花火用燃焼物色組成物
本発明は、結合剤と、酸化剤と、花火用燃焼物燃料と、５−アミノテトラゾールの金属塩を含む色火剤とを含む塩素含有花火用燃焼物組成物を提供する。本発明はさらに、かかる花火用燃焼物組成物を含む花火製品に関する。加えて、本発明は、上記色火剤を調製するための方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、５−アミノテトラゾール塩を含む花火用燃焼物組成物、好ましくは５−アミノテトラゾール塩を含む花火組成物に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の色彩豊かな花火は、周囲を囲まれた会場（例えば都市部の競技場など）では深刻な問題を引き起こす多量の煙を発生させるという深刻な欠点を有する。
【０００３】
特許文献１および特許文献２において、いくつかの高窒素、低炭素含量のエネルギー物質の金属塩が、低煙花火組成物のための有望な成分として提示されている。
【０００４】
これらの文献で言及される高窒素、低炭素含量のエネルギー物質は、しかしながら、容易に入手できる化合物ではない。これらの化合物を調製するために、多段階の合成が必要とされる。さらに、これらの合成のいくつかでは、環境に優しくない、有毒または有害な化学前駆体が必要とされる。これら２つの問題点は、高窒素、低炭素含量の金属塩の価格を大幅に上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】米国特許第６，２１４，１３９号明細書
【特許文献２】米国特許第５，９１７，１４６号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明の目的は、花火の大スケールの工業生産に対して使用することができる低煙、過塩素酸塩不含の花火用燃焼物組成物を提供することによって、花火の環境への影響を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
驚くべきことに、この目的は、５−アミノテトラゾールの金属塩を含む塩素含有花火用燃焼物組成物が使用される場合に実現することができるということが本発明で見出された。本発明者らは、５−アミノテトラゾールの金属塩を含む花火用燃焼物組成物、好ましくは花火製品が、燃焼の際に有色の炎を発生することができつつも比較的少ない煙を発生することを見出した。これは、金属塩の利用可能性に起因して、先行技術で示唆された低煙花火用燃焼物組成物に代わる魅力的な代替物を提供する。加えて、花火用燃焼物組成物の中の成分の合成およびこの花火用燃焼物組成物それ自体は環境に優しい。さらに、本発明の花火用燃焼物組成物の燃焼でさえも環境に優しいと呼ぶことができる。
【０００８】
有利なことに、５−アミノテトラゾールの金属塩は、取り扱いやすく、加えて自己燃焼の危険性を有しない。
【０００９】
従って、本発明は、結合剤と、酸化剤（ｏｘｉｄａｔｏｒ）と、花火用燃焼物燃料と、５−アミノテトラゾールの金属塩を含む色火剤とを含む塩素含有花火用燃焼物組成物に関する。
【００１０】
上記金属塩は、対応する金属化合物を５−アミノテトラゾールと反応させることにより得ることができる。好ましくは、この金属塩は、対応する金属水酸化物、金属硫酸塩、金属塩化物または金属硝酸塩を５−アミノテトラゾールと反応させることにより得られる。より好ましくは、この金属塩は、対応する金属水酸化物または金属硝酸塩を５−アミノテトラゾールと反応させることにより得られる。最も好ましくは、この金属塩は、対応する金属水酸化物を５−アミノテトラゾールと反応させることにより得られる。
【００１１】
この５−アミノテトラゾールは、無水形態または結晶水を含有する形態のいずれであってもよい。
【００１２】
適切には、上記金属塩で使用されることになる金属は、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カリウム、鉄、マグネシウム、リチウム、ホウ素、チタン、アンチモンおよびアルミニウムからなる群から選択される。
【００１３】
好ましくは、上記金属はストロンチウム、バリウムまたは銅である。
【００１４】
種々の金属塩の混合物は、所望の色を得るために、適切に使用することができる。
【００１５】
適切には、上記結合剤は２−９６重量％の範囲の量で存在し、上記酸化剤は１−８５重量％の範囲の量で存在し、上記花火用燃焼物燃料は２０−９６重量％の範囲の量で存在し、かつ上記５−アミノテトラゾールの金属塩は２−３０重量％で存在する（すべての量は全花火用燃焼物組成物に基づく）。
【００１６】
好ましくは、５−アミノテトラゾールの金属塩は、全花火用燃焼物組成物に基づき、４−１０重量％の量で存在する。
【００１７】
適切には、この結合剤はニトロセルロースまたはＰＶＣを含む。好ましくは、この結合剤はニトロセルロースを含む。
【００１８】
適切には、本発明に従って使用されることになるニトロセルロースは、１４重量％未満の窒素含量、好ましくは１２−１３．５重量％の範囲の窒素含量を有するであろう。
【００１９】
本発明に従って使用されることになる結合剤は、通常、押出成形可能でありかつエネルギー発生性（ｅｎｅｒｇｅｔｉｃ）であろう。用語「エネルギー発生性（ｅｎｅｒｇｅｔｉｃ）」は、その結合剤が発熱的に分解することを意味する。
【００２０】
適切には、上記酸化剤は、硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、硝酸バリウム、塩素酸バリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸カリウムおよび過塩素酸塩カリウムからなる群から選択される。
【００２１】
好ましくは、上記酸化剤は硝酸アンモニウムまたは過塩素酸アンモニウムを含む。
【００２２】
上記花火用燃焼物燃料は、ニトロセルロース、セルロース、硝酸セルロース、硝酸グアニジウム、アラビアゴム、レッドガムおよびシェラックからなる群から選択される。
【００２３】
好ましくは、上記花火用燃焼物燃料はニトロセルロースまたはセルロースを含む。
【００２４】
ニトロセルロースは結合剤として、および花火用燃焼物燃料として使用できることは、当業者には明らかであろう。
【００２５】
本発明に係る花火用燃焼物組成物は塩素を含有する。適切には、本花火用燃焼物組成物は、全花火用燃焼物組成物に基づき、０．２−２０重量％の範囲、好ましくは１−５重量％の範囲の量の塩素を含む。
【００２６】
この塩素は、結合剤、酸化剤および／または色火剤によって提供することができる。
【００２７】
魅力的な実施形態では、上記５−アミノテトラゾールの金属塩は酸によってプロトン化されている。このプロトン化は、適切な溶媒中で５−アミノテトラゾールを塩化水素酸と接触させて、生成した結晶を回収することによって成就することができる。
【００２８】
適切には、この酸は、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、硝酸、塩素酸および過塩素酸からなる群から選択される。
【００２９】
好ましくは、この酸は塩化水素、塩素酸または過塩素酸である。
【００３０】
本発明に従って使用されることになる花火用燃焼物組成物は、当業者にとって一般的な他の従来の成分（燃焼速度調整剤（ｂｕｒｎ ｒａｔｅ ｍｏｄｉｆｉｅｒ）、安定剤、加工用添加剤、フレグマタイザー（ｆｌｅｇｍａｔｉｚｅｒ）など）を含んでもよい。存在する場合、これらの成分は、全花火用燃焼物組成物に基づき、１０重量％未満の量で存在することになるであろう。
【００３１】
本発明はまた、本発明に係る花火用燃焼物組成物を含む花火製品にも関する。
【００３２】
加えて、本発明は、花火製品における、本願明細書中上記の５−アミノテトラゾールの金属塩の使用に関する。より具体的には、本発明は、低煙花火用燃焼物組成物における本願明細書に記載される５−アミノテトラゾールの金属塩の使用に関する。本発明の花火用燃焼物組成物は、特に花火製品の中で使用される場合は、従来の花火用燃焼物組成物と比べて非常にわずかの煙しか生成せずに、燃焼の際に有色の炎を生成することができる。好ましくは、この花火用燃焼物組成物は、本質的に無煙である。
【００３３】
本発明はさらに、本発明に係る花火用燃焼物組成物の色火剤を調製するための方法に関する。この方法は、例えば金属水酸化物または金属硝酸塩を５−アミノテトラゾールと反応させる工程と、その色火剤をこのようにして得られた５−アミノテトラゾールの金属塩の形態で回収する工程とを含む。
【００３４】
適切には、上記プロセスは水の存在下で実施される。
【００３５】
本発明に係る花火用燃焼物組成物は、それぞれの成分を乾式混合し、このようにして得られた組成物を所望の形態にプレスすることによって適切に作製できる。別の実施形態では、それぞれの成分は溶媒の存在下で混合され、その後、得られた混合物が押出成形され、溶媒が気化によって除去される。
【００３６】
この溶媒は、エタノール、または溶媒エステル（酢酸エチル、酢酸ブチルなど）、またはアルコール（イソプロパノール、ブタノールなど）からなる群から適切に選択することができる。かかる溶媒は、従来使用される溶媒（アセトンおよびヘキサンなど）と比べると、それらの溶媒が環境に対してより少ない影響しか有さず、かつそれらは安全上の問題（爆発）の危険性を大幅に低減するという利点を有する。
【００３７】
上記溶媒は、適切には、全花火用燃焼物組成物に基づき０−２０ｗｔ％の範囲の量で存在する。好ましくは、この溶媒は、全混合物に基づき５−１４ｗｔ％の範囲の量で存在する。関与する溶媒の気化に起因して、この溶媒は最終的に得られる花火用燃焼物組成物中には本質的には存在しないことは、当業者は理解するであろう。
【実施例】
【００３８】
（実施例１）
以下の組成を有する本発明に係る花火用燃焼物組成物を調製した：９４．８重量％のニトロセルロース（１３．５％Ｎ）；５重量％のストロンチウム−アミノテトラゾール錯体；および０．２重量％の塩化アンモニウム。１００グラムの乾燥ＮＣ１３．５％を５．２７グラムのストロンチウムアミノテトラゾール錯体および０．２２グラムの塩化アンモニウムと混合することにより、上記の花火用燃焼物組成物を調製した。次いでアセトンをこの混合物に加え、このようにして得た混合物を、この組成物がラム押出成形プロセスで直径１０ｍｍのストランドに成形できるまで混合した。アセトンを室温で除去した。このようにして得たストランドを長さ１０ｍｍのペレットに切断し、このペレットを花火製品へとさらに加工した。この花火製品は赤色の炎を呈して燃焼した。
【００３９】
（実施例２）
以下の組成を有する本発明に係る花火用燃焼物組成物を調製した：８３重量％の硝酸アンモニウム；６重量％のバリウム−アミノテトラゾール（塩酸塩との錯体）；１１重量％のニトロセルロース（１３．５％Ｎ２）。上記の花火用燃焼物組成物を、撹拌機中で乾式混合した。混合後、この組成物を直径１５ｍｍのペレットにプレスした。このようにして調製した組成物は、緑色の炎を呈して燃焼した。
【００４０】
（実施例３）
以下の組成を有する本発明に係る花火用燃焼物組成物を調製した：４８重量％の過塩素酸アンモニウム；１７重量％のアミノテトラゾール；５重量％のストロンチウム−アミノテトラゾール錯体；３０重量％のニトロセルロース（１３．５％Ｎ２）。上記の花火用燃焼物組成物を撹拌機中で乾式混合した。混合後、この組成物を直径１５ｍｍのペレットにプレスした。このようにして調製した組成物は、赤色の炎を呈して燃焼した。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、５−アミノテトラゾール塩を含む花火用燃焼物組成物、好ましくは５−アミノテトラゾール塩を含む花火組成物に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の色彩豊かな花火は、周囲を囲まれた会場（例えば都市部の競技場など）では深刻な問題を引き起こす多量の煙を発生させるという深刻な欠点を有する。
【０００３】
特許文献１および特許文献２において、いくつかの高窒素、低炭素含量のエネルギー物質の金属塩が、低煙花火組成物のための有望な成分として提示されている。
【０００４】
これらの文献で言及される高窒素、低炭素含量のエネルギー物質は、しかしながら、容易に入手できる化合物ではない。これらの化合物を調製するために、多段階の合成が必要とされる。さらに、これらの合成のいくつかでは、環境に優しくない、有毒または有害な化学前駆体が必要とされる。これら２つの問題点は、高窒素、低炭素含量の金属塩の価格を大幅に上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】米国特許第６，２１４，１３９号明細書
【特許文献２】米国特許第５，９１７，１４６号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明の目的は、花火の大スケールの工業生産に対して使用することができる低煙、過塩素酸塩不含の花火用燃焼物組成物を提供することによって、花火の環境への影響を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
驚くべきことに、この目的は、５−アミノテトラゾールの金属塩を含む塩素含有花火用燃焼物組成物が使用される場合に実現することができるということが本発明で見出された。本発明者らは、５−アミノテトラゾールの金属塩を含む花火用燃焼物組成物、好ましくは花火製品が、燃焼の際に有色の炎を発生することができつつも比較的少ない煙を発生することを見出した。これは、金属塩の利用可能性に起因して、先行技術で示唆された低煙花火用燃焼物組成物に代わる魅力的な代替物を提供する。加えて、花火用燃焼物組成物の中の成分の合成およびこの花火用燃焼物組成物それ自体は環境に優しい。さらに、本発明の花火用燃焼物組成物の燃焼でさえも環境に優しいと呼ぶことができる。
【０００８】
有利なことに、５−アミノテトラゾールの金属塩は、取り扱いやすく、加えて自己燃焼の危険性を有しない。
【０００９】
従って、本発明は、結合剤と、酸化剤（ｏｘｉｄａｔｏｒ）と、花火用燃焼物燃料と、５−アミノテトラゾールの金属塩を含む色火剤とを含む塩素含有花火用燃焼物組成物に関する。
【００１０】
上記金属塩は、対応する金属化合物を５−アミノテトラゾールと反応させることにより得ることができる。好ましくは、この金属塩は、対応する金属水酸化物、金属硫酸塩、金属塩化物または金属硝酸塩を５−アミノテトラゾールと反応させることにより得られる。より好ましくは、この金属塩は、対応する金属水酸化物または金属硝酸塩を５−アミノテトラゾールと反応させることにより得られる。最も好ましくは、この金属塩は、対応する金属水酸化物を５−アミノテトラゾールと反応させることにより得られる。
【００１１】
この５−アミノテトラゾールは、無水形態または結晶水を含有する形態のいずれであってもよい。
【００１２】
適切には、上記金属塩で使用されることになる金属は、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カリウム、鉄、マグネシウム、リチウム、ホウ素、チタン、アンチモンおよびアルミニウムからなる群から選択される。
【００１３】
好ましくは、上記金属はストロンチウム、バリウムまたは銅である。
【００１４】
種々の金属塩の混合物は、所望の色を得るために、適切に使用することができる。
【００１５】
適切には、上記結合剤は２−９６重量％の範囲の量で存在し、上記酸化剤は１−８５重量％の範囲の量で存在し、上記花火用燃焼物燃料は２０−９６重量％の範囲の量で存在し、かつ上記５−アミノテトラゾールの金属塩は２−３０重量％で存在する（すべての量は全花火用燃焼物組成物に基づく）。
【００１６】
好ましくは、５−アミノテトラゾールの金属塩は、全花火用燃焼物組成物に基づき、４−１０重量％の量で存在する。
【００１７】
適切には、この結合剤はニトロセルロースまたはＰＶＣを含む。好ましくは、この結合剤はニトロセルロースを含む。
【００１８】
適切には、本発明に従って使用されることになるニトロセルロースは、１４重量％未満の窒素含量、好ましくは１２−１３．５重量％の範囲の窒素含量を有するであろう。
【００１９】
本発明に従って使用されることになる結合剤は、通常、押出成形可能でありかつエネルギー発生性（ｅｎｅｒｇｅｔｉｃ）であろう。用語「エネルギー発生性（ｅｎｅｒｇｅｔｉｃ）」は、その結合剤が発熱的に分解することを意味する。
【００２０】
適切には、上記酸化剤は、硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、硝酸バリウム、塩素酸バリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸カリウムおよび過塩素酸塩カリウムからなる群から選択される。
【００２１】
好ましくは、上記酸化剤は硝酸アンモニウムまたは過塩素酸アンモニウムを含む。
【００２２】
上記花火用燃焼物燃料は、ニトロセルロース、セルロース、硝酸セルロース、硝酸グアニジウム、アラビアゴム、レッドガムおよびシェラックからなる群から選択される。
【００２３】
好ましくは、上記花火用燃焼物燃料はニトロセルロースまたはセルロースを含む。
【００２４】
ニトロセルロースは結合剤として、および花火用燃焼物燃料として使用できることは、当業者には明らかであろう。
【００２５】
本発明に係る花火用燃焼物組成物は塩素を含有する。適切には、本花火用燃焼物組成物は、全花火用燃焼物組成物に基づき、０．２−２０重量％の範囲、好ましくは１−５重量％の範囲の量の塩素を含む。
【００２６】
この塩素は、結合剤、酸化剤および／または色火剤によって提供することができる。
【００２７】
魅力的な実施形態では、上記５−アミノテトラゾールの金属塩は酸によってプロトン化されている。このプロトン化は、適切な溶媒中で５−アミノテトラゾールを塩化水素酸と接触させて、生成した結晶を回収することによって成就することができる。
【００２８】
適切には、この酸は、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、硝酸、塩素酸および過塩素酸からなる群から選択される。
【００２９】
好ましくは、この酸は塩化水素、塩素酸または過塩素酸である。
【００３０】
本発明に従って使用されることになる花火用燃焼物組成物は、当業者にとって一般的な他の従来の成分（燃焼速度調整剤（ｂｕｒｎ ｒａｔｅ ｍｏｄｉｆｉｅｒ）、安定剤、加工用添加剤、フレグマタイザー（ｆｌｅｇｍａｔｉｚｅｒ）など）を含んでもよい。存在する場合、これらの成分は、全花火用燃焼物組成物に基づき、１０重量％未満の量で存在することになるであろう。
【００３１】
本発明はまた、本発明に係る花火用燃焼物組成物を含む花火製品にも関する。
【００３２】
加えて、本発明は、花火製品における、本願明細書中上記の５−アミノテトラゾールの金属塩の使用に関する。より具体的には、本発明は、低煙花火用燃焼物組成物における本願明細書に記載される５−アミノテトラゾールの金属塩の使用に関する。本発明の花火用燃焼物組成物は、特に花火製品の中で使用される場合は、従来の花火用燃焼物組成物と比べて非常にわずかの煙しか生成せずに、燃焼の際に有色の炎を生成することができる。好ましくは、この花火用燃焼物組成物は、本質的に無煙である。
【００３３】
本発明はさらに、本発明に係る花火用燃焼物組成物の色火剤を調製するための方法に関する。この方法は、例えば金属水酸化物または金属硝酸塩を５−アミノテトラゾールと反応させる工程と、その色火剤をこのようにして得られた５−アミノテトラゾールの金属塩の形態で回収する工程とを含む。
【００３４】
適切には、上記プロセスは水の存在下で実施される。
【００３５】
本発明に係る花火用燃焼物組成物は、それぞれの成分を乾式混合し、このようにして得られた組成物を所望の形態にプレスすることによって適切に作製できる。別の実施形態では、それぞれの成分は溶媒の存在下で混合され、その後、得られた混合物が押出成形され、溶媒が気化によって除去される。
【００３６】
この溶媒は、エタノール、または溶媒エステル（酢酸エチル、酢酸ブチルなど）、またはアルコール（イソプロパノール、ブタノールなど）からなる群から適切に選択することができる。かかる溶媒は、従来使用される溶媒（アセトンおよびヘキサンなど）と比べると、それらの溶媒が環境に対してより少ない影響しか有さず、かつそれらは安全上の問題（爆発）の危険性を大幅に低減するという利点を有する。
【００３７】
上記溶媒は、適切には、全花火用燃焼物組成物に基づき０−２０ｗｔ％の範囲の量で存在する。好ましくは、この溶媒は、全混合物に基づき５−１４ｗｔ％の範囲の量で存在する。関与する溶媒の気化に起因して、この溶媒は最終的に得られる花火用燃焼物組成物中には本質的には存在しないことは、当業者は理解するであろう。
【実施例】
【００３８】
（実施例１）
以下の組成を有する本発明に係る花火用燃焼物組成物を調製した：９４．８重量％のニトロセルロース（１３．５％Ｎ）；５重量％のストロンチウム−アミノテトラゾール錯体；および０．２重量％の塩化アンモニウム。１００グラムの乾燥ＮＣ１３．５％を５．２７グラムのストロンチウムアミノテトラゾール錯体および０．２２グラムの塩化アンモニウムと混合することにより、上記の花火用燃焼物組成物を調製した。次いでアセトンをこの混合物に加え、このようにして得た混合物を、この組成物がラム押出成形プロセスで直径１０ｍｍのストランドに成形できるまで混合した。アセトンを室温で除去した。このようにして得たストランドを長さ１０ｍｍのペレットに切断し、このペレットを花火製品へとさらに加工した。この花火製品は赤色の炎を呈して燃焼した。
【００３９】
（実施例２）
以下の組成を有する本発明に係る花火用燃焼物組成物を調製した：８３重量％の硝酸アンモニウム；６重量％のバリウム−アミノテトラゾール（塩酸塩との錯体）；１１重量％のニトロセルロース（１３．５％Ｎ２）。上記の花火用燃焼物組成物を、撹拌機中で乾式混合した。混合後、この組成物を直径１５ｍｍのペレットにプレスした。このようにして調製した組成物は、緑色の炎を呈して燃焼した。
【００４０】
（実施例３）
以下の組成を有する本発明に係る花火用燃焼物組成物を調製した：４８重量％の過塩素酸アンモニウム；１７重量％のアミノテトラゾール；５重量％のストロンチウム−アミノテトラゾール錯体；３０重量％のニトロセルロース（１３．５％Ｎ２）。上記の花火用燃焼物組成物を撹拌機中で乾式混合した。混合後、この組成物を直径１５ｍｍのペレットにプレスした。このようにして調製した組成物は、赤色の炎を呈して燃焼した。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
結合剤と、酸化剤と、花火用燃焼物燃料と、５−アミノテトラゾールの金属塩を含む色火剤とを含む、塩素含有花火用燃焼物組成物。
【請求項２】
前記金属塩が、対応する金属水酸化物または金属硝酸塩を５-アミノテトラゾールと反応させることにより得られる、請求項１に記載の組成物。
【請求項３】
前記金属塩が、前記対応する金属水酸化物を５−アミノテトラゾールと反応させることによって得られる、請求項２に記載の組成物。
【請求項４】
前記金属が、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カリウム、鉄、マグネシウム、リチウム、ホウ素、チタン、アンチモンおよびアルミニウムからなる群から選択される、請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項５】
前記金属がストロンチウム、バリウムまたは銅である、請求項４に記載の組成物。
【請求項６】
前記結合剤が２−２０重量％の範囲の量で存在し、前記酸化剤が１−８５重量％の範囲の量で存在し、前記花火用燃焼物燃料が２０−９６重量％の範囲の量で存在し、かつ前記５−アミノテトラゾールの金属塩が２−３０重量％の量で存在する（すべての量は全花火用燃焼物組成物に基づく）、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項７】
前記５−アミノテトラゾールの金属塩が４−１０重量％の量で存在する（すべての量は全花火用燃焼物組成物に基づく）、請求項６に記載の組成物。
【請求項８】
前記結合剤がニトロセルロースまたはＰＶＣを含む、請求項１から請求項７のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項９】
前記結合剤がニトロセルロースを含む、請求項８に記載の組成物。
【請求項１０】
前記酸化剤が、硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、硝酸バリウム、塩素酸バリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸カリウムおよび過塩素酸塩カリウムからなる群から選択される、請求項１から請求項９のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１１】
前記酸化剤が硝酸アンモニウムまたは過塩素酸アンモニウムを含む、請求項８に記載の組成物。
【請求項１２】
前記花火用燃焼物燃料が、ニトロセルロース、セルロース、硝酸セルロース、硝酸グアニジウム、アラビアゴム、レッドガムおよびシェラックからなる群から選択される、請求項１に記載の組成物。
【請求項１３】
前記花火用燃焼物燃料がニトロセルロースまたはセルロースを含む、請求項１２に記載の組成物。
【請求項１４】
前記５−アミノテトラゾールの金属塩が酸によってプロトン化されている、請求項１から請求項１３のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１５】
前記酸が、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、硝酸、塩素酸および過塩素酸からなる群から選択される、請求項１４に記載の組成物。
【請求項１６】
前記酸が塩化水素、塩素酸または過塩素酸を含む、請求項１５に記載の組成物。
【請求項１７】
請求項１から請求項１６のいずれか１項に記載の花火用燃焼物組成物を含む花火製品。
【請求項１８】
花火製品における、請求項２から請求項５のいずれか１項に記載の５−アミノテトラゾールの金属塩の使用。
【請求項１９】
請求項１から請求項１６のいずれか１項に記載の花火用燃焼物組成物の前記色火剤を調製するための方法であって、対応する金属化合物を５−アミノテトラゾールと反応させる工程と、前記色火剤を、そのようにして得られた５−アミノテトラゾールの金属塩の形態で回収する工程とを含む方法。
【請求項１】
結合剤と、酸化剤と、花火用燃焼物燃料と、５−アミノテトラゾールの金属塩を含む色火剤とを含む、塩素含有花火用燃焼物組成物。
【請求項２】
前記金属塩が、対応する金属水酸化物または金属硝酸塩を５-アミノテトラゾールと反応させることにより得られる、請求項１に記載の組成物。
【請求項３】
前記金属塩が、前記対応する金属水酸化物を５−アミノテトラゾールと反応させることによって得られる、請求項２に記載の組成物。
【請求項４】
前記金属が、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カリウム、鉄、マグネシウム、リチウム、ホウ素、チタン、アンチモンおよびアルミニウムからなる群から選択される、請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項５】
前記金属がストロンチウム、バリウムまたは銅である、請求項４に記載の組成物。
【請求項６】
前記結合剤が２−２０重量％の範囲の量で存在し、前記酸化剤が１−８５重量％の範囲の量で存在し、前記花火用燃焼物燃料が２０−９６重量％の範囲の量で存在し、かつ前記５−アミノテトラゾールの金属塩が２−３０重量％の量で存在する（すべての量は全花火用燃焼物組成物に基づく）、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項７】
前記５−アミノテトラゾールの金属塩が４−１０重量％の量で存在する（すべての量は全花火用燃焼物組成物に基づく）、請求項６に記載の組成物。
【請求項８】
前記結合剤がニトロセルロースまたはＰＶＣを含む、請求項１から請求項７のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項９】
前記結合剤がニトロセルロースを含む、請求項８に記載の組成物。
【請求項１０】
前記酸化剤が、硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、硝酸バリウム、塩素酸バリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸カリウムおよび過塩素酸塩カリウムからなる群から選択される、請求項１から請求項９のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１１】
前記酸化剤が硝酸アンモニウムまたは過塩素酸アンモニウムを含む、請求項８に記載の組成物。
【請求項１２】
前記花火用燃焼物燃料が、ニトロセルロース、セルロース、硝酸セルロース、硝酸グアニジウム、アラビアゴム、レッドガムおよびシェラックからなる群から選択される、請求項１に記載の組成物。
【請求項１３】
前記花火用燃焼物燃料がニトロセルロースまたはセルロースを含む、請求項１２に記載の組成物。
【請求項１４】
前記５−アミノテトラゾールの金属塩が酸によってプロトン化されている、請求項１から請求項１３のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１５】
前記酸が、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、硝酸、塩素酸および過塩素酸からなる群から選択される、請求項１４に記載の組成物。
【請求項１６】
前記酸が塩化水素、塩素酸または過塩素酸を含む、請求項１５に記載の組成物。
【請求項１７】
請求項１から請求項１６のいずれか１項に記載の花火用燃焼物組成物を含む花火製品。
【請求項１８】
花火製品における、請求項２から請求項５のいずれか１項に記載の５−アミノテトラゾールの金属塩の使用。
【請求項１９】
請求項１から請求項１６のいずれか１項に記載の花火用燃焼物組成物の前記色火剤を調製するための方法であって、対応する金属化合物を５−アミノテトラゾールと反応させる工程と、前記色火剤を、そのようにして得られた５−アミノテトラゾールの金属塩の形態で回収する工程とを含む方法。
【公表番号】特表２０１０−５２５２８８（Ｐ２０１０−５２５２８８Ａ）
【公表日】平成２２年７月２２日（２０１０．７．２２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−５０４００１（Ｐ２０１０−５０４００１）
【出願日】平成２０年４月１６日（２００８．４．１６）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＮＬ２００８／０５０２１６
【国際公開番号】ＷＯ２００８／１２７１０７
【国際公開日】平成２０年１０月２３日（２００８．１０．２３）
【出願人】（５０９２３７０７７）クリアースパーク エルエルシー (4)
【氏名又は名称原語表記】ＣＬＥＡＲＳＰＡＲＫ，ＬＬＣ
【住所又は居所原語表記】１４０１ Ｆｌｏｗｅｒ Ｓｔｒｅｅｔ Ｇｌｅｎｄａｌｅ，ＣＡ ９１２０１ Ｕｎｉｔｅｄ Ｓｔａｔｅｓ ｏｆ Ａｍｅｒｉｃａ
【公表日】平成２２年７月２２日（２０１０．７．２２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年４月１６日（２００８．４．１６）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＮＬ２００８／０５０２１６
【国際公開番号】ＷＯ２００８／１２７１０７
【国際公開日】平成２０年１０月２３日（２００８．１０．２３）
【出願人】（５０９２３７０７７）クリアースパーク エルエルシー (4)
【氏名又は名称原語表記】ＣＬＥＡＲＳＰＡＲＫ，ＬＬＣ
【住所又は居所原語表記】１４０１ Ｆｌｏｗｅｒ Ｓｔｒｅｅｔ Ｇｌｅｎｄａｌｅ，ＣＡ ９１２０１ Ｕｎｉｔｅｄ Ｓｔａｔｅｓ ｏｆ Ａｍｅｒｉｃａ
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