説明

苗移植機

【課題】苗タンクのスライドレールとガイドレール間の摺動部に溜まる土に注水して除去できる構成とし、苗の植付作業中に苗タンクが掃除され、メンテナンス性が向上すると共に耐久性が維持される苗移植機を提供する。
【解決手段】苗タンク1の底部と、苗タンク1を支持する苗植フレームとの間に、苗タンク1の底部に一体構成として左右横方向への往復移動を案内するスライドガイド3と、苗タンク1の繰出口60部に繰り出される苗端部を摺接させて苗植爪が作用する苗取口58へ案内する苗取出口ガイド55を形成するガイドレール4とを設け、スライドガイド3と、ガイドレール4と間の摺動部64に注水する注水孔5を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、植付フレームに対して苗タンクを左右横方向へ往復移動可能に支持させて装着する苗移植機の苗タンク支持装置に関し、その移動摺動部を注水して洗浄するものである。
【背景技術】
【0002】
植付フレームに対する苗タンクの横方向往復移動摺動部に、摩擦低減用の樹脂摺動部材を介在する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−154535号公報(第1頁、図6)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植付フレームに対する苗タンクの左右横方向往復移動の摺動部は、泥土飛散による移動抵抗を受け易く、また、作業後に外部から水をかけて洗浄しても、摺動部内の洗浄が十分に行われ難く、長期間の放置によって付着泥土が堅くこびりついて、掃除し難く、摺動部錆付きの原因となり、また、苗植作業時は苗タンク移動の抵抗となり易いものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、苗タンク(1)の底部と、この苗タンク(1)を支持する植付フレーム(2)との間に、この苗タンク(1)の底部に一体構成として左右横方向への往復移動を案内するスライドガイド(3)と、この苗タンク(1)の繰出口(60)部に繰り出される苗端部を摺接させて苗植爪(22)の作用する苗取口(58)へ案内する苗取出口ガイド(55)を形成のガイドレール(4)とを設け、これらスライドガイド(3)と、ガイドレール(4)と間の摺動部(64)に注水する注水孔(5)を設けたことを特徴とする苗移植機の構成とする。
【0006】
マット苗を収容した苗タンク(1)が、植付フレーム(2)に支持されて左右横方向へ1マット苗幅相当間隔に亘って往復移動される。この苗タンク(1)の繰出口(60)のマット苗繰出側端縁部に沿う苗取出口ガイド(55)の苗取口(58)には、植付フレーム(2)の後部に設けられる苗植付装置の苗植爪(22)が下降介入して、この苗取口(58)に繰出されるマット苗から植付本数の苗を分離保持して土壌面へ挿苗するが、苗タンク(1)は、横方向へ移動しながら常時マット苗を前記苗取口(58)上に繰出供給する。
【0007】
このような苗タンク(1)の横方向移動は、これら植付フレーム(2)側のガイドレール(4)と苗タンク(1)底部側のスライドガイド(3)との間の摺動部(64)で案内される。
【0008】
これらスライドガイド(3)とガイドレール(4)部は、共に苗タンク(1)の底部に配置構成されるため、上側の苗タンク(1)部と、前側の苗植爪(22)の作動部と、下方側の苗植土壌面部と等の間に在って、これら各部からの泥土等の飛散を受け易く、この泥土飛散を苗タンク(1)の横移動中に受けると、摺動部(64)への泥土侵入が行われ易い。
【0009】
苗植作業後にこれらスライドガイド(3)や、ガイドレール(4)部等を洗浄するときは、摺動部(64)内側に位置してこれらの間の案内溝部にのぞむ注水孔(5)から洗浄水を噴出して、各スライドガイド(3)と、ガイドレール(4)の間の摺動部(64)の案内溝に直接注水することによって、この摺動部(64)に侵入している泥土をこの案内溝から外側へ押し出すように流出排除して、洗浄することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記スライドガイド(3)またはガイドレール(4)の中空部(6,7)に、前記注水孔(5)を配置した送水チューブ(8)を設けて、この注水孔(5)からこれらスライドガイド(3)と、ガイドレール(4)との摺動部(64)へ注水する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機とする。
【0011】
前記のように、苗タンク(1)の横移動は、この底部のスライドガイド(3)と、ガイドレール(4)との間の摺動部(64)における摺動によって案内されて安定した状態で行われる。
【0012】
そして、これらスライドガイド(3)と、ガイドレール(4)との間の摺動部(64)に注水する注水孔(5)を有した注水チューブ(8)がこれらスライドガイド3の内部に形成される中空部(6)か、または、ガイドレール(4)の内部に形成される中空部(7)に内装されていて、この注水チューブ(8)の各注水孔(5)を摺動部(64)の内側の案内溝部に臨ませている。
【0013】
注水チューブ(8)から供給された給水は、各注水孔(5)から摺動部(64)へ噴出されていて、この摺動部(64)の案内溝部から外側へ向けて洗浄水を噴出させて、洗浄泥土を摺動部(64)の外側へ押出すようにして洗浄する。
【0014】
このような注水チューブ8の敷設形態では、各注水孔(5)を配置した注水チューブ(8)をスライドガイド(3)の中空部(6)またはガイドレール(4)の中空部(7)内に沿わせて内装するため、苗タンク(1)が横移動しても注水チューブ(8)の各注水孔(5)の配置部や、この注水孔(5)等の局部的な部分変形をなくして、安定した注水洗浄姿勢を維持して洗浄作用を行わせる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記スライドガイド(3)またはガイドレール(4)の横端部に、前記各注水孔(5)への洗滌水を供給する給水口(9)を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機とする。
【0016】
前記のように苗タンク(1)を左右横方向へ往復移動させながら、この苗タンク1内のマット苗を苗植爪(22)の作動する苗取口(58)へ繰出して、苗植作業を行わせる。この苗植作業後に前記植付フレーム(2)側のガイドレール(4)に対する苗タンク(1)側のスライドガイド3の間の摺動部(64)を洗浄するときは、このスライドガイド(3)またはガイドレール(4)の一側端に設けられた給水口(9)に水道の給水ホース等を連結して給水することにより、これらスライドガイド(3)またはガイドレール(4)の中空部(6,7)を経て、または、これら中空部(6,7)内に敷設の送水チューブ(8)を経て、各注水孔(5)から摺動部(64)へ注水させて洗浄することができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明は、苗タンク(1)を摺動案内するスライドガイド(3)と、ガイドレール(4)との間の摺動部(64)に注水する注水孔(5)を設けたものであるから、この摺動部(64)を洗浄する洗浄水が、摺動部(64)の内側の注水孔(5)からこの摺動部(64)の外側へ向けて噴水させて洗浄して、摺動部(64)に浸入する泥土を、この摺動部(64)の外側へ注水圧力で押し出すようにして洗浄し易くし、洗浄性を高めることができる。
【0018】
また、各注水孔(5)はスライドガイド(3)またはガイドレール(4)の裏側に沿って装着する形態となるため、各注水孔(5)を外部に直接突出させない形態とすることができて、この注水孔(5)に対する直接の泥土飛散を防止して、洗浄水噴出の詰まりをなくして、円滑な洗浄を行わせると共に、構成やメンテナンスを簡単化することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、各注水孔(5)を配置した送水チューブ(8)を、角チューブ材から形成されるスライドガイド(3)の中空部(6)、またはガイドレール(4)の中空部(7)に内装するため、これら送水チューブ(8)や注水孔(5)等の配置、敷設構成を簡潔な形態とすることができて、送水チューブ(8)やこの注水孔(5)を外部に露出突出させないで、これらスライドガイド(3)や、ガイドレール(4)自体に内包するように保護して、苗植付作業中におけるこの送水チューブ(8)や注水孔(5)等に対する泥土等の直接の飛散を少なくすることができ、この送水チューブ(8)周辺の苗タンク(1)や植付フレーム(2)部等との接触を省略することができるので、洗浄給水、及び苗植作用を正確に円滑に行うことができる。
【0020】
特に、注水孔(5)を配置した送水チューブ(8)を中空部(6,7)に嵌合させて設定するため、着脱操作やメンテナンス作業を簡単容易にすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、前記各注水孔5に送水するための給水口(9)を、左右横方向へ移動する苗タンク(1)側のスライドガイド(3)の横端部、または、この苗タンク(1)を支持する植付フレーム(2)側のガイドレール(4)の横端部に形成して、水道水のような圧力水を供給するホース、乃至送水パイプ等を連結可能とするものであるから、例えば、苗タンク(1)を横方向へ往復移動させながらでも、邪魔にならないようにして給水洗浄作用を行わせることができ、洗浄水の給水、及びこの洗浄作業を簡単、容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】苗タンクのガイドレール部の側面断面図
【図2】(a) 苗タンクの背面図、(b) ガイドレール部の送水路の要部拡大図、(c) ガイドレール部の要部拡大側面図
【図3】別実施例の苗タンクのガイドレール部の側面断面図
【図4】(a) 別実施例の苗タンク部の背面図、(b) 別実施例のガイドレール部の送水路の要部拡大図、(c) 別実施例のガイドレール部の要部拡大側面図
【図5】植付フレーム部の平面図
【図6】苗移植機の側面図
【図7】苗移植機の平面図
【図8】(a) リードカム軸部の平面図、(b) リードカムの平面図、(c) リードカムの斜視図
【図9】(a) リードカム下端部の拡大側面図、(b) リードカム下端部の拡大側面図正面図
【図10】苗取板の使用状態を示す斜視図
【図11】(a) パワーステアリングの油圧回路図、(b) パワーステアリングの油圧回路図要部
【図12】パワーステアリングのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1、図2、図5、図6、図7に基づいて、苗植装置10は、乗用走行形態の車体11の後側に、リフトシリンダ12によって昇降する昇降リンク13の後端部のヒッチリンク14に装着され、ローリング軸15周りに回動自在である。この苗植装置10は、前記ローリング軸15を前側に有した植付フレーム2が伝動ケース21を主体として構成され、この植付フレーム2の下方には、上下回動調節可能の支持リンク16を介して、走行幅方向の中央部に位置するセンタフロート17と、この左右両側部に位置するサイドフロート18を配置して、土壌面を滑走支持する形態とし、この植付フレーム2の上方には、前上り傾斜の苗タンク1を支架して、この苗タンク1の底部は、リードカム軸19の回転によって左右横方向へ移動されるカムボス20を連結して、このカムボス20と一体的に左右横方向へ往復移動される。
【0023】
また、植付フレーム2の伝動ケース21部の後端部には、苗植爪22を有して苗植軸23の周りに回転駆動して、この苗植爪22先端部を側面視楕円形状の植付軌跡線Dに描いて昇降駆動する植付装置24を設け、各センタフロート17、及びサイドフロート18による土壌均平跡に苗植付作動するように配置している。
【0024】
前記車体11は、ステアリングポスト25上のステアリングハンドル26の操向回動によって操向の前輪27と、リヤアクスルハウジング28に軸装の後輪29を有し、運転席30下のシートカバー31内に搭載のエンジン32よって、ベルト、HST、ミッションケース33内の連動機構、及び後輪連動軸34等を介して連動駆動して走行する構成としている。フロア35前部のステヤリングポスト25の左右外側方には、マット苗を収容の苗トレイを支持する苗受枠36を設け、マット苗をこの苗受枠36上から取出しながら後方の苗タンク1へ補給することができる。
【0025】
また、車体11後部のリヤフレーム37上には、肥料を収容する施肥ホッパー38、この施肥ホッパー38の肥料を繰出す繰出装置39、この繰出した肥料を送風機40の送風力で搬送させる施肥筒41、及びこの搬送肥料を各センタフロート17、サイドフロート18の作溝器43で形成される施肥溝部へ案内する施肥ホース42等からなる施肥装置44を設けている。
【0026】
また、前記車体11の後部には、PTO軸45を軸受するPTO伝動ケース46や、PTOクラッチを設けて、前記苗植装置10の伝動ケース21の入力軸47連結する苗植連動軸48を駆動する。この苗植連動軸48から入力軸47を伝動することによって、苗植伝動ケース21内の伝動軸49や、チエン50、及び苗植軸23等を連動して、苗植付装置24を伝動し、これと共に、変速ギヤ51を介してリードカム軸20を伝動して、リードカムボス20、及びこのリードカムボス20と一体のロッド52を介して苗タンク1を移動する。
【0027】
前記苗タンク1は、多条植形態に仕切53を形成して広幅に構成されて、各仕切53間のタンク幅底面には、繰出ベルト54が駆動される形態である。この苗タンク1の底部には、前記植付フレーム2に支持されて、後下端部は、この植付フレーム2に固定して設けられる側面視アングル状断面の苗取出口ガイド55にのぞませ、前上端部は、植付フレーム2と一体の支持フレーム56上の支持レール57に支持させて左右横移動自在に案内する。前記苗取出口ガイド55には各苗植付条位置における苗植爪22を下降介入させる苗取口58を形成している。この各苗取出口58の下側には、苗植爪22、及びこの苗植爪22によって分離保持された苗の植付下降を案内する植付ガイド59を取付けている。このような苗植取出口ガイド55の苗取出口58よりも奥側に、中空部7を形成した角チューボ形態で左右横方向に長いガイドレール4を一体構成としている。
【0028】
この苗タンク1の底部の繰出口60部は、後側面、及び下側面部を開放状態として、前記苗取出口ガイド55の後側面部55A、及び下側面部55Bを接近対向させている。そして、この苗タンク1底部の繰出口58に近い後端底部61の下側面には、中空部6を形成したスライドガイド3を前記ガイドレール4と平行にして取付ける。このスライドガイド3は、上、下縁部62、63を、前記ガイドレール4の上、下面部に重合させるように後側へ突出させてコ状断面の案内溝を介する摺動部64を形成して、この苗タンク1側のスライドガイド3の案内溝を、植付フレーム2側のガイドレール4の前部に嵌合させるようにして、左右横方向へ移動案内するものである。
【0029】
従って、苗タンク1を着脱するときは、このスライドガイド3と、ガイドレール4との嵌合部において接、離させて取付、取外を行うことができる。
前記注水孔5は、図1、図2のように、植付フレーム2側のガイドレール4の中間部7に形成したが、この形態に代えて、図3、図4のように、苗タンク1側のスライドガイド3の中空部6に構成して、これら摺動部64の案内溝部に注水するように構成することもできる。また、これらの中空部6、7には、注水孔5を有した送水チューブ8を挿通して苗タンク1の左右横端部に設けるカプラー65の給水口9から洗浄水を供給して、送水チューブ8を経て各注水孔5へ送水し、この注水孔5から摺動部64へ噴水させて、洗浄する形態としている。この送水チューブ8の各注水孔5は、送水チューブ8から側方の摺動部64へ向けて突出するノズル66形態として、この各ノズル66をスライドガイド3、またはガイドレール4等の摺動部64に形成の保持穴67に嵌合させて保持させる形態としている。また、苗タンク1の形態にあっては、前記スライドガイド3の途中に分割間隔部68を形成して、分割形態として構成する場合は、この分割間隔部68においてノズル66を摺動部64に向けて突出させるように構成することができる。
【0030】
ここにおいて、この苗タンク支持装置は、苗タンク1の底部と、この苗タンク1を支持する植付フレーム2との間に、この苗タンク1の底部に一体構成として左右横方向への往復移動を案内するスライドガイド3と、この苗タンク1の繰出口60部に繰り出される苗端部を摺接させて苗植爪22の作用する苗取口58へ案内する苗取出口ガイド55を形成のガイドレール4とを設け、これらスライドガイド3と、ガイドレール4と間の摺動部64に注水する注水孔5を設けた苗移植機の苗タンク支持装置の構成とする。
【0031】
マット苗を収容した苗タンク1が、植付フレーム2に支持されて左右横方向へ一マット苗幅相当間隔にわたって往復移動される。この苗タンク1繰出口60のマット苗繰出側端縁部に沿う苗取出口ガイド55の苗取口58には、植付フレーム2後部に設けられる苗植付装置の苗植爪22が下降介入して、この苗取口58に繰出されるマット苗から植付本数の苗を分離保持して、土壌面へ挿苗するが、苗タンク1は、横方向へ移動しながら常時マット苗を前記苗取口58上に繰出供給する。このような苗タンク1の横方向移動は、これら植付フレーム2側のガイドレール4と苗タンク1底部側のスライドガイド3との間の摺動部64で案内される。これらスライドガイド3と、ガイドレール4部は、共に苗タンク1の底部に配置構成されるため、上側の苗タンク1部と、前側の苗植爪22の作動部と、下方側の苗植土壌面部と等の間に在って、これら各部からの泥土等の飛散を受け易く、この泥土飛散を苗タンク1の横移動中に受けると、摺動部64への泥土侵入が行われ易い。苗植作業後にこれらスライドガイド3や、ガイドレール4部等を洗浄するときは、摺動部64内側に位置してこれらの間の案内溝部にのぞむ注水孔5から洗浄水を噴出して、各スライドガイド3と、ガイドレール4との間の摺動部64の案内溝に直接注水することによって、この摺動部64に侵入している泥土をこの案内溝から外側へ押し出すように流出排除して、洗浄することができる。
【0032】
また、前記スライドガイド3、またはガイドレール4の中空部6、7に、前記注水孔5を配置した送水チューブ8を設けて、この注水孔5からこれらスライドガイド3と、ガイドレール4との摺動部64へ注水するように構成する。
【0033】
前記のように苗タンク1の横移動は、この底部のスライドガイド3と、ガイドレール4との間の摺動部64における摺動によって案内されて安定した状態で行われる。そして、これらスライドガイド3と、ガイドレール4との間の摺動部64に注水する注水孔5を有した注水チューブ8が、これらスライドガイド3の内部に形成される中空部6か、または、ガイドレール4の内部に形成される中空部7に内装されていて、この注水チューブ8の各注水孔5を摺動部64内側の案内溝部にのぞませている。注水チューブ8から供給された給水は、各注水孔5から摺動部64へ噴出されていて、この摺動部64の案内溝部から外側へ向けて洗浄水を噴出させて、洗浄泥土を摺動部64の外側へ押出すようにして洗浄する。このような注水チューブ8の敷設形態では、各注水孔5を配置した注水チューブ8をスライドガイド3の中空部6、またはガイドレール4の中空部7内に沿わせて内装するため、苗タンク1が横移動しても、注水チューブ8の各注水孔5配置部や、この注水孔5部等の局部的な部分変形をなくして、安定した注水洗浄姿勢を維持して洗浄作用を行わせる。
【0034】
更には、前記スライドガイド3、またはガイドレール4の横端部に、前記各注水孔5への洗浄水を供給する給水口9を設ける。
前記のように苗タンク1を左右横方向へ往復移動させながら、この苗タンク1内のマット苗を苗植爪22の作動する苗取口58へ繰出して、苗植作業を行わせる。この苗植作業後に前記植付フレーム2側のガイドレール4に対する苗タンク1側のスライドガイド3の間の摺動部64を洗浄するときは、このスライドガイド3、またはガイドレール4の一側端に設けられた給水口9に、水道の給水ホース等を連結して給水することにより、これらスライドガイド3、またはガイドレール4の中空部6、7を経て、または、これら中空部6、7内に敷設の送水チューブ8を経て、各注水孔5から摺動部64へ注水させて洗浄することができる。
【0035】
次に、主として図8(a)(b)(c)に基づいて、前記苗タンク1の左右横移動を行わせるリードカム70の形態を、舟形状に形成して、このリードカム70の先端尖部71が、リードカム軸19のカム溝72の中心部に沿って移動案内され易くするものである。前記リードカム70の先端尖部71に続く左右両側面部73は、できるだけ後側へ長く形成して、カム溝72の両側面に摺接案内させる。このリードカム70は、前記リードカムボス20の内周部にカム軸74で回動自在に支持される。リードカム軸19が回転することにより、リードカム70がこのリードカム軸19の外周に螺旋状に形成されたカム溝72に嵌合案内されて移動され、リードカムボス20、及びロッド52を介して連結の苗タンク1を横移動する。
【0036】
次に、主として図9(a)(b)に基づいて、前記リードカム70のカム先75の形状を、前記リードカム軸19の周面に形成のカム溝72の溝底の形状に沿うように湾曲形成して、この湾曲部76の中央部に平坦部77を形成することによって、このリードカム70がカム溝72に案内されてカム軸部74周りに回動するとき、カム溝72の溝底に対して摺動する部分の摺動間隔を一定に維持して、リードカム70の摺動抵抗を一定に維持できる。
【0037】
次に、主として図6、図10に基づいて、前記苗受枠36の苗トレイから苗取板78によって掬取ったマット苗を後方の各苗タンク1に補給するが、この苗取板78の上端下側にはフック79を形成して、苗取作用後の苗取板78を、このフック79部を各苗タンク1の上端縁部80に係合させた状態にして、空の苗タンク1の上側面に重合保持させることができる。
【0038】
次に、主として図11(a)(b)、図12に基づいて、前記ステアリングハンドル26の回動操作を補助するパワーステアリングのトルクジュネレータ81において、苗植付時の直進走行時は、このパワーステアリングを切りにして操向域を小くして直進性を向上させる。苗植付直進時は、パワステの油圧を止めるか、または下げることによって、ステアリングハンドル26の操向操作を重くして、直進性を向上させる。操向旋回後に苗植付作動を開始して、ハンドル26の操向操作角が一定以下になると、自動的にパワステの油圧が制御される。そして、苗植付クラッチが切りになると、このパワステの油圧を元に戻し、ハンドルを一定域以上に操作すると油圧を元に戻す。
【0039】
苗植付始めは、位置修正でハンドルを操作することが多いが、安定してからパワステを切るため違和感を少くすることができる。82はハンドル26によって切替えられる操向切替弁、83はリリーフバルブ、84はソレノイドバルブで、ハンドルの操向角度によって、コントローラからの電磁出力によりトルクジェネレータ81の回路を開、閉に切替える。
【符号の説明】
【0040】
1 苗タンク
2 植付フレーム
3 スライドガイド
4 ガイドレール
5 注水孔
6 中空部
7 中空部
8 送水チューブ
9 給水口
22 苗植爪
55 苗取出口ガイド
58 苗取口
60 繰出口
64 摺動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗タンク(1)の底部と、この苗タンク(1)を支持する苗植フレーム(2)との間に、この苗タンク(1)の底部に一体構成として左右横方向への往復移動を案内するスライドガイド(3)と、この苗タンク(1)の繰出口(60)部に繰り出される苗端部を摺接させて苗植爪(22)の作用する苗取口(58)へ案内する苗取出口ガイド(55)を形成のガイドレール(4)とを設け、これらスライドガイド(3)と、ガイドレール(4)と間の摺動部(64)に注水する注水孔(5)を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記スライドガイド(3)またはガイドレール(4)の中空部(6,7)に、前記注水孔(5)を配置した送水チューブ(8)を設けて、この注水孔(5)からこれらスライドガイド(3)と、ガイドレール(4)との摺動部(64)へ注水する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
前記スライドガイド(3)またはガイドレール(4)の横端部に、前記各注水孔(5)への洗滌水を供給する給水口(9)を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−70691(P2012−70691A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219037(P2010−219037)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】