草刈機
【課題】トラクタに装着して草刈り作業を行う作業部の傾斜角度を回動させて変更させる際に作動させるシリンダを同じ回動条件に対してより小型にすることができる草刈機を提供することを目的とする。
【解決手段】トラクタに装着して草刈作業を行う草刈機において、トラクタ200に装着する装着部110と、装着部110と連結される取付部材30と、取付部材30に垂直方向に回動可能に支持されて草刈作業を行う作業部150と、作業部150を回動させるシリンダ180とを有し、シリンダ180は、作業部150を回動させるとき作業部150の重心が持ち上がる方向がシリンダ180の伸びる方向になるように取り付けられる。
【解決手段】トラクタに装着して草刈作業を行う草刈機において、トラクタ200に装着する装着部110と、装着部110と連結される取付部材30と、取付部材30に垂直方向に回動可能に支持されて草刈作業を行う作業部150と、作業部150を回動させるシリンダ180とを有し、シリンダ180は、作業部150を回動させるとき作業部150の重心が持ち上がる方向がシリンダ180の伸びる方向になるように取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈機に関し、特に、トラクタに装着して草刈り作業を行う作業部の傾斜角度を回動により変更することができる草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の草刈機について説明する。
【0003】
図7は、従来の草刈機の例を示す平面図であり、図8は、同じく側面図である。従来の草刈機100は、装着部110と作業部150とこれらの間を連結するアーム120、125や取付部材130、ジョイント140等によって構成されている。装着部110を図示を省略したトラクタ200の後部に装着して草刈作業を行う。
【0004】
トラクタ200からの動力は、装着部110に取り付けられる第1入力軸115、ジョイント140、作業部150側の第2入力軸161と伝達される。第2入力軸161は、カバー151上のミッションケース165に設置されており、第2入力軸161からの動力は、ミッションケース165内のベベルギア162、163を介して作業部150の側部に送られる。そして、作業部150の側部のベルトカバー152内では、伝達された動力は、第1プーリー170、ベルト171、第2プーリー172を介して、カバー151下部に配置された草刈軸175へ伝達される。草刈軸175には、草刈爪176が取り付けられており、草刈軸175を回転させると、地面上の草をカットしていく。このとき、後方のローラ159を接地して作業機を地面に受けることができる。
【0005】
第1アーム120と第2アーム125は、装着部110に備える取付部111と、作業部150側と取り付けられる取付部材130の間に、それぞれ水平方向に回動可能に支持される。これら2つのアームにより平行リンクを形成している。
【0006】
図9は、従来の草刈機のオフセット移動の状態例を示す平面図である。図9に示すように、オフセットシリンダ128を作動させると平行リンクが動き、装着部110に対して、作業部150の位置を横方向に変化させることができる。また、動力はジョイント140により作業部150の位置が変わっても一定角度内であれば伝達可能となっている。これらにより、トラクタ200に対しての作業部150の位置を変更して作業可能となる。
【0007】
図10は、従来の草刈機の例を示す背面図である。取付部材130の回動軸132が、作業部150のカバー151上にある取付部153(図8)に固定される支持部材155(図7、図9)に垂直方向に回動可能(トラクタ200の前進方向が中心軸方向)に取り付けられる。また、回動シリンダ180は、取付部材130のシリンダ取付軸135に一端がとりつけられ、他端は、カバー151上にあるカバー側取付部156のカバー側取付軸156aに取り付けられる。
【0008】
図11は、従来の草刈機における取付部材130の一例を示す図である。取付部材130は、フレーム板131の一側面に、回動軸132を有しその反対側面は、アーム取付板133、134を有している。そして、このアーム取付板133、134の間に第1アーム120と、第2アーム125が回動可能に取り付けられる。また、回動軸132の上部に、シリンダ取付軸135が回動軸132と平行に設けられている。回動軸132は支持部材155に回動可能に取り付けられ、作業部150の回動中心となる。また、シリンダ取付軸135の段部135aより先端に回動シリンダ180の一端が取り付けられる。
【0009】
図12は、従来の草刈機を傾斜させる場合の各状態例を示す背面図である。図10にも示したように、回動軸132は、作業部150の重心Gより一方の側面側にずれており、シリンダ取付軸135は、回動軸132より上側にある。また、カバー側取付軸156aは、重心Gより他方の側面側に位置している。このような構成で、水平位置Aから、回動シリンダ180を作動させて縮ませると、作業部150は回動軸132を中心に回動し、図12のBの位置となる。このとき重心は持ち上がる。一方、回動シリンダ180を作動させて伸ばすと、作業部150は回動軸132を中心に回動し、図12のCの位置となる。このとき重心は下にさがる。
【0010】
草刈機100は、回動軸132が作業機150の中心より側面側(オフセット方向と逆側寄り)にずれていることにより、オフセット量を確保でき、さらに、作業機150をオフセットした位置(例えば、図7の位置)で作業部150を回動軸132を中心に回動させ傾斜させると、例えば、トラクタの横に位置する土手などの法面の草刈作業を容易に行うことができる。
【0011】
また、特許文献1には、作業部の水平回動により、走行機の前進による側方作業と後進による後方作業ができ、作業部を上下に回動可能な草刈取り装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−11796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
回動シリンダ180の大きさは、大きければそれだけパワーがあるが、重量も大きくなり、トラクタとの重量バランスにも影響する。さらに、コスト的にも高いものとなる。このため、シリンダは、できることなら、重量的にも、コスト的にもより小型である方が好ましい。これは特許文献1の上下回動用シリンダでも同様である。
【0014】
また、従来の草刈機では、図13に示すように、作業部150を回動させた場合(図12のCの位置に相当)、取付部材130の上部がジョイント140に干渉するため、回動角度が制限されていた。これは、リンダ支点軸135が上部に位置するために生じていた。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着して草刈り作業を行う作業部の傾斜角度を回動させて変更させる際に作動させるシリンダを同じ回動条件に対してより小型にすることができる草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の草刈機は、トラクタに装着して草刈作業を行う草刈機において、トラクタに装着する装着部と、前記装着部と連結される取付部材と、前記取付部材に垂直方向に回動可能に支持されて草刈作業を行う作業部と、前記作業部を回動させるシリンダとを有し、前記シリンダは、前記作業部を回動させるとき前記作業部の重心が持ち上がる方向が当該シリンダの伸びる方向になるように取り付けられることを特徴とする。
【0017】
さらに本発明の草刈機は、前記取付部材は前記作業部に、当該作業部の回動中心が当該作業部の重心より一方の側面側にずれた位置になるように取り付けられ、前記シリンダは、前記回動中心より下側に位置する前記取付部材上と、前記作業部の重心より他方の側面側に位置する前記作業部上との間に取り付けられることを特徴とする。
さらに本発明の草刈機は、前記装着部と前記取付部材の間の連結は、2本のアームによる平行リンクを介してオフセット可能に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、草刈機において、トラクタに装着して草刈り作業を行う作業部の傾斜角度を回動させて変更させる際に作動させるシリンダを同じ回動条件に対してより小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の草刈機の一実施形態を示す背面図である。
【図2】本発明の草刈機の一実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明の草刈機における取付部材の一例を示す図である。(a)〜(c)は視点の角度を変えて示した図である。
【図4】シリンダについての説明図である。
【図5】本発明の草刈機を傾斜させる場合の各状態例を示す背面図である。
【図6】本発明の草刈機の傾斜した状態の一例を示す正面図である。
【図7】従来の草刈機の例を示す平面図である。
【図8】従来の草刈機の例を示す側面図である。
【図9】従来の草刈機のオフセット移動の状態例を示す平面図である。
【図10】従来の草刈機の例を示す背面図である。
【図11】従来の草刈機における取付部材の一例を示す図である。(a)〜(c)は視点の角度を変えて示した図である。
【図12】従来の草刈機を傾斜させる場合の各状態例を示す背面図である。
【図13】従来の草刈機の傾斜した状態の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態を説明する。以下の実施形態では、図7〜図13で示した従来例と異なる点について説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。
【0021】
図1は、本発明の草刈機の一実施形態を示す背面図であり、取付部材30の位置関係を示してある。また、図2は、同じく平面図である。また、図3は、本発明の草刈機1における取付部材30の一例を示す図である。従来例と異なる点は、取付部材30の形状と、回動シリンダ180の取り付けである。
【0022】
図3に示すように、取付部材30は、フレーム板31の一側面に、回動軸32とシリンダ取付軸35を有しその反対側面には、第1上孔33aと第2上孔33bを有するアーム取付上板33と、第1下孔34aと第2下孔34bを有するアーム取付下板34を有している。そして、このアーム取付上板33とアーム取付下板34の間に、第1上孔33aと第1下孔34a間を軸として第1アーム120が、第2上孔33bと第2下孔34bを軸として第2アーム125が水平方向に回動可能に取り付けられる。
【0023】
回動軸32は、補強部36を介してフレーム板31に固定されている。また、シリンダ取付軸35は、回動軸32の下側に設けられており、回動軸132と平行に設けられている。また、シリンダ取付軸35の位置は、回動させたときの回動シリンダ180との干渉を考慮して、回動軸32より重心Gの方向へ横側にずれており、シリンダ取付軸35の上部には補強部材36を配していない。また、シリンダ取付軸35の段部35aは、従来例(段部135a)より、フレーム板31に近くなっている。
【0024】
この取付部材30を、草刈機に適用すると図1のようになる。また、図2に示すように、回動軸32は、作業部150の重心Gより少なくとも一方の側面側にずれて支持部材155に回動可能に取り付けられる。また、シリンダ取付軸35は、回動軸32より下側に位置しており、かつ、横方向については、やや重心G側(カバー側取付軸56a側)にずれている。一方、カバー側取付部56に有するカバー側取付軸56aは、作業部150の重心Gより他方の側面側の方向に設置される。カバー側取付部56はカバー151上に有しており、カバー側取付軸56aはシリンダ取付軸35よりやや高い位置となっている。そして、回動シリンダ180の両端は、シリンダ取付軸35とカバー側取付軸56aとの間を連結して、それぞれ(作業部150の回動と同じ方向に)回動可能に取り付けられている。
【0025】
また、シリンダ取付軸35を回動軸32より下側にしたことにより、回動シリンダ180が、カバー151との干渉が生じるようになる。このため、図2で示すように、上側からみて回動シリンダ180をカバー151より外側(前側)に配置させる。すなわち、カバー側取付部56のカバー側取付軸56aをカバー151より前に突出させ、さらに、取付部材30のシリンダ取付軸35の段部35aの位置をフレーム板31側にし、回動シリンダ180をカバー151に当たらないようにしている。
【0026】
図4は、シリンダについての説明図である。シリンダ210は、片方にロッド211を有し、シリンダ内のピストン212と接続している。このとき、同じ圧力をシリンダ内にかけた場合、力は「圧力×面積」であるためロッド211を有しないB方向の力の方が圧力を受ける面積がA方向より大きく、発生する力も大きくなる。すなわち、この方式のシリンダの場合、同じ圧力に対して、伸びの力のほうが大きく出せることになる。回動シリンダ180においても同様のシリンダを採用し、油圧などにより圧力をかける。
【0027】
図5は、本発明の草刈機を傾斜させた場合の各状態例を示す背面図である。図5に示すように、水平位置Aから、回動シリンダ180を作動させて伸ばすと、作業部150は回動軸32を中心に取付部材30に対して回動して図5のBの位置となる。このとき重心Gは持ち上がる。また、図5のBの位置から、回動シリンダ180を作動させて縮ませると、作業部150は回動軸32を中心に回動して図5のAの位置にもどる。このとき重心Gは下にさがる。一方、水平位置Aから、回動シリンダ180を作動させて縮ませると、作業部150は取付部材30に対して回動軸32を中心に回動して図5のCの位置となる。このとき重心Gは下にさがる。また、図5のCの位置から、回動シリンダ180を作動させて伸ばすと、作業部150は回動軸32を中心に回動して図5のAの位置にもどる。このとき重心Gは持ち上がる。
【0028】
このように、重心Gが持ち上がる時に、回動シリンダ180を伸ばす方向に設置することで、シリンダの力を大きくでき、同じ条件ならより小型のシリンダ(例えば、径の細いシリンダ)とすることができる。また、同じシリンダであれば、大きな作業部150を動かすことができる。さらに、シリンダ径を同じにした場合、大きな力を出せるので、シリンダの取り付けを変更して(例えば、回動軸32とシリンダ取付軸35の距離を縮めるなどしてて)、シリンダのストロークを短いものとすることもできる。
【0029】
また、図6のように、作業部150を回動させた場合(図5のCの位置に相当)、従来例(図13)と異なり、取付部材30のシリンダ取付軸35が上部にないため、ジョイント140との干渉域がなくなる。これにより、作業部150の回動範囲をより広くとることが可能となる。
【符号の説明】
【0030】
100 草刈機
30、130 取付部材
32、132 回動軸
35、135 シリンダ取付軸
56、156 カバー側取付部
56a、156a カバー側取付軸
110 装着部
120 第1アーム
125 第2アーム
140 ジョイント
150 作業部
151 カバー
155 支持部材
180 回動シリンダ
200 トラクタ
G 作業部150の重心G
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈機に関し、特に、トラクタに装着して草刈り作業を行う作業部の傾斜角度を回動により変更することができる草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の草刈機について説明する。
【0003】
図7は、従来の草刈機の例を示す平面図であり、図8は、同じく側面図である。従来の草刈機100は、装着部110と作業部150とこれらの間を連結するアーム120、125や取付部材130、ジョイント140等によって構成されている。装着部110を図示を省略したトラクタ200の後部に装着して草刈作業を行う。
【0004】
トラクタ200からの動力は、装着部110に取り付けられる第1入力軸115、ジョイント140、作業部150側の第2入力軸161と伝達される。第2入力軸161は、カバー151上のミッションケース165に設置されており、第2入力軸161からの動力は、ミッションケース165内のベベルギア162、163を介して作業部150の側部に送られる。そして、作業部150の側部のベルトカバー152内では、伝達された動力は、第1プーリー170、ベルト171、第2プーリー172を介して、カバー151下部に配置された草刈軸175へ伝達される。草刈軸175には、草刈爪176が取り付けられており、草刈軸175を回転させると、地面上の草をカットしていく。このとき、後方のローラ159を接地して作業機を地面に受けることができる。
【0005】
第1アーム120と第2アーム125は、装着部110に備える取付部111と、作業部150側と取り付けられる取付部材130の間に、それぞれ水平方向に回動可能に支持される。これら2つのアームにより平行リンクを形成している。
【0006】
図9は、従来の草刈機のオフセット移動の状態例を示す平面図である。図9に示すように、オフセットシリンダ128を作動させると平行リンクが動き、装着部110に対して、作業部150の位置を横方向に変化させることができる。また、動力はジョイント140により作業部150の位置が変わっても一定角度内であれば伝達可能となっている。これらにより、トラクタ200に対しての作業部150の位置を変更して作業可能となる。
【0007】
図10は、従来の草刈機の例を示す背面図である。取付部材130の回動軸132が、作業部150のカバー151上にある取付部153(図8)に固定される支持部材155(図7、図9)に垂直方向に回動可能(トラクタ200の前進方向が中心軸方向)に取り付けられる。また、回動シリンダ180は、取付部材130のシリンダ取付軸135に一端がとりつけられ、他端は、カバー151上にあるカバー側取付部156のカバー側取付軸156aに取り付けられる。
【0008】
図11は、従来の草刈機における取付部材130の一例を示す図である。取付部材130は、フレーム板131の一側面に、回動軸132を有しその反対側面は、アーム取付板133、134を有している。そして、このアーム取付板133、134の間に第1アーム120と、第2アーム125が回動可能に取り付けられる。また、回動軸132の上部に、シリンダ取付軸135が回動軸132と平行に設けられている。回動軸132は支持部材155に回動可能に取り付けられ、作業部150の回動中心となる。また、シリンダ取付軸135の段部135aより先端に回動シリンダ180の一端が取り付けられる。
【0009】
図12は、従来の草刈機を傾斜させる場合の各状態例を示す背面図である。図10にも示したように、回動軸132は、作業部150の重心Gより一方の側面側にずれており、シリンダ取付軸135は、回動軸132より上側にある。また、カバー側取付軸156aは、重心Gより他方の側面側に位置している。このような構成で、水平位置Aから、回動シリンダ180を作動させて縮ませると、作業部150は回動軸132を中心に回動し、図12のBの位置となる。このとき重心は持ち上がる。一方、回動シリンダ180を作動させて伸ばすと、作業部150は回動軸132を中心に回動し、図12のCの位置となる。このとき重心は下にさがる。
【0010】
草刈機100は、回動軸132が作業機150の中心より側面側(オフセット方向と逆側寄り)にずれていることにより、オフセット量を確保でき、さらに、作業機150をオフセットした位置(例えば、図7の位置)で作業部150を回動軸132を中心に回動させ傾斜させると、例えば、トラクタの横に位置する土手などの法面の草刈作業を容易に行うことができる。
【0011】
また、特許文献1には、作業部の水平回動により、走行機の前進による側方作業と後進による後方作業ができ、作業部を上下に回動可能な草刈取り装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−11796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
回動シリンダ180の大きさは、大きければそれだけパワーがあるが、重量も大きくなり、トラクタとの重量バランスにも影響する。さらに、コスト的にも高いものとなる。このため、シリンダは、できることなら、重量的にも、コスト的にもより小型である方が好ましい。これは特許文献1の上下回動用シリンダでも同様である。
【0014】
また、従来の草刈機では、図13に示すように、作業部150を回動させた場合(図12のCの位置に相当)、取付部材130の上部がジョイント140に干渉するため、回動角度が制限されていた。これは、リンダ支点軸135が上部に位置するために生じていた。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着して草刈り作業を行う作業部の傾斜角度を回動させて変更させる際に作動させるシリンダを同じ回動条件に対してより小型にすることができる草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の草刈機は、トラクタに装着して草刈作業を行う草刈機において、トラクタに装着する装着部と、前記装着部と連結される取付部材と、前記取付部材に垂直方向に回動可能に支持されて草刈作業を行う作業部と、前記作業部を回動させるシリンダとを有し、前記シリンダは、前記作業部を回動させるとき前記作業部の重心が持ち上がる方向が当該シリンダの伸びる方向になるように取り付けられることを特徴とする。
【0017】
さらに本発明の草刈機は、前記取付部材は前記作業部に、当該作業部の回動中心が当該作業部の重心より一方の側面側にずれた位置になるように取り付けられ、前記シリンダは、前記回動中心より下側に位置する前記取付部材上と、前記作業部の重心より他方の側面側に位置する前記作業部上との間に取り付けられることを特徴とする。
さらに本発明の草刈機は、前記装着部と前記取付部材の間の連結は、2本のアームによる平行リンクを介してオフセット可能に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、草刈機において、トラクタに装着して草刈り作業を行う作業部の傾斜角度を回動させて変更させる際に作動させるシリンダを同じ回動条件に対してより小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の草刈機の一実施形態を示す背面図である。
【図2】本発明の草刈機の一実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明の草刈機における取付部材の一例を示す図である。(a)〜(c)は視点の角度を変えて示した図である。
【図4】シリンダについての説明図である。
【図5】本発明の草刈機を傾斜させる場合の各状態例を示す背面図である。
【図6】本発明の草刈機の傾斜した状態の一例を示す正面図である。
【図7】従来の草刈機の例を示す平面図である。
【図8】従来の草刈機の例を示す側面図である。
【図9】従来の草刈機のオフセット移動の状態例を示す平面図である。
【図10】従来の草刈機の例を示す背面図である。
【図11】従来の草刈機における取付部材の一例を示す図である。(a)〜(c)は視点の角度を変えて示した図である。
【図12】従来の草刈機を傾斜させる場合の各状態例を示す背面図である。
【図13】従来の草刈機の傾斜した状態の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態を説明する。以下の実施形態では、図7〜図13で示した従来例と異なる点について説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。
【0021】
図1は、本発明の草刈機の一実施形態を示す背面図であり、取付部材30の位置関係を示してある。また、図2は、同じく平面図である。また、図3は、本発明の草刈機1における取付部材30の一例を示す図である。従来例と異なる点は、取付部材30の形状と、回動シリンダ180の取り付けである。
【0022】
図3に示すように、取付部材30は、フレーム板31の一側面に、回動軸32とシリンダ取付軸35を有しその反対側面には、第1上孔33aと第2上孔33bを有するアーム取付上板33と、第1下孔34aと第2下孔34bを有するアーム取付下板34を有している。そして、このアーム取付上板33とアーム取付下板34の間に、第1上孔33aと第1下孔34a間を軸として第1アーム120が、第2上孔33bと第2下孔34bを軸として第2アーム125が水平方向に回動可能に取り付けられる。
【0023】
回動軸32は、補強部36を介してフレーム板31に固定されている。また、シリンダ取付軸35は、回動軸32の下側に設けられており、回動軸132と平行に設けられている。また、シリンダ取付軸35の位置は、回動させたときの回動シリンダ180との干渉を考慮して、回動軸32より重心Gの方向へ横側にずれており、シリンダ取付軸35の上部には補強部材36を配していない。また、シリンダ取付軸35の段部35aは、従来例(段部135a)より、フレーム板31に近くなっている。
【0024】
この取付部材30を、草刈機に適用すると図1のようになる。また、図2に示すように、回動軸32は、作業部150の重心Gより少なくとも一方の側面側にずれて支持部材155に回動可能に取り付けられる。また、シリンダ取付軸35は、回動軸32より下側に位置しており、かつ、横方向については、やや重心G側(カバー側取付軸56a側)にずれている。一方、カバー側取付部56に有するカバー側取付軸56aは、作業部150の重心Gより他方の側面側の方向に設置される。カバー側取付部56はカバー151上に有しており、カバー側取付軸56aはシリンダ取付軸35よりやや高い位置となっている。そして、回動シリンダ180の両端は、シリンダ取付軸35とカバー側取付軸56aとの間を連結して、それぞれ(作業部150の回動と同じ方向に)回動可能に取り付けられている。
【0025】
また、シリンダ取付軸35を回動軸32より下側にしたことにより、回動シリンダ180が、カバー151との干渉が生じるようになる。このため、図2で示すように、上側からみて回動シリンダ180をカバー151より外側(前側)に配置させる。すなわち、カバー側取付部56のカバー側取付軸56aをカバー151より前に突出させ、さらに、取付部材30のシリンダ取付軸35の段部35aの位置をフレーム板31側にし、回動シリンダ180をカバー151に当たらないようにしている。
【0026】
図4は、シリンダについての説明図である。シリンダ210は、片方にロッド211を有し、シリンダ内のピストン212と接続している。このとき、同じ圧力をシリンダ内にかけた場合、力は「圧力×面積」であるためロッド211を有しないB方向の力の方が圧力を受ける面積がA方向より大きく、発生する力も大きくなる。すなわち、この方式のシリンダの場合、同じ圧力に対して、伸びの力のほうが大きく出せることになる。回動シリンダ180においても同様のシリンダを採用し、油圧などにより圧力をかける。
【0027】
図5は、本発明の草刈機を傾斜させた場合の各状態例を示す背面図である。図5に示すように、水平位置Aから、回動シリンダ180を作動させて伸ばすと、作業部150は回動軸32を中心に取付部材30に対して回動して図5のBの位置となる。このとき重心Gは持ち上がる。また、図5のBの位置から、回動シリンダ180を作動させて縮ませると、作業部150は回動軸32を中心に回動して図5のAの位置にもどる。このとき重心Gは下にさがる。一方、水平位置Aから、回動シリンダ180を作動させて縮ませると、作業部150は取付部材30に対して回動軸32を中心に回動して図5のCの位置となる。このとき重心Gは下にさがる。また、図5のCの位置から、回動シリンダ180を作動させて伸ばすと、作業部150は回動軸32を中心に回動して図5のAの位置にもどる。このとき重心Gは持ち上がる。
【0028】
このように、重心Gが持ち上がる時に、回動シリンダ180を伸ばす方向に設置することで、シリンダの力を大きくでき、同じ条件ならより小型のシリンダ(例えば、径の細いシリンダ)とすることができる。また、同じシリンダであれば、大きな作業部150を動かすことができる。さらに、シリンダ径を同じにした場合、大きな力を出せるので、シリンダの取り付けを変更して(例えば、回動軸32とシリンダ取付軸35の距離を縮めるなどしてて)、シリンダのストロークを短いものとすることもできる。
【0029】
また、図6のように、作業部150を回動させた場合(図5のCの位置に相当)、従来例(図13)と異なり、取付部材30のシリンダ取付軸35が上部にないため、ジョイント140との干渉域がなくなる。これにより、作業部150の回動範囲をより広くとることが可能となる。
【符号の説明】
【0030】
100 草刈機
30、130 取付部材
32、132 回動軸
35、135 シリンダ取付軸
56、156 カバー側取付部
56a、156a カバー側取付軸
110 装着部
120 第1アーム
125 第2アーム
140 ジョイント
150 作業部
151 カバー
155 支持部材
180 回動シリンダ
200 トラクタ
G 作業部150の重心G
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して草刈作業を行う草刈機において、
トラクタに装着する装着部と、前記装着部と連結される取付部材と、前記取付部材に垂直方向に回動可能に支持されて草刈作業を行う作業部と、前記作業部を回動させるシリンダとを有し、
前記シリンダは、前記作業部を回動させるとき前記作業部の重心が持ち上がる方向が当該シリンダの伸びる方向になるように取り付けられることを特徴とする草刈機。
【請求項2】
請求項1に記載の草刈機において、
前記取付部材は前記作業部に、当該作業部の回動中心が当該作業部の重心より一方の側面側にずれた位置になるように取り付けられ、
前記シリンダは、前記回動中心より下側に位置する前記取付部材上と、前記作業部の重心より他方の側面側に位置する前記作業部上との間に取り付けられることを特徴とする草刈機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の草刈機において、
前記装着部と前記取付部材の間の連結は、2本のアームによる平行リンクを介してオフセット可能に連結されていることを特徴とする草刈機。
【請求項1】
トラクタに装着して草刈作業を行う草刈機において、
トラクタに装着する装着部と、前記装着部と連結される取付部材と、前記取付部材に垂直方向に回動可能に支持されて草刈作業を行う作業部と、前記作業部を回動させるシリンダとを有し、
前記シリンダは、前記作業部を回動させるとき前記作業部の重心が持ち上がる方向が当該シリンダの伸びる方向になるように取り付けられることを特徴とする草刈機。
【請求項2】
請求項1に記載の草刈機において、
前記取付部材は前記作業部に、当該作業部の回動中心が当該作業部の重心より一方の側面側にずれた位置になるように取り付けられ、
前記シリンダは、前記回動中心より下側に位置する前記取付部材上と、前記作業部の重心より他方の側面側に位置する前記作業部上との間に取り付けられることを特徴とする草刈機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の草刈機において、
前記装着部と前記取付部材の間の連結は、2本のアームによる平行リンクを介してオフセット可能に連結されていることを特徴とする草刈機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−39933(P2012−39933A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183720(P2010−183720)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】
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