタ装置31が実際に駆動するまでに15分程度のスラスタ装置待機期間STと、離岸または接岸する数分間(例えば、5分間)のスラスタ装置実働期間SMとがある。スラスタ装置待機期間STでのスラスタ装置以外の負荷機器での総消費量を把握できているので、この総消費量を上述した初期基準とする。そこで、出港及び入港の区分のスラスタ装置待機期間において空調抑制モードステップ(ステップS54)が実行されていれば、電力不足のおそれを低減できる。また、スラスタ装置駆動ステップ(ステップS55)の実行直前、例えば数分前に、空調抑制モードステップ(ステップS54)が実行されていれば空調停止の影響が低減できて好ましい。
【0079】
スラスタ装置実働期間が終了後、制御装置80は、スラスタ装置31を停止するスラスタ装置停止ステップ(ステップS56)を実行する。スラスタ装置31が停止すれば、電力に余裕が生じるので、制御装置80は、制御信号を空調装置381〜空調装置38Xへ送信し、空調装置381〜空調装置38Xが上述した自動制御モードへ復帰する自動制御モードステップ(ステップS57)。制御装置80は、空調抑制モードステップ(ステップS54)開始から所定時間後(例えば、20分後)に自動制御モードへ復帰するタイマー設定により自動制御モードステップ自動制御モードステップ(ステップS57)を実行してもよい。なお、制御装置80は、ヒータ付濾過装置391〜39Xを停止または、ヒータ温度設定を変更していた場合には、ヒータ付濾過装置391〜39Xに対しても制御信号を送信する。制御信号を受けて、ヒータ付濾過装置391〜39Xは、運転開始またはヒータの温度を変更する。
【0080】
図15−1は、船舶電力制御による省エネルギーの効果領域を説明するための説明図である。図15−1は、図9と同様に、運航状態の区分とともに、総消費電力のデータWを表示させている。図15−1では、総消費電力のデータWから空調装置381〜空調装置38Xを含む空調システムで消費する空調電力量を減算した空調差分電力のデータWsを総消費電力のデータWと共に表示させている。図15−1では、出港及び入港の区分で総消費電力のデータWが増加している頂部での総消費電力のデータWと空調差分電力のデータWsとの電力差Psは、総消費電力のデータWが増加している頂部の電力量の15%にもなることが判明した。このため、本実施形態1に係る船舶電力制御方法によれば、船舶に横方向推進力を与えるスラスタ装置31が出港及び入港の区分で稼働しているスラスタ装置実働期間において、総消費電力が増加するのを抑制するために、空調電力を抑制する効果が高いことを見出すことができる。
【0081】
図15−1では、本実施形態1に係る船舶電力制御システム1が出港と同時に空調抑制モードに入り、総消費電力のデータWが増加している頂部で空調抑制モードとしている。また、入港の区分では、総消費電力のデータWが増加している頂部で船舶電力制御システム1が空調抑制モードに入り、停泊まで空調抑制モードを続けている。これらにより、制御装置80が停泊、出港、航行、入港、停泊の運航状態区分を1航海として繰り返す定期航路での省エネルギーの効果領域Eを図15−1に示すように斜線で表示装置85において表示させることができ、乗組員に省エネルギーの効果について認識させることができる。制御装置80は、1航海での省エネルギーの効果領域Eを記憶手段であるRAM92又は記憶部94に記憶し、複数航海での省エネルギーの効果領域Eを時系列で並べ表示装置85において表示させることができ、乗組員に省エネルギーの効果について認識させることができる。また、制御装置80は、1航海での省エネルギーの効果領域Eを記憶手段であるRAM92又は記憶部94に記憶し、複数航海での省エネルギーの効果領域Eを重ね合わせ表示装置85において表示させることができ、乗組員に省エネルギーの効果について認識させてもよい。
【0082】
図15−2は、船舶電力制御による空調消費電力の表示を説明するための説明図である。制御装置80が停泊、出港、航行、入港、停泊の運航状態区分を1航海として繰り返す定期航路で、停泊、出港、航行、入港、停泊ごとに空調電力量を表示する。定期航路毎に、空調装置の消費電力データを前記運航状態の区分とともに航海毎に同時に表示する。例えば、11月1日の定期航路の航海グラフC1における消費電力量と、12月1日の同じ定期航路の航海グラフC2における消費電力量と、を運航状態の区分とともに航海毎に同時に表示する。これにより、乗客の人数による影響や、季節変動による影響を把握することができる。
【0083】
本実施形態1に係る船舶電力制御システム1は、制御装置80が発電機11、12、13と信号線を介して接続されており、制御装置80が発電機11、12、13を制御可能である。本実施形態1に係る船舶電力制御システム1では、船舶の離岸および接岸時に、空調装置の運転が抑制され、図15−1に示すように、需要電力を低減できることから、発電機11、12、13による供給電力を下げることができる。図16は、本実施形態1に係る船舶電力制御方法により制御された発電機の稼働状況の一例を説明する説明図である。
【0084】
図16に示す発電機の稼働状況では、発電機11、12を主として稼働させている。ここで、発電機13は、停止状態であり、総供給電力Xが総消費電力を上回っていれば、このまま発電機13は停止状態としておくことが好ましい。船舶電力制御システム1が船舶の離岸および接岸時に、空調装置の運転を抑制しているため、出港及び入港の区分で稼働しているスラスタ装置実働期間において、総消費電力が増加するのを抑制する。その結果、図10に示す発電機の稼働状況と比較すると、図16に示す発電機の稼働状況では、出港及び入港の区分で稼働しているスラスタ装置実働期間における総供給電力Xを小さくできる。総供給電力Xを小さくできると、発電機11、12を主として稼働させており、発電機13は停止状態とすることも可能となり、燃料の消費を低減できる。なお、稼働する発電機及び停止状態とする発電機は固定されず、例えば発電機11、13を稼働させ発電機12を停止状態にしても良い。発電機の負荷率は65%以上負荷率100%未満が好ましく、燃費性能を考慮すると、負荷率80%以上負荷率100%未満がより好ましい。例えば、負荷率85%で発電機11、12、13のいずれかが稼働していると、燃費もよく急な負荷変動でも稼働している発電機のみで対応できる。負荷率100%未満とするのは、急激な負荷変動により発電機の障害の可能性を低減する必要があるからである。制御装置80がスラスタ装置31の稼働時における複数の発電機11、12、13のうち稼働している個々の発電機の負荷率が65%以上100%未満、より好ましくは負荷率80%以上100%未満となるように空調装置381〜空調装置38Xの消費電力を抑制する制御信号を空調装置381〜空調装置38Xへ送信することが好ましい。
【0085】
上述したように、本実施形態の船舶の電力制御方法は、発電機11、12、13と、空調装置381〜空調装置38Xを含む電力を消費する複数の負荷機器30と、船舶の船体100に横方向推進力を与えるスラスタ装置31と、を有する船舶の電力制御方法であって、船舶の離岸および接岸時に、空調装置381〜空調装置38Xの運転を抑制する。
【0086】
このため、スラスタ装置への給電を行っても需要電力が発電機の発電電力を超えるおそれを低減できる。地球環境保護又は燃料油価格の高騰等を背景に、船舶は、燃料消費量低減が求められている。そこで、船舶の運航状態に応じて船舶の燃料消費量を低減できるよう運航することができる。また、同じ定期航路の同型船舶であれば、次期就航の船舶の建造において船主の運航方法により生まれる発電機の余裕容量を減らし、定格出力を下げた発電機を搭載することもできる。ここで、空調装置の運転を抑制することには、空調装置の温度設定を変更すること、及び空調装置の停止を行うことが含まれる。空調装置は、乗組員室及び客室毎に設置されることが多く、定期航路船舶では数百となる。このため、定期航路船舶において空調装置の運転を抑制することにより、スラスタ装置への給電を補うことが可能となる。
【0087】
本実施形態の船舶の電力制御方法は、スラスタ装置31の稼働時における複数の発電機11、12、13のうち稼働している個々の発電機の負荷率が65%以上100%未満となるように空調装置381〜空調装置38Xの消費電力を抑制する制御信号を空調装置381〜空調装置38Xへ送信することが好ましい。これにより、船舶の発電機が低燃費な運転となる。
【0088】
本実施形態の船舶電力制御システム1は、空調装置381〜空調装置38Xと、船舶の船体100に横方向推進力を与えるスラスタ装置31とを含む電力を消費する複数の負荷機器30と、複数の発電機11、12、13と、発電機11、12、13の供給電力を計測する供給電力計測手段と、負荷機器30の消費電力を計測する消費電力計測手段と、発電機11、12、13に接続され、発電機11、12、13から供給された電力を負荷機器30へ供給する配電手段である配電盤20と、供給電力計測手段及び消費電力計測手段を制御する制御装置80と、を有し、前記制御装置80は、前記スラスタ装置31の稼働を予測し、スラスタ装置31の稼働前における消費電力計測手段の消費電力情報を初期基準として、スラスタ装置の稼働時におけるスラスタ装置31の消費電力を含む複数の負荷機器30の総消費電力を推定する演算を行い、スラスタ装置31の稼働時における負荷機器30の総消費電力が複数の発電機11、12、13の総発電量内に収まるように空調装置381〜空調装置38Xを制御し、負荷機器30の消費電力を抑制する。
【0089】
これによりスラスタ装置への給電を行っても需要電力が発電機の発電電力を超えるおそれを低減できる。これにより、電力需要の最大15%が低減でき、船舶が低燃費な運転となる。また、同じ定期航路の同型船舶であれば、次期就航の船舶の建造において船主の運航方法により生まれる発電機の余裕容量を減らし、定格出力を下げた発電機を搭載することもできる。
【0090】
本実施形態の船舶電力制御システム1は、負荷機器30にはヒータ付濾過装置391〜39Xが含まれ、スラスタ装置31の稼働時の消費電力を含む負荷機器30の総消費電力が複数の発電機11、12、13の総発電量内に収まるように空調装置381〜38X及びヒータ付濾過装置391〜39Xを制御することが好ましい。これにより、空調装置を停止すべき部屋の数を低減できる。
【0091】
本実施形態の船舶電力制御システム1は、制御装置80が船舶の現在位置情報、船速信号、スラスタ装置31への操作信号、スラスタ装置31の駆動準備信号のいずれか1以上に基づいてスラスタ装置31の稼働を予測することが好ましい。その結果、スラスタ装置への給電を行っても需要電力が発電機の発電電力を超えるおそれを低減できる。
【0092】
(実施形態2)
図17は、本実施形態2に係る船舶電力制御システムの構成図である。本実施形態に係る船舶電力制御システム2は、上述した船舶電力制御システム1の構成を有し、さらに乗組員に警告を知覚させることが可能な警告装置75と、船体サービス補機36を制御可能な空調集中制御装置77とを有することに特徴がある。次の説明においては、実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。なお、本実施形態では、警告装置75と、空調集中制御装置77と両方を有するがどちらか一方のみを有していてもよい。
【0093】
警告装置75は、表示装置85の表示画面、警告音、音声出力、ランプ等の視覚認識手段等により乗組員に警告を知覚させることが可能な装置である。空調集中制御装置77は、上述した制御装置80と同一の構成を有する制御装置であり、複数の空調圧縮機371〜37Xと、複数の空調装置381〜38Xと、複数のヒータ付濾過装置391〜39Xとを含んでいる船体サービス補機36を制御する装置である。
【0094】
本実施形態の船舶電力制御システム2は、上述した図14に示す空調停止部屋決定ステップ(ステップS65)において、空調停止することになった部屋を表示装置85等に表示し、警告装置75により、表示装置85の表示画面、警告音、音声出力、ランプ等の視覚認識手段等により乗組員に空調停止の警告を知覚させる。
【0095】
本実施形態の船舶電力制御システム2は、空調集中制御装置77を有しているので、空調制御信号送信ステップ(ステップ68)において制御装置80が空調集中制御装置77へ空調制御信号を送信する。空調制御信号により、空調集中制御装置77が空調システムである複数の空調圧縮機371〜37Xと、複数の空調装置381〜38Xとを、停止、温度設定、運転開始のいずれかの操作を実行する。
【0096】
上述したように、本実施形態の船舶電力制御システム2は、乗組員に警告を知覚させるため、省エネルギー運転に対して乗組員に意識付けをはかることができる。また、空調集中制御装置77を有しているので、制御装置80の負荷を分散させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本発明に係る船舶の電力制御方法及び船舶電力制御システムは、船舶の電力制御に適している。
【符号の説明】
【0098】
1 船舶電力制御システム
10 発電機群
11、12、13 発電機
20 配電盤
30 負荷機器
31 スラスタ装置
31a バウスラスタ装置
31b スタンスラスタ装置
32 機関補機
33 甲板補機
34 荷役装置
35 照明装置
36 船体サービス補機
39 主機関
41〜49 電力計測ユニット
51〜59 電力モニタ
71 船速計測手段
72 主機関計測手段
75 警告装置
77 空調集中制御装置
80 制御装置
100 船体
101、102 ダクト
110 舵
111 プロペラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機と、空調装置を含む電力を消費する複数の負荷機器と、船舶に横方向推進力を与えるスラスタ装置と、を有する船舶の電力制御方法であって、
前記船舶の離岸および接岸時に、前記空調装置の運転を抑制することを特徴とする船舶の電力制御方法。
【請求項2】
前記スラスタ装置の稼働時における前記複数の発電機のうち個々の発電機の負荷率が65%以上100%未満となるように前記空調装置の消費電力を抑制する制御信号を前記空調装置へ送信する請求項1に記載の船舶の電力制御方法。
【請求項3】
前記船舶が停泊、出港、航行、入港、停泊の運航状態区分を1航海として繰り返す定期航路を運航する定期航路船舶であり、
前記空調装置の消費電力データを取得し、前記空調装置の消費電力データを前記運航状態の区分とともに航海毎に同時表示する請求項1又は2に記載の船舶の電力制御方法。
【請求項4】
船舶に横方向推進力を与えるスラスタ装置と、空調装置とを含む電力を消費する複数の負荷機器と、
複数の発電機と、
前記発電機の供給電力を計測する供給電力計測手段と、
前記負荷機器の消費電力を計測する消費電力計測手段と、
前記発電機に接続され、前記発電機から供給された電力を前記負荷機器へ供給する配電手段と、
前記供給電力計測手段及び前記消費電力計測手段を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記スラスタ装置の稼働を予測し、
前記スラスタ装置の稼働前における前記消費電力計測手段の消費電力情報を初期基準として、前記スラスタ装置の稼働時における前記スラスタ装置の消費電力を含む前記複数の負荷機器の総消費電力を推定する演算を行い、
前記スラスタ装置の稼働時における前記負荷機器の総消費電力が前記複数の発電機の総発電量内に収まるように前記空調装置を制御し、前記負荷機器の総消費電力を抑制することを特徴とする船舶電力制御システム。
【請求項5】
前記負荷機器にはヒータ付濾過装置が含まれ、前記スラスタ装置の稼働時の消費電力を含む前記負荷機器の総消費電力が前記複数の発電機の総発電量内に収まるように前記空調装置及び前記ヒータ付濾過装置を制御する請求項4に記載の船舶電力制御システム。
【請求項6】
前記制御装置が前記船舶の現在位置情報、船速信号、前記スラスタ装置への操作信号、前記スラスタ装置の駆動準備信号のいずれか1以上に基づいて前記スラスタ装置の稼働を予測する請求項4又は5に記載の船舶電力制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図16】
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【図17】
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