説明

茸栽培用巻紙

【課題】多数の隙間の狭い通気部分を確実にしかも低コストで形成することにより、形状、色彩、歯ごたえのそれぞれが好ましい状態となるように茸の子実体を成長させることが可能であって、繰り返し利用に十分耐えると共に安価な茸栽培用巻紙を提供する。
【解決手段】厚さ方向に貫通する複数の切り込み線20が設けられ、複数の切り込み線20により舌片42群が形成されたシート体12に形成され、シート体12を栽培用びん30のびん口32に巻装してガイド体40を構成した際に、舌片42群がガイド体40の表面から離反することによりガイド体40の通気用孔44を構成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は茸の人工栽培において、茸の子実体の成長期に栽培びんに取り付けて成長ガイド体として用いる栽培用巻紙に関する。
【背景技術】
【0002】
エノキ茸等の茸は、子実体の成長に伴って緩やかに拡径する形状となるのが好ましいとされている。このため、子実体の成長期においては、子実体が好ましい形状に成長するように、栽培びんのびん口に巻紙とよばれるシート体を巻きつけて、逆円錐台状に形成された成長ガイド体が装着されている。
また、特にエノキ茸は、形状もさることながら白色であることが好ましいため、子実体を成長させる際には光を当てないようにすることも重要な要素である。
以上の条件を満たし、繰り返しの利用が可能であってしかも安価な巻紙として、近年においては合成樹脂製のフィルム材により形成された茸栽培用巻紙が好適に用いられている。
【0003】
また、エノキ茸は独特の歯ごたえも商品価値に反映し、生産者の収益に直結するため、人工栽培を行う上で重要な要素になる。茸に独特の歯ごたえを持たせるためには、適度な湿度条件下で子実体を成長させなければならないことが知られている。そこで、合成樹脂性フィルムに通気用の孔を設けた茸栽培用巻紙が例えば特許文献1において提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】公開実用昭和62−142237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
茸栽培用巻紙に形成した通気用の孔の径寸法が大きいと、栽培用びんのびん口に茸栽培用巻紙を装着した際において、茸の子実体の一部が通気用の孔部分からはみ出した状態で成長し、茸全体の形状が不適切になってしまうという課題がある。
反面、通気用の孔の径寸法が小さいと、通気用の孔をプレス抜き加工等で形成した場合、通気用の孔の外周縁にばりが生じてしまうため、加工精度の高いプレス抜き機を用いなければならず、茸栽培用巻紙の製造コストが高騰してしまうといった課題がある。
【0006】
そこで本願発明は、多数の隙間の狭い通気部分を確実にしかも低コストで形成することにより、形状、色彩、歯ごたえのそれぞれが好ましい状態となるように茸の子実体を成長させることが可能であって、繰り返し利用に十分耐えると共に安価な茸栽培用巻紙を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、厚さ方向に貫通する複数の切り込み線が設けられ、該複数の切り込み線により舌片群が形成されたシート体に形成され、当該シート体を栽培用びんのびん口に巻装してガイド体を構成した際に、前記舌片群が前記ガイド体の表面から離反することにより前記ガイド体の通気孔を構成することを特徴とする茸栽培用巻紙である。
【0008】
また、前記切り込み線は、前記びん口への巻き方向と交差する方向に伸び、かつ、前記びん口への巻き方向に湾曲する湾曲線に形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記切り込み線は、前記シート体の巻き方向に対向し、互いに逆方向であって、かつ、外方に向かって湾曲する一対の単位切り込み線が複数設けられていることを特徴とする。これらの切り込み線は、円弧状やコの字型に形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記びん口のカラー部と重複する部位には通気部が配設されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記シート体には、吊り下げ用孔が配設されていることを特徴とし、この吊り下げ用孔は、前記シート体の端部の耳部に配設されていることが好ましい。
【0012】
また、前記シート体の表面には、前記吊り下げ用孔を利用して複数枚を積層状態に並べて吊り下げた際に、前記シート体どうしの密着を防ぐスペーサーが配設されていることを特徴とし、このスペーサーには面ファスナーを用いることが好ましい。
【0013】
また、前記シート体は、前記びん口に装着可能な径寸法を有する筒状体をなすように湾曲させた後に前記シート体の湾曲方向における端部が接合され、あらかじめガイド体に形成されていることを特徴とし、前記シート体の湾曲方向における端部は、溶着または圧着により接合されていることが好ましい。
【0014】
また、前記ガイド体を積み重ねて保管する際に前記ガイド体どうしの密着を防ぐため、ガイド体の外周面に係合面をあらわした状態で面ファスナーが配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる茸栽培用巻紙を栽培びんのびん口に巻装することで、シート体の切り込み線により形成された舌片群がガイド体から離反して通気部を形成する。この通気部により、子実体を成長させる際に栽培びんのびん口に装着するガイド体の通気部分を可及的に狭く、しかも安価に形成することができるため、通気部から子実体がガイド体の外にはみ出して成長したり、不適切な水分(湿度)条件下で成長することがなく、形状や歯ごたえに優れた商品価値の高い茸を栽培することが可能な茸栽培用巻紙を安価で提供することができる。
また、シート体に光波長のフィルター機能を有する材料を用いることで色あいにも優れた茸を栽培することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。
【図2】茸栽培用巻紙を栽培びんに装着した状態を示す正面図である。
【図3】図2中のA部分における拡大図である。
【図4】第2実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。
【図5】第3実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。
【図6】第4実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。
【図7】第5実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。
【図8】第6実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。
【図9】第7実施形態における茸栽培用巻紙を示す正面図および背面図である。
【図10】第8実施形態における茸栽培用巻紙を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかる茸栽培用巻紙の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。図2は、茸栽培用巻紙を栽培びんに装着した状態を示す正面図である。図3は、図2中のA部分における拡大図である。
図1に示すように、本実施形態における茸栽培用巻紙10は、扇形の一部を取り除いた湾曲した帯状のシート体12に形成されている。シート体12の材料としては、ポリプロピレンフィルム等の合成樹脂フィルムが好適に用いられる。
【0019】
シート体12の両端部位置には、面ファスナー14が取り付けられている。シート体12への面ファスナー14の取り付け方法は、シート体12の面ファスナー14取り付け位置に貫通孔16を形成し、シート体12の一方の面から面ファスナー14で貫通孔16を覆った後、シート体12の反対側の面から熱溶着シート17で貫通孔16を覆うようにして貼り付けて熱溶着することにより、面ファスナー14と熱溶着シート17とによりシート体12を挟持させた状態で取り付ける方法(特許第3481606号)が好適に用いられる。シート体12への面ファスナー14の取り付け方法は、この方法に限定されるものではなく、他の取り付け方法を採用することももちろんできる。
【0020】
シート体12にはシート体12の厚さ方向に貫通する切り込み線20が形成されている。本実施形態における切り込み線20は片カッコ型等の湾曲形状に形成されている。切り込み線20は、シート体12の延伸方向(図中の左右方向、すなわち、びん口32への巻き方向)に交差する方向に伸び、かつ、シート体12の延伸方向に湾曲する湾曲線に形成されている。
また、シート体12の長手方向を均等に区分する中心線18の左右の領域18A,18Bにおいて、それぞれの領域18A,18B内では各々の切り込み線20,20,20,・・・(以下、切り込み線群ということがある)が同一方向に千鳥配列で形成されている。そして、互いの領域18A,18Bどうしにおいては、中心線18を中心として左右対称の配置となるように各々の切り込み線群が形成されている。
【0021】
また、シート体12には、シート体12の短辺側の円弧状端縁(図1における下側端縁)に沿って貫通孔からなる通気部19が所要間隔に配設されている。通気部19の径寸法は、栽培びん30のびん口32のカラー部分34の高さの範囲内に収まる径寸法であることが好ましいが、特に制約されるものではない。図2には通気部19を一段配置した状態が示されているが、カラー部分34と重複する部分に複数段に通気部19を配設してもよいのはもちろんである。
【0022】
シート体12を以上のように加工することにより茸栽培用巻紙10が形成される。茸栽培用巻紙10は、図2に示すように、栽培びん30のびん口32のカラー部分34に茸栽培用巻紙10(シート体12)の短辺側の円弧状端縁を巻きつけ、面ファスナー14どうしを係合させることにより装着(巻装)される。栽培びん30に巻装された茸栽培用巻紙10は、上方に徐々に拡径する逆円錐台状の形状となり、茸の子実体を成長させる際におけるガイド体40に構成される。
【0023】
栽培びん30のびん口32に茸栽培用巻紙10を巻装することによりガイド体40が形成されると、シート体12に形成されていた切り込み線20部分によりシート体12の一部が舌片42となる。このような舌片42はシート体12に多数個配設され、舌片群をなしている。
シート体12の舌片42の部位を除く部分は、びん口32に沿って弾性変形し、逆円錐台状に湾曲するガイド体40を構成する。これに対してシート体12の舌片42が形成されている部位は、切り込み線20によって、ガイド体40の湾曲表面と不連続になり、ガイド体40の表面から離反する(図3参照)。すなわち、舌片42の部位は、切り込み線20の両端部位置におけるガイド体40外表面の周方向における接線方向に伸びることになる。この結果として、舌片42とガイド体40表面との間に隙間が形成されるのである。この隙間がガイド体40の内側と外側とを連通する通気孔44となっている。この通気孔44によりガイド体40の内側空間における湿度調整が可能になる。ガイド体40の表面と舌片42との離間距離は切り込み線20の湾曲度合いおよび延長により規定することができ、予め茸栽培用巻紙10を試作することにより切り込み線20に関する必要な数値を得ることができる。
【0024】
子実体が進入しないようにするため、ガイド体40と舌片42の先端との離間距離(通気孔44の隙間寸法)を小さくしたとしても、ガイド体40には多数の舌片42(舌片群)が形成されること、および、ガイド体40から離反する舌片42の縁部総延長(切り込み線20の長さ)を増やすことにより、通気空間として作用する開口面積の総和は従来の通気部の開口面積の総和と同等以上にすることができる。
このことに加え、栽培びん30のびん口32のカラー部分34と重複している部分には従来と同様の貫通孔19が設けられているし、子実体の成長に伴って、子実体により舌片42が押し広げられ、通気孔44の隙間寸法がさらに大きくなることも期待できるので、十分な通気を確保することが可能である。
【0025】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。
本実施形態においては第1実施形態と同じ構成については図4内に同じ番号を付すことにより詳細な説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分についてのみ説明を行うことにする。
【0026】
先の実施形態においては、シート体12に形成される切り込み線20の湾曲向きは、シート体12の長手方向を等しく区分する中心線18の左右の領域18A,18Bにおいて互いに中心線18において線対称になっているが、本実施形態においては、第1実施形態と同等の作用をなす茸栽培用巻紙10の変形例について説明する。
図4内に示すように、本実施形態にかかる茸栽培用巻紙10は、右側に突出する状態に湾曲する一方の切り込み線20が配置されている領域をW1とし、左側に突出する状態に湾曲する他方の切り込み線20が配置されている領域をW2とW3とした場合において、シート体12内の領域W1内における一方の切り込み線20の配設数と、シート体12内の領域W2およびW3内における他方の切り込み線20の配設数とが同数となるようにした。
このように切り込み線群を配設した場合であっても、茸栽培用巻紙10を栽培びん30のびん口32に装着すれば、第1実施形態と実質的に同様のガイド体40を構成することができる。
【0027】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。
本実施形態においては、切り込み線20の形状をコの字状とし、コの字状の切り込み線20を左右対称(シート体12の長手方向に直交する線に対称)に2本配設することで単位切り込み線22を構成し、シート体12内に単位切り込み線22が複数配設されていることが特徴的である。単位切り込み線22を構成する切り込み線20は、互いの開口部側がシート体12の長手方向において対向した状態で配設されている。
【0028】
本実施形態においては、単位切り込み線22を2本の切り込み線20,20により構成しているが、単位切り込み線22内において切り込み線20が左右(シート体12の長手方向)対称に配設されていればよく、4本,6本,8本,・・・というように偶数本の切り込み線20により単位切り込み線22を構成することもできる。
【0029】
本実施形態における切り込み線20は直線からのみ構成されており、湾曲線ではないという点においても他の実施形態と異なる特徴点である。
このことから、本発明においてシート体12に形成される切り込み線20は、茸栽培用巻紙10を栽培びん30のびん口32に装着して、円錐台状のガイド体40を形成した際に、切り込み線20部分がガイド体40の表面から離反して舌片42を形成することができれば、湾曲線状以外の切り込み線20を採用してもよいということがいえる。
【0030】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。
以上に説明した実施形態においては、切り込み線20の湾曲部(屈曲部)の向きが茸栽培用巻紙10(シート体12)の長手方向において左右対称となるように配設されている実施形態について説明しているが、これは、茸栽培用巻紙10を繰り返し使用する際において、栽培びん30に装着する茸栽培用巻紙10の周設向きを反対向きにして用いることがあり、この場合においてもガイド体40表面から舌片42を適切に離反させるためである。しかしながら、切り込み線20の配設向きは、上記実施形態のように茸栽培用巻紙10の長手方向において必ずしも左右対称になっていなくてもよいのである。具体的には、図6に示すように、茸栽培用巻紙10(シート体12)において、切り込み線20の配向を一方向のみにする形態とすることもちろん可能である。
【0031】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。本実施形態における茸栽培用巻紙10には、吊り下げ用孔27が配設されている。吊り下げ用孔27は、茸栽培用巻紙10の端部に設けられた耳部25に配設されている。茸栽培用巻紙10は、茸収穫後に洗浄および乾燥させてから再利用するが、洗浄後の乾燥時にフック等に係止させておくことができるため、省スペースで茸栽培用巻紙10を乾燥させることができるため好都合である。
【0032】
(第6実施形態)
図8は、第6実施形態における茸栽培用巻紙を示す平面図である。本実施形態における茸栽培用巻紙10は、第5実施形態における茸栽培用巻紙10の構成に加え、茸栽培用巻紙10の平面中央部分にスペーサーとしての面ファスナー14が配設されている点が特徴的である。面ファスナー14は、第1実施形態で説明した方法と同様にして配設することができる。茸栽培用巻紙10の表面から面ファスナー14が突出することで、洗浄直後において、吊り下げ用孔27で係止された濡れた状態の茸栽培用巻紙10どうしの密着が防止され、茸栽培用巻紙10を積層状態で並べても乾燥が促進され、省スペースで効率的な乾燥処理が可能になる。また、面ファスナー14を乾燥させための所要時間は茸栽培用巻紙10を乾燥させるための所要時間よりも短時間である。すなわち、洗浄した茸栽培用巻紙10を可及的短時間で乾燥させることができるため好都合である。このように、濡れた状態の茸栽培用巻紙10どうしの密着を防ぐことができればスペーサーとして用いる材料は、面ファスナー14に限定されるものではなく、単なるスペーサーを用いることもできる。また、栽培びん30のカラー部分34に巻き付けられる部位に配設された面ファスナー14は、茸栽培用巻紙10(シート体12)の表面と裏面の両面にそれぞれ一枚ずつ取り付けられているから、茸栽培用巻紙10の洗浄後の乾燥工程におけるスペーサーとしても機能するのはもちろんである。
【0033】
(第7実施形態)
図9は、第7実施形態における茸栽培用巻紙を示す正面図および背面図である。本実施形態における茸栽培用巻紙10は、第1実施形態〜第6実施形態において説明した茸栽培用巻紙10とは異なり、あらかじめ、図2および図9で示すようなガイド体40をなしている点が特徴的である。本実施形態における茸栽培用巻紙10は、先の実施形態で説明したような円弧状をなす湾曲した帯状ではなく長方形状に形成されている。長方形状に形成された茸栽培用巻紙10を栽培びん30のびん口32の径寸法に合わせて湾曲させ、図9に示すように寸胴な筒状に形成する。茸栽培用巻紙10(シート体12)の湾曲方向における端部50は、超音波溶着や熱圧着等により接合することができる。このように、あらかじめ茸栽培用巻紙10によりガイド体40を形成しておくことで、栽培びん30への装着を容易にすることができる。子実体が十分に成長し、茸を収穫する際にはガイド体40ごと栽培びん30から取り外せばよい。すなわち、収穫時におけるガイド体40(茸栽培用巻紙10)の取り外し作業を省略することもでき、茸栽培における省力化が可能である。
【0034】
(第8実施形態)
図10は、第8実施形態における茸栽培用巻紙の背面図である。本実施形態は第7実施形態の変形例である。本実施形態における茸栽培用巻紙10もまた、あらかじめガイド体40に形成されている。ここでは、ガイド体40が逆円錐台状をなしている点と茸栽培用巻紙10の端部50の接合形態が第7実施形態と異なっている。本実施形態のガイド体40は、栽培びん30への装着側(図中下側)の径寸法に対して、子実体成長側(図中上側)の径寸法の方が大きくなるように形成されている。すなわち、茸栽培用巻紙10の平面形状は、円弧状をなす湾曲した帯状となる。また、茸栽培用巻紙10(シート体12)の湾曲方向における端部50には、係合面がガイド体40の外周面にあらわれるように面ファスナー14が配設されている。ここではガイド体40の高さ方向にわたってほぼ均等な間隔で3箇所に面ファスナー14を配設した。ここで、シート体12への面ファスナー14の配設方法は、先の実施形態において説明したとおりである。
【0035】
このように逆円錐台状をなすガイド体40と面ファスナー14との組み合わせにより、ガイド体40を繰り返し使用する際において、ガイド体40を洗浄して乾燥させる際に、ガイド体40を高さ方向に積み重ねることができる。このようにガイド体40を積み重ねても、面ファスナー14がスペーサーとなり、ガイド体40どうしの密着を防止することができる。すなわち、ガイド体40を乾燥させる際に要するスペースを少なくすることができる点で有利である。
【0036】
以上に、本実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明は本実施形態にのみ限定されるものではないのはもちろんであり、発明の要旨を変更しない範囲において各種改変を施したとしても本発明の技術的範囲に属することはいうまでもない。
例えば、以上の実施形態においては、シート材12としてポリプロピレン等の合成樹脂製フィルムを用いているが、従来のろう紙により形成したシート体12においても本願発明をそのまま適用することができる。
また、第1実施形態および第2実施形態においては、切り込み線20を千鳥配列に配設している形態について説明しているが、切り込み線20はシート体12に直列配置に配設することももちろん可能である。
【0037】
また、以上の実施形態においては、茸栽培用巻紙10に形成する切り込み線20をすべて同じに大きさ(長さ)に設定しているが、茸栽培用巻紙10の短辺側端縁(下側端縁)から長辺側端縁(上側端縁)に近付くにつれて徐々に切り込み線20の大きさ(長さ)を拡大するように形成する形態を採用してもよい。
この形態を採用することにより、小さい子実体が当たる成長初期においては子実体が舌片42の通気孔44からガイド体40の外部にはみ出すことを防止することができる。また、成長期後期においては子実体が大きくなるため、子実体による舌片42の押圧力も大きくなると共に、通気孔44からはみ出してしまうことがないため、ガイド体40表面からの舌片42の離反量を好適に増加させることができるので、ガイド体40の内外の空気の流通量が増え、より好適な生育条件を提供することが可能である。
【0038】
また、以上の実施形態における茸栽培用巻紙10は、栽培びん30のびん口32のカラー部分34と重複する部位に、円形の通気部19を配設することによりガイド体40の通気部として機能させている形態についてそれぞれ説明しているが、カラー部分34と重複する部位に円形の貫通孔19に代えて切り込み線20を配設した茸栽培用巻紙10とすることによっても、以上の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】
また、吊り下げ用孔27は耳部25以外の部位に配設されていても良く、吊り下げ孔27が配設されていない場合には、通気部19で代用することもできる。この場合にも、茸栽培用巻紙10の平面中央部分に面ファスナー14が配設されていれば、茸栽培用巻紙10を洗浄した後の乾燥時における茸栽培用巻紙10どうしの密着を防止することができるため好都合である。
【符号の説明】
【0040】
10 茸栽培用巻紙
12 シート体
14 面ファスナー
16 貫通孔
17 熱溶着シート
18 中心線
18A,18B 領域
19 通気部
20 切り込み線
22 単位切り込み線
25 耳部
27 吊り下げ用孔
30 栽培びん
32 びん口
34 カラー部分
40 ガイド体
42 舌片
44 通気孔
50 茸栽培用巻紙の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に貫通する複数の切り込み線が設けられ、該複数の切り込み線により舌片群が形成されたシート体に形成され、当該シート体を栽培用びんのびん口に巻装してガイド体を構成した際に、前記舌片群が前記ガイド体の表面から離反することにより前記ガイド体の通気孔を構成することを特徴とする茸栽培用巻紙。
【請求項2】
前記切り込み線は、前記びん口への巻き方向と交差する方向に伸び、かつ、前記びん口への巻き方向に湾曲する湾曲線に形成されていることを特徴とする請求項1記載の茸栽培用巻紙。
【請求項3】
前記切り込み線は、前記シート体の巻き方向に対向し、互いに逆方向であって、かつ、外方に向かって湾曲する一対の単位切り込み線が複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の茸栽培用巻紙。
【請求項4】
前記切り込み線は、円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の茸栽培用巻紙。
【請求項5】
前記切り込み線は、コの字型に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の茸栽培用巻紙。
【請求項6】
前記びん口のカラー部と重複する部位には通気部が配設されていることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の茸栽培用巻紙。
【請求項7】
前記シート体には、吊り下げ用孔が配設されていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の茸栽培用巻紙。
【請求項8】
前記吊り下げ用孔は、前記シート体の端部の耳部に配設されていることを特徴とする請求項7記載の茸栽培用巻紙。
【請求項9】
前記シート体の表面には、前記吊り下げ用孔を利用して複数枚を積層状態に並べて吊り下げた際に、前記シート体どうしの密着を防ぐスペーサーが配設されていることを特徴とする請求項7または8記載の茸栽培用巻紙。
【請求項10】
前記スペーサーは、面ファスナーであることを特徴とする請求項9記載の茸栽培用巻紙。
【請求項11】
前記シート体は、前記びん口に装着可能な径寸法を有する筒状体をなすように湾曲させた後に前記シート体の湾曲方向における端部が接合され、あらかじめガイド体に形成されていることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の茸栽培用巻紙。
【請求項12】
前記シート体の湾曲方向における端部は、溶着または圧着により接合されていることを特徴とする請求項11記載の茸栽培用巻紙。
【請求項13】
前記ガイド体を積み重ねて保管する際に前記ガイド体どうしの密着を防ぐため、ガイド体の外周面に係合面をあらわした状態で面ファスナーが配設されていることを特徴とする請求項11または12記載の茸栽培用巻紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−195225(P2009−195225A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4535(P2009−4535)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【特許番号】特許第4307520号(P4307520)
【特許公報発行日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(394001906)
【出願人】(501205599)
【Fターム(参考)】