説明

船舶用自動操舵装置

【課題】波浪モデルの波浪周波数と波浪減衰係数を同定することができ、該同定された波浪周波数と減衰係数を利用して推定方位と推定角速度を出力する推定器を有する船舶用自動操舵装置を提供する。
【解決手段】設定針路と検出方位に基づいて命令舵角を出力するために、推定方位


と推定角速度


とを出力する推定器と、フィードバックループと、検出方位から波浪周波数と波浪減衰係数とを同定する波浪同定器とを有し、波浪同定器は、スペクトル演算部と、スペクトルデータから包絡点群である同定データを抽出する同定データ抽出部28Bと、中心周波数から波浪周波数fwnを求める中心周波数算出部28Cと、その波浪周波数に対応する波浪モデルのスペクトル値(Si)との偏差に基づく評価値を最小にする波浪モデルのスペクトルSの減衰係数を、波浪減衰係数ζwnとする減衰係数算出部28Dと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定器を有する船舶用自動操舵装置において、その推定器で利用する波浪モデルの波浪パラメータの同定を行なうために波浪同定器を有する船舶用自動操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶用自動操舵装置は、設定針路に、ジャイロコンパスからの方位を追従させるために舵を制御する装置であり、制御系は、設定針路と船首方位との入力から偏差と旋回角速度とを求めフィードバックゲインを乗じて制御量である命令舵角を操舵機に出力する。操舵機は命令舵角に比例した舵角を動かすため、船体は舵角によって角速度を生じ方位が変化する。
【0003】
船舶用自動操舵装置の閉ループ系は図9に示すように船体モデルと波浪モデルとからなる制御対象と、推定器20とフィードバックループ15とからなる制御系とから構成される。簡単化のため操舵機を省くので、命令舵角は舵角と等価になる。同図においてsはラプラス演算子を、

はそれぞれ設定針路,検出方位,方位,波浪を、rは角速度を、δは命令舵角を、νは白色ノイズN(0,1)を、それぞれ示す。方位,舵角及びノイズの単位は[deg]とし、角速度のそれは[deg/s]とする。Ksn,Tsn,Ts3nは、船体パラメータのノミナル値で、それぞれ旋回力ゲイン[1/s],船体時定数[s],舵感度時定数[s]を、ζwn,ωwn,Kwnは波浪パラメータのノミナル値でそれぞれ減衰係数,固有周波数[rad/s],ゲイン[1/s]を、K,KDはフィードバックゲインでそれぞれ比例ゲインと微分ゲイン[s]を、それぞれ示す。なお添字(・),(・)はそれぞれ船体と波浪とを、(・),(・)はそれぞれノミナル値と実際値とを、アクセント

は推定値を、それぞれ意味する。
【0004】
荒天時、方位に含まれる外乱成分が制御系を経て舵角に入力するために、操舵機は無効な操舵を行い機器の疲労や磨耗、燃料の損失を招くことになる。かかる無駄舵を防止するために各種のフィルタや天候調節機能が提案されている(非特許文献1、非特許文献2)。その中で外乱モデルとして波浪モデルを組み込んだ推定器の外乱除去効果の有効性が報告されている(非特許文献3、非特許文献4)。
【0005】
また、特許文献1では、定常カルマンフィルタを用いて、旋回角速度及び方位誤差の最適値を推定して天候調整を行うようにしたカルマンフィルタを含む自動操舵装置が開示されている。
【0006】
しかしながら、制御対象の船体モデルは、載荷の変化によるノミナル値のパラメータ不確かさを持ち、図9中のKsn,Tsn,Ts3nはKsa,Tsa,Ts3aに変化する。そのためノミナル値のモデルベースで構成する推定器は載荷の変化によって推定値に誤差を生じる。このため、推定値の状態フィードバックによる閉ループ安定性は、推定誤差によって劣化し、船体を蛇行航行させる(ヨーイング)おそれがある。
【0007】
しかしながら、従来の推定器の設計にあたっては、かかるパラメータ不確かさに対する検討については、何らなされていなかった。
【0008】
本発明者らは、このような状況に鑑みて、船体パラメータのノミナル値のパラメータ不確かさを積極的に考慮に入れて、該パラメータ不確かさを起因とする推定誤差を小さくすることができるようにした船舶用自動操舵装置及びその推定器の設計方法を特願2004−226670で提案している。
【0009】
この特願2004−226670で提案する推定器の設計方法の1つは、まず波浪モデル無しの推定器として船体モデルの状態量を推定するための固有周波数

と減衰係数ζとを設計し、次に波浪モデル有りの推定器として船体パラメータによる推定誤差が波浪モデル無しの場合とほぼ同一になるような船体モデルの状態量を推定するための固有周波数

を設計し、波浪モデルの状態量を推定するための固有周波数ωewと減衰係数ζewとを設計するようにしている。
【0010】
本発明者らはこのように推定器の設計に波浪モデルを取り込んで、推定器で推定する推定方位と推定角速度に含まれる波浪成分を除去することにより、波浪モデル無しで設計した推定器に対して外乱除去性能の向上を図ることができることを見出した。
【0011】
【非特許文献1】大津、長谷川、IX. オートパイロットの評価と展望、第3回操縦性シンホジウムテキスト、日本造船学会試験水槽委員会、p.243/279(1981)
【非特許文献2】Fossen, T. I., "Guidance and Control of Ocean Vehicles", John Wiley & Sons Ltd., p.222/245(1994)
【非特許文献3】Fossen, T. I., "High Performance Ship Autopilot With Wave Filter", Proceedings of the 10th International Ship Control Systems Symposium (SCSS’93), p.2.271/2.285 (1993)
【非特許文献4】Grimble, M. J., Patton, R. J., and Wise, D. A., "The Design of Dynamic Positioning Control System Using Stochastic Optimal Control Thory", Optimal Control Applications and Methods, Vol.1, p.167/202 (1980)
【特許文献1】特公平4−5598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、推定器に波浪モデルを取り込むためには、波浪モデルの波浪周波数と減衰係数といった波浪パラメータを特定する必要がある。波浪モデルは、海象と船体との相対運動に基づくものであるから、上記波浪パラメータの値は船体によって異なるはずである。
【0013】
本発明は、精度良く波浪モデルの波浪周波数と波浪減衰係数を同定することができ、該同定された波浪周波数と減衰係数を利用して推定方位と推定角速度を出力する推定器を有する船舶用自動操舵装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、設定針路と検出方位に基づいて命令舵角を出力するために、検出方位

と命令舵角δcとを入力とし推定方位

と推定角速度

とを出力する推定器と、推定器の出力を設定針路にフィードバックするフィードバックループと、検出方位から波浪周波数と波浪減衰係数とを同定する波浪同定器と、を有する船舶用自動操舵装置において、前記波浪同定器は、
検出方位信号の時系列データをスペクトルデータに変換するスペクトル演算部と、
スペクトルデータから包絡点群である同定データ

(fiは周波数、Si−はスペクトル値を表す)を抽出する同定データ抽出部と、
同定データに基づき中心周波数から波浪周波数fwnを求める中心周波数算出部と、
同定データのスペクトル値(Si−)と、前記中心周波数算出部によって求められた波浪周波数に基づきその波浪周波数に対応する波浪モデルのスペクトル値(Si)との偏差に基づく評価値を最小にする波浪モデルのスペクトルSの減衰係数を、波浪減衰係数ζwnとする減衰係数算出部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の前記波浪同定器が、さらに、前記スペクトル演算部で変換されたスペクトルデータを正規化する正規化部を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のものにおいて、前記同定データ抽出部が、スペクトルデータの所定の領域において、任意の開始周波数から、その領域において最大スペクトル値をとる周波数に向って、スペクトル値が大きくなるまたは等しくなる包絡点の集まりからなる包絡点群を求め、該最大スペクトル値をとる周波数よりも低域周波数側及び高域周波数側のそれぞれにおいて求めた複数の包絡点群のうちで、包絡点の個数が最大となる包絡点群の中で、開始周波数が最大スペクトル値をとる周波数に最も近い包絡点群を、同定データとして抽出するものであることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のものにおいて、前記中心周波数算出部は、同定データの中でスペクトル値が上部しきい値SH以上の値となる同定データ(fi,Si−)に対して、
【0018】
【数1】

で波浪周波数fwnを求めることを特徴とする。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のものにおいて、前記減衰係数算出部は、同定データの中でスペクトル値が下部しきい値SL以上の値となる同定データ(fi,Si−)に対して、そのスペクトル値とその周波数に対応する波浪モデルのスペクトルのスペクトル値Sとの偏差の2乗和Jζを最小値とする、
【0020】
【数2】

を満足する波浪モデルのスペクトルの減衰係数ζを、波浪減衰係数ζwnとすることを特徴とする。
【0021】
請求項6記載の発明は、設定針路と検出方位に基づいて命令舵角を出力するために、検出方位

と命令舵角δとを入力とし推定方位

と推定角速度

とを出力する推定器と、推定器の出力を設定針路にフィードバックするフィードバックループと、検出方位から波浪周波数と波浪減衰係数とを同定する波浪同定器と、を有する船舶用自動操舵装置において、前記波浪同定器は、
検出方位信号の時系列データのスペクトルデータから波浪周波数と波浪減衰係数とを同定する波浪同定部と、
時系列データと前記波浪同定部で同定した波浪周波数fwn=ωwn/2πと波浪減衰係数ζwnとを用いて波浪状態を判定し、該波浪状態に適した波浪減衰係数に修正する波浪判定部と、を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のものにおいて、波浪判定部は、波浪から命令舵角までの伝達関数Geである
【0023】
【数3】

に対して、ζwnに前記波浪同定部で同定した波浪減衰係数を代入したときのGeである

と、ζwnに1/√2を代入したときのGeである

のそれぞれの定数を求める定数設定部と、
前記定数設定部で求めた

に対して、
【0024】
【数4】

で表されるそれぞれの評価値Jon,Joffを求める評価量算出部と、
前記評価値Jon,Joffのうちで小さい方に用いたζwnの値を修正した波浪減衰係数

として採用し、即ち、
【0025】
【数5】

とする減衰係数決定部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、波浪モデルが反映されているはずである検出方位信号の時系列データをスペクトルデータに変換する。検出方位信号のスペクトルにおいて、低域周波数は操舵成分であり、高域周波数は波浪成分となる。従って、所定領域のスペクトルデータを求めて、その波浪成分が反映しているスペクトルデータのスペクトル解析を行なうことで、波浪パラメータである波浪周波数及び波浪減衰係数を求めることができる。
【0027】
請求項2記載の発明によれば、検出方位信号の時系列データから得られたスペクトルデータを正規化することにより、波浪モデルの理論的なスペクトルとの一致度合いを比較することが可能になり、波浪モデルのスペクトルとの一致度合いからそのスペクトルに対応する波浪減衰係数値を決定することができるようになる。
【0028】
請求項3記載の発明によれば、任意の開始周波数から、所定の領域において最大スペクトル値をとる周波数に向って、スペクトル値が大きくなるまたは等しくなる包絡点の集まりからなる包絡点群を求めることで、凹凸のあるスペクトルデータから包絡的なデータを抽出することができる。また、複数の包絡点群のうちで、包絡点の個数が最大となる包絡点群の中で、開始周波数が最大スペクトル値をとる周波数に最も近い包絡点群を、同定データとすることで、データ数を確保し、且つデータ数/データ周波数範囲を大きくとることができて、同定データの精度を高めることができる。
【0029】
請求項4記載の発明によれば、波浪モデルの理論上のスペクトルは、中心周波数に対して左右対称にはならないが、中心周波数に近いスペクトル値が高い領域では、その非対称性が小さいので、スペクトル値が上部しきい値以上となる同定データのみを用いて中心周波数を求め、それを波浪周波数とすることにより、非対称性の影響を低減させることができる。
【0030】
請求項5記載の発明によれば、時系列データを変換したスペクトルデータでは、スペクトルの裾野においてノイズ成分が主要となるため、スペクトル値が下部しきい値SL以上の値となる同定データ(fi,Si−)に対してのみ処理を行なうことで、ノイズ成分の影響を低減させることができる。また、同定データのスペクトル値と波浪モデルのスペクトル値との偏差の2乗和を最小とする波浪モデルのスペクトルの減衰係数から波浪減衰係数を求めることができる。
【0031】
請求項6記載の発明によれば、海象が凪状態といった波浪状態においては、波浪同定部における検出方位信号の時系列データのスペクトルのS/N比が低下するので、波浪周波数と波浪減衰係数の同定誤差が増加するが、このような凪状態といった波浪状態を判定し、波浪状態に適した波浪減衰係数に修正することにより、フィードバックループ及び推定器による外乱除去性能の悪化を防ぎ、外乱が増幅されるといった状況を回避することができるようになる。
【0032】
請求項7記載の発明によれば、波浪から命令舵角までの伝達関数Geにノッチフィルタ特性を持たせた場合と、ノッチフィルタ特性を持たせない場合(ζwn=1/√2)のそれぞれの伝達関数

を求め、それぞれの伝達関数

に対して、それぞれ検出方位信号との2乗和を評価値とし、その評価量が小さい方に用いたζwnの値を波浪減衰係数

として採用することにより、波浪から命令舵角までの伝達関数Geが大きくなり外乱が増幅されることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
1 全体概略構成
本発明で対象とする船舶用自動操舵装置10の制御系は、図1に示したように、設定針路と検出方位とに基づいて命令舵角δを出力する自動操舵装置の制御系において、閉ループを安定化するフィードバックループ15と、検出方位に含まれる波浪成分を除去する推定器20とから構成され、推定器20は、検出方位

と命令舵角δcとを入力とし、検出方位の推定値である推定方位

と旋回角速度の推定値である推定角速度

とを出力し、フィードバックループ15は推定器20の出力

を設定針路にフィードバックする。このとき、推定器20は、波浪同定器22によって同定される波浪周波数ωwnと波浪減衰係数ζwnを利用して、推定方位と推定角速度を求める。
【0034】
推定器20の構成の理解を図るために、まず特願2004−226670で本発明者らが提案する波浪モデル無しの推定器(即ち、2次推定器)と、波浪モデル有りの推定器(即ち、4次推定器)について概略説明する。
【0035】
2次推定器は、図2に示すように、ノミナル値の船体モデル(野本モデルを基に考案したもの)と、検出方位と推定方位との差
【0036】
【数6】

を用いると、ここで
【0037】
【数7】

とし、
【0038】
【数8】

を満足する。ここでk1,k2は推定ゲインを示す。上式と実際値の船体モデル関係式
【0039】
【数9】

とを整理することによって、2次推定器の伝達関数は、
【0040】
【数10】

として得られる。ここで、

は、それぞれ方位と波浪とから推定方位までの伝達関数、

はそれぞれ方位と波浪とから推定角速度までの伝達関数で、

は2次推定器を意味し、
【0041】
【数11】

をそれぞれ示す。λe2は2次推定器の特性多項式で、
【0042】
【数12】

を示し、Δ2,Δ1は船体パラメータのノミナル値のパラメータ不確かさで
【0043】
【数13】

をそれぞれ示す。
【0044】
上記パラメータ不確かさを表すΔ2,Δ1による伝達関数への影響を調べ、閉ループ安定性が劣化しないように上記(1)式の2次推定器の特性多項式における設計パラメータである減衰係数ζeと固有周波数ωe[rad/s]を決定する。
【0045】
検討の結果、固有周波数ωeについては、ωeを高くすると、

の伝達誤差が低減することが分かるので、操舵系の固有周波数ωnと推定係数ρ>1とを用いて、固有周波数ωeは、
【0046】
【数14】

と設定する。ここで、ρの設定は閉ループ安定性を満足する適切な値に選択される。また、減衰係数ζeは1/√2とすると、Δによる伝達関数

のパラメータ不確かさ感度を最小にすることができる。
【0047】
次に、波浪モデル有りの推定器を考える。波浪モデル有りの推定器(即ち、4次推定器)は、2次推定器に波浪モデルを組み込むことで、検出方位に含まれる波浪成分を推定波浪として分離抽出することができる。そのため推定方位と推定角速度とに含まれる波浪成分が除去され無駄舵が防止できる。しかし波浪モデルの導入が推定誤差を増加させる状況は避けなければならない。よって2次推定器の推定誤差を保持しつつ、かつ効果的な外乱除去性能を実現する4次推定器を設計する必要がある。4次推定器は、例えば、図3に示すように、ノミナル値の船体モデル(野本モデルを基に考案したもの)と、検出方位

から推定方位

と推定波浪

とを差し引いた
【0048】
【数15】

とを用いて、
【0049】
【数16】

と表すことができる。ここで、ki,i=1〜4は推定ゲインを、

は状態量を、それぞれ示す。波浪モデルの固有周波数ωwn、減衰係数ζwnは、波浪同定器22によって、検出方位

から同定される。波浪モデルの未知入力νは白色ノイズを仮定しているので平均値ゼロになる。したがってψwおよびψwに対応する

もまた平均値ゼロになるから、上式でνの入力の必要はない。上式と前記δcについての船体モデル関係式とを整理すると、4次推定器の伝達関数は、
【0050】
【数17】

として得られる。ここで、

はそれぞれ方位と波浪とから推定波浪までの伝達関数で、

は4次推定器を意味し、
【0051】
【数18】

をそれぞれ示す。λe4は4次推定器の特性多項式で
【0052】
【数19】

を示す。λw,cewは波浪モデルのそれぞれ多項式とゲイン多項式とで
【0053】
【数20】

を示す。
【0054】
前記4次推定器の特性多項式λe4を2つの2次標準系を用いて
【0055】
【数21】

に定める。ここでλeは船体モデルの状態推定に、λewは波浪モデルのそれにそれぞれ対応すると仮定する。ζe,ωeは2次推定器で設計したものである。ζew,ωewは4次推定器の設計パラメータでそれぞれ減衰係数と固有周波数[rad/s]とを示す。よって推定ゲインは
【0056】
【数22】

になる。
【0057】
検討の結果、波浪除去に対応する伝達関数

に波浪周波数ωwnでのノッチフィルタ特性を持たせると共に、推定誤差の悪化を防ぐために、ωew≧ωeを満足するように、波浪モデルが無い(λew=1)としたときの推定器の船体パラメータに対する感度が、波浪モデルが有るときの推定器の船体パラメータに対する感度とほぼ等しくなるときの、ωe=ωwn(ωwn:波浪モデルの固有周波数である波浪周波数を表す)を満足するときのωeの値をωx、ωe=ωwnを満足しないときのωeの値をωyとしたときに、波浪周波数ωwnがωxよりも大きいときには、固有周波数ωeをωyに設定し、固有周波数ωewを波浪周波数ωwnと等しく設定し、波浪周波数ωwnがωx以下のときには、固有周波数ωeをωxに設定し、波浪周波数ωwnを修正の波浪周波数ωwn=ωxに修正し、固有周波数ωewを修正の波浪周波数ωwnと等しく設定するとよいことが分かっている。
【0058】
推定器の構成は、以上に概略説明したものに限るものではなく、任意の構成とすることができるが、波浪モデルを導入する推定器とする場合には、波浪モデルの波浪周波数ωwn及び波浪減衰係数ζwnを特定する必要がある。
【0059】
上記波浪モデルの波浪周波数ωwn及び波浪減衰係数ζwnを同定するための波浪同定器22の構成を、図4に示す。この実施形態では、バッチ方式で波浪パラメータを同定するもので、波浪同定器22は、データストア部24、スペクトル演算部26、波浪同定部28及び波浪判別部30とからなる。
【0060】
データストア部24は、A/D変換された検出方位信号を時系列データとして蓄積するものであり、スペクトル演算部26は、検出方位信号の時系列データをスペクトルデータに変換するものであり、波浪同定部28はスペクトル演算部26からのスペクトルデータから波浪パラメータである中心周波数と減衰係数とを演算するものであり、波浪判別部30は、検出方位信号の時系列データと波浪パラメータとから波浪状態に適する波浪パラメータの最適値に修正するものである。
【0061】
波浪同定部28は、さらに正規化部28A、同定データ抽出部28B、中心周波数算出部28C及び減衰係数算出部28Dからなり、波浪判別部30は、さらに定数設定部30A、評価量算出部30B、減衰係数決定部30C及び減衰係数算出部30Dからなる。これら波浪同定部28及び波浪判別部30は、コンピュータソフトウェアで構成することができる。この波浪同定部28と波浪判別部30との詳細構成及び作用を以下説明する。
【0062】
2 波浪同定部
2.1 正規化部
波浪モデルの伝達関数Gw
【0063】
【数23】

を用いる。波浪モデルのスペクトルSは伝達関数のゲインの2乗であるから、
【0064】
【数24】

になる。ここでωは周波数を示す。(4)式より、ω=ωwnのときにS(ω)は最大値をとり、その大きさは1になる。
【0065】
一方、検出方位

に含まれる波浪成分

の時系列データは
【0066】
【数25】

で与えられる。ここでσwは波浪の強さを表す定数を、νは平均値ゼロのランダムノイズを、tは時間をそれぞれ示す。検出方位の時系列データから変換したスペクトルShの最大値は

であるから、Shを最大値

で割った

は波浪モデルのスペクトルSと等価になる。即ち、
【0067】
【数26】

になる。以下、時系列データから求めた最大値1に正規化されたスペクトル

を実スペクトルと呼ぶことにする。
【0068】
正規化部28Aは、スペクトル演算部26で検出方位

の時系列データを高速フーリエ変換(FFT)を用いて変換して得られたスペクトルを正規化して実スペクトルに関するデータを得る。尚、FFT変換した実スペクトルは帯域周波数を網羅していないため、滑らかな山形ではなく凹凸状となっている。凹凸状によるパラメータ同定誤差を低減するためには、適宜、平滑処理を行なうと好ましい。エイリアシング対策として、時系列データの移動平均をとることも可能である。
【0069】
2.2 同定データ抽出部
同定データ抽出部28Bは、正規化部28Aによって正規化された実スペクトルから同定に用いる同定データ

を抽出する。
【0070】
図5の実スペクトル例を参照して説明すると、実スペクトルにおいて低域周波数帯域は操舵成分、高域周波数帯域は波浪成分となるので、高域の波浪周波数領域において、最大スペクトル値をとる周波数を境にして低域側と高域側とに別け、それぞれから包絡的なデータを抽出する。
【0071】
即ち、任意の開始周波数から最大スペクトル値をとる周波数に向かって、スペクトル値がそれよりも大きくなるまたは等しくなる包絡点

の集まり(包絡点群)を求める。図において×と○とがそれぞれ包絡点群を示す。
【0072】
次に、複数の包絡点群のうちで、包絡点の個数が最大となる包絡点群の中で開始周波数が最大値の周波数に最も近接した包絡点群を同定データにする。包絡点の個数を最大とする包絡点群を選ぶ理由はデータ数を多くするためで、開始周波数が最大スペクトル値の周波数に近い包絡点群を選ぶ理由は(データ数÷データ周波数範囲)を大きくするためである。図において低域側と高域側においてそれぞれ×と○との個数は同じであるが、○の開始周波数は×のそれより最大値の周波数に近い。よって○の包絡点群が同定データになる。
【0073】
2.3 中心周波数算出部
中心周波数算出部28Cは、同定データから中心周波数を算出する。
【0074】
式(4)の波浪モデルのスペクトルを図6に示す。ある減衰係数を持つスペクトルにおいて、あるスペクトル値をとる周波数範囲を[ω1、ω2](ω2>ω1)とする。同図よりスペクトル形状は減衰係数により決定され、ω/ωwn=1に対してスペクトルは左右対称にならないことが分かる。即ち、
【0075】
【数27】

である。この非対称性は減衰係数に比例する。
【0076】
図7はスペクトルに対する非対称度合を求めたものである。同図より減衰係数が0.3のとき非対称度合を3%以内にするためには、上部しきい値SH=0.8とするとよいことが分かる。実スペクトルが林立する場合どのしきい値以上の同定データを対象にすれば良いかの基準として、この上部しきい値SHを用いる。最大スペクトル値をとる周波数がその分解能の関係より必ずしも中心周波数にならない場合が生じるので、中心周波数fwn=ωwn/2πは上部しきい値SH以上のスペクトル値

とその周波数fi [Hz]とから加重平均により
【0077】
【数28】

で求める。ここでΣiは上部しきい値SH 以上の同定データの個数で総和を取ることを意味する。
【0078】
2.4 減衰係数算出部
減衰係数算出部28Dは、同定データから減衰係数を算出する。
【0079】
図6に示したように、スペクトルは、そのゼロ付近の裾野が急激に広がっている。実スペクトルの裾野領域はノイズ成分が主要になるために同定範囲から除くことにする。その有効領域と無効領域を適当に分ける必要があるが、例えば、スペクトルの有効領域を上部の95%にして、無効領域を下部の5%にする。その下部しきい値SL=0.05における周波数範囲[ω1、ω2]は式(4)を用いて
【0080】
【数29】

の2根

として得られる。SL=0.05による周波数範囲[ω1、ω2]にある同定データを用いて減衰係数の計算を行う。
【0081】
減衰係数ζwnは同定データのスペクトル値とその周波数に対応する波浪モデルのスペクトル値との偏差の2乗和を用いた評価関数を最小にする波浪モデルのスペクトルの減衰係数ζによって与える。即ち、
【0082】
【数30】

で求める。ここでSは波浪モデルのスペクトル値を、Σiは同定範囲にある同定データの個数で総和を取ることを意味する。上式は、既にωwn=2πfwnが得られているからζwnの関数になり、1変数による最小値問題に帰着する。その解法は黄金分割を用いると良い。
【0083】
以上による波浪同定部28によって検出方位信号の時系列データのスペクトルデータから波浪パラメータを同定することができる。
【0084】
3 波浪判別部
3.1 伝達関数の導出
次に、波浪から命令舵角までの伝達関数を検討する。図1及び図3に示した操舵系のブロック図を元にし、簡単化のため操舵機は省き、設定針路(参照針路)、パラメータ不確かさ(船体パラメータのノミナル値と実際値との誤差)及び舵角オフセットなど等はゼロとする。同図において、推定器20は波浪モデルが組み込まれた4次推定器であり、Pは船体モデルを、KP,KDはフィードバックループ15のフィードバックゲインでそれぞれ比例ゲインと微分ゲインとを表している。
【0085】
図3に示した4次推定器の伝達関数は、1項で既述の通りであるが、
【0086】
【数31】

として得られる。(2)式と上式とを整理すると、

は、
【0087】
【数32】

として表すことができる。ここで
【0088】
【数33】

を表し、Ksn、Tsn,Ts3nは船体パラメータのノミナル値でそれぞれ旋回力ゲインと2つの船体時定数を、ωwn,ζwnは波浪パラメータのノミナル値でそれぞれ中心周波数と減衰周波数を、それぞれ示す。
また、命令舵角の関連式は
【0089】
【数34】

になることから、波浪から命令舵角までの伝達関数は
【0090】
【数35】

として得られる。ここで、Gp、Geはそれぞれ操舵系関連と推定器関連との伝達関数を示す。
【0091】
伝達関数Gは2次操舵系の特性多項式をもち
【数36】

になる。ここでζn、ωnは操舵系のそれぞれ減衰係数と固有周波数とを示す。Gpのカットオフ周波数ωc
【0092】
【数37】

で与えられる。波浪周波数はωcより高域側であると仮定できるから、Gpのωcより高域周波数のゲインは、
【0093】
【数38】

の一定値になる。ただしKD>0とする。
一方、伝達関数Geは4次推定器の特性多項式とフィードバックゲインとからなり、
【0094】
【数39】

になる。
【0095】
3.2 伝達関数の特性
伝達関数Gp、Geのゲイン特性の数値例を図8に示す。同図はKsn=0.047,Tsn=61,Ts3n=8.2,KP=1,ζn=0.9,ωn=0.0246,KD=43.8,ωe=ρωn,ρ=3,ωew=ωwn,ζe=ζew=1/√2とki,i=1〜4を用いて、減衰係数ζwnと波浪周波数ωwnとを変化させる。
【0096】
同図よりGPはω>ωeでほぼ一定値になるので、波浪パラメータによる影響はGeを調べればよいことが分かる。波浪周波数ωwnが小さくなると、Geのゲインがω>ωeで1以上になり外乱が増幅される領域を生じる。即ち、波浪状態によっては、外乱成分を増幅させるために、外乱除去性能の効果が期待できない。この状況は操舵周波数ωnと波浪周波数ωwnとが近くなる小型船で発生しやすい。
【0097】
3.3 波浪状態
海象が凪状態のとき、波浪同定部において波浪スペクトルのSN比が低下するために、波浪パラメータの同定誤差が増加する。その結果凪状態にも拘わらず、上記外乱除去性能の効果が期待できない状況が生じる場合がある。この状況を避けるために、凪またはそれと同等の状態のときは、波浪モデルによるノッチフィルタ特性が働かないようにする。即ち、ζwn=ζew=1/√2とする。このとき式(28)で波浪モデルに関係する項は
【0098】
【数40】

になり、ゲインはωwnに無関係にω>ωeで−20[dB/dec]になる(図8のζwn=1/√2)。このため、ζwn=1/√2のGeのゲインはζwn=0.1、ωwn=0.15の場合のような外乱増幅領域を持たないので、ノイズ成分を増幅することはない。
【0099】
この性質を利用し、波浪同定部28で同定された波浪パラメータと上記伝達関数Geを用いて、波浪状態の判別を行なうことができる。
【0100】
以下、波浪判定部30の作用を図4を参照して説明する。
【0101】
定数設定部30Aは、式(28)のζwnに同定値(ノッチフィルタ有り)と1/√2(ノッチフィルタ無し)とを代入し、Geのパラメータ、即ち定数をそれぞれ設定する。具体的には、
【0102】
【数41】

のそれぞれのパラメータ(定数)を決定する。
【0103】
次いで、評価量算出部30Bは、波浪状態の評価を行なうための評価量の算出を行なう。波浪状態の評価量は、ノッチフィルタの有りの場合と無しの場合のそれぞれのGeと、検出方位時系列データを用いた命令舵角相当の2乗和を用いる。初期値はゼロとする。
【0104】
【数42】

ここでJon,Joffはノッチフィルタのそれぞれ有りと無しの場合の評価量を示す。尚、総和をとるデータ数nは波浪の周期の10倍程度にわたる期間中の時系列データ数とするとよい。
【0105】
次いで、減衰係数決定部30Cは、2つの評価量の内で小さい方がその時の波浪状態に対する外乱除去効果のより高い設定であるとして、小さい方に用いた減衰係数を波浪パラメータとして決定する。中心周波数ωwnは同定値のままである。即ち波浪係数は
【0106】
【数43】

によって定める。
【0107】
このように、波浪判定部30は、波浪同定部28によって同定された波浪減衰係数に対して修正を行なうことにより、波浪状態によっては、波浪から命令舵角までの伝達関数Geが大きくなり、外乱が増幅されることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明による船舶用自動操舵装置の全体構成を表すブロック図である。
【図2】2次推定器の構成を表すブロック図である。
【図3】4次推定器の構成を表すブロック図である。
【図4】波浪同定器の構成を表すブロック図である。
【図5】同定データの抽出を表す実スペクトル例を表すグラフである。
【図6】波浪モデルのスペクトルを表すグラフである。
【図7】図6のスペクトルに対して非対称度合を求めたグラフである。
【図8】伝達関数Gn、Geのゲイン特性を表すグラフである。
【図9】船舶用自動操舵装置の全体構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0109】
10 船舶用自動操舵装置
15 フィードバックループ
20 推定器
22 波浪同定器
26 スペクトル演算部
28 波浪同定部
28A 正規化部
28B 同定データ抽出部
28C 中心周波数算出部
28D 減衰係数算出部
30 波浪判別部
30A 定数設定部
30B 評価量算出部
30C 減衰係数決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定針路と検出方位に基づいて命令舵角を出力するために、検出方位

と命令舵角δとを入力とし推定方位

と推定角速度

とを出力する推定器と、推定器の出力を設定針路にフィードバックするフィードバックループと、検出方位から波浪周波数と波浪減衰係数とを同定する波浪同定器と、を有する船舶用自動操舵装置において、前記波浪同定器は、
検出方位信号の時系列データをスペクトルデータに変換するスペクトル演算部と、
スペクトルデータから包絡点群である同定データ

(fiは周波数、Si−はスペクトル値を表す)を抽出する同定データ抽出部と、
同定データに基づき中心周波数から波浪周波数fwnを求める中心周波数算出部と、
同定データのスペクトル値(Si−)と、前記中心周波数算出部によって求められた波浪周波数に基づきその波浪周波数に対応する波浪モデルのスペクトル値(Si)との偏差に基づく評価値を最小にする波浪モデルのスペクトルSの減衰係数を、波浪減衰係数ζwnとする減衰係数算出部と、
を備えることを特徴とする船舶用自動操舵装置。
【請求項2】
前記波浪同定器は、さらに、
前記スペクトル演算部で変換されたスペクトルデータを正規化する正規化部を備えることを特徴とする請求項1記載の船舶用自動操舵装置。
【請求項3】
前記同定データ抽出部は、スペクトルデータの所定の領域において、任意の開始周波数から、その領域において最大スペクトル値をとる周波数に向って、スペクトル値が大きくなるまたは等しくなる包絡点の集まりからなる包絡点群を求め、該最大スペクトル値をとる周波数よりも低域周波数側及び高域周波数側のそれぞれにおいて求めた複数の包絡点群のうちで、包絡点の個数が最大となる包絡点群の中で、開始周波数が最大スペクトル値をとる周波数に最も近い包絡点群を、同定データとして抽出するものであることを特徴とする請求項1または2記載の船舶用自動操舵装置。
【請求項4】
前記中心周波数算出部は、同定データの中でスペクトル値が上部しきい値SH以上の値となる同定データ(fi,Si−)に対して、
【数1】

で波浪周波数fwnを求めることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の船舶用自動操舵装置。
【請求項5】
前記減衰係数算出部は、同定データの中でスペクトル値が下部しきい値SL以上の値となる同定データ(fi,Si−)に対して、そのスペクトル値とその周波数に対応する波浪モデルのスペクトルのスペクトル値Sとの偏差の2乗和Jζを最小値とする、
【数2】

を満足する波浪モデルのスペクトルの減衰係数ζを、波浪減衰係数ζwnとすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の船舶用自動操舵装置。
【請求項6】
設定針路と検出方位に基づいて命令舵角を出力するために、検出方位

と命令舵角δcとを入力とし推定方位

と推定角速度

とを出力する推定器と、推定器の出力を設定針路にフィードバックするフィードバックループと、検出方位から波浪周波数と波浪減衰係数とを同定する波浪同定器と、を有する船舶用自動操舵装置において、波浪同定器は、
検出方位信号の時系列データのスペクトルデータから波浪周波数と波浪減衰係数とを同定する波浪同定部と、
時系列データと前記波浪同定部で同定した波浪周波数fwn=ωwn/2πと波浪減衰係数ζwnとを用いて波浪状態を判定し、該波浪状態に適した波浪減衰係数に修正する波浪判定部と、
を備えることを特徴とする船舶用自動操舵装置。
【請求項7】
波浪判定部は、波浪から命令舵角までの伝達関数Geである
【数3】

に対して、ζwnに前記波浪同定部で同定した波浪減衰係数を代入したときのGeである

と、ζwnに1/√2を代入したときのGeである

のそれぞれの定数を求める定数設定部と、
前記定数設定部で求めた

に対して、
【数4】

で表されるそれぞれの評価値Jon,Joffを求める評価量算出部と、
前記評価値Jon,Joffのうちで小さい方に用いたζwnの値を修正した波浪減衰係数

として採用し、即ち、
【数5】

とする減衰係数決定部と、
を備えることを特徴とする請求項6記載の船舶用自動操舵装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−188095(P2006−188095A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381973(P2004−381973)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000003388)株式会社トキメック (103)