説明

荷受台昇降装置及びその荷受台昇降装置が架装された車両

【課題】荷台下方から後方に突出する部材が車両に配された構成でも、荷受台の昇降動作が阻害されない荷受台昇降装置及びその荷受台昇降装置が架装された車両を提供する。
【解決手段】車両の荷台後部の左右両側に立設された支柱と、当該支柱内で昇降自在なスライダに連結された荷受台とを有する荷受台昇降装置であって、前記荷受台の外周縁における車両前方部分は、車両幅方向に沿った両側に前記スライダに連結される側方端部と、当該側方端部で挟まれた中間部とを有し、前記中間部には、車両後方に向かって凹部形状の切欠きが設けられている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部で左右一対に立設した支柱に沿って昇降する荷受台を有する荷受台昇降装置及びその荷受台昇降装置が架装された車両に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置の一つに、図4(a)で示すような車両後方で左右両側に立設した一対の支柱91と、この支柱91に沿って昇降自在な荷受台92とを有するものがある。支柱91の後方には切欠き91aが形成されており、切欠き91aから後方に突出した突出部93aを有するスライダ93が支柱91内を上下方向に昇降自在な状態で配されている。荷受台92は、基端部92aがスライダ93の突出部93aに軸支されており、スライダ93の昇降動作に伴って昇降する。
【0003】
荷受台92が昇降する際、図4(b)で示す領域Sに障害物が存在すると、荷受台92の昇降作動が阻害される。また、領域Sに障害物がなくても、荷受台92に積まれた荷物が荷受台92の基端部92aから突出していると、荷台94下方で荷物が巻き込まれてしまう。特に図4で示す荷受台昇降装置の場合、荷台94の位置まで上昇した荷受台92(図4(b)の実線部)から荷台94に荷物をスムーズに積み込むために、荷受台92の基端部92aが荷台94に当接した状態又は近傍に位置する状態となることが求められる。そのため、荷物が荷受台92から突出している長さが少しでも上記の巻き込みは起こり易い。そこで、荷物の巻き込みを防止するために、車両幅方向を長手方向とする安全装置95が荷台94下方に配され、突出した荷物がこの安全装置95に接触した際には、荷受台92の上昇を停止させる構成などが用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−335672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
安全装置95を備える荷受台昇降装置90では確実に荷物の巻き込みを防止することができ、その荷物を荷受台92から突出しない位置に動かせば良好に昇降作動させることができる。しかしながら、車両や荷受台昇降装置に固定された部材が障害物となる場合、この障害物を動かすことができない。また、その障害物との干渉を回避するため、荷受台92の基端部92aが上述した状態よりも車両後方側に離れた状態で荷台94の高さに位置する構成にすると、荷台94と荷受台92との間における荷物の移動に要する作業性が低下してしまい、望ましくない。
【0006】
例えば、シャシフレーム後端に連結部材等を介してスペアタイヤが配された車両がある。スペアタイヤは取り外しを行い易くするために車両後端に設けられている。スペアタイヤが配された車両にも様々な大きさがあるが、荷台94の後端がシャシフレームの後端と同じような位置(上下に重なるような位置)に配された車両は、車両全長が短く比較的スペースに余裕がない。また、車両の走行性能や排気性能を向上させるため別途新たな装置が配される車両も考えられる。こうした車両ではスペアタイヤをシャシフレーム最後端よりも前方に配することが難しく、スペアタイヤの一部が微小ながら後方に突出してしまう恐れがある。この場合、荷受台が上昇途中にスペアタイヤに干渉する。
【0007】
なお、スペアタイヤ等の設置スペースに関しては、マフラー等の熱を帯びやすい排気装置も車両後端に配されるため、こうした排気装置等との接触も回避する必要があり、積極的に前方に設置することは難しい。また、車両の排気性能を向上させる装置を別途設ける場合には、さらにスペースが制限されてしまい、スペアタイヤや他の部材が僅かながらでも後方に突出する構成になる可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされ、荷台下方から後方に突出する部材が車両に配された構成でも、荷受台の昇降動作が阻害されない荷受台昇降装置及びその荷受台昇降装置が架装された車両の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
車両の荷台後部の左右両側に立設された支柱と、当該支柱内で昇降自在なスライダに連結された荷受台とを有する荷受台昇降装置であって、前記荷受台の外周縁における車両前方部分は、車両幅方向に沿った両側に前記スライダに連結される側方端部と、当該側方端部で挟まれた中間部とを有し、前記中間部には、車両後方に向かって凹部形状の切欠きが設けられていることを特徴とする。なお、上記の凹部形状に関しては、角型形状でも湾曲形状でも台形形状などが含まれたものとする。
【0010】
前記荷受台は、前記スライダとの連結部を中心にして水平状態と起立状態との間で回動自在に配されており、前記スライダと連結される荷受台基端部には、前記荷受台の回動を付勢する付勢部材が配され、前記付勢部材は、前記切欠き部の側方に配された構成とすることができる。
【0011】
さらに前記付勢部材は、車幅方向を長手方向として配されるとともに、その一端は前記荷受台に、他端は前記スライダに対してそれぞれ着脱自在に係合された構成とすることができる。
【0012】
また、前記左右両側に立設された支柱には、クロスメンバが架設され、当該クロスメンバ上面部には、車両後方に向かって突出する凸部が設けられており、前記凸部の上面は、前記荷受台のうち前記切欠きによって切り欠かれた部分と略同じ大きさを有する。
【0013】
こうした構成を有する荷受台昇降装置が架装された車両であって、車両前後方向に伸びる左右一対のシャシフレームが配されており、前記中間部は前記一対のシャシフレームで挟まれた部分で形成されていることを特徴とすることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る荷受台昇降装置は、荷受台が外周縁における車両前方部分に切欠きを有する構成なので、車両から後方に突出した部材が配されている場合には、荷受台の昇降動作の中で、荷受台の切欠きが上記突出した部材を通過するように、切欠きの大きさ及び位置を設定することで荷受台の昇降作動が阻害されることを回避できる。さらに、荷受台が荷台の高さに位置する際には、荷受台の基端部を荷台に当接又は近接した状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る荷受台昇降装置を示す斜視図である。
【図2】(a)は本実施形態に係る荷受台昇降装置が架装された車両の平面部であり、(b)はその側面図である。
【図3】本実施形態に係る荷受台に配されたスプリングの後面図である。
【図4】従来の形態に係る荷受台昇降装置の斜視図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る荷受台昇降装置の実施形態に関して、図面を用いて説明する。
【0017】
図1(a)は、荷受台昇降装置100を示している。この荷受台昇降装置100は、車両後方に立設された左右一対の支柱1と、各支柱1内に挿入されて昇降自在なスライダ2と、スライダ2の下端部に回動自在に支持された荷受台3とを備えており、荷受台3は図示された水平な状態で地面と荷台4との間を昇降作動される。
【0018】
荷受台3は、鉄製部材で構成されて車両側支持部となるブラケット2aを介して支持されている。このブラケット2aは、支柱1の後面に設けられたスリット1aを通して後方側に突出したスライダ2の突出部分であり、荷受台3は支持軸2bを介してブラケット2aに回動自在に連結されている。
【0019】
一対の支柱1の間に架設されたクロスメンバ5の内方には油圧シリンダ(不図示)が配されており、当該油圧シリンダにスライダ2がワイヤ6を介して接続されている。ワイヤ6は、その一端部が左右のスライダ2の上端部に止着されて、スライダ2から上方に導かれ、支柱1の上部に設けられたシーブ1cで下方に折り返される。折り返されたワイヤ6の他端部は下方に導かれ、支柱1の下部からシーブ(不図示)を介して前述の油圧シリンダに導かれて適宜止着されている。ワイヤ6は油圧シリンダの伸縮作動によって支柱1に繰り出され、又は支柱1から引き込まれ、ワイヤ6に止着されたスライダ2が上下に昇降作動される。
【0020】
荷受台3は荷物の積みおろし作業時には水平状態で昇降作動されるが、荷受台昇降装置100を使用しないときには、図1(b)のように起立した状態で格納される。水平状態から起立状態に姿勢変更する際の回動を付勢するため、荷受台3の基端部3aには付勢手段(不図示)も配されている。
【0021】
荷受台3の基端部3aの一部、具体的には荷受台3の外周縁における車両前方部分には3つの切欠きが設けられている。先ず、スライダ2の突出部2aと連結する連結支持部材21aを配置するために、荷受台3の側方端部3B、3Cに側方切欠き部32、33が設けられている。次に、荷受台3の外周縁における車両前方部分のうち、上記の側方端部3B、3Cで挟まれた中間部3Aに、車両200に配されて車両後方に突出したスペアタイヤ7を回避するための中間切欠き部31が設けられている。これらの切欠き部31、32、33はいずれも荷受台3が水平状態のときにおいて、車両後方に凹部形状に切り欠かれた形状となっている。
【0022】
図示のとおり、中間部3Aは車両幅方向に沿って荷受台3の中央部を含む領域であり、中間切欠き部31もこの中央部を含む領域に設けられている。中間部3A、側方端部3B、3Cの大きさについて図2(a)及び(b)を用いてさらに説明する。
【0023】
荷受台昇降装置100が架装されている車両200には、荷台4の下方にスペアタイヤ7が取り付けられている。荷台4は、車両前後方向に伸びる左右一対のシャシフレーム81に積載されたサブフレーム82に固定されており、左右一対のシャシフレーム81の間には連結部材82が架設され、この連結部材82に吊下装置(キャリア装置)83を介してスペアタイヤ7が配されている。
【0024】
図2(a)のとおり、中間部3Aは、荷受台3のうち車両前方側で左右一対のシャシフレーム81を含むような車両幅方向に沿った範囲で形成される領域であり、側方端部3B、3Cは中間部3Aを挟むようにして荷受台3の側部に形成され、スライダ2の突出部2aとの連結部分を含む領域である。
【0025】
荷台4は、その後端部がシャシフレーム81の後端部と車両前後方向に沿って略同じ位置に配され、その後方部分が切断された後に図示のとおり、左右一対の支柱1及び支柱1に架設されたクロスメンバ5が溶接されている。
【0026】
スペアタイヤ7は取り外しを簡易に行うことができるようにするため、車両後方側に配されている。左右の支柱1に架設されたクロスメンバ5の本体部51や左右の支柱1は、その後端部がシャシフレーム81の後端部と車両前後方向において略同じ位置となるように配されている。また、シャシフレーム81に吊下装置83等を介して配されたスペアタイヤ7は図2(b)で示すように長さLだけクロスメンバ5に対して後方に突出している。荷受台3の中間部3Aは、スペアタイヤ7に対応する位置に形成されて一対のシャシフレーム81を含む領域であり、中間切欠き部31は、荷受台3が昇降する際に、スペアタイヤ7の上記の突出している部分を回避できるだけの大きさを有している。これにより中間切欠き部31が設けられている部分は支柱1に沿って昇降する過程の中でスペアタイヤ7の突出部分との干渉を回避することができる。
【0027】
一方、クロスメンバ5には、クロスメンバ5の本体部51から凸部形状の突出部52が設けられている。荷受台3に中間切欠き部31が設けられていることで、荷台4から荷受台3までの水平距離が側方端部3B、3Cと比較して離れてしまうことを防止するため、中間切欠き部31の凹部部分を埋めるために設けられている。この突出部52の上面は、中間切欠き部31で切り欠かれた部分の面積と略同じ大きさを有している。この突出部52は車両幅方向を長手方向とする略三角柱の形状を有し、荷受台3が図2(b)のように荷台4に対する荷物の移動作業を行う作業位置となる際、本体部51と突出部52との互いの上面が略面一となる。これにより、クロスメンバ5と荷受台3との間に荷物の移動を阻害する隙間が生じることを防止している。なお、荷受台3は水平状態から起立状態となるには、中間切欠き部31がクロスメンバ5の突出部52を跨ぐようにして回動作動される。起立状態の荷受台3(一点鎖線部)の厚みd1と、突出部52において支柱1の後端部から車両後方に突出している部分の長さL1とは略同じ長さに設定されている。
【0028】
中間切欠き部31を設けることで、昇降動作の中で車両後方に突出するスペアタイヤ7と荷受台3との干渉が防止され、かつクロスメンバ5に突出部52を設けることで荷台4と荷受台3との間での荷物の移動作業の低下が防止されている。さらに、荷受台3が起立した状態(車両走行状態)では突出部52が車両全体としての後端部(起立した荷受台3の車両前後方向の後端部)から突出しないように設定されているので、車両全長の拡大も防止することができる。
【0029】
また、荷受台3が起立状態となる際、中間切欠き部31がクロスメンバ5の突出部52を跨ぐようにして回動し、中間切欠き部31が突出部52を覆う状態となる。荷受台3の昇降操作を行う際には、起立状態から水平状態にした後に下降操作を行う必要があるが、荷受台3を水平状態にする前に起立状態のまま下降操作をした場合、中間切欠き部31が突出部52に係合されるので、誤った手順による下降操作を防止することができる。その他、荷受台昇降装置100には荷受台3が起立状態のとき、起立状態を維持するためのロック装置(不図示)が設けられているが、起立状態のまま長期間経過した場合、油圧シリンダ(不図示)からの油圧漏れ等によって荷受台3が微小だが下降し、荷受台3を水平状態に回動させることが難しくなる恐れもある。こうした場合であっても、同様に中間切欠き部31と突出部52との係合により、荷受台3の下降を防止することもできる。
【0030】
なお、中間切欠き部31の形状に関しては、図示のとおり、角型形状であっても他の形状、例えば湾曲形状や台形形状であってもスペアタイヤ7等の障害物を回避して荷受台3が昇降できるものであれば構わない。
【0031】
中間切欠き部31に隣接する側方部(主に側方端部3B、3Cを含む部分)は、荷物が載置される載置部31B、31Cとその裏側部分をカバーする略L字断面を有するカバー部材32B、32Cが組み合わされてなる筒形状を有している。これらの側方部のそれぞれ内方には、荷受台3の起立方向への回動を付勢する付勢部材として、図3(a)の後面図に示すスプリング3Sが配されている。図3(a)では、説明の便宜上、カバー部材32Bが取り外された状態となっている。
【0032】
スプリング3Sは、車両幅方向に沿って設けられたシャフト30Sの外周に沿って巻回されている。スプリング3S及びシャフト30Sはそれぞれの端部が取付ブラケット31S、32Sに取り付けられている。車両の側方側にある一方の取付ブラケット31Sには、シャフト30Sの端部30S1が挿入され、スプリング3Sの端部3S1が嵌入されている。また、車両の中央側にある他方の取付ブラケット32Sには、シャフト3Sの端部30S2が固着され、スプリング3Sの端部3S2が嵌入されている。一方の取付ブラケット31Sはボルト・ナット310、311を介してスライダ2の突出部2aに取り付けられており、他方の取付ブラケット32Sは、荷受台3に固着された固定ブラケット33Sにボルト・ナット312を介して連結されている。なお、一方の取付ブラケット31Sが取り付けられた突出部2aは支持軸2bによって荷受台3の側縁部301に回動自在に連結されている。このように連結されているスプリング3Sには、荷受台3が起立状態のときには捻り力が生じないように設定され、荷受台3が水平状態に回動した際には、取付ブラケット31S等を介してスライダ2の突出部2aに連結された一方の端部は変わらず一定の状態を保ち、荷受台3に固定されている他方の端部は、荷受台3の回動に伴ってシャフト30Sを軸中心として回転するので、起立方向への回動を付勢する捻り力が発生する。
【0033】
また、上記のスプリング3Sは、ボルト・ナット310を用いているので、取付ブラケット31S、32Sを介して取り外し可能であり、簡易にスプリング3Sの交換作業を行うことができる。特に、シャフト30Sが取り付けられた上記の固定ブラケット33Sは、車両幅方向の中央側から外側を見ると、図3(b)で示すように断面略L字状となっている。なお、上記他方の取付ブラケット32Sは図面上、手前側に位置するが、説明の便宜上、一点鎖線で示されている。他方の固定ブラケット33Sは図示のとおり、下方側が開口した形状なので、スプリング3Sが巻回されたシャフト30Sを矢印Rの方向に簡単に外すことができる。スプリング3Sが配される載置部31Bは、図中の下側縁部(水平状態の荷受台3における車両前方側縁部)302が、載置部31Bの面方向に対して垂直に交差する方向に屈折した形状に加工されている。当該加工によって、中間切欠き部31を有する荷受台3が所定の強度を維持できるように設定されている。なお、スプリング3Sの交換作業をさらに簡易にするため、スプリング3Sを覆うカバー部材32Bを配さずに、スプリング3Sが露出した構成としても良い。
【0034】
以上のとおり、本実施形態に係る荷受台昇降装置100は、車両後方に突出したスペアタイヤ7との干渉を回避できるため有効であり、車両の種類によってはシャシフレーム81に連結される装置等のレイアウト変更によって、スペアタイヤ7の突出長さが変わっても、荷受台3の中間切欠き部31及びクロスメンバ5の突出部52の大きさを適宜設計変更することで簡易に対応することができる。
【0035】
ここで、スペアタイヤ7の位置に関しては、マフラー等の排気装置83も車両後方側に配されており、熱を帯びやすい排気装置84との接触を回避するため、車両後方寄りに配することが望ましい。こうした理由から上述のシャシフレーム81の後端部とクロスメンバ5の本体部51や支柱1の後端部とが略同じ位置となる車両(全長が比較的短い車両)ではスペアタイヤ7が車両後方から突出した構成や、スペアタイヤ7の後方配置のため、安全装置等が車両後方から突出した構成となる。ただし、こうした車両後方からスペアタイヤ7等の部品又は装置が突出するのは、車両全長が比較的長い車両でも生じる。例えば、車両の排気性能の向上に寄与する尿素タンクが荷台4下方に配される場合、当該尿素タンクが新たに配されることで、スペアタイヤ7等の配設位置が車両後方に移動された車両でも上記の中間切欠き部31を有する荷受台3を適用することができる。なお、車両によっては、荷台4の後方部を切断して支柱1等を溶接する構成ではなく、荷台4の切断を行うことなく、シャシフレーム81の後端部とほぼ同じ位置に後端部が配される荷台を搭載して、その荷台上に支柱1等を溶接する車両にも適用可能である。
【0036】
また、クロスメンバ5の本体部51の後端部と、シャシフレーム81の後端部とが車両前後方向において略同じ位置に設定されているが、これに限定されない。例えば、車両全長が比較的大きな車両であればシャシフレーム81の後端部よりもクロスメンバ5の本体部51が後方に位置するように配した構成とし、スペアタイヤ7を吊下してシャシフレーム81に連結される連結部材82がシャシフレーム81の後端部に配されることで、スペアタイヤ7がシャシフレーム81後端部より大きく後方に突出する構成でも適用可能である。その他、荷受台3の基端部のうちの一部分を切り欠いているだけなので、中間部31だけでなく車両幅方向に沿って全体を切り欠いた構成と比較して、荷物積載面積が大きく低減することを防止できる。
【0037】
なお、中間切欠き部31が昇降動作の中で回避する障害物はスペアタイヤ7だけでなく、他の部材が突出する場合には、その部材を回避する荷受台3及び車両200とすることもできる。
付勢部材としてはスプリングSが配されているが、起立状態に回動付勢するものであればトーションバーなども適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、荷受台を支柱に沿って昇降させる荷受台昇降装置及びその荷受台昇降装置が架装される車両の全てに対して有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 支柱
2 スライダ
3 荷受台
4 荷台
5 クロスメンバ
6 ワイヤ
7 スペアタイヤ
3A 中間部
3B、3C 側方端部
31 中間切欠き部
32、33 側方切欠き部
3S スプリング
51 本体部(クロスメンバ)
52 突出部(クロスメンバ)
100 荷受台昇降装置
200 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台後部の左右両側に立設された支柱と、当該支柱内で昇降自在なスライダに連結された荷受台とを有する荷受台昇降装置であって、
前記荷受台の外周縁における車両前方部分は、車両幅方向に沿った両側に前記スライダに連結される側方端部と、当該側方端部で挟まれた中間部とを有し、
前記中間部には、車両後方に向かって凹部形状の切欠きが設けられている
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記荷受台は、前記スライダとの連結部を中心にして水平状態と起立状態との間で回動自在に配されており、
前記スライダと連結される荷受台基端部には、前記荷受台の回動を付勢する付勢部材が配され、
前記付勢部材は、前記切欠き部の側方に配されている
ことを特徴とする請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記付勢部材は、車幅方向を長手方向として配されるとともに、その一端は前記荷受台に、他端は前記スライダに対してそれぞれ着脱自在に係合されている
ことを特徴とする請求項2に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記左右両側に立設された支柱には、クロスメンバが架設され、
当該クロスメンバ上面部には、車両後方に向かって突出する凸部が設けられており、
前記凸部の上面は、前記荷受台のうち前記切欠きによって切り欠かれた部分と略同じ大きさを有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の荷受台昇降装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の荷受台昇降装置が架装された車両であって、
車両前後方向に伸びる左右一対のシャシフレームが配されており、
前記中間部は前記一対のシャシフレームで挟まれた部分で形成されている
ことを特徴とする荷受台昇降装置が架装された車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−96697(P2012−96697A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246962(P2010−246962)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)