説明

落下防止用ホルダ

【課題】
ボルト、ナット及びワッシャを落下させることなく確実に保持し、これらを保持したままボルトとナットを螺合させることできる落下防止用ホルダを提供する。
【解決手段】
外側ホルダ、これに着脱可能な内側ホルダ、内側ホルダを外側ホルダに対して回転可能に支持するコネクトピン、及び両者を相互に係止する係止手段を設け、内側ホルダ及び外側ホルダをそれぞれ天面、周壁面、及び底面で構成する。外側ホルダの周壁面に内側ホルダの装着口を、内側ホルダにはボルト・ナットの収容口を設ける。また、外側ホルダ及び内側ホルダの各底面に装着口、収容口に対応する部位に外縁から中心にかけて切欠部を形成する。そして、内側ホルダにボルト頭部又はナットを挟持する挟持部を設ける。これにより、内側ホルダの外側ホルダに対する回転に伴って、内側ホルダの周壁面により閉鎖された装着口に収容口が位置合わせされるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業を行う際にボルトやナットが落下することを防止するためにボルトやナットを保持する落下防止用ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
高層ビルや鉄塔などの高所でボルト及びナットを用いて部材を接合する場合、ボルトやナットを落下させてしまうと、作業場の下方に存在する物を損傷させたり、場合によっては人身事故を引き起こしてしまい危険である。このため、高所作業を行う際にボルトやナットを落下させないために、落下防止用の器具に関する発明がこれまでに種々提案されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、ボルト・ナットの落下を防止するために、底部が開口され、ボルトの頭部やナットを保持する筒状の保持部と、この保持部に接続されて該保持部を吊し得るワイヤとを具備し、ボルトのねじ部を保持部の開口部から突出させると共に、ナットのねじ穴が保持部の開口部から露出された状態でボルト・ナットを保持する落下防止具に関する発明が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示の落下防止具は保持部が弾性のあるゴムなどで形成される。そして周壁面には、前記開口部の設けられた下端部から上方に向けて一定長さのスリットが形成される。ボルト頭部やナットを保持部に保持させるためには、開口部からボルト頭部やナットを押し込み、スリットを広げるようにして保持部内部に挿入させて行うようになっている。
【0005】
かかる特許文献1に開示の発明は、保持部の底部に開口部が設けられているため、ボルトのねじ部を突出させると共に、開口部からナットのねじ穴を露出させることで、ホルダでボルト・ナットをそれぞれ保持させたまま、ボルト・ナットを相互に螺合させることができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−25302公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
たしかに、特許文献1に開示の発明は、ボルト・ナットを防止落下具の保持部で保持させたまま螺合させることができる点で便利である。
【0008】
しかし、保持部がゴムなどで形成されているため強度が低く、また耐久性も劣る。また、剛性が低いため、保持部でボルト・ナットを保持させたまま両者を螺合させる際に保持部でボルト・ナットを確実に保持させてねじ込むことができないおそれもある。
【0009】
また、被固定物をボルト・ナットで固定させる場合、ボルトとナットだけで被固定物を固定させるだけでなく、状況によってはワッシャを挟み込んでボルト・ナットで固定することが必要となる場合もある。このような場合、特許文献1に開示の発明ではワッシャをボルト・ナットとは別に準備しなければならい。そのため、ワッシャが必要な場合、ワッシャを落下させてしまうおそれがある。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みなされたものであり、強度・剛性・耐久性に優れ、ワッシャが必要な場合でも、ボルト、ナット及びワッシャを落下させることなく確実に保持することができ、しかも、これらを保持させた状態でボルトとナットとを螺合させることできる落下防止用ホルダを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明では、外側ホルダと、該外側ホルダ内に着脱可能に装着される内側ホルダと、該内側ホルダを、その中心を軸に前記外側ホルダに対して回転可能に支持するコネクトピンと、外側ホルダに対し内側ホルダの回転を係止させる係止手段とを備え、前記内側ホルダは、前記コネクトピンが取り付けられる天面、ボルト頭部又はナットを収容させる収容口の形成された周壁面、及び前記収容口に対応する位置にて外縁から中心にかけて切欠部の形成された底面から構成され、前記外側ホルダは、前記コネクトピンが貫通されるピン穴の形成された天面、前記内側ホルダを装着させる装着口の形成された周壁面、及び記装着口に対応する位置にて外縁から中心にかけて切欠部の形成された底面から構成され、前記内側ホルダには、内部に収容されるボルト頭部又はナットの対向面を挟持して前記内側ホルダに対する回転を阻止する挟持部が形成され、前記内側ホルダの前記外側ホルダに対する回転に伴って、前記内側ホルダの周壁面により閉鎖された前記装着口に前記収容口が位置合わせされるよう構成され、前記コネクトピンには、前記外側ホルダの天面から突出する部位に接続用ワイヤが取り付けられる落下防止用ホルダを採用することとした。
【0012】
本発明によれば、ボルト又はナットをそれぞれ落下防止用ホルダに収容した際、内側ホルダの周壁面が外側ホルダの装着口を閉鎖するので、収容されたボルト・ナットが落下防止用ホルダから脱落することを確実に防止できる。
【0013】
また、外側ホルダ及び内側ホルダ各底面には、切欠部がそれぞれ形成されているので、ボルトのねじ部を落下防止用ホルダの外側に突出させると共に、ナットのねじ穴を、切欠部を介して露出させる。このため、ボルト・ナットを落下防止用ホルダで保持したままボルト・ナットを螺合させることができる。この際、内側ホルダにはボルト頭部の対向面、ナットの対向面を挟持する挟持部が設けられているので、内側ホルダに対する回転が阻止される。
【0014】
さらには、係止手段で内側ホルダの外側ホルダに対する回転を阻止できる。
【0015】
また、本発明においては、前記の係止手段を前記内側ホルダの前記外側ホルダに対する位置を、前記内側ホルダの周壁面が前記装着口を閉鎖する状態、及び前記収容口と前記装着口とが位置合わせされた状態のいずれにおいても位置固定する位置固定手段として構成した。
【0016】
これにより外側ホルダの装着口と内側ホルダの収容口との位置を合わせた位置で、内側ホルダの外側ホルダに対する回転を防止して、ボルト・ナットの収容を容易にする。一方、内側ホルダの周壁面が外側ホルダの装着口を閉鎖した状態でも内側ホルダを外側ホルダに対して位置固定するので、ボルト・ナットが落下防止用ホルダから脱落しない状態を維持することができる。そして、この状態でボルト・ナットを落下防止用ホルダで保持したまま両者を螺合させることが可能となる。
【0017】
また、本発明では前記位置固定手段について、前記外側ホルダの天面に形成された挿入穴と、前記内側ホルダの天面に形成された固定穴と、この挿入穴に挿入される固定ピンとを具備したことを特徴とする。
【0018】
このように簡単な構造であれば、高所作業場においても作業者は容易に内側ホルダの外側ホルダに対する位置固定を行える。
【0019】
そして、本発明ではかかる位置固定手段に関し、更に、前記固定穴に対し係脱される球体と、前記固定ピンに押され、前記ボールを前記内側ホルダの天面に向けて付勢する付勢手段とを備え、前記固定ピンの前記外側ホルダの天面に対する挿入量に応じて前記付勢手段の付勢力を調整可能としたことを特徴とする。
【0020】
外側ホルダと内側ホルダの製作過程においてこれらの寸法誤差がどうしても生じてしまう。このため外側ホルダと、その内部に装着された内側ホルダとの間に所謂ガタが生じたり、逆に嵌合がきつく、内側ホルダが外側ホルダに対し円滑に回転しないことがあり得る。しかし、上記の構成を採用することで、内側ホルダと外側ホルダの嵌合具合を調整でき、円滑に回転させることが可能になる。
【0021】
また、本発明では上記落下防止用ホルダにおいて、前記内側ホルダの周壁面には前記収容口の一側部をなす縁部に前記外側ホルダの周壁面より外側に張り出すつまみ部が設けられたことを特徴としている。
【0022】
これにより、作業者は、高所作業場においても、このつまみを利用して容易に内側ホルダを外側ホルダに対して回転させることができる。
【0023】
また、本発明では上記落下防止用ホルダにおいて、前記内側ホルダの周壁面の外面又は前記外側ホルダの周壁面の内面のいずれか一方に周方向に延びるように形成された条と、他方に周方向に延びるように形成され、前記条がはめ込まれる溝とを設けた。
【0024】
このように、条と、この条がはめ込まれる溝を設けることで、内側ホルダが外側ホルダの内部で回転する際に、内側ホルダがガタつくを防止し、円滑に回転することをアシストする。また、これら条と溝とは、内側ホルダの外側ホルダに対する高さ方向の位置決め手段としても機能する。
【0025】
また、本発明では上記落下防止用ホルダにおいて、前記内側ホルダの内部の高さ寸法は、内部に収容される前記ボルト頭部又はナットの高さ寸法より大きく形成されたことを特徴としている。
【0026】
ボルト・ナットで被固定物を固定する際、一般には、ナットと被固定物との間に、場合によっては、ボルト頭部と被固定物との間に平ワッシャを噛ませることがある。このため、落下防止用ホルダにボルト頭部又はナットに加え平ワッシャを収容させることができるようにしたのがこの発明である。また、必要に応じ、平ワッシャの他、スプリングワッシャを使用することもある。このため、内側ホルダの内部の高さ寸法を平ワッシャ及びスプリングワッシャの双方を同時に収容できる高さに形成しておくとよい。
【0027】
なお、本発明においては、上記落下防止用ホルダは、ボルト頭部を保持するボルトホルダと、ナットを保持するナットホルダの一対から構成される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ボルト及びナットを容易に落下防止用ホルダに収容することができ、収容した後は、内側ホルダの周壁面で外側ホルダの装着口を閉鎖するので、ボルト・ナットの落下防止用ホルダからの脱落を確実に阻止する。
【0029】
また、内側ホルダの外側ホルダに対する位置固定手段、及びボルト頭部又はナットを挟持する挟持部を備えたことで、落下防止用ホルダにボルト・ナットを収容し、これらを保持したままの状態で、ボルトとナットとを螺合させることができる。
【0030】
そして、本発明の落下防止用ホルダの構成を採用することで、落下防止用ホルダを構成する部材を、例えば、剛性、強度及び耐久性に優れた樹脂などを使用することができ、落下防止用ホルダ全体の剛性、強度及び耐久性の向上を図ることができる。
【0031】
なお、落下防止用ホルダには、接続用ワイヤが設けられているので、この接続用ワイヤを作業者自身、作業者に取り付けられた作業袋又は作業場に接続することで、落下防止用ホルダ自体の落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態にかかる落下防止用ホルダの斜視図。
【図2】ボルトホルダを構成する外側ホルダの斜視図。
【図3】ボルトホルダを構成する内側ホルダの斜視図。
【図4】ボルトホルダの外側ホルダに内側ホルダが装着された状態の正面図。
【図5】コネクトピン、固定ピンの取り付け状態を示すボルトホルダの部分断面拡大図。
【図6】ナットホルダの外側ホルダに内側ホルダが装着された状態の正面図。
【図7】ボルト頭部を内側ホルダに収容し、内側ホルダの収容口と外側ホルダの装着口とが位置合わせされた状態を示すボルトホルダの正面図。
【図8】ボルト頭部を内側ホルダに収容し、内側ホルダの周壁面で外側ホルダの装着口が閉鎖された状態を示すボルトホルダの正面図。
【図9】内側ホルダの収容口と外側ホルダの装着口とが位置合わせされた状態から内側ホルダの周壁面で外側ホルダの装着口が閉鎖された状態までの様子を示すボルトホルダの一部切り欠き平面図。
【図10】ナットを内側ホルダに収容し、内側ホルダの収容口と外側ホルダの装着口とが位置合わせされた状態を示すナットホルダの正面図。
【図11】ナットを内側ホルダに収容し、内側ホルダの周壁面で外側ホルダの装着口が閉鎖された状態を示すナットホルダの正面図。
【図12】内側ホルダの収容口と外側ホルダの装着口とが位置合わせされた状態から内側ホルダの周壁面で外側ホルダの装着口が閉鎖された状態までの様子を示すナットホルダの一部切り欠き平面図。
【図13】落下防止用ホルダが工具袋に収納された状態を示す斜視図。
【図14】落下防止用ホルダでボルト頭部及びナットをそれぞれ保持したままボルトとナットを螺合させる状態を示す説明図。
【図15】図14の状態から落下防止用ホルダが外されたボルト・ナットの状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0034】
図1は本発明の一実施形態にかかる落下防止用ホルダ1,100を示す斜視図である。この落下防止用ホルダ1,100は、ボルト頭部201を保持するためのボルトホルダ1と、ナットを保持するためのナットホルダ100の一対から構成される。
【0035】
先ず、図1〜図5を参照してボルトホルダ1について説明する。このボルトホルダ1は、外郭をなす円筒状の外側ホルダ2と、この外側ホルダ2の内部に装着される同じく円筒状の内側ホルダ22とを備えている。また、外側ホルダ2の内部に装着された内側ホルダ22を、その中心を軸として外側ホルダ2に対して回転可能に支持するコネクトピン40を有している。これら外側ホルダ2、内側ホルダ22及びコネクトピン40はいずれも強度及び剛性のある樹脂により形成されている。
【0036】
コネクトピン40の上端には、穴42が形成されており、この穴42にコネクトリング160が取り付けられている。さらに、コネクトリング160には、ジョイント170が接続され、このジョイント170を介して接続用ワイヤ180が接続されている。接続用ワイヤ180の両端は、それぞれ湾曲するように折り返されており、先端部とこの先端から所定の距離だけ離れた位置とがかしめられ、リング状に形成されている。この接続用ワイヤ180において、ボルトホルダ1の取り付けられていない一端側は、作業者などに接続される。これにより落下を防止する。この接続用ワイヤ180は、長さが300mmから500mm程度に形成される。
【0037】
図2に示すように、外側ホルダ2は、天面3、周壁面6及び底面9か構成される。天面3は円盤状に形成され、その中心にコネクトピン40が貫通されるピン穴4が形成されている。また、ピン穴4の両脇には、後述する固定ピン31が挿入されるピン穴5がそれぞれ形成されている。
【0038】
周壁面6は、外側ホルダ2の周方向に関し、その半周分に対応する範囲のみに設けられ、あとの半周分は開口されている。この開口された部分は外側ホルダ2の内部に内側ホルダ22を装着させるための装着口7である。さらに、周壁面6の内周部には、天面3から一定の距離だけ離れた位置に周方向に沿って形成された半円状の溝8が形成されている。この半円状の溝8は、内部に装着される内側ホルダ22の外側ホルダ2に対する高さ方向の位置決めをすると共に、外側ホルダ2内での内側ホルダ22の回転をアシストする機能を有する。
【0039】
そして、底面9は、略円盤状に形成され、その周方向において、周壁面6に設けられた装着口7に対応する部位の範囲内に切欠部10が形成されている。この切欠部10は、底面9の外縁から中心までの範囲に形成されており、ボルトホルダ1でボルト200保持した際にボルト200のねじ部202を外側に突出させるためのものである。
【0040】
図3に示すように、内側ホルダ22も、天面23、周壁面26及び底面29から構成される。天面23は、円盤状に形成され、その中心にピン穴24が形成され、このピン穴24にはコネクトピン40が挿入される。また、コネクトピン40が挿入されるピン穴24の両脇には後述する球体33が係脱される固定穴25が形成されている。この固定穴25の位置は、外側ホルダ2に形成された固定ピン31用のピン穴5の形成された位置に対応しており、内側ホルダ22を外側ホルダ2内に装着させた際に相互の位置が一致するように形成されている。なお、固定穴25の穴径は、外側ホルダ2の固定ピン31用のピン穴5の穴径よりも小さく形成されている。
【0041】
周壁面26は、内側ホルダ22の周方向に関し、その半周分に対応する範囲のみに形成されて、あとの半周分は開口されている。この開口された部分は内側ホルダ22の内部にボルト頭部201を収容させるための収容口27として構成されている。また、周壁面26の外周面には、天面23から一定の距離だけ離れた位置に半円状の条28が周方向に沿って形成されている。この条28は、内側ホルダ22を外側ホルダ2内に装着させた際に、外側ホルダ2の周壁面6の内周面に形成されている溝8にはまり込むように形成されている。
【0042】
そして、底面29は略円盤状に形成されている。この底面29には、その周方向に関し、周壁面6に設けられた収容口27に対応する部位の範囲内に切欠部30が形成されている。この切欠部30は、底面29の外縁から中心までの範囲に形成されている。この切欠部30は内側ホルダ22にボルト頭部201を収容した際にボルト200のねじ部202を外側に突出させるように構成したものである。
【0043】
この内側ホルダ22に関し、天面23の内面と底面29の内面の距離、即ち、内側ホルダ22の内部の高さは、ボルト200のねじ部202に平ワッシャ210を挿入させて、ボルト頭部201と平ワッシャ210とを収容させることができるように、ボルト頭部201の高さと平ワッシャ210の厚みとを加えた寸法よりも大きく形成されている。これにより、ボルト200のねじ部202に平ワッシャ210を予め挿入させ、ボルト頭部201と平ワッシャ210とを重ね合わせた状態で内側ホルダ22の内部に収容させることを可能としている。
【0044】
図4は、外側ホルダ2の装着口7と内側ホルダ22の収容口27の位置を周方向において相互に一致させた状態で、外側ホルダ2に内側ホルダ22を装着した状態を示している。この図4に示すように、装着口7と収容口27の位置を一致させた状態で外側ホルダ2に内側ホルダ22を装着させると、外側ホルダ2の周壁面6の内周面に形成された溝8に内側ホルダ22の周壁面26の外周面に形成された条28がはめ込まれる。これにより、外側ホルダ2に対する内側ホルダ22の高さ方向の位置が定められる。
【0045】
なお、この実施形態においては、外側ホルダ2の周壁面6の内面に溝8を形成し、内側ホルダ22の周壁面26の外面に条28を形成しているが、これとは逆に外側ホルダ2の周壁面6の内面に条を形成し、内側ホルダ22の周壁面26の外面に溝を形成しても構わない。
【0046】
また、外側ホルダ2の天面23に形成されたコネクトピン40用のピン穴4と内側ホルダ22の天面23に形成されたコネクトピン40用のピン穴24とが相互に位置合わせされると共に、外側ホルダ2の固定ピン31用のピン穴5と内側ホルダ22の固定穴25の位置同士も相互に一致される。
【0047】
図1を再度参照して、他の構成について説明する。内側ホルダ22の収容口27の両側部には、収容口27から内側に向けて張り出す挟持部50がそれぞれねじ止めされている。この挟持部50は、内部に収容されるボルト頭部201の側部面を構成する6面のうち、対向する2つの面を挟持するためのものである。この挟持部50がボルト頭部201の対向面を挟持することにより、ボルト200が内側ホルダ22内において内側ホルダ22に対して回転することを阻止され、周方向に関し内側ホルダ22に対して位置固定される。
【0048】
また、2つ挟持部50のうち、図1の左側に位置する挟持部50には外側ホルダ2の周壁面6の外側に張り出したつまみ部51が一体に形成されている。このつまみ部51は、内側ホルダ22を外側ホルダ2内で回転させる際に手でつまむなどして、内側ホルダ22の回転をアシストするためのものである。
【0049】
次に、図5を参照してコネクトピン40及び固定ピン31の取り付け構造について詳細を説明する。
【0050】
コネクトピン40は、先端に既述のコネクトリング160が取り付けられる穴42が形成される一方で、根本には、外側に張り出すフランジ41が形成されている。内側ホルダ22の天面23に形成されたピン穴24の内径は、このコネクトピン40のピン径に対しややきつめの嵌合に形成されている。一方、当該コネクトピン40のピン径は、外側ホルダ2の天面3に形成されたピン穴4の内径より若干緩めの嵌合となるように形成され、外側ホルダ2がコネクトピン40に対し円滑に回転することができるように構成されている。また、内側ホルダ22の天面23の内面には、コネクトピン40のフランジ41がはめ込まれる浅い嵌合穴24aが形成されている。
【0051】
固定ピン31は、例えば、頭部31aとねじの形成されたねじ部31bとから構成されている。一方、外側ホルダ2の天面3に形成されたピン穴5は、天面3の外面から板厚の途中までの区間に雌ねじが形成され、固定ピン31はこの雌ねじの形成された区間の範囲でねじ込まれる。そして、ピン穴5における板厚方向の残りの区間には、固定ピン31の先端により押し込まれるスプリング32が設けられ、スプリング32の下には内側ホルダ22の天面23との間に配される球体33が設けられる。この球体33は、固定ピン31に押し込まれたスプリング32の付勢力により内側ホルダ22の天面23に向けて付勢される。
【0052】
これに対し、内側ホルダ22の天面23に形成された固定穴25は、既述のように、外側ホルダ2の天面3に形成されたピン穴5の径より小さく形成されている。この固定穴25には、スプリング32により付勢された球体33がはめ込まれたり、外れたりする。外側ホルダ2のピン穴4の位置と内側ホルダ22の固定穴25の位置とが一致している状態では、球体33はその下部が固定穴25にはめ込まれた状態となる。他方、内側ホルダ22を外側ホルダ2に対して回転させると、球体33は、スプリング32の付勢力に抗して内側ホルダ22の天面23上に移動される。なお、収容口27と装着口7とが一致された状態、及びその状態から内側ホルダ22を外側ホルダ2に対し180度回転させて、内側ホルダ22の周壁面26で装着口7を閉鎖した状態のいずれにおいても、外側ホルダ2に形成されたピン穴5と内側ホルダ22に形成された固定穴25の位置は、相互に一致するように形成される。
【0053】
これら外側ホルダ2、内側ホルダ22、コネクトピン40、固定ピン31、スプリング32及び球体33を組み立てるには、次のようにして行う。
【0054】
まず、外側ホルダ2の内部に内側ホルダ22を装着する。この際、両者のコネクトピン40用のピン穴4,24の位置を一致させると共に、外側ホルダ2の固定ピン31用のピン穴5と内側ホルダ22の固定穴25の位置とをそれぞれ一致させる。次いで、コネクトピン40を内側ホルダ22の内側から挿入し、先端を外側ホルダ2の上方まで突出させる。そして、天面23の内面に形成された嵌合穴24aにフランジ41をはめ込むようにして組み合わせる。この際、接着剤などを使用してフランジ41と嵌合穴24aとを接着させ、内側ホルダ22とコネクトピン40とが一体に回転するように構成する。
【0055】
その後、外側ホルダ2の天面3の外側から球体33を落とし込み、固定穴25にはめ込ませる。そして、スプリング32をピン穴5に挿入し、その上から固定ピン31を固定ピン31用のピン穴5にねじ込む。この際、内側ホルダ22が外側ホルダ2に対し円滑に回転するように、固定ピン31をねじ込む深さを調整する。調整が済んだ後は、固定ピン31の位置がずれないように、接着剤などで固定ピン31の位置を固定するとよい。このように、調整可能とすることで、内側ホルダ22と外側ホルダ2の製造段階において寸法誤差が生じた場合に、両者の嵌合がきつい場合や緩い場合に対応させて、内側ホルダ22の回転を円滑に行わせることができる。
【0056】
なお、この実施形態では接着剤でコネクトピンと内側ホルダ22とを接着して固定する構成を示したが、コネクトピン40と内側ホルダ22との固定方法は、接着剤で固定する構成には限定されない。例えば、内側ホルダ22の天面23に雄ねじを上方に向けて突出するように取り付け、この雄ねじを天面23に接着剤で固定する。一方、コネクトピン40にねじ穴をその軸方向に形成する。このように、雄ねじにコネクトピン40をねじ込むことができるように構成し、内側ホルダ22、雄ねじ及びコネクトピン40を一体に形成するようにしても構わない。
【0057】
次に、図1及び図6を参照して、ナットホルダ100について説明する。なお、図6は、ナットホルダ100を構成する外側ホルダ102に内側ホルダ122が装着された状態を示す正面図である。
【0058】
図1に示すように、このナットホルダ100の構成は、ボルトホルダ1の構成とほぼ同様であるので、簡単に構成を説明する。ナットホルダ100は、外郭をなす円筒状の外側ホルダ102と、この外側ホルダ102の内部に装着される円筒状の内側ホルダ122とを備えている。また、外側ホルダ102の内部に装着された内側ホルダ122を、その中心を軸として外側ホルダ102に対して回転可能に支持するコネクトピン140を有している。
【0059】
コネクトピン140の上端には、コネクトリング160が取り付けられる。さらに、コネクトリング160には、ジョイント170が接続され、このジョイント170を介して接続用ワイヤ180が接続される。接続用ワイヤ180の両端は、それぞれ湾曲するように折り返され、先端部とこの先端から所定の距離だけ離れた位置とがかしめられ、リング状に形成されている。この接続用ワイヤ180においてナットホルダ100の取り付けられていない端部は、作業者などに接続され、落下を防止する。
【0060】
外側ホルダ102は、天面103、周壁面106及び底面109から構成される。天面103には、その中心にコネクトピン140が貫通されるピン穴104が形成され、その両脇には、固定ピン131が挿入されるピン穴105がそれぞれ形成されている。
【0061】
周壁面106は、その半周分に対応する範囲のみに設けられ、あとの半周分は開口され、内側ホルダ122を装着させるための装着口107が形成されている。また、周壁面106の内周部には、周方向に沿って半円状の溝108が形成されている。
【0062】
そして、底面109は、略円盤状に形成され、既述の周壁面106に設けられた装着口107に対応する部位の範囲内に切欠部110が形成されている。この切欠部110は、底面109の外縁から中心までの範囲に形成されており、ナットホルダ100でナット205保持した際にナット205に形成されたねじ穴206を外部に対し露出させる。
【0063】
内側ホルダ122も、天面123、周壁面126及び底面129から構成される。天面123は、その中心にコネクトピン140が挿入されるピン穴124が形成され、このピン穴124の両脇には固定ピン131に押されるスプリングに付勢される球体が挿入される固定穴125が形成されている。なお、固定穴125の穴径は、外側ホルダ102の固定ピン131用のピン穴105の穴径よりも小さく形成されている。
【0064】
周壁面126は、半周分に対応する範囲のみに形成されて、あとの半周分は開口され、内部にナットを収容させるための収容口127として構成されている。また、周壁面126の外周面には、半円状の条128が周方向に沿って形成されている。この条128は、内側ホルダ122を外側ホルダ102内に装着させた際に、外側ホルダ102の周壁面106の内周面に形成されている溝108にはまり込むように形成されている。
【0065】
そして、底面129には、周壁面126に設けられた収容口127に対応する部位の範囲内に、底面129の外縁から中心までの範囲に切欠部130が形成されている。この切欠部130は内側ホルダ122にナット205を収容した際にナット205のねじ穴206を外部に露出させる。この内側ホルダ122についても、内部の高さは、ナット205と平ワッシャ210を重ね合わせた状態で内側ホルダ122の内部に収容させることができるように形成されている。
【0066】
もっとも、このナットホルダ100においては、ボルトホルダ1に比べその高さ寸法が大きく形成されている。これにより、内側ホルダ122内に複数の平ワッシャ210を収容し、被固着物の厚さに応じて適宜に調整をすることが可能になっている。また、必要に応じ平ワッシャ210に加えスプリングワッシャ211を使用することもある。このような場合でも、ナット205、平ワッシャ210及びスプリングワッシャ211を重ねて収容することができる。
【0067】
そして、図6に示すように、装着口107と収容口127の位置を一致させた状態で外側ホルダ102に内側ホルダ122を装着させると、外側ホルダ102の周壁面106の内周面に形成された溝108に内側ホルダ122の周壁面126の外周面に形成された条128状がはめ込まれる。これにより、外側ホルダ102に対する内側ホルダ122の高さ方向の位置が定められる。
【0068】
また、外側ホルダ102のコネクトピン140用のピン穴104と内側ホルダ122のコネクトピン140用のピン穴124とが相互に位置合わせされると共に、外側ホルダ102の固定ピン131用のピン穴105と内側ホルダ122の固定穴125の位置同士も相互に一致される。
【0069】
そして、内側ホルダ122の収容口127の両側部には、収容口127から内側に向けて張り出す挟持部150がねじ止めされている(図1参照)。この挟持部150は内部に収容されるナット205の側部面を構成する6面の内、対向する2つの面を挟持するためのものである。この挟持部150がナット205の対向面を挟持することにより、ナット205が内側ホルダ122に対して回転することを阻止され、周方向に関し内側ホルダ122に対して位置固定される。
【0070】
また、2つ挟持部150のうち、図1の左側に位置する挟持部150は外側ホルダ102の周壁面106の外側に張り出したつまみ部151が一体に形成されている。このつまみ部151は、内側ホルダ122を外側ホルダ102内で回転させる際に手でつまむなどして、内側ホルダ122の回転をアシストするためのものである。
【0071】
そして、ナットホルダ100の外側ホルダ102、内側ホルダ122、コネクトピン140及び固定ピン131は、それぞれボルトホルダ1と同様の構成を有し、これらは、ボルトホルダ1と同様に組み立てられる。
【0072】
以上の構成を備えた落下防止用ホルダ1,100は次のように使用される。
【0073】
先ず図7〜図9を参照してボルトホルダ1の使用状態について説明する。なお、図7は、収容口27の位置と装着口7の位置とを一致させた状態にてボルト頭部201及び平ワッシャ210を内側ホルダ22に収容した状態を示し、図8は、図7の状態から内側ホルダ22を外側ホルダ2に対し180度回転させて、内側ホルダ22の周壁面26で外側ホルダ2の装着口7を閉鎖した状態を示した図である。そして、図9(A)から図9(C)は、ボルトホルダ1について、収容口27の位置と装着口7の位置とを一致させた状態から内側ホルダ22の周壁面26が外側ホルダ2の装着口7を閉鎖する状態までの変化を、外側ホルダ2の天面3及び内側ホルダ22の天面23を切り欠いた状態で示した説明図である。
【0074】
図7に示すように、ボルト200は、ボルト頭部201が内側ホルダ22の内部に収容口27から収容される。この際、ボルト頭部201の側面を構成する6つの側面のうち対向する2つの側面は、挟持部50の間に挟み込まれる。ボルト頭部201は、挟持部50には挟み込まれることで周方向に位置固定され、内側ホルダ22に対し回転することが阻止される。一方、ボルト200のねじ部202は、内側ホルダ22の底面29及び外側ホルダ2の底面9にそれぞれ形成された切欠部10,30からボルトホルダ1の外側に突出される。
【0075】
そして、内側ホルダ22内部の高さ寸法は、ボルト頭部201の高さと平ワッシャ210の厚みとを合算した寸法より大きく形成されているので、ボルト200のねじ部202に予め平ワッシャ210を通しておけば、内側ホルダ22の内部には、ボルト頭部201と平ワッシャ210とを収容させることができる。
【0076】
この図7に示した状態から図7の左側位置するつまみ部51を利用して内側ホルダ22を外側ホルダ2に対して回転させると、図8に示すように、装着口7が内側ホルダ22の周壁面26で閉鎖される。
【0077】
図9を参照して図7に示した状態から図8に示した状態までの変化を詳細に説明する。
【0078】
図9(A)は、収容口27の位置と装着口7の位置とが一致された状態を示している。この図9(A)に示した状態においては、ボルト200は、ボルトホルダ1のほぼ中央に収容される。そして、既述したように、ボルト頭部201の対向する2面は、収容口27の端面に取り付けられた挟持部50によって挟み込まれる。この状態から図9(A)の左側に位置する挟持部50と一体に形成されたつまみ部51利用し、内側ホルダ22を外側ホルダ2に対し反時計回りに回転させる。内側ホルダ22を回転させると、図5を参照して説明した2つの球体33がスプリング32の付勢力に抗して固定穴25からそれぞれ外れ、内側ホルダ22の天面23上に移動される。そして、内側ホルダ22の回転に伴って、球体33は内側ホルダ22の天面23上を転がりながら周方向に移動する。球体33は転がりながら移動するので、外側ホルダ2に対し内側ホルダ22は円滑に回転する。
【0079】
図9(B)は、図9(A)の状態から内側ホルダ22を90度回転させた状態を示している。この図9(B)に示した状態においては、装着口7は、内側ホルダ22の周壁面26により半分だけ閉鎖される。なお、ボルト頭部201が挟持部50により挟み込まれているので、ボルト200は、内側ホルダ22の回転と共に外側ホルダ2に対して回転される。
【0080】
さらに、内側ホルダ22を反時計回りに回転させ、図9(A)の状態から1080度回転させると、図9(C)に示すように、外側ホルダ2の装着口7は、内側ホルダ22の周壁面26によって完全に閉鎖される。この際、内側ホルダ22の天面23上を移動していた球体33は、スプリング32に押され、図9(A)の状態のとは逆側の固定穴25にそれぞれはめ込まれる。球体33が固定穴25にはめ込まれることで、内側ホルダ22は外側ホルダ2に対し、周方向について位置固定される。これにより、内側ホルダ22の外側ホルダ2に対する回転が阻止される。
【0081】
次に図10から図12を参照してナットホルダ100の使用状態について説明する。図10は、収容口127の位置と装着口107の位置とを一致させた状態にて、ナット205、スプリングワッシャ211及び平ワッシャ210を内側ホルダ122に収容した状態を示し、図11は、図10の状態から内側ホルダ122を外側ホルダ102に対し180度回転させて、内側ホルダ122の周壁面126で外側ホルダ102の装着口107を閉鎖した状態を示した図である。そして、図12(A)から図12(C)は、収容口127の位置と装着口107の位置とを一致させた状態から、内側ホルダ122の周壁面126で外側ホルダ102の装着口107を閉鎖した状態までの変化を、外側ホルダ102の天面103及び内側ホルダ122の天面123を切り欠いた状態で示した説明図である。
【0082】
図10に示すように、ナット205は、内側ホルダ122の内部に収容口127から収容される。この際、ナット205の側面を構成する6つの側面のうち対向する2つの側面は、挟持部150の間に挟み込まれる。ナット205は、挟持部150には挟み込まれることで周方向に位置固定され、内側ホルダ122に対し回転することが阻止される。そして、外側ホルダ102の底面109及び内側ホルダ122の底面129に形成された切欠部110,130からナット205に形成されているねじ穴206は露出される。
【0083】
また、内側ホルダ122内部の高さ寸法は、既述のボルトホルダ1の高さ寸法よりも大きく形成されており、ナット205の高さ、スプリングワッシャ211の厚み、及び平ワッシャ210の厚みを合算した寸法より大きく形成されている。このため、内側ホルダ22の内部には、ナット205、スプリングワッシャ211及び平ワッシャ210を重ね併せて収容させることができる。
【0084】
この図10に示した状態から図10の左側位置するつまみ部151を利用して内側ホルダ122を外側ホルダ102に対して180度回転させると、図11に示すように、装着口107が内側ホルダ122の周壁面126で閉鎖される。
【0085】
図12を参照して図10に示した状態から図11に示した状態までの変化を説明する。なお、ナットホルダ100の状態の変化は、ボルトホルダ1の状態の変化と同様であるので、ここでは簡単に説明する。図12(A)は、収容口127の位置と装着口107の位置とが一致された状態を示し、ナット205は、ナットホルダ100のほぼ中央に収容される。そして、ナット205の対向する2面は、挟持部150によって挟み込まれる。この状態から図12(A)の左側に位置するつまみ部151利用し、内側ホルダ122を外側ホルダ102に対し反時計回りに回転させる。内側ホルダ122を回転させると、ボルトホルダ1の場合と同様に2つの球体が固定穴125からそれぞれ外れ、内側ホルダ122の天面123上を周方向に移動する。
【0086】
図12(B)は、図12(A)の状態から内側ホルダ122を90度回転させた状態を示し、装着口107は、内側ホルダ122の周壁面126により半分だけ閉鎖される。なお、ナット205は、内側ホルダ122の回転と共に外側ホルダ102に対して回転される。
【0087】
さらに、内側ホルダ122を反時計回りに回転させ、図12(A)の状態に対して180度回転させると、図12(C)に示すように、外側ホルダ102の装着口107は、内側ホルダ122の周壁面126によって完全に閉鎖される。ナットホルダ100についても、球体が逆側の固定穴125に再びはめ込まれることで、内側ホルダ122は外側ホルダ102に対し、周方向について位置固定される。
【0088】
以上の構成を有し、作用を奏する落下防止用ホルダ1,100は、図13及から図15に示すように高所作業において使用される。
【0089】
図13は、落下防止用ホルダ1,100をボルト・ナット(図13には示していない。)を作業袋Aの内部に収容した状態を示したものである。この図13に示すように、作業袋Aは、袋本体Bと、この袋本体Bの上部に取り付けられた把手部Cとから構成さている。そして把手部Cには、カラビナDが取り付けられる。
【0090】
作業袋Aの内部に収納された落下防止用ホルダ1,100は、これら落下防止用ホルダ1,100が備える接続用ワイヤ180が、カラビナDに取り付けられる。具体的には、接続用ワイヤ180の一端側には落下防止用ホルダ1,100が接続されているが、他端側には何も取り付けられていない。この何も取り付けられていない他端側がカラビナDにより束ねられる用にして取り付けられる。作業者は、かかる作業袋Aを身体に取り付けてボルト・ナット及び落下防止用ホルダ1,100を作業場である高所まで持って行く。
【0091】
そして、高所作業場において、作業袋Aの内部にてボルトホルダ1にボルト200を、必要に応じてボルト200と共に平ワッシャ210を収容する。そして、内側ホルダ22を外側ホルダ2に足して回転させて外側ホルダ2の装着口7を内側ホルダ22の周壁面26で閉鎖する。ナット205についても、作業袋Aの内部にて、ナット205を、あるいは必要に応じ、平ワッシャ210及びスプリングワッシャ211をナットホルダ100に収容する。同様に、ナットホルダ100の内側ホルダ122を外側ホルダ102に対し回転させて外側ホルダ102の装着口107を内側ホルダ122の周壁面126で閉鎖する。
【0092】
ボルトホルダ1に収容されたボルト200は、外側ホルダ2及び内側ホルダ22のそれぞれの底面9,29に形成された切欠部10,30から外側に向けて突出する一方で、ナット205は、切欠部100,130を介してそのねじ穴206が露出されているため、図14に示すように、ボルトホルダ1でボルト200を保持すると共に、ナットホルダ100でナット205を保持したままの状態で、被固定物Eに形成された穴にボルト200を通し、ボルト200とナット205とを螺合させることができるのである。
【0093】
ボルト200とナットとがある程度螺合され、ボルト200及びナット205が落下する危険がなくなれば、図15に示すように、落下防止用ホルダ1,100をボルト200及びナット205から外す。これによりスパナ等を使用して通常の作業を行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0094】
1…ボルトホルダ(落下防止用ホルダ)
100…ナットホルダ(落下防止用ホルダ)
2,102…外側ホルダ
3,103…天面
4,104…外側ホルダのコネクトピン用ピン穴
5,105…固定ピン用ピン穴
6,106…外側ホルダの周壁面
7,107…装着口
8,108…溝
9,109…外側ホルダの底面
10,110…外側ホルダの切欠部
22,122…内側ホルダ
23,123…内側ホルダの天面
24,124…内側ホルダのコネクトピン用ピン穴
25,125…固定穴
26,126…内側ホルダの周壁面
27,127…収容口
28,128…条
29,129…内側ホルダの底面
30,130…内側ホルダの切欠部
31,131…固定ピン
32…スプリング(付勢手段)
33…球体
40,140…コネクトピン
41…フランジ
160…コネクトリング
170…ジョイント
180…接続用ワイヤ
200…ボルト
205…ナット
210…平ワッシャ
211…スプリングワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ホルダと、該外側ホルダ内に着脱可能に装着される内側ホルダと、該内側ホルダを、その中心を軸に前記外側ホルダに対して回転可能に支持するコネクトピンと、外側ホルダに対し内側ホルダの回転を係止させる係止手段とを備え、
前記内側ホルダは、前記コネクトピンが取り付けられる天面、ボルト頭部又はナットを収容させる収容口の形成された周壁面、及び前記収容口に対応する位置にて外縁から中心にかけて切欠部の形成された底面から構成され、
前記外側ホルダは、前記コネクトピンが貫通されるピン穴の形成された天面、前記内側ホルダを装着させる装着口の形成された周壁面、及び記装着口に対応する位置にて外縁から中心にかけて切欠部の形成された底面から構成され、
前記内側ホルダには、内部に収容されるボルト頭部又はナットの対向面を挟持して前記内側ホルダに対する回転を阻止する挟持部が形成され、
前記内側ホルダの前記外側ホルダに対する回転に伴って、前記内側ホルダの周壁面により閉鎖された前記装着口に前記収容口が位置合わせされるよう構成され、
前記コネクトピンには、前記外側ホルダの天面から突出する部位に接続用ワイヤが取り付けられることを特徴とする落下防止用ホルダ。
【請求項2】
前記係止手段は、前記内側ホルダの前記外側ホルダに対する位置を、前記内側ホルダの周壁面が前記装着口を閉鎖する状態、及び前記収容口と前記装着口とが位置合わせされた状態のいずれにおいても位置固定する位置固定手段であることを特徴とする請求項1に記載の落下防止用ホルダ。
【請求項3】
前記位置固定手段は、前記外側ホルダの天面に形成された挿入穴と、前記内側ホルダの天面に形成された固定穴と、この挿入穴に挿入される固定ピンとを具備したことを特徴とする請求項2に記載の落下防止用ホルダ。
【請求項4】
前記位置固定手段には、更に、前記固定穴に対し係脱される球体と、前記固定ピンに押され、前記ボールを前記内側ホルダの天面に向けて付勢する付勢手段とを備え、前記固定ピンの前記外側ホルダの天面に対する挿入量に応じて前記付勢手段の付勢力を調整可能としたことを特徴とする請求項3に記載の落下防止用ホルダ。
【請求項5】
前記内側ホルダの周壁面には前記収容口の一側部をなす縁部に前記外側ホルダの周壁面より外側に張り出すつまみ部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の落下防止用ホルダ。
【請求項6】
前記内側ホルダの周壁面の外面又は前記外側ホルダの周壁面の内面のいずれか一方に周方向に延びるように形成された条と、他方に周方向に延びるように形成され、前記条がはめ込まれる溝とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の落下防止用ホルダ。
【請求項7】
前記内側ホルダの内部の高さ寸法は、内部に収容される前記ボルト頭部又はナットの高さ寸法より大きく形成されたことを特徴とする請求項1に記載の落下防止用ホルダ。
【請求項8】
ボルト頭部を保持するボルトホルダと、ナットを保持するナットホルダの一対から構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の落下防止用ホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−184808(P2012−184808A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48612(P2011−48612)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(591020412)佐藤建設工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】