説明

色調式LED照明具

【課題】複数の蛍光灯をストックしておく必要なく、照射対象物に応じて手軽に照射色を変更することができ、かつ、発熱による問題も少ない色調式LED照明具を提供する。
【解決手段】色調式LED照明具は、色の異なる複数のLED列を備え、各LED列毎に、抵抗値を変更することができるボリューム式可変抵抗器を設けている。LED列は、好ましくは3列あり、一つが青色LED列であり、一つが赤色LED列であり、もう一つが緑色LED列であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明具に関し、特に、食品等を効果的に照らすことができるLED照明具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品をおいしく見せたり、鮮度良く見せたりするために、食品の種類によって照射する色を変えることが行われている。具体的には、例えば、精肉には生肉独自の赤色を強調するために少し赤色が強い蛍光灯を使い、野菜の場合にはみずみずしさを強調するために僅かに青色が強い蛍光灯を使い、惣菜等には作りたての温かさを強調するために少しオレンジ色が強い蛍光灯を使う等している。
また、熱帯魚や海水魚を飼育する水槽においても、水槽内の演出のために赤色や青色等の様々な色の蛍光灯が用意されている。
上記したように、従来から、様々な場面で演出のために色付きの蛍光灯が用いられている。
しかし、演出効果を高めるためには、上記したように対象物に適した色の蛍光灯が必要であるため、例えば、陳列棚に並べられた食品を照らすための蛍光灯の場合には、陳列棚に並べる商品を変える毎に蛍光灯も変えなければならないという問題が生じる。
また、例えば、水槽内の演出のための蛍光灯の場合でも、水槽の雰囲気を変えるためには複数色の蛍光灯を用意しておき、水槽の雰囲気を変える時に、その都度、蛍光灯を取り換えなければならないという問題がある。
上記したように、色付きの蛍光灯を用いる場合には、複数の色の蛍光灯を用意しておかなければならないので、コストがかかり、かつ、使用していない蛍光灯を保管しておく場所も必要になるのでスペース的にも問題があり、さらに、必要に応じて蛍光灯を取り換えなければならない面倒な作業を強いられる。
上記した問題を解決するために、自動販売機の見本展示ウィンドや商品展示ケース等の展示品陳列部を照明する蛍光灯の取り付けブラケットに、色付き投光板を固定し、該投光板を通して蛍光灯の光を展示品に照射することにより、カラー照明光を展示品に照射することができるようにしたディスプレイ用照明装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−178359
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したディスプレイ用照明装置によれば、投光板を通して蛍光灯の光をカラーにしているため、複数の色付き蛍光灯をストックしておく必要がないという効果を奏する。
しかし、上記した照明装置でも、色を変える場合には投光板の色を変えなければならないので、手間がかかるという問題が残っている。
また、蛍光灯自身の発熱の問題もある。具体的には、例えば、照射対象物が、食品、特に、鮮魚、生肉、野菜等の場合には当然のことながら蛍光灯の熱は好ましくなく、また、照射対象物が水槽の場合でも、蛍光灯の発熱により水槽内の水温が上昇するので好ましくない。
出願人は、上記した従来の問題点に鑑みて、複数の蛍光灯をストックしておく必要なく、照射対象物に応じて手軽に照射色を変更することができ、かつ、発熱による問題も少ない色調式LED照明具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る色調式LED照明具は、色の異なる複数のLED列を備え、各LED列毎に、抵抗値を変更することができるボリューム式可変抵抗器を設けたことを特徴としている。
LED列は、好ましくは3列あり、一つが青色LED列であり、一つが赤色LED列であり、もう一つが緑色LED列であり得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る色調式LED照明具は、色調式LED照明具は、色の異なる複数のLED列を備え、各LED列毎に、抵抗値を変更することができるボリューム式可変抵抗器を設けているので、使用者は可変抵抗器のボリュームを調整するだけで、照射対象物に合わせて照射色を変更することができるので、複数の蛍光灯をストックしておく必要なく、照射対象物に応じて手軽に照射色を変更することができるようになる。また、光源としてLEDを使用しているので、蛍光灯のような発熱による問題が少なく、また、消費電力も抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る色調式LED照明具1の一部断面概略底面図である。
【図2】本発明に係る色調式LED照明具の第二実施例の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明に係る色調式LED照明具の実施の形態について説明していく。
【0009】
図1は、本発明に係る色調式LED照明具1の第一実施例の一部断面概略底面図である。
図中符号2は、本体ケースを示している。
本体ケース2の底面には、複数の赤色LED3を直線状に並べた赤色LED列4、複数の緑色LED5を直線状に並べた緑色LED列6、及び複数の青色LED7を直線状に並べた青色LED列8を備えている。
また、本体ケース2の内部には各LED列4,6,8を構成する各LED3,5,7の明るさを制御する制御装置9が設けられている。この制御装置9は、赤色LED列4の各LED3に供給される電流を制御する電流駆動回路10、緑色LED列6の各LED5に供給される電流を制御する電流駆動回路11、及び青色LED列8の各LED7に供給される電流を制御する電流駆動回路12が設けられている。前記LED3,5及び7は、例えば、5φの超高輝度砲弾型LEDである。
各電流駆動回路10,11,12は、それぞれボリューム式可変抵抗器10a,11a,12aを備え、これらボリューム式可変抵抗器10a,11a,12aで抵抗値を調整することにより、LED3,5及び7の明るさを、LED列4,6及び8毎に調整することができるように構成されている。図1における符号10bは本体ケース2に設けられたボリューム式可変抵抗器10aの抵抗調整ダイヤルを示し、符号11bは本体ケース2に設けられたボリューム式可変抵抗器11aの抵抗調整ダイヤルを示し、符号12bは本体ケース2に設けられたボリューム式可変抵抗器12aの抵抗調整ダイヤルを各々示している。
本体ケース2の左右側壁には、ガイド部材15が設けられており、各ガイド部材15に摺動可能に支持部材16が設けられている。
各支持部材16の先端には、既存の蛍光灯用道路照明灯の蛍光灯ソケット(図示せず)に装着可能な端子17が設けられている。
また、各支持部材16の内部には、一端が端子17に接続された電力供給線18が通っており、これら電力供給線18は制御装置9における各電流駆動回路10,11及び12に接続されている。
例えば、既存の蛍光灯用道路照明灯は、使用する蛍光灯に応じて100Vや200Vの印加電圧が使用されているが、前記電流駆動回路10,11及び12によりLED3,5,7に供給される電流を定電流にして抵抗値に応じた輝度が確保できるように構成されている。
各ガイド部材15には、支持部材16を所定の位置で固定するためのボルト19が設けられている。
上記したように構成された色調式LED照明具によれば、三色のLED3,5,7から成るLED列4,6,8を設け、各LED列4,6,8の明るさを独立して調整することができるように構成されているので、複数の蛍光灯をストックしておく必要なく、照射対象物に応じて手軽に照射色を変更することができるようになる。また、光源としてLEDを使用しているので、蛍光灯のような発熱による問題が少なく、また、消費電力も抑えることができるという効果を奏する。
また、本実施例に係る色調式LED照明具は、端子17が設けられた支持部材16を、本体ケース2のガイド部材15に摺動可能に設けているので、支持部材16の位置を調整することで、LED照明具全体の幅を取り付けるべき既存の照明器具の蛍光灯の幅に合わせることができる。
従って、既存の蛍光灯用照明器具のランプソケット間の幅が、如何なる寸法であっても、支持部材16の位置を調整することで、LED照明具全体の幅を取り付けるべき照明器具の蛍光灯の幅に合わせることができるので、既存の蛍光灯用照明器具の構造をそのまま利用して、照明具を蛍光灯から色の調整が可能な色調式LED照明具に変更することが可能になる。
【0010】
次に、図2を参照して、本発明に係る色調式LED照明具の第二実施例について説明していく。
図2は、本発明に係る色調式LED照明具の第二実施例の構造を示す概略図である。
図中符号21は色調式LED照明具全体を示し、符号22は本体ケースを示している。
本体ケース22には、複数の赤色LED23を直線状に並べた赤色LED列24、複数の緑色LED25を直線状に並べた緑色LED列26、及び複数の青色LED27を直線状に並べた青色LED列28を備えている。
また、本体ケース2の外部には各LED列24,26,28を構成する各LED23,25,27の明るさを制御する制御装置29が設けられている。この制御装置29は、赤色LED列24の各LED23に供給される電流を制御する電流駆動回路30、緑色LED列26の各LED25に供給される電流を制御する電流駆動回路31、及び青色LED列28の各LED27に供給される電流を制御する電流駆動回路32が設けられている。前記LED23,25及び27は、例えば、5φの超高輝度砲弾型LEDである。
各電流駆動回路30,31,32は、それぞれボリューム式可変抵抗器30a,31a,32aを備え、これらボリューム式可変抵抗器30a,31a,32aで抵抗値を調整することにより、LED23,25及び27の明るさを、LED列24,26及び28毎に調整することができるように構成されている。
図2における符号30bは制御装置29に設けられたボリューム式可変抵抗器30aの抵抗調整ダイヤルを示し、符号31bは制御装置29に設けられたボリューム式可変抵抗器31aの抵抗調整ダイヤルを示し、符号32bは制御装置29に設けられたボリューム式可変抵抗器32aの抵抗調整ダイヤルを各々示している。
【0011】
さらに、上記した実施例では、色調式LED照明具は、赤色LED列、青色LED列及び緑色LED列の三つのLED列を備えているが、LEDの色及びLED列の数は本実施例に限定されることなく、任意の色及び任意の数に設定することができる。
【符号の説明】
【0012】
1 色調式LED照明具
2 本体ケース
3 赤色LED
4 赤色LED列
5 緑色LED
6 緑色LED列
7 青色LED
8 青色LED列
9 制御装置
10 電流駆動回路
10a ボリューム式可変抵抗器
10b 抵抗調整ダイヤル
11 電流駆動回路
11a ボリューム式可変抵抗器
11b 抵抗調整ダイヤル
12 電流駆動回路
12a ボリューム式可変抵抗器
12b 抵抗調整ダイヤル
15 ガイド部材
16 支持部材
17 端子
18 電極供給線
19 ボルト
21 色調式LED照明具
22 本体ケース
23 赤色LED
24 赤色LED列
25 緑色LED
26 緑色LED列
27 青色LED
28 青色LED列
29 制御装置
30 電流駆動回路
30a ボリューム式可変抵抗器
30b 抵抗調整ダイヤル
31 電流駆動回路
31a ボリューム式可変抵抗器
31b 抵抗調整ダイヤル
32 電流駆動回路
32a ボリューム式可変抵抗器
32b 抵抗調整ダイヤル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色の異なる複数のLED列を備え、各LED列毎に、抵抗値を変更することができるボリューム式可変抵抗器を設けたこと
を特徴とする色調式LED照明具。
【請求項2】
外面に前記LED列が設けられた本体ケースと、
本体ケースの内部に設けられ、各LED列のLEDに供給する電流値をLED列毎に調整可能にする前記ボリューム式可変抵抗器を備えた複数の電流駆動回路と、
前記本体ケースの両側面に幅方向に摺動可能に設けられた左右一対の支持部材と
を備え、
前記支持部材の外端部に既存の道路照明灯の蛍光灯ソケットに装着可能な形状及び寸法の端子を設け、
前記支持部材の内部に、前記端子と前記電流駆動回路とを接続する電力供給線を設け、
取り付けるべき照明器具の左右一対の蛍光灯ソケット間の幅に合わせて、前記支持部材を幅方向に摺動させ、適当な位置で前記支持部材の位置を固定することができるように構成した
ことを特徴とする請求項1に記載の色調式LED照明具。
【請求項3】
前記LED列が、3列あり、一つが青色LED列であり、一つが赤色LED列であり、もう一つが緑色LED列である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の色調式LED照明具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−138238(P2012−138238A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289291(P2010−289291)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(509157993)株式会社相光技研 (9)
【Fターム(参考)】