説明

芯管保持装置および画像記録装置

【課題】芯管の内周面を保持部材によって押圧して芯管を保持する芯管保持装置において、保持部材の径方向外側への突出量を容易に調整可能とする。
【解決手段】径方向の外側を向いた押圧部をそれぞれが有し、軸方向に離間して並ぶ複数の押出部材と、複数の押出部材を連結する連結部材と、押圧部と軸方向において対向する被押圧部を押圧部と対応する軸方向の位置毎に有し、複数の押出部材に対して径方向の外側に配設される保持部材と、を備え、押圧部および被押圧部のうち少なくとも一方は、軸方向の一方側から他方側に向かうにつれて径方向の外側に拡がるテーパー状に形成されており、複数の押出部材が一方側に移動すると、当該各押出部材の押圧部が、対応する被押圧部を介して保持部材を径方向の外側に押し出し、連結部材は複数の押出部材の軸方向の間隔を調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯管を着脱自在に保持するための芯管保持装置、および画像が記録されるシート状の記録媒体が巻き付けられる芯管を当該芯管保持装置を用いて支持する画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芯管を保持するための装置として、例えば特許文献1に開示されているものがある。この装置は、シリンダ1、シリンダ1の作動によって軸方向に往復移動する軸2、および軸2の径方向外側に設けられたキー4を備えている。軸2の径方向外側には軸方向に並んだ複数のテーパー部2’が形成されており、キー4にはテーパー部2’と軸方向において対応する位置にテーパー面が形成されている。そして、シリンダ1によって軸2が軸方向に押し出されて、軸2のテーパー部2’(押圧部)がキー4のテーパー面(被押圧部)を押圧することにより、キー4が径方向外側に押し出されて紙管6(芯管)が保持される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭53−29795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置においては、複数の押圧部が軸方向に並んで設けられており、軸がこれら押圧部を連結する連結部材として機能している。そして、複数の押圧部が軸方向に移動することにより保持部材として機能するキーに形成された被押圧部が径方向外側に押圧され、保持部材が径方向外側に突出して芯管を保持する構成となっている。各部品の加工精度や部品同士の組付精度の問題により、押圧部と被押圧部との当接位置に誤差が生じれば、保持部材の径方向外側への突出量が変化し、芯管を設計時の想定どおりに保持できない場合がある。このような場合、例えば押圧部や被押圧部を一部切削するなどして微調整を図り、再度各部品を組み付けて精度を確認する、といった作業を繰り返す必要がある。このような作業は非常に手間がかかるものであり、この点において改善の余地があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、芯管の内周面を保持部材によって径方向外側に押圧して芯管を保持する芯管保持装置および当該芯管保持装置を備える画像記録装置において、保持部材の径方向外側への突出量を容易に調整可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る芯管保持装置は、軸方向に延びる筒状の芯管の内周面を軸方向に直交する径方向の外側に押圧した状態で芯管を保持する芯管保持装置において、径方向の外側を向いた押圧部をそれぞれが有し、軸方向に離間して並ぶ複数の押出部材と、複数の押出部材を連結する連結部材と、押圧部と軸方向において対向する被押圧部を押圧部と対応する軸方向の位置毎に有し、複数の押出部材に対して径方向の外側に配設される保持部材と、を備え、押圧部および被押圧部のうち少なくとも一方は、軸方向の一方側から他方側に向かうにつれて径方向の外側に拡がるテーパー状に形成されており、複数の押出部材が一方側に移動すると、当該各押出部材の押圧部が、対応する被押圧部を介して保持部材を径方向の外側に押し出し、連結部材は複数の押出部材の軸方向の間隔を調整可能であることを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達するため、本発明に係る画像記録装置は、シート状の記録媒体に画像を記録する画像記録装置において、軸方向に延びる筒状の芯管の内周面を軸方向に直交する径方向の外側に押圧した状態で芯管を保持する芯管保持手段と、芯管保持手段に連結され、芯管保持手段を回転させることにより記録媒体を芯管から繰り出しまたは芯管に巻き取る回転機構と、を備え、芯管保持手段は、径方向の外側を向いた押圧部をそれぞれが有し、軸方向に離間して並ぶ複数の押出部材と、複数の押出部材を連結する連結部材と、軸方向において押圧部と対向する被押圧部を押圧部と対応する軸方向の位置毎に有し、複数の押出部材に対して径方向の外側に配設される保持部材と、を備え、押圧部および被押圧部のうち少なくとも一方は、軸方向の一方側から他方側に向かうにつれて径方向の外側に拡がるテーパー状に形成されており、各押出部材が一方側に移動すると、当該各押出部材の押圧部が、対応する被押圧部を介して保持部材を径方向の外側に押し出し、連結部材は複数の押出部材の軸方向の間隔を調整可能であることを特徴とする。
【0008】
以上のような構成を具備する本発明(芯管保持装置および画像記録装置)では、径方向外側を向いた押出部を有する押出部材を軸方向に複数並べて、これらを連結部材で連結している。また、これら押圧部材の径方向外側に設けられた保持部材には、押圧部と軸方向において対向する被押圧部が、押圧部と対応する軸方向の位置毎に設けられている。そして、押圧部および被押圧部のうち少なくとも一方は、軸方向の一方側から他方側に向かうにつれて径方向外側に拡がるテーパー状に形成されており、各押出部材が一方側に移動すると、当該各押出部材の押圧部が、対応する被押圧部を介して保持部材を径方向外側に押し出す。したがって、このように押し出された保持部材によって芯管の内周面を押圧して、芯管を保持することができる。
【0009】
さらに、本発明によれば、複数の押出部材を連結する連結部材が押出部材間の間隔を調整可能に構成されているので、上記間隔を調整することにより押圧部と被押圧部との当接位置を変更することができる。つまり、押圧部と被押圧部との当接位置の誤差により保持部材の径方向外側への突出量が設計時の想定とは異なる場合に、押圧部や被押圧部を一部切削するなどの手間をかけることなく、連結部材により押出部材間の間隔を調整するだけで容易に上記突出量を調整することができる。
【0010】
ここで、連結部材の少なくとも一方の端部は押出部材にねじ機構を介して連結されていると好適である。連結部材がねじ機構を介して押出部材に連結されていると、連結部材を押出部材に対して回転させるだけで、連結部材の押出部材へのねじ込み量が変化し、押出部材の間隔を調整することができる。つまり、保持部材の径方向外側への突出量の調整が一層容易となる。
【0011】
また、連結部材は周方向において等間隔に複数配設されていると好適である。このように構成すると、複数の押出部材を軸方向に移動させる際に、連結部材を介して一方の押出部材から他方の押出部材に伝達される力が周方向において均等になる。よって、複数の押出部材を軸方向に移動させる際に、連結部材を介した力の伝達が周方向において不均一なために押出部材が意図せず傾くことを抑制できる。
【0012】
また、保持部材は周方向において等間隔に少なくとも3つ設けられていると好適である。このように構成すると、保持部材により芯管の内周面を径方向外側に押圧して保持するにあたって、周方向において均一に径方向外側への押圧力を作用させることができる。よって、芯管をいびつに変形させることなく、保持状態の安定性を向上させることができる。
【0013】
また、押圧部および被押圧部のうち両方が、一方側から他方側に向かうにつれて径方向の外側に拡がる同様のテーパー状に形成されていると好適である。押圧部と被押圧部とが同様のテーパー状に形成されていると、押圧部と被押圧部とをより広い領域で当接させることができるので、押圧部から被押圧部に安定的に径方向外側への押圧力を伝達することができる。また、押圧部と被押圧部とが広い領域で当接することにより、押圧部または被押圧部の一部に負荷が集中することを回避でき、押圧部または被押圧部の磨耗を抑制することができる。
【0014】
また、保持部材を径方向の内側に付勢するばねをさらに備えると好適である。このようなばねを設けておくと、保持部材が芯管の内周面を保持していない状態においては、保持部材が径方向内側に付勢されて芯管の内周面から離間する。よって、芯管を着脱する際に保持部材と芯管の内周面とが接触することを抑制でき、円滑な着脱が可能となる。
【0015】
また、複数の押出部材のうち一方側の端にある一方端押出部材を、一方側に移動させる力を作用させるための作用部をさらに備え、作用部を介して一方側に移動させる力が一方端押出部材に作用すると、一方端押出部材が連結部材を介して他の押出部材を引っ張りながら一方側に移動し、各押出部材の押圧部が、対応する被押圧部を介して保持部材を径方向の外側に押し出すと好適である。
【0016】
このような構成によると、作用部を介して一方側に移動させる力が一方端押出部材に作用すると、一方端押出部材が他の押出部材を連結部材を介して引っ張りながら一方側に移動して、保持部材が径方向外側に突出する。つまり、各押出部材を一方側に移動させて、芯管を保持するために保持部材を径方向外側に突出させる際に、連結部材を押し込むのではなく引っ張ることになる。すなわち、芯管を保持する際には、連結部材には圧縮力ではなくて引張力がかかるので、連結部材の座屈を防止することができる。
【0017】
さらに、一方端押出部材には軸方向に貫通する貫通孔が形成され、作用部は、貫通孔よりも一方側に設けられる握り部と、握り部から他方側に延出され、貫通孔に挿通される軸部と、貫通孔よりも径が大きく、貫通孔よりも他方側の軸部に設けられたフランジ部と、を備えて構成されていると好適である。
【0018】
このような構成によれば、作用部に一方端押出部材を一方側に移動させるための力を加えると、鍔部のうち貫通孔よりも径が大きい部分が一方端押出部材を他方側から一方側に押圧することによって、一方端押出部材が連結部材を介して他の押出部材を引っ張りながら一方側に移動する。すなわち、作用部に一方端押出部材を一方側に移動させるための力が作用した場合に、鍔部と一端側押出部材とが係合した状態を維持しつつ押圧力が確実に伝達されるので、芯管を保持する際の作業性が向上する。
【0019】
さらに、複数の押出部材に形成された軸方向に開口する孔に挿入されて複数の押出部材を摺動自在に支持する支持部材をさらに備え、一方端押出部材では、孔が他方側から貫通孔に連通しつつ鍔部を内包するように形成され、軸部は支持部材の一方側の端部にねじ機構を介して連結されており、作用部が支持部材に対して回転されることにより一方端押出部材が一方側に移動すると好適である。
【0020】
複数の押出部材が一方側に移動し、各押圧部が対応する各被押圧部を介して保持部材を径方向外側に押し出して芯管を保持している状態においては、押圧部と被押圧部とが係合した状態となっている。しかしながら、芯管を保持している状態において、複数の押出部材が意図せず他方側に移動してしまうと、押圧部と被押圧部との係合状態が緩み、芯管を保持できなくなるおそれがある。ここで、ねじ機構により作用部の軸部が支持部材に連結されていると、軸部に回転力が伝達されない限り、作用部が軸方向に動くことはない。すなわち、保持状態のときに一方端押出部材が他方側に移動しようとしても、その移動は作用部の鍔部によって阻止され、一方端押出部材およびこれに連結された他の押出部材が他方側に移動することを防止できる。よって、各押圧部と各被押圧部との係合状態が緩むことを防止でき、芯管を安定的に保持しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る芯管保持装置を適用可能なプリンターの構成を示す図である。
【図2】芯管保持装置の分解斜視図である。
【図3】スリーブと連結部材とを組み付けた状態の組立斜視図である。
【図4】作用具の組立斜視図である。
【図5】ハウジングを装着する前の芯管保持装置の組立斜視図である。
【図6】ハウジングを装着した後の芯管保持装置の組立斜視図である。
【図7】芯管保持装置の動作を示す縦断面図である。
【図8】別の実施形態における押圧部および被押圧部の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔プリンターの構成〕
図1は、本発明を適用可能なプリンターが備える装置構成の一例を模式的に示す正面図である。図1に示すように、プリンター1では、その両端が繰出軸20および巻取軸40にロール状に巻き付けられた1枚のシートS(ウェブ)が、繰出軸20と巻取軸40の間に張架されており、シートSはこうして張架された経路Pcに沿って、繰出軸20から巻取軸40へと搬送される。そして、プリンター1では、この経路(搬送経路Pc)に沿って搬送されるシートSに対して画像が記録される。シートSの種類は、紙系とフィルム系に大別される。具体例を挙げると、紙系には上質紙、キャスト紙、アート紙、コート紙等があり、フィルム系には合成紙、PET(Polyethylene terephthalate)、PP(polypropylene)等がある。概略的には、プリンター1は、繰出軸20からシートSを繰り出す繰出部2と、繰出部2から繰り出されたシートSに画像を記録するプロセス部3と、プロセス部3で画像の記録されたシートSを巻取軸40に巻き取る巻取部4を備える。なお、以下の説明では、シートSの両面のうち、画像が記録される面を表面と称する一方、その逆側の面を裏面と称する。
【0023】
繰出部2は、シートSの端を巻き付けた繰出軸20と、繰出軸20から引き出されたシートSを巻き掛ける従動ローラー21とを有する。繰出軸20は、シートSの表面を外側に向けた状態で、シートSの端を巻き付けて支持する。そして、繰出軸20が図1の時計回りに回転することで、繰出軸20に巻き付けられたシートSが従動ローラー21を経由してプロセス部3へと繰り出される。ちなみに、シートSは、繰出軸20に着脱自在な芯管(図示省略)を介して繰出軸20に巻き付けられている。したがって、繰出軸20のシートSが使い切られた際には、ロール状のシートSが巻き付けられた新たな芯管を繰出軸20に装着して、繰出軸20のシートSを取り換えることが可能となっている。なお、繰出軸20は、その基軸(詳細は後述)に連結されたモーターMからの駆動力を受けて回転する。
【0024】
プロセス部3は、繰出部2から繰り出されたシートSをプラテンドラム30で支持しつつ、プラテンドラム30の外周面に沿って配置された各機能部51、52、61、62、63により処理を適宜行って、シートSに画像を記録するものである。このプロセス部3では、プラテンドラム30の両側に前駆動ローラー31と後駆動ローラー32とが設けられており、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSがプラテンドラム30に支持されて、画像記録を受ける。
【0025】
前駆動ローラー31は、溶射によって形成された複数の微小突起を外周面に有しており、繰出部2から繰り出されたシートSを裏面側から巻き掛ける。そして、前駆動ローラー31は図1の時計回りに回転することで、繰出部2から繰り出されたシートSを搬送経路の下流側へと搬送する。なお、前駆動ローラー31に対してはニップローラー31nが設けられている。このニップローラー31nは、前駆動ローラー31側へ付勢された状態でシートSの表面に当接しており、前駆動ローラー31との間でシートSを挟み込む。これによって、前駆動ローラー31とシートSの間の摩擦力が確保され、前駆動ローラー31によるシートSの搬送を確実に行なうことができる。
【0026】
プラテンドラム30は図示を省略する支持機構により回転自在に支持された円筒形状のドラムであり、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSを裏面側から巻き掛ける。このプラテンドラム30は、シートSとの間の摩擦力を受けてシートSの搬送方向Dsに従動回転しつつ、シートSを裏面側から支持するものである。ちなみに、プロセス部3では、プラテンドラム30への巻き掛け部の両側でシートSを折り返す従動ローラー33、34が設けられている。これらのうち従動ローラー33は、前駆動ローラー31とプラテンドラム30の間でシートSの表面を巻き掛けて、シートSを折り返す。一方、従動ローラー34は、プラテンドラム30と後駆動ローラー32の間でシートSの表面を巻き掛けて、シートSを折り返す。このように、プラテンドラム30に対して搬送方向Dsの上・下流側それぞれでシートSを折り返すことで、プラテンドラム30へのシートSの巻き掛け部を長く確保することができる。
【0027】
後駆動ローラー32は、溶射によって形成された複数の微小突起を外周面に有しており、プラテンドラム30から従動ローラー34を経由して搬送されてきたシートSを裏面側から巻き掛ける。そして、後駆動ローラー32は図1の時計回りに回転することで、シートSを巻取部4へと搬送する。なお、後駆動ローラー32に対してはニップローラー32nが設けられている。このニップローラー32nは、後駆動ローラー32側へ付勢された状態でシートSの表面に当接しており、後駆動ローラー32との間にシートSを挟み込む。これによって、後駆動ローラー32とシートSの間の摩擦力が確保され、後駆動ローラー32によるシートSの搬送を確実に行なうことができる。
【0028】
このように、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSは、プラテンドラム30の外周面に支持される。そして、プロセス部3では、プラテンドラム30に支持されるシートSの表面に対してカラー画像を記録するために、互いに異なる色に対応した複数の記録ヘッド51が設けられている。具体的には、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックに対応する4個の記録ヘッド51が、この色順で搬送方向Dsに並ぶ。各記録ヘッド51は、プラテンドラム30に巻き掛けられたシートSの表面に対して若干のクリアランスを空けて対向しており、対応する色のインクをインクジェット方式で吐出する。そして、搬送方向Dsへ搬送されるシートSに対して各記録ヘッド51がインクを吐出することで、シートSの表面にカラー画像を形成される。
【0029】
ちなみに、インクとしては、紫外線(光)を照射することで硬化するUV(ultraviolet)インク(光硬化性インク)が用いられる。そこで、プロセス部3では、インクを硬化させてシートSに定着させるために、UVランプ61、62(光照射部)が設けられている。なお、このインク硬化は、仮硬化と本硬化の二段階に分けて実行される。複数の記録ヘッド51の各間には、仮硬化用のUVランプ61が配置されている。つまり、UVランプ61は弱い紫外線を照射することで、インクの形状が崩れない程度にインクを硬化(仮硬化)させるものであり、インクを完全に硬化させるものではない。一方、複数の記録ヘッド51に対して搬送方向Dsの下流側には、本硬化用のUVランプ62が設けられている。つまり、UVランプ62は、UVランプ61より強い紫外線を照射することで、インクを完全に硬化(本硬化)させるものである。こうして仮硬化・本硬化を実行することで、複数の記録ヘッド51が形成したカラー画像をシートS表面に定着させることができる。
【0030】
さらに、UVランプ62に対して搬送方向Dsの下流側には、記録ヘッド52が設けられている。この記録ヘッド52は、プラテンドラム30に巻き掛けられたシートSの表面に対して若干のクリアランスを空けて対向しており、透明のUVインクをインクジェット方式でシートSの表面に吐出する。つまり、4色分の記録ヘッド51によって形成されたカラー画像に対して、透明インクがさらに吐出される。また、記録ヘッド52に対して搬送方向Dsの下流側には、UVランプ63が設けられている。このUVランプ63は強い紫外線を照射することで、記録ヘッド52が吐出した透明インクを完全に硬化(本硬化)させるものである。これによって、透明インクをシートS表面に定着させることができる。
【0031】
このように、プロセス部3では、プラテンドラム30の外周部に巻き掛けられるシートSに対して、インクの吐出および硬化が適宜実行されて、透明インクでコーティングされたカラー画像が形成される。そして、このカラー画像の形成されたシートSが、後駆動ローラー32によって巻取部4へと搬送される。
【0032】
巻取部4は、シートSの端を巻き付けた巻取軸40の他に、巻取軸40と後駆動ローラー32の間でシートSを裏面側から巻き掛ける従動ローラー41を有する。巻取軸40は、シートSの表面を外側に向けた状態で、シートSの端を巻き取って支持する。つまり、巻取軸40が図1の時計回りに回転すると、後駆動ローラー32から搬送されてきたシートSが従動ローラー41を経由して巻取軸40に巻き取られる。ちなみに、シートSは、巻取軸40に着脱自在な芯管(図示省略)を介して巻取軸40に巻き取られる。したがって、巻取軸40に巻き取られたシートSが満杯になった際には、芯管ごとシートSを取り外すことが可能となっている。なお、巻取軸40は、その基軸(詳細は後述)に連結されたモーターMからの駆動力を受けて回転する。
【0033】
〔芯管保持装置の構成〕
上述のように構成された「画像記録装置」としてのプリンター1において、繰出軸20または巻取軸40は、芯管を着脱自在に保持する「芯管保持装置(芯管保持手段)」として機能する。以下、図面に基づいて芯管保持装置の詳細について説明する。
【0034】
図2は本実施形態に係る芯管保持装置の分解斜視図、図3は芯管保持装置のスリーブおよび連結部材を組み付けた状態の組立斜視図、図4は芯管保持装置の作用具の組立斜視図、図5はハウジングを装着する前の芯管保持装置の組立斜視図、図6はハウジングを装着した後の芯管保持装置の組立斜視図、図7は芯管保持装置の縦断面図を示す。
【0035】
芯管保持装置101は、「支持部材」としての基軸141によって各構成部品を支持した概略構成を具備しており、この基軸141に接続された「回転機構」としてのモーターM(図1参照)の駆動力を受けて回転する。そして、図7に示すように、芯管保持装置101は、芯管保持装置101に外嵌された芯管201の軸芯が基軸141の軸芯Pと一致するように芯管201を保持する。以下、軸芯Pに沿った方向を軸方向と称し、軸芯Pと直交する方向を径方向と称する。また、軸方向においてモーターMに接続される側(図2において右側)を「他方側」としての後方側、軸方向においてモーターMに接続される側と反対側(図2において左側)を「一方側」としての前方側と称する。
【0036】
芯管保持装置101の全体構成の概略を説明する。芯管保持装置101は、軸方向に離間して並ぶ「押出部材」としてのスリーブ111と、スリーブ111を連結する連結部材121と、スリーブ111に対して径方向外側に配設される「保持部材」としてのラグ131とを備えている。スリーブ111には径方向外側を向いたテーパー状の押圧部111a,111bが形成されている。また、ラグ131には、押圧部111a,111bと軸方向において対向するテーパー状の被押圧部131a,131bが、それぞれ押圧部111a,111bに対応する軸方向の位置毎に形成されている。そして、スリーブ111が前方側に移動することによって、押圧部111a,111bがそれぞれに対応する被押圧部131a,131bを介してラグ131を径方向外側に押し出して、芯管201の内周面を保持する(図7参照)。
【0037】
スリーブ111について説明する。本実施形態では、2つのスリーブ111が軸方向に離間して配設されている。以下、この2つのスリーブ111を区別して示す場合、前方側に位置するものを「一方端押出部材」としての前スリーブ112、後方側に位置するものを「他の押出部材」としての後スリーブ113と称し、総称する場合には単にスリーブ111と称する。
【0038】
前スリーブ112および後スリーブ113はいずれも、軸芯Pを中心軸とする軸対照形状に構成される。前スリーブ112は、前方側の有底円筒部112aと後方側の円錐部112bとを組み合わせて構成されている。そして、円錐部112bの円錐面が、前方側から後方側に向かうにつれて径方向外側に拡がっており、押圧部111aとして機能する。また、前スリーブ112の内部には後方側を向いて開口した孔112c(図7参照)が形成されている。この孔112cは、基軸141の軸芯Pを中心とする円筒状に形成されている。そして、基軸141が後方側から孔112cに挿入されて、前スリーブ112を軸方向に摺動自在に支持する。また、有底円筒部112aの前方側の底部には、軸芯Pを中心とする貫通孔112dが貫通している。この貫通孔112dは、その後方側の孔112cに連通している。ただし、貫通孔112dの径は孔112cの径よりも小さく、貫通孔112dには基軸141が挿入できないように構成されている。
【0039】
後スリーブ113は、前スリーブ112の円錐部112bと同様に、前方側から後方側に向かうにつれて径方向外側に拡がる円錐状に形成される。ただし、前スリーブ112とは異なり、後スリーブ113の円錐面には、径方向外側に突出するブロック部113aが周方向に120度毎に設けられている。そして、後スリーブ113の外周面のうち、ブロック部113aが形成されていない部分が押圧部111bとして機能する。また、後スリーブ113には軸芯Pを中心とする円筒状の孔113bが軸方向に貫通して形成されている。そして、基軸141が孔113bに後方側から挿入されて、後スリーブ113を軸方向に摺動自在に支持する。
【0040】
連結部材121について説明する。図3は、連結部材121により前スリーブ112と後スリーブ113とを連結した状態を示す。本実施形態では、軸方向に延びる棒状の連結部材121が周方向に120度毎に設けられ、各連結部材121は軸芯Pと平行になるよう配設される。このように連結部材121が周方向に等間隔に複数設けられていると、前スリーブ112および後スリーブ113を軸方向に移動させる際に、連結部材121を介して前スリーブ112から後スリーブ113に、または連結部材121を介して後スリーブ113から前スリーブ112に伝達される力が周方向において均等になる。よって、前スリーブ112および後スリーブ113を軸方向に移動させる際に、連結部材121を介した力の伝達が周方向において不均一なために前スリーブ112または後スリーブ113が意図せず傾くことを抑制できる。
【0041】
図7に示すように、連結部材121の前方側の端部には右ねじタイプの雄ねじ部121aが形成され、連結部材121の後方側の端部には左ねじタイプの雄ねじ部121bが形成されている。連結部材121を螺合するために、前スリーブ112の後方側の端面には周方向に120度毎に右ねじタイプの雌ねじが形成されており、後スリーブ113の各ブロック部113aには左ねじタイプの雌ねじが形成されている。なお、前方側を左ねじタイプとし、後方側を右ねじタイプとしてもよい。
【0042】
このように、連結部材121の両端部には異なるタイプのねじが形成されており、回転方向に対するねじの進退方向が連結部材121の両端部において逆となっている。そのため、連結部材121の回転方向を変えることにより、前スリーブ112と後スリーブ113との軸方向の間隔を長くしたり短くしたりすることができる。具体的に説明すると、連結部材121が前スリーブ112と後スリーブ113との両方にねじ込まれていくねじ込み方向に連結部材121を回転させると、前スリーブ112と後スリーブ113との軸方向の間隔が短くなる。一方、連結部材121が前スリーブ112と後スリーブ113との両方から引き出される引き出し方向(ねじ込み方向の逆の方向)に連結部材121を回転させると、前スリーブ112と後スリーブ113との軸方向の間隔が長くなる。したがって、連結部材121の前スリーブ112および後スリーブ113へのねじ込み量を変化させることにより、前スリーブ112と後スリーブ113との間隔を容易に調整できる。なお、連結部材121の雄ねじ部121a,121bにはナット122が設けられ、ナット122を締め付けることにより連結部材121とスリーブ111との連結が緩むことを防止できる。
【0043】
ラグ131の構成について説明する。本実施形態では、ラグ131はスリーブ111に対して径方向外側において、周方向に120度毎に設けられる。このように、ラグ131が周方向において等間隔に3つ以上設けられていると、ラグ131により芯管201の内周面を径方向外側に押圧して保持するにあたって、周方向において均一に径方向外側への押圧力を作用させることができる。よって、芯管201をいびつに変形させることなく、保持状態の安定性を向上させることができる。
【0044】
連結部材121とラグ131との周方向における位置関係は、60度ずらしたものとなっている。すなわち、連結部材121とラグ131とが周方向に60度毎に交互に配設されている。ラグ131は軸方向に沿って延びる長尺状の部材であり、スリーブ111に形成された押圧部111a,111bと軸方向において対応する位置毎に被押圧部131a,131bが形成される。
【0045】
被押圧部131aは、対応する押圧部111aと軸方向において対向し、押圧部111aと同じ傾斜角を有するテーパー状に形成されている。このように、押圧部111aと被押圧部131aとが同様のテーパー状に形成されていると、押圧部111aと被押圧部131aとをより広い領域で当接させることができるので、押圧部111aから被押圧部131aに安定的に径方向外側への押圧力を伝達することができる。また、押圧部111aと被押圧部131aとが広い領域で当接することにより、押圧部111aまたは被押圧部131aの一部に負荷が集中することを回避でき、押圧部111aまたは被押圧部131aの磨耗を抑制することができる。同様に、被押圧部131bは、対応する押圧部111bと軸方向において対向し、押圧部111bと同じ傾斜角を有するテーパー状に形成されている。
【0046】
ラグ131は連結部材121に対しても径方向外側に設けられる。そして、周方向において隣り合う連結部材121とラグ131とは、引張りばねであるばね132によって連結されており、ラグ131はばね132の復元力により径方向内側に常時付勢されている。ここでは、ばね132は軸方向において2箇所に設けている。このようなばね132を設けておくと、ラグ131が芯管201の内周面を保持していない状態においては、ラグ131が径方向内側に付勢されて芯管201の内周面から離間する。よって、芯管201を着脱する際にラグ131と芯管201の内周面とが接触することを抑制でき、円滑な着脱が可能となる。
【0047】
また、ラグ131の後方側の端部には、径方向内側に向けて突出する突出部131cが形成され、突出部131cが後述する基軸141に設けられたフランジ142の係止孔142aに係合されることにより、ラグ131が軸方向に移動しないよう構成されている(図7参照)。
【0048】
基軸141について説明する。基軸141は軸方向に延びる部材であり、その中間部には円筒状のフランジ142がボルト143によって固定されている。フランジ142の外周面には、前述のラグ131の突出部131cを収容するための係止孔142aが周方向に120度毎に形成されている。基軸141のうちフランジ142よりも後方側の部分は、モーターM(図1参照)に連結される。一方、基軸141のうちフランジ142よりも前方側の部分は、前スリーブ112の孔112cおよび後スリーブ113の孔113bに挿入され、前スリーブ112および後スリーブ113を摺動自在に支持する。
【0049】
基軸141の前方側の端面には前方側に開口した左ねじタイプの雌ねじ部141cが形成され、ここに後述する作用具151の軸部153の雄ねじ部153bが螺合する。基軸141の前方側の端部付近の外周面には、軸方向に沿って延びる溝141aが形成される。基軸141を前スリーブ112および後スリーブ113に挿入した状態で、前スリーブ112の円錐部112bに形成されたボルト孔112eにボルト114をねじ込み、ボルト114の先端部を溝141aの内部に位置させることにより、前スリーブ112は基軸141に対して軸方向には移動できるが、相対回転はできないものとなる。また、基軸141のうちフランジ142よりも前方側にボルト孔141bが形成される。基軸141を前スリーブ112および後スリーブ113に挿入した状態で、ボルト孔141bにボルト144を固定することにより、ボルト144の先端部によって後スリーブ113が前方側に抜け出ることが阻止される。
【0050】
次に、「作用部」としての作用具151について説明する。作用具151は、前スリーブ112を前方側に移動させる力を作用させるための部位である。図4に示すように、作用具151は、前方側に設けられる握り部152と、握り部152から後方側に延出される軸部153と、軸部153に設けられた鍔部154とを備えて構成される。
【0051】
軸部153のうち鍔部154よりも前方側の外周面には右ねじタイプの雄ねじ部153aが形成され、これが握り部152に形成された不図示の雌ねじ部にねじ込まれて軸部153と握り部152とが連結される。軸部153のうち鍔部154よりも後方側の外周面には左ねじタイプの雄ねじ部153bが形成され、これが基軸141の前方側の端面に形成された前述の雌ねじ部141cにねじ込まれて軸部153と基軸141とが連結される。このように、ねじタイプを軸部153の両端部で異ならせることにより、誤って軸部153の雄ねじ部153aを基軸141に、雄ねじ部153bを握り部152に連結してしまうことを防ぐことができる。
【0052】
軸部153の雄ねじ部153aには、さらにナット155が設けられる。ナット155を握り部152の側に締め付けることにより、握り部152と軸部153との連結が緩むことを防止できる。図4は説明を分かりやすくするため、作用具151のみの組立状態を示した図であるが、実際には軸部153が前スリーブ112の有底円筒部112aに形成された貫通孔112dに挿入され、鍔部154とナット155との間に有底円筒部112aの底部が挟まれる状態で作用具151は組み付けられる(図7参照)。鍔部154の径は、鍔部154が前スリーブ112の貫通孔112dから抜け出ることのないように貫通孔112dの径よりも大きく、かつ鍔部154が前スリーブ112の孔112cに内包されるように孔112cの径よりは小さい。
【0053】
ここまでに説明してきたスリーブ111、連結部材121、ラグ131、基軸141および作用具151を組み付けた状態の斜視図を図5に示す。図5のように組み付けた状態のものに、これら全体を覆う円筒状のハウジング161が取り付けられる。ハウジング161には、周方向において120度毎に軸方向に延びるスリット161aが形成されており、このスリット161aにラグ131が径方向に出退可能な状態で収容される。図6に示すように、ハウジング161はボルト162によってフランジ142に固定される。
【0054】
〔芯管保持装置の動作〕
以上のように構成された芯管保持装置101の動作を図7に基づいて説明する。図7は芯管保持装置101の縦断面図であり、a図は芯管201を保持していない非保持状態を示し、b図は芯管201を保持している保持状態を示すものである。図を見やすくするために、ハウジング161の図示は省略している。
【0055】
芯管保持装置101を非保持状態(a図)から保持状態(b図)に移行させるためには、作用具151の握り部152を右に回転させる。すると、軸部153の雄ねじ部153bと基軸141の雌ねじ部141cとからなるねじ機構を介して作用具151が基軸141に対して前方側に移動し、鍔部154が前スリーブ112の有底円筒部112aの底部を前方側に押圧して、前スリーブ112を前方側に移動させる。そして、前スリーブ112が前方側に移動するのに伴って、連結部材121を介して後スリーブ113が前方側に引っ張られる。
【0056】
このようにして前スリーブ112および後スリーブ113が前方側に移動することにより、前スリーブ112の押圧部111aがラグ131の被押圧部131aを、後スリーブ113の押圧部111bがラグ131の被押圧部131bをそれぞれ径方向外側に押圧し、ラグ131が径方向外側に押し出される。その結果、芯管保持装置101に外嵌された芯管201の内周面がラグ131によって径方向外側に押圧され、芯管201が芯管保持装置101によって保持される。
【0057】
このとき、各部品の加工精度や部品同士の組付精度の問題により、押圧部111aと被押圧部131aまたは押圧部111bと被押圧部131bとの当接位置に誤差が生じている場合がある。そうすると、ラグ131の径方向外側への突出量が設計どおりとならず、芯管201の保持状態が不安定となる場合がある。
【0058】
しかしながら、本実施形態の芯管保持装置101によれば、前スリーブ112および後スリーブ113を連結する連結部材121を回転させるだけで、前スリーブ112と後スリーブ113との間隔を調整できる。そして、この間隔を調整することにより押圧部111aと被押圧部131aまたは押圧部111bと被押圧部131bとの当接位置を変更することができる。つまり、押圧部111aと被押圧部131aまたは押圧部111bと被押圧部131bとの当接位置の誤差によりラグ131の径方向外側への突出量が設計時の想定とは異なる場合に、押圧部111a,111bや被押圧部131a,131bを一部切削するなどの手間をかけることなく、連結部材121により前スリーブ112と後スリーブ113との間隔を調整するだけで容易に上記突出量を調整することができる。
【0059】
例えば、前スリーブ112および後スリーブ113が前方側に移動する際に、同時に押圧部111aと被押圧部131aおよび押圧部111bと被押圧部131bとを当接させたいにもかかわらず、押圧部111aと被押圧部131aとのみが当接し、押圧部111bと被押圧部131bとが当接していない位置関係となっている場合を考える。この場合は、ナット122を一旦緩め、連結部材121を前スリーブ112および後スリーブ113にねじ込ませる方向に回転して、前スリーブ112と後スリーブ113との間隔を小さくすればよい。そうすると、押圧部111aと被押圧部131aおよび押圧部111bと被押圧部131bとが同時に当接し、所望の位置で押圧部111aと被押圧部131aおよび押圧部111bと被押圧部131bとが当接するように調整することができる。
【0060】
また、本実施形態のように、ラグ131が周方向に複数設けられている場合には、径方向外側への突出量がラグ131によって異なってしまう場合がある。このような場合にも、連結部材121を適宜調整することにより、各ラグ131の突出量を同時に調整することが考えられる。
【0061】
〔別の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能であり、芯管保持装置101の各構成部品の個数、形状、寸法または配置関係は、必要に応じて適宜変更が可能である。以下、その一例を挙げる。
【0062】
(1)上記実施形態においては、スリーブ111を軸方向に2つ設け、各スリーブ111に1つずつ押圧部を形成したが、スリーブ111を軸方向に3つ以上設けることも可能である。また、1つのスリーブ111に軸方向に離間して並ぶ複数の押圧部を形成することも可能である。さらには、複数のスリーブ111とこれらを連結する連結部材121とを一体的に構成することも可能である。
【0063】
(2)上記実施形態においては、連結部材121とラグ131とを周方向に60度毎に交互に配置した。しかし、連結部材121およびラグ131を周方向に設ける数は3つに限定されないし、連結部材121およびラグ131を必ずしも周方向において等間隔に配設する必要もない。
【0064】
(3)上記実施形態においては、作用具151により前スリーブ112を前方側に移動させ、前スリーブ112が連結部材121を介して後スリーブ113を一方側に引っ張ることにより、押圧部111aと被押圧部131aおよび押圧部111bと被押圧部131bとを係合させてラグ131を径方向外側に押し出す構成とした。しかし、前スリーブ112および後スリーブ113を後方側に移動させることにより、押圧部111aと被押圧部131aおよび押圧部111bと被押圧部131bとを係合させるように構成してもよい。また、引っ張りではなく押し込みによって、連結部材121を介してスリーブ111の一方からスリーブ111の他方に力を伝達するように構成してもよい。
【0065】
(4)上記実施形態においては、基軸141に螺合される作用具151を「作用部」として設けた。しかし、作用部の形態はこれに限定されない。例えば、作用具151を螺合以外の形態で基軸141に取り付けてもよいし、作用具151のような別部材を設けず、前スリーブ112の外周面に指を引っ掛けることができるような部位を作用部として形成し、これを直接前方側に引っ張るようなものでも構わない。
【0066】
(5)上記実施形態においては、押圧部111aとこれに対応する被押圧部131aとは同じ傾斜角を有するテーパー状に形成され、押圧部111bとこれに対応する被押圧部131bとは同じ傾斜角を有するテーパー状に形成した。しかしながら、押圧部111a,111bおよび被押圧部131a,131bの形状はこれに限定されない。以下、押圧部111aおよび被押圧部131aの形状の変形例について、押圧部111aおよび被押圧部131aの部分を拡大した図8に基づいて説明する。
【0067】
図8のa図は、前スリーブ112に形成された押圧部111aをテーパー状とし、ラグ131に形成された被押圧部131aを径方向内側に突出する凸状に形成したものである。このように被押圧部131aを凸状に形成しても、前スリーブ112が前方側(図中左側)に移動することにより、押圧部111aが被押圧部131aを径方向外側に押圧して、ラグ131を径方向外側に押し出すことができる。また、これとは逆に、図8のb図に示すように、ラグ131に形成された被押圧部131aをテーパー状とし、前スリーブ112に形成された押圧部111aを径方向外側に突出する凸状に形成することも可能である。
【0068】
また、図8のc図およびd図のように、前スリーブ112に形成された押圧部111aとラグ131に形成された被押圧部131aとを曲面で構成することも可能である。図8のc図は、押圧部111aおよび被押圧部131aのうち両方を、前方側から後方側に向かうにつれて径方向外側に拡がり、同じ曲率を有する曲面によってテーパー状に形成したものである。ここでは押圧部111aを径方向外側に突出する凸状の曲面に形成し、これに合わせて被押圧部131aを径方向外側に窪んだ凹状の曲面に形成したが、押圧部111aを径方向内側に窪んだ凹状の曲面に形成し、これに合わせて被押圧部131aを径方向内側に突出した凸状の曲面に形成してもよい。また、図8のd図に示すように、押圧部111aを径方向外側に突出する凸状の曲面に形成し、被押圧部131aを径方向内側に突出する凸状の曲面に形成することも可能である。
【0069】
以上のような押圧部111aおよび被押圧部131aの形状の変形例は、押圧部111bおよび被押圧部131bにも適用可能である。また、ここに示した押圧部111aおよび被押圧部131aの変形例は一例にすぎず、この他にも種々の変形例を採用し得る。
【0070】
(6)芯管保持装置101に設けられた各ねじ機構の構成についても種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、連結部材121の両端部において回転方向に対するねじの進退方向が逆となっていたが、回転方向に対するねじの進退方向を同じとすることも可能である。また、連結部材121の両端部のうちねじを設けるのは少なくとも一方でよく、他方はスリーブ111に対して例えばイモネジで固定するような構成でもよい。
【0071】
なお、本発明に係る芯管保持装置は、画像記録装置に限らず他の装置または用途に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 プリンター(画像記録装置)
101 芯管保持装置(芯管保持手段)
111 スリーブ(押出部材)
111a 押圧部
111b 押圧部
112 前スリーブ(一方端押出部材)
112c 孔
112d 貫通孔
113 後スリーブ(他の押出部材)
113b 孔
121 連結部材
131 ラグ(保持部材)
131a 被押圧部
131b 被押圧部
132 ばね
141 基軸(支持部材)
151 作用具(作用部)
152 握り部
153 軸部
154 鍔部
201 芯管
M モーター(回転機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる筒状の芯管の内周面を前記軸方向に直交する径方向の外側に押圧した状態で前記芯管を保持する芯管保持装置において、
前記径方向の外側を向いた押圧部をそれぞれが有し、前記軸方向に離間して並ぶ複数の押出部材と、
前記複数の押出部材を連結する連結部材と、
前記押圧部と前記軸方向において対向する被押圧部を前記押圧部と対応する前記軸方向の位置毎に有し、前記複数の押出部材に対して前記径方向の外側に配設される保持部材と、を備え、
前記押圧部および前記被押圧部のうち少なくとも一方は、前記軸方向の一方側から他方側に向かうにつれて前記径方向の外側に拡がるテーパー状に形成されており、
前記複数の押出部材が前記一方側に移動すると、当該各押出部材の前記押圧部が、対応する前記被押圧部を介して前記保持部材を前記径方向の外側に押し出し、
前記連結部材は前記複数の押出部材の前記軸方向の間隔を調整可能であることを特徴とする芯管保持装置。
【請求項2】
前記連結部材の少なくとも一方の端部は前記押出部材にねじ機構を介して連結されている請求項1に記載の芯管保持装置。
【請求項3】
前記連結部材は周方向において等間隔に複数配設されている請求項1または2に記載の芯管保持装置。
【請求項4】
前記保持部材は周方向において等間隔に少なくとも3つ設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の芯管保持装置。
【請求項5】
前記押圧部および前記被押圧部のうち両方が、前記一方側から前記他方側に向かうにつれて前記径方向の外側に拡がる同様のテーパー状に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の芯管保持装置。
【請求項6】
前記保持部材を前記径方向の内側に付勢するばねをさらに備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の芯管保持装置。
【請求項7】
前記複数の押出部材のうち前記一方側の端にある一方端押出部材を、前記一方側に移動させる力を作用させるための作用部をさらに備え、
前記作用部を介して前記一方側に移動させる力が前記一方端押出部材に作用すると、前記一方端押出部材が前記連結部材を介して他の前記押出部材を引っ張りながら前記一方側に移動し、前記各押出部材の前記押圧部が、対応する前記被押圧部を介して前記保持部材を前記径方向の外側に押し出す請求項1〜6のいずれか1項に記載の芯管保持装置。
【請求項8】
前記一方端押出部材には前記軸方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記作用部は、
前記貫通孔よりも前記一方側に設けられる握り部と、
前記握り部から前記他方側に延出され、前記貫通孔に挿通される軸部と、
前記貫通孔よりも径が大きく、前記貫通孔よりも前記他方側の前記軸部に設けられたフランジ部と、を備えて構成されている請求項7に記載の芯管保持装置。
【請求項9】
前記複数の押出部材に形成された前記軸方向に開口する孔に挿入されて前記複数の押出部材を摺動自在に支持する支持部材をさらに備え、
前記一方端押出部材では、前記孔が前記他方側から前記貫通孔に連通しつつ前記フランジ部を内包するように形成され、
前記軸部は前記支持部材の前記一方側の端部にねじ機構を介して連結されており、前記作用部が前記支持部材に対して回転されることにより前記一方端押出部材が前記一方側に移動する請求項8に記載の芯管保持装置。
【請求項10】
シート状の記録媒体に画像を記録する画像記録装置において、
軸方向に延びる筒状の芯管の内周面を前記軸方向に直交する径方向の外側に押圧した状態で前記芯管を保持する芯管保持手段と、
前記芯管保持手段に連結され、前記芯管保持手段を回転させることにより前記記録媒体を前記芯管から繰り出しまたは前記芯管に巻き取る回転機構と、を備え、
前記芯管保持手段は、
前記径方向の外側を向いた押圧部をそれぞれが有し、前記軸方向に離間して並ぶ複数の押出部材と、
前記複数の押出部材を連結する連結部材と、
前記軸方向において前記押圧部と対向する被押圧部を前記押圧部と対応する前記軸方向の位置毎に有し、前記複数の押出部材に対して前記径方向の外側に配設される保持部材と、を備え、
前記押圧部および前記被押圧部のうち少なくとも一方は、前記軸方向の一方側から他方側に向かうにつれて前記径方向の外側に拡がるテーパー状に形成されており、
前記各押出部材が前記一方側に移動すると、当該各押出部材の前記押圧部が、対応する前記被押圧部を介して前記保持部材を前記径方向の外側に押し出し、
前記連結部材は前記複数の押出部材の前記軸方向の間隔を調整可能であることを特徴とする画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−112488(P2013−112488A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261499(P2011−261499)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】