荷電粒子線装置
【課題】
本発明の目的は、吸音材もしくは制振材から発生する異物の飛散を抑制してクリーンルームで使用可能にするとともに、吸音材もしくは制振材で効率良く音波を減衰するのに好適な荷電粒子線装置を提供することである。
【解決手段】
上記目的を達成するため、荷電粒子線装置の鏡体,試料から発生する二次信号粒子を検出する検出手段,二次信号粒子検出手段の信号により試料像を取得する試料像取得手段,試料ホールダ,試料ステージを包囲する外装カバーと、外装カバーの内面に防塵繊維で包囲された吸音材もしくは制振材を取付ける取付け手段とを具備したものである。
本発明の目的は、吸音材もしくは制振材から発生する異物の飛散を抑制してクリーンルームで使用可能にするとともに、吸音材もしくは制振材で効率良く音波を減衰するのに好適な荷電粒子線装置を提供することである。
【解決手段】
上記目的を達成するため、荷電粒子線装置の鏡体,試料から発生する二次信号粒子を検出する検出手段,二次信号粒子検出手段の信号により試料像を取得する試料像取得手段,試料ホールダ,試料ステージを包囲する外装カバーと、外装カバーの内面に防塵繊維で包囲された吸音材もしくは制振材を取付ける取付け手段とを具備したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超高分解能観察が可能な荷電粒子線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)に代表される荷電粒子線装置は、半導体技術の進歩やナノテクノロジー産業の発展と共に飛躍的に分解能が向上してきた。荷電粒子線装置で分解能を向上させるには、荷電粒子線装置の光学系の技術開発が非常に重要である。しかし、数百万倍の倍率で観察する超高分解能観察になると、荷電粒子線装置の光学系を開発すると共に、分解能向上を阻害する外乱要因を徹底して抑制しなければ商品化できない。
【0003】
分解能向上を阻害する外乱要因には、床振動,送風,磁場,騒音などがある。床振動とは、建物全体の振動や歩行などに生じる振動による障害のことで、この振動を低減しないと、荷電粒子線装置で発生する電子線の試料到達位置が本来の目標よりずれてしまうために、画像が乱れてしまう現象である。床振動の影響を低減する対策には、様々な除振装置が開発されており、荷電粒子線装置の内部に組込む方式の装置や、荷電粒子線装置を除振装置上に接地する等の事例がある。
【0004】
送風とは、空調機等から排出される風圧で荷電粒子線装置を揺らしてしまうような外来圧力で、低周波振動として装置に伝達し、振動障害をもたらす。送風の影響を低減する対策としては、空調の風圧が装置に直接当たらない配置にすることや、荷電粒子線装置の光学系を保護するように外周に風除けを施す必要がある。
【0005】
磁場とは、交流磁界や直流磁界の変動による障害のことで、荷電粒子線装置で発生する電子線の試料到達位置が本来の目標位置よりずれてしまうために、画像が乱れてしまう現象である。磁場の影響を低減するには、荷電粒子線装置を高透磁率の金属で覆う磁気シールド装置や、荷電粒子線装置の外周に電磁コイルを配置して、外来磁場をキャンセルする装置が用いられている。
【0006】
騒音とは、荷電粒子線装置の設置室内に存在する外来音圧による障害のことで、空調の送風音,装置の可動音,人の会話音などが、荷電粒子線装置の金属表面に微小振動として伝達し、振動障害をもたらす。特に数百万倍の倍率で観察する荷電粒子線装置にとっては、装置へ外来音圧が伝達しないようにすることが重要である。一般的に騒音の影響を低減するには、荷電粒子線装置の設置室を防音室にすることや、荷電粒子線装置自身を防音装置で覆う等の対策が必要である。このような装置の例として、床からの振動を減衰させる除振装置に電子光学系を備えた鏡体を載置したり、外部からの音波を減衰させるカバーで鏡体を覆う手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
一般的な防音室の構造を、図11に示す。荷電粒子線装置の本体ユニット22や制御装置32を取囲むように、防音壁33や防音床34で気密な部屋を形成する。気密な部屋を形成する理由は、隙間から音が漏れると遮音効果が低下してしまうためである。また、一般的な防音装置の構造を図12に示す。荷電粒子線装置の本体ユニット22の周囲を包囲する形で防音壁33が取付けられる。外来音波の影響を受けるのは、荷電粒子線装置の本体ユニット22のみだけであり、制御装置32は防音壁33で包囲する必要がない。図
13に防音壁33の詳細図を示す。吸音材もしくは制振材27を、鋼板,樹脂,木材,紙などの素材で形成された外装材36と内装材37で包囲する。外来音波38は防音壁33を通過する間に減衰し、音波39に低減される。吸音材もしくは制振材27にはグラスウールやウレタン系の材料が使用されており、壁の厚さは数cmから数十cmになる。防音壁の厚さは、遮音する周波数と減衰効果により変わるが、一般的に低周波音になるほど遮音は難しくなり、防音壁の厚さも増す。このような大掛かりな防音装置では、数十Hzの低周波から数キロHzの高周波まで幅広い周波数帯域で遮音効果が得られる。
【0008】
一方、最近では自動車産業の発展と共に吸音材や制振材の性能も向上している。また、低周波音と比較して高周波音は振動エネルギーが小さく、比較的容易に減衰できるため、厚さも薄く軽量な素材で遮音できる。数百Hz以上の音波を吸収して反射させない吸音材や、金属表面に伝達した微小な音波振動を低減する制振材が多数発売されており、これらの吸音材や制振材を、外来音波を受ける壁に貼付けるだけで、高周波音に対して高い遮音効果が得られるようになっている。
【0009】
図11のような防音室や、図12のような防音装置は、設備が大掛かりとなり、コスト高になることや、設置場所が制限される問題があり、すべての荷電粒子線装置に適用することは困難である。ただし、数百Hz以上の高周波音に対して遮音する目的ならば、荷電粒子線装置の本体ユニットを外装カバーで包囲し、その外装カバーに吸音材や制振材を貼付けることで効果が得られる。この場合、コストは抑制できて設置場所も制約されないので、荷電粒子線装置への適用範囲を拡大できる。
【0010】
しかし、荷電粒子線装置の需要先の一つである半導体産業等では、ほとんどがクリーンルーム内部に荷電粒子線装置を設置する必要がある。クリーンルームは、クラス1000などと呼ばれるクリーン度の規格で管理されている。クラス1000とは、1立方フィートの空間に0.5ミクロン(0.0005mm)以上の浮遊物質が1000個以下、かつ、5ミクロン以上が10個以下のことである。クリーンルームでは、プロセス毎に浮遊物質の許容範囲がクラス分けで管理されており、作業者や装置の発塵も許容範囲内に収めることが要求される。このため、発塵性のある材料は表面を露出したまま搬入することができないため、発塵が無い素材で包囲する必要がある。これをクリアする代表例が、オペレータが着用するクリーン服である。クリーン服は防塵繊維を縫製して作られており、衣類や人体より発生する埃や浮遊物質を外部に放出しない。また、静電や燃焼等の厳しい規制をクリアした、優れた繊維である。
【0011】
一方、現在市販されている吸音材や制振材は多数あるが、大半はクリーンルームで使用できない。理由は、ウレタン系の樹脂でできている吸音材や制振材は、長期間使用すると組織が分解し、ごみとなって崩落するためである。また、グラスウール系の吸音材や制振材の場合は、表面や内部に吸着した異物が除去できないため、そのままではクリーンルームに持ち込むことができない。これらの吸音材を使用する場合には、図13のように吸音材や制振材27を鋼板や樹脂等の発塵しない素材で形成した外装材36と内装材37で包囲しなければならず、質量が増大する欠点があった。また、内装材37に鋼板を使用した場合、防音装置の内部で発生した音40が内装材37で減衰せずに反射してしまい、反射音41となって荷電粒子線装置に影響を及ぼす欠点があった。
【0012】
【特許文献1】特開平8−329874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、吸音材もしくは制振材から発生する異物の飛散を抑制してクリーンルームで使用可能にするとともに、吸音材もしくは制振材で効率良く音波を低減するのに好適な荷電粒子線装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の実施態様は、荷電粒子線装置の鏡体,試料から発生する二次信号粒子を検出する検出手段,二次信号粒子検出手段の信号により試料像を取得する試料像取得手段,試料ホールダ,試料ステージを包囲する外装カバーと、外装カバーの内面に防塵繊維で包囲された吸音材もしくは制振材を取付ける取付け手段とを具備したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吸音材もしくは制振材から発生する異物の飛散を抑制してクリーンルームで使用可能にするとともに、吸音材もしくは制振材で効率良く音波を低減するのに好適な荷電粒子線装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明による荷電粒子線装置の一例を示す概略構成図であり、透過型電子顕微鏡の構成の縦断面を示す。電子銃1より発生した電子ビーム2は、第一収束レンズ3,第二収束レンズ4、及び対物レンズ5により収束され、偏向コイル6によって電子ビーム2が試料7の表面上を走査する。試料7から発生した二次電子は、検出器9によって検出され、増幅器10で増幅され、処理装置12により映像信号に変換され、表示装置13に表示される。また、試料を透過して発生する透過電子15は、絞り装置21で不要な透過電子をカットされ、透過電子検出器16により検出される。その後、増幅器10で増幅後に処理装置12で映像信号に変換され、表示装置13に表示される。インレンズ方式SEMの場合、試料7は試料ステージ8に装着され、対物レンズ5の内部に配置される。第一収束レンズ3,第二収束レンズ4,対物レンズ5,偏向コイル6は制御装置11により制御される。試料ステージ8は、入力装置14から入力された情報により、制御装置11を介して制御される。
【0018】
図2は、本発明による荷電粒子線装置の一例を示す外観図である。荷電粒子線装置の本体ユニット22の外周には、全体を包囲するように外装カバー23が設けられる。制御装置32には処理装置12や表示装置13を内在している。外装カバー23は、鋼板や樹脂の材質で構成される。また、外装カバー23には、操作用に操作扉24や操作窓25が取付けられ、開閉可能になっている。操作窓25は、鋼板・樹脂・ガラス等の材質で構成される。また内部を観察するための観察窓26が取付けてある。観察窓26は、内部が監視できるようにガラスや樹脂の材質で構成される。操作扉24,操作窓25,観察窓26は、外装カバー23の一部品であり、これらをまとめて外装カバー23とする。なお、観察窓26は、開閉式であれば金属の材質で構成してもよい。
【0019】
図3は、本発明による荷電粒子線装置の本体ユニットの一例を示す概略断面図である。荷電粒子線装置の本体ユニット22は、大きく分けると、電子光学系22aと、定盤22bと、架台22dと、除振装置22cで構成されている。電子光学系22aは、図1の電子銃1,第一収束レンズ3,第二収束レンズ4,対物レンズ5,偏向コイル6,試料ステージ8,検出器9,増幅器10,制御装置11,透過電子検出器16,絞り装置21等で構成されている。架台22dには、電子光学系22aの真空を維持する排気装置やフレームで構成されている。
【0020】
除振装置22cは、架台22dと定盤22bの間に組込み、床振動が架台22dを経由して電子光学系22aへ伝達するのを防止している。このような荷電粒子線装置の本体ユニット22の外周を包囲するように、外装カバー23を設ける。外装カバー23は、架台22dに取付けられたフレーム22eに固定する。また、外装カバー23の内面には、部分的に吸音材もしくは制振材27を取付ける。吸音材もしくは制振材27は、荷電粒子線の本体ユニット22が騒音の影響を受けやすい部分に貼付ける。
【0021】
図4は、本発明による荷電粒子線装置の本体ユニットの一例を示す概略断面図である。図3と同じ構成において、外装カバー23の内面全体に、吸音材もしくは制振材27を取付ける。
【0022】
図3や図4に示すように、吸音材もしくは制振材27は、外装カバー23の内面に部分的に取付けても、外装カバー23の内面全体に取付けても良いが、取付位置や取付面積により、騒音の低減効果は変わる。
【0023】
図1から図4で述べた例は一実施例であり、荷電粒子線装置はSEMに限られることはなく、他の荷電粒子線装置であっても良い。また、図2から図4に示した外装カバーの形状や構成も、これに限られることは無く、荷電粒子線装置を包囲する外装カバーであれば同じ方式が適用できる。
【0024】
図5は、吸音材もしくは制振材の取付方法を示す断面図である。裏面に粘着材29が塗布された吸音材もしくは制振材27の表面を、シート状の防塵繊維28で覆う。防塵繊維28の端面は折返して粘着材29に貼付け、粘着材29が露出した面を利用して外装カバー23の内面に貼付ける。外来音波38は外装カバー23と、吸音材もしくは制振材27を通過する間に減衰する。また、外装カバー23の内部で発生する音40は、直接吸音材もしくは制振材に衝突して減衰する。このため、外乱騒音が荷電粒子線装置の本体ユニット22に及ぼす影響は低減する。
【0025】
図6は、吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図である。外装カバー23の内面に、粘着材29が塗布された吸音材もしくは制振材27を貼付ける。この吸音材もしくは制振材27の表面をシート状の防塵繊維28で覆い、防塵繊維28の端面を固定部品30で外装カバー23の内面に固定する。
【0026】
図7は、吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図である。吸音材もしくは制振材27の表面をシート状の防塵繊維28で覆い、防塵繊維28の端面を折返して、全体を固定部品31で外装カバー23の内面に固定する。
【0027】
図8は、吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図である。吸音材もしくは制振材27の表面を防塵繊維28で覆い、この防塵繊維28の端面を固定部品30で外装カバー23の内面に固定する。
【0028】
図9は、吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図である。図10は袋状に縫製した防塵繊維に内在する吸音材もしくは制振材の外観図である。吸音材もしくは制振材27を袋状に縫製した防塵繊維28に内在し、全体を固定部品31で外装カバー23の内面に固定する。
【0029】
図6から図10のいずれの取付方法でも、図5と同様に、外乱騒音が荷電粒子線装置の本体ユニット22に及ぼす影響は低減する。また、図5から図10で述べた例は一実施例であり、防塵繊維28で包囲した吸音材もしくは制振材27の取付方法は、実施形態を変更すればこれ以外にも可能であるが、それらは本実施例を変更しただけであり、同じ方式とみなせる。
【0030】
図5から図10に示した防塵繊維28は、少なくともクリーンルームのクリーン度に準じた防塵繊維を使用する。例えば、クリーンルームの要求クリーン度が予めクラス100であるとわかっている場合は、クラス100に準じた防塵繊維を使用すると、異物の飛散はクラス100のレベルに抑えられる。クリーンルームの要求クリーン度が予めわかっていない場合、標準的な要求クリーン度より上のクラスに準じた防塵繊維を準備しておく必要がある。
【0031】
図2から図9に示す外装カバー23は、鉄ニッケル合金に代表される高透磁率の金属で構成するとよい。荷電粒子線装置の本体ユニット22を外装カバー23で包囲しているため、外装カバー23が磁気シールドの作用をして、外来磁場は外装カバー23で遮蔽される。このため、荷電粒子線装置の本体ユニット22に及ぼす外来磁場の影響は低減する。
【0032】
以上の方法により、荷電粒子線装置の本体ユニット22に伝達する騒音の影響を低減できる。また、従来方式の外装カバーと比較して、内装材に重量物を使用しないので、質量を軽量化できる。吸音材もしくは制振材27より発生する異物は防塵繊維28で封じられ、要求クリーン度以下の発塵に抑えることができる。外装カバー23を高透磁率の金属で構成すると、外来磁場の影響が低減できるので、荷電粒子線装置の耐磁場性能も向上する。
【0033】
このように、荷電粒子線装置を包囲する外装カバーの内面に、防塵繊維で包囲した吸音材もしくは制振材を取付けることにより、吸音材や制振材から発生する異物の飛散は抑制され、クリーンルームでの使用が可能になるとともに、外装カバーの外側と内面側で発生する音を高効率で減衰できる。そして、耐騒音性能が向上して、百万倍以上での超高分解能観察が可能になる。吸音材もしくは制振材を防塵繊維で包囲する手段は、シート状の防塵繊維で、吸音材もしくは制振材の取付面を除く外部露出面を包囲する、あるいは防塵繊維を袋状に縫製し、吸音材もしくは制振材を内在する。これにより、吸音材もしくは制振材から飛散する異物を、防塵繊維で封じることができる。また、防塵繊維には少なくともクリーンルームの要求クリーン度に準じた防塵繊維を使用する。これにより、要求のクリーン度に準拠できる。また、荷電粒子線装置を包囲する外装カバーを、高透磁率の金属で構成すると、騒音と磁場の外乱要因を減衰できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】荷電粒子線装置の一例を示す概略構成図。
【図2】荷電粒子線装置の一例を示す外観図。
【図3】荷電粒子線装置の本体ユニットの一例を示す概略断面図。
【図4】荷電粒子線装置の本体ユニットの一例を示す概略断面図。
【図5】吸音材もしくは制振材の取付方法を示す断面図。
【図6】吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図。
【図7】吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図。
【図8】吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図。
【図9】吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図。
【図10】袋状に縫製した防塵繊維に内在する吸音材もしくは制振材の外観図。
【図11】従来技術を示し、一般的な防音室の構造を示す縦断面図。
【図12】従来技術を示し、一般的な防音装置の構造を示す縦断面図。
【図13】防音壁の詳細構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0035】
2…電子ビーム、3…第一収束レンズ、4…第二収束レンズ、5…対物レンズ、7…試料、8…試料ステージ、9…検出器、11…制御装置、12…処理装置、13…表示装置、14…入力装置、15…透過電子、16…透過電子検出器、22…荷電粒子線装置の本体ユニット、23…外装カバー、24…操作扉、25…操作窓、26…観察窓、27…吸音材もしくは制振材、28…防塵繊維、29…粘着材、30,31…固定部品、32…制御装置、33…防音壁、34…防音床、36…外装材、37…内装材、38…外来音波、39…防音壁を通過した外来音波、40…内部で発生する音、41…反射音。
【技術分野】
【0001】
本発明は超高分解能観察が可能な荷電粒子線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)に代表される荷電粒子線装置は、半導体技術の進歩やナノテクノロジー産業の発展と共に飛躍的に分解能が向上してきた。荷電粒子線装置で分解能を向上させるには、荷電粒子線装置の光学系の技術開発が非常に重要である。しかし、数百万倍の倍率で観察する超高分解能観察になると、荷電粒子線装置の光学系を開発すると共に、分解能向上を阻害する外乱要因を徹底して抑制しなければ商品化できない。
【0003】
分解能向上を阻害する外乱要因には、床振動,送風,磁場,騒音などがある。床振動とは、建物全体の振動や歩行などに生じる振動による障害のことで、この振動を低減しないと、荷電粒子線装置で発生する電子線の試料到達位置が本来の目標よりずれてしまうために、画像が乱れてしまう現象である。床振動の影響を低減する対策には、様々な除振装置が開発されており、荷電粒子線装置の内部に組込む方式の装置や、荷電粒子線装置を除振装置上に接地する等の事例がある。
【0004】
送風とは、空調機等から排出される風圧で荷電粒子線装置を揺らしてしまうような外来圧力で、低周波振動として装置に伝達し、振動障害をもたらす。送風の影響を低減する対策としては、空調の風圧が装置に直接当たらない配置にすることや、荷電粒子線装置の光学系を保護するように外周に風除けを施す必要がある。
【0005】
磁場とは、交流磁界や直流磁界の変動による障害のことで、荷電粒子線装置で発生する電子線の試料到達位置が本来の目標位置よりずれてしまうために、画像が乱れてしまう現象である。磁場の影響を低減するには、荷電粒子線装置を高透磁率の金属で覆う磁気シールド装置や、荷電粒子線装置の外周に電磁コイルを配置して、外来磁場をキャンセルする装置が用いられている。
【0006】
騒音とは、荷電粒子線装置の設置室内に存在する外来音圧による障害のことで、空調の送風音,装置の可動音,人の会話音などが、荷電粒子線装置の金属表面に微小振動として伝達し、振動障害をもたらす。特に数百万倍の倍率で観察する荷電粒子線装置にとっては、装置へ外来音圧が伝達しないようにすることが重要である。一般的に騒音の影響を低減するには、荷電粒子線装置の設置室を防音室にすることや、荷電粒子線装置自身を防音装置で覆う等の対策が必要である。このような装置の例として、床からの振動を減衰させる除振装置に電子光学系を備えた鏡体を載置したり、外部からの音波を減衰させるカバーで鏡体を覆う手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
一般的な防音室の構造を、図11に示す。荷電粒子線装置の本体ユニット22や制御装置32を取囲むように、防音壁33や防音床34で気密な部屋を形成する。気密な部屋を形成する理由は、隙間から音が漏れると遮音効果が低下してしまうためである。また、一般的な防音装置の構造を図12に示す。荷電粒子線装置の本体ユニット22の周囲を包囲する形で防音壁33が取付けられる。外来音波の影響を受けるのは、荷電粒子線装置の本体ユニット22のみだけであり、制御装置32は防音壁33で包囲する必要がない。図
13に防音壁33の詳細図を示す。吸音材もしくは制振材27を、鋼板,樹脂,木材,紙などの素材で形成された外装材36と内装材37で包囲する。外来音波38は防音壁33を通過する間に減衰し、音波39に低減される。吸音材もしくは制振材27にはグラスウールやウレタン系の材料が使用されており、壁の厚さは数cmから数十cmになる。防音壁の厚さは、遮音する周波数と減衰効果により変わるが、一般的に低周波音になるほど遮音は難しくなり、防音壁の厚さも増す。このような大掛かりな防音装置では、数十Hzの低周波から数キロHzの高周波まで幅広い周波数帯域で遮音効果が得られる。
【0008】
一方、最近では自動車産業の発展と共に吸音材や制振材の性能も向上している。また、低周波音と比較して高周波音は振動エネルギーが小さく、比較的容易に減衰できるため、厚さも薄く軽量な素材で遮音できる。数百Hz以上の音波を吸収して反射させない吸音材や、金属表面に伝達した微小な音波振動を低減する制振材が多数発売されており、これらの吸音材や制振材を、外来音波を受ける壁に貼付けるだけで、高周波音に対して高い遮音効果が得られるようになっている。
【0009】
図11のような防音室や、図12のような防音装置は、設備が大掛かりとなり、コスト高になることや、設置場所が制限される問題があり、すべての荷電粒子線装置に適用することは困難である。ただし、数百Hz以上の高周波音に対して遮音する目的ならば、荷電粒子線装置の本体ユニットを外装カバーで包囲し、その外装カバーに吸音材や制振材を貼付けることで効果が得られる。この場合、コストは抑制できて設置場所も制約されないので、荷電粒子線装置への適用範囲を拡大できる。
【0010】
しかし、荷電粒子線装置の需要先の一つである半導体産業等では、ほとんどがクリーンルーム内部に荷電粒子線装置を設置する必要がある。クリーンルームは、クラス1000などと呼ばれるクリーン度の規格で管理されている。クラス1000とは、1立方フィートの空間に0.5ミクロン(0.0005mm)以上の浮遊物質が1000個以下、かつ、5ミクロン以上が10個以下のことである。クリーンルームでは、プロセス毎に浮遊物質の許容範囲がクラス分けで管理されており、作業者や装置の発塵も許容範囲内に収めることが要求される。このため、発塵性のある材料は表面を露出したまま搬入することができないため、発塵が無い素材で包囲する必要がある。これをクリアする代表例が、オペレータが着用するクリーン服である。クリーン服は防塵繊維を縫製して作られており、衣類や人体より発生する埃や浮遊物質を外部に放出しない。また、静電や燃焼等の厳しい規制をクリアした、優れた繊維である。
【0011】
一方、現在市販されている吸音材や制振材は多数あるが、大半はクリーンルームで使用できない。理由は、ウレタン系の樹脂でできている吸音材や制振材は、長期間使用すると組織が分解し、ごみとなって崩落するためである。また、グラスウール系の吸音材や制振材の場合は、表面や内部に吸着した異物が除去できないため、そのままではクリーンルームに持ち込むことができない。これらの吸音材を使用する場合には、図13のように吸音材や制振材27を鋼板や樹脂等の発塵しない素材で形成した外装材36と内装材37で包囲しなければならず、質量が増大する欠点があった。また、内装材37に鋼板を使用した場合、防音装置の内部で発生した音40が内装材37で減衰せずに反射してしまい、反射音41となって荷電粒子線装置に影響を及ぼす欠点があった。
【0012】
【特許文献1】特開平8−329874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、吸音材もしくは制振材から発生する異物の飛散を抑制してクリーンルームで使用可能にするとともに、吸音材もしくは制振材で効率良く音波を低減するのに好適な荷電粒子線装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の実施態様は、荷電粒子線装置の鏡体,試料から発生する二次信号粒子を検出する検出手段,二次信号粒子検出手段の信号により試料像を取得する試料像取得手段,試料ホールダ,試料ステージを包囲する外装カバーと、外装カバーの内面に防塵繊維で包囲された吸音材もしくは制振材を取付ける取付け手段とを具備したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吸音材もしくは制振材から発生する異物の飛散を抑制してクリーンルームで使用可能にするとともに、吸音材もしくは制振材で効率良く音波を低減するのに好適な荷電粒子線装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明による荷電粒子線装置の一例を示す概略構成図であり、透過型電子顕微鏡の構成の縦断面を示す。電子銃1より発生した電子ビーム2は、第一収束レンズ3,第二収束レンズ4、及び対物レンズ5により収束され、偏向コイル6によって電子ビーム2が試料7の表面上を走査する。試料7から発生した二次電子は、検出器9によって検出され、増幅器10で増幅され、処理装置12により映像信号に変換され、表示装置13に表示される。また、試料を透過して発生する透過電子15は、絞り装置21で不要な透過電子をカットされ、透過電子検出器16により検出される。その後、増幅器10で増幅後に処理装置12で映像信号に変換され、表示装置13に表示される。インレンズ方式SEMの場合、試料7は試料ステージ8に装着され、対物レンズ5の内部に配置される。第一収束レンズ3,第二収束レンズ4,対物レンズ5,偏向コイル6は制御装置11により制御される。試料ステージ8は、入力装置14から入力された情報により、制御装置11を介して制御される。
【0018】
図2は、本発明による荷電粒子線装置の一例を示す外観図である。荷電粒子線装置の本体ユニット22の外周には、全体を包囲するように外装カバー23が設けられる。制御装置32には処理装置12や表示装置13を内在している。外装カバー23は、鋼板や樹脂の材質で構成される。また、外装カバー23には、操作用に操作扉24や操作窓25が取付けられ、開閉可能になっている。操作窓25は、鋼板・樹脂・ガラス等の材質で構成される。また内部を観察するための観察窓26が取付けてある。観察窓26は、内部が監視できるようにガラスや樹脂の材質で構成される。操作扉24,操作窓25,観察窓26は、外装カバー23の一部品であり、これらをまとめて外装カバー23とする。なお、観察窓26は、開閉式であれば金属の材質で構成してもよい。
【0019】
図3は、本発明による荷電粒子線装置の本体ユニットの一例を示す概略断面図である。荷電粒子線装置の本体ユニット22は、大きく分けると、電子光学系22aと、定盤22bと、架台22dと、除振装置22cで構成されている。電子光学系22aは、図1の電子銃1,第一収束レンズ3,第二収束レンズ4,対物レンズ5,偏向コイル6,試料ステージ8,検出器9,増幅器10,制御装置11,透過電子検出器16,絞り装置21等で構成されている。架台22dには、電子光学系22aの真空を維持する排気装置やフレームで構成されている。
【0020】
除振装置22cは、架台22dと定盤22bの間に組込み、床振動が架台22dを経由して電子光学系22aへ伝達するのを防止している。このような荷電粒子線装置の本体ユニット22の外周を包囲するように、外装カバー23を設ける。外装カバー23は、架台22dに取付けられたフレーム22eに固定する。また、外装カバー23の内面には、部分的に吸音材もしくは制振材27を取付ける。吸音材もしくは制振材27は、荷電粒子線の本体ユニット22が騒音の影響を受けやすい部分に貼付ける。
【0021】
図4は、本発明による荷電粒子線装置の本体ユニットの一例を示す概略断面図である。図3と同じ構成において、外装カバー23の内面全体に、吸音材もしくは制振材27を取付ける。
【0022】
図3や図4に示すように、吸音材もしくは制振材27は、外装カバー23の内面に部分的に取付けても、外装カバー23の内面全体に取付けても良いが、取付位置や取付面積により、騒音の低減効果は変わる。
【0023】
図1から図4で述べた例は一実施例であり、荷電粒子線装置はSEMに限られることはなく、他の荷電粒子線装置であっても良い。また、図2から図4に示した外装カバーの形状や構成も、これに限られることは無く、荷電粒子線装置を包囲する外装カバーであれば同じ方式が適用できる。
【0024】
図5は、吸音材もしくは制振材の取付方法を示す断面図である。裏面に粘着材29が塗布された吸音材もしくは制振材27の表面を、シート状の防塵繊維28で覆う。防塵繊維28の端面は折返して粘着材29に貼付け、粘着材29が露出した面を利用して外装カバー23の内面に貼付ける。外来音波38は外装カバー23と、吸音材もしくは制振材27を通過する間に減衰する。また、外装カバー23の内部で発生する音40は、直接吸音材もしくは制振材に衝突して減衰する。このため、外乱騒音が荷電粒子線装置の本体ユニット22に及ぼす影響は低減する。
【0025】
図6は、吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図である。外装カバー23の内面に、粘着材29が塗布された吸音材もしくは制振材27を貼付ける。この吸音材もしくは制振材27の表面をシート状の防塵繊維28で覆い、防塵繊維28の端面を固定部品30で外装カバー23の内面に固定する。
【0026】
図7は、吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図である。吸音材もしくは制振材27の表面をシート状の防塵繊維28で覆い、防塵繊維28の端面を折返して、全体を固定部品31で外装カバー23の内面に固定する。
【0027】
図8は、吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図である。吸音材もしくは制振材27の表面を防塵繊維28で覆い、この防塵繊維28の端面を固定部品30で外装カバー23の内面に固定する。
【0028】
図9は、吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図である。図10は袋状に縫製した防塵繊維に内在する吸音材もしくは制振材の外観図である。吸音材もしくは制振材27を袋状に縫製した防塵繊維28に内在し、全体を固定部品31で外装カバー23の内面に固定する。
【0029】
図6から図10のいずれの取付方法でも、図5と同様に、外乱騒音が荷電粒子線装置の本体ユニット22に及ぼす影響は低減する。また、図5から図10で述べた例は一実施例であり、防塵繊維28で包囲した吸音材もしくは制振材27の取付方法は、実施形態を変更すればこれ以外にも可能であるが、それらは本実施例を変更しただけであり、同じ方式とみなせる。
【0030】
図5から図10に示した防塵繊維28は、少なくともクリーンルームのクリーン度に準じた防塵繊維を使用する。例えば、クリーンルームの要求クリーン度が予めクラス100であるとわかっている場合は、クラス100に準じた防塵繊維を使用すると、異物の飛散はクラス100のレベルに抑えられる。クリーンルームの要求クリーン度が予めわかっていない場合、標準的な要求クリーン度より上のクラスに準じた防塵繊維を準備しておく必要がある。
【0031】
図2から図9に示す外装カバー23は、鉄ニッケル合金に代表される高透磁率の金属で構成するとよい。荷電粒子線装置の本体ユニット22を外装カバー23で包囲しているため、外装カバー23が磁気シールドの作用をして、外来磁場は外装カバー23で遮蔽される。このため、荷電粒子線装置の本体ユニット22に及ぼす外来磁場の影響は低減する。
【0032】
以上の方法により、荷電粒子線装置の本体ユニット22に伝達する騒音の影響を低減できる。また、従来方式の外装カバーと比較して、内装材に重量物を使用しないので、質量を軽量化できる。吸音材もしくは制振材27より発生する異物は防塵繊維28で封じられ、要求クリーン度以下の発塵に抑えることができる。外装カバー23を高透磁率の金属で構成すると、外来磁場の影響が低減できるので、荷電粒子線装置の耐磁場性能も向上する。
【0033】
このように、荷電粒子線装置を包囲する外装カバーの内面に、防塵繊維で包囲した吸音材もしくは制振材を取付けることにより、吸音材や制振材から発生する異物の飛散は抑制され、クリーンルームでの使用が可能になるとともに、外装カバーの外側と内面側で発生する音を高効率で減衰できる。そして、耐騒音性能が向上して、百万倍以上での超高分解能観察が可能になる。吸音材もしくは制振材を防塵繊維で包囲する手段は、シート状の防塵繊維で、吸音材もしくは制振材の取付面を除く外部露出面を包囲する、あるいは防塵繊維を袋状に縫製し、吸音材もしくは制振材を内在する。これにより、吸音材もしくは制振材から飛散する異物を、防塵繊維で封じることができる。また、防塵繊維には少なくともクリーンルームの要求クリーン度に準じた防塵繊維を使用する。これにより、要求のクリーン度に準拠できる。また、荷電粒子線装置を包囲する外装カバーを、高透磁率の金属で構成すると、騒音と磁場の外乱要因を減衰できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】荷電粒子線装置の一例を示す概略構成図。
【図2】荷電粒子線装置の一例を示す外観図。
【図3】荷電粒子線装置の本体ユニットの一例を示す概略断面図。
【図4】荷電粒子線装置の本体ユニットの一例を示す概略断面図。
【図5】吸音材もしくは制振材の取付方法を示す断面図。
【図6】吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図。
【図7】吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図。
【図8】吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図。
【図9】吸音材もしくは制振材の他の取付方法を示す断面図。
【図10】袋状に縫製した防塵繊維に内在する吸音材もしくは制振材の外観図。
【図11】従来技術を示し、一般的な防音室の構造を示す縦断面図。
【図12】従来技術を示し、一般的な防音装置の構造を示す縦断面図。
【図13】防音壁の詳細構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0035】
2…電子ビーム、3…第一収束レンズ、4…第二収束レンズ、5…対物レンズ、7…試料、8…試料ステージ、9…検出器、11…制御装置、12…処理装置、13…表示装置、14…入力装置、15…透過電子、16…透過電子検出器、22…荷電粒子線装置の本体ユニット、23…外装カバー、24…操作扉、25…操作窓、26…観察窓、27…吸音材もしくは制振材、28…防塵繊維、29…粘着材、30,31…固定部品、32…制御装置、33…防音壁、34…防音床、36…外装材、37…内装材、38…外来音波、39…防音壁を通過した外来音波、40…内部で発生する音、41…反射音。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子源と、前記荷電粒子源から発生する荷電粒子線を収束するための対物レンズと、前記荷電粒子源と前記対物レンズを内在する鏡体と、前記荷電粒子線の走査によって試料から発生する二次信号粒子を検出する検出手段と、前記二次信号粒子検出手段の信号により試料像を取得する試料像取得手段と、前記鏡体の側部から挿入され、前記荷電粒子線に照射される試料を支持する試料ホールダと、前記試料ホールダを前記荷電粒子線に対して傾斜および水平の移動機構を有する試料ステージを具備した荷電粒子線装置において、前記鏡体,前記検出手段,前記試料像取得手段,前記試料ホールダ,前記試料ステージを包囲する外装カバーと、前記外装カバーの内面に防塵繊維で包囲された吸音材もしくは制振材を取付ける取付け手段とを具備したことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記吸音材もしくは制振材は、シート状の防塵繊維で前記吸音材もしくは制振材の取付面を除く外部露出面を包囲されることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1の記載において、前記吸音材もしくは制振材は、防塵繊維が袋状に縫製され前記吸音材もしくは制振材を内在するような包囲手段で包囲されることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の記載において、前記防塵繊維のクリーン度は、少なくとも荷電粒子線装置が設置されるクリーンルームの要求クリーン度に準じた防塵繊維であることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項1】
荷電粒子源と、前記荷電粒子源から発生する荷電粒子線を収束するための対物レンズと、前記荷電粒子源と前記対物レンズを内在する鏡体と、前記荷電粒子線の走査によって試料から発生する二次信号粒子を検出する検出手段と、前記二次信号粒子検出手段の信号により試料像を取得する試料像取得手段と、前記鏡体の側部から挿入され、前記荷電粒子線に照射される試料を支持する試料ホールダと、前記試料ホールダを前記荷電粒子線に対して傾斜および水平の移動機構を有する試料ステージを具備した荷電粒子線装置において、前記鏡体,前記検出手段,前記試料像取得手段,前記試料ホールダ,前記試料ステージを包囲する外装カバーと、前記外装カバーの内面に防塵繊維で包囲された吸音材もしくは制振材を取付ける取付け手段とを具備したことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記吸音材もしくは制振材は、シート状の防塵繊維で前記吸音材もしくは制振材の取付面を除く外部露出面を包囲されることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1の記載において、前記吸音材もしくは制振材は、防塵繊維が袋状に縫製され前記吸音材もしくは制振材を内在するような包囲手段で包囲されることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の記載において、前記防塵繊維のクリーン度は、少なくとも荷電粒子線装置が設置されるクリーンルームの要求クリーン度に準じた防塵繊維であることを特徴とする荷電粒子線装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−79870(P2006−79870A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260400(P2004−260400)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
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