説明

荷物庫の作動

【課題】航空機の荷物庫用の改良された制御デバイスを提供する。
【解決手段】航空機の荷物庫と一体となる検出部であって、該検出部は、能動層を有する容量性センサ34を備える。容量性センサは、ユーザにより引き起こされた第一の事象を検出するようになされ、検出部は、第一の制御信号を制御機構に伝送するようになされ、第一の制御信号は、第一の事象に対応し、能動層は、周囲の庫構造物から絶縁された炭素繊維を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2004年7月29日出願の米国特許仮出願第60/591,883号の出願日の利益を主張し、この開示内容を参考資料としてここに援用し、2004年6月22日出願のフランス特許出願第0406778号の出願日の利益を主張し、この開示内容を参考資料としてここに援用する。
【0002】
本発明は、荷物庫を閉じるための制御デバイスに関する。より具体的には、本発明は、航空機の乗客が利用できる荷物庫に関する。しかしながら、本発明は、別の種類の乗客輸送車両(例:電車、バス、ボート)にも適用してもよい。
【背景技術】
【0003】
頭上に配置された荷物庫に荷物を入れることが、慣行となっている。この解決法により、通常は使用されない空間を利用することで、荷物を積むのに床のみを使用しなくて済む。
【0004】
特定の構成において、特に航空機において、荷物庫は、積まれる荷物を受け入れるように設計された可動容器を備える。この容器は、容器の内側にアクセスするための開下方位置と閉上方位置との間を移動することができる。そして、容器が下方位置になったとき、容器に荷物が入れられ、その後、容器がその閉位置に向かって上方向に押される。容器を閉めるとき、容器とそこに入れられた全ての荷物を、上方向に押すことで、容器を閉位置にしなければならない。
【0005】
作動式の荷物庫の場合は、荷物容器を開位置から閉位置に容易に動かすことができ、荷物庫を開ける際にこの容器にブレーキをかけることができる。しかしながら、このような荷物容器の制御は、ガスシリンダによって支援されるか否かに関わらず、手動式の荷物庫とは完全に異なるため、ユーザにとってなじむものではない場合がある。場合によっては、これがユーザにとって煩わしいこともある。したがって、例えば、ユーザが荷物庫に1つの荷物を入れるのを忘れて、これを庫が閉まっている間に気づいた場合、電動式の庫の場合、その人は、庫が閉まるのを待ってから、庫の中にその忘れた荷物を入れられるように、庫を再度開けなければならない場合がある。手動式に制御された庫の場合、乗客が、庫の中に1つの荷物を入れるのを忘れたことに気づいたら、その人は、庫を離し、庫は直ぐに開く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、荷物庫用の改良された制御デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一例としての実施の形態によると、荷物庫を閉めるための制御デバイスが提供され、制御デバイスは、制御機構と、可動部と、ユーザにより引き起こされた第一の事象を検出し、第一の制御信号を制御機構に伝送するようになされた検出部とを備え、第一の制御信号は、第一の事象に対応し、制御機構は、可動部を閉めるようになされ、荷物庫の閉動作は、第一の制御信号により引き起こされる。
【0008】
本発明の他の一例としての実施の形態によると、第一の事象は、領域に加えられる圧力信号と、ユーザの接近とのうちの1つである。更に、可動部は、荷物を積むための開口と下方外側面とを備え、領域は、可動部の下方外側面に相当し、検出部は、可動部の下方外側面に相当する水準面に配置される。
【0009】
本発明の他の一例としての実施の形態によると、検出部は、更に、第二の事象を検出し、第二の制御信号を機構に伝送するようになされ、第二の制御信号は、領域に加えられた第二の事象に対応し、機構は、更に、荷物庫を開けるようになされ、荷物庫の開動作は、第二の制御信号により引き起こされる。
【0010】
なお、第一又は第二の事象は、圧力信号又は引き信号又は、例えば、一連の単独圧力信号でもよい。
【0011】
制御デバイスは、検出部に圧力が加えられると、制御信号を送信することができる。圧力(力と同等)が止まると、信号が修正され、閉動作を支援するための機構が、これを認識することができる。したがって、支援機構は、荷物庫、即ちより正確にはその可動部が、「自然に」反応するように、駆動することができる。即ち、荷物庫の可動部に圧力が加えられないとき、閉動作を支援する機構は、停止されることができる。このようにして、荷物庫は、ユーザが「手動式の」荷物庫を押すのを止めて、それが再度開くときと同じように、反応することができる。
【0012】
より人間工学に基づいた制御手段とするために、検出部が、荷物庫の幅の少なくとも半分に相当する長さで、可動部の開口に対して長手方向に伸び、その可動部の開口の近くに位置するのが、都合がよい。したがって、検出手段は、可動部の、ユーザが荷物庫が閉まるように自然に押そうとする場所に位置する。
【0013】
検出部は、例えば、抵抗センサと容量性センサとの組から選択される圧力センサを備える。
【0014】
一例としての実施の形態によると、検出部は、例えば、溝の底に配設され、レストバーは、それに圧力が加えられたときにそれが検出手段に作用するように、溝に弾性的に搭載される。レストバーは、例えば、検出手段に作用するように設計された内部面と、該内部面に対向して、ユーザが圧力を加えることができる外部面と、2つの横方向の面とを有する、大体長方形断面形状をした片の形状をしており、横方向の面は、それぞれ、縦方向に伸びるフランジを有し、レストバーを受け入れる溝の両側は、それぞれ、レストバーのフランジが位置する収納部を有する。
【0015】
この一例としての実施の形態において、プリント回路は、例えば、溝の底に収納され、レストバーの内部面は、導電性であり、導電面は、レストバーに圧力が加えられないとき、プリント回路から一定の距離を空ける。
【0016】
本発明の他の一例としての実施の形態において、検出手段は、例えば、可動部の下方外部面の主要部分を覆っている。そして、検出手段は、膜形状をしている。本実施の形態の変更例では、この膜は、絶縁材料層により、可動部の下方外部面から絶縁され、装飾層に覆われている。
【0017】
本発明は、また、頭上に配置されるように設計された荷物庫に関し、この庫は、開位置と閉位置との間の可動部と、可動部に作用してそれの閉動作を促す制御機構とを備え、本発明は、上述のような、機構に作用する制御デバイスを備える。
【0018】
本発明の他の一例としての実施の形態によると、航空機の荷物庫と一体となる検出部が提供され、検出部は、能動層を有する容量性センサを備え、容量性センサは、ユーザにより引き起こされた事象を検出するようになされる。検出部は、第一の制御信号を制御機構に伝送するようになされ、第一の制御信号は、第一の事象に対応する。
【0019】
本発明のこの一例としての実施の形態によると、容量性センサは、荷物庫と完全に一体となっていてもよい。容量性センサが、例えば特定のユーザの動作等の、ユーザにより引き起こされる事象を検出した場合、対応する制御信号が、制御機構に伝送される。本発明の一側面によると、制御機構は、その後、ユーザが荷物庫を開けるか又は閉めるのを手伝うことができる。
【0020】
本発明の他の一例としての実施の形態によると、検出部は、更に、容量性センサに電圧を供給し、容量性センサにより生成される電界を分析するようになされた回路を備え、電界は、ユーザにより引き起こされる事象に対応している。したがって、回路は、対応するユーザの行動又は事象が起こったかどうかを確認するようになされることができる。例えば、特定の事象が、例えば、荷物庫を閉めるというユーザの意図と明確に認識されるように、回路を校正又はプログラムさえすることができる。他方で、更に、荷物庫を開けるというユーザの意図に対応する第二の事象を検出及び認識するように、回路を校正又はプログラムすることもできる。なお、容量性センサと回路との感度は、それの用途のための個々の要件に合わせて、個々に調整することができる。
【0021】
本発明の他の一例としての実施の形態によると、事象は、領域に加えられる圧力信号と、ユーザの接近とのうちの1つである。
【0022】
したがって、センサは、容量の変化を検出することにより、荷物庫の特定の領域に加えられた圧力を検出することができる。更に、容量の変更をもたらす圧力信号だけでなく、例えば荷物庫の領域へのユーザの手の接近も、検出されるように、回路を校正することができる。
【0023】
本発明の他の一例としての実施の形態によると、能動層は、周囲の庫構造物から絶縁された導電性材料である。
【0024】
更に、能動層は、炭素繊維、アルミニウム又は銅箔又は銅又はアルミニウムウェブ又は格子材料を備えてもよい。
【0025】
炭素繊維を能動層として使用することにより、検出部を荷物庫に容易且つ費用効率高く一体化することができる。
【0026】
本発明の他の一例としての実施の形態によると、航空機の荷物庫を閉めるための制御デバイス用の検出部の使用が提供される。
【0027】
これら及びその他の本発明の側面は、以下に説明する実施の形態を参照して、容易に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一例としての実施の形態に係る荷物庫を示す図である。
【図2】図1の断面線II−IIに沿った拡大断面図であり、ユーザの手も、本図に示されている。
【図3】本発明に係る制御デバイスの概略断面図であり、この断面は、図4の断面線III−IIIに相当する。
【図4】図3に示す制御デバイスで利用されるプリント回路を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態の変更例としての、図2の図に対応する(手はない)、異なる縮尺の断面図である。
【図6】容量性センサを備える荷物庫の可動部の平面図である。
【図7】本発明の一例としての実施の形態に係る荷物庫の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の例としての実施の形態を、以下の図面を参照して、説明する。
【0030】
図1は、航空機(又はその他の乗客輸送車両)において頭上に設けられるように設計された荷物庫を示す。従来より、この荷物庫は、固定ボックス2と、固定ボックス2の中に完全に入る閉位置とこのボックス2の外に突出する開位置との間の可動部4とを備える。
【0031】
例えば、可動部4が、大体水平な軸6を軸に回ることにより、それの開位置から閉位置に動くことが想定できる。当然ながら、他の動作も可能である。図示しない機構が、最初に、荷物庫が開く間、次に、閉まる間、支援をする。
【0032】
荷物庫が開く間、特に、荷物庫に荷物が積まれているとき、可動部4が突然落ちることを防止しなければならない。実際、これにより、そのときに荷物庫を損傷させるとともに、庫の中の荷物が落ちるかもしれない衝撃が生じることがある。荷物庫が閉まる間、支援機構は、可動部4とそこに入っている荷物との重量と反対方向の力を提供する。実際、開位置から閉位置に動くのに、可動部4は、低位置から高位置に動くため、重力は、この動作と反対方向である。
【0033】
一例としての実施の形態によると、支援機構は、可動部4の下降動作にブレーキをかけるか、又は、上昇動作において可動部を駆動するかに使用されるモータである。この機構は、また、1以上の支援シリンダを備える受動機構でもよい。
【0034】
以下の説明は、特に、荷物庫が閉まる間に、この庫に備えられた支援機構に作用する制御手段に関する。
【0035】
図1において、線形制御ゾーン8が、取っ手10の両側に配設されている。これは、従来より、固定ボックス2に対して可動部4を離し、荷物庫の開動作を制御するために用いられている。
【0036】
可動部4は、荷物が入れられる容器の形状で示されている。この容器は、固定ボックス2に対してスライドする(又は軸移動する)。この容器は、可動部4の下面12、及び、荷物庫を形成する底壁を備える。可動部4は、また、積まれる荷物の出し入れをするための開口14を有する。荷物庫が閉位置にあるとき、開口14は、固定ボックス2の中に完全に格納されている。荷物庫が開位置にあるとき、乗客は、自分の荷物をその庫に出し入れするために開口14にアクセスする。図1は、半開位置にある荷物庫を示している。また、図1及び図2において、エッジ16があるのがわかる。これは、特に荷物庫が開位置にあるときに、物が荷物庫から落ちるのを防止するために、開口14の底に設けられている。このエッジ16は、可動部の下面12に沿って伸びている。取っ手10は、従来より、エッジ16及び開口30の近くに、荷物庫の可動部4に対して中央に位置している。
【0037】
特に図2乃至図4に示した一例としての実施の形態において、機構の制御手段が、取っ手10の両側にある線形ゾーン8に配設されている。これらの線形ゾーン8は、エッジ16に大体平行に伸びている。
【0038】
制御手段は、プリント回路18と、導電素子20と、レストバー22とを備える。
【0039】
図3は、これらの要素を概略的に示している。導電素子20は、例えばボンディングによって、レストバー22上に固定され、プリント回路18と対向している。停止位置において、レストバー22に圧力が加えられないとき、導電素子20は、プリント回路18から一定の距離だけ離れている。これら2つの要素間に接触はない。一方、プリント回路18の方向に、レストバー22に圧力が加えられると、導電素子20は、レストバー22により駆動され、プリント回路18と接触する。その後、この接触は、図示しない電子手段により検出され、電気信号が支援機構に送信される。
【0040】
導電素子20は、例えば、方形であるプリント回路18と大体等しい寸法の方形帯の形状をしている。この要素は、例えば、炭素又は炭素基からなる。この導電素子20を作成するのに、他の導電性材料を用いてもよい。
【0041】
プリント回路18は、図4の上面図に示されている。このプリント回路18が、プリント回路18の長さ全体に亘って伸びている角張った切欠きの形状をしたトラック24を備えているのが分かる。図2で分かるように、プリント回路18は、可動部4の下面12に到達する溝26の底に位置している。この溝26は、下面12の外部に到達している。レストバー22は、溝26に埋まり、僅かに溝の外側に突出している。
【0042】
導電素子20が停止位置においてプリント回路18から一定の距離を保つために、レストバー22は、横方向フランジ28を有する。これらのフランジは、対応する溝26の横側に設けられた対応する収納部に位置している。
【0043】
レストバー22は、例えば合成材料のような絶縁材料からなる加工片であり、導電素子20を保持する内部面と、溝26の外に突出している外部面と、2つの長い横方向の面とを有する。フランジ22は、長い横方向の面に保持され、それに大体垂直に伸びている。横方向フランジ28は、レストバー22に位置し、対応する収納部は、横方向フランジ28がその収納部の所定の位置にあるとき、導電素子20がプリント回路18から一定の距離(mm又は1/10mm単位)を保つように、溝26の両側に達している。
【0044】
図2に示すように、溝26は、可動部4の下面12の自由端に位置する片30に達していてもよい。この片30は、開口14の側で、この自由端に収まっていてもよいし、その上に成形されていてもよい。その片は、また、例えば前述したエッジ16と一体となっていてもよい。
【0045】
上述した制御手段への作用は、非常に自然に行われる。乗客が自分の荷物を荷物庫(開位置)に入れると、その人は、可動部の下面12を押して、荷物庫を閉める。更に、可動部4の回転軸6と反対の側は、必然的に、その人に最も近くて最もアクセスしやすい領域であるため、なおさら、その人は、下面12のこの領域を必然的に押す。したがって、荷物庫の可動部4を必然的に押して庫を閉めることにより、乗客(又は乗務員又はその他のいかなる人)は、支援機構の制御手段に作用する。その後、電気信号が、制御手段により送信される。電子ボックス(図示せず)が、この信号を受信し、その結果、支援機構を制御する。乗客(又はその他の人)が、レストバー22を押すのを止めると、上述した手段により出された電気信号が、遮断される。電子ボックスは、この情報を認識することができる。信号におけるこの変更は、荷物庫の閉動作を止めるというユーザの意思と解釈されることができる。その後、機構は、様々な方法で反応することができる。例えば、それは、レストバー22への接触が止められたと認識される位置で、可動部4を離すこともできる。それは、また、このときに、荷物庫を再度開けることもできる。状況によっては、閉動作と認識されてもよいこともある(例えば、接触が終わったときに荷物庫が実際に閉まっている場合)。
【0046】
別の実施の形態において、可動部4の下面12の断面図である図5に示すように、検出部の容量性センサ34が、下面12全体を覆っている。
【0047】
図に示す実施の形態において、この下面12は、炭素からなる。面は、炭素繊維を基礎とした複合材料の複数の層32を備える。下面12の外部は、シート状の容量性圧力センサ34に覆われている。センサ34は、容量性センサに電圧を供給し、容量性センサにより生成される電界を分析するようになされた回路500と電気的に結合しており、電界は、事象に対応している。
【0048】
可動部4の下面12が、導電性材料(例:炭素又は銅といったその他のいかなる導電性材料)からなるため、これは、この下面12の容量性センサ34から絶縁されなければならない。また、導電性材料は、アルミニウム又は銅のような金属からなる箔、層又は格子でもよい。下面12と容量性センサ34との間に繊維ガラスを基礎とした絶縁膜36を配置することにより、この分離を行ってもよい。更に、例えば、保護の理由で、又は、審美的な理由で、容量性センサ34は、装飾膜38で覆われる。この膜38は、様々な外見をしていてもよい。例えば、これは、荷物庫が位置している機体座席に合う布地や、合成材料等でできていてもよい。
【0049】
図6は、可動部4と一体となっている容量性センサ34を備える荷物庫の可動部の平面図を示す。本発明のこの一例としての実施の形態によると、容量性センサ34が、例えば114cm×16cmの面積等の、下面の外部のかなりの部分を覆っていてもよい。回路500は、例えば、取っ手10の後ろに配置されていてもよい。
【0050】
しかしながら、容量性センサ34が、下面の外部全体を覆っていてもよい(取っ手10を除く)。
【0051】
ユーザが外部の下面12に触れると直ぐに、又は、ユーザが容量性センサ34に近づくと直ぐに、この事象が検出され、対応する電気信号が、可動部4を動かす支援をする制御機構を管理するのに利用される電子ボックス500に送信される。ここで、制御デバイスの第一の実施の形態に関して述べた動作と類似した動作が行われてもよい。これにより、最小限の力を加えることにより、例えば、荷物庫を閉めることができる。したがって、ユーザは、自分の指先だけで、荷物庫を閉めることができる。
【0052】
なお、制御機構が可動部を動かす動作速度が、ユーザにより加えられた圧力の量に依存するようにしてもよい。例えば、小さい圧力の場合は、閉まる速度が遅くなり、大きい圧力の場合は、荷物庫が閉まる速度が速くなってもよい。
【0053】
しかしながら、容量性センサ34を備える検出部は、更に、荷物庫を開けるというユーザの意図に対応して、第二の事象を検出するようになされていてもよい。この事象は、例えば、ある一連の単独圧力動作又は一連のユーザの手の接近であってもよい。例えば、一回の短い動作により荷物庫が閉まって、2回の短い動作により荷物庫が開くようにしてもよい。したがって、容量性センサ34は、荷物庫の容器材料と一体となった能動層を備えていてもよい。能動層は、例えば銅又は炭素繊維等の導電性材料を備え、庫の構造物から絶縁されていてもよい。
【0054】
本発明の一例としての実施の形態によれば、炭素繊維が、荷物庫の他の部分の建造材料としても使用されてもよいため、能動層として、炭素繊維材料が使用されてもよい。
【0055】
能動層材料として炭素繊維を使用することにより、荷物庫構造物の材料構成が均一になるため、センサは、外側から見えない。したがって、そのようなセンサは、見えることなく、航空機の客室構造物と一体になることができる。したがって、客室のデザインが、センサの一体化によって悪影響を受けない。
【0056】
検出部は、更に、容量性センサ34に電圧を供給し、容量性センサ34により生成される電界を分析するようになされた回路500を備えていてもよい。回路500は、容量性センサ34に電気を供給し、各検出信号を分析するようになされた集積回路又はその他のいかなる回路の形状になされていてもよい。
【0057】
能動層は、回路ボックス500と電気的に結合していてもよい。上述した容量性センサを備える検出部を使用することにより、作成プロセスにおいて、容易に客室構造物と一体となることができる知的スイッチが提供されてもよい。例えば、センサを取り巻くガラス繊維マットを使用することによって、センサをその周囲の構造物から絶縁することにより、電界を発生させるのに必要な電力を、最小限に抑えることができる。したがって、電磁適合性が更に向上できる。
【0058】
能動センサ層34の作成において、能動センサ層34は、1つ又は複数のガラス繊維マットの間に埋め込まれることにより、能動層34が周囲構造物から絶縁される。本発明の一側面によると、センサ層34は、絶縁層の後の第一の層である。しかしながら、絶縁層と能動層との順番は、電子又は感度に関する考え方により異なってもよい。例えば、可動部の各面(即ち、内部面と外部面)にセンサ層を設けたい場合、2つのセンサ層を実装し、ガラス繊維マットで絶縁することにより、2つの能動層の間にガラス繊維マットを挟むようにしてもよい。
【0059】
庫構造物の作成過程において、高圧及び熱を加えることにより、異なる層が積層される。積層及び硬化の後、結果としてできた、センサを備える庫は、更に加工されてもよい。この更なる加工は、ニス塗り又は更なる積層ステップを備えていてもよい。
【0060】
容量性センサは、客室構造物と一体になった目に見えないスイッチとして、特に、トイレ又はその他の乗客領域における特別設計された電灯スイッチとして、使用してもよい。更に、センサは、客室乗務員にのみ使用される、庫を開けるための目に見えないスイッチとして使用してもよい。更に、センサは、操縦室のドアを施錠するシステムを制御するためのスイッチとして使用してもよい。
【0061】
なお、センサは、熱又は湿気等の、極度な物理的条件にさらされる領域で使用してもよい。
【0062】
上述した制御手段の実施の形態により、手動式の荷物庫と同じように動作する電動式の荷物庫を提供することができる。したがって、ユーザは、この庫が電動式であることを気づきさえせずに、この荷物庫を非常に自然に使用することができる。上述した手段は、荷物庫のユーザにより加えられる力を測定するのにも使用してもよい。したがって、支援機構は、それが動作しているときに、荷物庫の可動部に対してユーザにより加えられた力に従って、駆動するようにしてもよい。
【0063】
図7は、本発明の一例としての実施の形態に係る荷物庫を示し、センサ層34と、容量性センサに電圧を供給し、容量性センサにより生成される電界を分析するようになされた電子ボックス500とを備え、電界は、事象に対応している。
【0064】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、限定されない例を有する。本発明は、また、以下の請求の範囲に関する分野の当業者が理解する範囲内での全ての実施の形態の変更に関連することもある。
【0065】
上述したセンサは、限定されない例を有する。ここで、これらのセンサは、「オン/オフ」タイプのボタンと区別されることが重要である。これらのセンサから出た信号は、ユーザが荷物庫の可動部に力を加えているか否かを示す。
【0066】
可動部が軸回転部である荷物庫に関連して説明がなされた。当然ながら、本発明は、また、異なる運動を行う荷物庫に適用することもできる。
【0067】
センサの形状及び大きさは、提案された形状と異なってもよいし、航空機、自動車、バス、列車又は家具のそれぞれの用途に適合させてもよい。また、そのようなセンサは、例えばラップトップ又はその他の電気デバイスにおける見えないスイッチ又は設計スイッチとして適用してもよい。第一の実施の形態は、荷物庫の取っ手の両側に配置された2つのセンサを提案している。より多くのセンサを提供してもよい。第二の実施の形態では、荷物庫の外部面全体がセンサに覆われている。センサが、荷物庫の下面の例えば半分又は3分の1を覆うという、中間的な解決法も、当然ながら、可能である。
【0068】
なお、本発明の一側面によると、支援機構又は制御機構は、電気モータ、空気圧又は水圧機構、又は、ガスシリンダとして適合させてもよい。
【0069】
なお、「備える」は、その他の要素又はステップを排除するのではなく、また、「1つの」は、複数を排除するのではなく、また、単一のプロセッサ又はシステムが、請求の範囲に記載された複数の手段の機能を果たしてもよい。また、異なる実施の形態に関連して述べた要素を組み合わせてもよい。
【0070】
なお、請求の範囲における符号は、請求の範囲の限定と考えられないこととする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の荷物庫と一体となる検出部であって、
該検出部(34)は、
能動層を有する容量性センサを備え、
前記容量性センサは、ユーザにより引き起こされた第一の事象を検出するようになされ、
前記検出部(34)は、第一の制御信号を制御機構に伝送するようになされ、
前記第一の制御信号は、前記第一の事象に対応し、
前記能動層は、周囲の庫構造物から絶縁された炭素繊維を含む、検出部。
【請求項2】
更に、前記容量性センサに電圧を供給し、前記容量性センサにより生成される電界を分析するようになされた回路(500)を備え、
前記電界は、前記事象に対応している、請求項1に記載の検出部。
【請求項3】
前記事象は、領域に加えられる圧力信号と、ユーザの接近と、ユーザとの接触のうちの1つである、請求項1又は2に記載の検出部。
【請求項4】
前記能動層は、周囲の庫構造物から前記能動層を絶縁するためにガラス繊維マットの間に埋め込まれる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出部。
【請求項5】
前記能動層と前記ガラス繊維マットは、高圧と熱を加えて積層化されている、請求項4に記載の検出部。
【請求項6】
更に、荷物庫のユーザにより加えられる力を測定するようになされている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検出部。
【請求項7】
前記検出部(34)は、膜の形状をしている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検出部。
【請求項8】
前記膜は、絶縁材料層(36)により、可動部の下方外部面(12)から絶縁され、装飾層(38)に覆われている、請求項7に記載の検出部。
【請求項9】
荷物庫を閉めるための制御デバイスであって、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検出部(34)と、
制御機構と、
開位置と閉位置との間を動くようになされた可動部(4)とを備え、
前記検出部は、第一の制御信号を前記制御機構に伝送するようになされ、
前記第一の制御信号は、前記第一の事象に対応し、
前記制御機構は、前記可動部(4)を閉めるようになされ、
前記荷物庫の閉動作は、前記第一の制御信号により引き起こされる、制御デバイス。
【請求項10】
前記第一の事象は、領域に加えられる圧力信号と、ユーザの接近と、ユーザとの接触のうちの1つであり、
前記可動部(4)は、荷物を積むための開口(14)と下方外側面(38)とを備え、
前記領域は、前記可動部(4)の前記下方外側面(38)に相当し、
前記検出部(34)は、前記可動部(4)の前記下方外側面(38)に相当する水準面に配置されることを特徴とする請求項9に記載の制御デバイス。
【請求項11】
前記検出部(34)は、更に、第二の事象を検出し、第二の制御信号を前記機構に伝送するようになされ、
前記第二の制御信号は、前記第二の事象に対応し、
前記機構は、更に、前記荷物庫を開けるようになされ、
前記荷物庫の開動作は、前記第二の制御信号により引き起こされる、請求項9又は10に記載の制御デバイス。
【請求項12】
前記検出部(34)は、前記荷物庫の幅の少なくとも半分に相当する長さで、前記可動部(4)の開口(14)の近くに、前記可動部(4)の前記開口(14)に対して長手方向に伸びる、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の制御デバイス。
【請求項13】
前記検出部(34)は、前記可動部(4)の下方外部面(12)の主要部分を覆っている、請求項9乃至12のいずれか1項に記載の制御デバイス。
【請求項14】
頭上に配置されるようになされた荷物庫であって、
開位置と閉位置との間を動作可能な可動部(4)と、
前記可動部(4)に作用してそれの閉動作を促す制御機構とを備え、
前記庫は、前記制御機構に作用するようになされた請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検出部(34)を備える、荷物庫。
【請求項15】
航空機の荷物庫を閉めるための制御デバイス用の、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検出部の使用。
【請求項16】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検出部を備える、航空機。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−137584(P2009−137584A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16104(P2009−16104)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【分割の表示】特願2007−517143(P2007−517143)の分割
【原出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(504467484)エアバス・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (268)
【出願人】(506421998)エアバス・ソシエテ・パル・アクションス・シンプリフィ (5)