苗移植機
【課題】 本発明の課題は、不等速移動する苗タンクの偏心ギヤによる偏心量を変更できるようにし、疎植時にはその偏心量を小さくすることによって植付部の振動発生を防止しながら植付精度の向上を図ることにある。
【解決手段】 本発明は、土付きマット状苗を収容する横移動可能な苗タンクを苗植付具に対する苗取出作用位置では遅く、それ以外の非苗取出作用位置では速くなるように偏心ギヤ(34),(35)、(36),(37)によって不等速移動可能に設け、単位面積当りの苗植付株数によって偏心ギヤの偏心量を変更可能に設けてあることを特徴とする。
【解決手段】 本発明は、土付きマット状苗を収容する横移動可能な苗タンクを苗植付具に対する苗取出作用位置では遅く、それ以外の非苗取出作用位置では速くなるように偏心ギヤ(34),(35)、(36),(37)によって不等速移動可能に設け、単位面積当りの苗植付株数によって偏心ギヤの偏心量を変更可能に設けてあることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗植付具で横移動する苗タンクから苗を取り出して圃場に植え付けていく苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、苗植付部への伝動装置として、油圧無段変速装置、一方向クラッチから株間変速機構、植付クラッチ、及び不等速伝動機構の順を経て伝動するように構成したものが知られている。
【特許文献1】特開2005−143340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、苗移植機において、左右に横移動する苗タンクにあっては、植付具による苗の取り出しを正確にするため、苗植付具に対する苗取出作用位置近くでは遅く、それ以外の部位では速くなるよう不等速移動させるようにしている。苗植付具に対する苗タンクの横移動一行程での苗取出回数によって苗タンクの移動量が変化し、特に、疎植の横移動20回取りでは苗タンクの移動量が大きく変化し、偏心ギヤによる植付部の振動が大きくなり、植付精度に影響を及ぼす問題があった。
【0004】
本発明の課題は、不等速移動する苗タンクの偏心ギヤによる偏心量を変更できるようにし、疎植時にはその偏心量を小さくすることによって植付部の振動発生を防止しながら植付精度の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、苗を収容する横移動可能な苗タンク(11)を苗植付具(12)に対する苗取出作用位置では遅く、それ以外の非苗取出作用位置では速くなるように不等速伝動機構(34,35,36,37)によって不等速移動可能に設け、前記不等速伝動機構の不等速伝動比を変更可能に設けてあることを特徴とする苗移植機とする。
【0006】
横移動する苗タンク(11)は、該苗タンクへの伝動装置として、不等速伝動機構(34,35,36,37)を介して伝動されるものであり、苗植付具(12)に対する非苗取出作用位置ではすばやくクイック移動しながら、苗植付具に対する苗取出作用位置ではゆっくりとスロー移動することによって苗の取り出しを正確にし、植付精度を高めることができる。
【0007】
不等速伝動機構の不等速伝動比は、大小数段に変更することができる。苗タンクの移動量は、苗植付具に対する横移動一行程での苗取出回数(横送り回数)によって変化する。苗取り出し回数が少ないほど移動量は大きく変化するので、例えば、疎植の横移動20回取りでは苗タンクの移動量が最も大きく、植付部に波及する振動も激しくなる。そこで、上記疎植時には、不等速伝動機構の不等速伝動比を「大」側から「小」側に切替変更することによって解消することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上要するに、本発明によれば、苗タンクの移動量として、疎植時での例えば横移動20回送り以下では、不等速伝動機構の不等速伝動比を小さくし、横移動24回送り以上では不等速伝動比を元に戻す大きさにすることによって、苗タンクの振動を抑制し、ひいては苗植付部の振動を防止でき、植付性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、苗移植機の一例として6条植田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、また、車体後方部には昇降可能な苗植付部6が装備されている。操縦装置の後側に運転席9が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。
【0010】
苗植付部6は、車体の後部に昇降リンク機構7を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ8の伸縮作動により昇降する構成である。昇降用油圧シリンダ8を制御する昇降用油圧バルブVは、機体右側部のステップフロアの下方に設けられている。
【0011】
また、この苗植付部6には、土付きマット苗を載せて左右に往復動し苗を一株分づつ各条における前板11aの苗取出口11b,…に供給すると共に横一列の苗を全て苗取出口11b,…に供給すると苗送りベルト11c,…により苗を下方に移送する苗タンク11、先端が閉ループ軌跡Pを描いて作動する苗植付具12で一株分の苗を切取って土中に植込む6条分の苗植付装置13,13,13、苗植付面を滑走しながら整地するフロート(サイドフロート)14L,14R、センタフロ−ト14C等を備えた構成としている。図中符号15は変速レバー、16は植付昇降レバー、17は主クラッチペダルを示す。
【0012】
走行車体1の前部側にミッションケース20が配置され、そのミッションケース20の左右側面部から前輪アクスルケースが側方に延び、その左右両端に変向可能に設けた前輪ファイナルケース21に前輪2,2が回転自在に軸支されている。また、ミッションケース20の背面部にメインフレーム22の前端部が固着されており、そのメインフレーム22の後端部から左右側方に延びるリヤフレームの先端部に固定して設けた後輪伝動ケース23に後輪3,3が回転自在に支承されている。
【0013】
原動機となるエンジンEからの回転動力は、ミッションケース20への入力伝動機構として、エンジン出力軸からベルト伝動装置を介してミッションケ−ス20内のミッション入力軸に伝達されるようになっている。該ケ−ス20内のミッションに伝達された回転動力は、ケ−ス20内のトランスミッションにて変速された後、走行動力と外部取出動力とに分岐して取り出される。そして、走行動力は、前輪2,2及び後輪伝動軸24から後輪伝動ケ−ス23のギヤ機構を介して後輪3,3を駆動する。また、外部取出動力は、ミッションケース20からの出力伝動機構として、PTO出力軸25、植付クラッチケース26等を介して植付伝動軸27に伝達され、更に、植付伝動軸27によって苗植付部6へ動力伝達されるようになっている。
【0014】
苗植付部6への動力伝達は、植付伝動軸27によって駆動される植付駆動軸28からギヤケース29内のギヤ伝動装置30を介して、左右方向のリードカム軸31に伝動される。リードカム軸31は外周面に螺旋状の溝が形成された軸で、この溝にリードメタル32の爪が係合している。リードメタル32が取り付けられている横移動棒33は、軸方向に摺動自在に支持されており、その左右端部が苗タンク11に連結されている。リードカム軸31が回転すると、リードメタル32の爪がリードカム軸31の溝に沿って移動することにより、横移動棒33及びこれと一体の苗タンク11が左右往復動する。前記ギヤ伝動装置30は、植付駆動軸28の回転を不等速にリードカム軸31に伝達する変速比を異にした一対の偏心ギヤ34,35と、偏心ギヤ36,37と、数段の変速ギヤ機構38a〜38d及び39a〜39dと、リードカム軸31への伝動ギヤ40等からなり、偏心量大なる偏心ギヤ34,35と偏心量小なる偏心ギヤ36,37は、軸28に沿って切替レバー41、シフター42を介して移動されるチェンジキー43の係合によって、偏心量大なる偏心ギヤ34による不等速伝動と偏心量小なる偏心ギヤ36による不等速伝動とに切り替え伝動する構成としている。すなわち、前記偏心ギヤ34,35,36,37が不等速伝動機構となり、各々の偏心ギヤの偏心量により不等速伝動比が設定される。
【0015】
従って、疎植時(苗タンク20回送り)には、切替レバー41の操作で偏心量の小さい偏心ギヤ36による不等速伝動に切り替える。疎植時以外は偏心量の大きい偏心ギヤ34による不等速伝動に切り替える。株数変更レバーを操作すると、これに連動して、株数が少ない時は偏心ギヤ36による不等速伝動に切り替え、株数の多い時は偏心ギヤ34による不等速伝動に切り替えるようにすることもできる。
【0016】
なお、偏心ギヤ36による不等速回転を等速ギヤによる等速回転とすることもできる。この場合の等速回転と前記不等速回転の切り替えも可能とし、そして、植付株数の切り替えに連動して切り替えできるように構成することもできる。例えば、植付回数24回(横送り回数24回)では不等速回転とし、それ以外の植付回数では等速回転とする。
【0017】
図4に示すように、苗植付部からの回転動力を除草剤散布装置47に伝達する構成のものでは、疎植時に苗植付部を不等速伝動すると、それと連動回転する除草剤散布装置も不等速駆動になるので、疎植時の不等速回転を打ち消す不等速変換機構によって不等速変換を行う構成としている。また、圃場面に接地した状態で駆動回転して圃場面を整地する代掻きロータ48或は苗を植え付けながら圃場に肥料を散布する施肥装置49にあっても、苗植付部から回転動力を取り出す構成のものでは、上記同様に、苗植付部を不等速伝動すると、代掻きロータ48、施肥装置49は不等速駆動になるので、上記除草剤散布装置と同様、この不等速回転を打ち消す不等速変換機構によって不等速変換を行うように構成しておくことが望ましい。
【0018】
図5及び図6に示すように、複数の苗植付具12,12で交互に作用させて苗を植え付けるロータリ式苗植付装置13において、苗植付具12は、苗タンク11の苗取出口11bから苗を一株づつ取り出す分離爪12aと、押出しカム12bの回動により押出しアーム12cを揺動させ分離爪12aに保持された苗を押し出す押出しフォーク12dと、押出しアーム12cをフォーク12dの押出し作用側に付勢する押出しスプリング12e等からなるが、この複数の植付具のうち。一方側の植付具12のみ、取付ボルト51を外して分離爪12aを略180度反転させて取り付けできるようにし、押出しフォーク12dを引っ込めたままで係止しておくロック装置を設けることにより、一つの苗植付具12が苗タンク11から苗を掻き取らないようにする。そして、苗タンクの横移動量は本来移動量の1/2にしておけば、70株から35株の疎植に変更することができる。
【0019】
また、図7に示すように、一つの植付具12のみ、横軸芯Q1を中心として下向きに角度を変更できるようにして、苗タンクから苗を掻き取らないようにし、苗タンクの横移動を1/2にすれば、70株から35株の疎植に変更することができる。植付具の角度変更固定手段は、図8及び図9に示すように、ロックピン53をスプリング54に抗してピン孔55aから引き抜いてピン孔55bに差し込むことで角度変更する構成としている。
【0020】
更に、図10に示すように、苗植付具12を軸芯Q2を中心として90度横向きに変更するか、図11に示すように、植付具12の分離爪12aを実線位置から仮想線の状態位置まで後退移動させて苗タンクから苗を掻き取らないようにすることもできる。
【0021】
また、図12及び図13に示す実施例では、苗タンク11を間欠的に横移動させる構成とし、ロータリ式植付装置の一方側の植付具12Aが苗を取った(図13(イ)参照)後、苗タンク11の横移動が停止(図13(ロ)参照)し、他方側の植付具12Bが苗取出口11bを通過しても苗を掻き取ったあとを通過することで空振りとなり、その後、苗タンクが横移動(図13(ハ)参照)し、一方側の植付具12Aが苗を掻き取り、苗タンクの停止(図13(ニ)参照)によって植付具12Bは空振りする。このような動作を繰り返すことによって、70株から35株の疎植に変更することができる。標準植にする時は、一方の植付具12Aが通っても他方の植付具12Bが通っても毎回苗タンクが移動するようにギヤの切り替えをするだけで可能である。
【0022】
図14及び図15に示す実施例は、ステアリングハンドル5を具備するハンドルポスト56の上部に、複数の作業灯57a,57bを前後に配置して設けた構成としている。前側の作業灯57aは前方下方に向けて照射するように取り付け、後側の作業灯57bは後方下方に向けて照射するように取り付けている。これによれば、操作パネル部や足元のペダル周辺を照らすことができ、夜間作業が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】苗植付部の要部の伝動経路図
【図4】田植機の要部の側面図
【図5】ロータリ式苗植付装置の側面図
【図6】同上苗植付装置の背面図
【図7】苗植付装置の作用側面図
【図8】植付具の角度変更固定手段の側面図
【図9】同上要部の背面図
【図10】苗植付装置の背面図
【図11】苗植付具の側面図
【図12】苗植付装置の側面図
【図13】苗タンクの横移動と苗植付具との関係を示す作用説明図
【図14】田植機の要部の側面図
【図15】同上要部の平面図
【符号の説明】
【0024】
6 苗植付部
11 苗タンク
12 苗植付具
28 植付駆動軸
31 リードカム軸
33 横移動棒
34 偏心ギヤ
35 偏心ギヤ
36 偏心ギヤ
37 偏心ギヤ
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗植付具で横移動する苗タンクから苗を取り出して圃場に植え付けていく苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、苗植付部への伝動装置として、油圧無段変速装置、一方向クラッチから株間変速機構、植付クラッチ、及び不等速伝動機構の順を経て伝動するように構成したものが知られている。
【特許文献1】特開2005−143340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、苗移植機において、左右に横移動する苗タンクにあっては、植付具による苗の取り出しを正確にするため、苗植付具に対する苗取出作用位置近くでは遅く、それ以外の部位では速くなるよう不等速移動させるようにしている。苗植付具に対する苗タンクの横移動一行程での苗取出回数によって苗タンクの移動量が変化し、特に、疎植の横移動20回取りでは苗タンクの移動量が大きく変化し、偏心ギヤによる植付部の振動が大きくなり、植付精度に影響を及ぼす問題があった。
【0004】
本発明の課題は、不等速移動する苗タンクの偏心ギヤによる偏心量を変更できるようにし、疎植時にはその偏心量を小さくすることによって植付部の振動発生を防止しながら植付精度の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、苗を収容する横移動可能な苗タンク(11)を苗植付具(12)に対する苗取出作用位置では遅く、それ以外の非苗取出作用位置では速くなるように不等速伝動機構(34,35,36,37)によって不等速移動可能に設け、前記不等速伝動機構の不等速伝動比を変更可能に設けてあることを特徴とする苗移植機とする。
【0006】
横移動する苗タンク(11)は、該苗タンクへの伝動装置として、不等速伝動機構(34,35,36,37)を介して伝動されるものであり、苗植付具(12)に対する非苗取出作用位置ではすばやくクイック移動しながら、苗植付具に対する苗取出作用位置ではゆっくりとスロー移動することによって苗の取り出しを正確にし、植付精度を高めることができる。
【0007】
不等速伝動機構の不等速伝動比は、大小数段に変更することができる。苗タンクの移動量は、苗植付具に対する横移動一行程での苗取出回数(横送り回数)によって変化する。苗取り出し回数が少ないほど移動量は大きく変化するので、例えば、疎植の横移動20回取りでは苗タンクの移動量が最も大きく、植付部に波及する振動も激しくなる。そこで、上記疎植時には、不等速伝動機構の不等速伝動比を「大」側から「小」側に切替変更することによって解消することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上要するに、本発明によれば、苗タンクの移動量として、疎植時での例えば横移動20回送り以下では、不等速伝動機構の不等速伝動比を小さくし、横移動24回送り以上では不等速伝動比を元に戻す大きさにすることによって、苗タンクの振動を抑制し、ひいては苗植付部の振動を防止でき、植付性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、苗移植機の一例として6条植田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、また、車体後方部には昇降可能な苗植付部6が装備されている。操縦装置の後側に運転席9が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。
【0010】
苗植付部6は、車体の後部に昇降リンク機構7を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ8の伸縮作動により昇降する構成である。昇降用油圧シリンダ8を制御する昇降用油圧バルブVは、機体右側部のステップフロアの下方に設けられている。
【0011】
また、この苗植付部6には、土付きマット苗を載せて左右に往復動し苗を一株分づつ各条における前板11aの苗取出口11b,…に供給すると共に横一列の苗を全て苗取出口11b,…に供給すると苗送りベルト11c,…により苗を下方に移送する苗タンク11、先端が閉ループ軌跡Pを描いて作動する苗植付具12で一株分の苗を切取って土中に植込む6条分の苗植付装置13,13,13、苗植付面を滑走しながら整地するフロート(サイドフロート)14L,14R、センタフロ−ト14C等を備えた構成としている。図中符号15は変速レバー、16は植付昇降レバー、17は主クラッチペダルを示す。
【0012】
走行車体1の前部側にミッションケース20が配置され、そのミッションケース20の左右側面部から前輪アクスルケースが側方に延び、その左右両端に変向可能に設けた前輪ファイナルケース21に前輪2,2が回転自在に軸支されている。また、ミッションケース20の背面部にメインフレーム22の前端部が固着されており、そのメインフレーム22の後端部から左右側方に延びるリヤフレームの先端部に固定して設けた後輪伝動ケース23に後輪3,3が回転自在に支承されている。
【0013】
原動機となるエンジンEからの回転動力は、ミッションケース20への入力伝動機構として、エンジン出力軸からベルト伝動装置を介してミッションケ−ス20内のミッション入力軸に伝達されるようになっている。該ケ−ス20内のミッションに伝達された回転動力は、ケ−ス20内のトランスミッションにて変速された後、走行動力と外部取出動力とに分岐して取り出される。そして、走行動力は、前輪2,2及び後輪伝動軸24から後輪伝動ケ−ス23のギヤ機構を介して後輪3,3を駆動する。また、外部取出動力は、ミッションケース20からの出力伝動機構として、PTO出力軸25、植付クラッチケース26等を介して植付伝動軸27に伝達され、更に、植付伝動軸27によって苗植付部6へ動力伝達されるようになっている。
【0014】
苗植付部6への動力伝達は、植付伝動軸27によって駆動される植付駆動軸28からギヤケース29内のギヤ伝動装置30を介して、左右方向のリードカム軸31に伝動される。リードカム軸31は外周面に螺旋状の溝が形成された軸で、この溝にリードメタル32の爪が係合している。リードメタル32が取り付けられている横移動棒33は、軸方向に摺動自在に支持されており、その左右端部が苗タンク11に連結されている。リードカム軸31が回転すると、リードメタル32の爪がリードカム軸31の溝に沿って移動することにより、横移動棒33及びこれと一体の苗タンク11が左右往復動する。前記ギヤ伝動装置30は、植付駆動軸28の回転を不等速にリードカム軸31に伝達する変速比を異にした一対の偏心ギヤ34,35と、偏心ギヤ36,37と、数段の変速ギヤ機構38a〜38d及び39a〜39dと、リードカム軸31への伝動ギヤ40等からなり、偏心量大なる偏心ギヤ34,35と偏心量小なる偏心ギヤ36,37は、軸28に沿って切替レバー41、シフター42を介して移動されるチェンジキー43の係合によって、偏心量大なる偏心ギヤ34による不等速伝動と偏心量小なる偏心ギヤ36による不等速伝動とに切り替え伝動する構成としている。すなわち、前記偏心ギヤ34,35,36,37が不等速伝動機構となり、各々の偏心ギヤの偏心量により不等速伝動比が設定される。
【0015】
従って、疎植時(苗タンク20回送り)には、切替レバー41の操作で偏心量の小さい偏心ギヤ36による不等速伝動に切り替える。疎植時以外は偏心量の大きい偏心ギヤ34による不等速伝動に切り替える。株数変更レバーを操作すると、これに連動して、株数が少ない時は偏心ギヤ36による不等速伝動に切り替え、株数の多い時は偏心ギヤ34による不等速伝動に切り替えるようにすることもできる。
【0016】
なお、偏心ギヤ36による不等速回転を等速ギヤによる等速回転とすることもできる。この場合の等速回転と前記不等速回転の切り替えも可能とし、そして、植付株数の切り替えに連動して切り替えできるように構成することもできる。例えば、植付回数24回(横送り回数24回)では不等速回転とし、それ以外の植付回数では等速回転とする。
【0017】
図4に示すように、苗植付部からの回転動力を除草剤散布装置47に伝達する構成のものでは、疎植時に苗植付部を不等速伝動すると、それと連動回転する除草剤散布装置も不等速駆動になるので、疎植時の不等速回転を打ち消す不等速変換機構によって不等速変換を行う構成としている。また、圃場面に接地した状態で駆動回転して圃場面を整地する代掻きロータ48或は苗を植え付けながら圃場に肥料を散布する施肥装置49にあっても、苗植付部から回転動力を取り出す構成のものでは、上記同様に、苗植付部を不等速伝動すると、代掻きロータ48、施肥装置49は不等速駆動になるので、上記除草剤散布装置と同様、この不等速回転を打ち消す不等速変換機構によって不等速変換を行うように構成しておくことが望ましい。
【0018】
図5及び図6に示すように、複数の苗植付具12,12で交互に作用させて苗を植え付けるロータリ式苗植付装置13において、苗植付具12は、苗タンク11の苗取出口11bから苗を一株づつ取り出す分離爪12aと、押出しカム12bの回動により押出しアーム12cを揺動させ分離爪12aに保持された苗を押し出す押出しフォーク12dと、押出しアーム12cをフォーク12dの押出し作用側に付勢する押出しスプリング12e等からなるが、この複数の植付具のうち。一方側の植付具12のみ、取付ボルト51を外して分離爪12aを略180度反転させて取り付けできるようにし、押出しフォーク12dを引っ込めたままで係止しておくロック装置を設けることにより、一つの苗植付具12が苗タンク11から苗を掻き取らないようにする。そして、苗タンクの横移動量は本来移動量の1/2にしておけば、70株から35株の疎植に変更することができる。
【0019】
また、図7に示すように、一つの植付具12のみ、横軸芯Q1を中心として下向きに角度を変更できるようにして、苗タンクから苗を掻き取らないようにし、苗タンクの横移動を1/2にすれば、70株から35株の疎植に変更することができる。植付具の角度変更固定手段は、図8及び図9に示すように、ロックピン53をスプリング54に抗してピン孔55aから引き抜いてピン孔55bに差し込むことで角度変更する構成としている。
【0020】
更に、図10に示すように、苗植付具12を軸芯Q2を中心として90度横向きに変更するか、図11に示すように、植付具12の分離爪12aを実線位置から仮想線の状態位置まで後退移動させて苗タンクから苗を掻き取らないようにすることもできる。
【0021】
また、図12及び図13に示す実施例では、苗タンク11を間欠的に横移動させる構成とし、ロータリ式植付装置の一方側の植付具12Aが苗を取った(図13(イ)参照)後、苗タンク11の横移動が停止(図13(ロ)参照)し、他方側の植付具12Bが苗取出口11bを通過しても苗を掻き取ったあとを通過することで空振りとなり、その後、苗タンクが横移動(図13(ハ)参照)し、一方側の植付具12Aが苗を掻き取り、苗タンクの停止(図13(ニ)参照)によって植付具12Bは空振りする。このような動作を繰り返すことによって、70株から35株の疎植に変更することができる。標準植にする時は、一方の植付具12Aが通っても他方の植付具12Bが通っても毎回苗タンクが移動するようにギヤの切り替えをするだけで可能である。
【0022】
図14及び図15に示す実施例は、ステアリングハンドル5を具備するハンドルポスト56の上部に、複数の作業灯57a,57bを前後に配置して設けた構成としている。前側の作業灯57aは前方下方に向けて照射するように取り付け、後側の作業灯57bは後方下方に向けて照射するように取り付けている。これによれば、操作パネル部や足元のペダル周辺を照らすことができ、夜間作業が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】苗植付部の要部の伝動経路図
【図4】田植機の要部の側面図
【図5】ロータリ式苗植付装置の側面図
【図6】同上苗植付装置の背面図
【図7】苗植付装置の作用側面図
【図8】植付具の角度変更固定手段の側面図
【図9】同上要部の背面図
【図10】苗植付装置の背面図
【図11】苗植付具の側面図
【図12】苗植付装置の側面図
【図13】苗タンクの横移動と苗植付具との関係を示す作用説明図
【図14】田植機の要部の側面図
【図15】同上要部の平面図
【符号の説明】
【0024】
6 苗植付部
11 苗タンク
12 苗植付具
28 植付駆動軸
31 リードカム軸
33 横移動棒
34 偏心ギヤ
35 偏心ギヤ
36 偏心ギヤ
37 偏心ギヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗を収容する横移動可能な苗タンク(11)を苗植付具(12)に対する苗取出作用位置では遅く、それ以外の非苗取出作用位置では速くなるように不等速伝動機構(34,35,36,37)によって不等速移動可能に設け、前記不等速伝動機構の不等速伝動比を変更可能に設けてあることを特徴とする苗移植機。
【請求項1】
苗を収容する横移動可能な苗タンク(11)を苗植付具(12)に対する苗取出作用位置では遅く、それ以外の非苗取出作用位置では速くなるように不等速伝動機構(34,35,36,37)によって不等速移動可能に設け、前記不等速伝動機構の不等速伝動比を変更可能に設けてあることを特徴とする苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−182926(P2008−182926A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18047(P2007−18047)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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