説明

芳香剤容器

【課題】カバー体の内側に十分な通気空間を確保して、ゲル状芳香剤の揮散成分を効率良く揮散させると共に、ゲル状芳香剤から分離した水分が容器の外に漏れ出るのを回避できる芳香剤容器を提供する。
【解決手段】カバー体揮散開口16a,16bが形成されたカバー体14の天面部14a及び主側面部14bに、芳香剤揮散開口15a,15bが形成された容器本体13の天面部13a及び主側面部13bが対向して配置されるように、カバー体14への芳香剤カートリッジ11の装着方向Xを規制する装着方向規制手段18と、装着された芳香剤カートリッジ11の容器本体13の天面部13a、側面部13b,13c,13d、及び底面部13eと、カバー体14の天面部14a、側面部14b,14c,14d、及び底面部14eとの間に間隔20を保持した状態で、カバー体14の内部に芳香剤カートリッジ11を位置決めする位置決め保持手段19とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤容器に関し、特に、ゲル状芳香剤を収容した芳香剤カートリッジをカバー体の内部に装着して用いる芳香剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香剤、消臭剤等の薬剤を吸収した粒状ゲルを収容して、揮散成分を揮散させる容器が種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。ゲル状の芳香剤、消臭剤等の薬剤(以下「ゲル状芳香剤」とする)は、一般に揮散成分を揮散しつつ界面活性剤や溶剤等の水分を分離させるものであり、分離した水分が容器の外に漏れ出ないようにする必要がある。このため、ゲル状芳香剤を収容した容器では、揮散開口を容器の上部(天面部)に設けて揮散成分を揮散させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−175310号公報
【特許文献2】特開平9−299470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、ゲル状芳香剤は、揮散成分を揮散しつつ収縮するものでもあることから、例えば時間の経過と共に揮散成分が減少して収縮すると、容器の底部分にゲル状芳香剤が偏在した状態となり、底部分のゲル状芳香剤と容器の上部の揮散開口との間の距離が遠くなることによって、揮散開口からスムーズに揮散成分を揮散させることができなくなる。このため、容器の側面部に揮散開口を設けて、スムーズに揮散成分を揮散できるようにすることが考えられるが(例えば、特許文献2参照)、容器の側面部に揮散開口を形成すると、ゲル状芳香剤から分離した水分が容器を把持した手に付着し易くなる。
【0005】
ゲル状芳香剤を収容した揮散開口を備える容器の全体を、揮散開口を形成したカバー体に装着して2重構造とすることで、揮散開口を形成した容器の側面部に直接手が触れないようにすることも考えられるが、単に2重構造としただけでは、カバー体の内部での通気が不十分になってさらに大きな開口面積の揮散開口を形成する必要を生じ、却って分離した水分を容器の外に漏れ出させ易くする。また、容器がカバー体によって覆われて容器を直接見るができなくなることから、例えばカバー体を縦置きにすることで容器の揮散開口が形成された側面部を下方に向けた状態として、分離した水分を容器の外に漏れ出させ易くする。
【0006】
本発明は、カバー体の内側に十分な通気空間を確保してゲル状芳香剤を収容した容器から揮散成分を効率良く揮散させることができると共に、カバー体を縦置きにして使用した場合でも、ゲル状芳香剤から分離した水分が容器の外に漏れ出るのを効果的に回避することのできる芳香剤容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤を収容した芳香剤カートリッジを、扁平な略六面体形状のカバー体の内部に着脱可能に装着して用いる芳香剤容器であって、前記芳香剤カートリッジは、天面部及び主側面部に芳香剤揮散開口が形成された、前記カバー体よりも小さな略六面体形状の容器本体の内部に前記ゲル状芳香剤を収容したものとなっており、前記カバー体は、天面部及び主側面部にカバー体揮散開口が形成されると共に、装着口側面部を蓋部材によって開閉可能に覆ったものとなっており、且つ前記カバー体揮散開口が形成された前記カバー体の天面部及び主側面部に、前記芳香剤揮散開口が形成された前記容器本体の天面部及び主側面部が対向して配置されるように、前記装着口側面部を介した前記カバー体への前記芳香剤カートリッジの装着方向を規制する装着方向規制手段と、装着された前記芳香剤カートリッジの前記容器本体の天面部、4方の側面部、及び底面部と、前記カバー体の天面部、4方の側面部、及び底面部との間に間隔を保持した状態で、前記カバー体の内部に前記芳香剤カートリッジを位置決めする位置決め保持手段とが、前記カバー体及び前記容器本体に設けられている芳香剤容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の芳香剤容器によれば、カバー体の内側に十分な通気空間を確保してゲル状芳香剤を収容した容器から揮散成分を効率良く揮散させることができると共に、カバー体を縦置きにして使用した場合でも、ゲル状芳香剤から分離した水分が容器の外に漏れ出るのを効果的に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の好ましい第1実施形態に係る芳香剤容器の分解斜視図である。
【図2】本発明の好ましい第1実施形態に係る芳香剤容器を、芳香剤カートリッジの装着方向後方から見た、蓋部材を取り付ける前の状態の正面図である。
【図3】芳香剤カートリッジの容器本体の上面図である。
【図4】芳香剤カートリッジの容器本体の分解斜視図である。
【図5】(a)はカバー体を芳香剤カートリッジの装着方向後方側から見た正面図、(b)は斜視図である。
【図6】本発明の好ましい第2実施形態に係る芳香剤容器のカバー体の、(a)は芳香剤カートリッジの装着方向後方側から見た斜視図、(a)は芳香剤カートリッジの装着方向前方側から見た透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい第1実施形態に係る芳香剤容器10は、図1に示すように、好ましくは、球形粒状のゲル状芳香剤12(図4参照)を容器本体13に多数収容した芳香剤カートリッジ11と、芳香剤カートリッジ11が着脱可能に装着されるカバー体14と、蓋部材17とからなる。本第1実施形態の芳香剤容器10は、ゲル状芳香剤12から揮散される揮散成分を、容器本体13に設けられた芳香剤揮散開口15a,15b(図4参照)及びカバー体14に設けられたカバー体揮散開口16a,16bを介して容器10の外部に揮散させて芳香作用を発揮させる。また、本第1実施形態の芳香剤容器10は、横置きにした状態や縦置きにした状態のいずれで使用しても、ゲル状芳香剤12から揮散される揮散成分を効率良く揮散させると共に、ゲル状芳香剤12から分離した界面活性剤や溶剤等の水分が容器本体11から漏れ出るのを防止する機能を備える。
【0011】
すなわち、本第1実施形態の芳香剤容器10は、図2〜図5にも示すように、揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤12を収容した芳香剤カートリッジ11を、扁平な略六面体形状のカバー体14の内部に着脱可能に装着して用いる容器であって、芳香剤カートリッジ11は、天面部13a及び主側面部13bに芳香剤揮散開口15a,15bが形成された、カバー体14よりも小さな略六面体形状の容器本体13の内部にゲル状芳香剤12を収容したものとなっており、カバー体14は、天面部14a及び主側面部14bにカバー体揮散開口16a,16bが形成されると共に、装着口側面部14cを蓋部材17によって開閉可能に覆ったものとなっている。
【0012】
また、カバー体揮散開口16a,16bが形成されたカバー体14の天面部14a及び主側面部14bに、芳香剤揮散開口15a,15bが形成された容器本体13の天面部13a及び主側面部13bが対向して配置されるように、装着口側面部14cを介したカバー体14への芳香剤カートリッジ11の装着方向Xを規制する装着方向規制手段18と、装着された芳香剤カートリッジ11の容器本体13の天面部13a、4方の側面部13b,13c,13d、及び底面部13eと、カバー体14の天面部14a、4方の側面部14b,14c,14d、及び底面部14eとの間に間隔20(図2参照)を保持した状態で、カバー体14の内部に芳香剤カートリッジ11を位置決めする位置決め保持手段19とが、カバー体14及び容器本体13に設けられている。
【0013】
本第1実施形態では、装着方向規制手段18は、カバー体14の内側面から突出すると共に装着口側面部14cに向けて延設して設けられた装着方向規制凸部23と、容器本体13の周面部に設けられた、装着方向規制凸部23と対応する部分の縁部から装着方向に沿って延設する装着方向規制凹部25とからなり、位置決め保持手段19は、カバー体14の内側面の少なくとも2面から突出して設けられた、複数の間隔保持凸部21,22,23,24からなる。
【0014】
さらに、本第1実施形態では、装着方向規制手段18及び位置決め保持手段19が、カバー体14に設けられた、天面部14aの内側面から下方に突出して装着口側面部14cに向けて延設する間隔保持凸部としての天面部間隔保持リブ(天面部間隔保持凸部)21と、底面部14eの内側面から上方に突出して装着口側面部14cに向けて延設する間隔保持凸部としての側面案内リブ(側面案内凸部)22、装着方向規制凸部及び間隔保持凸部としての装着方向規制リブ23、及び間隔保持凸部としての底上げリブ(底上げ凸部)24と、容器本体13の底面部13eに設けられた、装着方向規制リブ23と対応する部分の縁部から装着方向Xに沿って延設する装着方向規制凹部としての段差凹部25とを含んで構成されている。
【0015】
また、本第1実施形態では、天面部間隔保持リブ21は、好ましくはカバー体14の中央部分を挟んだ両側に配置されて一対設けられていると共に、装着方向規制リブ23と、側面案内リブ22及び底上げリブ24とは、好ましくはカバー体14の中央部分を挟んだ両側に各々配置されて設けられている。
【0016】
本第1実施形態では、芳香剤カートリッジ11の容器本体13は、図3及び図4に示すように、好ましくは合成樹脂製の成形品であって、角部が弧状に面取りされた略正方形の平面形状を有する箱状に形成される。また容器本体11は、略正方形の底面部13eと、底面部13eの周縁部から上方に連続して立設する4方の側面部13b,13c,13dとからなる。これらの側面部13b,13c,13dは、角部が弧状に面取りされた容器本体13の略正方形の平面形状の、当該弧状の角部に沿って立設する湾曲接続部13fを介して一体として接続する。これらの側面部13b,13c,13dは、湾曲接続部13fと共に上方に向けて外側にやや傾いた状態で立設しており、これらの上端の周縁リブ13gによって縁取りされた上端開口面を、複数の芳香剤天面揮散開口15aが開口形成された合成樹脂製の被覆シート26で覆うことによって、天面部13aが形成される。例えば、ゲル状芳香剤13を上端開口面から容器本体13の内部に充填収容した後に、上端開口面を覆って被覆シート26を、側面部13b,13c,13d及び湾曲接続部13fの上端の周縁リブ13gに貼着支持させて取り付けることで、天面部13aには、略均等に分散配置された複数の芳香剤天面揮散開口15aが形成される。
【0017】
天面部13aに形成された芳香剤天面揮散開口15aは、芳香剤容器10が使用される前は、例えば被覆シート26を覆って合成樹脂製の貼着シートを剥離可能に貼り付けておくことで、容易に閉塞しておくことができ、この貼着シートを芳香剤容器10の使用時に引き剥がすことによって、芳香剤天面揮散開口15aを開放する。
【0018】
また、本第1実施形態では、容器本体11の4方の側面部13b,13c,13dのうちの、装着方向Xに配置される一つの側面部を主側面部13bとして、当該主側面部13bに芳香剤側面揮散開口15bが開口形成されている。芳香剤側面揮散開口15bは、カバー体14の主側面部14bに開口形成されたカバー体側面揮散開口16bと対応する領域内において、複数分散配置されて設けられる。芳香剤側面揮散開口15bもまた、芳香剤容器10が使用される前は、例えばカバー体側面揮散開口16bと対応する領域内を覆って合成樹脂製の貼着シートを剥離可能に貼り付けておくことで、容易に閉塞しておくことができ、この貼着シートを芳香剤容器10の使用時に引き剥がすことによって、芳香剤側面揮散開口15aを開放する。
【0019】
さらに、本第1実施形態では、容器本体11の底面部13eには、装着方向Xに沿って延設する段差凹部25が設けられている。段差凹部25は、主側面部13bが立設する辺部と、これと隣接する一方の側面部13dが立設する辺部との角部分を切り欠くようにして、底面部13eの縁部から装着方向Xに沿って一方の側面部13dの略中央部分まで延設して設けられる。
【0020】
芳香剤カートリッジ11を、カバー体14の装着口側面部14cを介して正しい装着方向Xに装着した際に、カバー体14の装着方向規制リブ23が、段差凹部25に挿入される。芳香剤カートリッジ11を、正しい装着方向Xとは異なる方向に装着しようとすると、装着方向規制リブ23が容器本体11の側面部13c,13dに当接することで、カバー体14への挿入が規制される。すなわち、容器本体11の段差凹部25とカバー体14の装着方向規制リブ23とは、装着方向規制手段18として機能する。また、芳香剤カートリッジ11がカバー体14の内部に装着された際に、カバー体14の装着方向規制リブ23は、容器本体11の段差凹部25の段差側壁面25a(図2参照)に当接することが可能になって、後述するカバー体14の天面部間隔保持リブ21、側面案内リブ22、底上げリブ24と共に、位置決め保持手段19としても機能する。
【0021】
本第1実施形態では、カバー体14は、図1、図2、及び図5に示すように、好ましくは合成樹脂製の成形品であって、蓋部材17によって開閉可能な中空の扁平な略六面体形状の箱体として形成される。カバー体14の天面部14aには、略均等に分散配置されて複数のカバー体天面揮散開口16aが開口形成されている。また、カバー体14の装着口側面部14cと対向配置される主側面部14bには、これの中央部分に、長円形状のカバー体側面揮散開口16bが開口形成されている。
【0022】
そして、本第1実施形態では、カバー体14の天面部14aの内側面から下方に突出して、天面部間隔保持リブ21が設けられている。天面部間隔保持リブ21は、天面部14aの内側面から垂直下方に突出すると共に、天面部14aと主側面部14bとの内側角部から装着口側面部14cに向けて、カバー体14の1/3程度の長さで直線状に延設して設けられる。また、天面部間隔保持リブ21は、カバー体14の中央部分を挟んだ両側の、側面部14dの近傍部分に、対称に配置されて一対設けられる。天面部間隔保持リブ21は、芳香剤カートリッジ11がカバー体14の内部に装着された際に、その下端を容器本体13の周縁リブ13g及び天面部13aに当接させることで、カバー体14の天面部14aと容器本体13の天面部13aとの間に間隔20を保持する。
【0023】
また、カバー体14の底面部14eの内側面から上方に突出して、側面案内リブ22が設けられている。側面案内リブ22は、底面部14eの内側面から垂直上方に突出すると共に、底面部14eと主側面部14bとの内側角部から装着口側面部14cに向けて、カバー体14の1/4程度の長さで直線状に延設して設けられる。また、側面案内リブ22は、カバー体14の中央部分を挟んだ一方に、カバー体14の高さの1/4程度の高さで設けられる。側面案内リブ22は、芳香剤カートリッジ11がカバー体14の内部に装着された際に、これの内側面に容器本体13の一方の側面部13dを当接させることで、カバー体14の一方の側面部14dと容器本体13の一方の側面部13dとの間に間隔20を保持する。
【0024】
さらに、カバー体14の底面部14eの内側面から上方に突出して、装着方向規制リブ23が設けられている。装着方向規制リブ23は、底面部14eの内側面から垂直上方に突出すると共に、底面部14eと主側面部14bとの内側角部から装着口側面部14cに向けて、カバー体14の1/2程度の長さで直線状に延設して設けられる。また、装着方向規制リブ23は、カバー体14の中央部分を挟んだ側面案内リブ22とは反対側に、側面案内リブ22の高さよりも低く且つカバー体14の底面部14eの段差凹部25の高さよりも高い高さで設けられている。さらに、装着方向規制リブ23の装着口側面部14c側の先端部分には、カバー体14の底面部14eの段差凹部25を乗り上げさせるための、勾配部23a(図5(b)参照)が設けられている。
【0025】
装着方向規制リブ23は、上述のように、容器本体11の段差凹部25と共に装着方向規制手段18を構成すると共に、芳香剤カートリッジ11がカバー体14の内部に装着された際に、これの内側面に容器本体13の段差凹部25の段差側壁面25aを当接させることで、カバー体14の他方の側面部14dと容器本体13の他方の側面部13dとの間に間隔20を保持する。また、装着方向規制リブ23は、これの上端に容器本体11の段差凹部25を乗り上げさせることで、後述する底上げリブ24と共に、カバー体14の底面部14eと容器本体13の底面部13eとの間に間隔20を保持する。
【0026】
さらにまた、カバー体14の底面部14eの内側面から上方に突出して、底上げリブ24が設けられている。底上げリブ24は、底面部14eの内側面から垂直上方に突出すると共に、底面部14eと主側面部14bとの内側角部から装着口側面部14cに向けて、カバー体14の1/2程度の長さで直線状に延設して設けられる。また、底上げリブ24は、カバー体14の中央部分を挟んだ側面案内リブ22と同じ側に、装着方向規制リブ23よりも低い高さで設けられる。さらに、底上げリブ24の装着口側面部14c側の先端部分には、カバー体14の底面部14eを乗り上げさせるための、勾配部24a(図5(b)参照)が設けられている。
【0027】
そして、本第1実施形態では、これらの天面部間隔保持リブ21、側面案内リブ22、装着方向規制リブ23、及び底上げリブ24、及び段差凹部25によって、装着された芳香剤カートリッジ11の容器本体13の天面部13a、側面部13b,13c,13d、及び底面部13eと、カバー体14の天面部14a、側面部14b,14c,14d、及び底面部14eとの間に間隔20を保持した状態で、カバー体14の内部に芳香剤カートリッジ11を位置決めする位置決め保持手段19が構成されることになる。
【0028】
本第1実施形態では、カバー体14の装着口側面部14cを開閉可能に覆う蓋部材17は、好ましくは合成樹脂製の成形品であって、図1に示すように、カバー体14の装着口側面部14cと略同様の大きさの横長矩形の正面形状を有している。蓋部材17には、これの内側面から内側に突出して、装着口側面部14cの開口内周面と同様の外周面形状を備える嵌込み周壁部17aが設けられている。嵌込み周壁部17aを装着口側面部14cの開口面に嵌め込んで、公知の係合手段によって係合することで、蓋部材17を用いて装着口側面部14cを着脱可能に閉塞することができる。
【0029】
また、蓋部材17には、指入れ穴28が開口形成されている。この指入れ穴28に指を入れることで、蓋部材17の着脱操作を容易に行うことが可能になる。なお、指入れ穴28には、これの開口周縁部から内側に突出して、開口周壁28aを設けておくことが好ましい。指入れ穴28の開口周縁部から内側に突出して開口周壁28aを設けておくことにより、嵌込み周壁部17aと開口周壁28aとで周囲を囲まれる部分を、液溜り凹部として利用することが可能になる。これによって、例えば蓋部材17が装着された装着口側面部14cを下方に配置した縦置き状態で、芳香剤容器10を使用した際に、芳香剤カートリッジ11の容器本体13から万が一、ゲル状芳香剤12から分離した水分が漏れ出ても、漏れ出てた水分を液溜めすることで、カバー体14の外部に漏れ出るのを効果的に回避することが可能になる。
【0030】
そして、上述の構成を備える本第1実施形態の芳香剤容器10を、カバー体14に芳香剤カートリッジ11を交換可能に装着して使用するには、芳香剤カートリッジ11の容器本体13の天面部13aに形成された芳香剤天面揮散開口15aや、主側面部13bに形成された芳香剤側面揮散開口15bを覆う貼着シートを引き剥がす。しかる後に、蓋部材17を取り外した装着口側面部14cを介して、芳香剤カートリッジ11を、当該装着口側面部14cに容器本体13の主側面部13bを向けた正しい装着方向Xに向けて挿入装着する。これによって、芳香剤カートリッジ11は、カバー体14の装着方向規制リブ23や底上げリブ24に乗り上げて、天面部間隔保持リブ21の下端に容器本体13の天面部13aを当接させると共に、側面案内リブ22や装着方向規制リブ23によって、左右方向への移動が規制される。
【0031】
また、芳香剤カートリッジ11は、カバー体揮散開口16a,16bが形成されたカバー体14の天面部14a及び主側面部14bに、芳香剤揮散開口15a,15bが形成された容器本体13の天面部13a及び主側面部13bを対向配置すると共に、装着された芳香剤カートリッジ11の容器本体13の天面部13a、4方の側面部13b,13c,13d、及び底面部13eと、カバー体14の天面部14a、4方の側面部14b,14c,14d、及び底面部14eとの間に間隔20を保持した状態で、カバー体14の内部に位置決めされる。これによって、カバー体14の内側には、芳香剤カートリッジ11との間に十分な通気空間が確保されて、収容したゲル状芳香剤12から揮散成分を効率良く揮散させることが可能になる。
【0032】
さらに、本第1実施形態では、カバー体14に芳香剤カートリッジ11を装着した芳香剤容器10は、カバー体14が扁平な略六面体形状を有していることから、天面部13a,14aを上方に向けて配置した横置き状態で使用できる他、主側面部13b,14bを上方に向けて配置した縦置き状態で使用することができる。使用者は、カバー体14を見てカバー体側面揮散開口16bを上方に向けて芳香剤容器10を縦置きすることになる。本第1実施形態では、装着方向規制手段18によって芳香剤カートリッジ11の装着方向Xが規制されることで、カバー体14に形成されたカバー体側面揮散開口16bと芳香剤カートリッジ11の容器本体13に形成された芳香剤側面揮散開口15bとが同じ方向を向くことになるので、芳香剤側面揮散開口15bは、必然的に上方に向けて配置されることになる。これによって、カバー体14を縦置きにして使用した場合でも、ゲル状芳香剤12から分離した水分が容器10の外に漏れ出るのを効果的に回避することが可能になる。ここで、容器本体13の天面部13aを覆う被覆シート26に形成された芳香剤天面揮散開口15aのうち、縦置きした状態で最も下側に配置される芳香剤天面揮散開口15aよりも下方の部分が、ゲル状芳香剤12から分離した水分を液溜めする液溜り部として機能することになる。
【0033】
したがって、本第1実施形態の芳香剤容器10によれば、カバー体14の内側に十分な通気空間を確保してゲル状芳香剤12を収容した芳香剤カートリッジ11から揮散成分を効率良く揮散させることが可能になると共に、カバー体14を縦置きにして使用した場合でも、ゲル状芳香剤12から分離した水分が容器10の外に漏れ出るのを効果的に回避することが可能になる。
【0034】
図6(a),(b)は、本発明の第2実施形態に係る芳香剤容器のカバー体14’の要部を示すものである。本第2実施形態によれば、上記第1実施形態のカバー体14と略同様の構成を有している一方で、装着方向規制手段18及び位置決め保持手段19の構成が相違している。すなわち、本第2実施形態では、装着方向規制手段18及び位置決め保持手段19は、カバー体14’に設けられた、天面部14a’の内側面から下方に突出して装着口側面部14c’に向けて延設する間隔保持凸部としての天面部間隔保持リブ(天面部間隔保持凸部)21’と、装着口側面部14c’と隣接する一対の側面部14d’のうちの一方に支持される装着方向規制凸部及び間隔保持凸部としての装着方向規制底上げプレート(装着方向規制底上げ張出し部)29、及び他方に支持される間隔保持凸部としての側面案内プレート(側面案内張出し部)30と、第1実施形態と同様の構成を有する芳香剤カートリッジ11の容器本体13の底面部13eに設けられた、装着方向規制底上げプレート29の張出し規制底上げ部19aと対応する部分の縁部から装着方向に延設する装着方向規制凹部としての段差凹部25とを含んで構成され、天面部間隔保持リブ21’は、カバー体14’の中央部分を挟んだ両側に配置されて少なくとも一対設けられている。
【0035】
本第2実施形態の芳香剤容器によっても、カバー体14’と芳香剤カートリッジ11との間に十分な通気空間を確保して、収容したゲル状芳香剤12から揮散成分を効率良く揮散させることで、上記第1実施形態の芳香剤容器10と同様の作用効果が奏される。
【0036】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、天面部間隔保持リブは、カバー体の中央部分を挟んだ両側に一対設けられる必要は必ずしも無く、1本又は3本以上設けることもできる。また、装着方向規制手段や位置決め保持手段は、上記各実施形態のもの以外にも、カバー体と芳香剤カートリッジとの間に十分な通気空間を確保すことが可能な、その他の種々の構成のものを採用することができる。
状であっても良い。
【符号の説明】
【0037】
10 芳香剤容器
11 芳香剤カートリッジ
12 ゲル状芳香剤
13 容器本体
13a 天面部
13b 主側面部
13e 底面部
14,14’ カバー体
14a,14a’ 天面部
14b 主側面部
14c,14c’ 装着口側面部
14e 底面部
15a 芳香剤天面揮散開口
15b 芳香剤側面揮散開口
16a カバー体天面揮散開口
16b カバー体側面揮散開口
17 蓋部材
18 装着方向規制手段
19 位置決め保持手段
20 間隔
21 天面部間隔保持リブ(天面部間隔保持凸部、間隔保持凸部)
22 側面案内リブ(側面案内凸部、間隔保持凸部)
23 装着方向規制リブ(装着方向規制凸部及び間隔保持凸部)
24 底上げリブ(底上げ凸部、間隔保持凸部)
25 段差凹部(装着方向規制凹部)
26 被覆シート
28 指入れ係止穴
29 装着方向規制底上げプレート(装着方向規制底上げ張出し部、装着方向規制凸部及び間隔保持凸部)
30 側面案内プレート(側面案内張出し部、間隔保持凸部)
X 装着方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮散成分を揮散しつつ水分を分離しながら収縮するゲル状芳香剤を収容した芳香剤カートリッジを、扁平な略六面体形状のカバー体の内部に着脱可能に装着して用いる芳香剤容器であって、
前記芳香剤カートリッジは、天面部及び主側面部に芳香剤揮散開口が形成された、前記カバー体よりも小さな略六面体形状の容器本体の内部に前記ゲル状芳香剤を収容したものとなっており、
前記カバー体は、天面部及び主側面部にカバー体揮散開口が形成されると共に、装着口側面部を蓋部材によって開閉可能に覆ったものとなっており、
且つ前記カバー体揮散開口が形成された前記カバー体の天面部及び主側面部に、前記芳香剤揮散開口が形成された前記容器本体の天面部及び主側面部が対向して配置されるように、前記装着口側面部を介した前記カバー体への前記芳香剤カートリッジの装着方向を規制する装着方向規制手段と、装着された前記芳香剤カートリッジの前記容器本体の天面部、4方の側面部、及び底面部と、前記カバー体の天面部、4方の側面部、及び底面部との間に間隔を保持した状態で、前記カバー体の内部に前記芳香剤カートリッジを位置決めする位置決め保持手段とが、前記カバー体及び前記容器本体に設けられている芳香剤容器。
【請求項2】
前記装着方向規制手段は、前記カバー体の内側面から突出すると共に前記装着口側面部に向けて延設して設けられた装着方向規制凸部と、前記容器本体の周面部に設けられた、前記装着方向規制凸部と対応する部分の縁部から装着方向に沿って延設する装着方向規制凹部とからなり、前記位置決め保持手段は、前記カバー体の内側面の少なくとも2面から突出して設けられた、複数の間隔保持凸部からなる請求項1記載の芳香剤容器。
【請求項3】
前記装着方向規制手段及び前記位置決め保持手段が、前記カバー体に設けられた、前記天面部の内側面から下方に突出して前記装着口側面部に向けて延設する天面部間隔保持凸部と、前記底面部の内側面から上方に突出して前記装着口側面部に向けて延設する側面案内凸部、装着方向規制凸部、及び底上げ凸部と、前記容器本体の前記底面部に設けられた、前記装着方向規制凸部と対応する部分の縁部から装着方向に沿って延設する段差凹部とを含んで構成されている請求項2記載の芳香剤容器。
【請求項4】
前記装着方向規制手段及び前記位置決め保持手段が、前記カバー体に設けられた、前記天面部の内側面から下方に突出して前記装着口側面部に向けて延設する天面部間隔保持凸部と、前記装着口側面部と隣接する一対の側面部のうちの一方に支持される装着方向規制底上げ張出し部及び他方に支持される側面案内張出し部と、前記容器本体の前記底面部に設けられた、前記装着方向規制底上げ張出し部の規制底上げ部と対応する部分の縁部から装着方向に延設する段差凹部とを含んで構成されている請求項2記載の芳香剤容器。
【請求項5】
前記芳香剤カートリッジの前記容器本体の前記天面部及び前記主側面部に形成された芳香剤揮散開口は、使用前は被覆シートによって覆われて閉塞された状態となっおり、使用時に前記被覆シートを取り外してから前記芳香剤カートリッジを前記カバー体に装着する請求項1〜4の何れか1項に記載の芳香剤容器。
【請求項6】
前記天面部を上方に向けて配置した横置きにして、又は前記主側面部を上方に向けて配置した縦置きにして使用する請求項1〜5の何れか1項に記載の芳香剤容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−40254(P2012−40254A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185447(P2010−185447)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】