説明

草木ボード及び畳床

【課題】 畳床において、古くなった製品を解砕して新たな原料を足すことで再び同様の製品が得られるリサイクルが可能で、他の製造工程で不要になった廃材を利用して製造でき、カビや害虫が発生することなく、適度な弾性を有し高強度かつ軽量で経済的なこと。
【解決手段】 畳床3は、厚さ約10mmのイグサボード5と、厚さ約45mmの木材原料ボード6を積層してなる。イグサボード5は、杉の樹皮を表面に凹凸を設けた2本のローラの間を4〜5回通すことによって杉の樹皮の繊維をほぐして嵩比重を小さくしたものと、畳表2を製作する際に端材として切り落とされるイグサの切れ端とを、重量比でほぼ1対1の割合で混合し、そこにこれらの混合物80重量部に対して約5重量部の割合で、ポリエチレングリコールを主成分とする接着剤を混合して、加熱温度約180℃においてホットプレスで厚さが約10mmになるまで圧縮してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量で経済的であり、強度的にも優れるとともに適度な弾性を有し、しかも環境に負荷をかけることのない草木ボード及び畳床に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、伝統的な畳は、畳床(畳の芯材)として天然の稲藁を束ねたものを用いており、吸湿し易いためカビが発生し易いとともに重く、またダニ、ノミ等の害虫の温床になり易い上に、近年は農作業の機械化が進んで稲藁は直ちに畑に鋤込まれることが多くなり、畳床の原料として入手することが困難になるという問題が生じていた。
【0003】
そこで、このような稲藁を用いた畳床の問題点を解決するために、種々の材質からなる畳床が用いられるようになってきている。例えば、特許文献1においては、熱帯地方原産の植物であり防虫作用を有する月桃(げっとう)の、茎や葉を解繊した月桃解繊ファイバーを主成分とする繊維原料を接着剤で固めた、月桃ボードを用いた畳床の発明について開示している。この月桃ボードを用いた畳床は、防虫機能を備えるとともに軽量であり、さらに原料となる月桃の茎や葉が低価格であるため、経済性にも優れるとしている。
【0004】
また、特許文献2においては、しゅろの繊維を接着剤に浸してプレスして固めた硬軟二種類のしゅろマットを二層以上重ね合わせ、これらの両面に木質弾性ボードを重ねて縦横に畳糸で縫い合わせて構成された畳床の発明について開示している。このような畳床は全て自然に還る材料からなるため環境に優しく、しゅろの繊維それ自体が弾力性に富み、かつその弾力性が長期間持続するために、畳としての座り心地が良いとしている。
【特許文献1】特開2004−316119号公報
【特許文献2】特開2005−155314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの特許文献1及び特許文献2に記載の畳床においては、環境に優しいといっても、廃棄する場合に燃やした場合に有害物質が発生しない、或いは燃やさなくても自然に土に還るという点のみが強調されており、古くなった場合に製品を解砕して新たな原料を足すことによって再び同様の製品が得られるというリサイクルをすることができない。また、原料として低価格でも新しい材料を用いており、他の製造工程で不要になった廃材から畳床用のボードまたは畳床を製造するという発想はないものであった。
【0006】
そこで、本発明は、古くなった場合に製品を解砕して新たな原料を足すことによって再び同様の製品が得られるリサイクルが可能で、他の製造工程で不要になった廃材を利用して製造でき、カビや害虫が発生することなく、適度な弾性を有し高強度かつ軽量で経済的な草木ボード及び畳床を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明にかかる草木ボードは、樹木の樹皮をほぐしたものと、草本の切れ端と、ポリエチレングリコールを主成分とする接着剤とを混合してホットプレスで加熱成形して、またはホットプレスで加熱圧縮して所定の形状に裁断してなるものである。
【0008】
ここで、「草本」とは、植物のうちでも木質があまり発達しないで細い茎を有するものをいい、いわゆる「草」を指すものである。
【0009】
請求項2の発明にかかる草木ボードは、請求項1の構成において、前記草本の切れ端はイグサの切れ端であるものである。
【0010】
請求項3の発明にかかる草木ボードは、請求項1または請求項2の構成において、前記樹木の樹皮をほぐしたものが45重量%〜49重量%の範囲内で、前記草本の切れ端が45重量%〜49重量%の範囲内で、前記ポリエチレングリコールを主成分とする接着剤が2重量%〜10重量%の範囲内で、それぞれ含まれているものである。
【0011】
請求項4の発明にかかる畳床は、請求項2または請求項3に記載の草木ボードのうち前記草本の切れ端としてイグサの切れ端を用いたイグサボードを少なくとも畳表の裏側に当る部分に使用したものである。
【0012】
請求項5の発明にかかる草木ボードまたは畳床は、請求項2乃至請求項4のいずれか1つの構成において、前記樹木の樹皮は杉の樹皮であり、前記イグサの切れ端は畳表を製造する際に廃材として生ずるものである。
【0013】
請求項6の発明にかかる畳床は、請求項4または請求項5の構成において、100重量%近くの木材原料と数重量%の接着剤とからなる木材原料ボードと前記イグサボードとを積層してなるものである。
【0014】
請求項7の発明にかかる畳床は、請求項6の構成において、前記木材原料ボードは、杉の樹皮と杉の端材からとったバージンパルプとコーンスターチ糊からなるボードであるものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明にかかる草木ボードは、樹木の樹皮をほぐしたものと、草本の切れ端と、ポリエチレングリコールを主成分とする接着剤とを混合してホットプレスで加熱成形して、またはホットプレスで加熱圧縮して所定の形状に裁断してなる。
【0016】
かかる草木ボードは、樹皮を充分にほぐして綿状にしたものを用いているために、比重が小さくて軽く、弾力性にも優れている。また、草本の切れ端が全体に絡まって構成されているため、曲げ強度も高い。さらに、原料として樹皮と草本の切れ端とを用いているため、低コストで製造することができる。そして、古くなった場合には、草木ボードを解砕して、体積の減少分だけ新しい樹皮を充分にほぐして綿状にしたものと草本の切れ端とを追加して、接着剤を混合してホットプレスで加熱成形または加熱圧縮することによって、何回でも草木ボードを再製造して利用することができる。
【0017】
したがって、畳の畳床を始めとして、各種建材等に幅広く応用することができるとともに、環境に負荷を掛けることがない。
【0018】
このようにして、古くなった場合に製品を解砕して新たな原料を足すことによって再び同様の製品が得られるリサイクルが可能で、他の製造工程で不要になった廃材を利用して製造でき、適度な弾性を有し高強度かつ軽量で経済的な草木ボードとなる。
【0019】
請求項2の発明にかかる草木ボードは、草本の切れ端がイグサの切れ端である。
【0020】
かかる草木ボード(イグサボード)は、樹皮を充分にほぐして綿状にしたものを用いているために、比重が小さくて軽く、弾力性にも優れている。また、イグサが全体に絡まって構成されているため、曲げ強度も高く、抗菌性(防虫性)にも優れている。さらに、原料として樹皮とイグサの切れ端とを用いているため、低コストで製造することができる。そして、古くなった場合には、イグサボードを解砕して、体積の減少分だけ新しい樹皮を充分にほぐして綿状にしたものとイグサの切れ端とを追加して、接着剤を混合してホットプレスで加熱成形または加熱圧縮することによって、何回でもイグサボードを再製造して利用することができる。
【0021】
したがって、畳の畳床を始めとして、各種建材等に幅広く応用することができるとともに、環境に負荷を掛けることがない。
【0022】
このようにして、古くなった場合に製品を解砕して新たな原料を足すことによって再び同様の製品が得られるリサイクルが可能で、他の製造工程で不要になった廃材を利用して製造でき、カビや害虫が発生することなく、適度な弾性を有し高強度かつ軽量で経済的な草木ボードとなる。
【0023】
請求項3の発明にかかる草木ボードは、樹木の樹皮をほぐしたものが45重量%〜49重量%の範囲内で、草本の切れ端が45重量%〜49重量%の範囲内で、ポリエチレングリコールを主成分とする接着剤が2重量%〜10重量%の範囲内で、それぞれ含まれている。
【0024】
本発明者らは、高強度で弾力性に富み軽量でリサイクルが可能な草木ボードを製造するための条件について、鋭意実験研究を重ねた結果、樹木の樹皮をほぐしたものと草本の切れ端とをほぼ同重量混合し、ポリエチレングリコールを主成分とする接着剤をなるべく少なくすることが有効であり、具体的には樹木の樹皮をほぐしたものを45重量%〜49重量%、草本の切れ端を45重量%〜49重量%、ポリエチレングリコールを主成分とする接着剤を2重量%〜10重量%の割合で混合することによって、優れた特性を有する草木ボードを製造できることを見出し、この知見に基いて本発明を完成したものである。
【0025】
このようにして、古くなった場合に製品を解砕して新たな原料を足すことによって再び同様の製品が得られるリサイクルが可能で、他の製造工程で不要になった廃材を利用して製造でき、適度な弾性を有し高強度かつ軽量で経済的な草木ボードとなる。
【0026】
請求項4の発明にかかる畳床は、請求項2または請求項3に記載の草木ボードのうち前記草本の切れ端としてイグサの切れ端を用いたイグサボードを少なくとも畳表の裏側に当る部分に使用したものである。即ち、畳床としてイグサボードを畳表の裏側に当る部分に使用して、他の材質からなるボードと積層して畳床を形成しても良いし、イグサボードのみで畳床を形成しても良い。
【0027】
このようにイグサボードを少なくとも畳表の裏側に当る部分に使用することによって、イグサが全体に絡まって構成されているため、曲げ強度も高く、抗菌性・防虫性にも優れ、また樹木の樹皮をほぐしたものが用いられているため適度な弾性をも有する畳床となる。さらに、イグサボードは、原料として樹皮とイグサの切れ端とを用いているため、畳床を低コストで製造することができる。
【0028】
そして、古くなった場合には、イグサボードを解砕して、体積の減少分だけ新しい樹皮を充分にほぐして綿状にしたものとイグサの切れ端とを追加して、接着剤を混合してホットプレスで加熱成形または加熱圧縮することによって、何回でもイグサボードを再製造して、畳床として利用することができる。
【0029】
このようにして、古くなった場合に製品を解砕して新たな原料を足すことによって再び同様の製品が得られるリサイクルが可能で、他の製造工程で不要になった廃材を利用して製造でき、カビや害虫が発生することなく、適度な弾性を有し高強度かつ軽量で経済的な畳床となる。
【0030】
請求項5の発明にかかる草木ボードまたは畳床は、樹木の樹皮は杉の樹皮であり、イグサの切れ端は畳表を製造する際に廃材として生ずるものである。このように、草木ボード(イグサボード)は、原料として杉の樹木から杉の木材を切り出す際に生ずる廃材である杉の樹皮と、畳表を製造する際に廃材として生ずるイグサの切れ端とを用いているため、非常に低コストで製造できるとともに、産業廃棄物の減量にも貢献することができる。
【0031】
このようにして、古くなった場合に製品を解砕して新たな原料を足すことによって再び同様の製品が得られるリサイクルが可能で、他の製造工程で不要になった廃材を利用して製造でき、カビや害虫が発生することなく、適度な弾性を有し高強度かつ軽量で経済的な草木ボード及び畳床となる。
【0032】
請求項6の発明にかかる畳床は、100重量%近くの木材原料と数重量%の接着剤とからなる木材原料ボードとイグサボードとを積層してなる。したがって、古くなった場合には、木材原料ボードは100重量%近くの木材原料からなるため、少なくとも燃やさずに自然に土に帰すことができ、場合によっては解砕して、必要な場合には新しい木材原料を追加して木材原料ボードを再製造することができる。そして、イグサボードは、上述の如く、解砕して新たな原料を追加して再製造することができる。
【0033】
このようにして、古くなった場合に製品を解砕して新たな原料を足すことによって再び同様の製品が得られるリサイクルが可能で、他の製造工程で不要になった廃材を利用して製造でき、カビや害虫が発生することなく、適度な弾性を有し高強度かつ軽量で経済的な畳床となる。
【0034】
請求項7の発明にかかる畳床は、木材原料ボードが、杉の樹皮と杉の端材からとったバージンパルプとコーンスターチ糊からなるボードである。かかるボードは杉の樹皮とバージンパルプをほぼ同量混合して製造されているため、古くなった場合に解砕して再製造することはできないが、全て天然材料から作られているため、廃棄する場合には環境に負荷を掛けずに自然に土に帰すことができる。そして、イグサボードは、上述の如く、解砕して新たな原料を追加して再製造することができる。
【0035】
このようにして、古くなった場合に製品を解砕して新たな原料を足すことによって再び同様の製品が得られるリサイクルが可能で、他の製造工程で不要になった廃材を利用して製造でき、カビや害虫が発生することなく、適度な弾性を有し高強度かつ軽量で経済的な畳床となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0037】
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1にかかる草木ボード及び畳床について、図1を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態1にかかる草木ボードとしてのイグサボードを使用した畳床を用いて形成した畳の内部構成を示す縦断面図である。
【0038】
図1に示されるように、本実施の形態1にかかる畳床3は、厚さ約10mmのイグサボード5と、厚さ約45mmの木材原料ボード6を積層してなる。
【0039】
これらのうち、イグサボード5は、杉の樹皮を表面に凹凸を設けた2本のローラの間を4〜5回通すことによって杉の樹皮の繊維をほぐして嵩比重を小さくしたものと、畳表2を製作する際に端材として切り落とされるイグサの切れ端とを、重量比でほぼ1対1の割合で混合し、そこにこれらの混合物80重量部に対して約5重量部の割合で、ポリエチレングリコールを主成分とし、ラテックスを加えた接着剤を混合して、加熱温度約180℃においてホットプレスで厚さが約10mmになるまで圧縮してなるものである。
【0040】
したがって、イグサボード5の原料の配合比は、杉の樹皮の繊維をほぐしたものが約47重量%、イグサの切れ端が同じく約47重量%、ポリエチレングリコールを主成分とする接着剤が約6重量%となる。なお、イグサの切れ端の長さは約3cm〜約10cmの範囲内である。
【0041】
こうして製造されたイグサボード5は、比重が約0.3〜約0.4と軽く、しかも約3cm〜約10cmのイグサが全体に絡まって構成されているため曲げ強度も高く、抗菌性・防虫性にも優れている。また、杉の樹皮を充分にほぐして綿状にしたものを用いているために、弾力性にも優れている。さらに、原料として、杉の木から杉の材木を切り出す際の廃材である杉の樹皮と、畳表を製作する際に端材として切り落とされるイグサの切れ端とを用いているため、非常に低コストで製造できるとともに、産業廃棄物を減らすのにも貢献する。
【0042】
一方、木材原料ボード6は、杉の樹皮49重量%と杉の端材からとったバージンパルプ49重量%にコーンスターチ糊2重量%を加えて製造した木材原料ボードであり、比重が約0.23と非常に軽く、断熱効果・調湿効果・抗菌効果にも優れている。
【0043】
本実施の形態1にかかる畳1は、これらのイグサボード5と木材原料ボード6とから構成される畳床3を芯材として、その上面に畳表2を保護するとともにクッション性を持たせるための不織布4を載せ、下面に柿渋紙からなる裏シート7を敷いて、これらの不織布4、イグサボード5、木材原料ボード6、裏シート7に針を貫通させて畳糸で一体にしたものに、畳表2を畳表縫着用糸で縫付けて構成されている。
【0044】
したがって、本実施の形態1にかかる畳1は、従来の稲藁を畳床とした畳に比較して非常に軽量であるとともに、抗菌性・防虫性・調湿性を有しているためにカビや害虫の発生を防ぐことができ、畳床3を構成するイグサボード5及び木材原料ボード6が非常に低コストで製造できるために、畳1の価格も安くなる。
【0045】
そして、畳床3を構成するイグサボード5が古くなった場合には、畳表2,不織布4,木材原料ボード6,裏シート7を外して、イグサボード5を解砕し、長年の使用で体積が減少した分だけ杉の樹皮の繊維をほぐしたものとイグサの切れ端とを補充して、ポリエチレングリコールを主成分とし、ラテックスを加えた接着剤を混合して、加熱温度約180℃においてホットプレスで厚さが約10mmになるまで圧縮することによって、イグサボード5を再生産することができ、リサイクルできるため極めて環境に優しい草木ボードとしてのイグサボード及び畳床となる。
【0046】
このようにして、本実施の形態1にかかる草木ボードとしてのイグサボード5及び畳床3は、古くなった場合に製品を解砕して新たな原料を足すことによって再び同様の製品が得られるリサイクルが可能で、他の製造工程で不要になった廃材を利用して製造でき、カビや害虫が発生することなく、弾性にも強度的にも優れ、軽量で経済的な製品となる。
【0047】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2にかかる草木ボードとしてのイグサボード及び畳床について、図2を参照して説明する。図2は本発明の実施の形態2にかかる草木ボードとしてのイグサボードを使用した畳床を用いて形成した畳の内部構成を示す縦断面図である。
【0048】
図2に示されるように、本実施の形態2にかかる畳床13は、厚さ約10mmのイグサボード8と、厚さ約40mmの木材原料ボードとしての木粉ボード12を積層してなる。
【0049】
これらのうち、イグサボード8は、ヒノキの樹皮を表面に凹凸を設けた2本のローラの間を4〜5回通すことによってヒノキの樹皮の繊維をほぐして嵩比重を小さくしたものと、畳表2を製作する際に端材として切り落とされるイグサの切れ端とを、重量比でほぼ1対1の割合で混合し、そこにこれらの混合物90重量部に対して約4重量部の割合で、ポリエチレングリコールを主成分とし、ラテックスを加えた接着剤を混合して、加熱温度約180℃においてホットプレスで厚さが約10mmになるまで圧縮してなるものである。
【0050】
したがって、イグサボード8の原料の配合比は、ヒノキの樹皮の繊維をほぐしたものが約48重量%、イグサの切れ端が同じく約48重量%、ポリエチレングリコールを主成分とする接着剤が約4重量%となる。ヒノキは樹皮も含めて抗菌性・防虫性を有する成分を含有するため、イグサの切れ端と相俟って抗菌性・防虫性が一層優れたイグサボード8を構成することができる。なお、イグサの切れ端の長さは約3cm〜約10cmの範囲内である。
【0051】
一方、木材原料ボードとしての木粉ボード12は、木片を細かく解砕してなる木粉(もくふん)に少量の接着剤をスプレー塗付して、約130℃〜約180℃の温度範囲でホットプレスすることによって、木材中に約25重量%〜約30重量%の割合で存在するリグニンが浸み出してバインダーとして働き、木粉同士を強固に接着してなるものである。かかる木粉ボード12は、比重はやや大きくなるが、曲げ強度が大きく取扱いがし易くなる。
【0052】
本実施の形態2にかかる畳11は、これらのイグサボード8と木粉ボード12とから構成される畳床13を芯材として、その上面に畳表2を保護するとともにクッション性を持たせるための不織布4を載せ、下面に柿渋紙からなる裏シート7を敷いて、これらの不織布4、イグサボード8、木粉ボード12、裏シート7に針を貫通させて畳糸で一体にしたものに、畳表2を畳表縫着用糸で縫付けて構成されている。
【0053】
したがって、本実施の形態2にかかる畳11は、従来の稲藁を畳床とした畳に比較して非常に軽量であるとともに、抗菌性・防虫性・調湿性を有しているためにカビや害虫の発生を防ぐことができ、畳床13の原材料として、ヒノキの木からヒノキの材木を切り出す際の廃材であるヒノキの樹皮と、畳表を製作する際に端材として切り落とされるイグサの切れ端とを用いているため、非常に低コストで製造できるとともに、産業廃棄物の減量にも貢献することができる。
【0054】
そして、畳床13が古くなった場合には、畳表2,不織布4,裏シート7を外して、イグサボード8を解砕し、長年の使用で体積が減少した分だけヒノキの樹皮の繊維をほぐしたものとイグサの切れ端とを補充して、ポリエチレングリコールを主成分とし、ラテックスを加えた接着剤を混合して、加熱温度約180℃においてホットプレスで厚さが約10mmになるまで圧縮することによって、イグサボード8を再生産することができる。
【0055】
また、木粉ボード12も解砕して、長年の使用で体積が減少した分だけ木粉を追加して、少量の接着剤をスプレー塗付して、約130℃〜約180℃の温度範囲でホットプレスすることによって、木粉ボード12を再生産することができる。このように、本実施の形態2にかかる畳床13を構成するイグサボード8及び木粉ボード12は、いずれもリサイクルして再使用できるため、極めて環境に優しい草木ボードとしてのイグサボード及び畳床となる。
【0056】
このようにして、本実施の形態2にかかる草木ボードとしてのイグサボード8及び畳床13は、古くなった場合に製品を解砕して新たな原料を足すことによって再び同様の製品が得られるリサイクルが可能で、他の製造工程で不要になった廃材を利用して製造でき、カビや害虫が発生することなく、弾性にも強度的にも優れ、軽量で経済的な製品となる。
【0057】
上記各実施の形態においては、草木ボードとしてのイグサボードを畳床に応用した例についてのみ説明したが、イグサボードは断熱性や防音性にも優れているため、他の建材等の用途にも用いることが可能である。
【0058】
また、上記各実施の形態においては、草木ボードとしてイグサボードのみについて説明したが、草木ボードとしてはイグサボードに限られるものではなく、草木ボードを構成する草本の切れ端として種々の草本の切れ端を用いることにより、その草本の有する特性を応用した様々な機能を有する草木ボードとすることができる。
【0059】
本発明を実施するに際しては、草木ボード及び畳床のその他の部分の構成、成分、形状、数量、材質、大きさ、製造方法等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は本発明の実施の形態1にかかる草木ボードとしてのイグサボードを使用した畳床を用いて形成した畳の内部構成を示す縦断面図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態2にかかる草木ボードとしてのイグサボードを使用した畳床を用いて形成した畳の内部構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1,11 畳
2 畳表
3,13 畳床
5,8 イグサボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹木の樹皮をほぐしたものと、草本の切れ端と、ポリエチレングリコールを主成分とする接着剤とを混合してホットプレスで加熱成形して、またはホットプレスで加熱圧縮して所定の形状に裁断してなることを特徴とする草木ボード。
【請求項2】
前記草本の切れ端はイグサの切れ端であることを特徴とする請求項1に記載の草木ボード。
【請求項3】
前記樹木の樹皮をほぐしたものが45重量%〜49重量%の範囲内で、前記草本の切れ端が45重量%〜49重量%の範囲内で、前記ポリエチレングリコールを主成分とする接着剤が2重量%〜10重量%の範囲内で、それぞれ含まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の草木ボード。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の草木ボードのうち前記草本の切れ端としてイグサの切れ端を用いたイグサボードを少なくとも畳表の裏側に当る部分に使用したことを特徴とする畳床。
【請求項5】
前記樹木の樹皮は杉の樹皮であり、前記イグサの切れ端は畳表を製造する際に廃材として生ずるものであることを特徴とする請求項2若しくは請求項3に記載の草木ボードまたは請求項4に記載の畳床。
【請求項6】
100重量%近くの木材原料と数重量%の接着剤とからなる木材原料ボードと前記イグサボードとを積層してなることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の畳床。
【請求項7】
前記木材原料ボードは、杉の樹皮と杉の端材からとったバージンパルプとコーンスターチ糊からなるボードであることを特徴とする請求項6に記載の畳床。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−85012(P2007−85012A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271650(P2005−271650)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(505354338)
【Fターム(参考)】