説明

花器のゲル材料シール式給水保持方法

【課題】花器の溢水を防ぐと同時に、効率的に花の給水と保持をする方法を提供する。
【解決手段】容器1に入れた水2の水面にゲル材料3を充填して浮かせ、これに花4の茎を貫通して使用する。容器1の下部半分程度に水を主体にした給水材料2が有り、上部にゲル材料3が充填されて給水材料2を密封する。ゲル材料3は滑らかな半固体なので、容器1の内壁には固着せず、給水材料2の水面に浮いた状態で浮動し、大気圧とゲル材料3の自重が下部へ水圧を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は花器の溢水を防ぐと同時に、効率的に花を保持し給水する考案に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】 特開2009−178147
【特許文献2】 特開2009−39092
【特許文献3】 特開平9−313035
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来生け花では花の保持に、茎を剣山や発泡プラスティック材に突き刺していたが、茎の細いものや長いものでは困難が伴った。
また花器の中に入れた水が蒸発したり、傾けた際などにこぼれる事なども良くあり給水方法が課題だった。
花の保持と給水のために粥状のゼリーや、粒状の吸水ポリマーは一部で使用されているが、傾けた際などにこぼれる点では普通の水と変わりが無い。
これを防ぐために花器を全部半固形のゼリーで充填すると、花の水の吸い上げが悪くなる欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これを解決するために、本発明は容器に入れた水の上部を半固形のゼリー状の材料(以下「ゲル材料」と略称)で充填して密封し、これに花または植物(以下「花」と略称)の茎を貫通して保持する。
給水は花の茎の切り口から通常の花器と同じ様に行う。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下に図面と共に実施の形態を説明する。
【0006】
図1は2層化された材料を表す断面図で、容器1の下部半分程度に水を主体にした給水材料2が有り、上部にゲル材料3が充填されて給水材料2を密封している。しかしながらゲル材料3は滑らかな半固体なので、容器1の内壁には固着せず、給水材料2の水面に浮いた様な状態で浮動し、大気圧とゲル材料3の自重が下部へ水圧を発生させている。また花1の茎の下部が容器4に接していない状態では、花1自体の重さも水圧にプラスされる。
【0007】
ゲル材料3の主な構成は、動物蛋白質由来のゼラチンや海草由来のカラギーナン、または植物由来のキサンタンガム、ローカストビンガムなど一般的なゼリー食品やゲル状化粧品などに使用される増粘剤数パーセントと温水との混合溶液である。これを容器1の給水材料2の上部に注入し、室温まで冷まして半固形化したゼリーの様な状態で使用する。
【0008】
上記ゲル材料3は細菌類の培養に用いられる材料と、基本的に同質なのでカビが生えやすい。これを防ぐため単なる水の代わりにクエン酸を添加した銀イオン水を混合溶液に使用すると、ゲル材料3のゲル化を妨げずに半固形化後も長時間カビの発生を抑える事が出来る。
【0009】
給水材料2の上にゲル材料3を分離して2層化する方法のひとつとしては、予め給水材料2を凍らせてから上部にゲル材料3を充填する方法がある。
【0010】
別の分離方法としては、給水材料2に比重の軽いゲル材料3を注入して浮かせる事が考えられる。ゲル材料3に比重の軽い添加剤や発泡剤を加えたり、給水材料2に肥料や防腐剤を添加して比重を重くする事が分離に有効である。
【0011】
図2は使用開始時の状態を示す断面図で、ゲル材料3の任意の位置に花4の茎を貫通させて保持し、給水材料2の部分から花4の茎の切り口に通常の花器と同じ様に給水する。
【0012】
図3は1週間以上経過した状態を示す断面図で、花4の吸い上げにより給水材料2bが減少しても、ゲル材料3は滑らかな半固体なので、花器1の内壁を滑りながら自動的に下方に移動して、給水材料2bへ常に水圧を発生させる。従って給水材料2とゲル材料3の間の空間による花4の水の吸い上げの悪化は発生しない。
なおゲル材料3の下方への移動スピードは遅く柔軟に変形するので、容器1の形状は必ずしも一定断面である必要はない。
【0013】
さらに付加価値を高める為、ゲル材料3にアロマオイルの様な芳香剤や添加したり、食用色素又は水性インクの様な着色剤を添加して2層、あるいは3層以上の材料構成を可視化したり、給水材料水2にクエン酸を添加した銀イオン水を使用して、花4の茎の切り口のヌメリの発生を抑え、同時に砂糖などを肥料として添加して花4の延命を図る事も考えられる。
【0014】
図4は使用開始時の状態を示す斜視図である。
【発明の効果】
【0015】
ゲル材料3は半固体なので、様々な形状の容器1に対して柔軟に密着して給水材料2を密封し蒸発を防ぐと同時に、花4の茎を簡単に保持出来る。容器1を横倒しにしてもゲル材料3は大気圧で加圧されているので、外れて給水材料2がこぼれる事は無い。これはプリンを逆さまにしても容器から外れないのと同じ現象である。
また花4はゲル材料3により常に加圧して給水されるので長持ちする。
さらに容器1を大型化すれば、花や植物の大量輸送や保管も可能で便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 2層化された材料を表す断面図
【図2】 使用開始時の状態を示す断面図
【図3】 1週間以上経過した状態を示す断面図
【図4】 使用開始時の状態を示す斜視図
【符号の説明】
1 容器
2 使用開始時の給水材料
2b 1週間以上経過した給水材料
3 ゲル材料
4 花

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の下部に給水材料を入れ、その上部に容器内壁を上下に浮動できるゲル材料を充填して密着配置した花器または植物容器。
【請求項2】
凍らせた給水材料の上に容器内壁を上下に浮動できるゲル材料を充填して密着配置した請求項1の花器または植物容器。
【請求項3】
比重の重い給水材料に、比重が軽く容器内壁を上下に浮動できるゲル材料を充填して密着配置した請求項1の花器または植物容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−210390(P2012−210390A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91556(P2011−91556)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(511096455)
【出願人】(511096204)