説明

船釣り用釣竿保護部材及び船竿と船釣り用釣竿保護部材のセット

【課題】 釣竿の握り部のハンドルトリガーなどが破損したり傷付きの発生を防止した船釣り用釣竿保護部材を提供することである。
【解決手段】 釣船の縁1には竿立て用の穴1aが複数設けられている。
船釣り用釣竿保護部材2は弾性を有する天然ゴム、合成ゴム、エラストマーなどで中空の筒状からなる挿入部2aと挿入部2aの上側に外部に露出する挿入部2aの外径より大径の露出部2bで構成され、挿入部2aの外周と露出部2bの外周は傾斜状部2cを介して連結され、露出部2bと挿入部2aの中心に挿入口2dが形成されて挿入部2aの最大外径は竿立て用の穴1aの直径より小径で、露出部2bの最大外径は竿立て用の穴1aの直径より大径に構成されている。
露出部2bの上面は少なくとも柔軟性がある材料で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣船の縁に設置された竿立て穴に挿入して使用する船釣り用釣竿保護部材及び船竿と船釣り用釣竿保護部材のセットに関する。
【背景技術】
【0002】
釣船で釣りを行うとき、船の縁に設置された竿立て穴をそのまま竿立てに使用するか、もしくはその穴に特許文献1のような竿置き具を差し込み、この竿置き具の挿入口に釣竿を差し込んだり、竿受けに釣竿を置いて魚釣りをするかのいずれかであった。
前記船の縁に設置された竿立て穴や竿置き具の挿入口にリ−ルが装着された重みのある釣竿を差し込むと、釣竿の握り部のハンドルトリガ−など穴径や挿入口径より対向長が長いものが硬い船縁や挿入口の縁に当たって破損したり傷付きが発生する恐れがあった。
【特許文献1】実用新案登録第3084544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、穴径や挿入口径より対向長が長い釣竿の握り部のハンドルトリガーなどが硬い船縁や挿入口の縁に当たって破損したり傷付きが発生することである。
【0004】
本発明の目的は前記欠点に鑑み、釣竿の握り部のハンドルトリガーなどが破損したり傷付きの発生を防止した船釣り用釣竿保護部材の提供及び船竿と船釣り用釣竿保護部材のセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係わる本発明は、釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して固定する保護部材であって該保護部材は中空の筒状で前記竿立て用の穴に挿入される挿入部と前記穴から外部に露出する露出部で構成され、少なくとも前記露出部上面は柔軟性があることを要旨とするものである。
請求項2に係わる本発明は、前記挿入部の最大外径は前記穴の直径よりも小さく、前記露出部の最大外径は前記穴の直径よりも大きいことを要旨とするものである。
請求項3に係わる本発明は、前記挿入部の外周と前記露出部の外周は傾斜状部を介して連結していることを要旨とするものである。
請求項4に係わる本発明は、前記挿入部の外周面よりも滑り摩擦抵抗の大きい抜け防止部材が該挿入部の外周面に取着されていることを要旨とするものである。
請求項5に係わる本発明は、前記挿入部の外周面に該外周面より突出する突出部を設けたことを要旨とするものである。
請求項6に係わる本発明は、前記各項記載の船釣り用釣竿保護部材を船竿とセットに組み合わせたことを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は請求項1によって、リ−ルを装着した状態で竿立て用の穴1aに船竿を立てる際に、リ−ル6やハンドルトリガ−4aのような竿立て用の穴1aより対向長が長い突出部が船の縁に当り、破損や傷付きが発生する恐れがあるが、船釣り用釣竿保護部材2の露出部2bが少なくとも柔軟性が有る為、破損や傷付きが発生せず、硬質部材同士が当たる際の音や船竿のガタツキを抑えることができる。又、船竿のガタツキによって発生し易い仕掛けの絡まりを防ぐことができる。
請求項2によって、竿立て用の穴1aの直径に対して船釣り用釣竿保護部材2の挿入部2aと露出部2bの外径を適切に構成すると、船釣り用釣竿保護部材2がスム−ズに竿立て用の穴1aに押し込めるし、安易に抜け落ちし難い。
請求項3によって、船釣り用釣竿保護部材2の挿入部2aと露出部2bの間を傾斜状部2cで連結して傾斜状部2cが変形されるように押し込まれると、しっかり固定出来て抜け難い。
また竿立て用の穴1aの直径がばらついても傾斜状部2cによって適用径範囲が広くなり、固定力に差が出難い。
請求項4、5によって、抜け防止部材7や突出部2eによって竿立て用の穴1aの中でより密着して固定されるので、さらに抜け難くなる。
請求項6によって、船竿の後端部の外径に適した船釣り用釣竿保護部材をセットで提供することが出来、ユ−ザ−が別個に単体で購入する手間が省け、快適な船釣りが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
釣船の縁1には竿立て用の穴1aが複数設けられている。
船釣り用釣竿保護部材2は弾性を有する天然ゴム、合成ゴム、エラストマーなどで中空の筒状からなる挿入部2aと挿入部2aの上側に外部に露出する挿入部2aの外径より大径の露出部2bで構成され、挿入部2aの外周と露出部2bの外周は傾斜状部2cを介して連結され、露出部2bと挿入部2aの中心に挿入口2dが形成されている。
挿入部2aの最大外径は竿立て用の穴1aの直径より小径で、露出部2bの最大外径は竿立て用の穴1aの直径より大径に構成されている。
露出部2bの上面は少なくとも柔軟性がある材料で構成されている。
【実施例1】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明すると、図1から図3は第1実施例で図1は船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入した断面側面図、図2は船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して押し込んだ断面側面図、図3は釣竿の握り部を船釣り用釣竿保護部材の挿入口に挿入して立てた要部断面側面図である。
【0009】
釣船の縁1には竿立て用の穴1aが複数設けられている。
船釣り用釣竿保護部材2は弾性を有する天然ゴム、合成ゴム、エラストマーなどで中空の筒状からなる挿入部2aと挿入部2aの上側に外部に露出する挿入部2aの外径より大径の露出部2bで構成され、挿入部2aの外周と露出部2bの外周は傾斜状部2cを介して連結され、露出部2bと挿入部2aの中心に挿入口2dが形成されている。
挿入部2aの最大外径は竿立て用の穴1aの直径より小径で、露出部2bの最大外径は竿立て用の穴1aの直径より大径に構成されている。
露出部2bの上面は少なくとも柔軟性がある材料で構成されている。
露出部2bの柔軟性がある材料は相対的に硬質な挿入部2aに対して柔軟性のある材料を貼着して露出部2bとしてもよい。
船釣り用釣竿保護部材2の合成ゴムの材料はエチレンビニルアセテ−ト(EVA)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)等である。
釣船で使用する釣竿3は握り部4の先端側に竿管5が固定され、握り部4のリ−ル装着部にリ−ル6が装着されている。
釣竿3は船釣り用釣竿保護部材2の挿入口2dの大きさに適合した握り部4を有する釣竿3を選択するとよい。
従って船釣り用釣竿3が販売される時は船釣り用釣竿保護部材2をセットにして販売することが好ましい。
【0010】
釣船の縁1の竿立て用の穴1aに船釣り用釣竿保護部材2の挿入部2aが挿入されて押し込まれると、穴1aの穴縁より中に傾斜状部2cが変形されて押し込まれる。
船釣り用釣竿保護部材2の挿入口2dに釣竿3の握り部4が挿入されると、握り部4の突出したハンドルトリガ−4aは露出部2bの上面に載ることになる。
【0011】
前記のように船釣り用釣竿保護部材2が構成されると、リ−ルを装着した状態で竿立て用の穴1aに船竿を立てる際に、リ−ル6やハンドルトリガ−4aのような竿立て用の穴1aより対向長が長い突出部が船の縁に当り、破損や傷付きが発生する恐れがあるが、船釣り用釣竿保護部材2の露出部2bが少なくとも柔軟性が有る為、破損や傷付きが発生せず、硬質部材同士が当たる際の音や船竿のガタツキを抑えることができる。
竿立て用の穴1aの直径に対して船釣り用釣竿保護部材2の挿入部2aと露出部2bの外径を適切に構成すると、船釣り用釣竿保護部材2がスム−ズに竿立て用の穴1aに押し込めるし、安易に抜け落ちし難い。
船釣り用釣竿保護部材2の挿入部2aと露出部2bの間を傾斜状部2cで連結して傾斜状部2cが変形されるように押し込まれると、しっかり固定出来て抜け難い。
また竿立て用の穴1aの直径がばらついても傾斜状部2cによって適用径範囲が広くなり、固定力に差が出難い。
【実施例2】
【0012】
図4、図5は第2実施例で、図4は船釣り用釣竿保護部材の断面側面図、図5は船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して押し込んだ断面側面図である。
【0013】
第2実施例では、船釣り用釣竿保護部材2の挿入部2aの下側外周に挿入部2aの外周面よりも滑り摩擦抵抗の大きい抜け防止部材7が挿入部2aの外周面に取着されている。
他の構成は前記第1実施例と略同一である。
【0014】
第2実施例のように船釣り用釣竿保護部材2が構成されると、抜け防止部材7によって竿立て用の穴1aの中でより密着して固定されるので、第1実施例よりさらに抜け難くなる。
【実施例3】
【0015】
図6、図7は第3実施例で、図6は船釣り用釣竿保護部材の断面側面図、図7は船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して押し込んだ断面側面図である。
【0016】
第3実施例では、船釣り用釣竿保護部材2の挿入部2aの下側外周に挿入部2aの外周面より突出した複数の突出部2eが設けられている。
突出部2eは挿入部2aと一体に成形してもよいし、別体に形成して挿入部2aに取着してもよい。
他の構成は前記第1実施例と略同一である。
【0017】
第3実施例のように船釣り用釣竿保護部材2が構成されると、突出部2eによって竿立て用の穴1aの中でより密着して固定されるので、第2実施例同様に抜け難くなる。
【実施例4】
【0018】
図8、図9は第4実施例で、図8は船釣り用釣竿保護部材の断面側面図、図9は船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して押し込んだ断面側面図である。
【0019】
第4実施例では、傾斜状部のない船釣り用釣竿保護部材2の挿入部2fの外周上部で露出部2bの下側に吸盤8を嵌合している。
吸盤8は弾性を有する天然ゴムや合成ゴムで円形の皿状に形成され、吸盤部8aの内側に閉塞片8bが形成されている。
吸盤8は吸盤部8aを押し潰すことで船釣り用釣竿保護部材2が釣船の縁に止着される。
吸盤8は露出部2bの下側に接着固定してもよいし、弾性で挿入部2fの外周に止着するようにしてもよい。
他の構成は前記第1実施例と略同一である。
【0020】
第4実施例のように船釣り用釣竿保護部材2が構成されると、吸盤8によって船釣り用釣竿保護部材2が釣船の縁から外れ難くなる。
尚、露出部2bと吸盤8の外径、内径を大径に形成し、挿入部2fの上側に第1実施例の傾斜状部を設けてもよい。
【実施例5】
【0021】
図10、図11は第5実施例で、図10は船釣り用釣竿保護部材の断面側面図、図11は船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して押し込んだ断面側面図である。
【0022】
第5実施例では、吸盤部2gが露出部2bの下側に一体に形成されている。
他の構成は前記第4実施例と略同一である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
船釣り用釣竿保護部材に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施例で、船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入した断面側面図である。
【図2】同船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して押し込んだ断面側面図である。
【図3】同釣竿の握り部を船釣り用釣竿保護部材の挿入口に挿入して立てた要部断面側面図である。
【図4】第2実施例で、船釣り用釣竿保護部材の断面側面図である。
【図5】同船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して押し込んだ断面側面図である。
【図6】第3実施例で、船釣り用釣竿保護部材の断面側面図である。
【図7】同船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して押し込んだ断面側面図である。
【図8】第4実施例で、船釣り用釣竿保護部材の断面側面図である。
【図9】同船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して押し込んだ断面側面図である。
【図10】第5実施例で、船釣り用釣竿保護部材の断面側面図である。
【図11】同船釣り用釣竿保護部材を釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して押し込んだ断面側面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 釣船の縁
1a 竿立て用の穴
2 船釣り用釣竿保護部材
2a、2f 挿入部
2b 露出部
2c 傾斜状部
2e 突出部
7 抜け防止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣船の縁に設けた竿立て用の穴に挿入して固定する保護部材であって該保護部材は中空の筒状で前記竿立て用の穴に挿入される挿入部と前記穴から外部に露出する露出部で構成され、少なくとも前記露出部上面は柔軟性があることを特徴とする船釣り用釣竿保護部材。
【請求項2】
前記挿入部の最大外径は前記穴の直径よりも小さく、前記露出部の最大外径は前記穴の直径よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の船釣り用釣竿保護部材。
【請求項3】
前記挿入部の外周と前記露出部の外周は傾斜状部を介して連結していることを特徴とする請求項1、2記載の船釣り用釣竿保護部材。
【請求項4】
前記挿入部の外周面よりも滑り摩擦抵抗の大きい抜け防止部材が該挿入部の外周面に取着されていることを特徴とする請求項1〜3記載の船釣り用釣竿保護部材。
【請求項5】
前記挿入部の外周面に該外周面より突出する突出部を設けたことを特徴とする請求項1〜4記載の船釣り用釣竿保護部材。
【請求項6】
前記各項記載の船釣り用釣竿保護部材を船竿とセットに組み合わせたことを特徴とする船竿と船釣り用釣竿保護部材のセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−295815(P2007−295815A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124832(P2006−124832)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】