説明

萎み可能な容器を備えた液圧式の胃バンド

本発明に係るストーマの寸法を調節するための自動制御式の胃バンド装置は、注入された流体で膨張する内側リングを有する可調節胃バンドを備えている。埋め込むための胃バンド装置には、内側リング内の流体の圧力を検出するためのセンサを有する胃バンドが設けられている。胃バンド装置は、膨張可能な内側リングに接続されたポンプアセンブリを備えている。ポンプアセンブリは、検出された流体圧力に基づいて、胃バンド内の流体の体積を調節するためのポンプアセンブリを操作する制御器に接続されている。胃バンド装置は、目標流体圧力に対する操作範囲を格納するメモリを備えている。ポンプアセンブリは、検出されるバンド圧力をこの操作範囲内に維持するよう操作される。目標圧力は、圧力変動を予め設定された変動の許容限度内に維持するように設定される。変動の許容限度は、特定の患者及び埋め込まれた胃バンドからの要求を満たす注入体積に対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、西暦2007年5月25日に出願された米国特許出願第11/754091号に係る優先権を主張するものであり、該特許出願の全内容が参照により本願に組み入れられている。
【0002】
本発明は、一般的には肥満を制御する(control)ための装置及び方法に関するものであり、とくに胃バンド(gastric band)、胃バンドアセンブリ(gastric band assembly)又は胃バンドシステム(gastric band system)と、これらの装置に対応する方法とに関するものである。これらの装置又は方法は、患者のストーマないしは小孔(stoma)の寸法の継続的な調節を行うことができるように、胃バンドの寸法すなわちその内直径を自動管理又は自動調節することができるようになっている。
【背景技術】
【0003】
重度の肥満は、急速に広まっている慢性的な健康障害であり、医師にとっては、食事療法及び運動だけでは患者を治療することが困難なものである。重度の肥満状態であり従来の手段では体重を減らすことができない人々、又は深刻な肥満に関する健康問題に苦しんでいる人々を治療するために、医師による消化管手術(gastrointestinal surgery)が用いられている。一般に、消化管手術は、食物の摂取を制限することにより体重の減少を促進し、とくに制限手術(restrictive operation)は、胃の上部から広い下部への途中に狭い通路又は「ストーマ」を形成することにより、食物の摂取を制限するためのものである。これは、胃が保持することができる食物の量を減少させて、胃内を通過する食物の流れを緩慢にする。ストーマは、初期においては固定された寸法のものであったが、近年、医師は、ストーマを調節してその寸法を変えることができれば、治療がより効果的であると判断するに至った。
【0004】
肥満に対するこれらの純然たる制限手術において一般的に用いられる手法の1つは、可調節胃バンディング術(AGB:adjustable gastric banding)である。典型的なAGBの手法では、シリコーンエラストマ(silicone elastomer)で形成された中空バンド(hollow band)すなわち胃バンドを、胃の上端部近傍で胃のまわりに配置して、小さい胃嚢部(small pouch)を形成するとともに、胃の残部への狭い通路すなわちストーマを形成する。この後、芯のない針(non-coring needle)及び注射器を用い、これらを皮膚下に配置された小さなポートないしは接続部(port)に接続する(access)ことにより、食塩水で中空バンドを膨張させる。ストーマの寸法を調節するために、医師又はその他の技師(technician)は、患者の体外からアクセスポートを経由して中空バンド内の食塩水の量を増加させ又は減少させて胃内の通路又はストーマの寸法を変えることにより、治療期間中はいつでも胃バンドを締め付け又は緩めることができる。
【0005】
ストーマの寸法の初期設定を行った後に胃バンドを適切に調節することは、可調節胃バンディング術を実施する上における大きな改善であるということが判明している。しかしながら、さらなる胃バンドの調節をいつ行うべきかを決定し、さらに望ましいストーマの寸法を実現するために胃バンドの寸法又は直径をどれだけ拡大又は縮小すべきかを決定することは依然として困難な問題である。医師又はその他の技師が体内に埋め込まれた胃バンドを調節することを可能にする、多数の胃バンドが開発されてきた。一般に、この種の胃バンドシステムは、患者に関するパラメータ(parameters)あるいは患者に対応するパラメータを測定又は決定するためのセンサを備えている。これらの患者のパラメータに基づいて、医師又はその他の技師は、胃バンド内の流体の体積を調節する。例えば、ある1つの可調節胃バンドでは、患者の胃内の圧力を測定し、この圧力が予め設定された限界値を超えたときに、外部の調節装置に警告を行うようにしている。この場合、医師又はその他の技師は、外部のアクセスポート及び供給配管(fill line)を経由して胃バンドから所定の量の流体を排出して胃バンドを緩めることにより、このような状況に対処する。また、他の1つの胃バンドシステムでは、胃バンドの寸法を調節するための部品を患者の体内に埋め込み、患者に関する身体的なパラメータ、例えば患者の身体的な状態(physical position)又は胃内圧を測定し、患者の体外の外部調節ユニットを操作して体内に埋め込まれた部品に電力を供給し、例えば胃バンドに対して予め設定された体積の流体を供給し又は排出することにより、胃バンドの寸法を調節するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5226429号明細書
【特許文献2】米国特許第5601604号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、可調節胃バンドは優れた調節を行うことはできるものの、既存の胃バンドは、患者の必要性(needs)に常に合致しているとは言えない。一面では、既存の可調節胃バンドの欠点は、外部の調節ユニットを経由して、胃バンド及びこれにより形成されるストーマの寸法を調節するために、医師又はその他の技師によって治療される患者のための必要性(need)に起因する。さらなる欠点は、患者に関するパラメータの検出、及び、この検出結果のストーマの所望の寸法に対する関連づけにおける信頼性又は精度の低さに起因する。さらに、別の既存の胃バンドでは、胃内圧を測定するために、センサを患者に挿入すること、例えば胃の内部又は胃の外面に挿入することが必要である。既存の技術では、このような種々の制約に起因して、肥満を治療している患者のストーマの寸法の調節を改良するために、胃バンドシステムと、これに関連する調節方法とを改良する必要性が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題及びその他の課題を解決するためになされた本発明は、基本的には定期的(periodical)又は継続的(ongoing)な態様でストーマの寸法を自動的に調節することができる、肥満の患者に埋め込むための自動制御式(self-regulating)の胃バンドシステムを提供する。このシステムは、一部の実施態様では「自動制御式(self-regulating)」である。なぜなら、このシステムは、埋め込まれた膨張可能な胃バンドの特性値(property)又はパラメータ(parameter)を検出するためのセンサを有するとともに、検出された胃バンドの特性値に応じて膨張可能な胃バンドの寸法を調節するバンド調節アセンブリ又はバンド調節システムを備えているからである。例えば、医師又は臨床医は、埋め込みの前に、又は体外の制御装置を経由した後で、システムのメモリ内に特性値の操作範囲(operating range)を設定することができる。センサは、定期的な態様、継続的な態様又は起動されるたびに、胃バンドの特性値(例えば、胃バンドの膨張可能な内側リング又はその他の部品内の流体圧力など)を検出するように動作する。センサ又は制御器は、検出された胃バンドの特性値に基づいて、胃バンドが望ましい範囲内にあるかどうかを決定する。そして、これが望ましい範囲内にない場合、制御器は、例えば流体容器と膨張可能な内側リングの間で流体を移動させるポンプアセンブリを操作することなどにより、胃バンド又は検出された特性値が操作範囲内に戻るように、胃バンドの寸法を調節する。自動制御式の胃バンドシステムはまた、典型的には、胃バンドとともに埋め込まれた(implanted)システム部品を収容する(enclose)ためのハウジング(housing)と、ポンプ、センサ及び制御器(controller)などの種々のシステム部品に動力又は電力を供給するために体内に埋め込まれた局所的な動力源ないしは電源(local power source)も備えている。このように、本発明の実施態様に係る胃バンドシステムは、肥満に対する「設定して忘れる(set-it and forget-it)」胃バンディング治療を行うものであるといえる。
【0009】
より詳しくは、可調節胃バンドアセンブリ(gastric band adjustment assembly)は、胃バンドを埋め込みつつ、患者の体内に配置するために設けられる。アセンブリは、圧力データを採取し(taking pressure readings)、又は胃バンドの膨張可能な部分の内腔内における流体の圧力を検出するために用いられるセンサを備えている。内腔にはポンプアセンブリ(pump assembly)が接続されている。そして、圧力データと胃バンドに対して設定された目標圧力(例えば、アセンブリのメモリ内に格納された胃バンドのための望ましい圧力)とに基づいて、内腔内における流体の体積を調節するようにポンプアセンブリを操作する制御器が設けられている。さらに、アセンブリは、圧力データを処理して目標圧力の設定を行う圧力調節モジュール(例えば、制御器によって実行されるソフトウェア/ハードウェアアプリケーション)を備えている。この処理は、流体の体積に対する第1及び第2の値又はデータ範囲で(すなわち、第1及び第2の注入レベル又は増分で)圧力の変動(variations)/標準偏差を決定する過程と、この後で第1及び第2の値又は体積の1つに対応する目標圧力を設定する過程とを有している。これに対して、圧力の変動(variations)は低くなるように設定され、場合によっては、胃バンドのために予め設定された最大の圧力変動値又は圧力変動限界より低くなるように決定される。例えば、圧力変動の限度は好ましくは約0.5psiより低い値であり、より好ましくは0.3psiより低い値である、さらに好ましくは約0.1psiより低い値である。そして、注入体積は、目標圧力に対応する値に設定してもよい。さらに、調節モジュールは、胃バンドが注入体積まで注入された後に圧力データを監視し、圧力変動が圧力変動限度を超えたときに目標圧力を調節して、変化する治療条件(changing treatment conditions)に自動的に適合するように操作してもよい。体外の制御装置は、制御器と無線通信を行って、目標圧力及び/又は注入体積を修正する(modify)とともに、圧力データを取り出す(retrieve)ために用いてもよい。これは、体外の制御装置のモニタ上にグラフィックの形態で表示し、胃バンドの調節操作時に、医師にフィードバック(feedback)を行うようにしてもよい。
【0010】
本発明のもう1つの態様によれば、本発明は、胃バンドの膨張可能な部分(expandable portion)における流体の体積を調節するための方法を提供する。この方法によれば、胃バンドは、患者の体内に、膨張可能な内側リング(inner ring)が患者の胃及び/又は食道と係合して(engage)ストーマを形成するように埋め込まれ又は配置される。この方法はまた、膨張可能な内側リング内の流体の圧力データを採取するための、胃バンドに操作的に接続されたセンサを設ける過程を有している。内側リング内に第1の体積の流体が注入され、センサは、所定の期間動作させられ、圧力データの最初の集合が採取される。この後、圧力調節モジュールが、圧力データの第1の集合を処理して圧力変動の第1の集合を決定する(例えば、標準偏差、最大圧力と最小圧力の差など)。この方法は、内側リング内に、所定の追加量の流体の注入を継続し、胃バンド内の流体を第2の体積にする。この後、センサは、圧力データの第2の集合を収集するよう動作し、圧力調節モジュールは、これらの圧力データを処理して圧力変動の第2の集合を決定する。この方法は、圧力変動の第1及び第2の集合と圧力変動限界(pressure variation limit)の比較を継続する。この後、胃バンドのための注入体積が設定される。この注入体積は、どちらが圧力変動限界より小さい圧力変動を有するかに依存して第1又は第2の体積と同一の値であるか又は最も近い(proximate)値である。両方の体積が圧力変動限界よりも小さい圧力変動を有する場合、この方法は内側リング内に追加量の流体を増加させて注入する。この後、圧力変動限界を超えるまで、センサを動作させる過程と、圧力変動を決定する過程と、圧力変動限界と比較する過程と、注入体積(fill volume)を設定する過程とを繰り返す。この方法は、注入配管(fill line)により内側リングに接続されたアクセスポート(access port)に又はその近傍に設けられた圧力センサを用いて、体外の制御器により実行してもよく、体内の胃バンド調節システムにより実行してもよい。
【0011】
本発明のさらにもう1つの態様によれば、本発明は、胃バンドの直径又は周囲長(perimeter)を調節するとともに、流体、気体、ゲル又は固体(solid)が注入又は充填され、かつ胃バンドの内面を覆う(lines)シェル(shell)の内部の圧力を監視するための方法を提供する。機械的な手段又はその他の手段でもって胃バンドの直径又は周囲長を変えることにより、流体が注入されたシェルの内部の圧力の変化を実現することができる。前記のとおり、胃バンドの直径を監視及び解析してこの直径を調節し、胃バンドの寸法を変動の最大集合限界(maximum set limit of variation)より低く設定する(例えば、周囲長又は直径寸法を設定する)ので、圧力変動を常時監視することができる。その他の実施態様に係る制御器、圧力調節モジュール、外部の制御器ないしは監視装置及びその他の特徴は、この態様に係る本発明に対しても、場合によっては用いることができる。
【0012】
本発明のさらにもう1つの態様によれば、本発明に係る前記データを解析するための方法は、液圧が調節される胃バンドとともに用いられる手動式のアクセスポートに応用することができる。このような実施態様においては、監視時に、アクセスポート内又はシステムの流体経路内に圧力センサが配置され(センサは、注射器又は注射器補助具(syringe adaptor)内に配置することができる)、この圧力センサは、外部の携帯型の(又はデスクトップ型もしくはこれと同種の)制御器から遠隔操作によりデータを問い合わせる(query)のに用いられる。胃バンドは、手動式の針及び注射器を用いて調節される(自動式の内部の調節システムによる調節とともに、又はこれに代えて)。ここで、圧力データは、流体の注入体積が増加しているときに収集される場合もある。体外の又は「遠隔式」の制御器は、圧力変動のためのデータを解析する1つ又は複数の処理モジュールを備えている。該処理モジュールは、データ解析に基づいて、流体の最適な注入体積の調節を行っている医師に提示する(例えば、検出された圧力、決定された圧力変動、及び/又は、検出された圧力及び決定された圧力変動の解析に基づいて計算された、特定の胃バンド、注入配管及びポートの仕様を決定するための注入体積を表示することにより行う。)。前記のとおり、このデータは、アクセスポートに対して設定すべき理想的な圧力を提示するために、グラフィック表示及び/又は数値表示により制御器に表示することができる。
【0013】
本発明の1つの態様によれば、患者の体内に配設するための埋め込み可能な可調節胃バンドアセンブリ(implantable adjustable gastric band assembly)は、内側内腔(inner lumen)を有し流体で膨張可能な可膨張部材(fluid-inflatable member)を有し、上記内側内腔が上記可膨張部材の内周縁(inner periphery)のまわりに位置する胃バンドを備えている。ポンプアセンブリが内腔に接続され、ポンプアセンブリを操作するための制御器が内腔内の流体の体積を調節する(adjust)。ポンプアセンブリと流体連通している膨張可能な流体容器(fluid reservoir)は、内腔内の流体の体積を調節する際に使用するために所定の体積の流体を貯留する風船状の構造を有している。流体容器は、胃バンドとは別体の装置であるのが好ましい。しかしながら、このようにせず、流体容器は、胃バンドの外側内腔(outer lumen)などといった胃バンドの一部分であってもよい。本発明の1つの実施態様によれば、アクセスポート(access port)が注入チューブ(fill tube)に接続され、この注入チューブを通して胃バンドの可膨張部材の内側内腔内に流体を流すことができる。そして、流体容器は注入チューブに沿って設けられている。例えば、流体容器は、注入チューブに沿って配置された細長い風船である。本発明に係るアセンブリは、流体容器のまわりで萎む(collapse)とともに、流体容器のまわりで膨張して流体容器を損傷から保護する保護鞘(protective sheath)をさらに備えているのが好ましい。
【0014】
本発明のもう1つの実施態様に係る患者の体内に配設するための埋め込み可能な可調節胃バンドアセンブリは、内側内腔を有し流体で膨張可能な可膨張部材を有し、内側内腔が可膨張部材の内周縁のまわりに位置する胃バンドを備えている。内側内腔と流体連通する注入チューブが、可膨張部材から注入ポートまで伸長している。細長い流体容器が、注入チューブの大部分(substantial part)に沿って伸長し所定の体積の流体を貯留するとともに、胃バンドの内側内腔と選択的に流体連通している。流体容器は膨張可能であるのが好ましい。保護鞘は、流体容器のまわりで萎むとともに、流体容器のまわりで膨張して流体容器を損傷から保護するようになっているのが好ましい。本発明に係る1つの構成においては、流体容器と注入チューブとが同時押し出し成形で形成されている(co-extruded)。例えば、流体容器と注入チューブとは同時押し出し成形で形成され、流体容器は、該流体容器が収縮した第1の状態では注入チューブの少なくとも一部分のまわりで萎み、該流体容器が膨張した第2の状態では注入チューブと実質的に隣り合うよう伸長する。
【0015】
この埋め込み可能な可調節胃バンドアセンブリはまた、胃バンドの可膨張部材の内側内腔における流体の圧力データ(pressure readings)を採取するためのセンサと、内腔に接続されたポンプアセンブリ(pump assembly)と、ポンプアセンブリを操作して圧力データと胃バンドのための目標圧力とに基づいて内腔内の流体の体積を調節する制御器とをさらに備えていてもよい。さらに、任意的に(optionally)、圧力データを処理するとともに目標圧力を設定するための圧力調節モジュールを備えていてもよい。
【0016】
本発明のさらにもう1つの実施態様に係る患者の体内に配設するための埋め込み可能な可調節胃バンドアセンブリは、内側内腔を有し流体で膨張可能な可膨張部材を有し、内側内腔が可膨張部材の内周縁のまわりに位置する胃バンドを備えている。風船状の構造を有する膨張可能な流体容器は、内腔内の流体の体積を調節する際に使用するために所定の体積の流体を貯留する。外側保護鞘は、流体容器が収縮した第1の状態と流体容器が膨張した第2の状態の両方において、流体容器の膨張可能な部分の外部のまわりに留まっている(remain)のが好ましい。
【0017】
本発明の特定の実施態様においては、アセンブリは、注入チューブにつながる(leading to)アクセスポート(access port)を備えていて、注入チューブを通して胃バンドの可膨張部材の内側内腔内に流体を流すことができる。そして、流体容器は注入チューブに沿って設けられている。流体容器と注入チューブとは同時押し出し成形で形成されている。ここで、流体容器は、該流体容器が収縮した第1の状態では注入チューブの少なくとも一部分のまわりで萎み、該流体容器が膨張した第2の状態では注入チューブと実質的に隣り合う(adjacent)ように伸長する。実際には、保護鞘と流体容器と注入チューブとが同時押し出し成形により形成されているのが好ましい。このようにせず、保護鞘は、同時押し出し成形で形成された流体容器及び注入チューブの一体成形物に取り付けられた分離チューブ(split tube)であってもよい。この場合、保護鞘は、流体容器が収縮した第1の状態では流体容器及び注入チューブの一体成形物のまわりで縮小された形態(compact configuration)に変形させられ(biased)、流体容器が膨張した第2の状態では流体容器を囲みつつ広がって開く(spreads open)ことになる。
【0018】
本発明の特徴及び利点は、本明細書、特許請求の範囲及び添付の図面を参照することにより、より深く理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る自動制御式(すなわち、自動監視式かつ自動調節式)の胃バンドシステムを示す図であり、患者に装着された状態を示している。
【図2】図1に示す自動制御式胃バンドシステムなどで用いられる、胃バンドの内腔と流体的に連通する相互接続された内部バンド調節システムを備えた胃バンドを示す図である。
【図3】図2中の3−3線に沿って切断された図2に示す胃バンドの断面図であり、胃バンドの寸法又は内直径を精密に調節するために用いられる膨張可能な内側内腔と、膨張可能な内側内腔を膨張させる(かつ、収縮又は縮小させる)のに用いるための流体用の局所的容器又は内部容器を形成する外側内腔とを示している。
【図4】本発明の1つの実施形態に係る自動制御式の胃バンドシステムを機能的に表現したブロック線図である。
【図5】本発明のもう1つの実施形態に係る自動制御式の胃バンドシステムを模式的及び/又は機能的に表現したブロック線図であり、本発明に係る自動調節機能を行うのに有用なポンプアセンブリのより特定された1つの実施例を示している。
【図6】本発明に係るポンプアセンブリ、とくに図5に示すシステムのポンプアセンブリの1つの物理的な構成例を示す、一部を切り取った斜視図である。
【図7】図5に示すシステムとは異なるポンプアセンブリを用いた、本発明のもう1つの実施形態に係る自動制御式の胃バンドシステムを示す、図5と同様の模式的なブロック線図である。
【図8】図5及び図7に示すシステムの場合とは異なるポンプアセンブリを用いた、本発明のさらにもう1つの実施形態に係る自動制御式の胃バンドシステムを示す、図5及び図7と同様の模式的なブロック線図である。
【図9】本発明に係る調節機能を実施するのに有用なさらにもう1つのポンプアセンブリを用いた、本発明のさらにもう1つの実施形態に係る自動制御式の胃バンドシステムを示す、図5、図7及び図8と同様の模式的なブロック線図である。
【図10】図5、図7、図8及び図9に示すシステムに対して相対的な位置に配置されたセンサ及びポンプアセンブリを用いた、本発明のさらにもう1つの実施形態に係る自動制御式の胃バンドシステムを示す、図5、図7、図8及び図9と同様の模式的なブロック線図である。
【図11】電話回線(telephone link)を介して、ウェブページに基づく制御器又は役務(service)などの遠隔式の制御器又は役務と通信する携帯型の制御器を利用した、本発明に係る自動制御式又は自動調節式の胃バンドシステムを機能的に表現したブロック線図である。
【図12】図11に示すシステムの携帯式の制御器及びクレイドル(cradle)を、より詳細に機能的に表現したもう1つのブロック線図である。
【図13】図10及び図11示すシステムなどを実施するための、本発明に係る携帯式の制御器及びクレイドルの典型的な構成を示す斜視図である。
【図14】図10及び図11示すシステムなどを実施するための、本発明に係る携帯式の制御器及びクレイドルの典型的な構成を示す斜視図である。
【図15】体内へ埋め込み可能な胃バンドの寸法を制御するための、図10及び図11などに示す胃バンドの通常モードの操作を示すフローチャートである。
【図16】本発明のさらにもう1つの実施形態に係る図4の場合と同様の自動制御式の胃バンドシステムを機能的に表現したブロック線図であり、バンド圧力の自動制御(又は、任意的な手動制御)を行うためのソフトウェアアプリケーション又はモジュールの使用方法を示している。
【図17】本発明のさらにもう1つの実施形態に係る胃バンドシステムの図16と同様のブロック線図であり、この胃バンドシステムでは、アクセスポート又はその近傍に圧力センサが設けられ、圧力解析及び調節モジュール(adjusting module)が胃バンドの量(fill)を調節するための体外の制御装置によって用いられる。
【図18】経時的に又はリアルタイムでディスプレイに表示される胃バンドの圧力データを示すグラフである。
【図19】胃バンドとは別体の流体容器を有する代替的な自動制御式の胃バンドを示す図である。
【図20】図19中の20−20線に沿って切断された図19に示す胃バンドの断面図であり、胃バンドの内直径又は寸法を適切に調節するのに用いられる膨張可能な内側内腔を示している。
【図21】注入ポートへ伸びる注入チューブに組み込まれた膨張可能な流体容器を備えている自動制御式の胃バンドシステムを示す図であり、流体容器と通信を行う制御モジュールも模式的に示している。
【図22A】図21に示すシステムの注入チューブの横断面図であり、W字形に収縮した第1の状態にある典型的な膨張可能な流体容器を示している。
【図22B】図21に示すシステムの注入チューブの横断面図であり、膨張した第2の状態にある典型的な膨張可能な流体容器を示している。
【図22C】図21に示すシステムの注入チューブの横断面図であり、U字形に収縮した第1の状態にある代替的な膨張可能な流体容器を示している。
【図22D】図21に示すシステムの注入チューブの横断面図であり、膨張した第1の状態にある代替的な膨張可能な流体容器を示している。
【図22E】図21に示すシステムの注入チューブの横断面図であり、収縮した第1の状態にある、一体形成された外側保護鞘(integral outer protective sheath)を有する膨張可能な流体容器を示している。
【図22F】図21に示すシステムの注入チューブの横断面図であり、膨張した第2の状態にある、一体形成された外側保護鞘を有する膨張可能な流体容器を示している。
【図22G】図21に示すシステムの注入チューブの横断面図であり、収縮した第1の状態にある、一体形成された外側保護鞘を有する非対称形の膨張可能な流体容器を示している。
【図22H】図21に示すシステムの注入チューブの横断面図であり、膨張した第2の状態にある、一体形成された外側保護鞘を有する非対称形の膨張可能な流体容器を示している。
【図22I】図21に示すシステムの注入チューブの横断面図であり、収縮した第1の状態にある、別体形成された外側保護鞘を有する代替的な膨張可能な流体容器と、外側保護鞘とを示している。
【図22J】図21に示すシステムの注入チューブの横断面図であり、膨張した第2の状態にある、別体形成された外側保護鞘を有する代替的な膨張可能な流体容器と、外側保護鞘とを示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
要するに、本発明は、オペレータ(例えば、医師、技師等)が、患者への胃バンドの埋め込み(インプラント)の前又は後に、胃バンドのための操作パラメータ(operation parameter)を設定することを可能にする自動制御式の胃バンド又は胃バンドシステムに向けられたものである。この後、自動制御式の胃バンドは、胃バンドの特性値(property)を直接操作し又は胃バンドに関連する特性値を操作することが可能となり、このように監視又は検出される特性値が設定された操作パラメータ内又は操作範囲(bounds)内であるかどうかが決定される。そして、操作範囲内でない場合は、監視又へ検出される1つ又は複数の特性値が現在の操作限界内又は操作範囲内に入るように、胃バンドの寸法(すなわち、患者の胃におけるストーマの所定の寸法を実現する内直径)を自動的に調節する。
【0021】
本発明に係る自動制御式の胃バンドシステムは、一般的には、多くの実施形態でもって種々の仕様の胃バンドで用いることができる。これらの実施形態は、膨張可能な部分又は内側内腔を備えた胃バンドにおいてとくに有利なものである。ここで、膨張可能な部分又は内側内腔は、その内部に収容されている流体の体積を増加又は減少させることにより膨張させ又は収縮させることができる。一般に、本発明に係る胃バンドシステムは、膨張可能な部分の内部の流体の圧力などといった胃バンドのパラメータを直接検出するための1つ又は複数のセンサと、センサによって検出された胃バンドのパラメータ又は特性値を処理し、胃バンドに対して流体を追加すべきか又は排出すべきかを決定して精密に胃バンドの寸法(及び、これに対応するストーマの寸法)を調整する制御器とを備えている。ポンプアセンブリに接続された局所的な(local)流体容器を設けてもよい。ポンプアセンブリは、制御器によって制御され、胃バンドに対して流体をポンプで注入し又は排出する。1つの実施形態では、局所的な流体容器は、胃バンド自体の内部、例えば外側内腔又は容器のリングもしくは部材の内部に配設されている。ポンプアセンブリと胃バンドの膨張可能な部分又は膨張可能な部材との間に、体積を局所的に制御することを可能にする内部注入配管又は内部注入チューブが(例えば、標準のアクセスポートに加えて又はこれに代えて)接続されている。ポンプアセンブリ、制御器及びセンサのための電力源(power)ないしは動力源は、典型的には、誘導電源などの外部の電源ではなく、胃バンドに局所的に設けられるものである。すなわち、電力源は、患者の体内に設けられ、又は患者の体内の胃バンド又はストーマに隣り合うように設けられる。制御器には、胃バンドのデータ及び胃バンドの操作範囲又は操作限界を格納するメモリが連結されている(associated)。ここで、操作範囲は、胃バンドの寸法をいつ調節すべきかを決定するために用いられる。そして、これらの操作範囲又は操作限界(すなわち、範囲の限界)は、体外の制御器/モニタと通信を行うことにより、埋め込みの前に設定することができ、又は埋め込みの後で設定もしくは修正することができる。以下、図1〜10を参照しつつ、本発明による種々の特徴を詳しく説明する。
【0022】
図1は、自動制御式の胃バンドシステム又は胃バンド装置100を示す図であり、これが病的な肥満の治療が施されている患者に装着されたときの状態を示している。図1に示すように、システム100は、食道の近傍において胃の上部にストーマ又は小孔を形成して食物の摂取又は流通を制限するために用いられる。患者を適切に治療するためには、しばしば、ストーマの寸法を変えることが有効であるか、むしろ必要である。そこで、自動制御式の胃バンドシステム100は、検出されたバンドパラメータ(band parameter)及び操作パラメータ(例えば、設定された上限及び下限をもつ操作パラメータの範囲)に基づいて、胃バンドの寸法の自動制御を行うように構成されている。胃バンドシステム100は、アクセスポート114に接続された注入配管又は注入チューブ112を介しての外部又は体外の操作により膨張させることができる胃バンド110を備えている。アクセスポート114を介して、胃バンド110の膨張可能な部分又は部材に流体をポンプ輸送することができる。このような注入ないしは充填は、典型的には、医師又はその他の技師により実施される埋め込み処置(implanting process)の一部として、かつストーマの初期寸法設定の一部として実施される。
【0023】
システム100の胃バンド110及びその他の部品は、既存の膨張可能な又は伸張可能な胃バンドで用いられる場合と同一又は類似の外科的処置(surgical procedure)により埋め込まれる。例えば、外科医は、典型的には、胃の周囲の組織を切開して(dissect)、胃バンド110のためのトンネルを形成する。この後、胃バンド110が、患者の腹部内に導入される。胃バンド110は、例えば18mm又はその他の寸法の套管針(trocar)等を介して、又は皮膚の套管針穴を介して直接導入される。この後、胃バンド110を所定の部位を通して胃の周囲に配置する。体内胃バンド調節システム又は体内胃バンド調節ユニット130を含むシステム100のその他の部品が胃の近傍に配置される(例えば、アクセスポート114に最も近い腹直筋鞘(rectus muscle sheath)の上又は胸骨の頂上の皮膚の真下)。これにより、注入/排出配管120を経由して、胃バンド110、とくには胃バンド110の膨張可能な又は伸張可能な部材又は部分との間に流体接続部が形成される(胃バンド110が、該胃バンド110の寸法を設定するのに用いるための局所的な流体容器も備えている実施形態では、追加の接続部が設けられる。)。その他の実施形態では、接続部120は、胃バンド110へのもう1つの接続部が必要とならないように、注入配管112に対して設けられる。
【0024】
自動制御式の胃バンドシステム100は、バンドパラメータを検出するように機能する体内胃バンド調節アセンブリ又は体内胃バンド調節ユニット130を備えている。バンドパラメータとしては、注入配管112内又は膨張可能なもしくは伸張可能な部分もしくは内腔内の流体圧力、又は、胃バンド等における表面張力/表面歪みなどといった物性が挙げられる。そして、体内胃バンド調節アセンブリ130は、このように検出又は監視される胃バンドの特性値又はパラメータが、予め設定された好ましい胃バンドの操作範囲内であるかどうかを決定し、操作範囲内でない場合は、胃バンド110の寸法を調節する。典型的には、この寸法の調節は、後で図4〜10を参照しつつ詳細に説明するとおり、注入/排出配管120を経由して、胃バンド110に対して食塩水ないしは生理食塩水(saline)などの液体を追加注入し又は排出することにより実現される。さらに、システム100は、表示部154(display element)を有する体外監視装置又は体外制御装置150を備えている。表示部154は、無線通信手段152を介して体内胃バンド調節システム又は体内胃バンド調節ユニット130から受け取ったデータを表示し、内部システム100に送るべき新たな操作パラメータなどのデータを表示し、又は、胃バンド110に関連する履歴データもしくはその他のデータを表示するのに用いられる。体外監視装置150はまた、キーパッド(keypad)又はその他の入力領域156(input area)も備えている。入力領域156は、オペレータが、(例えば、体内システム130からのデータを要求するため、操作範囲を調節することにより胃バンド110に新たな設定(new setting)を入力するため、又はその他の目的を達するための)データ又は入力情報を入力するために用いられる。
【0025】
本発明を実施する上において、胃バンド110は、多種多様の形態とすることができる。胃バンド110は、限定されるわけではないが、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられている特許文献1又は特許文献2に記載された胃バンドと同様に形成してもよい。これに代えて、胃バンド110は、アラガン社(Allergan, Inc.)から入手可能な胃バンド(例えば、LAP−BAND(登録商標)系列のバンドである9.75cm、10.0cm、11.0cm等の膨張可能な胃バンド、あるいはVG又はAP LAP−BANDs)であってもよい。本発明で用いることができる、種々のバンド製造業者又は販売業者から入手可能なその他の胃バンドとしては、限定されるわけではないが、オブテク(エチコン)バンド(Obtech (Ethicon) band)、AMIバンド(AMI band)、ヘリオガストバンド(Heliogast band)、ミニマイザ(ピエール)バンド(Minimizer (Pier band) band)、カズンバイオバンド(Cousin Bioband)などが挙げられる。
【0026】
図2及び図3は、本発明を実施するために用いることができる1つの典型的な胃バンド210(例えば、システム100における胃バンド110として用いるための)を備えた、本発明の1つの実施形態に係る自動制御式の胃バンドアセンブリ200を示している。この胃バンドアセンブリ200は、図1に関して説明したものと同様の胃バンド210と体内バンド調節システム230とを備えている。図4〜図10を参照しつつ後で詳しく示すように、胃バンドアセンブリ200は、一般的に、胃バンド210の特性値(property)を直接検出するための1つ又は複数のセンサと、メモリを備えた制御器と、体内電力供給部と、ポンプアセンブリとを備えている(図2中には図示されていないが、図4〜図10中に図示されている)。
【0027】
胃バンド210は、アクセスポート(図示せず)と胃バンド210内の膨張可能な又は伸張可能な部分又は内腔226との間の流体接続を行わせるために用いられる注入チューブ又は注入配管212を備えている。凹状の表面215及び隆起部218を有するベルト214(belt)が、留め金部材216(buckle member)に沿って設けられている。このベルト214は、胃バンド210が患者の胃の周囲に埋め込まれたときに、(例えば、最初に、寸法を、9〜11cmのバンド又は他の適切な内直径に設定するために)特定の内側寸法又は内直径の円形の輪(loop)又はバンドの最初の形成が、ストーマの初期寸法を実現することを可能にする。ストーマのさらなる精密な調節を可能にするために、胃バンドは、胃の外表面に当接する(abuts)膨張可能な部分又は部材を備えている。
【0028】
図2及び図3に示すように、胃バンド210は、シェル(shell)又はモールド成形シェル220(molded shell)と、内側リング222(inner ring)と、寸法を拡大することができかつこの後で寸法を縮小することができる弾性材料(elastic material)又はその他の材料で製作された膨張可能な部分、可膨張部材又は風船224(balloon)とを備えている。可膨張部材224(inflatable member)は、例えば所定の体積の食塩水(saline)等の流体を受け入れるための内側内腔226(internal lumen)を備えている。本発明の1つの特徴的な構成によれば、胃バンド210は、可膨張部材224を膨張又は収縮させるための流体を貯留するための局所的流体容器(local fluid reservoir)を備えた形態とされている。ここで、内側リング222は、典型的には可膨張部材224と比べてより堅い材料(rigid material)で製作され、321で示す部位で(例えば、接着剤で)シェル220に取り付けられている。そして、内側リング222は、流体を貯留するための内腔又は容器323を備えている。この流体は、この後体内バンド調節システム230により、可膨張部材224の内腔226内にポンプ輸送することができる。内腔又は容器323は、流体の貯留手段として有用である。なぜなら、体内バンド調節システム230(例えば、システム230の図示していないポンプ)に対して容器接続チューブ又は容器接続配管238が設けられているからである。
【0029】
内側リング222によって形成された容器223から排出された流体は、体内バンド調節システム230により、配管340を経由して、可膨張部材224の内腔226にポンプ輸送され、胃バンドの寸法を増加させ(すなわち、図3に示すように、胃バンド210の横断面の外直径を増加させる)、又は胃の周囲の胃バンドによって形成されたIDの寸法を減少させて患者の体内に形成されたストーマの寸法を減少させる。また、場合によっては、体内バンド調節システム230は、(検出されたバンドパラメータに基づいて)矢印350で示すように、可膨張部材224の内腔226に接続された注入/排出配管234を経由して、内腔226から体内バンド調節システム230(又はシステム230内のポンプへ)へ流体をポンプ輸送するように操作される。このような内腔226からの流体の排出は、胃のまわりの胃バンド210によって形成されたIDを増加させるとともに患者のストーマの寸法を増加させつつ、胃バンド210及び可膨張部材224の寸法を減少させる。可膨張部材224から排出された流体は、矢印340で示すように、容器323内にポンプ輸送され、ここに貯留され、この後胃バンド210の寸法変更又は調節に使用される。
【0030】
図4は、1つの典型的な自動制御式の胃バンドアセンブリ又は胃バンドシステム400を機能的に示すブロック線図である。システム400は、体内バンド調節システム430と無線通信手段426で通信を行う体外監視・制御装置410を備えている。使用時には、体内バンド調節システム430は、膨張可能又は調節可能な胃バンド460とともに、患者の腹腔内に埋め込まれ、肥満を治療するためのストーマが患者の胃に形成される。すなわち、胃バンド460は、流体の追加又は排出により膨張又は収縮させられ、円形の形態に形成された胃バンド460の寸法と胃バンド460の内直径IDBANDとを変化させる。体外監視・制御装置410は、携帯型、ラップトップ型又はデスクトップ型のコンピュータ及び/又は通信装置の形態のものであってもよい。この体外監視・制御装置410は、情報を表示するためのディスプレイ412(display element)と、ユーザがデータ又は情報を入力することを可能にするための入力/出力部414(input/output component)、例えばキーパッド、タッチスクリーン、及び/又は、音声データ入力手段等を備えるとともに、体内バンド調節システム430のI/O部434(I/O component)と無線通信426を行うようになっている。さらに、体外監視・制御装置410は、バンドデータ418(band data)とバンド設定値420(band settings)とを格納するためのメモリ416を備えている。ここで、バンドデータ418は、例えばシステム430から読み取ることができ、また体内バンド調節システム430の制御器432及びI/O434によって与えられる。バンド設定値420は、例えば胃バンド460のための操作範囲(operating ranges)又は操作限界(operating bounds)である(すなわち、圧力範囲等のための上限及び下限)。バンド設定値420は、体外監視・制御装置410を用いて入力することができ、又はシステム430内に存在する。この後、バンド設定値420は、メモリ416への格納のために、及び/又は、外部制御装置410の操作による修正又は変更のために、体外監視・制御装置410によって読み出すことができる。メモリ416はまた、体内バンド調節システム430のセンサ450により得られるセンサデータ422(場合によっては患者データ)を格納するために、体外監視・制御装置410によって用いることができる。
【0031】
図4に示す体内バンド調節システム430は、該システム430の操作を制御するのに有用なCPU及びコード(code)を有する制御器432を備えている。さらに、システム430は、体外監視・制御装置410と通信を行うためのI/O部434を備えている。システム430には、バンド設定値438を格納するためのメモリ436が設けられている。ここで、バンド設定値438は、センサ450によって検出される胃バンド460の特定の特性値又はパラメータの許容操作範囲であり、例えばセンサ450が胃バンド460の膨張可能な部分内の流体のための圧力センサである場合は、上限圧力又は下限圧力(例えば、それぞれ4PSI及び5PSI)などである。バンド設定値438は、特定の患者に対して設定することができ、又は患者にシステム430を埋め込む前の初期設定値(default setting)として設定することができる。これに加えて又はこれに代えて、埋め込みの後に、体外監視・制御装置410を介してバンド設定値438を設定し又は修正し、その結果胃バンド460の寸法と内直径IDBANDとを変更することができる。メモリ436はまた、制御器432で用いるために、その他のセンサデータ及びバンドデータ440、例えばセンサ450から収集したデータデータなどを格納することができ、また胃バンド460の操作の履歴表示(historical perspective)、及び、バンド情報、例えばバンド製造番号、製造業者などを格納することができる。
【0032】
胃バンド460の操作を監視するために、システム430は、好ましくは胃バンド460の特性値又は物理的パラメータ(physical parameter)を直接監視するセンサ450を備えている。図4に示すように、センサ450は、452に示すように流体結合(fluid link)における圧力変換器(pressure transducer)もしくはその他の装置、又はポンプアセンブリ442と胃バンド460との間の接続部448に設け又は連結してもよい。これに代えて、圧力変換器又はその他の圧力検出器を、センサ450として設け、又はセンサ450と通信するように設けて、胃バンド460内の圧力を測定するようにしてもよい。圧力変換器は、例えば、胃バンド460の膨張可能な部分内、胃バンド460への入口ポート、又は、アクセスポート474及び体外注入装置470(それぞれ、胃バンド460の膨張可能又は伸張可能な部分への初期注入、及び、この後における胃バンド460の任意の調節のために設けられている)と連通する注入配管478に配置することができる。このほか、センサ450は、破線456で示されているように、胃バンド460の物性を直接検出するように配置してもよい。この場合、例えば、膨張可能又は伸張可能な部分の表面における胃バンド460の表面張力を示す歪みセンサ(strain sensor)、又は、胃バンド460の現在の寸法を測定するのに有用なその他の検出装置を用いることができる。
【0033】
センサ450は、バンド設定値438を格納するためのメモリ436を備えていてもよい。ここで、センサ450は、予め設定された範囲から外れた胃バンド46のパラメータを検出したとき(例えば、最大設定を超えたとき、又は最小設定より小さいとき)には、制御器432を「覚醒(wake up)」させ、ポンプアセンブリ442を動作させる。換言すれば、センサ450は、胃バンド460が予め設定された操作範囲から外れているときにはこれを検出するための十分な感度を有するように構成され、このようなときには制御器432に警告又は警報を発し、制御器432にポンプ442を制御させるよう動作させるようになっている。また、センサ450は、検出したバンドパラメータを伝送し、制御器432が胃バンド460を適切に調節することを可能にする。これに代えて、センサ450は、(452及び456で示すように)定期的に動作して(場合によっては、ほぼ連続測定となるほど頻繁に)、追加のバンド特性値又はバンドパラメータのデータをさらに採取し、検出値を制御器432に送るようになっていてもよい。この場合、制御器432は、検出したバンド値ないしはバンドデータをバンド設定438と比較し、胃バンド460の調節が必要であるかどうか、又は望ましいかどうかを決定するよう動作する。
【0034】
いずれの場合においても、バッテリ等の電源444(power supply)が、制御器432と、システム430のその他の電力消費部品(例えば、ポンプアセンブリ442、センサ450等)とに、電力を供給するのに用いられる。さらに、システム430は、ポンプアセンブリ442と内部容器446とを備えている。ポンプアセンブリ442は、センサ450の情報に応答して胃バンド460の寸法を液圧で調節するために種々の形態(例えば図5〜図10に示す形態)をとることができる。ただし、本発明は、このような特定のポンプ又は流体輸送装置を用いたものに限定されるものではない。内部容器又は局所的容器446は、ポンプアセンブリ442と流体連通し、注入/排出配管448を経由して、胃バンド460に流体(食塩水等)をポンプ輸送し、胃バンド460の寸法を増加させ、あるいはIDBANDを減少させる。また、内部容器又は局所的容器446は、ポンプ輸送された流体の貯留場所となり、配管448とポンプアセンブリ442とを経由して、胃バンド460との圧力差分(pressure differential)に基づいて流体を流れさせる。内部容器又は局所的容器446は、内部バンド調節システム430を閉じ込め又は囲うのに用いられるハウジング(図示せず)内に配置された別体の部品として製作してもよい。また、容器446は、システム430のハウジング及び胃バンド460に最も近い(proximate)位置に設けられた、例えば風船状の構造の形態をもつ別体の装置として製作してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、容器446は、例えば胃バンドのシェルの外側内腔又は外側部材内において、胃バンド460自体の一部分として形成されてもよい(図2、図3、図5〜図10参照)。
【0035】
自動制御式の胃バンドシステムの一般的な特徴を理解する上においては、埋め込まれた胃バンド(例えば、胃バンド110、210、460等)の寸法を有効に調節するためのシステムの操作をより詳しく説明することが有用であろう。ポンプアセンブリは、典型的には、モジュール(module)であり、多数又は多種の胃バンドで用いることができる。このようなポンプアセンブリは、現在では例えば、アラガン社(Allergan, Inc.)から入手可能な9.75cm、10.0cmのVGs又はAPs LAP−BANDsである。ポンプアセンブリのポンプは、手動で調節可能なアクセスポートの機能を交換する(replace)。胃バンドを形成するのに用いられる材料は、おおむね、普通に用いられているものと同様である。そして、胃バンドの寸法は、局所的容器がシェル内又は管(tubing)内に設けられている場合における管を除けば、普通に用いられているものと同様である。しかしながら、本発明を実施する上において、これらとは別の材料を用いてもよい。例えば、性能を高めるように特別に選択した材料、耐酸性を高めるように特別に選択した材料、又はその他の所望の結果が実現されるように特別に選択した材料を用いてもよい。同様に、胃バンドの管を、その外直径が0.013〜0.180又はこれより大きくなるように小変更(minor change)し、外側内腔、シェル内腔又は管の食塩水の容量を大きくし、将来の調節で用いる可能性がある追加の食塩水又は流体のための容器として機能させるようにしてもよい。(図2及び図3に示すように)胃バンドの管に2つの内腔を設け、容器のための食塩水と、胃バンドの一部をなす食塩水とを分離するようにしてもよい。さらに、容器として機能する長く伸びる風船を管に沿って配置してもよい。ポンプアセンブリは、一般に、1つ又は複数のポンプ(又は胃バンドに対して流体を注入・排出するその他のポンプ類似の装置)と、電子機器と、通信部品と、コンピュータ又は情報処理手段(intelligence component)と、1つ又は複数のバッテリなどの電源(power supply)とを備えている。体内胃バンド調節アセンブリは、例えばアセチル共重合体(acetyl copolymer)、PEEK、チタン等の生体適合性のある材料で製作された外側ハウジングの中にシールされている(sealed)。いくつかの実施形態では、電源は、ポンプアセンブリ内に配置される前に、チタンで密封してシールされた埋め込みに適した品質のバッテリである。ポンプアセンブリは、必要であれば、図4に示すようなアクセスポート474を経由する体外注入装置470などを備えた手動の調節を可能にするオーバーライドポート(over-ride port)を有していてもよい。
【0036】
いくつかの好ましい実施形態においては、自動制御式の胃バンドシステムは、自動的に機能し、又は「設定して忘れる(set-it-and-forget-it)」装置として機能する。例えば、このシステムは、連続的又は定期的に機能して(例えば、1時間毎、1日毎、1週毎、1月毎、又はその他の種々の選択された監視期間毎)、バンドパラメータ又はバンド特性値を検出し、この後食塩水又はその他の流体の液圧でもって胃バンドを膨張・収縮させるなどして胃バンドを調節する。いくつかの場合、胃バンドの注入破裂(fill burst)及び食塩水注入体積(saline fill volume)に対するのと同一又は類似の仕様(specification)を、自動制御式の胃バンドシステムに応用することができる。これらの自動制御式の実施形態における調節は、センサ及び制御用電子機器と結合されたマイクロポンプ又はポンプの遠隔操作により実施される。センサは、胃バンドの内部パラメータ、例えば内部バンド圧力、シェルの応力及び/又は歪み等の内部もしくは外部のパラメータ又などといった胃バンドのパラメータ又は物性を直接検出する。センサはまた、胃バンド又は胃バンドの膨張可能な部分における長さの変化を検出する直線運動センサ(linear motion sensor)を備えている。ここで、センサ又は制御器は、このように検出された長さのデータをストーマ又は胃バンドの直径のデータに変換するよう動作する。センサはまた、2つの点の間の距離を検出して位置の変化を検出するように機能する距離センサであってもよい。センサは、臨床医に対するリアルタイムのフィードバックのために、監視されているパラメータについてのデータを収集する遠隔測定(telemetry)により、外部の監視ユニット又は制御ユニットにより問い合わせられることができる。
【0037】
いくつかの場合、センサは、所定の時間間隔(監視期間)で「覚醒(wake up)」し、パラメータを監視するとともに、胃バンドを、長い治療期間にわたって患者をより適切に治療するために確立され、又は実験により確立された理想的なバンドパラメータが実現されるよう調節するようなプログラムを有している(programmed)。パラメータが理想的な範囲に入っていない場合は、センサは、胃バンドが理想的なパラメータの制御限界内に入ることが確実化されるように、必要に応じて再調節するためのコマンド(command)を送る。あるいは、センサは、胃バンドが望ましい操作範囲に入っているかどうかを決定するために用いるために、収集した情報を、単純に胃バンドから制御器に送る。例えば、センサは、「覚醒(wake up)」し、胃バンドが「Xpsi」の内部バンド圧力監視していることを検出する(determine)ことができる。そして、センサは、予め設定されたバンドパラメータとの比較に基づいて、胃バンドを、その内部流体圧力が「Ypsi」となるように調節することが必要であることを検出する(determine)ことができる。ここで、「Ypsi」は、操作範囲内の中間点における圧力、又はこの操作範囲内の圧力であってもよい。この装置では、センサは、制御器と通信を行って、制御器に、埋め込まれたポンプを駆動するよう制御させ、そして所定の体積の流体が胃バンドにポンプで注入され、又は胃バンドからポンプで排出されるよう指令する(command)。これは、センサの検出結果が理想的なパラメータの限界内に入るまで行われる。これは、例えば、センサが胃バンドの内部流体圧力が範囲内であることを検出するまでポンプを操作することにより、又は現在の操作範囲の中間点と合致させることにより行う(又は、センサ又は制御器と結合されたメモリに格納されているその他のリセットされた点)。
【0038】
マイクロポンプは、埋め込まれたバッテリから電力を引き出し、又は調節のための電源から引き出す。制御器はまた、1つ又は複数のチェックバルブ(もし、備えていれば)を駆動して開弁させる(図5〜図10参照)。胃バンドをさらに膨張させ、又は胃バンドの寸法を適切に増加させるために、ポンプは、局所的容器から流体を引き抜いて、胃バンドに注入する。胃バンドをさらに収縮させ、又は胃バンドの寸法を適切に減少させるために、ポンプは、胃バンドから流体を引き抜いて容器へ戻す。センサの検出結果が特定のパラメータ範囲に入った後は、流体の移動を防止するためにバルブが閉じられる。この後、ポンプ及びセンサは、センサが再び「覚醒」するまで、電力を節約するためにスイッチが切られる。本発明でも、従来の胃バンドと同様に、流体は、シェルを膨張させ又は収縮させてストーマの寸法を調節するために用いられる。しかしながら、本発明では、寸法の変化は、局所的な制御器と局所的な流体容器とを用いて、体内で操作される。センサによって監視されるパラメータが変更された後、センサは、パラメータが変更された日付と、新たな設定(new setting)又は検出されたバンドパラメータ又はバンド特性値と、場合によっては変化量又は差分(delta)を記録するためのコマンド(command)又はメッセージ(message)を制御器に送る。
【0039】
センサから新たな又は調節されたパラメータデータ(parameter reading)などのパラメータデータを体外で監視するために、臨床医又はシステムのオペレータは、患者の体外にある携帯型又はその他の寸法の体外モニタ及び体外制御装置を用いて、センサにデータを問い合わせ(query)、又は制御器に最後に格納された値を問い合わせることができる(両方の問い合わせを行ってもよい)。外部の監視装置及びアクセスポートは別にして、システムは、システム自体を監視及び調節するために内蔵型とされている(self-contained)。ポンプアセンブリは、バンドデータ及び適切なバンド操作範囲に加えて、埋め込まれた胃バンド及び体内胃バンド調節システムを備えた埋め込まれた装置を特定するために、体外の監視装置及び制御装置によって遠隔操作で読み込むことができる種々のデータ、例えば製造番号等を格納している。
【0040】
体外装置は、しばしば、該体外装置を操作するための制御パネルとLCDディスプレイとで特徴づけられる携帯型の制御ユニットの形態のものである。携帯型の制御ユニットは、オペレータが埋め込みを計画し(program)、又は読み込み(read)もしくは決定する(determine)ことを可能にする一連のメニューで特徴付けられ、そのメモリ内に重要な情報、例えば胃バンドの寸法、患者の名前、埋め込みを行った医師、埋め込みを行った日付等を格納していることで特徴づけられる。携帯型の制御ユニットは、電波を用いる遠隔測定法(telemetry through radiowaves)によりセンサと通信を行うことができる。いくつかの実施形態では、FDA及び世界的に認識される通信バンド(WMTS 402−405 Mhz)を用いることができる。そして、装置が携帯型の制御ユニット以外の制御機構により偶然にアクセスされ又は制御されることがないことを確実化するために、認証処理(authentication process)を用いることができる。遠隔測定制御信号は、ほぼ足の付近から送ることができ、又は患者から大きく離れた位置から送ることも可能であるので、典型的には、センサへの問い合わせ又はパラメータの変更を行うために、患者が衣服を脱ぐことは必要ではない。調節を行うときには、携帯型の外部監視装置は、埋め込まれた装置に対して、現在の圧力又はパラメータに関するデータ、調節を行う医師の名前、日付などといった各種情報の読み出し及び書き込みを好ましく行うことができる。携帯型の装置は、しばしば、それ自体のメモリに、調節の履歴を格納し、又は保持するよう動作する(この履歴は、体内調節システムにも格納することができ、また体内調節システムのみに格納するようにしてもよい。)。携帯型の装置はまた、権限のない人が装置への問い合わせを行うのを防止するために、パスワードで制御するようにしてもよい。携帯型の装置のディスプレイは、画像及び音声の出力を行うようになっていてもよい。また、このディスプレイは典型的には、胃バンドの状態(condition)の検出されたパラメータ又は物理的パラメータを表示又は出力するのが好ましく、又はこのパラメータ又は物性が圧力、応力、歪み及び/又は直線測定(linear measurement)であるか否かを表示又は出力するのが好ましい。
【0041】
センサの変化期間(sensor change duration)に関して、センサの問い合わせは、典型的には数秒を要するだけである。しかし、マイクロポンプの制御は、これより長くてもよく、例えば1psiの圧力変化に対してほぼ30秒であってもよい。圧力データ及びパラメータ範囲の分解能(resolution)は良好であり、現在可能である手動の注射器による調節に比べて、より良好な分解能を好ましく実現することができる。データの格納に関して、すくなくも情報の一部は、埋め込まれた内部システムに直接格納されるであろう。データを読み出す(retrieve)ために、携帯型の装置は、装置に問い合わせを行い、製造番号、患者の名前、医師の名前、胃バンドの寸法、注入体積、調節の履歴などといったデータを画面上に表示するのに用いることができる。
【0042】
埋め込まれるシステム電源として、前記の説明では埋め込まれたバッテリを用いたものを記載しているが、埋め込まれる電源として、エネルギの要求に合致する種々の内部電源を用いることができる。このような電源としては、例えば(a)身体の運動によって生成された運動エネルギにより電力を蓄えたコンデンサ、(b)埋め込まれた燃料電池、(c)身体の化学物質により電力が生成される埋め込まれた電源、(d)温度変化により電力が生成される埋め込まれた電源、(e)直接接触により再充電することができる埋め込まれたバッテリなどが挙げられる。携帯型の制御装置は、典型的には、再充電可能なバッテリによって電力が供給されるが、いくつかの実施形態では、他の電源を用いることができる。例えば、使用の合間での再充電を可能にする電源コードを設けてもよい。大半の実施形態では、完全に充電された装置は、埋め込まれた複数の胃バンドシステムの1日分の問い合わせを行うことができる。
【0043】
本発明に係る自動制御式の胃バンド調節システムは、多数の設計上の効果を生じさせる。例えば、システムは、精密かつ安全な操作を行うことができ、かつ埋め込み物との遠隔測定通信を支援する。システムは、感染症(infections)の危険性を低減するとともに患者の快適性を高めるように構成されている。埋め込み可能なバッテリ又は電源は、信頼性が高くかつ着実な電力供給源である。システムは、埋め込み物の状態にフィードバックを行うよう操作することができ、治療介入(therapeutic intervention)及び患者の追跡調査(follow-up)を改善するのに用いることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、例えば図4に示す装置410などの体外監視・制御装置は、体内のバンド調節システムの動作を制御するように構成されている。これらの実施形態では、センサ450(又は制御器432)は、遠隔測定手段426を介して体外装置410から問い合わせを受け、破線452及び/又は456で示すようにセンサ450によって監視されているパラメータに関するデータを収集する。この後、現在のデータに基づいて、臨床医又はこの情報を収集している装置410のオペレータは、胃バンドの応力及び歪み又は圧力が増加又は減少するよう、パラメータの監視の限界範囲(すなわち、センサ450が胃バンド460の操作限界範囲を合理的に監視するよう構成されているときに、センサ450にプログラムすることができるバンド設定438)を変更することができる。この後、センサ450(又は新たなバンド設定438を格納することにより制御器432)は、データを読み込み、新たなデータが修正された制御限界内に入っているかどうかを決定するよう再プログラムされる(reprogrammed)ことができる。センサ450は、制御機構432にデータを送り、胃バンド460を、センサ450が読み取るデータ(すなわち、胃バンドの物性又はパラメータ)が制御限界の範囲(又はバンド設定420又は438)内となるように(又は、なるまで)調節する。
【0045】
例えば、胃バンドは、臨床医が体外装置410を操作することによりセンサ450に問い合わせを行うときに、2〜3psiの範囲でバンドパラメータ(例えば、胃バンド460内の流体圧力等)を監視し又は読み取るようにしてもよい。この後、臨床医、医師又はその他のオペレータは、胃バンドの監視範囲を、その中間点が5psiとなる範囲まで増加するよう選択してもよい。医師は、センサ450を4.5〜5.5psiの範囲を監視するよう再プログラムし(例えば、バンド設定420及び/又は438を再設定することにより)、これを、遠隔測定手段426を介してセンサ450に送る。センサ450は、監視限界範囲を再設定し(又は、制御器432が、センサによって取得されたバンドパラメータと比較するのに用いるためにバンド設定438を再設定する)、制御器432と通信を行い、埋め込まれたポンプアセンブリ442を、センサ450の(452、456を介しての)読み取りが制御限界内に入るまで、所定の体積の流体がポンプにより胃バンドに注入され又は胃バンドから排出されるよう駆動する。
【0046】
操作時においては、ポンプは、埋め込まれたバッテリ又は電源444から電力を引き出して調節を可能にし、またチェックバルブを開弁するよう駆動する(図5〜図10を参照しつつ後で説明する)。胃バンド460を膨張させるために、ポンプアセンブリ442は、容器446から流体を引き抜いて胃バンド460に注入する。胃バンド460を収縮させるために、ポンプアセンブリ442は、胃バンド460から流体を引き抜いて容器442に戻す。センサ450の検出結果が特定のパラメータ範囲に入った後は、胃バンド460に対する流体の出入りを防止するために適切なチェックバルブが閉じる。新たな圧力(又はその他のバンドパラメータ)の読み取りを確認するために、臨床医又はオペレータは、携帯型の装置410を用いて、センサ450に他のデータの問い合わせを行う。確認されれば、ポンプアセンブリ442及びセンサ450は、再び問い合わせがあるまで、電力を節約するためにスイッチが切られる。
【0047】
図5〜10は、本発明を実施するのに用いることができる特定の自動制御式胃バンドシステムを示している。これらのシステムはそれぞれ、胃バンドシステムで用いることができる有効なポンプアセンブリ(例えば、図1〜図4に示す内部バンド調節システムのポンプアセンブリのための)の代替的な具体例を示している。図5〜10に示すシステムは、それぞれ、胃バンドの膨張可能又は伸張可能な部分における流体圧力を検出又は決定するのに用いるための圧力センサを用いている(以下、「内側可膨張リング(inner expandable ring)」という。)。しかしながら、本発明は、圧力センサを用いるもののみに限定されるわけではなく、本発明の多くの実施形態(センサの代替物を備えた図5〜図10に示す実施形態)は、1つ又は複数の胃バンド物性又は物理的パラメータ(physical parameter)を直接検出するためのその他のセンサを用いることができるということに留意すべきである。
【0048】
例えば、限定されるわけではないが、下記のようなセンサを用いることができる。
1. カルディオメムス及びトロニクス・マイクロシステムSA(CardioMems and Tronics Microsystem,SA)等から入手可能な圧力センサ。
2. 例えばカルディオメムス及びトロニクス・マイクロシステムSA等から入手可能な埋め込み可能な仕様の応力・歪みセンサ(stress-strain sensor)、又はこれらの会社によって個々に改良されもしくは本願出願人であるイナメド(Inamed)と共同して改良された埋め込み可能な仕様の応力・歪みセンサ。
3. 例えばマイクロストレイン社(Microstrain, Inc.)から入手可能な直線運動センサ(linear motion sensor)。なお、参照によりその内容が本明細書に組み入れられている(http://www.microstrain.com/images/sensorman.jpg)参照。
4. 例えばマイクロストレイン社から入手可能な、2地点間の距離を測定する距離センサ。
5. 例えばマイクロストレイン社から入手可能な、食塩水によりある領域に作用する力測定する力センサ(force sensor)。
6. ベリチップ(Verichip)から入手可能な、低レベルの熱源からこれに近い距離のところまでの熱勾配を測定する熱センサ(thermal sensor)、又はベリチップ及びイナメド(本願出願人)によって改良された熱センサ。
7. シェルの膨張時における伸長に起因してシェルの厚さの減少を検出するシェル厚さ測定器(shell thickness gauge)。
【0049】
図5に模式的に示す自動制御式の胃バンドシステム500は、患者の胃のまわりで円形となるような形態で患者に埋め込んでストーマを形成するための胃バンド510を備えている。胃バンド510は、該胃バンド510の寸法を調節するのに用いるための流体を貯留するための外側リング状容器512を備えている。例えば、胃バンドのシェル又は外側リングには、胃バンド510の円周のまわりに少なくとも部分的に伸びる内腔を設けてもよい(又は、円形の形態での埋め込みないしは設置が行われていないときに、胃バンドの頭部から尾部まで、もしくは胃バンドの第1の端部から第2の端部までの胃バンドの長さに沿って設けてもよい。)。伸張可能又は膨張可能な内側リング514は胃バンド510内に設けられている。胃バンド510は、流体を受け入れると伸張し、流体が排出又は除去されたときに収縮又は縮小することが可能な材料で形成されている。
【0050】
前記のとおり、伸張可能な胃バンドは、この技術分野ではよく知られている。そして、このように知られた胃バンドのほとんどが、外側リング容器512と容器512に接続された流体接続配管517(又は、容器注入/排出配管もしくはチューブ)とを備えるように修正することにより、システム500で用いることができる。使用時には、内側可膨張リング514には、注入配管又は注入チューブ516(より正確には、胃バンド寸法調節配管というべきである)を介して、流体を注入することができ、又は内側可膨張リング514から流体を排出することができる。胃バンド510の初期寸法の設定は、典型的には患者の皮膚の直下に埋め込まれるとともに注入配管516に接続されたアクセスポート又は手動ポート518を介して行われる。寸法の設定過程は、臨床医により所定の体積の流体を注入する過程を有している。この流体の体積は、典型的には、胃バンド510に対して該胃バンド510の所望の内直径を実現することができるように設定ないしは選択される。システム500においては、ポンプアセンブリ530と、センサ522と、電源528(例えば、1つ又は複数のバッテリ)と、制御・通信部とを組み付けた内部バンド調節システムを用いて、適切な調整(fine tuning)と継続的な「自動制御(self-regulation)」とが行われる。図示していないが、すでに詳しく説明されているとおり、システム500は、体外監視・制御装置と協働する。このため、内部アセンブリには、制御器526に接続されたアンテナ又はその他の無線通信部品524が設けられている。そして、このアンテナ524は、バンドパラメータ及びその他の情報(これも、すでに詳しく説明されている)を体外監視・制御装置に通信で送受させる遠隔測定手段を用いることを可能にする。
【0051】
図5に示すように、体内バンド調節システムの各部品を患者の体内で孤立させることができるようにハウジング520が設けられている。ハウジング520内には、ポンプアセンブリ530が、センサ522と、アンテナ524と、制御器526と、バッテリ又は電源528と、メモリ529(センサ522及び/又は制御器526内に組み入れてもよい)とに並行して設けられている。センサ522と、制御器526と、バッテリ528と、メモリ529とは、図4を参照しつつすでに詳しく説明したとおり、機能性ないしは機能的関連性(functionalities)を有している。この実施形態においては、センサ522は、内側可膨張リング514内の流体圧力検出するための圧力センサである。この目的を達するため、注入配管516は、ハウジング520に対して、アクセスポート又は手動ポート518から、センサ522との接点を経由し又は通って内側可膨張リング514の入口部に至るように配設されている。いくつかの実施形態においては、センサ522は、注入配管516内の流体に対して、内側可膨張リング514内の流体によってかけられる背圧(back pressure)を直接検出することができる圧力変換器(pressure transducer)を備えている。他の実施の形態においては、センサ522又はセンサ522の一部分は、胃バンド510内、例えば内側可膨張リング514への注入配管516の入口ポートもしくはその近傍、又は内側可膨張リング514の内部に配置されている。
【0052】
センサ522は、ある期間内は不作動とし、内部のタイミング機構により、及び/又は、体外監視装置により制御器526で動作させるようにしてもよい。センサ522は、動作時には、圧力データを採取し、これらのデータをメモリ529内に格納するために、及び/又は、メモリ529内に格納されている予め設定された操作範囲(すなわち、3〜7psi又はより好ましく4〜5psiの最小圧力限界及び最大圧力限界、ないしは最小圧力範囲及び最大圧力範囲であり、バンド設定ということができる)と比較するために、データを制御器526に送る。このようにせず、センサ522は、知的機能(intelligence)及びメモリを有していてもよく、また読み取った圧力データ(すなわち、直接取得されたバンド物性)を、センサ522内にプログラムされたバンド設定と比較するよう動作してもよい。読み取った胃バンド510内の圧力がバンド設定から外れているときは、センサ522は、制御器526を覚醒させ、内側可膨張リング514に対して流体を追加注入又は排出するようにポンプアセンブリ530を操作することにより、胃バンド510内の圧力を上昇又は低下させるよう動作させる。バッテリ528は、ハウジング520内の電力を消費する部品、例えば制御器526、センサ522、及び、ポンプアセンブリ530内のポンプ及び/又は電子バルブなどのための局所的電源である。バンド設定に加えて、メモリ529は、センサ522からの圧力データ及び胃バンド510に関するその他のデータ(バンド確認情報、埋め込みの日付等)を格納してもよく、場合によっては、さらに患者に関するデータ(例えば、患者の名前、最後の治療日又は治療時刻等)を格納してもよい。
【0053】
ポンプアセンブリ530は、一般的に、制御器526からの制御信号に応答するように動作し、内側可膨張リング514内に流体をポンプ注入し、又は内側可膨張リング514から流体を排出又は除去する。これにより胃バンド510の寸法を調節し、ひいてはセンサ522によって監視されているバンドパラメータ又はバンド物性を、操作範囲内又はバンド設定内に復帰させる。図5に示すように、システム500のポンプアセンブリ530は、配管517を介して外側リング容器512と流体連通するブリード弁ないしは抽気弁532(例えば、ばね式プランジャによって操作されるセラミック製ブリード弁等)を備えている。ブリード弁532は、内部容器536によって呼び水が供給される(primed with)ポンプ534(例えば、7psiのバーテルアクチュエータポンプ(Bartel actuator pump)、又は、容量が同一であるか、容量もしくは圧力定格がより大きいか、容量もしくは圧力定格がより小さいその他のポンプ)によって操作される。図5に示す実施形態では、ブリード弁532はまた、内側可膨張リング514の注入・排出配管516にも接続されている。ブリード弁532は、ポンプアセンブリ530が、外側リング容器512と内側可膨張リング514との間で圧力を均等化することを可能にするために設けられている。このブリード弁532は、いくつかの実施形態では望ましいものである(望ましくないときには、ブリード弁532に関連するこれらの部品はポンプアセンブリ53から取り除いてもよい)。
【0054】
さらに付加的に(又は代替的に)、ブリード弁532を、内側可膨張リング514から流体を排出し又は引き抜くのに用いてもよい。これらの実施形態においては、センサ522が、非常に高い圧力、すなわちバンド設定又は操作範囲の上限より高い圧力を検出すると、制御器526は、センサ522からの信号に応答して、ポンプ534を駆動し、ブリード弁532を開弁するであろう。その結果、外側リング容器512と内側可膨張リング514の間の圧力差は、注入配管516及びブリード弁532を介して、内側可膨張リング514から外側リング容器512へ流体を流れさせる(例えば、この操作例では、流体容器512は内側可膨張リング514より低圧に維持されていると仮定している。)。センサ522は内側可膨張リング514内の圧力の監視を続行し、センサ522(又は制御器526)が圧力は所望の操作範囲(又は、より典型的にはこのような範囲の中央もしくは中間点又はその近傍)に入っていると決定したときに、制御器526は、ポンプ534が駆動を停止し、ブリード弁532が閉弁するように動作する。
【0055】
システム500のポンプアセンブリ530はまた、一対のチェックバルブ542、546(例えば、バーテルマイクロチェックバルブ等)を備えている。両チェックバルブ間には、ポンプ540(例えば、20psiのバーテルカスタムアクチュエータポンプ等)が配設されている。一方のチェックバルブ542は、配管517を介して外側リング容器512に接続され、他方のチェックバルブ546は、注入配管516を介して内側可膨張リング514に接続されている。ポンプ540は、両チェックバルブ542、546間に接続され、ポンプ駆動時には、外側リング容器512から内側可膨張リング514へ流体が流れる。この構造においては、ポンプ540は、制御器526によって駆動されたときには、両チェックバルブ526、546を介して外側リング容器512から内側可膨張リング514へ流体をポンプ輸送して、胃バンド510の寸法を増加させるのに用いることができる。制御器526は、内側可膨張リング514内の流体の圧力が、センサ522及び制御器526の操作によって決定される所定の設定された操作範囲(又は、このような範囲の中間点もしくはその近傍、又は予め設定されたその他の点)に入っているときには、ポンプ540に動作停止信号(shut off signal)を送る。
【0056】
いくつかの場合、胃バンド510は、ポンプ540を介して、内側可膨張リング514から流体を引き抜くことにより、その寸法が小さくなるように調節することができる。これらの実施形態では、センサ522は、非常に低い圧力(すなわち、バンドパラメータ又は操作範囲の下限又は下側境界より低い圧力)を検出すると、この情報を制御器526に送る。かくして、制御器526は、チェックバルブ542、546に開弁信号を送り、これにより、流体はポンプ540により、配管517を介して外側リング容器512へ流体が戻るのを可能にする。この実施形態ではまた、外側リング容器512の圧力が内側可膨張リング514内の流体の圧力より低く、かつポンプ540は駆動されていないときには流体の逆流が可能であるように構成されているものと仮定している。センサ522が、センサ522及び/又は制御器526によって決定される計画された(programmed)操作範囲内(又は、この範囲の中間点もしくはその他の設定された点)の圧力を検出したときには、制御器526は、チェックバルブ542、546が閉弁するように動作する。
【0057】
図6は、ポンプアセンブリ530の1つの物理的構造を示している。図6に示すように、ハウジング520は一体型(one-piece)のユニット又は箱であり、センサ522と、制御器526と、バッテリ528と、ポンプ534、540と、内部容器536(さらに、ポンプアセンブリ530のその他の部品も)とを囲い込んでいる。ハウジング520はまた、注入配管516及び容器接続配管517のための流体ポート又は接続点を備えている。ハウジング520に用いる材料は、生体適合性があるものであるのが望ましい。また、ハウジング520は、埋め込み物であるポンプアセンブリの幅広い使用を支援するために、耐漏泄性(leak resistant)、例えば水又は流体に対する密封性を備えるように形成されているのが好ましい。図示していないが、その他の実施形態では、ハウジング520は、異なる形状、例えば円柱形、正方形又はその他の有用な形状のものであってもよい。また、ハウジング520は、その内部に異なる部品が収容される2つ又はこれより多い組み付け式の包囲物からなるモジュール式のものであってもよく、また包囲物は取り外し可能なモジュールであってもよい。
【0058】
図7は、もう1つの実施形態に係る自動制御式の胃バンドシステム700を模式的に示している。システム700は、システム500と同様に構成され、それぞれ注入・排出配管516、517に接続された内側可膨張リング514及び外側リング容器512を有する調節可能な胃バンド510を備えている。注入・排出配管516にはアクセスポート518が接続されている。アクセスポート518は、例えば胃バンド510の寸法を初期設定する埋め込み過程で、外部から内側可膨張リング514に食塩水又はその他の流体を注入することを可能にする。ハウジング720内において、注入・排出配管516には、内側可膨張リング514内における胃バンド510の流体圧力を検出するセンサ722が設けられている。システム700には、システム500における対応する各部品と同様の機能を有する、アンテナ724と、制御器726と、バッテリ728と、メモリ729とが設けられている。
【0059】
システム700は、ポンプアセンブリ730がハウジング720において体内バンド調節システムの一部分として設けられている点において、システム500と構成が異なる。図7に示すように、ポンプアセンブリ730は、注入・排出配管516、517に接続されたブリード弁732を備えている。ブリード弁732は、ポンプ734、容器736及び制御器726の操作によって、ブリード弁532と同様に操作される。しかしながら、ポンプアセンブリ730は、単一のポンプ540が、両チェックバルブ746、748間に直列に配置された複数のポンプ740、742、744(例えば、3つの7psiバーテルアクチュエータポンプ又はこのような機能・目的に適合するその他のポンプ)に置き換えられている点において、ポンプアセンブリ53と異なる。ポンプ740、742、744は、バッテリ728及び制御器726によって操作され、センサ722によって圧力が予め設定された圧力下限より低いことが検出されたときに、外側リング容器512から内側可膨張リング514へ流体をポンプ輸送する。さらに、いくつかの実施形態においては、チェックバルブ746、748は、制御器726によって開弁され、バッテリ728によって電力が供給される。これにより、センサ722及び制御器726が予め設定された操作範囲にあると決定するまで、予め設定された圧力上限より高い圧力(センサ722によって検出される)をもつ内側可膨張リング514内の流体が、内側可膨張リング514から、ポンプ740、742、744を介して、外側リング容器512内へ流れることが可能となる。
【0060】
図8は、さらにもう1つの実施形態に係る自動制御式の胃バンドシステム800を示している。システム800は、システム500、700と同様に、自動貯留式(self-contained)の流体容器512を有する伸張可能な胃バンド510を備えるとともに、ハウジング820内に収容された圧力センサ822と、通信モジュール824と、制御器826と、局所的電源828と、メモリ829とを備えている。しかしながら、システム800は、ポンプアセンブリ530、730とは異なるポンプアセンブリ830をハウジング820内に備えている。図8に示すように、外側リング容器512と内側可膨張リング514との間に、任意的なブリード弁832が設けられている。このブリード弁832は、胃バンド510(又はシステム800)の2つの部分の流体の間に所望の圧力差を維持するように動作することができる。例えば、いくつかの胃バンド510においては、約2psiより小さい圧力差又は約0.25〜1psiより小さい圧力差等を維持するのが好ましい。他の実施形態に係るシステム800(図示せず)おいては、ブリード弁832は省いてもよい。
【0061】
内側可膨張リング514の寸法の選択的な調節を可能にするために、ポンプアセンブリ830は、注入・排出配管516、517に接続された1対のチェックバルブ846、848を備えている。ポンプ輸送し又は流体を移動させる力は、2つのチェックバルブ846、848と流体連通し、ひいては胃バンド510の2つの容器又は部分512、514と流体連通する注射器(syringe)又はその他のチャンバ842によって供給される。流体は、スクイグルモータ838(squiggle motor)の操作によりチャンバ842に引き込まれ、又は排出される。スクイグルモータ838は、ベローズ836を有するモータケーシング834によって密封され(sealed)、モータ838(例えば、スクイグルモータ等)及びチャンバ842に接続されたシャフト/プランジャ840の移動を支援する。
【0062】
システム800の操作時には、センサ822は、胃バンド510の内側可膨張リング514内の圧力を検出する。検出され又は監視される物性は、センサ822によりバンド圧力がプログラムされもしくは予め設定された操作範囲に入っているかどうかを決定するのに用いられ、又は制御器826により決定するのに用いられる。圧力が、予め設定された下限より低いか、又は予め設定された範囲より低いと決定されたときには、制御器826は、センサ822によって検出される胃バンド510内の圧力が予め設定された操作範囲(又は、典型的には圧力下限よりある程度高い圧力)に入るまで、外側リング容器512から内側可膨張リング514へ、チェックバルブ846、848及び注入・排出配管516、517を介して流体をポンプ輸送するようモータ828を動作させる。内側可膨張リング514内の流体の圧力が、予め設定された上限より高いか、又は予め設定された範囲より高いと決定されたときには、制御器826は、チェックバルブ846、848を開弁することにより、センサ822によって検出される圧力が再び範囲(又は、圧力上限より所定の圧力だけ低い圧力)に戻るまで、内側可膨張リング514内の高圧の流体を注入・排出配管516、517を介して外側リング容器512に流れることが可能となるよう、圧力(及びこれに対応する内側可膨張リング514の寸法)を調節する。
【0063】
図9は、さらにもう1つの実施形態に係る自動制御式の胃バンドシステム900を示している。システム900は、システム500、700、800と同様に、胃バンド510とハウジング920とを備えている。ハウジング920は、胃バンド510の注入配管516内に配置された圧力センサ922と、アンテナ又は通信手段924と、制御器926と、バッテリ928と、メモリ929とを囲い込んでいる。ポンプアセンブリ930は、ポンプアセンブリ83と同様に、2つの内腔又は容器512、514間に所望の圧力差を維持するための、配管516、517を介して内側可膨張リング514及び外側リング容器512と流体連通するブリード弁932を備えている。ただし、ポンプアセンブリ930は、ポンプアセンブリ830とは、次の点で異なる。すなわち、ポンプアセンブリ930では、両チェックバルブ942、946間に、スクイグルモータ940を密封するモータケーシング934を備えたポンプ機構が挿入されている。ここで、スクイグルモータ940は、ベローズ936内においてこれを通って伸びるシャフトを介して、ダイヤフラム938を駆動し又は移動させるのに用いられる。システム900のその他の操作は、システム800の場合と同様である。
【0064】
図10は、図5に示すシステム500と同様の構成を備えた自動制御式の胃バンドシステム1000を示している。ただし、両システムは、次の点(システム1000の固有の特徴)で異なる。すなわち、システム1000では、注入配管516のチェックバルブ1049と内側可膨張リング514との間において、ハウジング1020の外側にセンサ1022を配置している。センサ1022は、制御器1026と(有線又は無線で)通信を行う。制御器1026は、アンテナ又は通信手段1024を介して外部の監視/制御装置(図10には示していない)と通信を行い、センサ1022及び外部の監視/制御装置から受け取ったデータをメモリに1029に格納し、かつ、バッテリ1028でポンプアセンブリ1030に電力を供給する(必要であれば)。なお、バッテリ1030は制御器1026にも電力を供給する。制御器1026はまた、(すでに詳しく説明したとおり)センサ1022によって検出されるバンド特性値(例えば、配管516内及びリング514内の流体の圧力)に基づいて内側可膨張リング514に対して流体をポンプで注入又は排出することにより、胃バンド510が典型的には上限及び下限(例えば、上限圧力及び下限圧力)によって規定される所望の操作範囲内に自動的に維持されるようにポンプアセンブリ1030を動作させる。
【0065】
システム1000のポンプアセンブリ1030は、システム500のポンプアセンブリとは構成が異なる。ポンプアセンブリ1030は、(センサによって検出されたときに、制御器1026からの制御信号に基づいて)内側可膨張リング514内の高圧の流体を外側リング容器512に流すためのブリード弁1032を備えている。しかしながら、ポンプアセンブリ1030は、システム530で用いられているものとは異なるポンプ1034(例えば、5psiのシンクスポンプ(Thinxxs pump)等)を備えている。このポンプ1034は、内部容器1036によって呼び水が供給され(primed)、制御器1026からの信号に応答してブリード弁1032を動作させる。システム1000は、両チェックバルブ1048、1049間、ひいては外側リング容器512と内側可膨張リング514の間に、単一のポンプ540でなく複数のポンプ1040、1042、1044、1046(例えば、5psiのシンクスポンプ又はその他の有用なポンプ)が配置されている点でもシステム500と異なる。これらの直接に配置・接続されたポンプ1040、1042、1044、1046は、センサ1022が胃バンド510のための所望の操作範囲又は計画された圧力の下限を規定する最小圧力より低い(又は低い方に外れた)圧力を検出したときに、外側リング容器512から内側可膨張リング514へ流体をポンプ輸送するよう動作する。
【0066】
図5〜図10から明らかなとおり、本発明を実施するのに用いることができるポンプアセンブリとしては、多種又は多数の形態のものがある。さらに、所望の機能を有する自己制御式の胃バンドを実現するために、その他の部品の構成を変更してもよい。例えば、図5〜図10に示すシステムにおいて、流体容器を、胃バンドと一体化された部分又は内腔内に設けてもよい。いくつかの実施形態においては、流体容器をポンプハウジング内に設けるのも望ましい。その他の場合には、流体容器を、ポンプハウジングの外側の部品として設けても、胃バンドの外側の部品として設けてもよい。例えば、別体の弾性的な袋(sack)、風船、又は、ポンプアセンブリにより胃バンドに注入しまた胃バンドから排出するための流体を貯留するために有用なその他の同様の構造物を設けてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態においては、電話回線(telephone link)を介して、医師又はその他の技師により、埋め込まれた胃バンドの調節を行うことを可能にするのが好ましい。簡単に説明すれば、これは、患者側に制御器を局所的に設けるとともに、医師又は技師側に遠隔式の制御器を局所的に設け、2つの制御器を有線又は無線の電話回線でもって通信を行うことにより実現することができる。局所的な制御器としては、遠隔で調整可能なバンド(RAB)の携帯型制御器(また、制御器は患者に局所的に固定することができる)又はRHCを用いることができると考えられる。RHCの主な機能は、次のとおりである。埋め込みポンプを配置する。埋め込みポンプを制御する。容易に使用できるプログラミング(easy to use programming)及びシステム状態表示(system status display)を準備する。遠隔ダイヤルアップ(remote dialup)によりRHC機能にアクセスすることを可能にする。遠隔ダイヤルアップによりアクセスしたときに、すべての機能のウェブページ制御(web page-based control of all functions)を可能にするウェブサーバアプリケーション(we server application)を準備する。クレイドル(cradle)に対する標準無線リンク(standard wireless link)を準備する。これは、制御器及び電話回線に充電電力(charging power)を供給する(ウェブページ及び/又はその他の制御器にアクセスするために)。局所的な制御器又はRHCは、例えば、図1〜図10に示すシステムのアンテナを介して通信を行うのに用いることができる。このようなRHCの使用方法は、以下で詳しく説明する。
【0068】
図11は、埋め込まれた(又は埋め込み可能な)胃バンド1190の調節を制御するためのRAB制御器1150を用いる胃バンドシステム1100の機能的なブロック図である。図12は、RAB制御器1150及びそのクレイドル1110を詳しく示す図である。図11及び図12に示すように、システム1100は、電話接続を行うとともにRAB携帯型制御器又はRHC1150に電力を供給するクレイドル1100を備えている。RHC1150は、順に、無線リンク1162で伝送されるデータを介して、埋め込まれたポンプ1170を制御するのに用いられる。また、RHC1150は、接続部1179での流体の輸送を制御することにより、胃バンド1190の寸法を調節又は制御する。この具体例では、流体は、外部の容器1180(例えば、ポンプアセンブリ1170のハウジングの外部)によって、又は(例えば、胃バンド1190の最初の流体注入又は寸法設定のため)手動ポート1184と接続部1181、1185を経由して供給される。ポンプアセンブリに関してすでに説明したとおり、ポンプアセンブリ1170は、遠隔測定回路1172と、制御器及びメモリ1174と、1つ又は複数の液圧ポンプ1178(hydraulic pump)とを備えている。
【0069】
図11に示すRHC1150は、キーパッド(又はユーザ用入力機構)1164を伴ったディスプレイ1154とユーザインターフェース1152とを備えている。ディスプレイ1154は、ユーザ(例えば、胃バンドを装着している患者、又はその他のシステム1100のオペレータ)が、ポンプアセンブリ1170からのデータと、電話回線1118を介して遠隔で受け取ったデータとをみることを可能にするとともに、ユーザが調節を行い、またある場合にはデータを入力することを可能にする。さらに、RHC1150は、システム制御器1156と、無線回路及びクレイドル1110と通信を行うためのアンテナ又はクレイドルリンク1158と、埋め込まれたポンプアセンブリ1170の遠隔測定回路1172と通信を行うための埋め込み遠隔測定手段(implant telemetry)と、RHC1150をクレイドル1110の外部で用いることを可能にする電源/バッテリ1168とを備えている。
【0070】
クレイドル1110は、電源1120及びRHC充電器1126を介して、電源1104との電力結合1105(power link)を形成することにより、電力結合11128を形成する。より重要なことは、クレイドル1110は、電話端子(telephone jack)又はその他の接続部1102を介して、RHC1150及びポンプアセンブリ1170の遠隔制御を助勢するために、制御器1111及び電話/データ結合1118(telephone/data link)を備えているということである。電話端子1102は、回線インターフェース1112に接続され、無線通信回路/アンテナ1114を介してRHC1150と通信を行う。RHCクレイドル1110の主な機能は、次のとおりである。RHCバッテリ1168を充電する。非使用時にRHC1150を格納する(store)。インターフェース1112を介してデータにアクセスするためのモデム(ある場合には図12に示すような)を含む電話/回線インターフェース(telephone/line interface)を設ける。モデムとRHC1150の間で標準無線データリンク1118を形成し、RHC機構(RHC feature)及びポンプアセンブリ1170への遠隔アクセスを可能にする。遠隔ダイヤルアップを介して、RHC機能(RHC functions)へのアクセスを可能にする。
【0071】
図13及び図14は、RHC1150及びクレイドル1110の1つの有利な物理的構造を示している。図13及び図14は、電源接続部1128(power connection)又は連結コネクタ(docking connector)を介して充電を行うために、RHC1150を、容易にクレイドルに挿入もしくは連結することができ、かつ容易にクレイドルから取り外すことができるということを示している。電話回線1103は、電線1105(12Vの直流電線)とともにクレイドル1110に接続されている(又は接続可能となっている)。これらの図に示す具体例では、ユーザインターフェース1152がその上に設けられたディスプレイ1154は、キーパッド1164及び電源オン・オフスイッチ又は電源オン・オフボタン1356とともにRHC1150内に配置されている。RHC1150は、埋め込み遠隔測定アクセルアンテナ及び標準無線アンテナ1158、1160を備えるために、多くの仕様で構成することができる。これらのアンテナは、図14に示されているように、アクセス及びメンテナンスを容易にするためにRHC1150のハウジング又は本体部の後部に配設されている。図14から明らかなとおり、RHC1150は、携帯して操作することが容易なように構成され、ユーザがRHC1150を、患者及び胃バンド1190の近傍に配置して、ポンプアセンブリ1170内の埋め込み遠隔測定回路1172との通信を促進することを可能にし、かつディスプレイ1154を介してのデータの入出力を容易にする。
【0072】
システム1100及びRHC1150の操作上のいくつかの特徴を説明するとともに、これらにより埋め込まれた胃バンド1190を制御するための操作を説明するのが有用であると思われるので、以下、図15を参照しつつ、これらを説明する。システム1100及びRHC1150の有利な形態としては、以下のものが挙げられる。
(a) RHC1150が制御する埋め込み可能なポンプ1170が、独自の電源を有し、制御器1150から電力を供給する必要がない。
(b) 埋め込み可能なポンプ1170は、所望のバンド圧力が達成されるまで(所望の体積ではなく)、胃バンド1190に対する調節を実施する。
(c) RHC1150は、該RHC1150をRABクレイドル1110内の電話インターフェース1114に接続する、ブルートゥース又はZIGBEEなどといった標準無線インターフェース1158を備えている。ここで、RABクレイドル1110は、順に、インターフェース112と接続部1103とを介して、ダイヤルアップアクセスを行うことができ、あるいはデータ及び制御情報をRHC1150の通信を行うことができる遠隔コンピュータ又は遠隔制御器(図示せず)につながっている。
(d) RHC1150は、制御器1156によって実行される(run)ネットワークソフトウェアを有し、クレイドル1110によって行われる電話インターフェースと無線インターフェース1158とを介して、遠隔コンピュータからの接続を可能にする。
(e) RHC1150は、制御器1156によって実行される(run)ウェブサーバを有し、ダイヤルアップネットワーク接続が電話インターフェースを介して確立された後、調節コマンドを含む全てのRHC1150の機能にウェブベースでアクセスすることを可能にする。これは、コンピュータにアクセスする際に、特別なアプリケーションソフトウェアをインストールすることを不要にする(例えば、ある実施形態では、安全インターネットエクスプローラ又はこれと類似の接続が利用される。)。
【0073】
RHC1150は、次のような高レベルモード、すなわち通常モード、遠隔アクセスモード、連結(docked)モード及び電力低下(power down)モードで動作する。図15は、患者の胃バンドに遠隔的な調節又は制御を行うための通常モードにおけるRHC1150(又は胃バンドシステム1100)の操作を示している。このモードでは、RHCの主要な機能は、RAB埋め込み可能なポンプ1170に対してアクセス及び制御を行うことである。埋め込み可能なポンプ1170に対する無線によるアクセスは、例えば402〜405MHzの周波数範囲で操作する医療埋め込み通信サービス(MICS)バンドを介して行われる。RHC1150と埋め込み可能なポンプ1170の間の通信プロトコルは、患者のプライバシーに係る規制(privacy regulation)及び健康産業に係る規制(health industry regulation)に適合するように保たれる。図15に示すフローチャートは、調節につながる典型的な動作(activities)の集合を示している。調節は、典型的には、離散的な(discrete)体積変化ではなく、胃バンドにおける圧力の変化の形態である。
【0074】
通常の規制モード(regulation mode)又は規制プロセス1500では、RHC1550は、例えばRHC1550上のスイッチ1356を移動させ、又はボタンを押すことなどにより、1510で電源がオンされる。1520では、権限のないユーザが胃バンド1190を調節するのを防止するために、RHC1550を用いるためのパスワードの入力が要求される。1530では、RHC1550が、埋め込まれたポンプ1170を検索して発見するように、システム制御器1156によって操作される。例えば、RHC1150内の埋め込み遠隔測定1160(implanted telemetry)とポンプアセンブリ1170の遠隔測定回路1172との間で通信が実行され、RHC1150によってポンプアセンブリ1170が発見されたときに、1540でリンク1162(link)が確立される。1550では、RHC1550が、埋め込まれたポンプアセンブリ1170のメモリ1174に格納されているデータを呼び出して(retrieve)表示するように動作する(act)。
【0075】
1560では、RHC1550は、UI1152及びディスプレイ1154を介して、圧力変化の入力を促す(すなわち、ユーザに、胃バンド1190を調節するために、胃バンド1190内の圧力を調整し又は変更することを希望させる。)。1570では、入力が受け取られ(例えば、キーパッド1164及び/又はUI1152を介してのユーザによる入力を介して)、圧力変更コマンドがリンク1162を介して、RHC1150から埋め込まれたポンプアセンブリ1170に送られる。1580では、RHC1550は、埋め込まれたポンプアセンブリ1170から、胃バンド1190内の圧力の変更を完了した(例えば、図1〜図10を参照しつつすでに詳しく説明したとおり、制御器1174によるポンプ1178も操作を介して、接続部1179、1181及び流体容器1180を介して流体を注入又は排出した)ことを確認するために待機する。この後、制御過程1500(process)は、1550で、より典型的には確認を表示しつつ、追加のデータの呼出し(retrieve)を継続する。この後、1560で、追加の変更の入力を促す。
【0076】
システム1100(及び図1〜図10に示すシステム)の革新的な特徴は、医師が、遠隔操作で胃バンドの調節を実施することができることである。システム1100を操作することにより、医師又はその他のオペレータは、そのオフィスコンピュータからRHC1550への接続を確実に行うことができる。この接続及び制御の通信は、医師又はその他のオペレータのコンピュータを操作して「ダイヤルアップ(dial-up)」し、電話のモデム又はクレイドル1110内のリンクを介して、RABシステム1100に接続することにより達成される。
【0077】
1つの実施形態では、以下のとおりの一連の事象(events)が起こり、遠隔的なアクセスとRABシステムの制御とを実現する。
(a) 患者は、標準電話回線1103(standard telephone cord)を用いて、クレイドル1110を、機能している電話端子1102(active telephone jack)に接続する。これにより、医師は、典型的には、遠隔的なアクセスを試みる前に、クレイドル/端子の電話番号を知らされる。
(b) 医師は、標準ウィンドウズ(登録商標)のダイヤルアップネットワークのソフトウェアを用いて、RABシステム1100に電話をかける。
(c) クレイドル1110が電話インターフェース及びモデム回路1112有しているので、電話回線1103で電話呼出信号(telephone ring signal)を検出すると、クレイドル1110は、自動的に「電話をつなぎ(pick up)」、モデム1112が稼働状態となる。
(d) クレイドル1110内のモデム1112は、医師のコンピュータのモデム(図示せず)との接続1103を確立する。
(e) 次に、クレイドル1110は、ネットワークソフトウェア(例えば、システムの制御器1156によって実行され及び/又は無線インターフェース1158を備えたTCP/IPスタック(stack))を有するRAB携帯制御器とモデム又はインターフェース1114との間に無線データリンク1118を確立する。
(f) RHC1150は、医師のコンピュータとの間にネットワーク接続を確立する。ここで、ネットワーク接続は、典型的には、マイクロソフトインターネットエクスプローラ安全接続等と互換性を有し(compatible)、暗号化される。
(g) 医師は、そのコンピュータ又はその他の遠隔制御器において、予め設定されたウェブアドレスを用いて、マイクロソフトインターネットエクスプローラ又はこれと同様のアプリケーションを起動する。そして、医師は、RHC1150においてウェブベースのアプリケーションにアクセスし、RHCの機能に係る全ての制御を行うことを可能にする。
(h) 医師は、適当なアクセスコード(ユーザ名及び/又はパスワード)を入力した後に、通常モードの操作(例えば、図15に示す方法1500)で許可されているすべての機能を実行する。
(i) RHC1150のオペレータ又は患者は、RHCのスクリーン又はディスプレイ1154により、医師により埋め込まれたポンプアセンブリ1170の遠隔調節/制御を促進するためにどうような行動をすべきかを促される。多くの場合、無線データリンクは、ブルートゥース、ZIGBEE又はその他の通信プロトコル/技術に準拠したものである。
【0078】
オペレーションの結合モード(docked mode)は、主として、RHC1150に充電を行うために用いられる。しかしながら、遠隔アクセスは、患者のデータを呼び出すために、又は調節を予め計画する(preprogramming)ために行ってもよい。電力低下モードにおいては、RHCの機能は、バッテリの充電及び充電の監視以外は一時停止させられる。
【0079】
自動制御式の胃バンドシステムの操作は、図1〜図15を参照しつつすでに詳しく説明しているが、このようなシステムのその他の実施形態の要点を説明することも有用であると思われるので、以下このような実施形態の要点を説明する。埋め込み可能なポンプアセンブリは、埋め込み可能な胃バンドの非侵襲性の圧力管理を可能にするために設けられている。そして、この機能は、典型的には、図11〜図15に示すRAB携帯制御器(RHC)又はその他の制御器から伝送されたコマンドに対する応答として起動される。埋め込まれたポンプアセンブリ又はその部品は、体内で電力が供給される(すなわち、遠隔的でなく又は患者の体外に配置されたのではないバッテリ等によって局所的に電力が供給される。)。
【0080】
埋め込まれた部品(又は体内バンド調節システム)は、次のような機能的な部品を備えている。すなわち、筺体(enclosure)と、体外容器、手動ポート、流体ポンプ(例えば、作動バルブを備えたバーテル20PSIポンプ等)、制御回路(例えば、ポンプ及び任意のバルブを制御するためのもの)、遠隔測定回路(telemetry circuitry)及びアンテナ、並びに、バッテリ及び電力供給回路を備えている。埋め込み可能なRABポンプは、圧電式20PSIポンプ(又はその他の容量のもの)、例えばその構造仕様に作動バルブが組み込まれているポンプであってもよい。埋め込み可能なポンプは、好ましく、長期間の埋め込みに適するように構成された特別の(custom)埋め込み可能なバッテリにより自立的に電力が供給されるようになっている。ポンプは、入口側バルブ及び出口側バルブを有している。堅固な仕様とするためには、ポンプ入口側のチェックバルブ(check valve)及びポンプ出口側のチェックバルブ、例えばマイクロチェックバルブ(micro check valve)は、漏れをなくすため、又は制御するために用いられる。圧力を解放するとともに圧力を均等化するために、システムは、圧電式バルブ(piezoelectric valve)又は作動バルブ(active valve)等を用いてもよい。このシステムは、容器から胃バンドへ流体を直接ポンプ輸送し、バンド圧力を変化させる。バンド圧力の解放は、別体のサブシステムにより行われる。胃バンドにおける圧力の増加は、ポンプにより直接行われる。圧力の低減は、圧力を解放し、これに続いて適切な圧力となるまで、再度胃バンドに流体をポンプ輸送することにより行われる。
【0081】
以下、胃バンドの調節の2つのモードを説明する。通常の操作モードにおいては、30psiの最小背圧(minimum back pressure)に耐えるチェックバルブを備えた20psiのポンプは、体外容器と胃バンドの間における方向性流れ(directional flow)を維持する。ポンプ、例えば20psi圧電式ポンプ等は、胃バンド内の圧力を増加させるためのものであり、圧力センサによって監視される。圧電材料の特性のため、流れは、胃バンド内の圧力の解放に対して可逆的ではない。ポンプが円転を停止した後、胃バンド内の圧力は維持される。ポンプと一体形成され又はポンプとは別体のチェックバルブが設けられているので、漏れ又は逆流は起こらない。
【0082】
圧力の解放/均等化(equalization)を行うために、胃バンド内における圧力を解放するための、作動バルブ/流れ再方向機構(active valve/flow re-direction mechanism)、例えば圧電作動バルブ(piezo-active valve)が用いられる。作動バルブが開弁されると、胃バンドと容器の間の圧力が均等化される。均等化が達成された後は、作動バルブは閉弁される。この後メインポンプが駆動され、胃バンド内の圧力は所望の圧力となるまで高められる。
【0083】
前記のとおり、場合によっては、埋め込まれた胃バンド内の流体の圧力を監視するのが好ましい。さらに、いくつかの実施形態においては、胃バンドの圧力又は胃バンド内の流体を、体内バンド調節システムにより自動的に監視して制御/調節するのが好ましい。この自動的な調節は、体外制御装置への圧力データ及び設定値の定期的な報告と組み合わせてもよく、場合によっては体外制御装置によって与えられる圧力設定値の変更と組み合わせてもよい。その他の場合においては、例えばアクセスポートのセンサを介して、胃バンド内の圧力を監視し、このような注入操作を行っている間のバンド圧力の監視及び/又は解析に基づいて、胃バンドの注入を制御するのが有利である。以下では、図16〜図18を参照しつつ、本発明に係る圧力に基づく実施形態をより詳しく説明する。以下で説明する態様は、それ単独で用いることができ、又は前記の本発明の実施形態の任意のものと組み合わせて用いることができる。以下で説明する本発明の実施形態ではまた、1つ又は複数のソフトウェアアプリケーション、例えば圧力解析及び調節ソフトウェア又は調節モジュールを使用して、胃バンドの自動的な圧力制御を促進し、又はアクセスポートを介しての胃バンドの注入及び調節と体外注入装置の操作とをより正確に及び/又は効果的に行うことを促進する場合における態様を詳しく説明する。
【0084】
例えば、図16は、本発明の1つの実施形態に係る自動制御式の胃バンドアセンブリ又は胃バンドシステム1600を示している。図16に示すシステム1600は、図4に示すシステム400の修正例であるので、システム400と共通する部分にはシステム400の場合と同一の番号を付し、その詳しい説明は省略する。これらの修正は、本明細書に記載されているすべての自動制御式のシステム(例えば、図5〜図12に示すシステム)についても行うことができることはもちろんである。システム1600は、胃バンド460(例えば、胃バンドの膨張可能な部分)内の流体の検出圧力に基づいて、胃バンド460を自己調整するように構成されている点に特徴がある。この目的を達するため、体内バンド調節システム430のセンサ450は、例えば、胃バンド460、配管448、又はポンプアセンブリ442、配管478、又はアクセスポート474に接続又は配置され、これによりバンド流体と流体連通するように構成されている。センサ450は、胃バンド460内の流体の圧力データを検出又は収集するのに用いられる。制御器432は、圧力データ1620をメモリ436内に(例えば、格納されたセンサデータ440の一部として)格納するよう動作する。メモリ436に、1つ又は複数の圧力目標値1630(例えば、圧力値又は圧力レベル)をバンド設定値438の一部として格納してもよい。制御器432は、容器448及びポンプアセンブリ442を介して、胃バンド460内の流体の体積を調節し、圧力目標値1630を維持する(又は、流体圧力又はバンド圧力を、圧力目標値1630を包含する所定の範囲内に維持し、前記のようなある程度の分散(variance)を認める)よう機能する。圧力データ1620は、I/O装置434、414を介して、無線通信手段426により、体外監視・制御装置410に伝送される(communicated)。データは、体外監視・制御装置410のメモリ416内に圧力データ履歴1650(historical pressure data)として格納される。患者の圧力設定値1640はメモリ416内に格納され、胃バンド460内の圧力の制御に用いるために、体内バンド調節システム430のメモリ436に供給され又は書き込まれる。検出された情報1650は、ディスプレイ412上に圧力のグラフ(graph)又はレポート1666を生成することにより、体外監視・制御装置410のユーザに報告することができる(例えば、一例として、図18中のレポート又はグラフィック1800(graphics)参照)。
【0085】
継続的な圧力の自動調節を可能にするために、体内バンド調節システム430は、圧力解析・調節モジュール1610を備えている。これは、制御器432によって実行されるソフトウェアアプリケーション(又は、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせ)であり、圧力データ1620を処理して、継続している操作の間において圧力目標値1630が維持されているかどうかを決定する。しかしながら、重要なことは、モジュール1610は、圧力データ1620の解析に基づいて、特定の患者のための圧力目標値又は理想的な圧力設定値1630を最初に確立することができるということである。かくして、一旦圧力目標値が設定されれば、モジュール1610は、継続的な態様で、及び/又は、体外監視・制御装置410からのコマンド又は問い合わせに応じて、胃バンド460の圧力を調整するのに用いることができる。いくつかの場合、制御器432は、胃バンド460を一時的に緩めることが好ましい障害又はその他の問題/事象が患者に存在するときには、胃バンド460内の圧力を低減するように動作してもよい。
【0086】
以下、図16及び図18を参照しつつ、システム1600の操作と、圧力解析・調節モジュール1610の使用方法とを詳しく説明する。図18中の圧力のグラフ1810は、患者に装着された胃バンド、例えば胃バンド460の圧力の経時変化を示すグラフである。圧力データ1620は、所定の期間にわたって、複数回の胃バンドへの流体注入を行った場合において、センサ450により採取されたデータである。ここでは、初期値又は公称値の量の流体注入を行い、次に胃バンド内の流体の体積を調節し又は増加させ、この後過剰注入点(overfill point)に対して流体の体積をさらに調整し又は増加させるといった操作を行っている。グラフ1810は、圧力データ1620を圧力解析・調節モジュール1610によりどのように解析して圧力目標値1630を確立し、さらなる調節が望ましい時期(例えば、変化している操作パラメータ、例えば患者及び/又は胃バンド又は連携する装置に関する変化等に適合するように、圧力目標値1630を増加方向又は減少方向に調節する時期)をどうように決定するかを示すのに適したグラフである。
【0087】
グラフ1810は、胃バンド460が埋め込まれた実際の患者から採取された圧力データ1620から生成されたリアルタイムの圧力変化を示す曲線である。この具体例では、最初に、胃バンド460に公称値の量の流体を注入し、1820で示すように、第1又は第2の圧力を生じさせている(例えば、約5〜7PSI)。曲線1810の第1の部分、すなわち0〜517秒の期間の部分は、胃バンド460が患者に満腹感を生じさせた注入体積に対応する時期、又はこの点を若干超えて過剰注入したときの注入体積であった時期に対応している。実験時には、この注入点は、最初に、例えば体外注入装置470により胃バンドに流体を注入し、患者からのフィードバックを受け取ってこのような満腹感を生じさせる注入量の公称値を特定することにより決定された。本願発明者は、ある特定の注入体積においては、データの標準偏差を決定することにより、検出した圧力値の最大値及び最小値から得られる圧力PVARにおいては変動が非常に小さいということに気付いた。このように小さい変動は、0〜517秒の期間における2つの圧力ステップに示されている。
【0088】
曲線1810の第2の部分1830においては、胃バンド460は、圧力を高めるように、例えばこの具体例では約8psiの平均値又は中間値の圧力で、追加の流体が注入された。この実験又は研究のこの時期(すなわち、約517〜約900秒の期間)では、患者は過剰注入である、又は過剰注入であると感じると報告し、患者は若干不快感をもっていた。圧力データにおける圧力変動(variations)PVAR(又は標準偏差)は、曲線1820の満腹した注入の部分でみられる変動に比べて、大幅に大きくなっている。さらに、曲線1840で示すように、胃バンド460に、さらに大幅に過剰注入されたレベルまで流体を注入したときには、約1033〜1377秒の期間から明らかなとおり、胃バンドの圧力応答における変動は大きくなっている。胃バンド460についての前記の知見に基づいて、本願発明者は、圧力解析・調節モジュール1610を、体外装置410からの入力を用いず、又は体外装置410によって与えられる初期目標値を用いて圧力目標値を決定するように構成することができると判断した。
【0089】
ある1つの実施形態においては、圧力解析・調節モジュール1610は、胃バンド460内の流体の検出圧力(例えば、バンド圧力)を解析し、胃バンド460(又は、胃バンド460を用いている患者)のための目標圧力の設定値1630を確率する機能を有する。この機能(functionality)を生じさせるために、体内バンド調節システム430は、センサ450を覚醒又は活性化させ、胃バンド460内の流体圧力から圧力データを採取するようセンサ450を動作することができる(例えば、1秒毎の複数のデータ、又はこれより多いもしくは少ないデータ。)。体外注入装置470は、胃バンド460の従来と同様の公称注入量を与えるように用いてもよい。例えば、ある所定の体積の流体を、胃バンドに流体を過剰注入しないだけでなく、任意の患者のための理想的な又は目標の操作圧力1630で胃バンド460を配置しないよう、アクセスポート474を介して(例えば、針を用いて)追加することができるということが知られている。
【0090】
この流体の注入の後(又は注入時)、圧力解析・調節モジュール1610は、制御器432に、センサ450でもってある所定の期間に圧力データ1620を収集させる(又は、設定された数のデータを収集させる)ことができる。これらの圧力データは、この具体例では約5psiである、圧力曲線1810の第1の部分1820の最初のステップと一致している。圧力解析・調節モジュール1610は、この注入体積で、圧力変動(例えば、最大値と最小値の間で)を解析するよう動作する。このように決定された最大(又は、平均もしくは中間)圧力変動PVAR又は標準偏差は、メモリ436内に格納され、予め設定された最大許容圧力変動と比較される。この予め設定された最大値を超えていない場合は(最初の流体の公称注入レベルでは、大抵は最大値を超えていない)、モジュール1610は、制御器432に、ポンプアセンブリ442を駆動させ、容器448から胃バンド460内に流体をポンプ輸送させ、圧力を次の増加設定値(incremental setting)まで増加させる。この増加設定値は、例えば図18に示す具体例における5PSI〜約7PSIなどのように、特定の量(例えば、0.5psi、1psi、2psi又はこれより大きいその他の有利な値)による公称設定値よりも高い。いくつかの場合、モジュール1610は、制御器432に、予め設定された圧力増加への調節ではなく、予め設定された体積の流体を胃バンド460に追加させて胃バンド460の圧力の増加を生じさせる。
【0091】
この更新された注入レベル/体積又は圧力で、センサ450は、圧力データ1620のもう1つの集合を収集するのに用いられる。圧力解析・調節モジュール1610は、これらのデータを処理し、圧力変動(又はデータの標準偏差)を決定し、この変動又は標準偏差を、予め設定された最大値と比較する。再び、この最大値を超えていない場合(すなわち、圧力の変動が比較的小さい場合)、圧力解析・調節モジュール1610は、胃バンド460はその理想的な圧力設定値にまだ到達していないと決定する。この場合、この理想的な圧力設定値又は圧力目標値は、圧力データは最大化されている(maximize)が、最大値と最小値の間の差により得られる圧力変動(又は標準偏差)は、しきい値レベルを超えておらず、他方注入体積は定常状態又は一定に保持されているものと決定される。他の実施形態では、このような「最大」圧力より低いが、胃バンド460のための公称注入体積又は初期注入体積と関連する圧力を超えている圧力値が操作に用いられる。圧力目標値1630は、あらゆる集団(population)の患者を通じて似てはいるが、典型的には、患者間の差異及び製造上の許容誤差(tolerances)に起因して大きく変化するので、圧力解析・調節モジュール1610は、胃バンド460が特定の患者に埋め込まれた後、該患者のために設定値1630を特定するように動作するのが好ましい。
【0092】
圧力が依然大きくは変化せず、かつ予め設定された最大圧力変動を超えない場合(曲線部分1820の第2ステップに示すような場合)、圧力解析・調節モジュール1610は、例えばセンサデータ中において決定された圧力変動をメモリ436内に格納する。そして、制御器432に、ポンプアセンブリ442が容器448から胃バンド460へより多くの流体をポンプ輸送することにより胃バンド460内の圧力が増加するよう再び動作させる。胃バンドの調節は、圧力増加が、バンド流体の体積が予め設定された増加体積に到達するまで継続される。例えば、圧力センサ450は、メモリ436に格納すべき圧力データ1620の収集を継続する。調節が完了したとき(例えば、図18に示すように、圧力が、0.5psi、1psi、1.5psiもしくは2psi増加した後、又は同様に増加した後、又は約7psi〜8psiから増加した後)、制御器432は、ポンプアセンブリ442の動作を停止させ、センサ450からデータ1620の収集を継続する(例えば、予め設定された期間、又は、圧力解析・調節モジュールモジュール1610によって規定された予め設定された数のデータが収集されるまで)。この後、圧力解析・調節モジュール1610は、この更新されたバンド注入レベルでの圧力変動を決定し、この決定された圧力変動を、胃バンド460のための予め設定された許容変動と比較する。そして、決定された圧力変動が最大値を超えていない場合は、圧力解析・調節モジュール1610によって、胃バンドのための注入体積の増加的変更(incremental change)が開始される。このような圧力レベルが、図18中の曲線部分1840に示されている。
【0093】
前記の場合とは対照的に、圧力解析・調節モジュール1610は、前記の更新された注入レベルで、バンド圧力が非常に大きい圧力変動PVARを有していると決定するようにしてもよい。なぜなら、それは、胃バンド460のための予め設定された最大値と合致するか又はこれを超えているからである。このような決定が行われたときに、圧力解析・調節モジュール1610は、制御器432に、ポンプアセンブリ442又はバルブを動作させて、流体を容器448に還流させ又はポンプ輸送することにより、胃バンド460内の流体の量を減少させるように動作してもよい。例えば、圧力解析・調節モジュール1610は、制御器432に、前の注入レベル(又は、前のバンド圧力)に復帰するような指令を出し、又は前の注入レベルと現在の注入レベルの間の注入レベル又は注入体積(又は、これに関連するバンド圧力)、例えばこれらの2つの注入レベルの中間となるような指令を出してもよい。この注入レベルで、追加のデータを採取してもよい。そして、最大許容圧力変動を超えていない場合は、この注入レベルに関連する圧力を、患者のための理想的な圧力又は目標圧力1620として格納してもよい(又は、注入レベルを、徐々に段階的に増加させ、最大圧力変動設定値を超えないレベルで、目標圧力1620を設定する前に、1回又は複数回このプロセスを繰り返してもよい。)。圧力変動を超えている場合は、圧力データが変動設定値を超えていないことが判明するまで、注入量がさらに低減される。この後、圧力解析・調節モジュール1610は、連続的な又は定期的な態様で圧力データ1620を監視するとともに、前記のように胃バンド460の圧力を目標設定値1630に維持し、又は設定値1630を含む範囲内(例えば、該範囲の中間)に維持するよう制御器4320を動作させるために用いることができる。
【0094】
典型的な実施形態においては、目標圧力1630等を特定するプロセスの実施時における圧力データ1620はメモリ436内に格納される。同様に、圧力解析・調節モジュール1610は、各バンド注入レベルで決定される圧力変動(又は標準偏差)を格納することができる。さらに、いくつかの実施形態においては、各ステップで所定の体積の流体が追加される。この後、このデータは、メモリ416に格納するために、無線通信手段426を介して、体外監視・制御装置410に送られる。かくして、医師又はその他の体外監視・制御装置410の使用者等は、このデータに容易にアクセスすることができ、このデータを見たり検討したりすることができる。いくつかの場合、制御装置1610は、送られてきた圧力データ1650を、図18に示すグラフ1810を作成する際に用いることができる。純粋な履歴データに代えて、体内バンド調節システム430によってデータを収集するたびに装置の1666にグラフ1810を表示し、リアルタイムのフィードバック/情報を提供するようにしてもよい。メモリ416内の情報はまた、格納及び/又はさらなる解析のために、パーソナルコンピュータ又はその他の計算装置に送ってもよい。
【0095】
システム1600は、胃バンド460のリアルタイムの圧力監視を可能にする。例えば、装置410(携帯型又はデスクトップ型の装置)は、典型的には、オペレータが、圧力のグラフ又は表示1666(例えば、図18中の曲線1810と同様のグラフ)において、センサ450から出力された実際の圧力を見ることを可能にするソフトウェア(図示せず)を備えている。圧力の表示1666は、圧力曲線(例えば、曲線1810等)及び/又は付加情報、例えば、経時的に測定された、平均圧力、圧力の標準偏差又は変動、最小圧力、最大圧力等を含んでいてもよい。表示1666中の曲線は、医師等のオペレータが、患者を治療しつつ又は胃バンド460を調節しつつ、胃バンド460内の圧力変化を視認することを可能にするのに有利である。例えば、医師が胃バンドに(例えば、体外注入装置470を介して)流体を追加する一連の定型的なバンド調節を行った後、典型的には、医師は、患者に水を飲み込むことを求め、この後胃バンドが「最適な(optimum)」注入量又は注入レベルに調節されていることを確実化するために、患者にどのような感じがするかを尋ねる。ディスプレイ412中のグラフ/曲線1666でもって、医師は、患者の口頭でのフィードバックを聴くことができるだけでなく、測定された圧力及び調節後の圧力変化/変動に鑑み、さらなる調節が有利であるか又は推奨されるものであるかどうかを決定することができる。
【0096】
圧力の変化又は曲線は、通常、胃及びこれに取り付けられた胃バンド460に変形を生じさせる(translated down)食道の蠕動(peristalsis)によって生成される。これは、食道のストーマに押し下げられる、胃/胃バンド境界におけるストーマを介しての圧力柱(pressure column)であると考えられる。前記のとおり、ソフトウェアモジュール1610は、バンド流体と流体連通するセンサから送られてくる圧力データを解析し、圧力変化又は圧力変動がいつ許容範囲に入ったか(例えば、予め設定された最大の変動又は標準偏差より小さくなった)を特定するよう動作する。
【0097】
モジュール1610によって用いられる予め設定される最大の変動は、多くの方法で胃バンドに設定することができる。例えば、予め設定される最大の圧力の変動又は標準偏差は、全ての胃バンドに適合するような仕様に設定してもよく、また特定の埋め込まれた胃バンド用に設定してもよい。例えば、予め設定される最大値は、一群の患者について調査研究を行い、図18中の曲線1810に関して説明したのと同様の圧力データを収集することにより決定することができる。そして、このような検討に基づいて、特定の仕様の胃バンドのために(例えば、0.005〜0.5psi、より典型的には約0.15psi未満、又は0.1psi未満)、許容しうる最大の変動を設定することができる。この後、この設定値は、特定の患者のための(例えば、胃バンドにおける患者に固有の目標圧力を与える)圧力目標値1630を決定する際にモジュール1610で用いるために、各システム430にプログラムされる(programmed)。
【0098】
胃バンドを埋め込む患者の調査研究は、予め設定された最大圧力変動又は標準偏差を決定するための多くの方法で実施することができるが、典型的にはあるレベルの患者の参加又はフィードバックを必要とするであろう。1つの実施形態においては、圧力データは、いくつかの注入レベル又は注入体積において、多数の患者のための従来の胃バンドから収集されたものである。とくに、圧力データは、「最適な」注入レベルが設定された後(又は、胃バンド内の流体体積を増加させる調節の前)、調節(又は追加の流体の注入)の後、及び、調節が完了した後で患者が水を飲み込んでいるときに取得された。患者は、調整が必要でないときでも、調査研究への参加が要請された。すなわち、医師は事前に、胃バンドを、目標注入レベル又は目標注入流体体積及びこれに関連する圧力に設定した。圧力データは、アクセスポートに針を挿入するとともに、針の流体経路を圧力変換器(pressure transducer)又はセンサに接続することにより、患者の胃バンドから収集された。この特定の実験において用いられた圧力変換器は、1秒ごとに複数の圧力データを取得することができた。そして、圧力変換器に接続された装置は、これらのデータ及びグラフを実質的にリアルタイムで格納することができた(同様の装置も、センサ450のための、本発明に係るシステムに有用であると確信される。)。患者の胃バンドが、医師によって与えられた「最適な」設定値又は目標設定値であるときは、図18の曲線1810の部分1820に示されているように、圧力データはわずかに変動するだけであった。例えば、このわずかな変動は、約0.1psiより小さいものである。患者が水を飲み込んだときには、圧力の漸次の増加が認められたが、変動は依然比較的小さいものであった。
【0099】
前記の場合とは対照的に、胃バンド内の流体の体積が、患者が著しく不快であると指摘した点まで増加したときには、平均又は中間の圧力は、より高い値までステップ状に高めるだけでなく、圧力の変動も増加する(これは、曲線1810の曲線部分1830において認められる)。この後、これらの圧力曲線の相対的な強度は、患者が快適と感じるレベルに関連づけられる。患者が著しく不快であったときには、圧力曲線は、例えば2psi又はこれより高い圧力まで大きく変化するということが判明した。圧力の変動又は波打ちの強度が大きいほど、それらはより長く持続する傾向があった。各患者について、各注入レベルで、例えば2〜5分の期間、データを記録し、観察した。各レベルにおいては、胃バンドから流体が排出されない限り、圧力は低下しなかった(検出された圧力変動から外れては)。これらの試験においては、胃バンドが低い又は「最適な」注入レベル(又は、このような注入体積に関連するバンド圧力)に復帰したときに、圧力変動は再び無視小(すなわち、比較的低く、例えば約0.1〜0.2psi未満である)になると判定された。これは、図18中に示された圧力曲線1810の部分1850において認められる。これらの実験は、胃バンドで用いることができる最大許容圧力変動(又は標準偏差)を設定するためのデータを提供する(しかし、いくつかの場合、このような実験は、特定仕様の各胃バンドについて実施するのが好ましい。なぜなら、許容しうる変動はこのような仕様によって変わるからである。)。このデータに基づいて、圧力解析・調節モジュール、例えばモジュール1610等は、特定の胃バンドを伴った患者のための圧力目標値を決定するために、その後に個々の患者が続く同様のプロセスが続くような仕様に構成することができる(公称注入体積からより高い注入体積への移動、及び、注入体積への復帰は、圧力変動が予め設定された最大圧力変動設定値未満に維持されるよう特定される)。その他の実施形態においては、モジュール(例えば、モジュール1610等)はより複雑であり、種々の注入レベルの解析と、各レベルにおいて特定された変動により、最大許容圧力変動を確立することができる。
【0100】
いくつかの場合、ソフトウェアは、体外装置も備えているシステム1600の体内システム430内に設け、医師による胃バンドの調節及び使用に用いるための新規な診断ツール(diagnosis tool)を設けるのが好ましい。図17は、このような調節ツール又はシステム1700を示している。このツール又はシステム1700は、胃バンド460における圧力応答に基づいて、体内調節システム及びこれに関連するセンサを設けることを必要とすることなく、バンド注入(band fill)又は調節の最適なレベルを決定するのに用いることができる。制御器410(例えば、携帯型の装置)は、医師が、胃バンド460の圧力を徐々に高めることを可能にするよう構成してもよい。この目的を達するため、システム1700は、制御器又はプロセッサ1710を有する制御装置410(例えば、携帯型、デスクトップ、又はその他の電子装置)を備えている。制御器又はプロセッサ1710は、ディスプレイ410、I/O414及びメモリ416の操作を制御するとともに、例えば図16に示すモジュール1610と同様のソフトウェアアプリケーションである圧力解析・調節モジュール1720を動作させる(run)。メモリは、前記のバンドデータ418と、バンド設定値420と、センサデータ422とを格納するために用いられる。ここで、バンド設定値420は、圧力解析・調節モジュール1720によって決定される理想的な圧力設定値又は目標圧力設定値を含む患者圧力設定値1750を含んでいてもよい。また、センサデータ422は、センサ1710から送られてくるリアルタイムの圧力データ又は圧力読み込みデータと、圧力データ履歴1740(historical pressure data)とを含んでいてもよい。
【0101】
システム1700はまた、埋め込まれた胃バンド460の圧力検出を可能にするようにも構成されている。そして、図17に示す実施形態では、これは、注入配管478内の流体(ひいては、胃バンド460内の流体)と接触するようにアクセスポート474又はその近傍に取り付けられた圧力センサ1710(例えば、圧力変換器等)によって達成される。センサ1710はまた、体外注入装置470、又はポート474と装置470の間の配管に設けてもよい。さらに、別の実施形態では、センサ1710を胃バンド460自体に設けてもよい。センサ1710は、無線で又は有線接続(例えば取り外し可能な接続手段)で、検出した又は読み取った圧力をI/O414へ送るように好ましく選択されている。
【0102】
モジュール1610と同様に、モジュール1710は、医師等のオペレータが胃バンド460のための好ましい圧力設定値又は目標圧力設定値を容易に確立することを可能にするよう好ましく構成されている。この目的を達するため、モジュール1720は、例えば体外注入装置470(例えば、針)でもって圧力が上昇方向に徐々に変化させられているときには、胃バンド460における1つ又は複数の注入体積で、センサ1710から送られてきた圧力データを処理するように構成してもよい。モジュール1720は、制御器1710によってディスプレイ410上に表示されるグラフ1760(例えば、図18中のグラフ/曲線1810等)を生成するよう機能するようにしてもよい。このグラフ1760は、満腹した注入レベル及び過剰注入レベル(例えば、それぞれ、曲線1810中の部分1820、1830、1840)を特定するために、胃バンド460が埋め込まれている患者に関連づけてもよい。モジュール1720は、このデータを採取して、各注入レベルにおける圧力変動又は標準偏差を決定するようにしてもよい。モジュール1720は、各注入レベルで変動を関連づけるとともに、結果的に全体的に特定の変動レベル(例えば、0.5psi未満、0.2psi未満、0.1psi未満、又は、システム1700の装置410のオペレータによって特定され、又はモジュール1720自体によって特定されるその他の変動)より低いところにある圧力変動を生じさせる、推奨される目標注入圧力を与えるように動作してもよい。メモリ416内のデータは、患者のために経時的に圧力を追跡するために、医師又はオペレータのコンピュータ又はコンピュータシステム(例えば、このようなシステム内のデータベース)に収集し、ダウンロードすることができる。このようにして、システム1700は、胃バンド460のための圧力を最初に設定し、この後に、例えばセンサ1710に対する問い合わせ等により、センサ1710を介して、胃バンド460の圧力を監視するために用いることができる。
【0103】
図16及びその他の図に示すシステム1600の実施形態は、一般的に自己調節式のものであるが、本発明に係るシステムは手動で調節されることもまた好ましい。例えば、医師又はその他のオペレータにとっては、圧力データ1620、1650をグラフ1666で観察することが可能となるように、又はその他の理由により、モジュール1610の圧力監視操作を開始することが望ましい。1つの装置においては、システム1600は、体外装置410のオペレータ、例えば技師/医師又は患者自身等により覚醒されるように構成される。これは、胃バンド460の位置の上方のストーマに閉塞ないしは障害(obstruction)があるときに有利である。障害は、患者に不快感を惹起する結果となる。この場合、装置410は、接続部426を介して、「覚醒(wake up)」信号を体内バンド調節システム430に送るように動作してもよい。モジュール1610(又は、その他のソフトウェアモジュール)は、覚醒信号を処理し、胃バンド460の自動調節を開始させる(trigger)。障害が存在するときには、モジュール1610は、センサ450から送られてきた圧力データ1620が非常に高く(又は、このような設置値1630に対する望ましい圧力範囲から外れている)、目標圧力設定値1630を超えていると決定するであろう。モジュール1610は、制御器432にポンプアセンブリ442を動作させて、胃バンド460内の流体の体積を減少させることにより(例えば、容器448へ流体をポンプ輸送し、又はバルブを開いて流体を流れさせることにより)、非常に高い圧力又は範囲から外れた圧力に対処する。このような流体の移動は、障害がなくなり、圧力が低圧側で範囲から外れるまで行われる。この時点で、モジュール1610は、容器448から送られてくる流体を胃バンドに自動的に再注入するよう動作する(例えば、電源444を用いてポンプ442を動作させる)。
【0104】
同様に、いくつかの場合、システム1600は、「急速(quick)」解放バルブ、又は圧力を胃バンドから自動的に又は手動で排出することを可能にするその他の装置をさらに備えているのが好ましい。例えば、システム1600(又は本明細書に記載されているその他のシステム)は、流体解放機構を備えていてもよい。この流体解放機構は、体外制御器によって遠隔的に動作させられて空洞部(cavity)から流体の一部を排出する1つ又は複数のバルブ等を備えていてもよい。このようにせず、流体解放機構は、例えば胃バンド又はその内腔/空洞部/シェルとの間の配管に安全弁(safety valve)、例えば一方向チェックバルブ(one way check valve)を設けることにより、自動的に動作させるようにしてもよい。この安全弁は、特定の胃バンド又は患者及び/又は治療計画に関連する特定の最大圧力を超える圧力で開くように選定される。他の場合、流体解放機構は、体内調節システムの一部であってもよく、又は、追加の部品によって形成されてもよく、体内制御器又は処理モジュールからのコマンドによって動作させられてもよく、及び/又は、体外制御器又は監視装置からのコマンドによって動作させられてもよい。これらの実施形態においては、体外制御器、体内制御器、チェックバルブ、又はチェックバルブと同様の装置が、空洞部内の流体の測定された圧力が操作圧力範囲の上限より高いと判定した場合、又は上記上限より高く設定された第2の最大圧力(例えば、上記上限より1〜2psi高い圧力、又はその他の胃バンドのための有用な最大許容圧力)より高いと判定した場合は、測定された圧力を低減することができる。
【0105】
図19〜図21は、代替的な実施形態に係る自己制御式の胃バンドアセンブリ200’を示している。この胃バンドアセンブリ200’は、図2及び図3を参照しつつすでに説明したシステム200と多くの共通点を有するが、システム200と同一の部分には同一の番号を付している。アセンブリ200’は、本発明を実施するために用いることができる典型的な胃バンド210(例えば、システム100において胃バンド110として用いているもの)を備えている。この胃バンドアセンブリ200’は、胃バンド210と、一般的には胃バンド210の物性を直接検出するためのセンサを有する体内調節システム(図示せず)とを備えている。
【0106】
胃バンド210は、注入チューブ又は注入配管212’を備えている。この注入配管212’は、アクセスポート240(図21参照)と胃バンド210の伸張可能な又は膨張可能な部分又は内腔226との間に流体接続を生じさせる。凹状の表面215及び隆起部218を有するベルト214が、留め金部材216に沿って設けられ、このベルト214は、胃バンド210が患者の胃の周囲に埋め込まれたときに、(例えば、最初に、寸法を、9〜11cmのバンド又は他の適切な内直径に設定するために)特定の内側寸法又は内直径の円形の輪又はバンドの最初の形成が、ストーマの初期寸法を実現することを可能にする。ストーマのさらなる精密な調節を可能にするために、胃バンドは、胃の外表面に当接する膨張可能な部分又は部材を備えている。
【0107】
図19に示すように、胃バンド210は、シェル又はモールド成形シェル220と、堅い内側リング222’と、寸法を拡大することができかつこの後で寸法を縮小することができる弾性材料又はその他の材料で製作された膨張可能な部分、可膨張部材又は風船224とを備えている。可膨張部材224は、例えば所定の体積の食塩水等の流体を受け入れるための内側内腔226を備えている。前記のとおり、胃バンド210は、可膨張部材224を膨張又は収縮させるための流体を貯留するための局所的流体容器を備えた形態とされている。ただし、この実施形態では、容器は、胃バンド自体の内部の内腔として示してはいない。内側リング222’は、シェル220に取り付けられた、シェル220とは別体形成された構造部材であってもよく、またシェル220と一体形成された(co-formed)ものであってもよい。
【0108】
前記のものと同様に、体内調節システムは、メモリを有する制御器と、体内電源と、ポンプアセンブリとを備えている(図19及び図20には示していないが、図4〜図10を参照しつつすでに説明したものと同様である)。図21中に模式的に示された制御モジュール242は、図2中に示された前記の体内調節システム230の場合と同様の機能を有しているが、流体の流れの経路は異なる。すなわち、以下で詳しく説明するとおり、代替的な注入チューブ212’が典型的な流体容器を組み込んでいる(incorporate)ので、制御モジュール242は、好ましく胃バンド210に最も近い端部で、注入チューブ212’に接続されている。例えば、制御モジュール242は、必要又は希望に応じて内腔を交互に膨張及させ及び収縮させるために、胃バンド210の内側内腔226と容器との間の2つの流路(dual flow paths)に制御バルブを備えていてもよい。これに代えて、制御モジュール242は、点線で接続形態が示されているように、アクセスポート240に取り付けることができる。
【0109】
前記のとおり、胃バンドの膨張可能な内腔に流体を注入し及び内腔を収縮させるための埋め込み可能な流体容器は、体内バンド調節システム(例えば、図4中のシステム430)と関連づけられたハウジング内の別体の部品として設けてもよい。あるいは、容器は、別体の装置として、例えば体内バンド調節システム又は胃バンドの近傍に設けられた風船状の構造の形態の装置として設けてもよい。これに代えて、容器は、例えば図3に示す内腔323などといった、胃バンド自体の一部として設けてもよい。図22A〜22Hに示す実施形態においては、種々の膨張可能な容器は、注入チューブ212’に沿って設けられている。以下、このような容器の使用方法を簡単に説明した後、各容器を説明する。好ましい実施形態においては、細長い(elongate)容器は、典型的には長さが約8インチ(46cm)である注入チューブ212’の実質的な全長にわたって伸びている。
【0110】
注入チューブ212’における1つの要求は、埋め込み時に小さい形態(low profile)であり、留め金部材216が凹状表面215にはまりこむまで、注入チューブ212’が、ベルト214に沿って、留め金部材216を通って容易に滑動する(slide)ことができるということである。その結果、注入チューブ212’に組み込まれた容器は、萎んだ形態又は収縮した形態で供給することができ、この後、好ましくはアクセスポート240を介して、食塩水又はその他の生理液(physiologic fluid)で膨張させることができる。一旦膨張した後は、容器は、胃バンドの内腔内の流体レベルを増加させ又は減少させるための、流体供給源及び排出流体容器として機能し続ける。容器から排出された液体は、制御モジュール242により、注入/排出配管(図示せず)を介して、胃バンドの膨張可能な部材224の内腔226にポンプ輸送される。これにより、胃のまわりの胃バンドによって形成されたそのIDの寸法を低減して、患者に形成されたストーマの寸法を低減する。別のときには、制御モジュール242は、注入/排出配管を介して、内腔226から容器に流体をポンプ輸送し、胃のまわりの胃バンド210によって形成されたそのIDを増加させるように動作し、これにより患者のストーマの寸法を増加させる。
【0111】
第1の実施形態に係る注入チューブ/容器は、図示していないが、注入チューブと並行して又は注入チューブのまわりに同心円状に取り付けられた細長い萎むことが可能なチューブを備えている。容器のチューブは、システムの埋め込みの前に空気が抜かれ、これにより注入チューブのまわりに又は注入チューブに対して(against)密接する(closely conform)とともに、小さい形態となってバンドを留めるのを容易にする。好ましい実施形態においては、細長く萎むことが可能な流体容器は、注入チューブの実質的な全長にわたって伸びている。ここで、「実質的な全長」との語は、容器及び注入チューブが少なくとも数インチにわたって平行に伸びている場合における注入チューブの全体の長さを意味する。容器は別体に形成されるとともに製造時に注入チューブに接続され、又は、2つの部品が同一の材料で同時に形成される。好ましく、流体容器は、膨張可能であり、流体容器及び注入チューブは、同時押し出し成形で形成される。かくして、容器は、該容器が収縮した第1の状態では、注入チューブの少なくとも一部のまわりで萎み、該容器が膨張した第2の状態では、注入チューブに実質的に隣接して膨張する。
【0112】
任意的であるが、収縮した容器チューブを囲む保護鞘(protective sheath)を設け、捕捉器具(grasper)等により偶然に容器チューブに穴があけられるのを防止するようにしてもよい。保護鞘は、胃バンドが配置された後において、容器が食塩水で膨張させられる前に除去される。萎むことが可能な部分とともに保護鞘は、シリコーン、ポリウレタン、PTFE又はその他の弾性的なポリマー(polymer)で製作することができる。
【0113】
第2の実施形態に係る注入チューブ/容器250について、その収縮した第1の状態を図22Aに収示すとともに、その膨張した第2の状態を図22Bに示す。内側内腔254を有する中央チューブ252は、注入チューブに機能性(functionality)を与え、この後において必要なときには、胃バンドシステムに手動操作で食塩水を導入することを可能にするよう望ましく開く。膨張可能な容器256は、図22Aに示す第1の状態では萎んだ形態であるということができ、図22Bに示す状態では膨張した実質的にチューブ状の形態であるということができる。容器256は、萎んだ形態においては、入り組んだ形状(convoluted shape)を有し、中央チューブ252のまわりに一時的なウェブ260(temporary webbing)で接続された2つの翼状部258a、258bを有する状態となる。容器250が収縮した第1の状態においては、内側容器内腔262は、横向きのC字形の形状を有する。食塩水の追加供給により内腔262内の圧力が上昇するのに伴って、両翼状部258a、258bは、両矢印264で示す方向に互いに離反するように膨張し、最終的には一時的なウェブ260を破裂させる傾向がある。この破裂を促進するために、ウェブ260に、線状のミシン目(perforated line)を形成してもよい。入り組んだ形状の第1の状態にある容器256は、留め金部材216に容易に嵌り、容器256に食塩水を注入して膨張した第2の状態にすることができる。1つの実施形態においては、注入チューブ/容器250は容器256と同時押し出し成形により形成される。容器256の壁部の厚さは、中央チューブ252の厚さよりも薄くなっている。
【0114】
もう1つの実施形態に係る注入チューブ/容器270について、その収縮した第1の状態を図22Cに収示すとともに、その膨張した第2の状態を図22Dに示す。内側内腔274を有する注入チューブ272は、首部278を介して容器276に接続されている。容器内腔280は、図22Cに示す萎んだ第1の状態ではU字形であり、容器276の2つの翼状部282a、282bは、注入チューブ272の各側部で伸びている。容器内腔280を流体で膨張させる際には、膨張力284が両翼状部282a、282bを外向きに広がらせ、最終的には図22Dに示す膨張した第2の状態となる。
【0115】
図22E及び図22Fと図22G及び図22Hとは、それぞれ、膨張可能な容器を常時囲んでいる外側保護シェル又は外側保護鞘を有する2つの代替的な注入チューブ/容器を示している。外側保護鞘は、容器を、捕捉器具又は留め金部材216により損傷を受けないように保護し、また容器を、身体による圧力の影響から遮蔽する。これらの2つの仕様は、単なる例示であり、その他の多数の仕様が意図されている。
【0116】
図22E及び図22Fは、萎んだ第1の状態では注入チューブ292及び容器294が分離した外側保護鞘296内に収容される一方、膨張した第2の状態では注入チューブ292が外側保護鞘から露出している形態の注入チューブ/容器290を示している。注入チューブ292は、容器294の一部を形成している1対の弾力性のある壁部298を介して、外側保護鞘296の内表面に接続されている。注入チューブ292は、外側保護鞘296の自由端縁304を受け入れるための溝部302(channel)を形成する外側肩部300を備えた矢頭(arrowhead)形の形状を有している。容器内腔306は、外側保護鞘296の内表面によって部分的に形成されるとともに、弾性的な壁部298によって部分的に形成されている。図22E及び図22Fから明らかなとおり、容器内腔306の膨張は、互いに付勢し合っている自由端縁が肩部300を越えて(clear)溝部302に嵌るまで、外側保護鞘296の両自由端縁304の間で矢頭形の注入チューブ292に外向きの力を加える。このロック機構(locking feature)は、外側保護鞘296が常時容器294のまわりに留まることを確実にする。1つの実施形態においては、注入チューブ/容器290及び分離した外側保護鞘296は、容器294と同時押し出し成形により形成される。容器294の壁部の厚さは、外側保護鞘296の厚さよりも薄くなっている。
【0117】
図22G及び図22Hに示す非対称な実施形態に係る注入チューブ/容器310においては、萎んだ第1の状態では注入チューブ312及び容器314が外側保護鞘316内に収容される一方、膨張した第2の状態では注入チューブ312が外側保護鞘316から露出している。注入チューブ312は、一方の側部ではウェブ318を介して外側保護鞘316に接続され、他方の側部では弾力性のある壁部320を介して外側保護鞘316に接続されている。容器内腔322は、外側保護鞘316の内表面によって部分的に形成されるとともに、弾性的な壁部320によって部分的に形成されている。図22Hに示すように、容器内腔322の膨張に際して、その膨張力は、外側保護鞘316の自由端縁324が注入チューブ312の一方の側部に形成された溝部326と係合するまで、注入チューブ312を外向きに伸張させる(図中では時計回り方向に回転している)。この場合も、ロック機構は、外側保護鞘316が常時容器314のまわりに留まることを確実にする。1つの実施形態においては、注入チューブ/容器310及び外側保護鞘316は、容器314と同時押し出し成形により一体形成される。容器314の壁部の厚さは、外側保護鞘316の厚さよりも薄くなっている。
【0118】
図22I及び図22Jは、別体の外側保護鞘を有する代替的な膨張可能な流体容器を備えたさらなる代替的な注入チューブ/容器330の横断面図である。内側内腔334を有する中央注入チューブ332は、ブリッジ部338(bridge)を介して膨張可能な容器336に一体的に接続されている。容器336は、図22Iに示す第1の状態では萎んだ形態であるということができ、図22Jに示す第2の状態では膨張した実質的にチューブ状の形態であるということができる。容器336は、萎んだ形態においては、図22C及び図22Dに示す容器276と同様にU字形の形状を有するとともに、注入チューブ332のいずれか一方の側部で伸びる2つの翼状部342a、342bを備えている。容器内腔340が流体による膨張する際には、その膨張力が、両翼状部342a、342bを外向きに広がらせ、最終的には図22Jに示すような膨張した第2の状態となる。入り組んだ形状の第1の状態にある容器336は、留め金部材216に容易に嵌り、容器336に食塩水を注入して膨張した第2の状態にすることができる。
【0119】
注入チューブ/容器330はまた、前記のとおり保護鞘344を有している。ただし、この実施形態では、保護鞘344は、容器とは別体に形成され、製造時に容器に接続される。すなわち、保護鞘344は、図22Iに示すコンパクトな形態となるように付勢された(biased)長い分離したチューブを備えている。ここで、保護鞘344は、注入チューブ/容器330のまわりで折り畳まれ、その両端は重なり合っている。保護鞘344は、当業者によく知られているように、接着剤のビード(bead of adhesive)又はスポット溶接346により、下側の母線(generatrix)に沿って、注入チューブ/容器330に接続されている。容器336が膨張すると、保護鞘344が広がって開き、常時容器を保護する形態を維持する。この実施形態は、保護鞘344を、容器336とは異なる材料で製作することが可能であるので、製造上の利点が多い。
【0120】
本発明は、ある程度は特定の実施形態について説明され、図示されているが、これらの開示は単に例示的なものであるということが理解されるべきである。したがって、当業者であれば、本発明の技術思想又は範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲に基づいて、種々の構成要素を組み立て又は組み合わせる上において、多種多様の変形を行うことが可能であるということを理解すべきである。本発明を実施するために、本発明に係る体内バンド調節システムによって調節される胃バンドは、図1に示すように胃の外部に配置してもよい。また、例えば胃及び/又は食道の内部に配設し又は埋め込んでもよい。すなわち、本発明により調節される胃バンドは胃内バンド(intragastric)であってもよい。このような胃内バンドは、図1〜図10を参照しつつすでに説明したバンドの形態のバンドと同一又は類似のものであってもよい。胃内バンドは、その他の形態(例えば、その内容が参照により本願に組み入れられている下記の文献に記載された形態のもの)と同一又は類似のものであってもよい。また、胃内バンドは、例えば、その内容が参照により本願に組み入れられている米国特許出願第2005/0192601号明細書に記載されているような方法などといった多数の方法で取り付け及び/又は埋め込むことができる。
【0121】
本発明は、複数の好ましい実施形態により説明されているが、本明細書で用いられている用語は単に記述のために用いているだけであり、本発明を限定するものではないということを理解すべきである。したがって、本発明の真の範囲から逸脱することなく特許請求の範囲の範囲内で種々の変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0122】
100 自動制御式の胃バンドシステム(胃バンド装置)、110 胃バンド、112 注入チューブ(注入配管)、114 アクセスポート、120 注入/排出配管、130 体内バンド調節システム(ユニット)、150 体外監視(制御)装置、152 無線通信手段、154 表示部、156 キーボード(入力領域)、200 自動制御式の胃バンドアセンブリ、210 胃バンド、212 注入チューブ(注入配管)、214 ベルト、215 凹状表面、216 留め金部材、218 隆起部、220 シェル、222 内側リング、224 可膨張部材、226 内側内腔、230 体内バンド調節システム、234 容器接続チューブ(容器接続配管)、238 容器接続チューブ(容器接続配管)、323 内腔(容器)、340配管、350 矢印。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内に配設するための埋め込み可能な可調節胃バンドアセンブリであって、
内側内腔を有し流体で膨張可能な可膨張部材を有し、上記内側内腔が上記可膨張部材の内周縁のまわりに位置する胃バンドと、
上記内腔に接続されたポンプアセンブリと、
上記ポンプアセンブリを操作して上記内腔内の流体の体積を調節する制御器と、
埋め込みを促進するための萎んだ形態と、上記内腔内の流体の体積を調節する際に使用するために所定の体積の流体を貯留するための膨張した形態とを有する流体容器とを備えていて、
上記流体容器は、上記ポンプアセンブリと流体連通していることを特徴とする可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項2】
上記流体容器は、上記胃バンドとは別体の装置であることを特徴とする、請求項1に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項3】
上記流体容器は、上記胃バンドの一部分であることを特徴とする、請求項1に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項4】
上記流体容器は、上記胃バンドの外側内腔として形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項5】
注入チューブにつながるアクセスポートをさらに備えていて、注入チューブを介して上記胃バンドの上記可膨張部材の上記内側内腔内に流体を流すことができ、
上記流体容器は、上記注入チューブに沿って設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項6】
上記流体容器は、上記注入チューブに沿って配置された細長い風船であることを特徴とする、請求項5に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項7】
上記流体容器のまわりで萎むとともに、上記流体容器のまわりで膨張して上記流体容器を損傷から保護する保護鞘をさらに備えていることを特徴とする、請求項6に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項8】
患者の体内に配設するための埋め込み可能な可調節胃バンドアセンブリであって、
内側内腔を有し流体で膨張可能な可膨張部材を有し、上記内側内腔が上記可膨張部材の内周縁のまわりに位置する胃バンドと、
上記内側内腔と流体連通し、上記可膨張部材から注入ポートまで伸長する注入チューブと、
上記注入チューブの大部分に沿って伸長し所定の体積の流体を貯留するとともに、上記胃バンドの上記内側内腔と選択的に流体連通する細長い流体容器とを備えていることを特徴とする可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項9】
上記流体容器は膨張可能であることを特徴とする、請求項8に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項10】
上記流体容器のまわりで萎むとともに、上記流体容器のまわりで膨張して上記流体容器を損傷から保護する保護鞘をさらに備えていることを特徴とする、請求項9に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項11】
上記流体容器と上記注入チューブとが同時押し出し成形により形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項12】
上記流体容器は膨張可能であり、
上記流体容器と上記注入チューブとが同時押し出し成形により形成されており、
上記流体容器は、該流体容器が収縮した第1の状態では上記注入チューブの少なくとも一部分のまわりで萎み、該流体容器が膨張した第2の状態では上記注入チューブと実質的に隣り合うよう伸長することを特徴とする、請求項11に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項13】
上記胃バンドの上記可膨張部材の上記内側内腔における流体の圧力データを採取するためのセンサと、
上記内腔に接続されたポンプアセンブリと、
上記ポンプアセンブリを操作して、上記圧力データと上記胃バンドのための目標圧力とに基づいて、上記内腔内の流体の体積を調節する制御器とをさらに備えていることを特徴とする、請求項8に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項14】
上記圧力データを処理するとともに上記目標圧力を設定するための圧力調節モジュールをさらに備えていることを特徴とする、請求項11に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項15】
患者の体内に配設するための埋め込み可能な可調節胃バンドアセンブリであって、
内側内腔を有し流体で膨張可能な可膨張部材を有し、上記内側内腔が上記可膨張部材の内周縁のまわりに位置する胃バンドと、
埋め込みを促進するための萎んだ形態と、上記内腔内の流体の体積を調節する際に使用するために所定の体積の流体を貯留するための膨張した形態とを有する膨張可能な流体容器とを備えていて、
上記流体容器は、該流体容器が収縮した第1の状態と該流体容器が膨張した第2の状態の両方において膨張可能な部分の外部のまわりに留まる外側保護鞘を有していることを特徴とする可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項16】
上記流体容器は、上記胃バンドのまわりに形成されていることを特徴とする、請求項15に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項17】
注入チューブにつながるアクセスポートをさらに備えていて、注入チューブを介して上記胃バンドの上記可膨張部材の上記内側内腔内に流体を流すことができ、
上記流体容器は、上記注入チューブに沿って設けられていることを特徴とする、請求項15に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項18】
上記流体容器と上記注入チューブとが同時押し出し成形により形成されており、
上記流体容器は、該流体容器が収縮した第1の状態では上記注入チューブの少なくとも一部分のまわりで萎み、該流体容器が膨張した第2の状態では上記注入チューブと実質的に隣り合うよう伸長することを特徴とする、請求項17に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項19】
上記保護鞘と上記流体容器と上記注入チューブとが同時押し出し成形により形成されていることを特徴とする、請求項18に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項20】
上記保護鞘は、同時押し出し成形により形成された上記流体容器及び上記注入チューブの一体成形物に取り付けられた分離チューブであり、上記流体容器が収縮した第1の状態では上記流体容器及び上記注入チューブの一体成形物のまわりで縮小された形態に変形させられ、上記流体容器が膨張した第2の状態では上記流体容器を囲みつつ広がって開くことを特徴とする、請求項18に記載の可調節胃バンドアセンブリ。
【請求項21】
埋め込み可能な胃バンドアセンブリを調節する方法であって
内側内腔を有し流体で膨張可能な可膨張部材を有し、上記内側内腔は上記可膨張部材の内周縁のまわりに位置し、かつ上記内側内腔は萎んだ形態と膨張した形態とを有する流体容器と流体連通している胃バンドを準備する過程と、
上記胃バンドと上記流体容器とを一緒に、上記流体容器が萎んだ形態で体内に埋め込む過程と、
患者のストーマのまわりに上記胃バンドを巻き付ける過程と、
上記流体容器を膨張させるための外部の流体源から上記流体容器内に所定の体積の流体を導入して、該流体容器を膨張した形態に変化させる過程と、
上記流体容器に対して流体を給排することにより、上記内側内腔内の流体の体積を調節する過程とを備えていることを特徴とする方法。
【請求項22】
上記胃バンドは注入チューブにつながるアクセスポートをさらに有し、注入チューブを通して該胃バンドの上記可膨張部材の上記内側内腔内に流体を流すことができ、上記胃バンドは留め金部材を有し、かつ上記流体容器は上記注入チューブに沿って設けられていて、
上記胃バンドを巻き付ける過程は、上記注入チューブと萎んだ形態の上記流体容器とを、上記留め金部材を通す過程を有することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
上記流体容器は、該流体容器が萎んだ形態と該流体容器が膨張した形態の両方において膨張可能な部分の外部のまわりに留まる外側保護鞘を有していることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
埋め込み可能な胃バンドアセンブリを調節する方法であって
内側内腔を有し流体で膨張可能な可膨張部材を有し、上記内側内腔が上記可膨張部材の内周縁のまわりに位置する胃バンドと、
上記内腔に接続されたポンプアセンブリと、
埋め込みを促進するための萎んだ形態と上記内腔内の流体の体積を調節する際に使用するために所定の体積の流体を貯留するための膨張した形態とを有するとともに、上記ポンプアセンブリと流体連通する流体容器とを準備する過程と、
上記胃バンドと上記ポンプアセンブリと上記流体容器とを一緒に、上記流体容器が萎んだ形態で体内に埋め込む過程と、
患者のストーマのまわりに上記胃バンドを巻き付ける過程と、
上記流体容器を膨張させるための外部の流体源から上記流体容器内に所定の体積の流体を導入して、該流体容器を膨張した形態に変化させる過程と、
上記ポンプアセンブリを用いて、上記流体容器に対して流体を給排することにより、上記内側内腔内の流体の体積を調節する過程とを備えていることを特徴とする方法。
【請求項25】
上記胃バンドは注入チューブにつながるアクセスポートをさらに有し、注入チューブを通して該胃バンドの上記可膨張部材の上記内側内腔内に流体を流すことができ、上記胃バンドは留め金部材を有し、かつ上記流体容器は上記注入チューブに沿って設けられていて、
上記胃バンドを巻き付ける過程は、上記注入チューブと萎んだ形態の上記流体容器とを、上記留め金部材を通す過程を有することを特徴とする、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図22E】
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【図22F】
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【図22G】
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【図22H】
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【図22I】
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【図22J】
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【公表番号】特表2010−527707(P2010−527707A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509544(P2010−509544)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/064448
【国際公開番号】WO2008/147832
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】