説明

葉茎収穫機

【課題】従来の葉茎稈収穫機は、原動軸と従動軸とに回転刃を所定間隔ごとに配列して構成したデイスクカッターで若葉の葉茎を切断するが、若葉の場合、葉茎が不揃いで供給されるから、適確な切断ができず、切断寸法も揃わない課題がある。
【解決手段】 本願発明は、刈取前処理装置3を、汎用コンバインに装備される掻込みリール4と、刈取装置5と、掻込みオーガー6と、搬送コンベヤ装置7とから構成した。前記刈取前処理装置3の後方には、供給された葉茎を切断する切断刃8と、切断後の葉茎を上方に跳ね上げる跳上板9とをカッター軸10で駆動する切断跳上装置11を設けた。該切断跳上装置11の放出筒12は、先端の放出口13を、切断葉茎を収集する回収装置14に臨ませて構成した葉茎収穫機としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、青麦や青稲等の若葉を刈り取って、短く切断した後、袋等に回収する葉茎収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の葉茎稈収穫機は、例えば、特許文献として示す特開2002−305933号公報に開示されているように、車体の前部に汎用コンバインの刈取前処理装置を装備した前処理部が構成されている。そして、切断部は、その前処理部の後方に接続して設け、平行に軸架した原動軸と従動軸とに、それぞれ所定間隔ごとに円板の回転刃を配列して構成したデイスクカッターからなる切断部を構成し、その後方に揚上装置から構成されている案内部を設けて、前記切断部で切断した葉茎を揚上して袋詰めし、収穫する収穫機が示されている。
【特許文献1】特開2002−305933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来公知の葉茎稈収穫機は、既に説明したとおり、2本の平行に軸架した原動軸と従動軸とに円板回転刃を所定間隔ごとに配列してデイスクカッターを構成して葉茎を切断するが、特に、若葉の場合、葉茎がばらばらで不揃いの状態で供給されるから、適確に切断ができず、切断寸法もまちまちになる課題がある。
【0004】
通常、前記デイスクカッターは、例えば、稲麦の穀稈のように、稈質が比較的硬くて稈身方向に揃った状態(稈身が原動軸と従動軸との軸方向に揃った状態)で供給されると、円板回転刃が適確に切断し、切断寸法も揃うが、上記の若葉の場合は、葉茎が不揃いでばらばらの状態で供給されるため、切断が円滑にできず、切断寸法もまちまちになってしまう。
【0005】
更に、従来公知の葉茎稈収穫機は、切断後の葉茎稈を高い位置に持ち上げるために、別装置の揚上装置からなる案内部を設けて構成を複雑にしている課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、この出願の請求項1に記載した発明は、青麦や青稲等の若葉を収穫する作業機1であって、車体2の前部に装備された刈取前処理装置3は、汎用コンバインに装備される掻込みリール4と、刈取装置5と、掻込みオーガー6と、搬送コンベヤ装置7とから構成され、前記刈取前処理装置3の後方で搬送方向下手側には、供給された葉茎を切断する切断刃8と、切断後の葉茎を上方に跳ね上げる跳上板9とをカッター軸10で駆動する切断跳上装置11を配置して設け、該切断跳上装置11に連通する放出筒12は、その先端の放出口13を、切断葉茎を収集する回収装置14に臨ませて構成した葉茎収穫機であって、前部の刈取前処理装置は、圃場にばら蒔き状態で成育した若葉でも適確に刈り取りが可能であって、刈り取り後、後方に搬送して切断跳上装置に供給することができる。そして、切断跳上装置は、カッター軸に切断刃と跳上板とを取り付けた構成のホイールカッターと称される装置であって、切断と跳ね上げとを同時に行って袋詰めして収穫することができる。
【0007】
つぎに、請求項2に記載した発明は、前記搬送コンベヤ装置7の終端部と切断跳上装置11の供給口15との間に、葉茎搬送装置16を設けて構成した請求項1記載の葉茎収穫機であって、刈取前処理装置の搬送コンベヤ装置と切断跳上装置との間に茎稈搬送装置を設けたから、その搬送過程で搬送中の若葉の塊を均して均平な層にして供給することが可能であり、従来型のように、搬送コンベヤ装置の終端部から落下してきた塊を、そのまま一度にカッターに供給する等の弊害がなくなり、切断が安定して負荷変動も少なくなった。
【0008】
つぎに、請求項3に記載した発明は、前記葉茎搬送装置16の下方には、搬送中に落下する葉茎を集めて回収する回収容器17を配置して構成した請求項2記載の葉茎収穫機であって、搬送の過程で落下する若葉を回収して損失を少なくし、落下した若葉の葉茎が下方の機枠等に巻き付くのを未然に防止できる。
【0009】
つぎに、請求項4に記載した発明は前記切断跳上装置11は、供給口15を前方に向けカッター軸10を車体2の前後方向に沿わせて軸架して設け、該カッター軸10は、後方に延長して入力プーリー18を軸着して構成した請求項1記載の葉茎収穫機であって、機体(車体)の前後、及び左右の重量バランスがよくなり安定して走行ができる。更に、入力プーリーは、切断跳上装置の後方側に配置することにより若葉の搬送路を避け、巻き付き等の心配がない配置、構成とした。
【0010】
つぎに、請求項5に記載した発明は、平面視において、車体2上には、一側に操縦座席19が装置され、他側に搬送コンベヤ装置7が配置して設けられ、該搬送コンベヤ装置7の後方位置に前記切断跳上装置11の供給口15を配置して構成した請求項1記載の葉茎収穫機であって、若葉の刈り取り後の搬送経路が短くてシンプルな配置構成となっている。更に、若葉の葉茎は、搬送コンベヤ装置の終端部分から切断跳上装置の供給口まで最短で送ることができる利点がある。
【0011】
つぎに、請求項6に記載した発明は、前記切断跳上装置11の放出筒12は、上方に延長して先端の放出口13から放出した切断葉茎を、ガイド板20に衝突させて下方の回収装置14に落下して回収する構成とした請求項1、2,4,5のいずれかに記載の葉茎収穫機であって、切断葉茎を高く跳ね上げて落下して回収するから、回収装置の前後長さが短くなり、機体の前後長さを極力短くするとともに、作業が進んで切断葉茎の量が増加しても車体の前後バランスの変化が少なく、安定した走行ができる。
【発明の効果】
【0012】
まず、請求項1に記載した発明は、刈取前処理装置に、従来から実績のある汎用コンバインの刈取前処理装置を利用したから、圃場にばら蒔き状態で成育した比較的丈の短い若葉でも適確に刈り取り収穫が可能である特徴がある。そして、この発明は、切断跳上装置として、一軸のカッター軸に切断刃と跳上板とを回転可能に装着しているホイールカッターを活用することによって、不揃いで供給された若葉を適確に切断できる利点があり、更に、切断後の葉茎は、切断直後に跳上板によって跳ね上げられ、袋詰め収穫ができるから、別体の搬送装置が不要で全体の機体構成が簡潔となる特徴がある。
【0013】
そして、請求項2に記載した発明は、刈取前処理装置の搬送コンベヤ装置と切断跳上装置との間に、葉茎搬送装置を装置したから、前側の搬送コンベヤ装置から切断跳上装置に供給する間の搬送過程で、搬送にともなって若葉の塊を均して均平な層にしながらホイールカッターに供給する特徴がある。
【0014】
既に説明している従来公知の装置では、搬送コンベヤ装置の終端部から塊状で落下した葉茎が、そのまま一度にまとめてデイスクカッターに供給され、切断不能となって回転刃や軸に絡み、巻き付き、順次堆積する問題点が想定される。
【0015】
そして、請求項3に記載した発明は、搬送の過程で落下する若葉を回収して損失を少なくし、落下した若葉の葉茎が下方の機枠等に巻き付くのを未然に防止できる特徴がある。
【0016】
そして、請求項4に記載した発明は、車体の前後、及び左右の重量バランスがよく安定して走行ができる特徴がある。更に、入力プーリーは、切断跳上装置の後方側に配置することにより若葉の搬送通路を避け、葉茎が落下することがほとんどなく巻き付き等の心配がない配置、構成とした特徴もある。
【0017】
そして、請求項5に記載した発明は、若葉の刈り取り後の搬送経路が短くてシンプルな配置構成となった特徴がある。更に、この発明は、若葉の葉茎が、搬送コンベヤ装置の終端部分から切断跳上装置の供給口まで最短で送ることができる利点がある。
【0018】
そして、請求項6に記載した発明は、切断葉茎を高く跳ね上げた後、機外に放出してガイド板に当てて落下させ、回収するから、回収装置を上下方向に高く取り、前後長さを短くして機体の全長を極力短くした特徴がある。そして、この発明は、収穫機の作業が進んで切断葉茎の収穫量が増加しても車体の前後バランスの変化が少なく、安定した走行ができる特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【0020】
まず、この発明は、青麦や青稲等の若葉を収穫する葉茎収穫機1に関し、車体2の前部には、従来から汎用コンバインに装備される掻込みリール4と、刈取装置5と、掻込みオーガー6と、搬送コンベヤ装置7とから構成した刈取前処理装置3が設けられ、この刈取前処理装置3の後方で搬送方向の下手側には、供給された葉茎を切断する切断刃8と、切断後の葉茎を上方に跳ね上げる跳上板9とをカッター軸10で駆動する切断跳上装置11を配置して設けている。そして、切断跳上装置11に連通する放出筒12は、切断刃8が切断した葉茎を機外に放出するための放出筒であるが、その先端の放出口13を、上方高く延長して設けた構成とし、切断葉茎を跳ね上げてガイド板20に衝突させて回収装置14に落下させて回収する構成としている。
【0021】
このように構成したこの発明に係る葉茎収穫機は、前部の刈取前処理装置3が、圃場にばら蒔き状態で成育した丈の短い若葉でも適確に刈り取りが可能であって、刈取後、後方に搬送して切断跳上装置11に供給することができる。そして、切断跳上装置11は、カッター軸10に切断刃8と跳上板9とを取り付けた構成のホイールカッターと称されるカッター装置であって、切断と跳ね上げとを同時に行って袋詰めして収穫することができる。
【0022】
したがって、切断後の葉茎は、カッター(切断跳上装置11)から上方に延長した放出筒12の上部に開口している放出口13から機外に放出されてガイド板20に衝突させて袋に落下、回収でき、従来装置のような搬送装置を必要としない利点がある。
【0023】
まず、作業機(葉茎収穫機)1は、図1、及び図2に示すように、左右一対のクローラ22を有する車体2上において、前部に従来の汎用コンバインに利用する刈取前処理装置3が、上方後部を車体2側に回動自由に枢着支持して、中間部の下側に設けた昇降油圧シリンダー23によって上下昇降自由に支持した構成としている。
【0024】
そして、上記刈取前処理装置3は、前部から左右の分草杆24と、低位置に刈取装置5と、後続するテーブル25上の掻込みオーガー6と、この掻込みオーガー6の背後で側部(左側)に寄せて設けた搬送コンベヤ装置7とは、従来から汎用コンバインに装置して利用している構成とほとんど同一に構成している。そして、掻込みリール4は、図3、及び図9に示すように、横向きのタイン支持杆26に横方向に一定間隔ごとに配列して吊り下げた従来のリールタイン27のリール回転方向の前側にビニール素材のシート28を、下縁をフリー状態にして上部を固着して吊り下げて構成し、機体側のリール支持杆29に前後摺動自由に支持して構成している。そして、該掻込みリール4は、図3から解るように、駆動チエン30が、駆動スプロケット31とリールスプロケット32との間に巻回して設けられ駆動されると共に、前後用パワーシリンダ33の操作によりリール支持杆29上を前後に摺動調節され、更に、上下シリンダ34の伸縮作動により高さ調節ができる構成となっている。
【0025】
この場合、該掻込みリール4は、図10に示すように、前述した刈取装置5と掻込みオーガー6との間のテーブル25上に刈取り後の若葉が溜まる場合が多く、このとき、前述した前後用パワーシリンダー33や上下シリンダ34を使って前後、及び上下に移動してテーブル25上の葉茎をシート28で掻込みオーガー6側に掻き込み供給作用を行うものとしている。
【0026】
そして、掻込みオーガー6は、図11、乃至図13に示すように、実施例の場合、搬送コンベヤ装置7の始端部の送込口35の前側に相当する部分に、平板状のゴムラバー36を取り付けて葉茎の掻き込みができる構成としている。この場合、ゴムラバー36は、オーガー6の取付ステー37に取り付けている。
【0027】
したがって、上記ゴムラバー36は、回転に伴ってテーブル25上に溜まる葉茎を送込口35に掻き込むことができる。
【0028】
そして、ゴムラバー36は、図12、及び13に示す実施例の場合、オーガー6の左端に傾斜状態に取り付けて回転に伴って葉茎を内側に送り、送込口35に供給できる構成としている。38は掻込みフィンガーである。
【0029】
そして、搬送コンベヤ装置7は、実施例の場合、図14、及び図15に示すように、通常の搬送板39(横長板の搬送プレート)と搬送板39との間にゴム板40を嵌め込んで介装し全体としてベルト状に構成している。従来の搬送板39を配列したコンベヤ7は、稲、麦の搬送には適するが、若葉の葉茎の搬送時には絡み付きが起こり、持ち回りが発生していた。そのため、実施例は、上記のように、ゴム板40を間の空間部に嵌め込んでベルト状に形成すると持ち回りが減り、搬送が円滑になった。
【0030】
つぎに、搬送コンベヤ装置7と後続する葉茎搬送装置16との関連構成について述べる。
【0031】
まず、葉茎搬送装置16は、図1、及び図2に示すように、前記搬送コンベヤ装置7の終端部から後方に、左右両側に案内壁42と底板43とで樋状の通路41を形成し、その底面に横板を連続させた搬送装置を構成している。この場合、葉茎搬送装置16は、搬送コンベヤ装置7の終端部分より低い位置にあって、受け継いだ葉茎を搬送過程で分散しながら均平な層状に均して搬送する構成としており、上方を開放した点にも特徴がある。
【0032】
そして、葉茎搬送装置16は、図16、及び図17に示す実施例の場合、搬送コンベヤ装置7の搬送終端部を上に、葉茎搬送装置16の搬送始端部を下にして、側面視で若干前後にオーバーラップ(若干オーバーハング状態)させた配置構成にし、搬送葉茎をもれなく確実に受け継ぎができる構成にしている。
【0033】
更に、図18、図19、図20に示す実施例は、搬送コンベヤ装置7の終端部の高さ位置と切断跳上装置11の送込みロール45との高さを示したものであるが、いずれも、送込みロール45の高さを同じ高さか、又は低い高さ位置に設けて葉茎の搬送、送込みが容易にできる構成にしている。
【0034】
そして、葉茎搬送装置16は、図21に示す実施例の場合、前側の搬送コンベヤ装置7の搬送終端部の高さ位置に比較して、切断跳上装置11の送込みロール45の高さを低くして、両者の間に設ける葉茎搬送装置16を後部が下方に傾斜状態に配置して駆動できる構成としている。このように、葉茎搬送装置16は、搬送方向下手側を低くすることによって、葉茎の停滞をなくして搬送を円滑で、適確に行い、切断跳上装置11への供給を確実に行うことができる特徴がある。
【0035】
そして、上側搬送装置46は、図22、及び図23に示すように、前述の葉茎搬送装置16の上方に配置して吊り下げて設け、葉茎搬送装置16上に載置して搬送中の葉茎を上側から搬送ラグ47で搬送補助する構成にしたものである。この場合、上側搬送装置46は、搬送ケース48から下向きに搬送ラグ47が突出して葉茎に送り作用、拡散作用を与えながら搬送し、しかも、搬送量に応じて上下に自動調節ができる構成としている。49は上下自動調節用のスプリング50を内装した調節装置である。
【0036】
つぎに、大径掻込みロール51は、図1、及び図2に示すように、前記葉茎搬送装置16の搬送終端部の上方で、しかも、若干前側に寄せて軸架して設けている。そして、上記大径掻込みロール51は、葉茎搬送装置16が搬送してその終端部に達して最後の搬送力が与えられた葉茎に、上側からロール周面が送り作用を与えて後方に押し出して上下の送込みロール45に引き継がせて切断跳上装置11にスムースに掻き込むものである。
【0037】
つぎに、回収容器17は、図6、及び図7に示すように、実施例の場合、長方形の箱に構成して、既に説明した葉茎搬送装置16の下方から大径掻込みロール51、更に、送込みロール45の下方近くまで延長して設け、搬送中に落下する葉茎を受け止めて集め、回収する構成としている。したがって、搬送中の若葉の葉茎は、搬送コンベヤ装置7の終端部の受継ぎ箇所、更に、葉茎搬送装置16上を搬送しているとき、大径掻込みロール51、送込みロール45への受継ぎ箇所等において隙間から下方に落下したものを受け止めて回収することができるものである。
【0038】
つぎに、上側搬送装置46は、図24に示す実施例の場合、ラグつきの掻込みベルト52を使用して前記葉茎搬送装置16の上方位置に設けている。そして、掻込みベルト52は、図25に要部を示すように、取付ステー53の上部を機体側の長孔54に、前後摺動調節自由で、かつ、着脱可能に取り付けており、ベルト交換ができる構成としている。
【0039】
つぎに、飛散防止カバー55は、図26、及び図27に示すように、搬送コンベヤ装置7の搬送終端部の排出側をカバーして設け、葉茎搬送装置16側に放出される葉茎の機外への飛散が防止できる構成としている。この場合、飛散防止カバー55は、透明な素材を利用して外側から内部の受継ぎ状態が確認できる構成とし、実施例の場合、蝶番56によって取り付けて上方へ開閉自由に構成している。
【0040】
つぎに、切断跳上装置11による葉茎の切断長さの調節について、図28、乃至図30に基づいて、実施例を説明する。
【0041】
既に説明した通り、切断跳上装置11は、図28に示すように、前記葉茎搬送装置16の終端部の後方に上下一対の送込みロール45を軸架し、葉茎を切断室に送込む構成にしているが、操縦座席19の近くに設けた回転調整ダイヤル57の操作によって制御モーター58の回転を調節する構成としている。この実施例の場合、制御モーター58は、図30に示すように、コントロールユニット59に接続されており、スイッチ60と前記回転調整ダイヤル57に接続してON、OFF、及び変速操作ができる構成としている。
【0042】
そして、該制御モーター58は、実施例の場合、正逆転の切替も可能であって、正逆切替レバー61(図31参照)の操作で切替わり、送込みロール45が詰まった場合に逆転させて詰まりを解消する対応ができる構成としている。
【0043】
このように、この発明の実施例は、送込みロール45の回転速度を変速して葉茎の送込み速度を変えて切断長さの調節が可能であり、更に、ロール45が詰まった場合には、上述のように、ロール45を逆転させて詰まりを解消できる特徴がある。しかも、これらの操作は、操縦席19から行うことができる利点がある。
【0044】
なお、上述した実施例は、後述する図5に示す伝動機構とは別の構成である。
【0045】
そして、切断跳上装置11は、図2に示すように、操縦座席19の側方に設けたカッタークラッチレバー62の操作によって入・切操作を可能に構成し、刈取クラッチレバー63と併設して構成している。そして、カッタクラッチレバー62は、単独で入・切り操作自由であるが、刈取クラッチを入りにすると連動して入りになり、刈取クラッチを切りにすると、連動して切になる連動構成としている。
【0046】
したがって、切断跳上装置11は、上記説明の通り、刈取装置5が駆動しているときには、必ず駆動される連動関係に構成しているから、葉茎が前側や内部で詰まることはない特徴がある。
【0047】
そして、切断跳上装置11は、図4に示すように、従来からホイールカッターと呼ばれている裁断装置であって、送込みロール45を軸架した供給口15を前側に向け、葉茎搬送装置16の終端部分、及び大径掻込みロール51の背後に位置させて設け、カッター軸10に切断刃8と跳上板9とを一体として設けて構成している。そして、カッター軸10は、図2に示すように、車体2の前後方向に沿わせて軸架して設け、後方に延長して入力プーリー18を軸着して構成している。
【0048】
そして、実施例の場合、車体2上における平面視において、操縦座席19が一側に装置され、その他側に搬送コンベヤ装置7と、該搬送コンベヤ装置7の後方位置に上記切断跳上装置11が配置されて搭載されている。
【0049】
したがって、若葉の葉茎は、刈取位置から切断跳上装置11まで一直線状に搬送されて切断され移動経路がシンプルになっている。
【0050】
そして、切断後の葉茎は、カッター軸10によって駆動されている跳上板9によって跳ね上げられて放出筒12内を通り、上部の放出口13から機外に放出されると、ガイド板20に衝突して下方に落下し大袋72に袋詰めされる構成としている。
【0051】
つぎに、葉茎収穫機1の伝動機構について、図5に基づき概略を説明する。
【0052】
まず、エンジン65は、図5に示すように、出力される回転動力が、一方が、油圧無段変速装置66を経由して走行ミッション装置67に入力され、他方が作業装置側にそれぞれ分配して伝動される構成としている。そして、刈取前処理装置3は、前記走行ミッション装置67を経由した回転動力と、作業機側に分岐された伝動系との2系統から入力される構成をとっており、走行速度が一定速度以上に達すると走行ミッション装置67側から優先的(詳細は説明しないが、ワンウエイクラッチにより行われる)に伝動されて、走行速度にシンクロさせて駆動される構成になっている。
【0053】
そして、実施例の場合、切断跳上装置11は、図5に示すように、前記エンジンから分岐された動力が車体の背後を迂回させて伝動され、葉茎搬送装置16まで伝動する構成としている。
【0054】
そして、回収装置14は、実施例の場合、図32に示すように、下側に支持台69を設け、上側に支持腕70を後方に延長して支持具71を取り付け、大袋72を吊り下げて設ける構成としている。そして、切断した葉茎は、放出口13から後方に放出されてガイド板20に衝突して下方の袋内に落下して回収される。そして、支持台69は、図32に示す実施例の場合、基部に昇降アーム73を設けて上下昇降できる構成としている。
【0055】
つぎに、図33と図34とは、上側搬送装置46の実施例であって、図33は、終端部側を支点にして始端部側が上下し、図34の場合は、逆に始端部側を支点にして終端部側が上方に回動する構成としている。このように、上側搬送装置46は、葉茎搬送装置16上に詰まりが起きたとき、どちら側でも上方に回動して詰まりの除去が簡単にできる構成としている。
【0056】
なお、詰まりの検出については、葉茎搬送装置16の上方に、詰まり検出センサを装置して詰まりを検出することもできる。
【0057】
つぎに、切断跳上装置11に代えて、葉茎搬送装置16の後部にデイスクカッター75を設けた別の実施例を、図35で説明する。
【0058】
若葉の葉茎は、湿っている場合には、前記跳上板9に付着することが多く、跳上作用が困難となり、詰まりが生じ易く、円板回転刃を配列するデイスクカッター75の方が適する場合がある。そのため、図35に示す実施例は、切断跳上装置11に代えてデイスクカッター75を装置し、その後方位置に、コンベヤ76を設けて切断後の葉茎を上方に搬送する構成としている。
【0059】
このように、実施例に係るデイスクカッター75は、図35に示すように、葉茎搬送装置16の後部に装置し、更に、切断葉茎を搬送するコンベヤ76を接続して構成すれば、湿った葉茎の場合には、効果的に切断、搬送、袋詰め作業ができる特徴がある。
【0060】
そして、上記デイスクカッター75は、これをマルチカッターに置き換えて構成する実施例も考えられる。
【0061】
そして、マルチカッターを装置した場合は、供給された葉茎を、鋭利な複数の切断刃で裁断するから、葉茎から汁が出難く、回収した葉茎の商品価値が高い特徴がある。そして、この場合、葉茎の切断寸法は、受け入れ先の処理状況に応じて選択することができるから、商品価値を更に高めることができる特徴がある。
【0062】
つぎに、図36、及び図37に示す実施例は、回収装置14をリフトし、上部で手動(図37参照)で反転するか、又は反転用油圧シリンダ−77(図39参照)で自動的に反転できる構成にしたものである。
【0063】
まず、容器78は、図36、及び図38に示すように、支持台69上に載置し、基部を機体側の取付枠80に枢着して中間部に油圧シリンダー79の先端部を連結した2本の昇降アーム81の先端部に取り付けて支持した構成とする。なお、図38に実施例は、上下の昇降アーム81の先端を連結杆83で連結し、中間部に反転用油圧シリンダー77の基部を取り付けると共に、上記容器78を上部に枢着して構成している。
【0064】
そして、容器78は、図37に示すように、油圧シリンダー79を伸長して上下の昇降アーム81を上昇して下側の取付部位を外して手動操作で反転すれば中身を機外に放出することができる。そして、容器78は、図39に示すように、反転用油圧シリンダー77を伸長すると、自動的に反転し中身を機外に放出することができる。
【0065】
特に、図38、及び図39に示した実施例は、回収装置14である容器78から直接トラック(ダンプトラック)に排出するとき、作業が楽で、作業能率が向上する特徴がある。そして、容器78は、連結杆83との回動支点を上側に設けた構成であるから、反転位置までの揚程を短くすることが可能で、上下回動機構を小型にできる特徴がある。
【0066】
つぎに、切断跳上装置11は、図40に示す実施例の場合、切断葉茎を機外に放出する放出筒12を平面視で、後方の左右に回動自由に放出方向を調節する構成としている。したがって、放出される切断葉茎は、回収装置14の内部において均等に充填することができ、一方側のみに偏って充填されることがなく、全体にまんべんに充填できる特徴がある。
【0067】
つぎに、梯子85は、図41に示すように、車体2後部の支持枠86を構成している上下方向の取付枠80の外側(左外側)に固定して設け、作業者が回収装置14を構成する大袋72の取り付け、取り外し時に昇り降りができる構成としている。
【0068】
まず、実施例の場合、支持枠86は、図32から解るように、前部の縦枠87と上下の横枠88、更に、上側の斜め枠89とを枠組みして回収装置14(大袋72)を支持する構成としている。そして、回収装置14は、既に説明した通り、回収用に大袋72を使用しているが、取付位置が地上から高く、取付けや取外しが容易にできない課題があったが、この実施例で示すように、梯子85を設けることによって作業者が登れば簡単に手が届くものとなった。
【0069】
又、上記梯子85は、これをステップ等に代えて実施することもできる。
【0070】
つぎに、満杯、又は充填量検出センサ90は、図42に示すように、ガイド板20の内側に支持し、下方の回収装置14である大袋72の内部に超音波を発信、受信ができる構成としている。この場合、充填量検出センサ90は、従来から知られているように、発信器と受信器とを一対として組み合わせた構成であって、発信器が発信した超音波を、袋内に堆積した切断葉茎に衝突させ、反射してきた返信波を受信器が受信する構成で、発信から返信までの時間を計測して演算し充填度を検出できる構成としている。
【0071】
そして、充填量検出センサ90は、実施例の場合、満杯を検出すると、警報を発してオペレータに報知する構成としている。
【0072】
つぎに、大袋72は、図43に示す実施例のように、支持台69の前側の車体2上にユニック91を装置して吊り上げ移動ができる構成としている。既に知られているように、ユニック91は、荷物の積み下ろしや車体間の積み替え搬送等に、重量物の運搬には広く利用されており、これを有効に活用するものである。
【0073】
このように、ユニック91は、実施例のように収穫機1上に装置すると、切断した葉茎を充填した重い大袋をフック部92に引っ掛けて吊り上げ、トラック等に積載できる特徴がある。
【0074】
つぎに、切断葉茎は、回収装置14に大袋72、又は貯留箱94を使用して作業をする場合、蒸れることがあり、そのために品質が低下し、商品価値を下げるおそれがある。
【0075】
そこで、大袋72、及び貯留箱94は、図44に示すように、通気性のある素材で構成するか、又は底板や側板に多数の通気孔95を設けて空気が流通する構成にしている。
【0076】
そして、ファン93は、実施例の場合、図45に示すように、支持台69の中央に開口している通気口82の下側に装置し、これと一体に設けたモーター96で駆動して起風する構成としている。そして、貯留箱94は、前述のように、底板に無数の通風孔95を設け、ファン93から吹き出す風を内部に通し、充填している切断葉茎に直接当てることができる構成としている。そして、貯留箱94に代えて大袋72を使用した場合にも、通気性の高い素材で袋を製作し、風通しを良くして蒸れをなくする構成としている。
【0077】
このように、実施例は、切断葉茎の蒸れを未然に防止して商品価値を損なわないようにした特徴がある。
【0078】
つぎに、図46に示す実施例は、回収装置14の支持台69に代えて、予め、運搬車98を車体2の後部に着脱自由に取り付けた構成を示すものである。運搬車98は、エンジンを装備した自走式の構成で、前記支持台96と同等の広さの荷台を有する構成とし、収穫機1の車体後部に着脱自由に連結できる構成としている。
【0079】
そして、運搬車98は、搭載している大袋72が満杯になると、車体2との連結を外して自走しながら運搬するものである。
【0080】
なお、別構成として考えられる方策は、大袋72が満杯に達したときに、上記運搬車98を支持台69の下側に差し込んで支持台69と共に、又は、支持台96から移して(支持台を外して)運搬する構成でも良い。
【0081】
つぎに、図47に示す実施例は、袋支持杆100と支持台69とに関し、車体2後部の取付枠80に基部を固着した左右一対の袋支持杆100を後方に延長して設け、その下方に支持台69を設けて構成している。そして、大袋72は、上部の左右両側の係止部を前記左右の支持杆100に挿し通して吊り下げ、支持 台69に底部を載せた構成としている。
【0082】
この構成は、従来のホッパー式コンバインの袋詰め装置として使用されている構成と類似であって、連続的に袋詰め作業ができる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】葉茎収穫機の側面図
【図2】葉茎収穫機の平面図
【図3】掻込みリールの拡大側面図
【図4】切断跳上装置の内部を示す斜面図
【図5】伝動機構図
【図6】葉茎収穫機の側面図
【図7】葉茎収穫機の平面図
【図8】葉茎収穫機の背面図
【図9】リールの一部の斜面図
【図10】掻込みオーガーの斜面図
【図11】掻込みオーガーの斜面図
【図12】掻込みオーガーの斜面図
【図13】掻込みオーガーの平面図
【図14】搬送コンベヤ装置の側面図
【図15】コンベヤの斜面図
【図16】搬送コンベヤ装置と葉茎搬送装置との側面図
【図17】受継部の側面図
【図18】搬送コンベヤ装置の側面図
【図19】葉茎搬送装置の側面図
【図20】葉茎搬送装置の側面図
【図21】搬送コンベヤ装置と葉茎搬送装置の側面図
【図22】上側搬送装置の側面図
【図23】上側搬送装置の斜面図
【図24】上側搬送装置の斜面図
【図25】調節部の作用図
【図26】搬送コンベヤ装置の受継部斜面図
【図27】搬送コンベヤ装置の後部の受継部斜面図
【図28】葉茎搬送装置の斜面図
【図29】送込みロールの斜面図
【図30】制御機構の線図
【図31】葉茎搬送装置の斜面図
【図32】葉茎収穫機の側面図
【図33】葉茎収穫機の側面図
【図34】葉茎収穫機の側面図
【図35】葉茎収穫機の側面図
【図36】葉茎収穫機の側面図
【図37】作用側面図
【図38】葉茎収穫機の側面図
【図39】作用側面図
【図40】作用平面図
【図41】葉茎収穫機の側面図
【図42】葉茎収穫機の側面図
【図43】葉茎収穫機の作用側面図
【図44】葉茎収穫機の側面図
【図45】葉茎収穫機の側面図
【図46】葉茎収穫機の側面図
【図47】葉茎収穫機の側面図
【符号の説明】
【0084】
1 作業機 2 車体
3 刈取前処理装置 4 掻込みリール
5 刈取装置 6 掻込みオーガー
7 搬送コンベヤ装置 8 切断刃
9 跳上板 10 カッター軸
11 切断跳上装置 12 放出筒
13 放出口 14 回収装置
15 供給口 16 葉茎搬送装置
17 回収容器 18 入力プーリ
19 操縦座席、 20 ガイド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青麦や青稲等の若葉を収穫する作業機1であって、車体2の前部に装備された刈取前処理装置3は、汎用コンバインに装備される掻込みリール4と、刈取装置5と、掻込みオーガー6と、搬送コンベヤ装置7とから構成され、前記刈取前処理装置3の後方で搬送方向下手側には、供給された葉茎を切断する切断刃8と、切断後の葉茎を上方に跳ね上げる跳上板9とをカッター軸10で駆動する切断跳上装置11を配置して設け、該切断跳上装置11に連通する放出筒12は、その先端の放出口13を、切断葉茎を収集する回収装置14に臨ませて構成した葉茎収穫機。
【請求項2】
前記搬送コンベヤ装置7の終端部と切断跳上装置11の供給口15との間には、葉茎搬送装置16を設けて構成した請求項1記載の葉茎収穫機。
【請求項3】
前記葉茎搬送装置16の下方には、搬送中に落下する葉茎を集める回収容器17を配置して構成した請求項2記載の葉茎収穫機。
【請求項4】
前記切断跳上装置11は、供給口15を前方に向けてカッター軸10を車体2の前後方向に沿わせて軸架して構成し、該カッター軸10は、後方に延長して入力プーリー18を軸着して構成した請求項1記載の葉茎収穫機。
【請求項5】
平面視において、車体2上には、一側に操縦座席19が装置され、他側に搬送コンベヤ装置7が配置して設けられ、該搬送コンベヤ装置7の後方位置に前記切断跳上装置11の供給口15を配置して構成した請求項1記載の葉茎収穫機。
【請求項6】
前記切断跳上装置11の放出筒12は、上方に延長して先端の放出口13から放出した切断葉茎をガイド板2に衝突させて下方の回収装置14に落下して回収する構成とした請求項1、2,4,5のいずれかに記載の葉茎収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2006−6144(P2006−6144A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185217(P2004−185217)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】