説明

荷役車両

【課題】 荷役車両に対してコンテナが車幅方向に回転したとしても、コンテナの脱落を抑制することができる荷役車両を提供する。
【解決手段】 シャシフレームFとサブフレームSとを備えた車体と、コンテナ4を積み降ろしするための荷役アーム2を備えた荷役装置Hと、コンテナ4の隅金具46(被係合部)と係合することでコンテナ4を車体と固縛する係合手段9とを備えた荷役車両Vにおいて、前記係合手段9は、サブフレームSの側面に設けられサブフレームSより車幅方向外側に延設したステー91と、ステー91の端部に設けられたツイストロック93a(係合部93)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンプフレーム(荷役装置のアーム)にロック部を備え、コンテナ搭載時にコンテナ下面に備えた係止部とロック部とを係合することによりコンテナを荷役車両に固定することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−58755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ダンプフレームは、車体フレームと同じ位置に配置しているので、ダンプフレームに設けたロック部も車体フレームの上方に配置されている。一方コンテナはその内容量を大きくするために、車体フレームよりも車幅方向外方にまで大きく形成されていることが多い。このため、コンテナ(特に係止部)は車幅方向中央寄りの箇所で車体フレーム(ロック部)と係合されている。すると、荷役車両が不整地などを走行し、例えばコンテナが車幅方向右側に揺れた場合、右側のロック部回りにコンテナは回転し、左側のロック部にはコンテナの力が集中する。コンテナの幅よりも短いダンプフレーム幅に配置したロック部にはコンテナから加わる力が大きく、最悪の場合、ロック部が破損してコンテナが脱落してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、荷役車両に対してコンテナが車幅方向に回転したとしても、コンテナの脱落を抑制することができる荷役車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の荷役車両は、車体と、コンテナを積み降ろしするための荷役アームを備えた荷役装置と、コンテナの被係合部と係合することでコンテナを車体と固縛する係合手段とを備えた荷役車両において、前記係合手段は、車体に設けられ車体より車幅方向外側に延設したステーと、ステーの端部に設けられた係合部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
これにより、例えば、コンテナが荷役車両に対して右方向に回転(ロール)したとしても、車両左外側にある係合部がコンテナと係合しているため、コンテナの右ロールを抑制することができるため、コンテナ脱落の危険性を減らすことができる。
【0008】
また、本発明の荷役車両は、前記係合部は、コンテナと係合できる係合位置と、コンテナの被係合部から離れた退避位置との間を移動可能に設けられてもよい。これにより、コンテナの積み降ろし時に係合部を格納することができるため、係合部とコンテナとが接触することにより破損してしまうことを防止することができる。
【0009】
また、本発明の荷役車両は、前記車体は、シャシフレームとシャシフレームに固定したサブフレームとを有し、前記荷役装置及び前記係合手段は、サブフレームに固定されてもよく、この場合、荷役装置と係合部(ステー)とをサブフレームに予め固定しているので、ユニットとしてシャシフレームに架装することができる。従って、荷役装置と係合手段との位置合わせを車体に対してそれぞれ行う必要がなくなり、架装を容易におこなうことができる。
【0010】
本発明の荷役車両は、荷役装置を動作させるとともに、係合部がコンテナと係合していることを検知した場合には荷役装置の動作を制限する制御装置をさらに備えてもよく、この場合、係合部が係合したままコンテナの積み降ろしすることにより、係合部やコンテナの被係合部が破損してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
コンテナ脱落の危険性を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した荷役車両の一実施形態を示し、コンテナ積み込み作業完了時の状態を示す側面図である。
【図2】(a)は図1に示す荷役車両の荷役装置の平面図であり、(b)は図1に示す荷役車両の荷役装置の側面図である。
【図3】コンテナの側面図である。
【図4】本発明の係合手段を示した断面図であり、(a)は係合部が退避位置にある状態を示す図、(b)は係合部が係合位置にある状態を示す図、(c)は係合部が退避位置に半格納された状態を示す図である。
【図5】荷役車両上のコンテナを積降する途中の状態であり、(a)はフックアームを車両後方へ摺動させた状態を示す図、(b)はリフトアーム及びフックアームの回動により、コンテナの接地ローラが地面に接地した状態を示す図、(c)はコンテナ全体が荷役車両の後方にて接地した状態を示す図である。
【図6】荷役車両にてコンテナを後方に傾斜(ダンプ)させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、この荷役車両Vは、シャシフレームFと、シャシフレームF上に一体に搭載されるサブフレームSと、コンテナ4をシャシフレームF上と地上との間で積み降ろししたり、このコンテナ4をシャシフレームF上で車両後方へ傾斜させたダンプ状態とする荷役装置Hとを備えている。
【0014】
シャシフレームF上には、サブフレームSが一体に搭載されている。サブフレームSは、左右方向に並んで配置されるとともに前後方向に延びる一対の縦桁11と、左右方向に延びる複数の横桁12とにより枠状に形成されている。
荷役車両Vの後部には、左右方向の軸芯回りに回転自在な左右一対の案内ローラRが設けられている。
【0015】
荷役装置Hは、コンテナ4を積み降ろしするために動作する荷役アーム2と、この荷役アーム2を駆動する荷役駆動装置3とを有している。荷役アーム2はサブフレームSに取り付けられている。
【0016】
図2に示すように、荷役アーム2は、ダンプアーム21、リフトアーム22、フックアーム24、フック25、ダンプアーム21とリフトアーム22とをロック可能なロック装置(図示せず)を備えている。なお、図2(a)の1点鎖線は、荷役車両V(荷役装置H)上に搭載されたときのコンテナ4の位置を示している。
【0017】
サブフレームSの後部には、ダンプアーム21の後部が軸21aにより後方に傾動可能に支持されている。
【0018】
ダンプアーム21の前部には、ブラケットを介してリフトアーム22の基端(図2の(b)に示す車両後方側)が軸22aにより前後方向に起伏回動自在に支持されている。このリフトアーム22は、サブフレームSの左右中間部を前後方向に延びている。リフトアーム22の後部は、ダンプアーム21と前後方向に重なり合っているが、リフトアーム22の大部分は、ダンプアーム21よりも前方に延長されている。また、リフトアーム22の前部は、中空の角筒状に形成されており、リフトアーム22の前端は開放されている。
【0019】
リフトアーム22の前部には、角筒状のフックアーム24が前後方向に摺動自在に挿入されている。このフックアーム24は、前後方向に延びる基部24bと、フックアーム24の基部24bの前端から一体に略直角に起立する起立部24cとにより、側面から見てL字状に形成されている。
【0020】
フックアーム24の先端(図2の(b)に示す起立部24cの車両上方側端部)にはフック25が一体に設けられる。このフック25は、コンテナ4の前面上部に設けたリフトバー44に係脱自在である。
【0021】
図2に示すように、荷役駆動装置3は、リフトシリンダ31、スライドシリンダ32を備えている。
【0022】
サブフレームSの前部とリフトアーム22の中間部との間には、復動油圧シリンダよりなる一対のリフトシリンダ31が連結されている。これらのリフトシリンダ31は、リフトアーム22の左右両側を前後方向に延びている。
【0023】
一対のリフトシリンダ31は、同調伸縮作動することにより、リフトアーム22を回動中心、すなわち軸22aまわりに起伏回動させることができる。これにより、リフトシリンダ31を伸縮させることで、コンテナ4をシャシフレームF上と地上との間で積み降ろしすることができる。さらに、ダンプ動作時には、リフトシリンダ31の伸縮により、荷役アーム2及びコンテナ4を一体として軸21aを中心に回動させることで、コンテナ4を車両後方へ傾斜(ダンプ)させることができる。
【0024】
サブフレームSと荷役装置Hとは架装物Bとしてユニット化されており、シャシフレームFに架装物Bを搭載すると荷役車両Vが完成する。
【0025】
リフトアーム22とフックアーム24との内部には、リフトアーム22とフックアーム24とに跨がって一本のスライドシリンダ32が収容されている。スライドシリンダ32の一端は、リフトアーム22に連結されている。また、スライドシリンダ32の他端は、フックアーム24に連結されている。
【0026】
このスライドシリンダ32の伸縮作動により、フックアーム24を、リフトアーム22に対して前後方向に摺動させることができる。これにより、コンテナ4がサブフレームS上を前後方向に移動させることができる。
【0027】
図3は、コンテナ4の側面図である。コンテナ4は、荷役車両Vの荷役装置Hにより図1に示すように、荷役車両VのサブフレームS上に搭載する。このコンテナ4は、タンク41とタンク41を囲む枠42と、タンク41底部を支持する主桁43と、リフトバー45と、枠42に設けた複数の隅金具46と走行ローラ47とを備えている。タンク41はその側面に5本の補強リング41aが取り付けられており、コンテナ4の上部に相当するタンク側面には開口41bを備えている。本タンク41内には蓄熱材が搭載されており、工場などの施設で発生した排熱を開口41bより蓄熱材に蓄えることで、熱エネルギーを工場外の施設に運搬することができる。なお、タンク41は断熱材を備え(図示せず)、蓄熱材が蓄えた熱を空気中に放熱しにくくしている。
【0028】
タンク41を囲む枠42は、タンクの前方及び後方の左右に立設された合計4本の支柱421と、左右の支柱421の上下端同士を連結する横桁422と、前後の支柱421の上下端同士を連結する縦桁423とによりタンク41を覆う直方体の形状に形成されている。主桁43は、タンク41の前後であってコンテナ下側に位置する横桁422の中間部同士を連結するように固定され、主桁43の中間部はタンク41の下部を支持している。
コンテナ前部には、主桁43とタンク41前面とにそれぞれ固定したフレーム44を備え、フレーム44の上部には、前記フックアーム24のフック25と係脱自在な係合部、すなわちリフトバー45が設けられる。
【0029】
隅金具46は、荷役車両Vや他のコンテナ(図示せず)と固縛するための被係合部である。隅金具46は、コンテナ4の8個の角部に設けた隅金具46aと、コンテナ下側に配置された縦桁423の中央部に設けた隅金具46bとがある。なお、枠42の寸法はISO20フィートコンテナと同じ寸法であり、角部に設けた隅金具46aの位置は20フィートコンテナの規格に準拠した位置に配置している。縦桁423に設けた隅金具46bは、12フィートの間隔をあけて配置している。そして、隅金具46bと支柱421との間には、補強桁424a,424bが連結されることで、縦桁423の撓みを抑制するようにしている。
【0030】
コンテナ後部下方に位置する横桁422の中央には、軸47aを介して走行ローラ47が回転可能に取り付けられている。走行ローラ47は左右一対設けられており、軸47a回りに揺動することで、コンテナ後方に突出した位置と、枠42に沿った格納位置との間を移動することができる。
【0031】
コンテナ上方の縦桁423間には、天板425が固定され、天板425の略中央に前述したタンク41の開口41bが設けられている。コンテナ4の側面中央部にはハシゴ48が設けられ、天板425まで作業者が昇ることができるようになっている。
【0032】
図1に示すように、サブフレームSの後部にはジャッキ5を更に備えている。ジャッキ5は、サブフレームSの後端に固定された上下部材51の下端部寄りの位置に回動自在に取り付けられた左右一対のアーム部52と、このアーム部52の先端部に回動自在に取り付けられたローラ53とを有している。
【0033】
ジャッキ5は、サブフレーム2から垂下してローラ53が地面に近づく下突出位置と、荷役車両V前方へ略90°回動して下突出位置よりも上方へローラ53が地面から退避した収納位置との間を回動可能としている。
【0034】
下突出位置で保持された状態にあるジャッキ5は、積荷作業の際の荷役車両Vの降下を抑制することができる。具体的には、コンテナ4に積載物を積み降ろしする動作、サブフレームS上に搭載されているコンテナ4を車両後方へ傾斜させるダンプ動作の際に、ジャッキ5を下突出位置とすることで、このジャッキ5は荷役車両Vの降下を抑制することができ、積載物の積み降ろし作業が安全となる。または、コンテナ4を荷役車両V上と地上との間を積み降ろしする作業の際に、ジャッキ5を下突出位置とすることで、車体の降下を抑制することができ、コンテナ4の積み降ろし作業を安全に行うことができる。
【0035】
図1,図2,図4を用いて、コンテナ4を荷役車両Vに固縛する係合手段9について説明する。
なお、本願において車体とはシャシフレームFだけでなく、サブフレームSを含むシャシフレームFに対して相対的に姿勢が変化しない全ての部材を指す。
係合手段9は、荷役車両Vの車体(サブフレームS)の両端に前後1対、合計4つ設けている。4つの係合手段9の構造は同一であるため(左右は対称)、車両左舷前方に設けた係合手段9を例に説明する。図4は、図1の4−4線断面図のうち、係合手段9の部分を拡大した図である。図4(a)に示すように係合手段9は、サブフレームSの側面に車幅方向外方に向かって突出するように固定したステー91と、ステーの先端部に設けた孔92と、孔92に出し入れできるとともにコンテナ4の隅金具46と係脱する係合部93とを備えている。
ステー91の先端部に設けた孔92は、貫通孔92aと、貫通孔92aよりも直径が大なる段差部92bとよりなる。
【0036】
係合部93は、側面視三角形状のツイストロック93aと、ツイストロック93aの下部の固定した落下防止ブロック93bと、落下防止ブロック93bの下面に固定されるとともに貫通孔92aに通されたロッド93cと、ロッド93cの下端に固定した跳上防止ブロック93dと、跳上防止ブロック93dに固定した操作レバー93eとを有する。
ロッド93cは貫通孔92aを上下動できる程度の隙間を設けて挿入されてある。一方、落下防止ブロック93bと跳上防止ブロック93dとは、貫通孔92aの直径よりも大きく形成されており、貫通孔92aをそれぞれ通過することができないようにしている。ツイストロック93aは操作レバー93eを上下及び回転させることにより、落下防止ブロック93b、跳上防止ブロック93d間で上下移動することができ、ロッド93c回りに回転することができる。
【0037】
ステー91には近接センサ94を固定し、ツイストロック93aが孔92の段差部92b内に格納された状態における落下防止ブロック93bを検出することで、ツイストロック93aが格納されていることを把握することができるようになっている。
【0038】
コンテナ4が荷役車両Vに搭載されたときには(図4(b))、ステー91の先端に設けられた係合部93の上方にコンテナ4の側縁部4Aが位置している。この状態で、操作レバー93eを上方に移動した後に90度回転すると、ツイストロック93aがコンテナ4の隅金具46と係合する。そして、ツイストロック93aは跳上防止ブロック93dがステー91の下面に当接しているため、図4(b)の位置から上方に移動することができない。これにより荷役車両Vの走行時にコンテナ4が跳ね上がったとしても、コンテナ4は荷役車両Vより脱落してしまうことを防止することができる。また、コンテナ4が荷役車両Vに対して左右方向に回転(ロール)したとしても、コンテナ4の端部に近い位置に配置された隅金具46(被係合部)を係合部93が係合しているため、荷役車両Vに対してコンテナ4のロールを効果的に抑制することができる。
【0039】
図5、図6を用いて、上記荷役車両Vによるコンテナ4の積み降ろし作業、シャシフレームF上でコンテナ4を車両後方へ傾斜させるダンプ作業についてそれぞれ説明する。
【0040】
[コンテナ降ろし動作]
コンテナ4を荷役車両Vから地上へ降ろす作業について説明する。まず、図1に示すように、サブフレームS上にコンテナ4が搭載されている状態から、収納位置にあるジャッキ5を下方回動させ、接地ローラ53が地面に近づく下突出位置とする。係合部93の操作レバー93eを操作してコンテナ4と荷役車両Vとの係合を解除し、走行ローラ47を軸47a回りに揺動させてコンテナ後方に突出させる。この状態から、作業者が降ろしスイッチ(図示せず)を操作し、その操作に基づき制御装置(図示せず)が荷役駆動装置3を伸縮させることにより荷役アーム2を後方回動させる。具体的には、スライドシリンダ32の収縮作動により、フックアーム24を後方に移動させ、コンテナ4を左右の案内ローラRにより案内しながら後方に移動させる(図5(a)参照)。その際、図示しないロック装置がロック解除されることにより、リフトアーム22はダンプアーム21に対して自由に回動できるようになる。
【0041】
ついで、制御装置がリフトシリンダ31を伸長作動させると、リフトアーム22はフックアーム24とともに後方に回動する。これにより、コンテナ4は、左右の案内ローラRに案内されてサブフレームS上を後方に移動するとともに、その後部が左右の案内ローラRの回転中心を支点として下方に回動し、走行ローラ47が地上に着地する(図5(b)参照)。降ろし操作を継続することでリフトシリンダ31が伸長を継続して最伸長すると、フックアーム24は下向きとなって、コンテナ4は荷役車両Vの後方の地上に降ろされる(図5(c)参照)。ここで、フックアーム24先端のフック25をリフトバー44より外せば、コンテナ4は荷役車両Vから分離される。分離後は、下突出位置にあるジャッキ5を上方回動させ、接地ローラ53が地面から退避した収納位置とし、コンテナ4の降ろし作業が終了する。
【0042】
[コンテナ積込動作]
次に、地上に降ろされているコンテナ4を荷役車両V上に積み込む作業について説明する。まず、スイッチ操作からリフトアーム22をフックアーム24とともにリフトシリンダ31が最伸長するまで回動させる。このとき、フックアーム24は、スライドシリンダ32の収縮により、フックアーム24を車両後方へ移動させた状態にある。その後、地上に降ろされているコンテナ4の前方において、荷役車両Vの車幅方向の中心線と、コンテナ4の幅方向の中心線とが略一直線上に位置するように荷役車両Vを一旦、縦列停車させる。この状態から、収納位置にあるジャッキ5を下方回動させ、接地ローラ53が地面に近づく下突出位置とする。
【0043】
次に、荷役車両Vを後退させ、フックアーム24先端のフック25をコンテナ4の前端部のリフトバー44に係合させる(図5(c)参照)。その後、作業者が積込スイッチを操作することで制御装置が荷役駆動装置3を伸縮させることにより荷役装置Hを動作させる。まず、リフトシリンダ31の収縮作動によりリフトアーム22をフックアーム24とともに前方に回動させると、コンテナ4は、持ち上げられつつ荷役車両V側に移動し、コンテナ4底部の主桁43が案内ローラRに案内されつつさらに荷役車両V側に移動する(図5(b)参照)。
【0044】
引き続きリフトシリンダ31を収縮作動させると、コンテナ4の走行ローラ47が地上から離れる。リフトシリンダ31が最収縮すると、コンテナ4の主桁42の前部がサブフレームS上に載置される(図5(a)参照)。この状態から制御装置がスライドシリンダ32を伸長作動させることにより、フックアーム24を車両前方へ移動させ、コンテナ4がサブフレームS上に搭載された状態とする。この時、荷役車両Vの前方の係合手段9の上方には隅金具46aが、後方の係合手段9の上方には隅金具46bがそれぞれ位置している(図1参照)。最後に係合部93の操作レバー93eを操作してコンテナ4と荷役車両Vとを係合し、下突出位置にあるジャッキ5を上方回動させ、接地ローラ53が地面から退避した収納位置とすることで、コンテナ4の積込作業が終了する(図1参照)。
【0045】
また、本発明の荷役車両Vは、コンテナ積降制限手段を有している。図4を参照し、具体的に説明する。コンテナ降ろし開始時点で係合部93と隅金具46との係合が解除されていないとき、すなわちツイストロック93aとともに落下防止ブロック93bが上方に位置している場合は(図4(b)参照)、近接センサ94は非検知の信号を制御装置に発信している。近接センサ94の信号に基づき制御装置は、降ろしスイッチの操作が行われたとしても、荷役駆動装置3に対して伸縮動作させるための指示を出力しない。これにより、係合部93が係合したまま荷役装置Hが動作することにより、係合手段91やコンテナ4の破損を防止することができる。
一方、積込開始時において、ツイストロック93aが図4(c)に示すようにステー91の上面に半掛かりで突出したままコンテナ4の積込を開始した場合、コンテナ4の水平移動により隅金具46とツイストロック93aとが接触してしまうおそれがある。しかしながら、近接センサ94は段差部92bの下端に配置しているため、この状態では落下防止ブロック93bを検知していない。このとき制御装置は積込スイッチの操作が行われたとしても、荷役駆動装置3に対して伸縮動作させるための指示を出力しない。これにより、突出したツイストロック93aとコンテナ4(特に隅金具46)と接触することによる破損を防止することができる。
なお、近接センサ94の出力信号に基づき出力手段(LEDランプやブザー)から係合部が係合位置にありコンテナ4が荷役車両Vとが係合して脱落するおそれがない状態にあるのか、係合部が退避位置にあり孔92に格納されてコンテナ4の脱着時に接触しない状態にあるのかを作業者に知らせることができるようにしてもよい。
【0046】
[ダンプ動作]
次に、サブフレームS上に搭載されているコンテナ4を車両後方へ傾斜(ダンプ)させる作業について説明する。まず。図1に示すように、収納位置にあるジャッキ5を下方回動させ、接地ローラ53が地面に近づく下突出位置とし、係合手段9を解除する。その後、サブフレームS上にコンテナ4が搭載されている状態、すなわちフックアーム24を移動させない状態でダンプ上げスイッチ(図示せず)を操作することにより、リフトシリンダ31を伸長させる。このとき、図示しないロック装置はロック状態を維持してダンプアーム21とリフトアーム22とを一体に固縛しているので、ダンプアーム21、リフトアーム22は一体となって車両後方へ傾斜し、コンテナ4をダンプさせて、当該コンテナ4内の収容物をコンテナ後面より外部に排出することができる(図6参照)。
【0047】
また、本発明の荷役車両Vは、ダンプ制限手段を有している。図4を参照し、具体的に説明する。ダンプ上げ開始時点で係合部93と隅金具46との係合が解除されていないとき、すなわちツイストロック93aとともに落下防止ブロック93bが上方に位置している場合は(図4(b)参照)、近接センサ94は非検知の信号を制御装置に発信している。近接センサ94の信号に基づき制御装置は、ダンプ上げスイッチの操作が行われたとしても、荷役駆動装置3に対して伸縮動作させるための指示を出力しない。これにより、係合部93が係合したまま荷役装置Hが動作することにより、係合手段91やコンテナ4の破損を防止することができる。
一方、ダンプ下げ開始時において、ツイストロック93aが図4(c)に示すようにステー91の上面に半掛かりで突出したままコンテナ4の積込を開始した場合、コンテナ4の水平移動により隅金具46とツイストロック93aとが接触してしまうおそれがある。しかしながら、近接センサ94は段差部92bの下端に配置しているため、この状態では落下防止ブロック93bを検知していない。このとき制御装置はダンプ下げスイッチの操作が行われたとしても、荷役駆動装置3に対して伸縮動作させるための指示を出力しない。これにより、突出したツイストロック93aとコンテナ4(特に隅金具46)と接触することによる破損を防止することができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
ステー91は、サブフレームSの側面に固定したが、シャシフレームFの側面に固定するようにしてもよい。この場合、サブフレームSを介して間接的にシャシフレームFに固縛される上記実施例に比べて、コンテナ4をシャシフレームFに直接固縛することができる。
ステー91は、車体の側面に別途棒状の部材を固定したが、車体と一体形成すなわちサブフレームSやシャシフレームFの一部を直接車幅方向に延長するようにしてもよい。
【0049】
係合部93は、ステー91に対して上下方向に移動することで係合位置と退避位置との間を移動するが、係合部93はステー91に対して回転移動に限りおこなえるようにして、ステー91を車両前後方向の軸回りに上下揺動できるようにすることで係合部93を係合位置と退避位置(コンテナ4の下方)との間を上下移動できるようにしてもよい。
上記実施例においては、前方の係合手段9の上方にコンテナ前端下部の隅金具46aが、後方の係合手段9の上方にコンテナ後方下部の隅金具46bがそれぞれ位置するように合計4つを車体に固定したが、コンテナ4の固縛強度に応じて係合手段9の数を増減してもよく、他の隅金具46と係合できるように前後位置を変更してもよい。
また、各種動作の制限は、制御装置がスイッチからの入力を受け付けたうえで荷役駆動装置3に対して動作信号を出力しないようにしたが、制御装置がスイッチからの入力を受け付けないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
V 荷役車両
F シャシフレーム
S サブフレーム
H 荷役装置
2 荷役アーム
25 フック
3 荷役駆動装置
4 コンテナ
41 タンク
42 枠
43 主桁
45 リフトバー
46 隅金具(被係合部)
5 ジャッキ
9 係合手段
91 ステー
92 孔
92a 貫通孔
92b 段差部
93 係合部
93a ツイストロック
93b 落下防止ブロック
93c ロッド
93d 跳上防止ブロック
93e 操作レバー
94 近接センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、コンテナを積み降ろしするための荷役アームを備えた荷役装置と、コンテナと係合することでコンテナを車体に固縛する係合手段とを備えた荷役車両において、
前記係合手段は、車体より車幅方向外側に延設したステーと、ステーの端部に設けられるとともに前記コンテナの側縁部に設けられた被係合部に係合する係合部とを備えたことを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
前記係合部は、コンテナと係合できる係合位置と、コンテナの被係合部から離れた退避位置との間を移動可能に設けられたことを特徴とする請求項1記載の荷役車両。
【請求項3】
前記車体は、シャシフレームとシャシフレームに固定したサブフレームとを有し、
前記荷役装置及び前記係合手段は、サブフレームに固定されたことを特徴とする請求項1または2記載の荷役車両。
【請求項4】
前記荷役車両は、荷役装置を動作させるとともに、係合部がコンテナと係合していることを検知した場合には荷役装置の動作を制限する制御装置をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3記載の荷役車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−23085(P2013−23085A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159908(P2011−159908)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)