説明

菌類細胞中で遺伝子を発現させるためのプロモーター

【課題】ポリペプチドの新規な製造方法の提供。
【解決手段】ポリペプチドを製造する方法であって、(a)菌類宿主細胞を、ポリペプチドの製造を助ける培地中で培養し、菌類宿主細胞は、核酸配列に対して外来のプロモーターを含む第2の核酸配列に機能しうる形で連結された、ポリペプチドをコードする第1の核酸配列を含み、かつ、プロモーターは、特定の核酸配列およびそのサブ配列;および、ハイブリッドおよび縦列プロモーターからなる群より選択される配列を含むこと;ならびに(b)培養培地からポリペプチドを分離することを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチドの製造方法に関する。本発明は、単離プロモーター、ならびに核酸構築物、ベクターおよびポリペプチドをコードする核酸配列と操作可能的に連結されるプロモーターを含む宿主細胞にも関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
真菌宿主細胞、特にアスペルギルス属のような糸状真菌細胞中での異種タンパク質の組換え的産生は、商業的に適切な量のタンパク質の製造のためのより望ましいビヒクルを提供する。
異種タンパク質の組換え的産生は、宿主細胞に適した調節遺伝子から切り取られたプロモーターの発現制御下にタンパク質をコードするDNAが置かれる発現カセットを構築することにより達成される。発現カセットは、通常はプラスミド媒介性形質転換により宿主細胞中に導入される。次に、発現カセット上に含入されたプロモーターが適性に機能するのに必要な条件の誘導下で形質転換化宿主細胞を培養することにより、異種タンパク質の産生が達成される。
【0003】
タンパク質の組換え的産生のための新規の真菌宿主細胞の開発は一般に、宿主細胞中のタンパク質の発現を制御するのに適したプロモーターの利用可能性を要する。フザリウム属のFusarium venenatumは、このような発現のための新規の宿主細胞として有用であることが示されている(WO 96/00787、WO 97/26330)。さらに、フザリウム属のFusarium venenatum宿主細胞中で異種遺伝子を発現するのに有用であるFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼ遺伝子からのプロモーターが記載されている(米国特許第5,837,847号)。
【0004】
しかしながら、異種遺伝子の発現を制御するための新規のプロモーターに対する必要性が当業界では存在する。
真菌宿主細胞中でポリペプチドを産生するための改良型方法、ならびにこのような産生のための新規のプロモーターを提供することが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ポリペプチドの製造方法であって、(a)ポリペプチドの産生を促す培地中で真菌宿主細胞を培養するが、この場合、真菌宿主細胞は一次核酸配列に無関係なプロモーターを含む二次核酸配列と操作可能的に連結されるポリペプチドをコードする一次核酸配列を含み、プロモーターは配列番号1のヌクレオチド1〜3949、配列番号2のヌクレオチド1〜938および配列番号3のヌクレオチド1〜3060ならびにこれらの亜配列からなる群から選択される配列、ならびに突然変異体、ハイブリッドおよびそのタンデムプロモーターを含み、そして(b)培養培地からポリペプチドを単離する過程を包含する方法に関する。
【0006】
本発明は、単離プロモーター配列に、ならびにポリペプチドをコードする核酸配列と操作可能的に連結される1つ又はそれ以上のプロモーターを含む構築物、ベクターおよび真菌宿主細胞にも関する。
本発明は、配列番号1のヌクレオチド1〜3949、配列番号2のヌクレオチド1〜938および配列番号3のヌクレオチド1〜3060の突然変異体プロモーターを得るための方法に関する。
【0007】
本発明は、
(a)配列番号4のアミノ酸22〜581と少なくとも65%の、配列番号5のアミノ酸19〜200と少なくとも65%の、配列番号6のアミノ酸1〜187と少なくとも65%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列、
(b)配列番号1のヌクレオチド4013〜5743と少なくとも65%の、配列番号2のヌクレオチド993〜1593と少なくとも65%の、配列番号3のヌクレオチド3061〜3698と少なくとも65%の相同性を有する核酸配列、
【0008】
(c)(i)配列番号1のヌクレオチド4013〜5743、配列番号2のヌクレオチド993〜1593または配列番号3のヌクレオチド3061〜3698と、(ii)配列番号1のヌクレオチド4013〜5743、配列番号2のヌクレオチド993〜1593または配列番号3のヌクレオチド3061〜3698中に含入されるcDNA配列と、(iii)少なくとも100ヌクレオチドの(i)または(ii)の亜配列と、あるいは(iv)(i)、(ii)または(iii)の相補的鎖と、極低、低、中、中〜高、高または極高緊縮条件下でハイブリダイズする核酸配列、
【0009】
(d)1つ又はそれ以上のアミノ酸の置換、欠失および/または挿入を含む配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチドの変異体をコードする核酸配列、
(e)上記(a)、(b)または(c)の対立遺伝子変異体、並びに
(f)上記(a)、(b)、(c)または(e)の亜配列
から成る群から選択される単離核酸配列にも関する。
本発明はさらに、当該核酸配列の構築物、ベクターおよび組換え体宿主細胞に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】図1Aは、フザリウム属のFusarium venenatumグルコアミラーゼのゲノムDNA配列(配列番号1)を示す。
【図1B】図1Bは、フザリウム属のFusarium venenatumグルコアミラーゼのゲノムDNA配列(配列番号1)を示す。
【図1C】図1Cは、フザリウム属のFusarium venenatumグルコアミラーゼのゲノムDNA配列および推定アミノ酸配列(それぞれ配列番号1および配列番号4)を示す。
【0011】
【図1D】図1Dは、フザリウム属のFusarium venenatumグルコアミラーゼのゲノムDNA配列および推定アミノ酸配列(それぞれ配列番号1および配列番号4)を示す。
【図1E】図1Eは、フザリウム属のFusarium venenatumグルコアミラーゼのゲノムDNA配列および推定アミノ酸配列(それぞれ配列番号1および配列番号4)を示す。
【図1F】図1Fは、フザリウム属のFusarium venenatumグルコアミラーゼのゲノムDNA配列および推定アミノ酸配列(それぞれ配列番号1および配列番号4)を示す。
【0012】
【図2A】図2Aは、「ダリアDaria」と呼ばれるフザリウム属のFusarium venenatum遺伝子のゲノムDNA配列および推定アミノ酸配列(それぞれ配列番号2および配列番号5)を示す。
【図2B】図2Bは、「ダリアDaria」と呼ばれるフザリウム属のFusarium venenatum遺伝子のゲノムDNA配列および推定アミノ酸配列(それぞれ配列番号2および配列番号5)を示す。
【図2C】図2Cは、「ダリアDaria」と呼ばれるフザリウム属のFusarium venenatum遺伝子のゲノムDNA配列(配列番号2)を示す。
【0013】
【図3A】図3Aは、「クインQuinn」と呼ばれるフザリウム属のFusarium venenatumグルコアミラーゼのゲノムDNA配列(配列番号3)を示す。
【図3B】図3Bは、「クインQuinn」と呼ばれるフザリウム属のFusarium venenatumグルコアミラーゼのゲノムDNA配列(配列番号3)を示す。
【図3C】図3Cは、「クインQuinn」と呼ばれるフザリウム属のFusarium venenatumグルコアミラーゼのゲノムDNA配列および推定アミノ酸配列(それぞれ配列番号3および配列番号6)を示す。
【図3D】図3Dは、「クインQuinn」と呼ばれるフザリウム属のFusarium venenatumグルコアミラーゼのゲノムDNA配列(配列番号3)を示す。
【0014】
【図4】図4は、pDM181の制限地図を示す。
【図5】図5は、pSheB1の制限地図を示す。
【図6】図6は、pDM194の制限地図を示す。
【図7】図7は、pJRoy35の制限地図を示す。
【図8】図8は、pDM281の制限地図を示す。
【図9】図9は、pEJG25Aの制限地図を示す。
【0015】
【図10】図10は、pMWR60の制限地図を示す。
【図11】図11は、pRaMB62の制限地図を示す。
【図12】図12は、pRaMB64の制限地図を示す。
【図13】図13は、pRaMB66の制限地図を示す。
【図14】図14は、Fusarium venenatumアミログルコシダーゼプロモーター(pAMG)およびFusarium oxysporumトリプシン(pSP387)プロモーターの制御下でのFusarium venenatum中のフミコラ属のHumicola lanuginosaリパーゼレポーター遺伝子の比較発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、ポリペプチドの製造方法であって、(a)ポリペプチドの産生を促す培地中で真菌宿主細胞を培養するが、この場合、真菌宿主細胞は一次核酸配列に無関係なプロモーターを含む二次核酸配列と操作可能的に連結されるポリペプチドをコードする一次核酸配列を含み、プロモーターは配列番号1のヌクレオチド1〜3949、配列番号2のヌクレオチド1〜938および配列番号3のヌクレオチド1〜3060ならびにこれらの亜配列からなる群から選択される配列、ならびに突然変異体、ハイブリッドおよびそのタンデムプロモーターを含み、そして(b)培養培地からポリペプチドを単離する過程を包含する方法に関する。
【0017】
本発明の製造方法では、細胞は、当業界で既知の方法を用いてポリペプチドの製造に適した栄養培地中で培養される。例えば、細胞は、適切な培地中で且つポリペプチドを発現および/または単離させる条件下で実施される実験室または工業的発酵における振盪フラスコ培養、小規模または大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチまたは固体状態発酵を含む)により培養され得る。培養は、当業界で既知の手法を用いて、炭素および窒素源ならびに無機塩を含む適切な栄養培地中でおこなわれる。適切な培地は商業的供給元から入手可能であり、あるいは公表された(例えば、アメリカ培養細胞コレクションのカタログで)組成により調製され得る。ポリペプチドが栄養培地中に分泌されれば、ポリペプチドは培地から直接回収され得る。ポリペプチドが分泌されない場合には、細胞溶解物から回収され得る。
【0018】
ポリペプチドは、ポリペプチドに特異的な当業界で既知の方法を用いて検出され得る。これらの検出方法は、特異的抗体の使用、酵素産物の生成、または酵素基質の消失を含み得る。
その結果生じるポリペプチドは、当業界で既知の方法により回収され得る。例えば、ポリペプチドは、慣用的手法により栄養培地から回収され、その例としては遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発または沈澱が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
ポリペプチドは、当業界で既知の種々の方法により精製され、その例としては、クロマトグラフィー(例えばイオン交換、アフィニティー、疎水性、クロマトフォーカシングおよびサイズ排除)、電気泳動法(例えば、分離用等電点電気泳動)、示差溶解度(例えば、硫安沈澱)、SDS-PAGEまたは抽出(例えば、Protein Purification, J.-C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989参照)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
プロモーター
「プロモーター」という用語は、本明細書中では、RNAポリメラーゼを結合し、ポリペプチドをコードする核酸配列の的確な顆粒転写開始部位にポリペプチドを向けて、転写を開始させるDNA配列と定義される。RNAポリメラーゼは、コード領域の適切なDNA鎖と相補的なメッセンジャーRNAのアッセンブリーを有効に触媒する。「プロモーター」という用語は、mRNAへの転写後の翻訳のための5‘非コード領域(プロモーターおよび翻訳開始部位間)、シス作用転写制御エレメント、例えばエンハンサー、および転写因子と相互作用し得るその他の配列も含むと理解される。
【0021】
「突然変異体プロモーター」とは、本明細書中では、親プロモーターの1つ又はそれ以上のヌクレオチドの置換、欠失および/または挿入を含むヌクレオチド配列を有するプロモーターと定義され、この場合、突然変異体プロモーターは、対応する親プロモーターより高いかまたは低いプロモーター活性を有する。「突然変異体プロモーター」という用語は、古典的突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発およびDNAシャッフリングのような当業界で周知の方法により得られる天然変異体およびin vitro生成変異体も包含する。
【0022】
「ハイブリッドプロモーター」という用語は、本明細書中では、一緒に融合されて2つまたはそれ以上のプロモーターの融合体であって、コード配列と操作可能的に連結されて、mRNAへのコード配列の転写を媒介する配列を生成する2つまたはそれ以上のプロモーターの一部と定義される。
「タンデムプロモーター」という用語は、本明細書中では、その各々がコード配列と操作可能的に連結されて、mRNAへのコード配列の転写を媒介する2つまたはそれ以上のプロモーター配列と定義される。
「操作可能的に連結される」という用語は、本明細書中では、制御配列がコード配列によりコードされるポリペプチドの産生を指図するよう、制御配列、例えばプロモーター配列が、コード配列に関する位置に適切に配置される形状と定義される。
【0023】
「コード配列」という用語は、本明細書中では、適切な制御配列の制御下に置かれた場合に、ポリペプチドに翻訳されるmRNAに転写される核酸配列と定義される。コード配列の境界は一般に、mRNAの5'末端オープンリーディングフレームのすぐ上流に置かれるATG開始コドン、およびmRNAの3’末端のオープンリーディングフレームのすぐ下流に置かれる転写ターミネーター配列により決定される。コード配列としては、ゲノムDNA、cDNA、半合成、合成および組換え体核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
好ましい実施態様では、プロモーターは、配列番号1のヌクレオチド1〜3949の核酸配列またはその亜配列を有する。亜配列は、好ましくは少なくとも約2100ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約2400ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも約2700ヌクレオチドを含有する。
別の好ましい実施態様では、プロモーターは、配列番号2のヌクレオチド1〜938の核酸配列またはその亜配列を有する。亜配列は、好ましくは少なくとも約840ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約870ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも約900ヌクレオチドを含有する。
【0025】
別の好ましい実施態様では、プロモーターは、配列番号3のヌクレオチド1〜3060の核酸配列またはその亜配列を有する。亜配列は、好ましくは少なくとも約2100ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約2400ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも約2700ヌクレオチドを含有する。
別の好ましい実施態様では、プロモーターは、大腸菌NRRL B-30067中に含入されるプラスミドpECO3に含有される核酸配列である。別の好ましい実施態様では、プロモーターは、大腸菌NRRL B-30071中に含入されるプラスミドpFAMGに含有される核酸配列である。別の好ましい実施態様では、プロモーターは、大腸菌NRRL B-30075中に含入されるプラスミドpQUINNに含有される核酸である。
【0026】
本発明の方法においては、プロモーターは、配列番号1のヌクレオチド1〜3949、配列番号2のヌクレオチド1〜938および配列番号3のヌクレオチド1〜3060の核酸配列中に1つ又はそれ以上のヌクレオチドの置換、欠失および/または挿入を有する前記のプロモーターの突然変異体でもあり得る。
【0027】
突然変異体プロモーターは、1つ又はそれ以上の突然変異を有し得る。各突然変異は、ヌクレオチドの別々の置換、欠失および/または挿入である。プロモーターへのヌクレオチドの置換、欠失および/または挿入の導入は、古典的突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発またはDNAシャッフリングといった陶業介せ既知の方法のいずれかを用いて成し遂げられ得る。特に有用なのは、当該挿入物および所望の突然変異を含有する2つの合成プライマーを有する超らせん二本鎖DNAベクターを利用する手法である。
【0028】
ベクターの反対鎖と各々相補的なオリゴヌクレオチドプライマーは、PfuDNAポリメラーゼによって温度周期中に延長する。プライマーの組入れ時に、付着ニックを含有する突然変異化プラスミドが生成される。温度周期後、生成物は、メチル化および半メチル化DNAに特異的であるDpnIで処理され手、親DNA鋳型を消化し、突然変異含有合成DNAを選択する。当業界で既知のその他の手法も用いられ得る。
【0029】
好ましい実施態様では、プロモーターは配列番号1のヌクレオチド1〜3949の突然変異体である。別の好ましい実施態様では、プロモーターは配列番号2のヌクレオチド1〜938の突然変異体である。別の好ましい実施態様では、プロモーターは配列番号3のヌクレオチド1〜3060の突然変異体である。
【0030】
本発明の方法において、プロモーターは、本発明の1つ又はそれ以上のプロモーターの一部; 本発明のプロモーターの一部および別のプロモーターの一部、例えば一プロモーターのリーダー配列およびその他のプロモーターからの転写開始部位;あるいは本発明の1つ又はそれ以上のプロモーターの一部および1つ又はそれ以上の他のプロモーターの一部を含むハイブリッドプロモーターでもあり得る。その他のプロモーターは、突然変異体、切頭化およびハイブリッドプロモーターを含めた選定真菌宿主細胞中で転写活性を示す任意のプロモーター配列であり得るし、宿主細胞と同種または異種の細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られる。その他のプロモーター配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列に対してネイティブまたは異物であり得るし、その細胞に対してネイティブまたは異物であり得る。
【0031】
本発明のプロモーターとのハイブリッドプロモーターの構築に有用なその他のプロモーターの例としては、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspertillus niger)中性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)グルコアミラーゼ(glaA)、リゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)アルカリ性プロテアーゼ、
【0032】
アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)トリオースホスフェートイソメラーゼ、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)アセトアミドおよびフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ(WO 96/00787)、ならびにNA2-tpiプロモーター(アスペルギルス・ニガー(Aspertillus niger)中性α−アミラーゼに関する遺伝子からのプロモーターとアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)トリオースホスフェートイソメラーゼのハイブリッド)、サッカロミセス属のサッカロミカス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO-1)、サッカロミセス・セレビシエーガラクトキナーゼ(GAL1)、
【0033】
サッカロミセス・セレビシエーアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)およびサッカロミセス・セレビシエー3−ホスホグリセレートキナーゼに関する遺伝子から得られるプロモーター、ならびにそれらの突然変異体、切頭化およびハイブリッドプロモーターが挙げられる。酵母菌宿主細胞に関するその他の有用なプロモーターは、Romanos et al., 1992, Yeast 8:423-488により記載されている。
【0034】
プロモーターは、前記で例示したような本発明の2つより多いプロモーター、あるいは本発明の1つ又はそれ以上のプロモーターおよび1つ又はそれ以上のその他のプロモーターを含むタンデムプロモーターでもあり得る。タンデムプロモーターの2つまたはそれ以上のプロモーター配列は、核酸配列の転写を同時にプロモートし得る。あるいは、タンデムプロモーターの1つ又はそれ以上のプロモーター配列は、細胞増殖の異なる段階での核酸配列の転写をプロモートし得る。
【0035】
本発明の方法においては、プロモーターは、当該ポリペプチドをコードする核酸配列に対しては異物であるが、しかしプロモーターまたは核酸配列は真菌宿主細胞に対してはネイティブであり得る。本発明の突然変異体、ハイブリッドまたはタンデムプロモーターは、野生型プロモーターが核酸配列に対してネイティブである場合でも、ポリペプチドをコードする核酸配列に対しては異物であると理解される。
【0036】
本発明の突然変異体、ハイブリッドまたはタンデムプロモーターは、配列番号1のヌクレオチド1〜3949、配列番号2のヌクレオチド1〜938および配列番号3のヌクレオチド1〜3060のプロモーターの少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約40%、さらに好ましくは少なくとも約60%、さらに好ましくは少なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約90%、さらに好ましくは少なくとも約100%、さらに好ましくは少なくとも約200%、最も好ましくは少なくとも約300%、さらには最も好ましくは少なくとも約400%でさえあるプロモーター活性を有する。
【0037】
ポリペプチドコード核酸配列
核酸配列によりコードされるポリペプチドは、当該真菌宿主細胞に対してネイティブまたは異種であり得る。
「ポリペプチド」という用語は、本明細書中では、特定長のコード化生成物を示すことを意味せず、したがってペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質を包含する。「異種ポリペプチド」という用語は、本明細書中では、真菌細胞に対してネイティブでないポリペプチド、ネイティブ配列を変えるよう修飾がなされたネイティブポリペプチド、またはその発現が組換えDNA技術による真菌細胞の操作の結果として定量的に変えられるネイティブポリペプチドと定義される。
【0038】
例えば、ネイティブポリペプチドは、例えばポリペプチドの発現を増強し、シグナル配列の使用により細胞の外側への当該ネイティブポリペプチドの輸送を促し、そして普通は細胞により産生されるポリペプチドをコードする遺伝子のコピー数を増大するために、本発明のプロモーターの制御下でポリペプチドをコードする遺伝子を配置することにより、組換え的に産生され得る。真菌細胞は、ポリペプチドをコードする核酸配列の1つ又はそれ以上のコピーを含有し得る。
【0039】
好ましくは、ポリペプチドは、ホルモンまたはその変異体、酵素、受容体またはその一部、抗体またはその一部、あるいは受容体である。好ましい実施態様では、ポリペプチドは、細胞外に分泌される。さらに好ましい実施態様では、ポリペプチドはオキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼまたはリガーゼである。
【0040】
さらに好ましい実施態様でも、ポリペプチドは、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリン、グリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼまたはキシラナーゼである。
【0041】
当該ポリペプチドをコードする核酸配列は、任意の原核生物、真核生物またはその他の供給源から得られる。本発明の目的のために、「〜得られる」という用語は、所定の供給源に関連して本明細書中で用いる場合、その供給源により、またはその供給源からの遺伝子が挿入される細胞により、ポリペプチドが産生されることを意味する。
【0042】
当該ポリペプチドをコードする核酸配列を単離またはクローン化するために用いられる技法は当業界で既知であり、その例としては、ゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製またはそれらの組合せが挙げられる。このようなゲノムDNAからの核酸配列のクローニングは、例えば周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いることにより実行され得る(例えば、Innis et al., 1990, PCR Protocols: A Guide to Methods and Application, Academic Press, New York参照)。クローニング手法は、ポリペプチドをコードする核酸配列を含む所望の核酸断片の切断および単離、ベクター分子への断片の挿入、ならびに核酸配列の多重コピーまたはクローンが複製される突然変異体真菌細胞への組換えベクターの組み入れを包含し得る。核酸配列は、ゲノム、cDNA、RNA、半合成、合成起源のもの、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0043】
本発明の方法において、ポリペプチドは、別のポリペプチドが当該ポリペプチドまたはその断片のN−末端またはC末端で融合される融合またはハイブリッドポリペプチドも含み得る。融合ポリペプチドは、ポリペプチドをコードする核酸配列(またはその一部)を別のポリペプチドをコードする核酸配列(またはその一部)と融合することにより産生される。融合ポリペプチドの製造技法は当業界で既知であり、その例としては、それらが枠内にあり、融合ポリペプチドの発現が同一プロモーター(単数または複数)およびターミネーターの制御下にあるように、ポリペプチドをコードするコード配列を結紮することを含む。ハイブリッドポリペプチドは、1つ又はそれ以上のが突然変異体真菌細胞に対して異種であり得る少なくとも2つの異なるポリペプチドから得られる部分的または完全ポリペプチド配列の組合せを含み得る。
【0044】
核酸構築物
本発明は、本発明のプロモーターと操作可能的に連結されるポリペプチドをコードする核酸配列、ならびに制御配列に適合する条件下で適切な宿主細胞中でのコード配列の発現を指図する1つ又はそれ以上の制御配列を包含する核酸構築物にも関する。発現は、ポリペプチドの産生に関与するあらゆる工程、例えば転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾および分泌を含むと理解される。
【0045】
「核酸構築物」とは、本明細書中では、天然遺伝子から単離される、あるいはそうでなければ天然では存在しない方法で併合および並置された核酸のセグメントを含有するよう修飾された、一本鎖または二本鎖化された核酸分子と定義される。核酸構築物という用語は、核酸構築物がコード配列およびコード配列の発現のために必要なすべての制御配列を含有する場合には、発現カセットという用語と同義である。
【0046】
ポリペプチドをコードする単離核酸配列は、ポリペプチドの発現を提供するために種々の方法でさらに操作され得る。ベクター中へのその挿入前の核酸配列の操作は、発現ベクターによっては望ましいしまたは必要である。組換えDNA技術を利用した核酸配列の修飾技法は、当業界で周知である。
本発明の方法において、核酸配列は、1つ又はそれ以上のネイティブ制御配列を含み得るし、あるいは1つ又はそれ以上のネイティブ制御配列は、宿主細胞中でのコード配列の発現を改良するために核酸配列に対して異物である1つ又はそれ以上の制御配列で置換され得る。
【0047】
「制御配列」という用語は、本明細書中で用いる場合、本発明のポリペプチドの発現に必要なまたは有益なすべての構成成分を含むよう定義される。各制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列に対してネイティブまたは異物であり得る。このような制御配列としては、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、本発明のプロモーター、シグナルペプチド配列および転写ターミネーターが挙げられるが、これらに限定されない。最小では、制御配列は本発明のプロモーター、ならびに転写および翻訳停止シグナルを含む。制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域との制御配列の結紮を促す特定の制限部位を導入するためにリンカーを提供し得る。
【0048】
制御配列は、転写を終結するために宿主細胞により認識される配列である適切な転写ターミネーター配列であり得る。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の3'末端に操作可能的に連結される。選定宿主細胞中で機能的である任意のターミネーターが、本発明に用いられ得る。
糸状真菌宿主細胞のための好ましいターミネーターは、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニトランス(Aspergillus nidulans)アントラニレートシンターゼ、アスペルギルス・ニガーα−グルコシダーゼおよびフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼに関する遺伝子から得られる。
【0049】
酵母菌宿主細胞のための好ましいターミネーターは、サッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ、サッカロミセス・セレビシエー・シトクロムC(CYC1)およびサッカロミセス・セレビシエーグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼに関する遺伝子から得られる。酵母菌宿主細胞に関するその他の有用なターミネーターは、Romanos et al., 1992(上記)により記載されている。
制御配列は、宿主細胞による翻訳のために重要であるmRNAの非翻訳化領域である適切なリーダー配列でもあり得る。リーダー配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の5‘末端に操作可能的に連結される。選定宿主細胞中で機能的である任意のリーダー配列が、本発明で用いられ得る。
【0050】
糸状真菌宿主細胞のための好ましいリーダーは、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼおよびアスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)トリオースホスフェートイソメラーゼに関する遺伝子から得られる。
酵母菌宿主細胞のための適切なリーダーは、サッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO-1)、サッカロミセス・セレビシエー3−ホスホグリセレートキナーゼ、サッカロミセス・セレビシエー(α−因子)およびビール酵母菌アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)に関する遺伝子から得られる。
【0051】
制御配列は、核酸配列の3'末端に操作可能的に連結される配列であり、転写された場合、転写化mRNAにポリアデノシン残基を付加するためのシグナルとして宿主細胞により認識されるポリアデニル化配列でもあり得る。選定宿主細胞中で機能的であるあらゆるポリアデニル化配列が、本発明に用いられ得る。
糸状真菌宿主細胞のための好ましいポリアデニル化配列は、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspertillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)アントラニレートシンターゼ、フザリウム属のFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼおよびアスペルギルス・ニガーα−グルコシダーゼから得られる。
【0052】
酵母菌宿主細胞のための有用なポリアデニル化配列は、Guo and Sherman, 1995, Molecular Cellular Biology 15:5983-5990により記載されている。
制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に連結されたアミノ酸配列をコードし、細胞分泌経路中にコード化ポリペプチドを向けるシグナルペプチドコード領域でもあり得る。核酸配列のコード配列の5'末端は、分泌ポリペプチドをコードするコード領域のセグメントと翻訳読み取り枠内で天然に連結されるシグナルペプチドコード領域を固有に含有し得る。
【0053】
あるいは、コード配列の5’末端は、コード配列に対して異物であるシグナルペプチドコード領域を含有し得る。外来シグナルペプチドコード領域は、コード配列がシグナルペプチドコード領域を天然には含有しない場合に、必要とされ得る。あるいは、外来シグナルペプチドコード領域は、ポリペプチドの分泌を増強するために、天然シグナルペプチドコード領域に単に取って代わる。しかしながら、選定宿主細胞の分泌経路に発現ポリペプチドを向けるあらゆるシグナルペプチドコード領域が、本発明で用いられ得る。
【0054】
糸状真菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード領域は、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspertillus niger)中性アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー・グルコアミラーゼ、リゾープス・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、フミコラ・インソレンスのHumicola insolensおよびHumicola lanuginosaリパーゼに関する遺伝子から得られるシグナルペプチドコード領域である。
酵母菌宿主細胞のための有用なシグナルペプチドは、サッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)α因子およびビール酵母菌インベルターゼに関する遺伝子から得られる。その他の有用なシグナルペプチドコード領域は、Romanos et al., 1992(上記)に記載されている。
【0055】
制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域でもあり得る。その結果生じるポリペプチドは、プロ酵素またはプロポリペプチド(またはいくつかの場合にはチモーゲン)として知られている。プロポリペプチドは一般に不活性であり、プロポリペプチドからのプロペプチドの触媒的または自己触媒的開裂により成熟活性ポリペプチドに転換され得る。プロペプチドコード領域は、バシラス属のバチルス・スブチミン(Bacillus subtilis)アルカリ性プロテアーゼ(aprE)、枯草菌中性プロテアーゼ(nprT)、ビール酵母菌α因子、リゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼおよびミセリオスポラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)ラッカーゼ(WO 95/33836)に関する遺伝子から得られる。
【0056】
シグナルペプチドおよびプロペプチド領域がともにポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、プロペプチド領域はポリペプチドのアミノ末端の隣りに位置し、シグナルペプチド領域はプロペプチド領域のアミノ末端の隣に位置する。
宿主細胞の増殖に関してポリペプチドの発現の調節を可能にする調節配列を付加するのも望ましい。調節系の例は、調節化合物の存在を含めて、化学的または物理的刺激に応答して遺伝子の発現を点滅させるものである。原核生物系における調節系としては、lac、tacおよびtrpオペレーター系が挙げられる。
【0057】
酵母菌では、ADH2系またはGAL1系が用いられ得る。糸状真菌では、TAKAα−アミラーゼプロモーター、黒色アスペルギルスグルコアミラーゼプロモーターおよびAspergillus oryzaeグルコアミラーゼプロモーターが調節配列として用いられ得る。調節配列のその他の例は、遺伝子増幅を可能にするものである。真核生物系では、これらには、メトトレキセートの存在下で増幅されるジヒドロフォレートレダクターゼ遺伝子、および重金属を用いて増幅されるメタロチオネイン遺伝子が含まれる。これらの場合、ポリペプチドをコードする核酸配列は、調節配列と操作可能的に連結される。
【0058】
本発明は、宿主細胞に対して内在性であるポリペプチドをコードする遺伝子の発現を変えるための核酸構築物にも関する。構築物は、内在性遺伝子の発現を変えるのに必要な最小数の構成成分を含有し得る。一実施態様では、核酸構築物は、好ましくは、(a)ターゲッティング配列、(b)本発明のプロモーター、(c)エキソン、および(d)スプライス供与体部位を含有する。細胞への核酸構築物の導入時に、構築物は、相同組換えにより、内在性遺伝子部位の細胞ゲノム中に挿入する。
【0059】
ターゲッティング配列は、素子(b)〜(d)が内在性遺伝子に操作可能的に連結されるように、内在性遺伝子への素子(a)〜(d)の組込みを指図する。別の実施態様では、核酸構築物は、(a)ターゲッティング配列、(b)本発明のプロモーター、(c)エキソン、(d)スプライス−供与体部位、(e)イントロン、および(f)スプライス−受容体部位を含有し、この場合、ターゲッティング配列は、素子(b)〜(f)が内在性遺伝子に操作可能的に連結されるように、素子(a)〜(f)の組込みを指図する。しかしながら、構築物は、選択可能マーカーのような付加的構成成分を含有し得る。
【0060】
両実施態様では、これらの構成成分の導入は、内在性遺伝子の発現が変えられる新規の転写単位の産生をもたらす。本質的には、新規の転写単位は、ターゲッティング構築物および内在性遺伝子により導入される配列の融合産物である。内在性遺伝子が変えられる一実施態様では、遺伝子は活性化される。この実施態様では、対応する親細胞において明らかであるよりも高いレベルで遺伝子を発現させる調節配列の挿入により、普通は親細胞の内在性遺伝子と関連する調節領域を置換、崩壊または無能にするために相同組換えが用いられる。活性化遺伝子は、当業界で周知の方法を用いて、構築物中の増幅可能選択可能マーカー遺伝子の含入によりさらに増幅され得る(例えば、米国特許第5,641,670号参照)。内在性遺伝子が変えられる別の実施態様では、遺伝子の発現は低減される。
【0061】
ターゲッティング配列は、内在性遺伝子内、その遺伝子のすぐ隣り、上流遺伝子内または内在性遺伝子の上流またはその遺伝子からある距離に存在し得る。1つ又はそれ以上のターゲッティング配列が用いられ得る。例えば、環状プラスミドまたはDNA断片は、好ましくは単一ターゲッティング配列を用いるが、一方、線状プラスミドまたはDNA断片は、好ましくは2つのターゲッティング配列を用いる。
【0062】
構築物はさらに、内在性遺伝子の1つ又はそれ以上のエキソンを含有する。エキソンは、RNAに複写されるDNA配列と定義され、エキソン配列が内在性遺伝子のコード領域とともに枠内に存在するように、成熟mRNA分子中に存在する。エキソンは、任意に、1つ又はそれ以上のアミノ酸をコードし、および/または部分的にアミノ酸をコードするDNAを含有し得る。あるいは、エキソンは、5'非コード領域に対応するDNAを含有する。単数または複数の外在性エキソンが1つ又はそれ以上のアミノ酸および/またはアミノ酸の一部をコードする場合、核酸構築物は、転写およびスプライシング時に、リーディングフレームは内在性遺伝子のコード領域とともに枠内に存在するよう設計され、したがって二次エキソン由来のmRNAの一部の適切なリーディングフレームが変更されない。
【0063】
構築物のスプライス−供与体部位は、あるエキソンの別のエキソンとのスプライシングを指図する。典型的には、一次エキソンは二次エキソンの5'にあり、その3’側に一次エキソンを重複し、フランキングするスプライス−供与体部位は、二次エキソンの5'側に二次エキソンをフランキングするスプライス−供与体部位を認識する。スプライス−受容体部位は、スプライス−供与体部位と同様に、あるエキソンの別のエキソンとのスプライシングを指図する配列である。スプライス供与体部位とともに作用する場合、スプライシング装置はスプライス受容体部位を用いてイントロンの除去を実行する。
【0064】
本発明はさらに、ポリペプチドの製造方法であって、(a)ポリペプチドの産生を促す条件下で、本発明のプロモーター、エキソンおよび/またはポリペプチドをコードする内在性核酸配列の二次エキソンに作用可能に連結されたスプライス供与体部位を包含する、そこに組み入れられた新規の転写単位を有する相同的組換え体細胞を培養し、そして(b)ポリペプチドを回収する過程を包含する方法に関する。
【0065】
発現ベクター
本発明は、本発明のプロモーター、ポリペプチドをコードする核酸配列、ならびに転写および翻訳停止シグナルを包含する組換え体発現ベクターにも関する。前記の種々の核酸および制御配列は一緒に連結されて、この部位でのプロモーターおよび/またはポリペプチドをコードする核酸配列の挿入または置換を可能にするために1つ又はそれ以上の便利な制限部位を含み得る組換え体発現ベクターを産生し得る。あるいは、核酸配列は、核酸配列またはプロモーターおよび/または配列を包含する構築物を発現のための適切なベクター中に挿入することにより発現され得る。発現ベクターを作製する場合、コード配列が本発明のプロモーターおよび発現のための1つ又はそれ以上の適切な制御配列と操作可能的に連結されるように、コード配列はベクター内に置かれる。
【0066】
組換え体発現ベクターは、便利に組換えDNA法を施され得る、そして核酸配列の発現を生じ得るあらゆるベクター(例えばプラスミドまたはウイルス)であり得る。ベクターの選択は、典型的には、ベクターが導入される宿主細胞とのベクターの適合性によっている。ベクターは、線状または閉環状プラスミドであり得る。
【0067】
ベクターは、自律性複製ベクター、即ち染色体外存在物として存在し、その複製は染色体複製とは無関係であるベクター、例えばプラスミド、染色体外素子、ミニ染色体または人工染色体であり得る。ベクターは、自己複製を補償するための任意の手段を含有し得る。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入された場合、ゲノムに組み込まれて、それが組み込まれた単数または複数の染色体と一緒に複製するものであり得る。さらに、宿主細胞のゲノム中に導入される全DNAを一緒に含有する単一ベクターまたはプラスミドあるいは1つ又はそれ以上のベクターあるいはプラスミドが用いられ得る。
【0068】
本発明のベクターは、好ましくは、形質転換化細胞の選択を容易にさせる1つ又はそれ以上の選択可能マーカーを含有する。選択可能マーカーは、その生成物が殺生物体またはウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求株に対する原栄養株等を提供する遺伝子である。酵母菌宿主細胞のための適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1およびURA3である。
【0069】
糸状真菌宿主細胞に用いるための選択可能マーカーとしては、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hygB(ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(ニトレートレダクターゼ)、pyrG(オロチジン−5'−ホスフェートデカルボキシラーゼ)、sC(スルフェートアデニルトランスフェラーゼ)、trpC(アントラニレートシンターゼ)ならびにそれらの等価物が挙げられるが、これらに限定されない。アスペルギルス細胞に用いるのに好ましいのは、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)またはアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)のamdSおよびpyrG遺伝子、ならびにストレプトミセス・ヒグロスポラ属のStreptomyces hygroscopicusのbar遺伝子である。
【0070】
本発明のベクターは、好ましくは、宿主細胞のゲノム中へのベクターの安定組込みまたはゲノムとは無関係な細胞におけるベクターの自律性複製を可能にする単数または複数の素子を含有する。
宿主細胞ゲノム中への組込みのために、ベクターは、ポリペプチドをコードする核酸配列に、あるいは相同または非相同的組換えによるゲノム中へのベクターの安定組込みのためのベクターの任意のその他の素子に頼り得る。あるいは、ベクターは、宿主細胞のゲノム中への相同的組換えによる組込みを指図するための付加的核酸配列を含有し得る。付加的核酸配列は、単数または複数の染色体中の的確な単数または複数の位置で、宿主細胞ゲノム中にベクターを組み込ませる。
【0071】
的確な位置での組込みの可能性を増大するために、組込み素子は、好ましくは、相同的組換えの見込みを増強するのに十分な数の、例えば100〜1,500塩基対、好ましくは400〜1,500塩基対、最も好ましくは800〜1,500塩基対の対応する標的配列と高度に相同性である核酸を含有すべきである。組込み素子は、宿主細胞のゲノム中の標的配列と相同である任意の配列であり得る。さらに、組込み素子は、非コードまたはコード核酸配列であり得る。他方、ベクターは、相同的組換えにより宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得る。
【0072】
自律的複製のためには、ベクターはさらに、当該宿主細胞中で自律的にベクターを複製させる複製の起点を含み得る。酵母菌宿主細胞中で用いるための複製起点の例は、複製の2μ起点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3の組合せ、ARS4とCEN6の組合せである。複製起点は、宿主細胞中でその機能を温度感受性にさせる突然変異を有するものであり得る(例えば、Ehrlich, 1978, Proceedings of the National Academy of Science USA 75:1433参照)。
【0073】
ポリペプチドをコードする核酸配列の1つより多いコピーが、遺伝子産物の産生を増大するために宿主細胞中に挿入され得る。核酸配列のコピー数の増加は、宿主細胞ゲノム中に配列の少なくとも1つの付加的コピーを組み込むことにより、または核酸配列を有する増幅可能選択可能マーカー遺伝子を含入することにより得られ、この場合、選択可能マーカー遺伝子の増幅コピーおよびそれによる核酸配列の付加的コピーを含有する細胞は、適切な選択可能作用物質の存在下で細胞を培養することにより選択され得る。
前記の素子を結紮して本発明の組換え発現ベクターを構築するために用いられる手法は、当業者には周知である(例えば、Sambrook et al., 1989、上記参照)。
【0074】
宿主細胞
本発明は、ポリペプチドをコードする核酸配列と操作可能的に連結される本発明のプロモーターを含み、ポリペプチドの組換え的産生に有益に用いられる組換え体宿主細胞にも関する。ポリペプチドをコードする核酸配列と操作可能的に連結される本発明のプロモーターを含むベクターは、前記されているように染色体組込み体としてまたは自己複製染色体外ベクターとしてベクターが保持されるように、宿主細胞中に導入される。「宿主細胞」という用語は、複製中に起きる突然変異のために親細胞と同一でない親細胞のあらゆる子孫を包含する。宿主細胞の選定は、ポリペプチドをコードする遺伝子およびその供給源に大いによっている。
【0075】
宿主細胞は、本発明の方法に有用な任意の真菌細胞であり得る。「真菌」は、本明細書中で用いる場合、子嚢菌門、担子菌門、ツボカビ門および接合菌門(Hawksworth et al., In, Ainsworth and Bisby's Dictionary of The Fungi, 8th edition, 1995, CAB International, University Press, Cambridge, UKにより定義されている)ならびに卵菌門(Hawksworth et al., 1995(上記)に引用)そしてすべてのmitosporic fungi(Hawksworth et al., 1995(上記))を含む。
【0076】
好ましい実施態様では、真菌宿主細胞は、酵母菌細胞である。「酵母菌」とは、本明細書中で用いる場合、子嚢胞子型酵母菌(エンドミケス目)、担子胞子型酵母菌および完全真菌類(ブラストミケス綱)に属する酵母菌を含む。酵母菌の分類は将来変わり得るため、本発明の目的のために、酵母菌は、Biology and Activities of Yeast(Skinner, F.A., Passmore, S.M., and Davenport, R.R., eds, Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9, 1980)に記載されているように定義される。
さらに好ましい実施態様では、酵母菌宿主細胞は、カンジダ属、ハンセヌラ属、クルイベロミセス属、ピキア属、サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属またはヤロウイア属Yarrowia細胞である。
【0077】
最も好ましい実施態様では、酵母菌宿主細胞は、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ディアスタティクス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシー(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベラ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)またはサッカロミセス・オビフォルミス(Saccharomyces oviformis)細胞である。別の最も好ましい実施態様では、酵母菌宿主細胞は、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)細胞である。別の最も好ましい実施態様では、酵母菌宿主細胞はヤロウイア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)細胞である。
【0078】
別の好ましい実施態様では、真菌宿主細胞は、糸状真菌細胞である。「糸状真菌」は、すべての糸状形態の真菌門および卵菌門を含む(Hawksworth et al., 1995(上記)により定義されている)。糸状真菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナンおよびその他の複合多糖から成る菌糸壁により特性化される。植物性増殖は植物性伸長により、そして炭素異化作用は絶対好気性である。これに対比して、ビール酵母菌のような酵母菌による植物性増殖は単細胞葉状体の出芽により、炭素異化作用は発酵性であり得る。
【0079】
さらに好ましい実施態様では、糸状真菌宿主細胞は、アクレモニウム属、アスペルギルス属、フザリウム属、フミコラ属、ケカビ属、ミセリオフトラ属、アカパンカビ属、ペニシリウム属、チエラビア属、トリポクラジウム属またはトリコデルマ属の細胞であるが、これらに限定されない。
【0080】
最も好ましい実施態様では、糸状真菌宿主細胞は、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フォエケダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニトランス(Aspergillus nidulans)、黒色アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)またはアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)細胞である。
【0081】
別の最も好ましい実施態様では、糸状真菌宿主細胞は、フザリウム属のフザリウム・バクトリディオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クロックウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミヌス(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ヌグンジ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクラタム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サンブシヌム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルクロウム(Fusarium sarchroum)、フザリウム・ヌポロトリコイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フザリム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)またはフザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)細胞である。
【0082】
別の最も好ましい実施態様では、糸状真菌宿主細胞は、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミーヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ノイロスポラ・クラサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トリコデルマ・ハルジアヌム(Ttichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギー(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギフラキアム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)またはトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞である。
【0083】
さらに最も好ましい実施態様では、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)細胞は、 元は、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)ATCC 20334として寄託され、近年、Yoder and Christianson, 1998, Fungal Genetics and Biology 23: 62-80およびO'Donnell et al., 1998, Fungal Genetics and Biology 23:57-67によりフザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)として再分類されたフザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)A3/5、ならびそれらが一般的に知られている種名とは無関係にフザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)の分類学的等価物である。別の好ましい実施態様では、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)細胞は、WO 97/26330に開示されているように、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)A3/5またはフザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)ATCC 20334の形態学的突然変異体である。
【0084】
真菌細胞は、プロトプラスト形成、プロトプラストの形質転換およびそれ自体既知の方法における細胞壁の再生を含めた方法により形質転換され得る。アスペルギルス宿主細胞の形質転換のための適切な手法は、EP 238 023およびYelton et al., 1984, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81:1470-1474に記載されている。フザリウム種を形質転換するための適切な方法は、Malardier et al., 1989, Gene 78: 147-156およびWO 96/00787により記載されている。
【0085】
酵母菌は、Becker and Guarente, In Abelson, J.N. and Simon, M.I., editors, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology, Volume 194, pp.182-187, Academic Press, Inc., New York;Ito et al., 1983, Journal of Bacteriology 153:163;およびHinnen et al., 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75:1920により記載された手法を用いて形質転換され得る。
【0086】
突然変異体プロモーターの生成方法
本発明はさらに、突然変異体プロモーターの生成方法であって、(a)配列番号1のヌクレオチド1〜3949、配列番号2のヌクレオチド1〜938又は配列番号3のヌクレオチド1〜3060の配列に少なくとも1つの突然変異を導入するが、この場合、突然変異体プロモーターはプロモーター活性を有し、そして(b)突然変異体プロモーターを単離する方法に関する。
【0087】
本発明は、(a)(i)配列番号1、配列番号2または配列番号3、(ii)配列番号1、配列番号2または配列番号3に含入されるcDNA配列、(iii)上記(i)または(ii)の亜配列、あるいは(iv)(i)、(ii)または(iii)の相補的鎖と、極低、低、中、中〜高、高または極高緊縮条件下でハイブリダイズし、そして(b)DNAから突然変異体プロモーターを単離することによる突然変異体プロモーターの生成方法にも関する。緊縮および洗浄条件は、本明細書中に限定されている。
突然変異体プロモーターは、制限酵素消化またはPCR増幅のような当業界で既知の方法を用いて単離され得る。
【0088】
核酸配列
本発明は、
(a)配列番号4のアミノ酸22〜581と少なくとも65%の、配列番号5のアミノ酸19〜200と少なくとも65%の、配列番号6のアミノ酸1〜187と少なくとも65%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列、
(b)配列番号1のヌクレオチド4013〜5743と少なくとも65%の、配列番号2のヌクレオチド993〜1593と少なくとも65%の、配列番号3のヌクレオチド3061〜3698と少なくとも65%の相同性を有する核酸配列、
【0089】
(c)(i)配列番号1のヌクレオチド4013〜5743、配列番号2のヌクレオチド993〜1593または配列番号3のヌクレオチド3061〜3698と、(ii)配列番号1のヌクレオチド4013〜5743、配列番号2のヌクレオチド993〜1593または配列番号3のヌクレオチド3061〜3698中に含入されるcDNA配列と、(iii)少なくとも100ヌクレオチドの(i)または(ii)の亜配列と、あるいは(iv)(i)、(ii)または(iii)の相補的鎖と、極低、低、中、中〜高、高または極高緊縮条件下でハイブリダイズする核酸配列、
【0090】
(d)1つ又はそれ以上のアミノ酸の置換、欠失および/または挿入を含む配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチドの変異体をコードする核酸配列、
(e)(a)、(b)または(c)の対立遺伝子変異体、並びに
(f)(a)、(b)、(c)または(e)の亜配列
から成る群から選択される単離核酸配列にも関する。
【0091】
「単離された核酸配列」という用語は、本明細書中で用いる場合、他の核酸配列を本質的に含有しない、例えばアガロース電気泳動により確定した場合、少なくとも約20%の純度、好ましくは少なくとも約40%の純度、さらに好ましくは少なくとも約60%の純度、さらに好ましくは少なくとも約80%の純度、最も好ましくは少なくとも約90%の純度の核酸配列を指す。
【0092】
例えば、単離された核酸配列は、その天然位置からそれが再生される異なる部位に配置し直すための遺伝子工学処理に用いられる標準クローニング手法により得られる。クローニング手法は、ポリペプチドをコードする核酸配列を含む所望の核酸断片の除去および単離、ならびに核酸配列の多重コピーまたはクローンが複製される宿主細胞中への組換えベクターの組み入れを包含し得る。核酸配列は、ゲノム、cDNA、RNA、半合成、合成起源のもの、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0093】
第一の実施態様において、本発明は、配列番号4のアミノ酸22〜581と、配列番号5のアミノ酸19〜200と、または配列番号6のアミノ酸1〜187と少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約70%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%、さらに最も好ましくは少なくとも約97%の同一性度を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド(以後、「相同ポリペプチド」)をコードする単離核酸配列に関する。
【0094】
好ましい実施態様では、相同ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸22〜581と、配列番号5のアミノ酸19〜200と、または配列番号6のアミノ酸1〜187とは5アミノ酸、好ましくは4アミノ酸、さらに好ましくは3アミノ酸、さらに好ましくは2アミノ酸、最も好ましくは1アミノ酸異なるアミノ酸配列を有する。本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の同一性度は、同一性表および以下の多アラインメントパラメーター:ギャップペナルティー10、ギャップ長10を用いるLASERGENEMEGALIGNソフトウェア(DNASTAR, Inc., Madison, WI)を用いて、Clustal法により決定される(Higgins, 1989, CABIOS 5:151-153)。対方式アラインメントパラメーターは、Ktuple=1、ギャップペナルティー=3、ウインドウ=5およびダイアゴナル=5であった。
【0095】
好ましくは、本発明の核酸配列は、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列あるいはそれらの対立遺伝子変異体あるいはそれらの断片を含むポリペプチドをコードする。さらに好ましい実施態様では、本発明の核酸配列は、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。別の好ましい実施態様では、本発明の核酸配列は、配列番号4のアミノ酸22〜581、配列番号5のアミノ酸19〜200または配列番号6のアミノ酸1〜187あるいはそれらの対立遺伝子変異体あるいはそれらの断片を含むポリペプチドをコードする。
【0096】
別の好ましい実施態様では、本発明の核酸配列は、配列番号4のアミノ酸22〜581、配列番号5のアミノ酸19〜200または配列番号6のアミノ酸1〜187を含むポリペプチドをコードする。別の好ましい実施態様では、本発明の核酸配列は、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列、あるいはそれらの対立遺伝子変異体あるいはそれらの断片からなるポリペプチドをコードする。別の好ましい実施態様では、本発明の核酸配列は、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする。
【0097】
別の好ましい実施態様では、本発明の核酸配列は、配列番号4のアミノ酸22〜581、配列番号5のアミノ酸19〜200または配列番号6のアミノ酸1〜187あるいはそれらの対立遺伝子変異体あるいはそれらの断片からなるポリペプチドをコードする。別の好ましい実施態様では、本発明の核酸配列は、配列番号4のアミノ酸22〜581、配列番号5のアミノ酸19〜200または配列番号6のアミノ酸1〜187から成るポリペプチドをコードする。
【0098】
本発明は、遺伝子コードの縮重により、それぞれ配列番号1、配列番号2または配列番号3とは異なる配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列も包含する。本発明は、それぞれ配列番号4、配列番号5および配列番号6の断片をコードする配列番号1、配列番号2および配列番号3の亜配列にも関する。
【0099】
サブ配列は、配列番号1、配列番号2または配列番号3により包含される核酸配列であるが、但し、5'および/または3’末端からの1つ又はそれ以上のヌクレオチドは欠失されている。好ましくは、配列番号1の亜配列は、少なくとも1410ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも1500ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも1590ヌクレオチドを含有する。好ましくは配列番号2の亜配列は、少なくとも450ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも480ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも510ヌクレオチドを含有する。好ましくは、配列番号3の亜配列は、少なくとも465ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも495ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも525ヌクレオチドを含有する。
【0100】
配列番号4、配列番号5または配列番号6の断片は、このアミノ酸配列のアミノおよび/またはカルボキシ末端から欠失された1つ又はそれ以上のアミノ酸を有するポリペプチドである。好ましくは、配列番号4の断片は、少なくとも470アミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも500アミノ酸残基、最も好ましくは少なくとも530アミノ酸残基を含有する。好ましくは、配列番号5の断片は、少なくとも150アミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも160アミノ酸残基、最も好ましくは少なくとも170アミノ酸残基を含有する。好ましくは、配列番号6の断片は、少なくとも155アミノ酸残基、さらに好ましくは少なくとも165アミノ酸残基、最も好ましくは少なくとも175アミノ酸残基を含有する。
【0101】
対立遺伝子変異体は、同一染色体遺伝子座を占める遺伝子の2つまたはそれ以上の代替的形態のいずれかを示す。対立遺伝子変異は突然変異により天然に起こり、集団内に多型を生じ得る。遺伝子突然変異は非症候性(コード化ポリペプチドの変化なし)であり得るか、または変更アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし得る。ポリペプチドの対立遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子変異体によりコードされるポリペプチド3である。
【0102】
第二の実施態様では、本発明は、本発明は、配列番号1のヌクレオチド4013〜5743、配列番号2のヌクレオチド4013〜1593または配列番号3のヌクレオチド3061〜3688(即ち成熟ポリペプチドコード領域)と少なくとも約65%、好ましくは約70%、さらに好ましくは80%、さらに好ましくは約90%、さらに好ましくは約95%、最も好ましくは約97%の相同性度を有する単離核酸に関する。
【0103】
本発明の目的のために、2つの核酸配列間の相同性度は、同一性表および以下の多アラインメントパラメーター:ギャップペナルティー10、ギャップ長10を用いるLASERGENEMEGALIGNソフトウェア(DNASTAR, Inc., Madison, WI)を用いて、Lipman法により決定される(Wilbur and Lipman, 1983, Proceedings of the National Academy of Science USA 80:726-730)。対方式アラインメントパラメーターは、Ktuple=1、ギャップペナルティー=3およびウインドウ=20であった。
【0104】
第三の実施態様では、本発明は、(i)配列番号1のヌクレオチド4013〜5743、配列番号2のヌクレオチド993〜1593または配列番号3のヌクレオチド3061〜3698と、(ii)配列番号1のヌクレオチド4013〜5743、配列番号2のヌクレオチド993〜1593または配列番号3のヌクレオチド3061〜3698中に含入されるcDNA配列と、(iii)(i)または(ii)のサブ配列と、あるいは(iv)(i)、(ii)または(iii)の相補的鎖と、極低緊縮条件下で、好ましくは低緊縮条件下で、さらに好ましくは中緊縮条件下で、さらに好ましくは中〜高緊縮条件下で、さらに好ましくは高緊縮条件下で、最も好ましくは極高緊縮条件下でハイブリダイズするポリペプチドをコードする単離核酸配列に関する(J.Sambrook, E.F. Frisch, and T. Maniatus, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d edition, Cold Spring Harbor, New York)。配列番号1、配列番号2または配列番号3の亜配列は、少なくとも100ヌクレオチド、または好ましくは少なくとも200ヌクレオチドであり得る。さらに、亜配列はポリペプチド断片をコードし得る。
【0105】
当業界で周知の方法により、異なる遺伝子または種の菌株からのポリペプチドをコードするDNAを同定し、クローン化するために、配列番号1、配列番号2または配列番号3の核酸配列あるいはそれらの亜配列、ならびに配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列あるいはそれらの断片を用いて核酸プローブを設計し得る。特に、このようなプローブは、その中の対応する遺伝子を同定し、単離するために、標準サザンプロッティング後に、当該遺伝子または種のゲノムまたはcDNAとのハイブリダイゼーションのために用いられ得る。
【0106】
このようなプローブは全配列よりかなり短い可能性があるが、しかし、少なくとも15、好ましくは少なくとも25、さらに好ましくは少なくとも35ヌクレオチド長である必要がある。より長いプローブも用いられ得る。DNAおよびRNAプローブが用いられ得る。プローブは、典型的には対応する遺伝子を検出するために標識され得る(例えば、32P、3H、35S、ビオチンまたはアビジン)。
【0107】
したがって、このようなその他の生物から調製されるゲノムDNAまたはcDNAライブラリーは、前記のプローブとハイブリダイズし、ポリペプチドをコードするDNAに関してスクリーニングされ得る。このようなその他の生物からのゲノムまたはその他のDNAは、アガロースまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動、あるいはその他の分離技法により分離され得る。ライブラリーからのDNAまたは分離DNAは、ニトロセルロースまたはその他の適切な担体物質上に移され、固定され得る。配列番号1と相同であるクローンまたはDNA、あるいはその亜配列を同定するために、サザンブロットにおいて担体物質が用いられる。
【0108】
本発明の目的のために、ハイブリダイゼーションは、極低〜極高緊縮条件下で、核酸配列が、配列番号1、配列番号2または配列番号3で示される核酸配列、それらの相補鎖、またはそれらの亜配列に対応する標識化核酸プローブとハイブリダイズすることを示す。これらの条件下で核酸プローブがハイブリダイズする分子は、X線フィルムを用いて検出される。
【0109】
好ましい実施態様では、核酸プローブは、配列番号1、配列番号2または配列番号3の核酸配列である。別の好ましい実施態様では、核酸プローブは、配列番号4、配列番号5または配列番号6のポリペプチドをコードする核酸配列、あるいはそれらの亜配列である。別の好ましい実施態様では、核酸プローブは、配列番号1、配列番号2または配列番号3である。別の好ましい実施態様では、核酸プローブは、成熟ポリペプチドをコードする配列番号1のヌクレオチド4013〜5743である。別の好ましい実施態様では、核酸プローブは、成熟ポリペプチドをコードする配列番号2のヌクレオチド993〜5743である。
【0110】
別の好ましい実施態様では、核酸プローブは、成熟ポリペプチドをコードする配列番号3のヌクレオチド3061〜3698である。別の好ましい実施態様では、核酸プローブは、大腸菌NRRL B-30067に含入されるプラスミドpECO3に含入される核酸配列である。別の好ましい実施態様では、核酸プローブは、大腸菌NRRL B-30071に含入されるプラスミドpFAMGに含入される核酸配列である。別の好ましい実施態様では、核酸プローブは、大腸菌NRRL B-30076に含入されるプラスミドpQUINNに含入される核酸配列である。
【0111】
別の好ましい実施態様では、核酸プローブは、大腸菌NRRL B-30067に含入されるプラスミドpECO3に含入される成熟ポリペプチドコード領域である。別の好ましい実施態様では、核酸プローブは、大腸菌NRRL B-30071に含入されるプラスミドpFAMGに含入される成熟ポリペプチドコード領域である。別の好ましい実施態様では、核酸プローブは、大腸菌NRRL B-30076に含入されるプラスミドpQUINNに含入される成熟ポリペプチドコード領域である。
【0112】
少なくとも100ヌクレオチド長の長いプローブに関しては、極低〜極高緊縮条件は、標準サザンブロッティング手法後の、5XSSPE、0.3%SDS、200μg/mlの剪断および変性サケ精子DNA、ならびに極低および低緊縮に関しては25%ホルムアミド、中および中〜高緊縮に関しては35%ホルムアミド、または高および極高緊縮に関しては50%ホルムアミド中での42℃での予備ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションと定義される。
【0113】
少なくとも100ヌクレオチド長の長いプローブに関しては、担体物質は、好ましくは少なくとも45℃(極低緊縮)、さらに好ましくは少なくとも50℃(低緊縮)、さらに好ましくは少なくとも55℃(中緊縮)、さらに好ましくは少なくとも60℃(中〜高緊縮)、さらに好ましくは少なくとも65℃(高緊縮)、最も好ましくは少なくとも70℃(極高緊縮)で、2 xSSC、0.2%SDSを用いて3回、各々15分間、最終的に洗浄される。
【0114】
約15ヌクレオチド〜約70ヌクレオチド長である短いプローブに関しては、緊縮条件は、標準サザンブロッティング手法後、0.9 M NaCl、0.09 Mトリス−HCl、pH7.6、6 mM EDTA、0.5%NP-40、1Xデンハード溶液、1Mmピロリン酸ナトリウム、0.1mM ATPおよび0.2 mgの酵母菌RNA/ml中で、BoltonとMcCarthy(1962, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 48:1390)によるケイ酸を用いて、算定Tmより低い5℃〜10℃での予備ハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション後洗浄と定義される。
【0115】
約15ヌクレオチド〜約70ヌクレオチド長である短いプローブに関しては、担体物質は6XSCC+0.1%SDS中で1回15分間、そして算定Tmより低い5℃〜10℃で6XSSCを用いて2回各々15分間、洗浄される。
【0116】
本発明は、本発明は、(a)(i)配列番号1のヌクレオチド4013〜5743、配列番号2のヌクレオチド993〜1593または配列番号3のヌクレオチド3061〜3698と、(ii)配列番号1のヌクレオチド4013〜5743、配列番号2のヌクレオチド993〜1593または配列番号3のヌクレオチド3061〜3698中に含入されるcDNA配列と、(iii)上記(i)または(ii)の亜配列と、あるいは(iv)上記(i)、(ii)または(iii)の相補的鎖と、極低、低、中、中〜高、高または極高緊縮条件下でDNAをハイブリダイズし、そして(b)DNAから核酸配列を単離することにより生成される単離核酸配列にも関する。亜配列は、好ましくは少なくとも100ヌクレオチドの配列、例えばポリペプチド断片をコードする配列であり得る。
【0117】
第四の実施態様では、本発明は、1つ又はそれ以上のアミノ酸の置換、欠失および/または挿入を含む配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチドの変異体をコードする単離核酸配列に関する。
【0118】
変異体ポリペプチドのアミノ酸配列は、1つ又はそれ以上のアミノ酸残基の挿入または欠失および/または異なるアミノ酸残基による1つ又はそれ以上のアミノ酸残基の置換により、配列番号4、配列番号5または配列番号6のアミノ酸配列、あるいはそれらの成熟ポリペプチドとは異なり得る。好ましくは、アミノ酸変化は、タンパク質のフォールディングおよび/または活性に有意に影響を及ぼさない小さな天然の即ち保存的アミノ酸置換;典型的には1つ〜約30アミノ酸の小欠失;小アミノ−またはカルボキシル末端延長、例えばアミノ末端メチオニン残基;約20〜25残基までの小リンカーペプチド;あるいは正味電荷または別の機能、例えばポリ−ヒスチジン索、抗原性エピトープまたは結合ドメインを変えることにより精製を促進する小延長を有する。
【0119】
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシンおよびヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミンおよびアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシンおよびバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシン)ならびに小型アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、トレオニンおよびメチオニン)の群内にある。
【0120】
一般的に特異的活性を変えないアミノ酸置換は当業界で既知であり、例えば、H. Neurath and R.L. Hill, 1979, In The Proteins, Academic Press, New Yorkにより記載されている。最も一般的に起こる交換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/GluおよびAsp/Glyならびにこれらの逆である。
本発明の核酸配列は、任意の属の微生物から得られる。本発明の目的のために、「〜得られる」という用語は、本明細書中に適宜したように用いられる。好ましい実施態様では、本発明の核酸配列によりコードされるポリペプチドは、細胞外に分泌される。
【0121】
核酸配列は、真菌供給源から、さらに好ましくは酵母菌株、例えばカンジダ(Candida)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ピキア(Pichia)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属またはヤロウイア(Yarrowia)属菌株から、さらに好ましくは糸状真菌株、例えばアクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フザリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ムコール(Mucor)、ミセリオフトラ(Myceliophthora)、ネオカリマスチックス(Neocallimastix)、ノイロスポラ(Neurospora)、ペシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピロミセス(Piromyces)、シゾフィルム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスクス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)またはトリコデルマ(Trichoderma)属菌株から得られる。
【0122】
好ましい実施態様では、核酸配列は、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチクス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドグラシー(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)またはサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)株から得られる。
【0123】
別の好ましい実施態様では、核酸配列は、アスペルギルス・サクレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フォニチドウス(Aspergillus foetidus)、アルペルギルス・ジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)またはアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラムギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミーヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ノイロスポラ・クラサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、トリコデルマ・ハルチアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギー(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギグラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)またはトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)株から得られる。
【0124】
別の好ましい実施態様では、核酸配列は、フザリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クルークウエレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミヌム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンディ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキススポルム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクラタム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サンブシヌム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・カルクロウム(Fusarium sarchroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコテチオデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)株から得られる。
【0125】
さらに好ましい実施態様では、核酸配列は、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)から、最も好ましくはフザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)ATCC20334から得られ、例えば配列番号1、配列番号2または配列番号3で既述される核酸配列である。別のさらに好ましい実施態様では、配列番号1の核酸配列は、大腸菌NRRL B-30067に含入されるプラスミドpECO3に含入される配列である。別の好ましい実施態様では、配列番号2の核酸配列は、大腸菌NRRL B-30071に含入されるプラスミドpFAMGに含入される配列である。
【0126】
別の好ましい実施態様では、配列番号3の核酸配列は、大腸菌NRRL B-30076に含入されるプラスミドpQUINNに含入される配列である。別の好ましい実施態様では、核酸配列は、成熟ポリペプチドをコードする配列番号1のヌクレオチド4013〜5743である。別の好ましい実施態様では、核酸配列は、成熟ポリペプチドをコードする配列番号2のヌクレオチド993〜1593である。別の好ましい実施態様では、核酸配列は、成熟ポリペプチドをコードする配列番号3のヌクレオチド3061〜3698である。
【0127】
前記の種に関しては、本発明は、それらが知られている種名とは無関係に、完全および不完全状態、ならびにその他の分類学的等価物、例えば亜綱を包含すると理解される。当業者は、適切な等価物の同一性を容易に認識する。
これらの種の菌株は、多数の培養コレクション、例えばアメリカ培養細胞コレクションAmerican Type Culture Collection(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSM)、Centraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)およびAgricultural Research Service Patent Culture Collection, Northern Regional Research Center(NRRL)において、公的に容易に入手かのうである。
【0128】
さらに、このような核酸配列は、前記のプローブを用いて自然(例えば、土壌、堆肥、水等)から単離される微生物を含めたその他の供給源から同定され、得られる。自然の生息環境から微生物を担利するための技法は、当業界で周知である。その場合、核酸配列は、別の微生物のゲノムまたはcDNAライブラリーを同様にスクリーニングすることにより得られる。単数または複数のプローブを用いてポリペプチドをコードする核酸配列が検出されれば、当業者に既知の技法を用いることにより、配列は単離またはクローン化され得る(例えば、Sambrook et al., 1989(上記)参照)。
【0129】
本発明は、配列番号1、配列番号2または配列番号3の成熟ポリペプチドコード配列中に少なくとも1つの突然変異を含む突然変異体核酸配列であって、それぞれ配列番号4のアミノ酸22〜581、配列番号5のアミノ酸19〜200または配列番号6のアミノ酸1〜187から成るポリペプチドをコードする突然変異体核酸配列にも関する。
【0130】
ポリペプチドをコードする核酸配列を単離またはクローン化するために用いられる技法は、本明細書中に記載されている。
本発明は、前記の核酸配列を含有する核酸構築物、組換えベクターおよび宿主細胞にも関する。同一方法は、それらの構築に関して全期されているように用いられ得る。
本発明はさらに、前記の核酸配列によりコードされるポリペプチド、ならびに本明細書中に記載した方法を用いたポリペプチドの製造方法に関する。
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0131】
緩衝剤および基質として用いられる化学物質は、少なくとも試薬等級の市販製品であった。
培地および溶液
COVE微量金属溶液は、1リットル当たり0.04 gのNaB4O7・10H2O、0.4 gのCuSO4・5H2O、1.2 gのFeSO4・7H2O、0.7 gのMnSO4・H2O、0.8 gのNa2MoO2・2H2Oおよび10 gのZnSO4・7H2Oで構成された。
【0132】
50XCOVE塩溶液は、1リットル当たり26 gのKCl、26 gのMgSO4・7H2O、76 gのKH2PO4および50 mlのCOVE微量金属で構成された。
COVE培地は、1リットル当たり342.3 gのスクロース、20 mlの50XCOVE塩溶液、10 mlの1 Mアセトアミド、10 mlの1.5 MCsClおよび25 gのノーブル寒天で構成された。
50Xフォーゲル培地は、1リットル当たり150 gのクエン酸ナトリウム、250 gのKH2PO4、10 gのMgSO4・7H2O、10 gのCaCl2・2H2O、2.5 mlのビオチンストック溶液および5.0 mlのAMG微量金属溶液で構成された。
【0133】
微量金属溶液は、1リットル当たり14.3 gのZnSO4・7H2O、2.5 gのCuSO4・5H2O、0.5 gのNiCl2、13.8 gのFeSO4、8.5 gのMnSO4および3.0 gのクエン酸で構成された。
COVE最上アガロースは、1リットル当たり20 mlの50XCOVE塩、0.8 Mスクロース、1.5 M塩化セシウム、1.0 Mアセトアミドおよび10 gの低融点アガロースで構成され、pHを6.0に調整した。
BASTA最上アガロースは、10 mg/mlの除草剤バスタBasta(Hoechst Schering, Rodovre, Denmark)を補充したCOVE最上アガロースで構成された。
【0134】
RA胞子形成培地は、1リットル当たり50 gのコハク酸、12.1 gのNaNO3、1 gのグルコース、20 mlの50Xフォーゲルおよび0.5 mlの10 mg/ml NaMoO4ストック溶液、pH6.0で構成された。
YEPG培地は、1リットル当たり10 gの酵母抽出物、20 gのペプトンおよび20 gのグルコースで構成された。
STCは、0.8 Mソルビトール、25 mMトリス、pH8、25 mMCaCl2で構成された。
SPTCは、40%PEG4000、0.8 Mソルビトール、25 mMトリス、pH8、25 mMCaCl2で構成された。
M400Da培地は、1リットル当たり50 gのマルトデキストリン、2 gのMgSO4・7H2O、2 gのKH2PO4、4 gのクエン酸、8 gの酵母抽出物、2 gの尿素および1 mlのCOVE微量金属溶液で構成された。
【0135】
実施例1フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)菌糸体組織の産生
フザリウム菌株ATCC20334(Wiebe et al., 1991, Mycological Research 95:1284-1288)の形態学的突然変異体であるFusarium venenatumCC1〜3を、炭素供給源としてのヌトリオースNUTRIOSE(Roquette Freres, S.A., Beinheim, France)および酵母抽出物を用いた供給バッチ発酵計画を用いて、2リットル実験室規模発酵器中で増殖させた。リン酸アンモニウムを餌中に提供した。pHを6〜6.5に保持し、温度を陽性溶解酸素を用いて30℃に維持した。
菌糸体試料を接種後2、4、6および8日目に収穫し、液体窒素中で急速凍結した。RNA抽出のために粉砕されるまで、試料を-80℃で保存した。
【0136】
実施例2cDNAライブラリー構築
TimberlakeとBarnard(1981, Cell 26:29-37)の方法にしたがって、実施例1に記載した菌糸体試料から、総細胞RNAを抽出し、1%ホルムアルデヒド−aがロスゲルからブロッティング後に、ノーザンハイブリダイゼーションによりRNA試料を分析した(Davis et al., 1986, Basic Methods in Molecular Biology, Elsevier Science Publishing Co., Inc., New York)。メーカーの使用説明書にしたがって、mRNA分離器キット(Clontech Laboratories, Inc., Palo Alto, CA)を用いて、ポリアデニル化mRNA分画を総RNAから分離した。
【0137】
NotI-(dT)18プライマー(Pharmacia Biotech, Inc., Piscataway, NJ)を用いて一次鎖合成を開始した以外はGublerとHoffman(1983, Gene 25:263-269)の方法にしたがって約5 μgのポリ(A)+mRNAを用いて、二本鎖cDNAを合成した。cDNAをヤエナリヌクレアーゼ(Boehringer Mannheim Corporation, Indianapolis, IN)で処理し、末端をT4DNAポリメラーゼ(New England Biolabs, Beverly, MA)で盲端にした。
【0138】
cDNAをNotIで消化し、アガロースゲル電気泳動によりサイズ選択して(約0.7〜4.5 kb)、 NotI+EcoRVで切断しておいたpZErO-2.1(Invitrogen, Carlsbad, CA)と結紮し、仔ウシ腸アルカリ性ホスファターゼ(Boehringer Mannheim Corporation, Indianapolis, IN)で脱リン酸化した。連結混合物を用いて、コンピテント大腸菌TOP10細胞(Invitrogen, Carlsbad, CA)を形質転換した。50μg/mlの最終濃度でカナマイシンを含有した2YT寒天プレート上で形質転換体を選択した(Miller, 1992, A Short Course in Bacterial Genetics. A Laboratory Manual and Handbook for Escherichia coli and Related Bacteria, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York)。
【0139】
プラスミドクローニングベクターpZErO-2.1を用いて、2つの別々の方向のcDNAライブラリーを構築した。ライブラリーAは、4日目に収穫した菌糸体からのmRNAを用いて作製し、ライブラリーBは、6日目時点からのmRNAを用いて作製した。細胞中の遺伝子発現プロフィールの代表的「スナップショット」を検査するために、いずれのcDNAライブラリーも増幅させなかった。その代わりに、ライブラリーをプレート化し、滴定し、そして各々からの別々のクローンをDNAシーケンシングにより分析した。
【0140】
ライブラリーA(4日目細胞)は、約7.5x104個の別々のクローンから成り、ライブラリーB(6日目細胞)は、約1.2x105クローンから成っていた。各ライブラリー中の40のコロニーからMiniprep DNAを単離し、cDNA挿入物の存在およびサイズに関して検査した。この分析において、ライブラリーAからの40コロニーのうち39(97.5%)が挿入物を含有し、サイズは600 bp〜2200 bp(平均=1050 bp)の範囲であった。同様に、ライブラリーBからの40コロニーのうち39(97.5%)が挿入物を有し、サイズは800 bp〜3600 bp(平均=1380 bp)の範囲であった。
【0141】
実施例3鋳型調製およびヌクレオチドシーケンシング
実施例2に記載した各cDNAライブラリーから、1192個の形質転換体コロニーを、形質転換プレートから、200μlの2YTブロス(Miller, 1992、上記)を50μg/mlカナマイシンとともに含入する96ウエル微小滴定皿中に直接摘み入れた。プレートを振盪せずに37℃で一夜インキュベートした。インキュベーション後、100μlの滅菌50%グリセロールを各ウエルに付加した。
【0142】
形質転換体を、各ウエル中に1 mlあたり50μgのカナマイシンを補充した1 mlのMagnificentブロス(MacConnell Research, San Diego, CA)を含有する二次深皿96ウエル微小培養プレート(Advanced Genetic Technologies Corporation, Gaithersburg, MD)中で形質転換体を複製させた。一次微小滴定プレートを-80℃で保存した。二次深皿プレートを、回転振盪器上で激しく撹拌(300 rpm)しながら37℃で一夜インキュベートした。こぼれおよび交差汚染を防止するために、そして十分曝気させるために、各二次培養プレートをポリプロピレンパッド(Advanced Genetic Technologies Corporation, Gaithersburg, MD)およびプラスチック微小滴定皿カバーで被覆した。
【0143】
Advanced Genetic Technologies Corporation (Gaithersburg, MD)の96ウエルMiniprepキットプロトコールのUtterback等(1995, Genome Sci. Technol. 1:1-8)の変法を用いて各ウエルからDNAを単離した。染料ターミネーター化学(Giesecke et al, 1992,journal of Virology Methods 38:47-60)および逆lacシーケンシングプライマーを用いて、 Perkin-Elmer Applied Biosystemsモデル377XL自動DNAシーケンサー(Perkin-Elmer Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)を用いて、シングルパスDNAシーケンシングを実行した。
【0144】
実施例4DNA配列データの分析
ヌクレオチド配列データを品質に関して精査して、9.2以下の不適正間隔および3%を越える多義性レベルを示す試料を廃棄するかまたは再検査した。FACTURAソフトウェア(Perkin-Elmer Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)の助けを借りてベクター配列を切り取った。さらに、多義性塩基の数が増大したことが示された場合には、各試料の末端で配列を切頭化した。
【0145】
全配列を互いに比較して、TIGRアッセンブラーソフトウェア(Sutton, G.G. et al., 1995, Genome Science and Technology 1:9019)を用いて重複コンティグを構築して、各ライブラリー中に示された種々のcDNA種の多重性を確定した。最後に、閾値スコア70のBLOSUM 62マトリックスを用いたSmith-Waterman変法アルゴリズムによるGeneAssistソフトウェア(Perkin-Elmer Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)を用いて、すべての配列を3つのフレーム内で翻訳して、非冗長データベース(NRDB)に対して検索した。Genpept, Swiss-ProtおよびPIRデータベースからNRDBを収集した。
【0146】
実施例5グルコアミラーゼcDNAクローンの同定
メーカーの使用説明書、ならびに実施例4に記載したようなNRDBにおける配列との推定アミノ酸配列の比較にしたがって、Applied Biosystemsモデル377XL自動DNAシーケンサーを用いて、無作為cDNAクローンの部分シーケンシングにより、推定グルコアミラーゼクローンを同定した。分析した2000より多いcDNA配列から、ライブラリーAからの2つのクローンおよびライブラリーBからの9つのクローンが、他の真菌および酵母菌からのグルコアミラーゼタンパク質とのアミノ酸配列相同性を示した。
【0147】
この方法で見出されたいくつかのグルコアミラーゼcDNAクローンの間で、ノイロスポラ・クラサ(Neurospora crassa)(Geneseqタンパク質寄託番号R71034)およびフミコラ属のフミコラ・グリセア(Humicola grisea)(Trembl寄託番号Q12623)グルコアミラーゼアミノ酸配列とのそのアラインメントならびにシグナル−Pコンピュータープログラム(Nielsen, et al., 1997, Protein Engineering 10:1-6)を用いて検出された考え得るシグナルペプチドの存在に基づいて、1つが全長(完全タンパク質をコードする)であると見積もられた。プローブとして用いるためにプラスミドpFA0401を含有する大腸菌FA0401と呼ばれるこのクローンを選択して、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)からの対応するグルコアミラーゼゲノムDNAをクローン化した(実施例7参照)。
【0148】
実施例6フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)ゲノムDNAのライブラリーの構築
Berka等(1998, Appl. Environ. Microbiol. 64, 4423-4427)の手法により特定されるようなλZipLox中でゲノムライブラリーを構築した。要するに、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)全細胞DNAを部分的にTsp5091で消化して、1%アガロースゲル上でサイズ分別した。3〜7 kbの範囲のサイズで移動するDNA断片を切り取って、Prep-a-Gene試薬(BioRad, Hercules, CA)を用いてアガロースゲルから溶離した。
【0149】
溶離DNA断片をEcoRI−開裂化および脱リン酸化λZipLoxベクターアーム(Life Technologies, Gaithersburg, MD)と結紮し、市販のパッケージング抽出物(Stratagene, La Jolla, CA)を用いて結紮混合物を包装した。標準的方法(Davis, R.W., Botstein, D., and Roth, J.R., 1980, Advanced Bacterial Genetics, A Manual for Genetic Engineering, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY)を用いて、包装DNAライブラリーをプレート化し、大腸菌Y1090ZL細胞上で増幅させて、4℃で保存した。
【0150】
実施例7フサリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)のグルコアミラーゼをコードするゲノムDNAセグメントの分離、ヌクレオチド配列決定および特性決定
フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)ゲノムDNAライブラリー(実施例6)からの約50,000プラークを、高ストリンジェンシー(stringency)条件を用いて、pFA0401(実施例5)からのクローン化したcDNA挿入断片を含む放射能標識したプローブ断片を用いたハイブリダイゼーション(デイビス(Davis)ら、1980、前出)(すなわち、50%ホルムアミド、5xSSPE、0.3%SDS、200μg/mlの剪断し変性したサケ血清DNA中、45℃でのハイブリダイゼーション;45℃にて0.1%SDSを有する0.2xSSPEで1回、次いで同じ温度でSDSなしの0.2xSSPEで2回フィルターを洗浄)により、スクリーニングした。
【0151】
ハイブリダイゼーションシグナルを与えたプラークを、大腸菌(E. coli)Y1090ZL細胞で2回精製し、次に個々のクローンを、pZL1-誘導体(ダレッシオ(D'Alessio)ら、1992、Focus(商標)14: 76)としてλZipLoxベクターから切り取った。DNA配列分析により、これらのクローンのうちの1つ(pFAMGと呼ばれるプラスミドを含む)が、全部のグルコアミラーゼコード領域ならびに、プロモーターおよびターミネーター領域をそれぞれ含む3.9kbの5'-フランキングおよび0.3kbの3'-フランキングDNAを含むことが示された(図1参照)。
【0152】
pFAMG 中のクローン化した挿入断片のDNA配列決定を、アプライド バイオシステムズ モデル 377 XL自動DNAシーケンサー(Applied Biosystems Model 377 XL Automated DNA Sequencer)にて、色素-ターミネーター化学作用を用いて行った。連続する配列を、トランスポゾン挿入法を用いて生成させ(プライマー アイランド トランスポジション キット(Primer Island Transposition Kit)、パーキン-エルマー/アプライド バイオシステムズ社(Perkin-Elmer/Applied Biosystems, Inc.)、フォスター シティ(Foster City)、CA)、pFAMGからのグルコアミラーゼゲノムクローンを、平均重複性4.2に配列決定した。
【0153】
ゲノム配列データをグルコアミラーゼcDNA配列のコンティグと比較することによって、フサリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)のグルコアミラーゼをコードするゲノムDNAセグメントが、581個のアミノ酸のポリペプチドをコードする、51 bpのイントロンによって中断される1743 bpのオープンリーディングフレームを含むことが決定された。ヌクレオチド配列(配列番号:1)および推論されたアミノ酸配列(配列番号:4)が図1に示されている。SignalPプログラム(ニールセン(Nielsen)ら、1997、Protein Engineering 10: 1-6)を用いて、21残基のシグナルペプチドを予測し、グルコアミラーゼタンパク質のアミノ末端配列決定によって確認した(実施例8)。かくして、成熟グルコアミラーゼは、560個のアミノ酸からなる。
【0154】
菌類グルコアミラーゼタンパク質配列の相対的アライメントを、同一性テーブルおよび以下の多重アライメントパラメータ:ギャップ ペナルティ(Gap penalty)10およびギャップ長ペナルティ(gap length penalty) 10にて、LASERGENE(商標)MEGALIGN(商標)ソフトウェア(ドナスター社(DNASTAR Inc.)、マジソン(Madison)、WI)を用いた、クラスタール(Clustal)法(ヒギンス(Higgins)、1989、CABIOS 5: 151-153)を用いて行った。対での(pairwise)アライメントパラメータは、Ktuple=1、ギャップ ペナルティ(gap penalty)=3、ウィンドウズ(登録商標)(windows)=5およびダイアゴナルズ(diagonals)=5であった。
【0155】
アライメントは、フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)のグルコアミラーゼが、以下の菌類からのグルコアミラーゼとの同一性を分かつことを示した(括弧内はパーセント同一残基):ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)[Swissprot P14804](47%)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger) [Swissprot P04064](46%)、フミコラ・グリセア(Humicola grisea)[Trembl Q12623](44%)、ホルモコニス・レジナエ(Hormoconis resinae) [Swissprot Q03045](41%)、コルチシウム・ロルフシイ(Corticium rolfsii)[Q12596] (41%)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyses pombe) [Trembl Q60087](31%)およびリゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae) [Swissprot P07683](23%)。
【0156】
実施例8フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)グルコアミラーゼのアミノ末端配列分析
フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)の発酵ブイヨン(実施例1)の試料中のタンパク質を、8〜16%のトリス-グリシンSDS-PAGE(ノベックス(Novex)、サン ディエゴ(San Diego)、CA)により分離し、25ボルトにて2時間、pH=11.0で、10%メタノール中の10mMのCAPS(3-[シクロヘキシルアミノ]-1-プロパンスルホン酸)を用いて、PVDF膜(ノベックス(Novex)、サン ディエゴ(San Diego)、CA)上にエレクトロブロッティングを行った。PVDF膜を、40%メタノール/1%酢酸中の0.1%クマシー ブルー(Commassie Blue)R-250で20秒間染色し、50%エタノール中で脱色して、タンパク質のバンドを観察した。
【0157】
約65kDaにて移動する主要なポリペプチド片を削り取り、アプライド バイオシステムズ476Aタンパク質シーケンサー(Applied Biosystems 476A Protein Sequencer)(パーキン-エルマー/アプライド バイオシステムズ社((Perkin-Elmer/Applied Biosystems, Inc.)、フォスター シティ(Foster City)、CA)にて、オンラインHPLCおよび液相トリフルオロ酢酸(TFA)デリバリーを用いて、N-末端配列決定に供した。配列決定試薬は、パーキン-エルマー/アプライド バイオシステムズ ディビジョン(Perkin-Elmer/Applied Biosystems Division)(フォスター シティ(Foster City)、CA)から得た。
【0158】
フェニルチオヒダントイン-アミノ酸の検出は、オンラインHPLCによって、酢酸、酢酸ナトリウムおよびヘキサンスルホン酸ナトリウムを含む、18mlのプレミックス濃縮物(Premix concentrate)(パーキン-エルマー/アプライド バイオシステムズ ディビジョン(Perkin-Elmer/Applied Biosystems Division)、フォスター シティ(Foster City)、CA)を有する水中3.5%テトラヒドロフランを含む緩衝液Aおよびアセトニトリルを含む緩衝液Bを用いて行った。
【0159】
データを厚め、マッキントッシュ(登録商標)(Macintosh(登録商標))IIisにて、アプライド バイオシステムズ 610データ分析ソフトウェア(Applied Biosystems 610 Data Analysis Software)を用いて分析した。アミノ酸の同定は、クロマトグラムを光源に当てて目に見えるようにして行い、オペレーターが決定した。N-末端分析により、Ser-Pro-Ser-Lys-Asp-Asn-Ser-Leu-Glu-Arg-Phe-Ile-Asp-Lys-Gln-Ala-Asp-Ile-Ser(配列番号:4)のタンパク質配列を生じた。
【0160】
実施例9推定の液胞関連タンパク質および未知の分泌された遺伝子産物をコードする豊富なcDNAクローンの同定
2つの追加的cDNA種を、ライブラリーAおよびB(実施例2)に存在するクローンの中のそれらの相対的存在量に基づいて選択した。
クローンFA0035(pFA0035を含む)は、18個のアミノ酸からなる可能なシグナルペプチドを有する200個のアミノ酸からなる一次の翻訳生成物をコードしていて、これは、SignalPコンピュータ プログラム(ニールセン(Nielsen)ら、1997、前出)を用いて検出された。
【0161】
クローンFA0035は、ライブラリーAの約1.9%のcDNAクローンおよびライブラリーBの0.8%によって示された。クローンFA0035の推定されたアミノ酸配列を、実施例4で記載したNRDBにおける配列と比較すると、どの公知のタンパク質配列とも有意の相同性が示されなかった。したがって、それは、未知のオープンリーディングフレーム(ORF)として分類される。「ダリア(Daria)」という名称をこのクローンに勝手に割当てた。
【0162】
クローンFA0759(プラスミドpFA0759を含む)は、ニューロスポラ クラッサ(Neurospora crassa) (Trembl受入番号P87252)からの液胞関連タンパク質の推定のサブユニットに対して、72%のアミノ酸配列同一で、187個のアミノ酸からなるポリペプチドをコードした。この遺伝子産物は、シグナルペプチドがSignalPソフトウェアを用いて検出されなかったので、分泌されたタンパク質であるとは思われなかった。クローンFA0759は、ライブラリーAの2.0%のcDNAクローンおよびライブラリーBの1.5%によって示された。
【0163】
実施例10未知の遺伝子「ダリア」および推定の液胞関連タンパク質をコードするゲノムDNAセグメントのクローン化およびヌクレオチド配列分析
未知の分泌されたタンパク質「ダリア」および推定の液胞関連タンパク質をコードする、フサリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)ゲノムDNAセグメントが、実施例6および7で記載したλZipLoxライブラリーをスクリーニングすることによって分離された。プラスミドpFA0035およびpFA0759からの放射能標識したcDNA挿入断片をプローブとして使用して、ライブラリーをスクリーニングした。実施例7と同じ条件を用いていずれのプローブにも強くハイブリダイズするプラークを、大腸菌(E. coli)Y1090ZL細胞で2回精製し、次に個々のクローンを、pZL1-誘導体(ダレッシオ(D'Alessio)ら、1992、前出)としてλZipLoxベクターから切り取った。
【0164】
DNA配列分析は、これらのクローンのうちの1つ(pECO3と呼ばれるプラスミドを含む)が、全部の「ダリア」コード領域ならびに0.9kbの5'-フランキングおよび0.9kbの3'-フランキングDNA(それぞれ、プロモーター領域およびターミネーター領域を含む)を含むことを示した。ヌクレオチド配列(配列番号:2)および推定されるアミノ酸配列(配列番号:5)を図2に示す。コード領域を、単一55bpのイントロンによって中断した。
【0165】
同様に、ゲノムDNAクローンを、pFA0579のcDNA挿入断片から誘導された放射能標識されたプローブを用いて、λZipLoxライブラリーのスクリーニングによって分離した。pQUINNと呼ばれるゲノムクローンは、全部の液胞関連タンパク質サブユニットに加えて、3.0kbの5'-フランキングおよび0.3kbの3'-フランキングDNA(それぞれ、プロモーター領域およびターミネーター領域を含む)をコードした。ヌクレオチド配列(配列番号:3)および推定されるアミノ酸配列(配列番号:6)を図3に示す。ゲノムおよびcDNAクローン間のヌクレオチド配列比較は、推定の液胞関連タンパク質サブユニットの5'-未翻訳領域における594bpのイントロンの存在を示した。さらに、コード領域は、77bpのイントロンを含んでいた。
【0166】
実施例11pDM181の構築
1.2kbのフサリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンプロモーターを1.1kbのフサリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンターミネーターに融合させる、スプライス重複伸長(slice overlap extension)法を用いて、プラスミドpDM181を構築した。SwaI、KpnIおよびPacI制限部位を含むポリリンカーを、重複(overlapping)PCR法の一部として、プロモーターとターミネーターとの間に挿入した。プロモーターの5'末端にXhoI部位を加え、元のEcoRI部位を保存した。ターミネーターの3'末端にEcoRI、HindIIIおよびNsiI部位をPCR反応によって組み込んだ。
【0167】
フサリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンプロモーターの-1208〜-1に加えて、25個の塩基対ポリリンカーを含むPCR断片を、以下のプライマーを用いて、プラスミドpJRoy20(ロイヤー(Royer)ら、1995, Biotechnology 13:1479-1483)から生成させた:
【0168】
【化1】

【0169】
100μlのPCR反応物は、10ngのpJRoy20、50ピコモルの各プライマー、1x Pwo緩衝液(ベーリンガー マンハイム(Boehringer Mannheim)、インディアナポリス(Indianapolis)、IN)、200μMの、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPのそれぞれ、ならびに5単位のPwo DNAポリメラーゼ(ベーリンガー マンハイム(Boehringer Mannheim)、インディアナポリス(Indianapolis)、IN)を含んでいた。使用したPCR条件は、95℃で3分間、次いで95℃で30秒間、50℃で1分間および72℃で1分間を25サイクルであった。最終の伸長サイクルは、72℃で5分間であった。
【0170】
同じPCR条件を用いて、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンプロモーターの塩基対-5〜-1、25個の塩基対ポリリンカーおよび、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシン遺伝子の3'未翻訳領域の1060個の塩基対(ターミネーター領域)を含む第2のPCR断片を、以下のプライマーを用いて、プラスミドpJRoy20から生成させた:
【0171】
【化2】

【0172】
鋳型として、0.2μlの第1のPCR(プロモーター)反応物および3μlの第2の(ターミネーター)反応物ならびにプライマー1および4を用いて、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンプロモーターの-1208〜-1、25個の塩基対ポリリンカーおよびフサリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンターミネーターの1060個の塩基対を含んだ、最終の2.3kbの重複PCR断片が得られた。使用したPCR条件は、95℃で3分間、次いで95℃で30秒間、62℃で1分間および72℃で3分間を30サイクルであった。最終の伸長サイクルは、72℃で5分間であった。PwoDNAポリメラーゼがまた、この反応のために使用された。
【0173】
トリプシンプロモーター、ポリリンカーおよびトリプシンターミネーターを含む、得られた2.3kbの断片を、EcoRIで消化し、EcoRIで消化したベクターpMT1612(bar遺伝子(WO97/26330)を含む)に連結して、pDM181を作った(図4)。
【0174】
実施例12プラスミドpSheB1の構築
フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)発現ベクターpSheB1(図5)を、pDM181の修飾によって生成させた。修飾は、(a)pDM181配列内の2つのNcoI部位の除去および(b) フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンプロモーターの天然の翻訳開始の回復(ATG開始コドンでのNcoI部位の再構築)を含んでいた。
【0175】
pDM181配列内の2つのNcoI部位の除去は、QuikChange(商標)部位特異的変異誘発キット(ストラタジーン クローニング システムズ(Stratagene Cloning Systems)、ラ ジョラ(La Jolla)、CA)を用いて、以下の変異誘発プライマーの対を使用し、製造業者の使用説明書にしたがって行った:
5'-dCAGTGAATTGGCCTCGATGGCCGCGGCCGCGAATT-3'プラス(配列番号:11)
5'-dAATTCGCGGCCGCGGCCATCGAGGCCAATTCACTG-3'(配列番号:12)
5'-dCACGAAGGAAAGACGATGGCTTTCACGGTGTCTG-3'プラス(配列番号:13)
5'-dCAGACACCGTGAAAGCCATCGTCTTTCCTTCGTG-3'(配列番号:14)
【0176】
フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンプロモーターの天然の翻訳開始の回復をまた、以下の変異誘発プライマーの対と共に、ストラタジーンのQuikChange(商標)部位特異的変異誘発キットを用いて行った:
5'-dCTATCTCTTCACCATGGTACCTTAATTAAATACCTTGTTGGAAGCG-3'プラス(配列番号:15)
5'-dCGCTTCCAACAAGGTATTTAATTAAGGTACCATGGTGAAGAGATAG-3'(配列番号:16)
すべての部位特異的変化は、適当なベクター領域のDNA配列分析によって確認した。
【0177】
実施例13pDM194およびpDM218の構築
フサリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)におけるサーモミセス・ラヌジノサス(Thermomyces lanuginosus)(以前はフミコラ・ラヌジノサ(Humicola lanuginosa)と呼ばれた)リパーゼの発現を得るために使用した7.8kbのプラスミドpDM194(7.8kb)は、以下の遺伝子要素を有している:
【0178】
フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシン遺伝子プロモーター(ロイヤーら、1995前出)を含む、1.2kbのDNAセグメント。
サーモミセス・ラヌジノサス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼcDNA(EP305 216)を含む、0.9kbのDNA断片。
フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシン遺伝子ターミネーター(ロイヤーら、1995前出)を含む、1.1kbのDNAセグメント。
【0179】
2.8kbの大腸菌(E. coli)ベクターpUC19を含むpMT1612(WO98/11203)からの4.7kbのDNA断片ならびに、アスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)のamdS遺伝子プロモーター(ハイネス(Hynes)ら、1988、Mol. Cell. Biol. 8: 2589-2596)、ストレプトミセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)のホスフィノスリチン(phosphinothricin)アセチルトランスフェラーゼ(bar)遺伝子(トンプソン(Thompson)ら、1987、EMBO Journal 6: 2419-2514)およびアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のAMGターミネーターを含む1.8kbの断片。
【0180】
SwaI/PacIリパーゼ断片を、PCRにより生成させた。サーモミセス・ラヌジノサス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼ遺伝子(欧州特許EP305,216)のcDNAを含むプラスミドpMHan37を、鋳型として使用した。以下に示したPCRプライマー5および6を使用して、リパーゼコード領域の5'末端にSwaI部位および3'末端にPacI部位を導入した。
【0181】
【化3】

【0182】
100μlのPCR反応物は、10ngのpMHan37、50ピコモルの各プライマー、1x PCR緩衝液(パーキン-エルマー社(Perkin-Elmer Corp.)、ブランクブルグ(Branchburg), NJ)、250μMの、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPのそれぞれ、ならびに5単位のTaq DNAポリメラーゼ(パーキン-エルマー社(Perkin-Elmer Corp.)、ブランクブルグ(Branchburg), NJ)を含んでいた。使用したPCR条件は、95℃で5分間を1サイクル、次いで95℃で1分間、55℃で1分間、および72℃で2分間を30サイクルであった。
【0183】
0.9kbのPCR生成物を、製造業者の使用説明書にしたがって、TAクローニング キット(TA Cloning Kit)(インビトロゲン(Invitrogen)、カールスバッド(Carlsbad)、CA)のpCRIIへとサブクローン化した。キアゲン・マキシプレップ キット(Qiagen Maxiprep Kit)(キアゲン(Qiagen)、サンタ クラリタ(Santa Clarita)、CA)を用いて、プラスミドDNAを分離し、SwaIおよびPacIで消化し、100ボルトにて1時間、1%アガロースゲルで電気泳動した。0.9kbの断片を削り取り、スピンバインド キット(SpinBind Kit)(FMC、ロックランド(Rockland)、ME)を用いて精製し、pBANe6(WO98/11203)へとクローン化して、pBANe8を製造した。
【0184】
pBANe8をSwaIおよびPacIで消化し、0.9kbのリパーゼ断片を、SwaI/PacIで消化したpDM181に連結して、リパーゼ発現プラスミドpDM194を生じた(図6)。
pDM218を、pJRoy35(図7)から構築した。NotIおよびPmeI制限部位を、PCRによって、フサリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンプロモーターの5'末端に導入した。プロモーターの5'末端を含む、362bpのアンプリコン(amplicon)を、以下のプライマーを用いて、鋳型としてpDM194を使用して製造した。
マルチ1:5'-ATAAGAATGCGGCCGCTAGTTTAAACTTACAAACCTTCAACAGTG-3'(配列番号:19)
マルチ2:5'-TAGCATCTATCTCCGTCTT-3'(配列番号:20)
【0185】
100μlのPCR反応物は、150ngの3kbのEcoRI断片、50ピコモルの各プライマー、1x Pwo緩衝液、200μMの、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPのそれぞれ、ならびに5単位のPwo DNAポリメラーゼを含んでいた。使用したPCR条件は、95℃で3分間の1サイクル、次いで95℃で1分間、50℃で1分間、および72℃で1.5分間の30サイクル、次いで、72℃で5分間の伸長であった。アンプリコン(amplicon)を、ベクターpCR-Blunt(インビトロゲン(Invitrogen)、カールスバッド(Carlsbad)、CA)へとサブクローン化した。0.25kbのNotI/BcuI断片を、100ボルトにて1時間、1%アガロースゲルで電気泳動し、QIAクイック ゲル抽出キット(QIAquick Gel Extraction Kit)(キアゲン(Qiagen)、サンタ クラリタ(Santa Clarita)、CA)を用いて精製した。
【0186】
HpaI、SnaBIおよびPpuMI部位を、PCRによって、フサリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンターミネーターの3'末端に導入した。トリプシンターミネーターの3'末端を含む714bpのアンプリコンを、以下のプライマーを用いて、鋳型として3kbのEcoRI断片を使用して製造した。
マルチ3:5'-GTGTGCAGTGACCCAGAAT-3'(配列番号:21)
マルチ4:5'-GATTGGGTCCCTACGTAGTTAACACTATAGGCCATCGTTTAC-3'(配列番号:22)
【0187】
100μlのPCR反応物は、50ピコモルの各プライマー、150ngの3kbのEcoRI断片、1x Pwo緩衝液、200μMの、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPのそれぞれ、ならびに5単位のPwo DNAポリメラーゼを含んでいた。使用したPCR条件は、上記した条件と同じであった。アンプリコンを、ベクターpCR-Bluntへとサブクローン化した。0.62kbのNheI/PpuMI断片を、上記したようにして分離した。
【0188】
フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンプロモーターの3'末端、フミコラ・ラヌジノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼ遺伝子(Geneseqヌクレオチド受入番号N91076)およびフサリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンターミネーターの5'末端を含む、2.3kbのBcuI/NheI断片を、pDM194から分離した。
0.25kbのNotI/BcuI断片、2.3kbのBcuI/ NheI断片および0.62kbのNheI/PpuMI断片を共に、NotIで部分的に消化し、PpuMIで完全に消化したpDM194へとクローン化して、pDM218を作った(図8)。
【0189】
実施例14プラスミドpMWR60の構築
プラスミドpMWR60を、発現ベクターpEJG25Aから誘導した。pEJG25Aは、次のようにして、ペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)(WO98/28408)からのフィターゼ(phytase)コード配列をpDM181(実施例11)へ挿入することによって、構築した:
まず、以下に示した2つの合成オリゴヌクレオチドプライマーを、PCRによって、鋳型としてプラスミドpA1phy2(WO98/28408)からペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)のフィターゼコード配列を増幅するように設計した。
【0190】
前方(forward)プライマー:5'-ATTTAAATATGGTTTCTTCGGCATTCGC-3'(配列番号:23)
後方(reverse)プライマー:5'-TTAATTAACTATTCCGACGGAACAAAGC-3'(配列番号:24)
(下記は、コード配列を示す)
【0191】
各100μlのPwoポリメラーゼ反応物は、50ピコモルの各プライマー、1ngの鋳型DNA、2μlの10mM dNTP、1x Pwoポリメラーゼ緩衝液および2.5単位のPwoポリメラーゼを含んでいた。反応物を、以下のようにプログラムされた、パーキン エルマー モデル 9600 サーマル サイクラー(Perkin Elmer Model 9600 Thermal Cycler)でインキュベートした:94℃で2分間、55℃で30秒間および72℃で1分間の1サイクル;94℃で15秒間、55℃で30秒間および72℃で1分間の9サイクル;94℃で15秒間、55℃で30秒間および72℃で1分間の15サイクル(1サイクル当たり20秒の伸長);94℃で15秒間、55℃で30秒間および72℃で7分間の最終サイクルならびに、4℃での浸漬サイクル。
【0192】
反応生成物を、100ボルトにて1時間、1%アガロースゲルで電気泳動した。1.3kbのバンドを削り取り、Qiaex IIを用いて精製した。次に、精製したPCR生成物を、プラスミドpCR2.1(インビトロゲン(Invitrogen)、カールスバッド(Carlsbad)、CA)へとクローン化し、大腸菌(E. coli)TOP10細胞(インビトロゲン(Invitrogen)、カールスバッド(Carlsbad)、CA)を形質転換するために使用した。
【0193】
プラスミドDNAを、幾つかの形質転換体コロニーから分離し、DNA配列決定によって分析して、PCR中に変異が導入されなかったことを保証した。次に、1つのフィターゼクローンを、制限エンドヌクレアーゼSwaIおよびPacIで消化した。断片を100ボルトにて1時間、1%アガロースゲルで電気泳動し、削り取り、そして、Qiaex IIを用いて精製した。1.3kbのフィターゼ遺伝子断片を、SwaIおよびPacIで予め切断しておいたpDM181(実施例11)と連結し、発現プラスミドpEJG25A(実施例9)が得られた。
【0194】
5'−フランキングDNAにおいて外来のリンカー配列を除去するために、pEJG25Aを、以下のオリゴヌクレオチドプライマーと共に、クイック-チェインジ(Quick-Change)(商標)部位特異的変異誘発キットを用いて、変異誘発して、ベクターpMWR60-Int2を得た:
プライマーA:5'-CTCTTGGATATCTATCTCTTCACCATGGTTTCTTCGGCATTCGC-3'(配列番号:25)
プライマーB:5'-GCGAATGCCGAAGAAACCATGGTGAAGAGTAGATATCCAAGAG-3'(配列番号:26)
【0195】
設計したヌクレオチド変化を、DNA配列分析によって検証した。
次に、pMWR60-Int2を、SfuIおよびNheIで消化し、1.8kbの断片を100ボルトにて1時間、1%アガロースゲルで電気泳動し、削り取り、そして、Qiaex IIを用いて精製した。分離した断片を、pDM218のSfuI-NheIベクター断片と連結して、pMWR60-Int3と呼ばれる新しい中間体を生成させた。この中間体をNotIで開裂させ、5.35kbの断片を上記のようにして精製した。
【0196】
精製断片を、NotIで予め消化しておいたpSheB1(実施例12に記載した)と連結した。得られた中間体は、pMWR60-Int4aと呼ばれた。次に、pMWR60-Int4aを、BspLU11IおよびNheIで切断し、5.25kbのセグメントを上記のようにして精製した。この分離したセグメントを、またBspLU11IおよびNheIで消化しておいたpSheB1と連結し、上記のようにして精製した。得られたベクター生成物は、pMWR60(図10)と呼ばれた。
【0197】
実施例15リパーゼ・リポーター遺伝子の生成
LIPOLASE(商標)(ノボ ノルディスク(Novo Nordisk) A/S、Bagsaerd、デンマーク)として知られている、フミコラ ラヌジノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼの変異体の構築のために、カメレオン(Chameleon)二重鎖部位特異的変異誘発キットを、販売業者の使用説明書にしたがって使用した。
LIPOLASE(商標)酵素をコードする遺伝子を、pAHL(WO92/05249)から得た。製造業者の使用説明書にしたがって、プライマー7258の使用によって、pAHLのアンピシリン遺伝子のScaI部位をMluI部位に変え、かくして、アンピシリン抵抗性遺伝子に見出され、切断のために使用されたScaI部位をMluI部位に変えた。
【0198】
プライマー7258:5'-GAATGACTTGGTTGACGCGTCACCAGTCAC-3'(配列番号:27)
次に、LIPOLASE(商標)遺伝子を含むpAHLベクターを、オリゴ7258および7770を有するDNAポリメラーゼのための鋳型として使用し、かくしてアミノ酸配列部位は変えずに、LIPOLASE(商標)遺伝子に見出されたScaI部位を変えた。
プライマー7770:5'-TCTAGCCCAGAATACTGGATCAAATC-3'(配列番号:28)
【0199】
所望の変異を含む適当なオリゴの添加によって、所望の変異(例えば、システイン残基の導入)を、LIPOLASE(商標)遺伝子に導入した。
上記した部位特異的変異誘発を使用して、LIPOLASE(商標)変異体1S、E239C、Q249Rをコードする遺伝子を含むプラスミドを、以下のプライマーを用いて構築した:
【0200】
以下に示したプライマー106659を使用して、E99N,N101Sを導入した。
プライマー107581:5'-CTTAACTTTGACTTGAAAAACATATCTGACATTTGCTCC-3'(配列番号:29)
以下に示したプライマー101782を使用して、SPPCGRRP(-E)を導入した。
プライマー101782:5'-GGACGGCCTTGGCTAGCCCTCCGTGCGGCCGCCGGCCGGTCTCGCAGGATCTGTTTAAC-3'(配列番号:30)
以下に示したプライマー9639を使用して、E239Cを導入した。
プライマー9639:5'-ATATCGTGAAGATATGCGGCATTGATGCCACC-3'(配列番号:31)
【0201】
以下に示したプライマー8829を使用して、Q249Rを導入した。
プライマー8829:5'-GGCGGCAATAACCGGCCGAACATTCCGGATATCCC-3'(配列番号:32)
全部の遺伝子を配列決定することによって、変異を検証した。得られたプラスミドは、pEVill63と呼ばれた。
【0202】
実施例16pRaMB60の構築
pMWR60からの6.5kbのSfuI-NheIベクター断片を、pSheB1からの0.5kbのSfuI-NheI断片と連結することによって、プラスミドpRaMB60を構築した。すべての断片は、アガロースゲル電気泳動によって分離し、バイオラッド プレップ-ア-ジーン 試薬(BioRad Prep-a-Gene reagent)(バイオラッド ラボラロリーズ(BioRad Laboratories)、ヘルクレス(Hercules)、CA)を用いて、ゲル片から精製した。
【0203】
実施例17グルコアミラーゼプロモーターを含む発現ベクターである、プラスミドpRaMB62の構築
ユニークBspLU11I部位を、クイック-チェインジ(Quick-Change)(商標)変異誘発キットと組合せて、以下のプライマーを使用して、プラスミドpFAMGの部位特異的変異誘発によって、生成させた:
プライマー1:5'-dCACTGCTATCACCAACATGTTTACTCAAGTCC-3'(配列番号:33)
プライマー2:5'-dGGACTTGAGTAAACATGTTGGTGATAGCAGTG-3'(配列番号:34)
部位特異的変化は、DNA配列決定によって検証し、得られたプラスミド誘導体は、pMWR62-Int1と呼ばれた。
【0204】
次に、 実施例15で記載したリパーゼリポーター遺伝子を、PCRによって、プラスミドpEVi1163を鋳型として使用して、リパーゼコード領域の出発コドンの付近にBspHI部位および停止コドンの後にPacI部位を導入した以下のプライマーを用いて増幅した:
前方(forward)プライマー:5'-GACTCATGAGGAGCTCCCTTGTGCTGTTC-3'(配列番号:35)
後方(reverse)プライマー:5'-TGATTAATTAACCTAAAGACATGTCCCAATTAAC-3'(配列番号:36)
【0205】
PCR反応物は、1μlの鋳型DNA(10ng)、1μlの前方プライマー(77ピコモル)、1μlの後方プライマー(81ピコモル)、10μlの10x Pwoポリメラーゼ緩衝液、16μlの1.25mM dNTP混合物および、1μl(2.5単位)のPwoポリメラーゼからなっていた。反応物を、以下の温度設定を用いて、パーキン-エルマー モデル 480 サーモサイクラー(Perkin-Elmer Model 480 thermocycler)でインキュベートした:95℃で5分間の1サイクル;95℃で1分間、47℃で1分間および68℃で2分間の30サイクル;ならびに4℃での浸漬サイクル。
【0206】
次に、増幅した生成物をBspHIおよびPacIで消化し、アガロースゲル電気泳動(実施例16)で精製し、pRaMB60の5.8kbのPmeI-NcoI断片およびpMWR62-int1からの2.1kbのStuI-BspLU11I断片との3部分連結に使用した。pRaMB62(実施例11)と呼ばれる、得られたベクターは、フサリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)のグルコアミラーゼプロモーターの転写制御下でリパーゼリポーター遺伝子を含んでいた。
【0207】
実施例18「ダリア」プロモーターを含む発現ベクターである、プラスミドpRaMB64の構築
pECO3(実施例10)からのプロモーター領域(「ダリア」プロモーターという)を、PCRを用いて、以下のプライマー対(消化されて、プロモーターセグメントの5'および3'末端にそれぞれSwaIおよびBspLU11I部位を導入する)と共に増幅した:
プライマー1:5'-GCATTTAAATTACTACTGTGATGTG-3'(配列番号:37)
プライマー2:5'-GATTGATGTGAAACACATGTTGATG-3'(配列番号:38)
【0208】
PCR反応物は、1μlのpECO3(10ng)、1μlの前方プライマー(50ピコモル)、1μlの後方プライマー(50ピコモル)、10μlの10x Pwoポリメラーゼ緩衝液、16μlの1.25mM dNTP混合物および、1μl(2.5単位)のPwoポリメラーゼからなっていた。反応物を、以下の温度設定を用いて、パーキン-エルマー モデル 480 サーモサイクラー(Perkin-Elmer Model 480 thermocycler)でインキュベートした:95℃で5分間の1サイクル;95℃で1分間、47℃で1分間および68℃で2分間の30サイクル;ならびに4℃での浸漬サイクル。
0.9kbのPCR生成物を、100ボルトにて1時間、1%アガロースゲルで電気泳動し、削り取り、そして、Qiaex IIを用いて精製した。
【0209】
増幅したDNAセグメントをpCR2.1(インビトロゲン(Invitrogen)、カールスバッド(Carlsbad)、CA)へとサブクローン化し、SwaI、BspLU11I、EcoRIおよびXhoIを用いた制限酵素開裂によって分析して、それが間違いないことを検証した。このやり方で生成したプラスミド(pECO4という)を、SwaIおよびBspLU11Iで消化し、0.9kbのプロモーター断片を、実施例16に記載したようにしてゲル電気泳動により精製した。
【0210】
精製した断片を、pRaMB60の5.8kbのPmeI-NcoI断片および、リパーゼリポーター遺伝子をコードする0.9kbのBspHI-PacIセグメントとの3部分連結で混合した。この連結の生成物(pRaMB64(図12))は、リパーゼリポーター遺伝子の「ダリア」プロモーター特異的発現を含んでいた。
【0211】
実施例19液胞関連タンパク質遺伝子から誘導されたプロモーターを含む発現ベクターである、プラスミドpRaMB66の構築
推定の液胞関連タンパク質をコードする、pQUINN(実施例10)からのプロモーターセグメントを、PCRによって、以下のプライマー(プロモーターの5'および3'末端にそれぞれSmaI部位およびNcoI部位を導入した)を用いて増幅した:
プライマー1:5'-dCGACCCGGGAATTAGAGAGGTTAGG-3'(配列番号:39)
プライマー2:5'-dCGTATAACCCATGGTGGACTTGTCGGAC-3'(配列番号:40)
【0212】
PCR反応物は、1μlのpQUINN(10ng)、1μlの前方プライマー(50ピコモル)、1μlの後方プライマー(50ピコモル)、10μlの10x Pwoポリメラーゼ緩衝液、16μlの1.25mM dNTP混合物および、1μl(2.5単位)のPwoポリメラーゼからなっていた。反応物を、以下の温度設定を用いて、パーキン-エルマー モデル 480 サーモサイクラー(Perkin-Elmer Model 480 thermocycler)でインキュベートした:95℃で5分間の1サイクル;95℃で1分間、47℃で1分間および68℃で2分間の30サイクル;ならびに4℃での浸漬サイクル。
【0213】
3.1kbの増幅したDNA断片を、100ボルトにて1時間、1%アガロースゲルで電気泳動し、削り取り、そして、Qiaex IIを用いて精製した。
3.1kbの増幅したDNA断片を、pCR-Script(ストラタジーン (Stratagene)、ラ ジョラ(La Jolla)、CA)へサブクローン化して、中間体プラスミドpQUINN-プロモーーターAを生成した。2つの制限断片をこのプラスミドから分離した;2.4kbのSmaI-NdeI断片および0.7kbのNdeI-NcoI断片(共に、これらのセグメントは、全部のプロモーター領域にわたる)。分離した断片を、先の実施例で記載した、pRaMB60の8kbのPmeI-NcoI断片および、リパーゼリポーター遺伝子をコードする0.9kbのBspHI-PacIセグメントとの4部分連結で、合わせた。この連結の生成物(pRaMB66(図13))は、推定の液胞関連タンパク質遺伝子プロモーターの転写制御下で、リパーゼリポーター遺伝子を含んでいた。
【0214】
実施例20AMG、「ダリア」および液胞関連タンパク質プロモーターの制御下でのフサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)におけるリパーゼリポーター遺伝子の発現
2.5%グルコースおよび2.5mM硝酸ナトリウムを補った、1xボーゲルス(Vogels)培地プレート(2.5%ノーブル寒天(Noble agar))からの10個のプラグ(plug)を、RA胞子形成培地500mlを含むフラスコに接種し、28℃にて150rpmで2〜3日間インキュベートすることにより、フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)CC1-3(MLY-3)の胞子を生成させた。
【0215】
胞子を、ミラクロス(Miracloth)(カルビオケム(Calbiochem)、サン ディエゴ、CA)によって採取し、ソルバール(Sorvall)RC-5B遠心分離機(E.I.デュポン社(E.I. DuPont De Nemours and Co.)、ウィルミントン(Wilmington)、DE)にて、7000rpmで20分間遠心分離した。ペレットにした胞子を、滅菌蒸留水で2回洗浄し、少量の水に再懸濁させた後、血球計を用いて数えた。
【0216】
100mlのYEPG培地に4x107個のフサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)CC1-3の胞子を接種し、24℃および150rpmにて16時間インキュベートすることによって、プロトプラストを調製した。培養物をソーバール(Sorvall)RT 6000D(E.I.デュポン社(E.I. DuPont De Nemours and Co.)、ウィルミントン(Wilmington)、DE)にて、3500rpmで7分間遠心分離した。ペレットを30mlの1M MgSO4で2回洗浄し、1M MgSO4中の5mg/mlのNOVOZYME234(商標)(バッチPPM4356、ノボ ノルディスク(Novo Nordisk) A/S、Bagsaerd、デンマーク)15ml中に再懸濁させた。
【0217】
プロトプラストが形成されるまで、培養物を24℃および150rpmにてインキュベートした。35mlの体積の2Mソルビトールをプロトプラスト消化物に添加し、混合物を2500rpmにて10分間遠心分離した。ペレットを再懸濁させ、STCで2回洗浄し、2000rpmで10分間遠心分離して、プロトプラストをペレットにした。血球計でプロトプラストを数え、STC:SPTC:DMSOの8:2:0.1の溶液中に再懸濁させて、最終濃度1.25x 107プロトプラスト/mlにした。ナルゲン クリオ 1℃凍結容器(Nalgene Cryo 1℃ Freezing Container)(VWR サイエンティフィック(Scientific)社、サン フランシスコ、CA)中で一定速度の凍結の後、プロトプラストを−80℃で貯蔵した。
【0218】
フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)CC1-3の凍結プロトプラストを氷上で解凍した。5〜10μgのpRaMB62、pRaMB64およびpRaMB66(実施例17〜19に記載されている)および5μlのヘパリン(STC 1ml当たり5mg)を、別々の50mlの滅菌ポリプロピレン管に添加した。100μlのプロトプラストを各管に加え、穏やかに混合し、氷上で30分間インキュベートした。1mlのSPTCを添加し、室温で20分間インキュベートした。
【0219】
40℃のCOVEトップ アガロース25mlを添加した後、各管中の混合物を、空の150mm直径のプレート上に注ぎ、室温で1晩インキュベートした。約24時間後、さらに25mlの40℃のCOVEトップ アガロース(1ml当たり10mgのBASTA(商標)を含む)をプレートの上部に注ぎ、室温で14日間までの間インキュベートした。殺草剤BASTA(商標)中の活性成分は、ホスフィノスリチンである。BASTA(商標)は、アグレボ(AgrEvo)(ヘキスト スケアリング(Hoechst Schering)、ロドブレ(Rodovre)、デンマーク)から得、使用前に、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)で2回、クロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)で1回抽出した。
【0220】
形質転換体を、選択プレート(COVO- BASTA(商標)オーバーレイを有するCOVOアンダーレイ)から直接、1mMのCaCl2および100μg/mlのアンピシリンを補った(細菌汚染防止のため)25mlのM400Da培地を含む125mlの振とうフラスコへ取り、プラットフォーム シェーカー上で、28℃、200rpmにて7日間インキュベートした。形質転換していない受容株がまた、負の対照として含まれていた。
【0221】
フラスコを、7日にサンプリングした。細胞を遠心分離により除去し、各上清試料10μlを、等体積のトリス-グリシン試料緩衝液(ノベックス イクスペリメンタル テクノロジー(Novex Experimental Technology)、サン ディエゴ、CA)と共に、95℃で5分間加熱した。変性した上清タンパク質を、10〜20%トリス-グリシン濃度勾配ゲル(ノベックス イクスペリメンタル テクノロジー(Novex Experimental Technology)、サン ディエゴ、CA)で分離し、クマシー ブルー(Coomassie blue)で染色した。SDS-PAGE分析は、リパーゼ生成形質転換体は、約43kDaの明らかな分子量を有する顕著なポリペプチドを分泌することを示した。
【0222】
同様に、各形質転換体からの、細胞を含まない培養ブイヨンを、p-ニトロフェニルブチレートを基質として用いて、リパーゼ活性についてアッセイした(ロイヤーら、1995、前出)。
表1〜表3に示した結果は、活性リパーゼが発現され、pRaMB62、pRaMB64およびpRaMB66に存在するフサリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)プロモーター要素を用いて分泌されることを証明した。
【0223】
【表1】

【0224】
【表2】

【0225】
【表3】

【0226】
実施例21フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)アミログルコシダーゼおよびフサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンプロモーターの制御下でのフミコラ・ラヌジノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼリポーター遺伝子の比較発現
実施例20で記載したようにして製造された、pRamB64(実施例17)またはpDM218(実施例13)を含むフサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)CC1-3形質転換体を、29℃、1200rpm、pH6.25にて180時間、適当な炭素源、窒素源および痕跡量の金属源を含み、飼料として尿素またはリン酸アンモニウムを補足した2リットルの発酵槽中で培養した。各発酵からの細胞を含まない培養ブイヨンを、18〜24時間間隔で、基質としてp-ニトロフェニルブチレートを用いて(ロイヤーら、1995、前出)、180時間、リパーゼ活性についてアッセイした。
【0227】
図14は、フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)アミログルコシダーゼ(pAMG)プロモーターまたはフサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシン(pSP387)プロモーターの制御下でのフサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)におけるフミコラ・ラヌジノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼリポーター遺伝子の比較発現を示す。結果は、尿素またはリン酸アンモニウムのいずれが飼料の窒素源として使用されようとも、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシンプロモーターより高いレベルの、フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)アミログルコシダーゼプロモーターについてのリパーゼ活性を証明した。さらに、飼料においてリン酸アンモニウムを使用すると、より高いレベルのリパーゼ活性が観察された。
【0228】
生物材料の寄託
以下の生物材料は、ブダペスト条約の約定下で、アグリカルチュラル リサーチ サービス パテント カルチャー コレクション(Agricultural Research Service Patent Culture Collection)、ノーザン リージョナル リサーチ センター(Northern Regional Research Center)、1815 ユニバーシティ ストリート(University Street)、ペオリア(Peoria)、イリノイ州(Illinois)、61604に寄託され、以下の受け入れ番号を与えられた:
【0229】
【表4】

【0230】
37 C.F.R. 1.14および35 U.S.C. 122 の下で、特許および商標の長官によって決定される、権利を与えられべきものに対して本願が未決定の間、培養の残液(culture swill)が入手可能であることを保証する条件下で、株を寄託した。寄託物は、寄託した株の実質的に純粋な培養物を示す。寄託物は、本願の副本またはその後継が出願される国における外国の特許法によって要求されるときに入手可能である。しかしながら、寄託物の入手可能性は、政治行動によって付与される特許権を逸脱して本発明を実施する承諾を与えないことを理解すべきである。
【0231】
本明細書に記載され、特許請求された本発明は、ここで開示された特定の実施態様にその範囲を制限されるべきものではない。というのは、これらの実施態様は、本発明の幾つかの態様を説明するものと意図されるからである。任意の等価の実施態様が、本発明の範囲内にあると意図される。実際に、ここで示し、記載したものの他に、本発明の種々の変更が、先の記載から当業者には明らかとなろう。そのような変更がまた、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。争議の場合には、定義を含む本発明の開示が支配するであろう。
本明細書において種々の参考文献を引用したが、その開示は、その全部が参照することによって本明細書に組入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチドを製造する方法であって、
(a)菌類宿主細胞を、ポリペプチドの製造を助ける培地中で培養しここで、該菌類宿主細胞は、第1の核酸配列に対して外来のプロモーターを含む第2の核酸配列に機能しうる形で連結された、ポリペプチドをコードする第1の核酸配列を含み、かつ、前記プロモーターは、配列番号:1のヌクレオチド1〜3949、配列番号:2のヌクレオチド1〜938および配列番号:3のヌクレオチド1〜3060並びにそのサブ配列;並びに、その変異体、ハイブリッドおよび縦列プロモーターからなる群より選択される配列を含み;そして
(b)培養培地からポリペプチドを分離する;
ことを含んで成る。
【請求項2】
前記プロモーターが、配列番号:1のヌクレオチド1〜3949の核酸配列もしくはその変異体、ハイブリッドまたは縦列プロモーターを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記プロモーターが、配列番号:1のヌクレオチド1〜3949の核酸配列を含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記プロモーターが、大腸菌(E. coli) NRRL B-30067に含有されるプラスミドpECO3に含まれる核酸配列を含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記プロモーターが、配列番号:2のヌクレオチド1〜938の核酸配列またはその変異体、ハイブリッドもしくは縦列プロモーターを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記プロモーターが、配列番号:2のヌクレオチド1〜938の核酸配列を含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記プロモーターが、大腸菌(E. coli) NRRL B-30071に含有されるプラスミドpFAMGに含まれる核酸配列を含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記プロモーターが、配列番号:3のヌクレオチド1〜3060の核酸配列、そのサブ配列;またはその変異体、ハイブリッドもしくは縦列プロモーターを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記プロモーターが、配列番号:3のヌクレオチド1〜3060の核酸配列を含む請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記プロモーターが、大腸菌(E. coli) NRRL B-30075に含有されるプラスミドpQUINNに含まれる核酸配列を含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
変異体プロモーターが、配列番号:1のヌクレオチド1〜3949、配列番号:2のヌクレオチド1〜938および配列番号:3のヌクレオチド1〜3060からなる群より選択されるプロモーターの1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失および/または挿入を含み、変異体プロモーターは、対応するプロモーターとほぼ同じプロモーター活性を有する請求項1、2、5および8のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ハイブリッドプロモーターが、2つ以上のプロモーターの部分からなる請求項1、2、5および8のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記ハイブリッドプロモーターが、配列番号:1のヌクレオチド1〜3949、配列番号:2のヌクレオチド1〜938および配列番号:3のヌクレオチド1〜3060からなる群より選択される、1つ以上の部分を含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ハイブリッドプロモーターが、別のプロモーターの部分をさらに含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記縦列プロモーターが、2つ以上のプロモーターからなる請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記縦列プロモーターが、配列番号:1のヌクレオチド1〜3949、配列番号:2のヌクレオチド1〜938および配列番号:3のヌクレオチド1〜3060からなる群より選択される2つ以上のプロモーターを含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記縦列プロモーターが、別のプロモーターをさらに含む請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記縦列プロモーターの2つ以上のプロモーターが、核酸配列の転写を同時に促進する請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記縦列プロモーターの2つ以上のプロモーターのうちの1つ以上が、菌類宿主細胞の増殖の異なる段階で、核酸配列の転写を促進する請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記菌類宿主細胞が、核酸配列の1つ以上の複製を含む請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記菌類宿主細胞が、核酸配列の1つの複製を含む請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記核酸配列が、菌類宿主細胞と非相同のポリペプチドをコードする請求項1〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記ポリペプチドが、ホルモンもしくはホルモン変異体、酵素、リセプターもしくはその一部分、抗体もしくはその一部分、またはリポーターである請求項1〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記酵素が、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼまたはリガーゼである請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記酵素が、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリン グリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼまたはキシラナーゼである請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記核酸配列が、菌類宿主細胞の染色体に含まれる請求項1〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記核酸配列が、染色体外要素に含まれる請求項1〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記菌類宿主細胞が、糸状菌または酵母細胞である請求項1〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記糸状菌細胞が、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、フサリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、ムコール(Mucor)、ミセリオフソラ(Myceliophthora)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、シエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)またはトリコデルマ(Trichoderma)の細胞である請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記酵母細胞が、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hansenula)、クリュイベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)またはヤロウィア(Yarrowia)の細胞である請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記糸状菌宿主細胞が、アスペルギルス(Aspergillus)の細胞である請求項28記載の方法。
【請求項32】
前記糸状菌宿主細胞が、フサリウム(Fusarium)の細胞である請求項28記載の方法。
【請求項33】
配列番号:1のヌクレオチド1〜3949、配列番号:2のヌクレオチド1〜938および配列番号:3のヌクレオチド1〜3060およびそのサブ配列;ならびに、その変異体、ハイブリッドおよび縦列プロモーターからなる群より選択される核酸配列を含む分離されたプロモーター配列。
【請求項34】
配列番号:1のヌクレオチド1〜3949の核酸配列もしくはそのサブ配列;または、その変異体、ハイブリッドもしくは縦列プロモーターを含む請求項33記載の分離されたプロモーター配列。
【請求項35】
配列番号:1のヌクレオチド1〜3949の核酸配列を含む請求項34記載の分離されたプロモーター配列。
【請求項36】
大腸菌(E. coli) NRRL B-30067に含まれるプラスミドpECO3に含有される核酸配列を含む請求項35記載の分離されたプロモーター配列。
【請求項37】
配列番号:2のヌクレオチド1〜938の核酸配列もしくはそのサブ配列;または、その変異体、ハイブリッドもしくは縦列プロモーターを含む請求項33記載の分離されたプロモーター配列。
【請求項38】
配列番号:2のヌクレオチド1〜938の核酸配列を含む請求項37記載の分離されたプロモーター配列。
【請求項39】
大腸菌(E. coli) NRRL B-30071に含まれるプラスミドpFAMGに含有される核酸配列を含む請求項38記載の分離されたプロモーター配列。
【請求項40】
配列番号:3のヌクレオチド1〜3060の核酸配列もしくはそのサブ配列;または、その変異体、ハイブリッドもしくは縦列プロモーターを含む請求項33記載の分離されたプロモーター配列。
【請求項41】
配列番号:3のヌクレオチド1〜3060の核酸配列を含む請求項40記載の分離されたプロモーター配列。
【請求項42】
大腸菌(E. coli) NRRL B-30075に含まれるプラスミドpQUINNに含有される核酸配列を含む請求項41記載の分離されたプロモーター配列。
【請求項43】
配列番号:1のヌクレオチド1〜3949、配列番号:2のヌクレオチド1〜938または配列番号:3のヌクレオチド1〜3060の配列の、少なくとも20%のプロモーター活性を有する請求項33〜42のいずれか1項記載の分離されたプロモーター配列。
【請求項44】
請求項33〜43のいずれか1項記載のプロモーター配列と同じプロモーター活性を有する分離されたプロモーター配列。
【請求項45】
配列番号:1のヌクレオチド1〜3949、配列番号:2のヌクレオチド1〜938もしくは配列番号:3のヌクレオチド1〜3060の配列またはそのサブ配列中に少なくとも1つの変異を有する核酸配列を含み;変異体プロモーターはプロモーター活性を有する、分離されたプロモーター配列。
【請求項46】
請求項33〜45のいずれか1項記載のプロモーターに機能しうる形で連結された、ポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸構築物。
【請求項47】
請求項46記載の核酸構築物を含む組換え発現ベクター。
【請求項48】
請求項46記載の核酸構築物を含む組換え宿主細胞。
【請求項49】
ポリペプチドを製造する方法であって、(a)請求項33〜45のいずれか1項記載のプロモーターを含む新しい転写単位、エキソンおよび/または、ポリペプチドをコードする内在性核酸配列の第2のエキソンに機能しうる形で連結されたスプライスドナー部位がそこに組み込まれている相同的組換え細胞を、ポリペプチドの製造を助ける条件下で培養すること、ならびに(b)ポリペプチドを回収することを含む方法。
【請求項50】
変異体プロモーターを得るための方法であって、
(a)低いストリンジェンシー条件下でDNAを、(i)配列番号:1、配列番号:2もしくは配列番号:3、(ii) 配列番号:1、配列番号:2もしくは配列番号:3に含まれるcDNA配列、(iii)(i) もしくは(ii)のサブ配列、または(iv)(i)、(ii)もしくは(iii)の相補鎖を含む核酸配列を用いてハイブリダイズすること;ならびに
(b)DNAからの変異体プロモーターを分離すること
を含む方法。
【請求項51】
変異体プロモーターを得るための方法であって、(a) 配列番号:1のヌクレオチド1〜3949、配列番号:2のヌクレオチド1〜938または配列番号:3のヌクレオチド1〜3060のプロモーターへ、少なくとも1つの変異を導入し、変異体プロモーターはプロモーター活性を有すること;および(b)変異体プロモーターを分離することを含む方法。
【請求項52】
(a) 配列番号:4のアミノ酸22〜581、配列番号:5のアミノ酸19〜200または配列番号:6のアミノ酸1〜187と少なくとも65%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列;
(b) 配列番号:1のヌクレオチド4013〜5746、配列番号:2のヌクレオチド993〜1593または配列番号:3のヌクレオチド3061〜3678と少なくとも65%の相同性を有する核酸配列;
(c)非常に低い、低い、中間の、中より高い、高いまたは非常に高いストリンジェンシー条件下で、(i) 配列番号:1のヌクレオチド4013〜5746、配列番号:2のヌクレオチド993〜1593もしくは配列番号:3のヌクレオチド3061〜3678;(ii) 配列番号:1のヌクレオチド4013〜5746、配列番号:2のヌクレオチド993〜1593もしくは配列番号:3のヌクレオチド3061〜3678に含まれるcDNA配列、(iii)少なくとも100のヌクレオチドからなる、(i)もしくは(ii)のサブ配列、または(iv) (i)、(ii)もしくは(iii)の相補鎖を用いてハイブリダイズする核酸配列;
(d) 1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を含む、配列番号:4、配列番号:5または配列番号:6のアミノ酸配列を含むポリペプチドの変異体をコードする核酸配列;
(e)(a)、(b)または(c)の対立遺伝子変異体;ならびに
(f) (a)、(b)、(c)または(e)のサブ配列
からなる群より選択される、分離された核酸配列。
【請求項53】
適当な発現宿主中でポリペプチドの製造を命令する、1つ以上の制御配列に機能しうるように連結された、請求項52記載の核酸配列を含む核酸構築物。
【請求項54】
請求項53記載の核酸構築物、プロモーターならびに、転写および翻訳停止シグナルを含む組換え発現ベクター。
【請求項55】
請求項53記載の核酸構築物を含む組換え宿主細胞。
【請求項56】
請求項52記載の核酸配列によってコードされるポリペプチド。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−227108(P2010−227108A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−109995(P2010−109995)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【分割の表示】特願2000−606759(P2000−606759)の分割
【原出願日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(500175602)ノボザイムス,インコーポレイティド (26)
【Fターム(参考)】