葉菜類の生産方法
【課題】ポリフェノール及びビタミンC等の機能性成分の含有量の増加を図ることのできる葉菜類の生産方法を提供する。
【解決手段】本発明の葉菜類の生産方法は、暗黒条件下、葉菜類に緑色光のみを照射する照射工程を含み、前記照射工程により、前記葉菜類の機能性成分を増加させることを特徴する。前記照射工程の前後に、前記葉菜類を暗黒条件下に置く暗黒工程を設けることが好ましい。また、前記照射工程は、複数回、間欠的に実施することが好ましく、より好ましくは、前記照射工程を、1〜7日に1回の割合又は週に1〜7回の割合で実施することである。
【解決手段】本発明の葉菜類の生産方法は、暗黒条件下、葉菜類に緑色光のみを照射する照射工程を含み、前記照射工程により、前記葉菜類の機能性成分を増加させることを特徴する。前記照射工程の前後に、前記葉菜類を暗黒条件下に置く暗黒工程を設けることが好ましい。また、前記照射工程は、複数回、間欠的に実施することが好ましく、より好ましくは、前記照射工程を、1〜7日に1回の割合又は週に1〜7回の割合で実施することである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉菜類の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、健康志向から農作物に含まれるビタミン類やポリフェノールなどの機能性成分に対する関心が高まっており、農産物に含まれるビタミン類やポリフェノールの機能性成分は、活性酸素等のラジカルを除去する抗酸化活性があるため、機能性成分を多く含む農産物のニーズは高い。活性酸素は人体の細胞や組織に損傷を与え、癌、生活習慣病、老化を促進させる要因の一つとなっている。葉菜類は機能性成分を多く含む。
【0003】
一方、葉菜類の露地栽培は、天候の影響を受け生産量、品質が安定しないことから、高品質の葉菜類の周年栽培が望まれている。これを受けて近年では、天候の影響を受けない施設栽培や植物工場における周年生産が行われるようになった。
【0004】
従来の植物の品質向上に関する栽培方法としては、植物を養液栽培する際にホウ素、マンガン、鉄、銅などの混合微量要素や亜鉛、モリブデン、セレンから少なくとも一つの微量要素を含む養液を施設や工場内で灌水施用するか葉面散布し、ビタミン類やポリフェノール類を多く含む栽培方法が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、植物を栽培する際に黒酢を希釈した液体を葉面散布することにより抗酸化機能を向上させる栽培方法もある(特許文献2参照)。
【0006】
しかし、灌水施設の設備、葉面散布は作業コストがかかり、後者は特に大規模な植物工場では薬剤コストがかかる。そこで機能性成分の含有量を高めることのできる照射方法であれば、散布の必要がなく比較的低コストとなる。
【0007】
係る照射方法は、栽培植物の明期に通常の生育条件下での光強度の5倍以上に上げて照射するものであり、これにより植物体ポリフェノールが増収される(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−304777号公報
【特許文献2】特開2009−159855号公報
【特許文献3】特開2003−9665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような照射方法にあっては、光強度を通常の5倍以上に上げて照射しなければならず、しかも12時間照射する必要があるので、その照射時間の条件ではキャベツやホウレンソウなどは、長日で抽台して(薹が立って)花を咲かせるため、商品価値がなくなってしまうという問題がある。しかも、日長の照射ストレス与える条件が必ずしもその植物の最適な日長の照射条件とは限らない。従って、植物の品目によっては、日長の照明条件が制限されてしまう問題もある。品質管理の観点から、なるべく日長光の照射条件(照射時間、照射強度)は調節できるようにしておくべきである。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、生育中の葉菜類の日長照射条件を変更することなく葉菜類のビタミン類やポリフェノール類などの機能性成分の含有量の増加を図ることのできる緑色光を利用した葉菜類の生産方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、葉菜類の生産方法であって、暗黒条件下、前記葉菜類に緑色光のみを照射する照射工程を含み、前記照射工程により、前記葉菜類の機能性成分を増加させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生育中の葉菜類の日長照射条件を変更することなく葉菜類のビタミン類やポリフェノール類などの機能性成分の含有量を増加させることができる。
【0013】
また、本発明によれば、生育中の葉菜類の硝酸態窒素を低下させることもできる。なお、硝酸態窒素とは、硝酸イオンのように酸化窒素の形で存在する窒素のことである。通常はNO3-の形の硝酸イオンに金属が結合した硝酸塩の形で存在している。また、硝酸態窒素は通常、窒素化合物の酸化によって生じる最終生成物である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、試験1のチンゲンサイの生育推移(個体数n=12)を照射強度別に示すグラフである。
【図2】図2は、試験1のチンゲンサイの最大葉長、葉幅、葉数および地上部重量を照射強度別に示す表である。
【図3】図3(A)は、試験2のリーフレタス「晩抽レッドファイア」の生育推移(n=12)を照射強度別に示すグラフである。図3(B)は、試験2のリーフレタス「晩抽レッドファイア」の最大葉長および葉数を照射強度別に示す表である。
【図4】図4は、試験2のリーフレタス「晩抽レッドファイア」の葉面積、根長および総ポリフェノールを照射強度別に示す表である。
【図5】図5(A)は、試験3のリーフレタス「フリルアイス」の単位重量あたりの総ポリフェノール量を照射強度別に示すグラフである。図5(B)は、試験3のリーフレタス「フリルアイス」の葉数、葉面積、葉色(SPAD値)および株径を示す表である。
【図6】図6(A)は、試験4のリーフレタス「晩抽レッドファイア」の単位重量あたりの総ポリフェノール量を照射強度別に示すグラフである。図6(B)は、試験4のリーフレタス「晩抽レッドファイア」の葉面積を照射強度別に示す表である。
【図7】図7(A)は、試験5のホウレンソウについて、照射強度別に、草丈を示すグラフである。図7(B)は、試験5のホウレンソウの株径、根長、地上部重量を示す表である。図7(C)は、試験5のホウレンソウのビタミンC含有量、総ポリフェノール量を示す表である。
【図8】図8(A)は、試験6のバジルの主茎長、葉面積、葉色(SPAD値)、茎径および単位重量当りのビタミンCの量を照射強度別に示す表である。図8(B)は、単位重量あたりのビタミンCの量を示すグラフである。
【図9】図9(A)は、試験7のオオバの写真を照射強度別に示す。図9(B)は、試験7のオオバの茎径、葉面積および葉色(SPAD値)を照射強度別に示す表である。
【図10】図10(A)(B)は、試験3−2におけるリーフレタス「フリルアイス」の生育に及ぼす影響を示す表及びグラフである。
【図11】図11(A)(B)は、試験3−2におけるリーフレタス「フリルアイス」の品質に及ぼす影響を示すグラフである。
【図12】図12(A)(B)は、試験4−2におけるリーフレタス「晩抽レッドファイア」の生育に及ぼす影響を示す表及びグラフである。
【図13】図13(A)(B)(C)は、試験4−2におけるリーフレタス「晩抽レッドファイア」の品質に及ぼす影響を示すグラフである。
【図14】図14(A)〜(D)は、試験5−2におけるホウレンソウの生育に及ぼす影響を示すグラフである。
【図15】図15(A)(B)(C)は、試験5−2におけるホウレンソウの品質に及ぼす影響を示すグラフである。
【図16】図16は、試験7−2におけるオオバの根の活性に及ぼす影響を示すグラフである。
【図17】図17(A)(B)は、試験7−3におけるオオバの生育に及ぼす影響を示す表およびグラフである。
【図18】図18(A)(B)(C)は、試験7−4におけるオオバの生育に及ぼす影響を示すグラフである。
【図19】図19(A)〜(E)は、試験7−4におけるオオバの品質に及ぼす影響を示すグラフである。
【図20】図20は、試験7−5におけるオオバの葉の光沢に及ぼす影響を示すグラフである。
【図21】図21は、試験8における葉菜類の生育に及ぼす影響を示すグラフである。
【図22】図22は、試験8における葉菜類の品質に及ぼす影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の前記照射工程において、照射強度が、0.1〜200μmol/m2/sの範囲であり、照射時間が1〜5時間であることが好ましい。
【0016】
本発明の前記照射工程の前後の少なくとも一方において、前記葉菜類を暗黒条件下に置く暗黒工程を含むことが好ましい。この場合、前記暗黒条件下に置く時間が、1時間以上であることが好ましい。
【0017】
本発明において、前記照射工程を複数回で間欠的に実施することが好ましい。この場合、前記照射工程の間欠的に実施する割合が、1〜7日に1回の割合又は週に1〜7回の割合であることが好ましい。
【0018】
本発明において、前記機能性成分は、ポリフェノール及びビタミンCの少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0019】
次に、本発明について例を挙げて詳細に説明する。
【0020】
本発明の葉菜類の生産方法は、暗黒条件下、葉菜類に対し、緑色光を照射する照射工程を含むことを特徴とする。前記照射工程により、葉菜類のビタミンC及びポリフェノール等の機能性成分の含有量が増加し、かつ、硝酸態窒素の含有量を低下させることができる。したがって、本発明は、別の観点から言えば、「前記照射工程を含む葉菜類の機能性成分の増加方法」、及び、「前記照射工程を含む葉菜類の硝酸態窒素の低下方法」ともいうことができる。
【0021】
本発明において、前記葉菜類とは、主に葉の部分を食用とする植物をいう。前記葉菜類の例としては、ネギ、ワケギ、タマネギ、ラッキョウ、ニラ、ショウガ、ミョウガ、タデ類、ホウレンソウ、オカヒジキ、ツルナ、ツルムラサキ、ジュンサイ、ハス、ワサビダイコン、タイサイ、キョウナ、ヒサゴナ、アブラナ、ハクサイ、カブ、カラシナ、タカナ、タニクタカナ、ケール、カイラン、カリフラワー、キャベツ、メキャベツ、コールラビ、ブロッコリー、ワサビ、ダイコン、ハツカダイコン、ウオータークレス、サンショウ、アシタバ、セルリー、ミツバ、ニンジン、ウイキョウ、ハマボウフウ、セリ、パセリー、エンサイ、シソ、セージ、タイム、バジル、シュンギク、エンダイブ、チコリー、ツワブキ、スイゼンジナ、チシャ、カキチシャ、レタス、タチチシャ、フキ、ハーブ類等があげられる。
【0022】
本発明の生産方法は、前記照射工程を含む以外は、葉菜類の栽培方法と同様の方法で実施でき、例えば、肥料及び水の供給、生育のための光照射(自然光又は人工光)、温度管理等は、一般的な葉菜類の栽培方法を適用できる。また、本発明は、路地栽培及びハウス栽培を問わず適用できる。葉菜類への照射方法の一例としては、例えば、ビニル温室などの施設栽培における葉菜類や、育苗庫内で育苗における実生苗や接ぎ木苗に上述のように前記緑色光を照射する。
【0023】
本発明の照射工程で照射する緑色光は、例えば、480nm〜560nmの波長域の光である。緑色光の光源は、緑色光を照射できるものであれば、特に制限されず、例えば、緑色蛍光灯、緑色LED(発光ダイオード)、緑色冷陰管、緑色アーク管等の緑色光の照明器具があげられる。この他に、太陽光、白色蛍光灯、白色灯等の光を緑色フィルターを透過させて緑色光に変換したものを葉菜類に照射してもよい。また、移動式の光源により葉菜類を順番に照射していく方法や、ミラーボール方式の反射光を使用する方法で葉菜類を照射してもよく、葉菜類の栽培形態や栽培場所に応じて選択することができる。
【0024】
前記緑色光の照射は、葉菜類の一部でもよいし全体でもよい。
【0025】
本発明において、前記照射工程の照射条件は特に制限されない。照射強度は、0.1〜200μmol/m2/sの範囲が好ましく、より好ましくは20〜80μmol/m2/sの範囲である。照射時間は、1〜5時間が好ましく、より好ましくは、2〜4時間であり、さらに好ましくは2〜3時間である。なお、照射強度と照射時間との好ましい条件は負の相関関係がある場合があり、この場合、照射強度が強い場合は、照射時間を短くすることができる。また、前記照射工程の照射は、連続照射でもよいし、点滅を繰り返すような照射であってもよい。
【0026】
前述のように、本発明において、前記照射工程の前後の少なくとも一方に、暗黒条件下に葉菜類を置く暗黒工程を設けることが好ましく、より好ましくは、前記照射工程の前後の双方に暗黒工程を設けることである。前記暗黒工程を設けることにより、葉菜類の機能性成分の向上及び硝酸態窒素の低下をより効果的に生じさせることが可能となる。前記暗黒工程の時間は、1時間以上が好ましく、より好ましくは2時間以上であり、さらに好ましくは3時間以上である。例えば、夜に前記照射工程及び暗黒工程を実施する場合、日没から数時間後に照射工程を1〜5時間(好ましくは2時間)実施して、そのまま日の出まで放置してもよい。また、暗黒条件は、夜を利用することも可能であるが、昼であっても、例えば、ビニールハウスをシート等で覆う等して太陽光を遮断して暗黒条件を実現することも可能である。
【0027】
前述のように、本発明において、前記照射工程は、複数回(2回以上)で、間欠的に実施することが好ましい。本発明において、「間欠的に実施する」とは、照射工程と照射工程との間に一定時間を置くことを意味する。前記照射工程と照射工程との間の一定時間は、特に制限されず、時間で表現する場合は、例えば、1〜168時間、1〜144時間、1〜120時間、1〜96時間、1〜72時間、1〜48時間、1〜24時間、1〜12時間、1〜6時間である。また、間欠的な照射工程の割合を、日で表現する場合、照射工程の実施の割合は、例えば、1〜7日に1回〜3回若しくは1回〜2回、2〜6日に1回若しくは2回、好ましくは、3日に1回若しくは2回であり、週で表現する場合は、週に1〜7回、好ましくは週に2回若しくは3回である。なお、間欠的な照射工程は、照射と照射との間に一定時間を置く限り、毎日実施してもよい。また、間欠的な照射工程において、照射時間と間欠照射の割合との関係は、例えば、照射時間が1〜5時間、好ましくは2〜4時間、より好ましくは2〜3時間の照射工程を、日で表現する場合、照射工程の実施の割合は、例えば、1〜7日に1回〜3回若しくは1回〜2回、2〜6日に1回若しくは2回、好ましくは、3日に1回若しくは2回であり、週で表現する場合は、週に1〜7回、好ましくは週に2回若しくは3回である。間欠的な照射工程において、前記照射工程と照射工程との間の一定時間は、前記暗黒工程を兼ねていてもよい。この場合の暗黒工程の条件は、前述のとおりである。
【0028】
緑色光照射の具体例としては、例えば、前後に1時間以上の暗黒工程を設けて照射強度20μmol/m2/sの緑色光を2時間照射する照射工程を、3日に一回又は週に2回若しくは3回の割合で実施することを、葉菜類の育成期間中に実施することがあげられる。なお、本発明は、葉菜類の育成期間の全期間または一部の期間で実施することが好ましい。前記育成期間とは、例えば、出芽から収穫までの期間をいう。
【実施例】
【0029】
以下、実施例(試験)および対照区により、この発明を説明するが、実施例によりこの発明は何等限定されるものではない。
【0030】
[試験1]
葉菜類(チンゲンサイ)を用いた水耕栽培において、緑色光を照射しながら栽培を行い生育に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。また、比較例として、白色光を照射しながら栽培を行い、生育に及ぼす影響を調査した。
【0031】
[材料および方法]
(材料)
供試材料としてチンゲンサイ「クーニャン」(サカタのタネ)を用いた。ウレタン培地に播種し、公知の育苗方法で2週間育苗した苗を用いた。
(水耕栽培の試験条件)
育苗したチンゲンサイを、プレハブ庫内に設置したNFT水耕栽培装置に定植し、各試験区と対照区とに分けて栽培を開始した。試験区1,2では緑色光を照射し、対照区1では白色光を照射した。この照射はNFT水耕栽培装置に設置した緑色蛍光灯又は白色蛍光灯を用いた。
【0032】
各区の照射は、日照や補光をチンゲンサイに当てていない暗黒時(例えば22〜24時)に行った。この照射は照射日ごとに略同じ時間帯に行った。
【0033】
試験区1,2では、チンゲンサイの露出部全体に緑色光を照射し、光の照射強度を80μmol/m2/s(試験区1)、40μmol/m2/s(試験区2)とし、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0034】
対照区1では、チンゲンサイの露出部全体に白色光を照射し、光の照射強度:80μmol/m2/s、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0035】
対照区2では、無照射(0μmol/m2/s)で栽培を行った。
【0036】
他の栽培条件は、プレハブ庫内の栽培温度20℃、人工日長12時間とするなど試験区1,2と対照区1,2で同一とし、公知のNFT水耕栽培方法に従った。
(調査項目)
栽培期間中、定期的に各区(17株)において、生育調査(最大葉長、葉幅、葉数、地上部重量)、葉色調査、葉中の成分分析(ビタミンC、総ポリフェノール)を行った。
【0037】
葉色(SPAD値)の調査の結果から、葉菜類の窒素栄養状態を知ることができる。これは窒素含量が多くなると葉緑素含量が多くなり葉の緑色が濃くなることによる。
(結果)
チンゲンサイに緑色光照射しながら水耕栽培を行い生育への影響を調査した。
【0038】
図1および図2に、各区のチンゲンサイの生育推移(最大葉長、葉幅、葉数および地上部重量)を示す。
【0039】
図1に示すように、緑色光を照射した試験区1,2で最大葉長が増加する傾向が見られた。図2の表1に示すように、緑色光を照射した試験区1,2で最大葉長、葉幅、葉数、地上部重量について有意な増加が見られた。
【0040】
一方、白色光を照射した対照区1では、緑色光を照射した試験区1,2ほどには生育促進されなかった。
【0041】
試験区1,2で、最終的に最大葉長がほぼ同じとなるが地上部重量、葉幅で優るので試験区1のように80(μmol/m2/s)が好ましい。
【0042】
[試験2]
供試材料として赤系のリーフレタス「晩抽レッドファイア」(タキイ種苗(株))の苗を用いたこと以外は、試験1と同様にして、生育に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。照射強度80μmol/m2/sの試験区を試験区3、照射強度40μmol/m2/sの試験区を試験区4とした。また、比較例として、供試材料を前記「晩抽レッドファイア」とした以外は試験1の対照区1と同様にして、白色光が生育に及ぼす影響を調査した(対照区3)。また、無照射を対照区4とした。その結果を図3に示す。
(結果)
リーフレタス「晩抽レッドファイア」に緑色光照射しながら水耕栽培を行い生育への影響を調査した。
【0043】
図3(A)および図3(B)に、各区の生育推移(最大葉長、葉数)を示す。
【0044】
図3(A)に示すように、緑色光を照射した試験区3,4では、白色光照射と比べて、最終的に最大葉長が増加する傾向が見られた。また、図3(B)の表2に示すように、緑色光を照射した試験区3,4で最大葉長、葉数について有意な増加が見られた。なお、表2において、「緑色光80」が試験区3、「緑色光40」が試験区4である。
【0045】
一方、白色光を照射した対照区3では、緑色光を照射した試験区ほどには生育が促進されなかった。
【0046】
また、葉面積、根長、総ポリフェノール量を調査した。図4の表3に示すように、緑色光を照射した試験区3および4では、無照射と比較して葉面積、根長が増加し、生育促進効果が得られた。また、総ポリフェノール量について、試験区4では631mg/100g、試験区3では584mg/100gとなり、無照射と比較して総ポリフェノール量が増加した。
【0047】
弱い照射強度の試験区4(40μmol/m2/s)で総ポリフェノールが増えた理由は、リーフレタス「晩抽レッドファイア」は赤色系の葉色であり、緑色系の葉色を有する他の葉菜類とは、緑色光の浸透度合が異なり、生育、ポリフェノール生産に適した緑色光の光量のピークが異なることによると考えられる。
【0048】
また、図3の表2の結果から、リーフレタス「晩抽レッドファイア」の2週齢苗に対する照射開始時点から約10日までは緑色光を40μmol/m2/sで照射し、それ以降は80μmol/m2/sに変更するようにしてもよい。
【0049】
[試験3]
緑系のリーフレタス「フリルアイス」(雪印種苗(株))を用いたNFT水耕栽培において、緑色光を照射しながら栽培を行い、生育及び品質に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。
(材料)
「フリルアイス」をウレタン培地に播種し、公知の育苗方法で2週間育苗した苗を用いた。
(水耕栽培の試験条件)
育苗したリーフレタスの苗を、ビニル温室に設置したNFT水耕栽培装置に定植し、各試験区と対照区とに分けて栽培を開始した。試験区5〜7では緑色光を照射し、対照区5では無照射とした。この照射はNFT水耕栽培装置に設置した緑色蛍光灯を用いた。
【0050】
各区の照射は、日照や補光を「フリルアイス」に当てていない暗黒時(例えば22〜24時)に行った。この照射は照射日ごとに略同じ時間帯に行った。
【0051】
試験区5〜7では、「フリルアイス」の露出部全体に緑色光を照射し、光の照射強度をそれぞれ、20μmol/m2/s(試験区5)、40μmol/m2/s(試験区6)、80μmol/m2/s(試験区7)とし、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0052】
対照区5では、「フリルアイス」に対し無照射で生育させた。
【0053】
他の栽培条件は、定期的に20〜35℃、自然日長とするなど試験区5〜7および対照区5で同一とし、公知のNFT水耕栽培方法に従った。
(調査項目)
培期間中、定期的に各区(10株)において、生育調査(葉数、葉面積、株径)、葉色調査(SPAD)、成分分析(総ポリフェノール)を行った。この結果を図5に示す。
(結果)
リーフレタス「フリルアイス」に緑色光照射しながらNFT水耕栽培を行い生育への影響を調査した。
【0054】
対象植物の生育への影響については、図5(B)の表4に示すように、無照射区(対照区5)を基準とした場合に、照射強度20μmol/m2/s(試験区5)で葉面積、株径が増加し、生育促進効果が得られた。
【0055】
総ポリフェノール含有量は、図5(A)に示すように、照射強度20μmol/m2/s(試験区5)、40μmol/m2/s(試験区6)において、無照射と比較して増加した。なお、総ポリフェノール含有量は収穫時のものを示す。
【0056】
総ポリフェノール含有量と生育度合の関係から、総ポリフェノール含有量が増加する約50μmol/m2/s以下の照射強度の範囲で最も生育が高まる約20μmol/m2/s前後の照射強度が特に好ましい。
【0057】
[試験3−2]
試験3と同様にして、草丈、根長、根の活性の調査を行った。また、照射強度を20μmol/m2/sとした以外は、試験3と同様にして、ビタミンC、硝酸態窒素含有量の調査を行った。本試験において、試料数(n)は、図10および図11に示すとおりとした。
【0058】
その結果を、図10、図11に示す。図10(A)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって草丈、根長が増加した。また、図10(B)に示すように、無照射と比較して、40μmol/m2/s、80μmol/m2/sの緑色光照射によって、根のTTC活性が増加した。また、図11(A)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によってビタミンC含有量が増加した。さらに、図11(B)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、人体に悪影響を及ぼす可能性のある硝酸態窒素の含有量が低下した。
【0059】
[試験4]
材料として「晩抽レッドファイア」(タキイ種苗(株))を用いた以外は、試験3と同様に試験を行った。
【0060】
すなわち、各区の緑色光の照射強度を20μmol/m2/s(試験区8)、40μmol/m2/s(試験区9)、80μmol/m2/s(試験区10)、無照射(対照区6)とする等、試験3と同様に行った。その結果を図6に示す。
(結果)
対象植物の生育に与える緑色光照射の影響については、図6(B)の表5に示すように、無照射区(対照区6)を基準とした場合、照射強度20〜80μmol/m2/s(試験区8〜10)のときに対象植物の葉面積が増加した。また、これらの結果から、照射強度20μmol/m2/s未満で照射した場合や80μmol/m2/sを超える範囲で照射した場合にも、植物の生育が促進されることが分かる。
【0061】
総ポリフェノール含有量については、図6(A)に示すように、照射強度20〜80μmol/m2/s(試験区8〜10)のときに増加したが、これらの結果から、照射強度20μmol/m2/s未満で照射した場合や80μmol/m2/sを超える範囲で照射した場合でも、増加することが分かる。
【0062】
試験区8〜10の中では、照射強度80μmol/m2/s(試験区10)のときに最も総ポリフェノール含有量が増加した。これは、緑系のリーフレタス「フリルアイス」と対照的である。
【0063】
同じリーフレタスでありながら、赤系のリーフレタス「レッドファイア」では、緑系のリーフレタス「フリルアイス」と比較して、緑色光の照射強度に応じて総ポリフェノール含有量が増加し、植物体の単位重量当りの総ポリフェノール含有量が約2倍程度となった(図5(A)と図6(A)を対比して参照)。
【0064】
[試験4−2]
試験4と同様にして、草丈、根長、根の活性の調査を行った。また、照射強度を80μmol/m2/sとした以外は、試験4と同様にして、抗酸化能、ビタミンC、硝酸態窒素含有量の調査を行った。本試験において、試料数(n)は、図12および図13に示すとおりとした。
【0065】
その結果を、図12、図13に示す。図12(A)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、草丈、根長が増加した。また、図12(B)に示すように、無照射と比較して、20μmol/m2/s、80μmol/m2/sの緑色光照射によって、根のTTC活性が増加した。また、図13(A)および(B)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、抗酸化能およびビタミンC含有量が増加した。さらに、図13(C)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、硝酸態窒素の含有量は低下した。
【0066】
[試験5]
ホウレンソウの水耕栽培で、緑色光を照射しつつ栽培を行い、生育に及ぼす緑色光照射の影響を調べた。
(材料)
使用したホウレンソウの品種には「アクティオン」(サカタのタネ)を用いた。ウレタン培地に播種し、公知の育苗方法で2週間育苗したものを用いた。
(水耕栽培の試験条件)
育苗したホウレンソウの苗を、ビニル温室内に設置したNFT水耕栽培装置に定植し、各試験区と対照区とに分けて栽培を開始した。試験区11〜13では緑色光を照射し、対照区7では無照射とした。この照射はNFT水耕栽培装置に設置した緑色蛍光灯を用いた。
【0067】
各区の照射は、日照や補光をホウレンソウに当てていない暗黒時(例えば22〜24時)に行った。この照射は照射日ごとに略同じ時間帯に行った。
【0068】
試験区11〜13では、ホウレンソウの地上露出部全体に緑色光を照射し、光の照射強度を40μmol/m2/s(試験区11)、60μmol/m2/s(試験区12)、80μmol/m2/s(試験区13)とし、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0069】
他の栽培条件は、栽培温度10〜25℃、自然日長とする等、試験区11〜13及び対照区7で同一とし、公知のNFT水耕栽方法に従った。
(調査項目)
栽培期間中、定期的に各区(10株)において、生育調査(草丈、株径、根長、地上部重量)、葉中の成分分析(ビタミンC、総ポリフェノール)を行った。
(結果)
葉菜類(ホウレンソウ)に緑色光を照射しながら水耕栽培を行い生育への影響を調べた。
【0070】
図7にホウレンソウの生育への緑色光照射の影響を示した。
【0071】
図7(A)に示すように、栽培中に緑色光を40〜80μmol/m2/s照射した試験区11〜13で生育が促進され草丈が有意に増加した。また、図7(B)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、株径、根長、地上部重量が有意に増加した。
【0072】
また、図7(C)にホウレンソウ葉の成分分析結果を示した。図7(C)に示すように、40μmol/m2/s、80μmol/m2/sの緑色光照射により、ビタミンCおよび総ポリフェノールの含有量が増加した。
【0073】
ホウレンソウでは緑色光を照射しながら栽培した結果、有意に生育が促進される結果となった。
【0074】
[試験5−2]
光源として緑色LEDロープライトを用い、前記ロープライトを株元に設置した区と、株の上方に設置した区とを設け、前記ロープライトを株元に設置した区においては、照射強度5〜40μmol/m2/s、株上方に設置した区においては、照射強度40μmol/m2/sとした以外は、試験5と同様にして、生育調査(地上部新鮮重、株径、草丈、根のTTC活性)および品質調査(総ポリフェノール量、ビタミンC、硝酸態窒素含有量)を行った。本試験において、試料数(n)は、図14および図15に示すとおりとした。
【0075】
その結果を、図14および図15に示す。図14(A)〜(D)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、地上部新鮮重、株径、草丈および根のTTC活性が増加した。また、図15(A)〜(C)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射により、総ポリフェノール量およびビタミンC含有量が増加し、硝酸態窒素の含有量が低下した。
【0076】
[試験6]
バジルを用いたロックウール栽培で緑色光を照射しながら栽培を行い、生育および品質に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。
(材料)
使用したバジルの品種には「スイートバジル」(タキイ種苗)を用いた。ロックウールキューブに播種し、公知の育苗方法で約4週間育苗したものを用いた。
(ロックウール栽培の試験条件)
育てたバジルの苗をビニル温室内に設置したロックウールの栽培ベッドに定植し、栽培を開始した。緑色光の照射には緑色蛍光灯を用いた。
【0077】
試験区における前記緑色光照射は、日照や補光をバジルに当てていない暗黒時(例えば22〜24時)に行った。この照射は照射日ごとに略同じ時間帯に行った。
【0078】
試験区14では緑色光を照射し、対照区8では無照射とした。この照射は栽培ベッドに設置した緑色蛍光灯を用いた。
【0079】
試験区14では、バジル全体に緑色光を照射し、光の照射強度を80μmol/m2/sとし、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0080】
他の栽培条件は、栽培温度10〜25℃、自然日長とする等、試験区14及び対照区8で同一とし、公知のロックウール栽培方法に従った。
(調査項目)
定植後約2ヶ月間栽培し、各区(6株)において、生育調査(主茎長、葉面積、茎径)と葉色調査および成分分析(ビタミンC、総ポリフェノール)を行った。
(調査結果)
バジルに緑色光を照射しながらロックウール栽培を行い生育への影響を調査した。
【0081】
図8(A),(B)にバジルの生育と品質への緑色光照射の影響を示した。栽培中に緑色光を照射した試験区では顕著に生育が促進し葉面積が増大し、また葉中のビタミンC含有量も増加した。
【0082】
緑色光を照射した試験区では、枝と枝の角度がより大角となり、群葉中により空間が形成され株の内部にも日光を取り入れやすくなる。
【0083】
[試験7]
青シソを用いたロックウール栽培で緑色光を照射しながら栽培を行い、生育および品質に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。
(材料)
使用した青シソの品種には「オオバ」(タキイ種苗)を用いた。ロックウールキューブに播種し、公知の育苗方法で約4週間育苗したものを用いた。
(ロックウール栽培の試験条件)
育てた青シソの苗をビニル温室内に設置したロックウールの栽培ベッドに定植し、栽培を開始した。緑色光の照射には緑色蛍光灯を用いた。
【0084】
試験区における前記緑色光照射は、日照や補光を青シソに当てていない暗黒時(例えば22〜24時)に行った。この照射は照射日ごとに略同じ時間帯に行った。
【0085】
試験区15では緑色光を照射し、対照区9では無照射とした。この照射は栽培ベッドに設置した緑色蛍光灯を用いた。
【0086】
試験区15では、青シソ全体に緑色光を照射し、光の照射強度を80μmol/m2/sとし、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0087】
他の栽培条件は、栽培温度10〜25℃、自然日長とする等、試験区15及び対照区9で同一とし、公知のロックウール栽培方法に従った。
(調査項目)
定植後約2ヶ月間栽培し、各区(6株)において、生育調査(茎径、葉面積)と葉色調査を行った。
(調査結果)
青シソに緑色光を照射しながらロックウール栽培を行い生育への影響を調査した。
【0088】
図9(A)および図9(B)の表8に青シソの生育と品質への緑色光照射の影響を示した。栽培中に緑色光を照射した試験区15では顕著に生育が促進し葉面積が増大した。
【0089】
[試験7−2]
試験7と同様にして、オオバの根の活性に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。その結果を、図16に示す。図16に示すように、無照射と比較して、緑色光照射により、根のTTC活性が増加することがわかった。
【0090】
[試験7−3]
光源として緑色LEDロープライトを使用し、照射強度を平均値7.5μmol/m2/s、照射時間5時間(18時〜23時)、毎日照射とした以外は、試験7と同様にして、オオバの生育に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。本試験において、試料数(n)は6とした。
【0091】
その結果を図17に示す。図17(A)(B)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射により、葉面積、側枝数、主枝節数、地上部新鮮重、根のTTC活性が増加し、生育促進効果が得られた。
【0092】
[試験7−4]
ビニル温室において、照射強度0.8μmol/m2/s、照射時間1〜2時間として、毎日、緑色光をオオバ(香北在来種)に照射し、オオバの生育および品質に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。前記緑色光の照射には、緑色LED電球を使用した。前記オオバとしては、オオバ生産者による慣行土耕栽培の方法で育てたものを用いた。
【0093】
また、比較例として、緑色LED電球に代えて、白熱灯を使用し、生育および品質に及ぼす影響を調査した。
【0094】
調査結果を、図18、図19に示す。図18(A)〜(C)に示すように、白熱灯を使用した場合と比較して、緑色光照射により、主枝節数、茎径、側枝節数が増加し、生育が促進することがわかった。
【0095】
また、図19において、(A)はビタミンC含有量、(B)は総ポリフェノール量、(C)は硝酸態窒素含有量、(D)はリン酸含有量、(E)はカリウム含有量の結果である。図示のとおり、白熱灯を使用した場合と比較して、緑色光照射により、ビタミンC、総ポリフェノール、リン酸、カリウム全ての含有量が増加した。また、図示のとおり、白熱灯と比較して、緑色光照射により、硝酸態窒素が減少した。
【0096】
[試験7−5]
照射光強度を0.8μmol/m2/sとした以外は、試験7−4と同様にして、オオバの葉の光沢に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。その結果を、図20に示す。図20に示すように、白熱灯と比較して、緑色光照射により、葉の光沢が増加し、品質の向上効果が得られた。
【0097】
[試験8]
ビニル温室において、照射強度を5〜40μmol/m2/s、照射時間夜間2時間、照射頻度3日に1回として、緑色光をシュンギク(中葉春菊、タキイ種苗株式会社製)、ネギ(鴨頭ねぎ、中原採種場株式会社製)、ミツバ(白茎三ツ葉(関西系)、タキイ種苗株式会社製)、ロケットサラダ(ロケット、タキイ種苗株式会社製)、グランドパセリ(グランドパセリ、タキイ種苗株式会社製)、イタリアンパセリ(イタリアンパセリ、タキイ種苗株式会社製)に照射し、それぞれ、生育に及ぼす影響、品質に及ぼす影響を調査した。前記各対象植物は、NFT水耕栽培の方法で育てたものを用いた。本試験において、生育調査においては、試料数(n)は、それぞれ6とし、品質調査においては、シュンギクおよびミツバはn=5、ネギはn=6、ロケットサラダはn=10、イタリアンパセリ及びグランドパセリはn=7とした。
【0098】
その結果を、図21、図22に示す。図21に示すように、無照射と比較して、緑色光照射により、地上部新鮮重量が増加した。また、図22に示すように、無照射と比較して、緑色光照射により、シュンギク、ミツバは総ポリフェノール量が増加し、ネギ、ロケットサラダ、グランドパセリ、イタリアンパセリはビタミンC含有量が増加した。
【0099】
以上のことから、暗黒時に葉菜類に緑色光を照射すれば、葉菜類の機能性成分の含有量を増加させることができ、しかも、葉や茎の生育も向上させることができる。また、短時間の照射で良いので生育中の葉菜類の日長照射条件を変更してしまうこともない。
【0100】
以上、この発明に係る葉菜類の栽培方法を実施の形態、実施例に基づき説明してきたが、これらの実施の形態や実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、変更や追加等は許容される。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明によれば、生育中の葉菜類の日長照射条件を変更することなく葉菜類のビタミン類やポリフェノール類などの機能性成分の含有量を増加させることができる。したがって、本発明は、例えば、葉菜類の生産において、有効に利用することができるが、その用途は限定されず、広い分野で使用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉菜類の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、健康志向から農作物に含まれるビタミン類やポリフェノールなどの機能性成分に対する関心が高まっており、農産物に含まれるビタミン類やポリフェノールの機能性成分は、活性酸素等のラジカルを除去する抗酸化活性があるため、機能性成分を多く含む農産物のニーズは高い。活性酸素は人体の細胞や組織に損傷を与え、癌、生活習慣病、老化を促進させる要因の一つとなっている。葉菜類は機能性成分を多く含む。
【0003】
一方、葉菜類の露地栽培は、天候の影響を受け生産量、品質が安定しないことから、高品質の葉菜類の周年栽培が望まれている。これを受けて近年では、天候の影響を受けない施設栽培や植物工場における周年生産が行われるようになった。
【0004】
従来の植物の品質向上に関する栽培方法としては、植物を養液栽培する際にホウ素、マンガン、鉄、銅などの混合微量要素や亜鉛、モリブデン、セレンから少なくとも一つの微量要素を含む養液を施設や工場内で灌水施用するか葉面散布し、ビタミン類やポリフェノール類を多く含む栽培方法が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、植物を栽培する際に黒酢を希釈した液体を葉面散布することにより抗酸化機能を向上させる栽培方法もある(特許文献2参照)。
【0006】
しかし、灌水施設の設備、葉面散布は作業コストがかかり、後者は特に大規模な植物工場では薬剤コストがかかる。そこで機能性成分の含有量を高めることのできる照射方法であれば、散布の必要がなく比較的低コストとなる。
【0007】
係る照射方法は、栽培植物の明期に通常の生育条件下での光強度の5倍以上に上げて照射するものであり、これにより植物体ポリフェノールが増収される(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−304777号公報
【特許文献2】特開2009−159855号公報
【特許文献3】特開2003−9665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような照射方法にあっては、光強度を通常の5倍以上に上げて照射しなければならず、しかも12時間照射する必要があるので、その照射時間の条件ではキャベツやホウレンソウなどは、長日で抽台して(薹が立って)花を咲かせるため、商品価値がなくなってしまうという問題がある。しかも、日長の照射ストレス与える条件が必ずしもその植物の最適な日長の照射条件とは限らない。従って、植物の品目によっては、日長の照明条件が制限されてしまう問題もある。品質管理の観点から、なるべく日長光の照射条件(照射時間、照射強度)は調節できるようにしておくべきである。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、生育中の葉菜類の日長照射条件を変更することなく葉菜類のビタミン類やポリフェノール類などの機能性成分の含有量の増加を図ることのできる緑色光を利用した葉菜類の生産方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、葉菜類の生産方法であって、暗黒条件下、前記葉菜類に緑色光のみを照射する照射工程を含み、前記照射工程により、前記葉菜類の機能性成分を増加させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生育中の葉菜類の日長照射条件を変更することなく葉菜類のビタミン類やポリフェノール類などの機能性成分の含有量を増加させることができる。
【0013】
また、本発明によれば、生育中の葉菜類の硝酸態窒素を低下させることもできる。なお、硝酸態窒素とは、硝酸イオンのように酸化窒素の形で存在する窒素のことである。通常はNO3-の形の硝酸イオンに金属が結合した硝酸塩の形で存在している。また、硝酸態窒素は通常、窒素化合物の酸化によって生じる最終生成物である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、試験1のチンゲンサイの生育推移(個体数n=12)を照射強度別に示すグラフである。
【図2】図2は、試験1のチンゲンサイの最大葉長、葉幅、葉数および地上部重量を照射強度別に示す表である。
【図3】図3(A)は、試験2のリーフレタス「晩抽レッドファイア」の生育推移(n=12)を照射強度別に示すグラフである。図3(B)は、試験2のリーフレタス「晩抽レッドファイア」の最大葉長および葉数を照射強度別に示す表である。
【図4】図4は、試験2のリーフレタス「晩抽レッドファイア」の葉面積、根長および総ポリフェノールを照射強度別に示す表である。
【図5】図5(A)は、試験3のリーフレタス「フリルアイス」の単位重量あたりの総ポリフェノール量を照射強度別に示すグラフである。図5(B)は、試験3のリーフレタス「フリルアイス」の葉数、葉面積、葉色(SPAD値)および株径を示す表である。
【図6】図6(A)は、試験4のリーフレタス「晩抽レッドファイア」の単位重量あたりの総ポリフェノール量を照射強度別に示すグラフである。図6(B)は、試験4のリーフレタス「晩抽レッドファイア」の葉面積を照射強度別に示す表である。
【図7】図7(A)は、試験5のホウレンソウについて、照射強度別に、草丈を示すグラフである。図7(B)は、試験5のホウレンソウの株径、根長、地上部重量を示す表である。図7(C)は、試験5のホウレンソウのビタミンC含有量、総ポリフェノール量を示す表である。
【図8】図8(A)は、試験6のバジルの主茎長、葉面積、葉色(SPAD値)、茎径および単位重量当りのビタミンCの量を照射強度別に示す表である。図8(B)は、単位重量あたりのビタミンCの量を示すグラフである。
【図9】図9(A)は、試験7のオオバの写真を照射強度別に示す。図9(B)は、試験7のオオバの茎径、葉面積および葉色(SPAD値)を照射強度別に示す表である。
【図10】図10(A)(B)は、試験3−2におけるリーフレタス「フリルアイス」の生育に及ぼす影響を示す表及びグラフである。
【図11】図11(A)(B)は、試験3−2におけるリーフレタス「フリルアイス」の品質に及ぼす影響を示すグラフである。
【図12】図12(A)(B)は、試験4−2におけるリーフレタス「晩抽レッドファイア」の生育に及ぼす影響を示す表及びグラフである。
【図13】図13(A)(B)(C)は、試験4−2におけるリーフレタス「晩抽レッドファイア」の品質に及ぼす影響を示すグラフである。
【図14】図14(A)〜(D)は、試験5−2におけるホウレンソウの生育に及ぼす影響を示すグラフである。
【図15】図15(A)(B)(C)は、試験5−2におけるホウレンソウの品質に及ぼす影響を示すグラフである。
【図16】図16は、試験7−2におけるオオバの根の活性に及ぼす影響を示すグラフである。
【図17】図17(A)(B)は、試験7−3におけるオオバの生育に及ぼす影響を示す表およびグラフである。
【図18】図18(A)(B)(C)は、試験7−4におけるオオバの生育に及ぼす影響を示すグラフである。
【図19】図19(A)〜(E)は、試験7−4におけるオオバの品質に及ぼす影響を示すグラフである。
【図20】図20は、試験7−5におけるオオバの葉の光沢に及ぼす影響を示すグラフである。
【図21】図21は、試験8における葉菜類の生育に及ぼす影響を示すグラフである。
【図22】図22は、試験8における葉菜類の品質に及ぼす影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の前記照射工程において、照射強度が、0.1〜200μmol/m2/sの範囲であり、照射時間が1〜5時間であることが好ましい。
【0016】
本発明の前記照射工程の前後の少なくとも一方において、前記葉菜類を暗黒条件下に置く暗黒工程を含むことが好ましい。この場合、前記暗黒条件下に置く時間が、1時間以上であることが好ましい。
【0017】
本発明において、前記照射工程を複数回で間欠的に実施することが好ましい。この場合、前記照射工程の間欠的に実施する割合が、1〜7日に1回の割合又は週に1〜7回の割合であることが好ましい。
【0018】
本発明において、前記機能性成分は、ポリフェノール及びビタミンCの少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0019】
次に、本発明について例を挙げて詳細に説明する。
【0020】
本発明の葉菜類の生産方法は、暗黒条件下、葉菜類に対し、緑色光を照射する照射工程を含むことを特徴とする。前記照射工程により、葉菜類のビタミンC及びポリフェノール等の機能性成分の含有量が増加し、かつ、硝酸態窒素の含有量を低下させることができる。したがって、本発明は、別の観点から言えば、「前記照射工程を含む葉菜類の機能性成分の増加方法」、及び、「前記照射工程を含む葉菜類の硝酸態窒素の低下方法」ともいうことができる。
【0021】
本発明において、前記葉菜類とは、主に葉の部分を食用とする植物をいう。前記葉菜類の例としては、ネギ、ワケギ、タマネギ、ラッキョウ、ニラ、ショウガ、ミョウガ、タデ類、ホウレンソウ、オカヒジキ、ツルナ、ツルムラサキ、ジュンサイ、ハス、ワサビダイコン、タイサイ、キョウナ、ヒサゴナ、アブラナ、ハクサイ、カブ、カラシナ、タカナ、タニクタカナ、ケール、カイラン、カリフラワー、キャベツ、メキャベツ、コールラビ、ブロッコリー、ワサビ、ダイコン、ハツカダイコン、ウオータークレス、サンショウ、アシタバ、セルリー、ミツバ、ニンジン、ウイキョウ、ハマボウフウ、セリ、パセリー、エンサイ、シソ、セージ、タイム、バジル、シュンギク、エンダイブ、チコリー、ツワブキ、スイゼンジナ、チシャ、カキチシャ、レタス、タチチシャ、フキ、ハーブ類等があげられる。
【0022】
本発明の生産方法は、前記照射工程を含む以外は、葉菜類の栽培方法と同様の方法で実施でき、例えば、肥料及び水の供給、生育のための光照射(自然光又は人工光)、温度管理等は、一般的な葉菜類の栽培方法を適用できる。また、本発明は、路地栽培及びハウス栽培を問わず適用できる。葉菜類への照射方法の一例としては、例えば、ビニル温室などの施設栽培における葉菜類や、育苗庫内で育苗における実生苗や接ぎ木苗に上述のように前記緑色光を照射する。
【0023】
本発明の照射工程で照射する緑色光は、例えば、480nm〜560nmの波長域の光である。緑色光の光源は、緑色光を照射できるものであれば、特に制限されず、例えば、緑色蛍光灯、緑色LED(発光ダイオード)、緑色冷陰管、緑色アーク管等の緑色光の照明器具があげられる。この他に、太陽光、白色蛍光灯、白色灯等の光を緑色フィルターを透過させて緑色光に変換したものを葉菜類に照射してもよい。また、移動式の光源により葉菜類を順番に照射していく方法や、ミラーボール方式の反射光を使用する方法で葉菜類を照射してもよく、葉菜類の栽培形態や栽培場所に応じて選択することができる。
【0024】
前記緑色光の照射は、葉菜類の一部でもよいし全体でもよい。
【0025】
本発明において、前記照射工程の照射条件は特に制限されない。照射強度は、0.1〜200μmol/m2/sの範囲が好ましく、より好ましくは20〜80μmol/m2/sの範囲である。照射時間は、1〜5時間が好ましく、より好ましくは、2〜4時間であり、さらに好ましくは2〜3時間である。なお、照射強度と照射時間との好ましい条件は負の相関関係がある場合があり、この場合、照射強度が強い場合は、照射時間を短くすることができる。また、前記照射工程の照射は、連続照射でもよいし、点滅を繰り返すような照射であってもよい。
【0026】
前述のように、本発明において、前記照射工程の前後の少なくとも一方に、暗黒条件下に葉菜類を置く暗黒工程を設けることが好ましく、より好ましくは、前記照射工程の前後の双方に暗黒工程を設けることである。前記暗黒工程を設けることにより、葉菜類の機能性成分の向上及び硝酸態窒素の低下をより効果的に生じさせることが可能となる。前記暗黒工程の時間は、1時間以上が好ましく、より好ましくは2時間以上であり、さらに好ましくは3時間以上である。例えば、夜に前記照射工程及び暗黒工程を実施する場合、日没から数時間後に照射工程を1〜5時間(好ましくは2時間)実施して、そのまま日の出まで放置してもよい。また、暗黒条件は、夜を利用することも可能であるが、昼であっても、例えば、ビニールハウスをシート等で覆う等して太陽光を遮断して暗黒条件を実現することも可能である。
【0027】
前述のように、本発明において、前記照射工程は、複数回(2回以上)で、間欠的に実施することが好ましい。本発明において、「間欠的に実施する」とは、照射工程と照射工程との間に一定時間を置くことを意味する。前記照射工程と照射工程との間の一定時間は、特に制限されず、時間で表現する場合は、例えば、1〜168時間、1〜144時間、1〜120時間、1〜96時間、1〜72時間、1〜48時間、1〜24時間、1〜12時間、1〜6時間である。また、間欠的な照射工程の割合を、日で表現する場合、照射工程の実施の割合は、例えば、1〜7日に1回〜3回若しくは1回〜2回、2〜6日に1回若しくは2回、好ましくは、3日に1回若しくは2回であり、週で表現する場合は、週に1〜7回、好ましくは週に2回若しくは3回である。なお、間欠的な照射工程は、照射と照射との間に一定時間を置く限り、毎日実施してもよい。また、間欠的な照射工程において、照射時間と間欠照射の割合との関係は、例えば、照射時間が1〜5時間、好ましくは2〜4時間、より好ましくは2〜3時間の照射工程を、日で表現する場合、照射工程の実施の割合は、例えば、1〜7日に1回〜3回若しくは1回〜2回、2〜6日に1回若しくは2回、好ましくは、3日に1回若しくは2回であり、週で表現する場合は、週に1〜7回、好ましくは週に2回若しくは3回である。間欠的な照射工程において、前記照射工程と照射工程との間の一定時間は、前記暗黒工程を兼ねていてもよい。この場合の暗黒工程の条件は、前述のとおりである。
【0028】
緑色光照射の具体例としては、例えば、前後に1時間以上の暗黒工程を設けて照射強度20μmol/m2/sの緑色光を2時間照射する照射工程を、3日に一回又は週に2回若しくは3回の割合で実施することを、葉菜類の育成期間中に実施することがあげられる。なお、本発明は、葉菜類の育成期間の全期間または一部の期間で実施することが好ましい。前記育成期間とは、例えば、出芽から収穫までの期間をいう。
【実施例】
【0029】
以下、実施例(試験)および対照区により、この発明を説明するが、実施例によりこの発明は何等限定されるものではない。
【0030】
[試験1]
葉菜類(チンゲンサイ)を用いた水耕栽培において、緑色光を照射しながら栽培を行い生育に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。また、比較例として、白色光を照射しながら栽培を行い、生育に及ぼす影響を調査した。
【0031】
[材料および方法]
(材料)
供試材料としてチンゲンサイ「クーニャン」(サカタのタネ)を用いた。ウレタン培地に播種し、公知の育苗方法で2週間育苗した苗を用いた。
(水耕栽培の試験条件)
育苗したチンゲンサイを、プレハブ庫内に設置したNFT水耕栽培装置に定植し、各試験区と対照区とに分けて栽培を開始した。試験区1,2では緑色光を照射し、対照区1では白色光を照射した。この照射はNFT水耕栽培装置に設置した緑色蛍光灯又は白色蛍光灯を用いた。
【0032】
各区の照射は、日照や補光をチンゲンサイに当てていない暗黒時(例えば22〜24時)に行った。この照射は照射日ごとに略同じ時間帯に行った。
【0033】
試験区1,2では、チンゲンサイの露出部全体に緑色光を照射し、光の照射強度を80μmol/m2/s(試験区1)、40μmol/m2/s(試験区2)とし、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0034】
対照区1では、チンゲンサイの露出部全体に白色光を照射し、光の照射強度:80μmol/m2/s、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0035】
対照区2では、無照射(0μmol/m2/s)で栽培を行った。
【0036】
他の栽培条件は、プレハブ庫内の栽培温度20℃、人工日長12時間とするなど試験区1,2と対照区1,2で同一とし、公知のNFT水耕栽培方法に従った。
(調査項目)
栽培期間中、定期的に各区(17株)において、生育調査(最大葉長、葉幅、葉数、地上部重量)、葉色調査、葉中の成分分析(ビタミンC、総ポリフェノール)を行った。
【0037】
葉色(SPAD値)の調査の結果から、葉菜類の窒素栄養状態を知ることができる。これは窒素含量が多くなると葉緑素含量が多くなり葉の緑色が濃くなることによる。
(結果)
チンゲンサイに緑色光照射しながら水耕栽培を行い生育への影響を調査した。
【0038】
図1および図2に、各区のチンゲンサイの生育推移(最大葉長、葉幅、葉数および地上部重量)を示す。
【0039】
図1に示すように、緑色光を照射した試験区1,2で最大葉長が増加する傾向が見られた。図2の表1に示すように、緑色光を照射した試験区1,2で最大葉長、葉幅、葉数、地上部重量について有意な増加が見られた。
【0040】
一方、白色光を照射した対照区1では、緑色光を照射した試験区1,2ほどには生育促進されなかった。
【0041】
試験区1,2で、最終的に最大葉長がほぼ同じとなるが地上部重量、葉幅で優るので試験区1のように80(μmol/m2/s)が好ましい。
【0042】
[試験2]
供試材料として赤系のリーフレタス「晩抽レッドファイア」(タキイ種苗(株))の苗を用いたこと以外は、試験1と同様にして、生育に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。照射強度80μmol/m2/sの試験区を試験区3、照射強度40μmol/m2/sの試験区を試験区4とした。また、比較例として、供試材料を前記「晩抽レッドファイア」とした以外は試験1の対照区1と同様にして、白色光が生育に及ぼす影響を調査した(対照区3)。また、無照射を対照区4とした。その結果を図3に示す。
(結果)
リーフレタス「晩抽レッドファイア」に緑色光照射しながら水耕栽培を行い生育への影響を調査した。
【0043】
図3(A)および図3(B)に、各区の生育推移(最大葉長、葉数)を示す。
【0044】
図3(A)に示すように、緑色光を照射した試験区3,4では、白色光照射と比べて、最終的に最大葉長が増加する傾向が見られた。また、図3(B)の表2に示すように、緑色光を照射した試験区3,4で最大葉長、葉数について有意な増加が見られた。なお、表2において、「緑色光80」が試験区3、「緑色光40」が試験区4である。
【0045】
一方、白色光を照射した対照区3では、緑色光を照射した試験区ほどには生育が促進されなかった。
【0046】
また、葉面積、根長、総ポリフェノール量を調査した。図4の表3に示すように、緑色光を照射した試験区3および4では、無照射と比較して葉面積、根長が増加し、生育促進効果が得られた。また、総ポリフェノール量について、試験区4では631mg/100g、試験区3では584mg/100gとなり、無照射と比較して総ポリフェノール量が増加した。
【0047】
弱い照射強度の試験区4(40μmol/m2/s)で総ポリフェノールが増えた理由は、リーフレタス「晩抽レッドファイア」は赤色系の葉色であり、緑色系の葉色を有する他の葉菜類とは、緑色光の浸透度合が異なり、生育、ポリフェノール生産に適した緑色光の光量のピークが異なることによると考えられる。
【0048】
また、図3の表2の結果から、リーフレタス「晩抽レッドファイア」の2週齢苗に対する照射開始時点から約10日までは緑色光を40μmol/m2/sで照射し、それ以降は80μmol/m2/sに変更するようにしてもよい。
【0049】
[試験3]
緑系のリーフレタス「フリルアイス」(雪印種苗(株))を用いたNFT水耕栽培において、緑色光を照射しながら栽培を行い、生育及び品質に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。
(材料)
「フリルアイス」をウレタン培地に播種し、公知の育苗方法で2週間育苗した苗を用いた。
(水耕栽培の試験条件)
育苗したリーフレタスの苗を、ビニル温室に設置したNFT水耕栽培装置に定植し、各試験区と対照区とに分けて栽培を開始した。試験区5〜7では緑色光を照射し、対照区5では無照射とした。この照射はNFT水耕栽培装置に設置した緑色蛍光灯を用いた。
【0050】
各区の照射は、日照や補光を「フリルアイス」に当てていない暗黒時(例えば22〜24時)に行った。この照射は照射日ごとに略同じ時間帯に行った。
【0051】
試験区5〜7では、「フリルアイス」の露出部全体に緑色光を照射し、光の照射強度をそれぞれ、20μmol/m2/s(試験区5)、40μmol/m2/s(試験区6)、80μmol/m2/s(試験区7)とし、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0052】
対照区5では、「フリルアイス」に対し無照射で生育させた。
【0053】
他の栽培条件は、定期的に20〜35℃、自然日長とするなど試験区5〜7および対照区5で同一とし、公知のNFT水耕栽培方法に従った。
(調査項目)
培期間中、定期的に各区(10株)において、生育調査(葉数、葉面積、株径)、葉色調査(SPAD)、成分分析(総ポリフェノール)を行った。この結果を図5に示す。
(結果)
リーフレタス「フリルアイス」に緑色光照射しながらNFT水耕栽培を行い生育への影響を調査した。
【0054】
対象植物の生育への影響については、図5(B)の表4に示すように、無照射区(対照区5)を基準とした場合に、照射強度20μmol/m2/s(試験区5)で葉面積、株径が増加し、生育促進効果が得られた。
【0055】
総ポリフェノール含有量は、図5(A)に示すように、照射強度20μmol/m2/s(試験区5)、40μmol/m2/s(試験区6)において、無照射と比較して増加した。なお、総ポリフェノール含有量は収穫時のものを示す。
【0056】
総ポリフェノール含有量と生育度合の関係から、総ポリフェノール含有量が増加する約50μmol/m2/s以下の照射強度の範囲で最も生育が高まる約20μmol/m2/s前後の照射強度が特に好ましい。
【0057】
[試験3−2]
試験3と同様にして、草丈、根長、根の活性の調査を行った。また、照射強度を20μmol/m2/sとした以外は、試験3と同様にして、ビタミンC、硝酸態窒素含有量の調査を行った。本試験において、試料数(n)は、図10および図11に示すとおりとした。
【0058】
その結果を、図10、図11に示す。図10(A)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって草丈、根長が増加した。また、図10(B)に示すように、無照射と比較して、40μmol/m2/s、80μmol/m2/sの緑色光照射によって、根のTTC活性が増加した。また、図11(A)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によってビタミンC含有量が増加した。さらに、図11(B)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、人体に悪影響を及ぼす可能性のある硝酸態窒素の含有量が低下した。
【0059】
[試験4]
材料として「晩抽レッドファイア」(タキイ種苗(株))を用いた以外は、試験3と同様に試験を行った。
【0060】
すなわち、各区の緑色光の照射強度を20μmol/m2/s(試験区8)、40μmol/m2/s(試験区9)、80μmol/m2/s(試験区10)、無照射(対照区6)とする等、試験3と同様に行った。その結果を図6に示す。
(結果)
対象植物の生育に与える緑色光照射の影響については、図6(B)の表5に示すように、無照射区(対照区6)を基準とした場合、照射強度20〜80μmol/m2/s(試験区8〜10)のときに対象植物の葉面積が増加した。また、これらの結果から、照射強度20μmol/m2/s未満で照射した場合や80μmol/m2/sを超える範囲で照射した場合にも、植物の生育が促進されることが分かる。
【0061】
総ポリフェノール含有量については、図6(A)に示すように、照射強度20〜80μmol/m2/s(試験区8〜10)のときに増加したが、これらの結果から、照射強度20μmol/m2/s未満で照射した場合や80μmol/m2/sを超える範囲で照射した場合でも、増加することが分かる。
【0062】
試験区8〜10の中では、照射強度80μmol/m2/s(試験区10)のときに最も総ポリフェノール含有量が増加した。これは、緑系のリーフレタス「フリルアイス」と対照的である。
【0063】
同じリーフレタスでありながら、赤系のリーフレタス「レッドファイア」では、緑系のリーフレタス「フリルアイス」と比較して、緑色光の照射強度に応じて総ポリフェノール含有量が増加し、植物体の単位重量当りの総ポリフェノール含有量が約2倍程度となった(図5(A)と図6(A)を対比して参照)。
【0064】
[試験4−2]
試験4と同様にして、草丈、根長、根の活性の調査を行った。また、照射強度を80μmol/m2/sとした以外は、試験4と同様にして、抗酸化能、ビタミンC、硝酸態窒素含有量の調査を行った。本試験において、試料数(n)は、図12および図13に示すとおりとした。
【0065】
その結果を、図12、図13に示す。図12(A)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、草丈、根長が増加した。また、図12(B)に示すように、無照射と比較して、20μmol/m2/s、80μmol/m2/sの緑色光照射によって、根のTTC活性が増加した。また、図13(A)および(B)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、抗酸化能およびビタミンC含有量が増加した。さらに、図13(C)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、硝酸態窒素の含有量は低下した。
【0066】
[試験5]
ホウレンソウの水耕栽培で、緑色光を照射しつつ栽培を行い、生育に及ぼす緑色光照射の影響を調べた。
(材料)
使用したホウレンソウの品種には「アクティオン」(サカタのタネ)を用いた。ウレタン培地に播種し、公知の育苗方法で2週間育苗したものを用いた。
(水耕栽培の試験条件)
育苗したホウレンソウの苗を、ビニル温室内に設置したNFT水耕栽培装置に定植し、各試験区と対照区とに分けて栽培を開始した。試験区11〜13では緑色光を照射し、対照区7では無照射とした。この照射はNFT水耕栽培装置に設置した緑色蛍光灯を用いた。
【0067】
各区の照射は、日照や補光をホウレンソウに当てていない暗黒時(例えば22〜24時)に行った。この照射は照射日ごとに略同じ時間帯に行った。
【0068】
試験区11〜13では、ホウレンソウの地上露出部全体に緑色光を照射し、光の照射強度を40μmol/m2/s(試験区11)、60μmol/m2/s(試験区12)、80μmol/m2/s(試験区13)とし、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0069】
他の栽培条件は、栽培温度10〜25℃、自然日長とする等、試験区11〜13及び対照区7で同一とし、公知のNFT水耕栽方法に従った。
(調査項目)
栽培期間中、定期的に各区(10株)において、生育調査(草丈、株径、根長、地上部重量)、葉中の成分分析(ビタミンC、総ポリフェノール)を行った。
(結果)
葉菜類(ホウレンソウ)に緑色光を照射しながら水耕栽培を行い生育への影響を調べた。
【0070】
図7にホウレンソウの生育への緑色光照射の影響を示した。
【0071】
図7(A)に示すように、栽培中に緑色光を40〜80μmol/m2/s照射した試験区11〜13で生育が促進され草丈が有意に増加した。また、図7(B)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、株径、根長、地上部重量が有意に増加した。
【0072】
また、図7(C)にホウレンソウ葉の成分分析結果を示した。図7(C)に示すように、40μmol/m2/s、80μmol/m2/sの緑色光照射により、ビタミンCおよび総ポリフェノールの含有量が増加した。
【0073】
ホウレンソウでは緑色光を照射しながら栽培した結果、有意に生育が促進される結果となった。
【0074】
[試験5−2]
光源として緑色LEDロープライトを用い、前記ロープライトを株元に設置した区と、株の上方に設置した区とを設け、前記ロープライトを株元に設置した区においては、照射強度5〜40μmol/m2/s、株上方に設置した区においては、照射強度40μmol/m2/sとした以外は、試験5と同様にして、生育調査(地上部新鮮重、株径、草丈、根のTTC活性)および品質調査(総ポリフェノール量、ビタミンC、硝酸態窒素含有量)を行った。本試験において、試料数(n)は、図14および図15に示すとおりとした。
【0075】
その結果を、図14および図15に示す。図14(A)〜(D)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射によって、地上部新鮮重、株径、草丈および根のTTC活性が増加した。また、図15(A)〜(C)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射により、総ポリフェノール量およびビタミンC含有量が増加し、硝酸態窒素の含有量が低下した。
【0076】
[試験6]
バジルを用いたロックウール栽培で緑色光を照射しながら栽培を行い、生育および品質に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。
(材料)
使用したバジルの品種には「スイートバジル」(タキイ種苗)を用いた。ロックウールキューブに播種し、公知の育苗方法で約4週間育苗したものを用いた。
(ロックウール栽培の試験条件)
育てたバジルの苗をビニル温室内に設置したロックウールの栽培ベッドに定植し、栽培を開始した。緑色光の照射には緑色蛍光灯を用いた。
【0077】
試験区における前記緑色光照射は、日照や補光をバジルに当てていない暗黒時(例えば22〜24時)に行った。この照射は照射日ごとに略同じ時間帯に行った。
【0078】
試験区14では緑色光を照射し、対照区8では無照射とした。この照射は栽培ベッドに設置した緑色蛍光灯を用いた。
【0079】
試験区14では、バジル全体に緑色光を照射し、光の照射強度を80μmol/m2/sとし、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0080】
他の栽培条件は、栽培温度10〜25℃、自然日長とする等、試験区14及び対照区8で同一とし、公知のロックウール栽培方法に従った。
(調査項目)
定植後約2ヶ月間栽培し、各区(6株)において、生育調査(主茎長、葉面積、茎径)と葉色調査および成分分析(ビタミンC、総ポリフェノール)を行った。
(調査結果)
バジルに緑色光を照射しながらロックウール栽培を行い生育への影響を調査した。
【0081】
図8(A),(B)にバジルの生育と品質への緑色光照射の影響を示した。栽培中に緑色光を照射した試験区では顕著に生育が促進し葉面積が増大し、また葉中のビタミンC含有量も増加した。
【0082】
緑色光を照射した試験区では、枝と枝の角度がより大角となり、群葉中により空間が形成され株の内部にも日光を取り入れやすくなる。
【0083】
[試験7]
青シソを用いたロックウール栽培で緑色光を照射しながら栽培を行い、生育および品質に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。
(材料)
使用した青シソの品種には「オオバ」(タキイ種苗)を用いた。ロックウールキューブに播種し、公知の育苗方法で約4週間育苗したものを用いた。
(ロックウール栽培の試験条件)
育てた青シソの苗をビニル温室内に設置したロックウールの栽培ベッドに定植し、栽培を開始した。緑色光の照射には緑色蛍光灯を用いた。
【0084】
試験区における前記緑色光照射は、日照や補光を青シソに当てていない暗黒時(例えば22〜24時)に行った。この照射は照射日ごとに略同じ時間帯に行った。
【0085】
試験区15では緑色光を照射し、対照区9では無照射とした。この照射は栽培ベッドに設置した緑色蛍光灯を用いた。
【0086】
試験区15では、青シソ全体に緑色光を照射し、光の照射強度を80μmol/m2/sとし、照射時間:2時間/回、照射頻度:1回/3日とした。
【0087】
他の栽培条件は、栽培温度10〜25℃、自然日長とする等、試験区15及び対照区9で同一とし、公知のロックウール栽培方法に従った。
(調査項目)
定植後約2ヶ月間栽培し、各区(6株)において、生育調査(茎径、葉面積)と葉色調査を行った。
(調査結果)
青シソに緑色光を照射しながらロックウール栽培を行い生育への影響を調査した。
【0088】
図9(A)および図9(B)の表8に青シソの生育と品質への緑色光照射の影響を示した。栽培中に緑色光を照射した試験区15では顕著に生育が促進し葉面積が増大した。
【0089】
[試験7−2]
試験7と同様にして、オオバの根の活性に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。その結果を、図16に示す。図16に示すように、無照射と比較して、緑色光照射により、根のTTC活性が増加することがわかった。
【0090】
[試験7−3]
光源として緑色LEDロープライトを使用し、照射強度を平均値7.5μmol/m2/s、照射時間5時間(18時〜23時)、毎日照射とした以外は、試験7と同様にして、オオバの生育に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。本試験において、試料数(n)は6とした。
【0091】
その結果を図17に示す。図17(A)(B)に示すように、無照射と比較して、緑色光照射により、葉面積、側枝数、主枝節数、地上部新鮮重、根のTTC活性が増加し、生育促進効果が得られた。
【0092】
[試験7−4]
ビニル温室において、照射強度0.8μmol/m2/s、照射時間1〜2時間として、毎日、緑色光をオオバ(香北在来種)に照射し、オオバの生育および品質に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。前記緑色光の照射には、緑色LED電球を使用した。前記オオバとしては、オオバ生産者による慣行土耕栽培の方法で育てたものを用いた。
【0093】
また、比較例として、緑色LED電球に代えて、白熱灯を使用し、生育および品質に及ぼす影響を調査した。
【0094】
調査結果を、図18、図19に示す。図18(A)〜(C)に示すように、白熱灯を使用した場合と比較して、緑色光照射により、主枝節数、茎径、側枝節数が増加し、生育が促進することがわかった。
【0095】
また、図19において、(A)はビタミンC含有量、(B)は総ポリフェノール量、(C)は硝酸態窒素含有量、(D)はリン酸含有量、(E)はカリウム含有量の結果である。図示のとおり、白熱灯を使用した場合と比較して、緑色光照射により、ビタミンC、総ポリフェノール、リン酸、カリウム全ての含有量が増加した。また、図示のとおり、白熱灯と比較して、緑色光照射により、硝酸態窒素が減少した。
【0096】
[試験7−5]
照射光強度を0.8μmol/m2/sとした以外は、試験7−4と同様にして、オオバの葉の光沢に及ぼす緑色光照射の影響を調査した。その結果を、図20に示す。図20に示すように、白熱灯と比較して、緑色光照射により、葉の光沢が増加し、品質の向上効果が得られた。
【0097】
[試験8]
ビニル温室において、照射強度を5〜40μmol/m2/s、照射時間夜間2時間、照射頻度3日に1回として、緑色光をシュンギク(中葉春菊、タキイ種苗株式会社製)、ネギ(鴨頭ねぎ、中原採種場株式会社製)、ミツバ(白茎三ツ葉(関西系)、タキイ種苗株式会社製)、ロケットサラダ(ロケット、タキイ種苗株式会社製)、グランドパセリ(グランドパセリ、タキイ種苗株式会社製)、イタリアンパセリ(イタリアンパセリ、タキイ種苗株式会社製)に照射し、それぞれ、生育に及ぼす影響、品質に及ぼす影響を調査した。前記各対象植物は、NFT水耕栽培の方法で育てたものを用いた。本試験において、生育調査においては、試料数(n)は、それぞれ6とし、品質調査においては、シュンギクおよびミツバはn=5、ネギはn=6、ロケットサラダはn=10、イタリアンパセリ及びグランドパセリはn=7とした。
【0098】
その結果を、図21、図22に示す。図21に示すように、無照射と比較して、緑色光照射により、地上部新鮮重量が増加した。また、図22に示すように、無照射と比較して、緑色光照射により、シュンギク、ミツバは総ポリフェノール量が増加し、ネギ、ロケットサラダ、グランドパセリ、イタリアンパセリはビタミンC含有量が増加した。
【0099】
以上のことから、暗黒時に葉菜類に緑色光を照射すれば、葉菜類の機能性成分の含有量を増加させることができ、しかも、葉や茎の生育も向上させることができる。また、短時間の照射で良いので生育中の葉菜類の日長照射条件を変更してしまうこともない。
【0100】
以上、この発明に係る葉菜類の栽培方法を実施の形態、実施例に基づき説明してきたが、これらの実施の形態や実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、変更や追加等は許容される。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明によれば、生育中の葉菜類の日長照射条件を変更することなく葉菜類のビタミン類やポリフェノール類などの機能性成分の含有量を増加させることができる。したがって、本発明は、例えば、葉菜類の生産において、有効に利用することができるが、その用途は限定されず、広い分野で使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉菜類の生産方法であって、暗黒条件下、前記葉菜類に緑色光のみを照射する照射工程を含み、前記照射工程により、前記葉菜類の機能性成分を増加させることを特徴する葉菜類の生産方法。
【請求項2】
前記照射工程において、照射強度が、0.1〜200μmol/m2/sの範囲であり、照射時間が1〜5時間であることを特徴とする請求項1記載の葉菜類の生産方法。
【請求項3】
前記照射工程の前後の少なくとも一方において、前記葉菜類を暗黒条件下に置く暗黒工程を含むことを特徴とする請求項1記載の葉菜類の生産方法。
【請求項4】
前記暗黒条件下に置く時間が、1時間以上であることを特徴とする請求項3記載の葉菜類の生産方法。
【請求項5】
前記照射工程を複数回で間欠的に実施することを特徴とする請求項1または2記載の葉菜類の生産方法。
【請求項6】
前記照射工程を間欠的に実施する割合が、1〜7日に1回の割合又は週に1〜7回の割合であることを特徴とする請求項5記載の葉菜類の生産方法。
【請求項7】
前記機能性成分が、ポリフェノール及びビタミンCの少なくとも一方を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の葉菜類の生産方法。
【請求項8】
前記照射工程により、前記葉菜類の硝酸態窒素を低下させることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の葉菜類の生産方法。
【請求項1】
葉菜類の生産方法であって、暗黒条件下、前記葉菜類に緑色光のみを照射する照射工程を含み、前記照射工程により、前記葉菜類の機能性成分を増加させることを特徴する葉菜類の生産方法。
【請求項2】
前記照射工程において、照射強度が、0.1〜200μmol/m2/sの範囲であり、照射時間が1〜5時間であることを特徴とする請求項1記載の葉菜類の生産方法。
【請求項3】
前記照射工程の前後の少なくとも一方において、前記葉菜類を暗黒条件下に置く暗黒工程を含むことを特徴とする請求項1記載の葉菜類の生産方法。
【請求項4】
前記暗黒条件下に置く時間が、1時間以上であることを特徴とする請求項3記載の葉菜類の生産方法。
【請求項5】
前記照射工程を複数回で間欠的に実施することを特徴とする請求項1または2記載の葉菜類の生産方法。
【請求項6】
前記照射工程を間欠的に実施する割合が、1〜7日に1回の割合又は週に1〜7回の割合であることを特徴とする請求項5記載の葉菜類の生産方法。
【請求項7】
前記機能性成分が、ポリフェノール及びビタミンCの少なくとも一方を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の葉菜類の生産方法。
【請求項8】
前記照射工程により、前記葉菜類の硝酸態窒素を低下させることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の葉菜類の生産方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図9】
【公開番号】特開2012−161313(P2012−161313A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6609(P2012−6609)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)電気通信回線を通じた発表 掲載年月日:平成23年 8月11日 掲載アドレス1:http://www.jshs.jp/uploads/photos/798.pdf (2)電気通信回線を通じた発表 掲載年月日:平成23年 9月 4日 掲載アドレス2:http://www.jshs.jp/uploads/photos/798.pdf (3)発表した刊行物:園芸学研究 第10巻 別冊2 −2011− 発行者名:園芸学会 会長 金浜 耕基 発行年月日:平成23年 9月24日 (4)発表した研究集会:園芸学会平成23年度秋季大会 主催者名:園芸学会 開催日:平成23年 9月24〜26日 発表日:平成23年 9月24日 (5)電気通信回線を通じた発表 掲載年月日:平成23年 8月29日 掲載アドレス3:http://jsabees.bpe.agr.hokudai.ac.jp/ (6)発表した刊行物:日本生物環境工学会2011年札幌大会 講演要旨 発行者名:日本生物環境工学会2011年札幌大会実行委員会 発行年月日:平成23年 9月 6日 (7)発表した研究集会:日本生物環境工学会2011年札幌大会 主催者名:日本生物環境工学会2011年札幌大会実行委員会 開催日:平成23年 9月6〜8日 発表日:平成23年 9月 7日
【出願人】(000144991)株式会社四国総合研究所 (116)
【出願人】(000180368)四国電力株式会社 (95)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)電気通信回線を通じた発表 掲載年月日:平成23年 8月11日 掲載アドレス1:http://www.jshs.jp/uploads/photos/798.pdf (2)電気通信回線を通じた発表 掲載年月日:平成23年 9月 4日 掲載アドレス2:http://www.jshs.jp/uploads/photos/798.pdf (3)発表した刊行物:園芸学研究 第10巻 別冊2 −2011− 発行者名:園芸学会 会長 金浜 耕基 発行年月日:平成23年 9月24日 (4)発表した研究集会:園芸学会平成23年度秋季大会 主催者名:園芸学会 開催日:平成23年 9月24〜26日 発表日:平成23年 9月24日 (5)電気通信回線を通じた発表 掲載年月日:平成23年 8月29日 掲載アドレス3:http://jsabees.bpe.agr.hokudai.ac.jp/ (6)発表した刊行物:日本生物環境工学会2011年札幌大会 講演要旨 発行者名:日本生物環境工学会2011年札幌大会実行委員会 発行年月日:平成23年 9月 6日 (7)発表した研究集会:日本生物環境工学会2011年札幌大会 主催者名:日本生物環境工学会2011年札幌大会実行委員会 開催日:平成23年 9月6〜8日 発表日:平成23年 9月 7日
【出願人】(000144991)株式会社四国総合研究所 (116)
【出願人】(000180368)四国電力株式会社 (95)
【Fターム(参考)】
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