説明

葉面散布剤

【課題】ビウレットの障害発生を回避しながら、肥料用尿素の葉面散布が可能な葉面散布剤とその製造方法を提供すること。
【解決手段】(a)塩基置換容量が60ミリグラム当量以上で、粒径が0.15mm以下の2:1型粘土鉱物、(b)酸性白土化した前記2:1型粘土鉱物、(c)酢酸苦土、モリブデン酸加里、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、クエン酸アンモン、硫酸銅、ホウ酸などよりなる微量要素、特殊成分等を配合した前記(a)又は(b)の2:1型粘土鉱物、又は(d)蔗糖、酢酸マグネシウムを配合した前記(a)又は(b)の2:1型粘土鉱物に、それぞれ肥料用尿素を配合して得られる葉面散布剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料用尿素を作物に安全に葉面散布ができるようにするための障害防止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
作物の地上部全体に施肥することを葉面散布といい、葉面散布に用いる肥料養分等を表面散布剤と呼ぶ。
【0003】
葉面散布の歴史は予想以上に古いが、窒素・燐酸・加里の肥料三要素成分の葉面散布は、第二次世界大戦後であって、尿素の人工合成が可能となってからである。窒素肥料成分を追肥する方法として尿素の水溶液を噴霧器等により作物体全体に散布する方法がとられてきた。
【0004】
その後、肥料用尿素の工業生産が実施されるようになり、肥料用尿素は、単独で葉面散布に使用されるのみならず、液体肥料の窒素原料に使用され、葉面散布にも用いられるようになった。しかし、肥料用尿素・液体肥料の葉面散布には、しばしば、劇症、あるいは、慢性的な障害が発生した。そして、肥料用尿素の粒状化に伴い障害の発生は増加するようになり、肥料用尿素を葉面散布することがほとんど見られなくなったのが現状である。
【0005】
一方、尿素の葉面散布に伴う障害防止には、蔗糖の混用が有効とされてきたが、肥料用尿素の障害防止には有効ではない。
【0006】
本発明者は、尿素を含む葉面散布に伴う障害発生原因について鋭意検討を加えた結果、障害発生原因を次の通り分類した。そして、障害発生原因別にその対策を検討すると、次の通りである。
【0007】
(a)アンモニアによるもの
アンモニアは、生物に対して有毒であることは広く知られている。アンモニアを直接植物体に散布すれば障害を発生することは容易に理解される。そして、アンモニアは、葉面散布剤の燐酸源として燐安を用いるときに含まれる場合が多いので、その対策としては、第一燐酸加里を用いることにより解決できる。
【0008】
また、尿素を葉面散布剤として使用したときに生じるアンモニアにより、植物体が枯れることが無いようにするために50℃〜100℃で反応させて得られる尿素−塩化カルシュウム塩を有効成分とすることが特開平8−301679号公報に開示されている。
【0009】
(b)硝酸によるもの
硝酸は、作物が根で吸収し同化するのであるが、作物の地上部には、この同化機能が発達していない。また、硝酸を根から吸収した場合も、この同化機能を越えて吸収した場合は、葉の葉緑素に吸着し、葉緑素の働きを阻害する。硝酸は最近話題になっている窒素酸化物の一種であって、作物体内で各種窒素酸化物に変化し、障害発生の原因となることは容易に理解される。
【0010】
そこで、アンモニア・硝酸による障害防止対策としては、尿素を窒素源として利用することにより解決される。
【0011】
(c)散布液のpHによるもの
この問題は、本発明者が腐植酸のアルカリ抽出液の葉面散布の実験により発見した問題である。腐植酸を溶解・抽出するために可性加里を用い、これを水に溶解して葉面散布する場合、散布液のpHにより薬害の発生程度が異なる。すなわち、pHが6.8以下5.4以上、それに、8.0から8.2の範囲内に安全領域が存在する。そして、このpH領域を外れると、薬害が発生しやすいのである。
この対策としては、pHの調整を厳密にするとともに、pH緩衝剤等の利用により解決される。
【0012】
(d)散布時の気温
気温が28℃以上、5℃以下では薬害が発生しやすいことは、公知である。また、この温度領域では、一般の作物の生育は低下するのであるから、葉面散布の必要性も低い。
【0013】
(e)糖分不足時に窒素成分の過剰施用
各種肥料成分のほとんどは無機質で吸収され、無機質のまま栄養に役立つのであるが、窒素と硫黄は、有機質(アミノ酸)に変化してから栄養に役立つのである。有機質に変化するためには、多量の糖分(光合成産物)が必要である。もし、糖分不足で窒素肥料等を葉面散布した場合には、アンモニア過剰に似た障害を発生する。
【0014】
(f)副成分による障害
副成分による障害は、塩化加里による塩素の害によるものが多い。加里原料に塩化加里を用いるのは、液体肥料を葉面散布に利用する場合である。これが、被害を軽減するための対策としては、希釈倍率を高め、低濃度で用いられるしかない。しかし、葉面散布を低濃度で実施することは、作業能率を低下させ、さらに、葉面からの肥料養分の吸収効率を低下させる。それで、葉面散布による施肥効果を過小評価させて、葉面散布技術の普及の妨げとなっている。
肥料副成分による障害の対策は、主に、加里原の問題で、原料の選定により解決できる。すなわち、塩化加里に替えて、燐酸加里、硫酸加里を用いることで解決できる。
【0015】
(g)不純物による障害
前記(a)、(b)に記載した原因から考えて、葉面散布剤の窒素原料には、尿素が最も有効と判断される。そして、葉面散布は追肥として使用されるので、窒素の肥効が高いことも考慮しておく必要がある。
【特許文献1】特開平8−301679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところが、安価な肥料用尿素を葉面散布すると、急性、あるいは、慢性的な障害を発生する。そこで、本発明者は、障害発生が肥料用尿素に偏っている点に注目し、その障害発生の原因が肥料用尿素に含有されるビウレットに原因することを発見した。
本来、ビウレットの障害は、大麦栽培の元肥に尿素肥料を施した場合に発生して問題になった。従って、ビウレットの障害発生についての研究は、土壌施用についてのみ行われている。
【0017】
そこで、ビウレットの特性と土壌施用に伴う障害発生条件について整理してみると、
(a)ビウレットの水に対する溶解度は、水100gに対して、水温0℃では125g、106℃では45gであって、比較的高い。そして、水温が低下するにつれて前記ビウレットの水に対する溶解度は増す傾向が見られる点は、一般の物質に比較して特徴的である。
【0018】
(b)ビウレットの障害発生は、低温で起こりやすく、高温では起こり難いと言われている。そして、この理由として、高温ならば微生物活動が活発になり、微生物による分解が促進されるためであろうと推測されている。
一方、ビウレットは、低温で溶解度が増し、高温で溶解度が減少するが、このことが、障害発生に関係があるか否かについては明らかにされていない。
【0019】
(c)ビウレットは、水田土壌で分解が早く、畑土壌では遅れる傾向があるといわれている。このことは、ビウレットの分解が微生物の作用によるという理論に矛盾を感ずる。
すなわち、畑土壌は水田土壌よりも微生物活動が旺盛である。それが、水田土壌で分解が早くなることは、微生物活動との関連が少ないことを示唆するものであると考えられる。
【0020】
(d)ビウレットは、ほとんど土壌吸着されないとされているが、尿素のように付加化合物となるかもしれないとの説がある。しかし、どのような土壌で吸着が多いのか、更に土壌吸着と障害発生との関係については明らかになっていない。
【0021】
(e)ビウレットの生理的な害作用については、その化学構造がペプタイド結合に似ているために、蛋白分解酵素の働きを阻害すると言われている。
【0022】
実際には、ビウレットの障害は、肥料用尿素を麦の元肥に施して発芽障害を発生したりパイナップルに葉面散布した場合に枯死したり、キュウリ、茶樹等に葉面散布を連用したところ樹勢が衰え、収量が低下したという障害が発生している。
【0023】
現状では、土壌施用に伴う障害発生は、ほとんど見られないが、葉面散布によるビウレットの障害は葉が黄化・枯死という激症から、葉色が青みがかった濃緑色となり葉縁が下側にカップ状に曲がり、樹勢が衰え、収量が大幅に低下するなど、多様の症状を呈して発生している。したがって、肥料用尿素の葉面散布に伴って発生するビウレットの障害発生防止は、絶対的に必要であり急務である。
【0024】
肥料用尿素は、肥料取締法上、ビウレットとして2%余りの含有が認められている。そのため葉面散布剤に用いられる尿素は、精製尿素・薬用尿素と呼ばれる高価なものが用いられてきた。そこで、葉面散布剤は高価となり、高級な園芸作物等に使用しても経済的であるが、一般的な作物への使用が困難になっているのが現状である。
【0025】
ビウレットは、尿素が150〜170℃に加温されたとき、二分子の尿素から、一分子のアンモニアが取れる縮合反応によって生ずる分子量103gの有機化合物である。従って、肥料用尿素の製造方法から完全に除くことは困難であり、さらに、尿素を粒状化すると増加する。
【0026】
前記した精製尿素・薬用尿素は、肥料用尿素とは製造方法が異なるか、あるいは肥料用尿素をアルコールを用いて洗浄し精製して製造する。したがってコストの上昇はやむを得ないものと考えられる。
【0027】
そこで、本発明の課題は、ビウレットの障害発生を回避しながら、肥料用尿素の葉面散布が可能な葉面散布剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明者は、葉面散布におけるビウレットの障害発生原因について検討を加えた結果次のように要約、とりまとめることができた。
【0029】
(a)尿素の葉面散布における吸収方法は、根からの吸収方法と異なることが分かった。根からの吸収では、尿素は分解してアンモニアとなって吸収されるが、しかし葉面からの吸収では、尿素は分解してアンモニアになること無く、尿素分子のまま吸収されて、オルニチン回路の逆反応により同化される。ビウレットも尿素と同様に吸収され、この同化作用にビウレットが加わった場合にはオルニチンと尿素の反応が妨げられ、アルギニンの生成に異常をきたすことが障害発生の原因である。
【0030】
(b)葉面散布に尿素とビウレットが共存する場合、ビウレットの吸収が促進されて障害発生が促進される。このことは尿素を葉面散布に使用すると、尿素の界面活性剤的働きにより共存物質の吸収が促進されることにより容易に理解される。
【0031】
(c)肥料用尿素の葉面散布におけるビウレットの障害発生防止には、ビウレットの葉面からの吸収を抑制することが根本的対策と判断される。
【0032】
本発明者は、ビウレットの障害発生を回避する方法について鋭意検討を加えた結果、ビウレットを2:1型粘土鉱物に吸着、結合させ、溶解度を下げることにより葉面からの吸収を抑え、肥料用尿素の葉面散布におけるビウレットの障害発生を防止することに成功し、本発明を完成したのである。
【0033】
すなわち、請求項1記載の発明は、塩基置換容量が60ミリグラム当量以上で、粒径が0.15mm以下の2:1型粘土鉱物を含有する肥料用尿素からなる葉面散布剤である。
【0034】
請求項2記載の発明は、酸性白土化した2:1型粘土鉱物を用いる請求項1記載の葉面散布剤である。
【0035】
請求項3記載の発明は、酢酸苦土、モリブデン酸加里、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、クエン酸アンモン、硫酸銅、ホウ酸を含む微量要素・特殊成分を配合した請求項1または2記載の葉面散布剤である。
【0036】
請求項4記載の発明は、蔗糖と酢酸マグネシウムを配合した請求項1または2記載の葉面散布剤である。
【発明の効果】
【0037】
請求項1記載の発明により、ビウレットの障害発生を回避しながら、肥料用尿素の葉面散布による窒素成分を効果的に追肥できる。
【0038】
請求項2記載の発明により、請求項1記載の発明の効果に加えて、酸性白土化した2:1型粘土鉱物を用いる葉面散布剤の白濁と沈殿を防止できる。
【0039】
請求項3記載の発明により、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、肥効増進効果の高い微量要素・特殊成分を予め葉面散布剤に配合しておき、農作業の煩雑さを解消することができる。
【0040】
請求項4記載の発明により、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、糖質不足による窒素の過剰障害を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の実施の形態について以下説明する。
2:1型粘土鉱物は、蛋白質あるいはペプタイド結合を吸着保持することが古くから知られていて、蛋白質の希薄な溶液に2:1粘土鉱物を添加することにより、蛋白質を析出、結晶化する技術は公知となっている。この作用は、蛋白質を構成するアミノ酸のアミノ基、カルボキシル基が2:1型粘土鉱物の作用基と結合して、これら親水性の基を封じるために起こることが、既に知られている。
【0042】
<予備的な実験>
本発明者は、ビウレットの化学構造がペプタイド結合に類似することに着目して、2:1型粘土鉱物と結合して溶解度が減少するのではないかと考えて、実験例1に示すような試験をした。
【実験例1】
【0043】
2:1型粘土鉱物がビウレットを吸着して不溶化するのに有効か否かを知るために、ビウレットの水溶液に2:1型粘土鉱物を加えて濾紙を用いて濾過し、濾液中のビウレット量を測定した。
【0044】
実験方法はビウレット1部を100部の水に溶解し、これに各種の2:1型粘土鉱物を10部加え、振とうを加えながら一夜放置後、濾紙でもって濾過し、濾液中に含まれるビウレットの量を測定して回収率として求めた。
【0045】
なお、ビウレットの定量分析方法は、肥料分析法、(1977年版)農林省農業技術研究所に従った。
【0046】
供試粘土鉱物の主な特徴とビウレットの回収率は、表1に示す。
【表1】

【0047】
以上の結果より、障害発生防止効果の機作について検討を加えるために、粘土鉱物の特性について整理してみることとする。
【0048】
自然界の鉱物を大別して、一次鉱物と二次鉱物に分類される。一次鉱物は溶岩が冷えて固まったものであり、二次鉱物は一次鉱物が風化分解した後、分子・原子にまで分解し、水の中等で珪酸を中心にしてアルミニウム・苦土・鉄等と結合し、再結晶したものである。
【0049】
粘土鉱物は、1:1型粘土鉱物と2:1型粘土鉱物に分類される。1:1型粘土鉱物は珪酸とアルミニウムが1:1に結合したものである。2:1型粘土鉱物は珪酸の層2層がアルミニウムあるいは苦土または鉄の層1層をサンドイッチ状に挟み結合したものである。
【0050】
粘土鉱物の特徴は陰荷電を帯び、各種陽イオンを交換して吸着する。この性質を塩基置換能あるいは陽イオン交換能と呼ぶ。1:1型粘土鉱物の陽イオン交換能はpH依存性陰荷電と呼ばれ、pHの変動につれて陰荷電の数が変動し、その荷電の力は弱い。一方、2:1型粘土鉱物の陽イオン交換能は永久陰荷電と呼ばれ、pHが変動しても陰荷電の数は変わらない。そして、その荷電の力は強く、荷電が影響する範囲は広く、拡散二重層と呼ばれる層を形成する。特に前記拡散二重層の内側の層は強大である。
【0051】
塩基置換能あるいは陽イオン交換能の量は、陰荷電の数を表すのが、塩基置換容量あるいは陽イオン交換容量(以下、CEC.という)といわれており、粘土鉱物100g当たりミリグラム当量(以下、me.で表す)の単位で表される。そして、1:1型粘土鉱物のCEC.は10me.以下であるが、2:1型粘土鉱物のCEC.は、60me.以上である。このCEC.の差により、両粘土鉱物の種類が特定される。
【0052】
さらに2:1型粘土鉱物には他種類のものが存在している。大別して、モンモリロナイト系、バーミキュライト系およびイライト系がある。前記セリサイトはバーミキュライト系に属するのものであり、モンモリロナイトはモンモリロナイト系に属するものである。これらの種類は、単独で産出されることは少なく、殆どが他の粘土鉱物等と混合して産出する。粘土鉱物の生産・加工方法で重要視されることは、その粉砕、篩別の技術であるが、これは、混在する各種粘土鉱物をできるだけ純粋に選別するための手段である。そして市販の粘土鉱物には粒径が数mm以上のものから0.05mm以下のものまである。
なお、2:1型粘土鉱物は、我が国の各地で産出される他、外国産のものが多量に輸入されている。
【0053】
ビウレットと2:1型粘土鉱物の関係を詳しく知るために、実験例2に示すような実験を行った。
【実験例2】
【0054】
ビウレット1部を100部の水に溶解した溶液を作り、これに実験例1で用いたモンモリロナイトBを1部〜20部を添加して、ビウレットの回収率を求めた。
【0055】
実験結果は表2に示す。
【表2】

【0056】
実験例2の結果が証明するように、粘土鉱物の添加量とビウレットの回収率が比例的に推移することから、粘土鉱物の吸着能とビウレットとの親和性は高いと判断される。そして実験例1の結果と併せて判断すると、ビウレットを吸着する機能は粘土鉱物の塩基置換能に関係し、吸着量はCEC.に比例する傾向が認められる。そして、ビウレットは、一価の陽イオンの如く行動している様に見られる。
【実験例3】
【0057】
ビウレットの化学構造式についてみると多価イオンと考えられる。それが実験例2の結果のように一価のイオンとして行動することについて明らかにするために、次のような実験を行った。
【0058】
ビウレット2部を100部の水に溶解した溶液を作り、これをビウレット原液とした。表3に示す試験設計に従って、振とう瓶にビウレット原液と水を入れ、続いて所定の量の2:1型粘土鉱物を添加した。供試した2:1型粘土鉱物は、実験例1で用いたモンモリロナイトBである。そして、添加後約3時間振とう機を用いて振とう・攪拌した後、濾紙を用いて濾過した。
【0059】
濾液については、実験例1に示す方法を用いて、ビウレットの濃度を測定した。そしてこの測定値を実験例1に従って第1次回収率とした。
【0060】
一方、濾紙上の2:1型粘土鉱物等を氷の入った冷水で3回洗浄し次の処理を行った。洗浄した濾紙上の2:1型粘土鉱物等を濾紙と共に、広口の振とう瓶に移し、酢酸ナトリウムの1モル/1リットル溶液を、試験設計に示すビウレット原液と氷との合計量に等しい容量を添加し、振とう機を用いて、振とう・攪拌を約3時間実施した後、濾紙を用いて濾過した。濾液中のビウレットを測定した。そして粘土鉱物に吸着したビウレット量に対する比率を求め、第2次回収率とした。実験結果は表3、図1に示す。
【表3】

【0061】
本実験により発見されたことは、実験NO.2〜6によりビウレットは2:1型粘土鉱物に対して一価から五価の陽イオンとして反応していることと、実験NO.6〜11により2:1型粘土鉱物に吸着したビウレットが酢酸ナトリウムによって抽出されるが、最高に吸着された量の20%弱のものは2:1型粘土鉱物に吸着され、酢酸ナトリウムでは抽出されないことである。
【実験例4】
【0062】
以上の実験例により、2:1型粘土鉱物がビウレットを吸着し、不溶化することが明らかとなったので、葉面散布におけるビウレットの障害発生と、2:1型粘土鉱物の防止効果を確認するために実験例4に示すような実験を実施した。
【0063】
供試粘土鉱物としては、実験例1で使用したセリサイトとモンモリロナイトBを用いた。 試験区は、無処理区のほかにビウレット1部を水100部に溶解した溶液に対してモンモリロナイトBの1部又は5部を添加する試験区を設け、セリサイトの2部、8部を添加する試験区を設けた。
【0064】
供試作物として本葉5枚のキュウリ苗を用いた。そして前記ビウレット溶液に粘土鉱物を粉末で配合し、この混合物をキュウリの苗に筆を用いて全体に塗布した。
前記処理を行った後、4日目頃から0部(粘土鉱物の添加ゼロ)のキュウリ苗の生育に異常を認めるようになった。そしてこの初期症状は、肥料用尿素を葉面散布したときに似ていた。
【0065】
本実験結果は、処理後14日目の状況について調査したものである。その結果は、表4に紹介する通りである。
【表4】

【0066】
以上の結果より2:1型粘土鉱物がビウレットの薬害防止に有効であることを確認した。そしてビウレット1部に対して2:1型粘土鉱物1.0部以上で有効と判断された。
【0067】
<実施方法;散布剤製造方法>
以上の実験例に基づき、肥料用尿素と2:1型粘土鉱物を混合して葉面散布剤を製造する実施例を以下説明する。
本発明の実施例を実施するに当たって、以下のことを念頭に置く必要がある。
本発明は、肥料用尿素中のビウレットの障害を回避するのが目的である。そして、肥料用尿素中のビウレットの含量は、肥料取締法で定める公定規格において「窒素全量の含有率1.0%につきビウレット性窒素0.02%」の含有が許されている。このことから、肥料用尿素のビウレット含量は2.4%が上限値となる。そして、実験例3で得られた結果を併せて考えると、肥料用尿素100部に対して、CEC.140me.の2:1型粘土鉱物ならば、170〜860部、CEC.100me.の2:1型粘土鉱物ならば、240〜1200部、そして、CEC.60me.の2:1型粘土鉱物ならば、400〜1200部で、ビウレットを吸着し不溶化することを発見した。
肥料用尿素1部に対する、2:1型粘土鉱物のCEC.とその添加量との関係を図示すると図2のようになる。
【0068】
本発明は、一般に流通している肥料用尿素を葉面散布に用いるために必要とするものである。したがって、肥料用尿素と2:1型粘土鉱物を混合して、葉面散布剤を製造するメリットは少ない。また、肥料取締法において、2:1型粘土鉱物を混合することについては異物としての規制を受けるので、現行法規上では実現は困難である。
【0069】
鉱物質のものを植物の葉に散布する技術としては、農薬のキャリヤーとして各種の鉱物質のものが用いられている。この鉱物質のものはタルク等の一次鉱物と二次鉱物すなわち、粘土鉱物としては、カオリンと呼ばれる1:1型粘土鉱物が主に使用されていて2:1型粘土鉱物は使用されていない。これにはいろいろな原因が考えられるが、2:1型粘土鉱物は、一次鉱物、さらに二次鉱物の1:1型粘土鉱物に比較して、吸湿性、膨潤性が共に高く、製剤化した後において、剤の形状が崩壊し、さらに薬効に経時変化を起こし、時には薬害を引き起こすためである。従って2:1型粘土鉱物の葉面散布は、本発明が初めてである。
【0070】
本発明を利用して、肥料用尿素を原料にした葉面散布剤の製造を試みたが、尿素を含有する製品は品質的に不安定であることが分かった。その原因は、2:1型粘土鉱物の吸湿性に尿素の吸湿性が作用して製品の形状変化と、更に、尿素の分解を促進するので好ましくない。さらに燐酸、加里成分を含有する葉面散布剤に2:1型粘土鉱物を添加し、保存する場合には、2:1型粘土鉱物が含有する塩基と反応して燐酸・加里の溶解度を低下させることも分かった。なお、これらの対策として、2:1型粘土鉱物を公知の方法により、酸性白土化することにより解決されるが、肥料取締法上、実施は困難である。
【0071】
したがって、本発明を実施するための製品は、第1の形態として2:1型粘土鉱物の単体、あるいは、2:1型粘土鉱物を酸性白土化した単体を用いる。第2の形態としては、2:1型粘土鉱物単体、あるいは酸性白土に各種微量要素、特殊成分、砂糖等を添加し、肥料用尿素による障害発生に限らず、葉面散布に伴って発生する各種障害の発生を総合的に防止しようとするものである。なお、第2の形態の場合、肥料取締法の対象とはならないことを付記しておく。また、製造方法は実施例に詳しく紹介する。
【0072】
<使用方法>
使用方法は実施例に詳述するが、要約すると、肥料用尿素を溶解する水に、2:1型粘土鉱物等を含む障害発生防止剤を肥料用尿素量の約2倍量を添加して、噴霧器等を用いて葉面に散布する。もし燐酸、加里成分の施用が必要と認めたときには市販の燐酸・加里葉面散布剤を同時に混入し、葉面に散布することができる。
【0073】
葉面散布は、肥料養分を水溶液として、噴霧器等で作物の葉面に散布する施肥方法である。この場合、本発明に関する2:1型粘土鉱物は水に溶解せず、懸濁状態に存在する。
【0074】
この懸濁状態は噴霧器の機構で安定的に維持されるが、問題なのは噴孔の大きさである。すなわち、噴孔の大きさは直径0.5mm以下であって、従って、粘土鉱物の粒径は0.5mm以下で無ければならない。そして懸濁状態をより良好に維持するためには、0.15mm以下より好ましくは0.07mm以下である。
【0075】
2:1型粘土鉱物の種類、質は各種多様であるが、その選定については実験例において詳しく検討したとおり、塩基置換容量が60me.以上より好ましくは、100me.以上である。
【実施例1】
【0076】
まず、具体的実施方法は、肥料用尿素を用いて実験例4に準じて実施した。すなわち、肥料用尿素1部を水50部に溶解したものを作り、この尿素溶液100部に対して、実験例4で用いた、2:1型粘土鉱物を表5に従って添加した。供試した肥料用尿素のビウレット含量は2%であった。また、肥料用尿素1部を水50部に溶解した葉面散布液は、精製尿素の葉面散布液の最高濃度に相当する。葉面散布液は、実験例4に従って本葉5枚のキュウリの苗に筆を用いて塗布し、4日間の間隔をおいて3回に亘って処理した。
【0077】
処理終了後、7日目にキュウリの苗の生育状態を観察し調査した結果を表5に紹介する。
【表5】

【0078】
以上の結果から、肥料用尿素100部に対して肥料用尿素が肥料取締法の規制の範囲内にあるものであれば、2:1型粘土鉱物は2部以上で有効と判断される。また添加の上限量は作物に対する2:1型粘土鉱物の影響が余り無いことから厳しく制限されないと判断される。むしろ葉面散布の作業性から制限される。すなわり、2:1型粘土鉱物は水に不溶性なので添加量が増すと散布液の物理性を悪くする。しかし葉面散布の肥料用尿素の濃度は2%以下なので、2:1型粘土鉱物の添加量は肥料用尿素の10倍量であっても差し支えない。
【実施例2】
【0079】
肥料用尿素100部に対して、2:1型粘土鉱物として陽イオン交換容量140me.で、粒径0.063mm以下のモンモリロナイトを200部添加し混合した後、直ちに粒状肥料用尿素1部に対して水100部の割合で溶解して葉面散布液を作り、次のように葉面散布した。
【0080】
実施例1においては、尿素溶液に2:1型粘土鉱物を添加したのであるが、本実施例では、肥料用尿素を2:1型粘土鉱物を混合した後、水に溶解することを特徴とする。
【0081】
実験は対象作物としてキュウリ、野芝、茶の三種類の作物を選び、キュウリは本葉5枚の苗を核実験区毎に5本用意した。野芝はゴルフ場の苗床に生育しているものを1m2 づつ区切って用いた。茶は畑で成育中の4年生の苗木を各実験区毎に5本用意した。そして、実験中の栽培管理は慣行に従って実施した。
1.無処理 :葉面散布を行わない。
2.肥料用尿素:肥料用尿素1部を100部の水に溶かして葉面散布。
3.同上添加 :肥料用尿素1部に対して2:1型粘土鉱物2部を添加して100部の水に溶かして葉面散布。
【0082】
葉面散布は小型のハンドスプレーヤーを用いて葉面が十分に濡れるまで行い、水滴が落ちないまで散布した。そして散布は5日間隔で5回実施した。
障害発生防止剤、上記2:1型粘土鉱物の添加は散布液を白濁させたが、散布作業に支障を来すものではなかった。
【0083】
処理を終了して5日目に薬害発生状況を調査した結果を表6に示す。
【表6】

前記2.では程度の差はあるが、葉色、草勢に異常を認めた。特に茶では異常落葉が観察された。しかし前記3.には葉面散布による生育の増進は見られたが、全く異常は見られなかった。
【実施例3】
【0084】
一般に市販されている尿素液肥の薬害発生防止実験を次のように実施し、薬害発生の程度を観察した。
【0085】
用いた液体肥料は、肥料成分の保証値が窒素15%(内、アンモニア5%)、燐酸4%、加里6%で尿素・燐安・塩化加里を原料とするものである。そして、葉面散布に用いるには500〜1000倍の低濃度で使用されている。
【0086】
本実施例では、前記液体肥料の重量比で100部に対して、実施例2で用いた薬害防止剤を20部の割合で添加した。
【0087】
その他の実験方法は実施例1に準じて実施し、液体肥料を水で薄める倍率を50倍、100倍、250倍の三段階とした。
【0088】
実験結果は表7に示す。
【表7】

前記1.の障害はその症状から判断して、主に塩化加里による無機質塩による濃度障害によると考えられる。
【実施例4】
【0089】
実施例1で薬害防止剤として用いた2:1型粘土鉱物のひとつ、モンモリロナイトAに濃度20%の塩酸液を4倍量加え加熱した後、水で充分に洗浄した後、加熱乾燥して酸性白土を製造した。この酸性土の製造方法は公知である。
【0090】
2:1型粘土鉱物を酸性白土化する目的は、実施例3で用いた葉面散布溶液の残液を放置しておくと、しばらくして白濁・沈澱したことによる。この白濁・沈澱の状態は粒子が粗く2:1型粘土鉱物によるのとは異なる。それで、白濁の原因について調べたところ、2:1型粘土鉱物が含有する加里・石灰・苦土等の塩基と、液肥中の燐酸が反応して難溶性の複塩等を作ることが明らかとなったために、2:1型粘土鉱物を酸性白土化し、石灰・苦土等の塩基を取り除き、葉面散布液の白濁・沈澱化を防止した。このことは葉面散布剤の加里・石灰・苦土、更に燐酸の肥効低下の原因ともなるので注意を要する問題である。
【0091】
市販の燐酸加里葉面散布剤は、窒素0%、燐酸34%、加里22%及び硝酸化成抑制剤ST.0.4%含有するものであるが、この燐酸加里葉面散布剤40部、肥料用尿素60部、さらに前記酸性白土を100部添加して、リボンミキサーに入れ30分間攪拌して製造した。製品を化学分析をした結果、窒素:13.8%、燐酸:6.8%、加里:4.4%を含有することが認められた。
【0092】
製造後、1ヶ月間放置後、前記製品1部に水100部の割合で溶解したところ、酸性白土による白濁の他に異常は認められなかった。また、前記製品を室内に開放状態の放置したが、吸湿等による形状変化も見られなかった。さらに、化学分析の結果、表8に示す結果を得て、酸性白土化により製品品質の安定化が確認された。
【表8】

【0093】
前記製品1部に水100部の割合で溶解したものと、市販の葉面散布剤(窒素30%、燐酸10%、加里10%含有)1部を水200部に溶解したものを対象にして、実施例2に従って、葉面散布を行った。結果は表9に示す。
【表9】

【実施例5】
【0094】
実施例2で用いた2:1型粘土鉱物85部に対して微量要素・特殊成分(酢酸苦土37部、モリブデン酸加里1部、硫酸亜鉛25部、硫酸マンガン20部、クエン酸アンモン5部、硫酸銅2部、ホウ酸10部よりなる)15部とを配合した、肥料用尿素の障害発生防止と、肥効増進を目的とする葉面散布剤を製造した。
【0095】
葉面散布は、施肥作業の内、追肥である。追肥では窒素成分の補給を目的とする場合が多く、燐酸、加里は元肥に施したもので充分であることから追肥に施す必要性は少ない。
【0096】
ただ、微量要素及び特殊成分の葉面散布効果は、殆どの作物について高い。しかし、農家等において、前記の微量要素及び特殊成分を調達・配合することは、大変に煩雑なことである。それで、障害発生防止剤に配合して供給するのが合理的と判断される。
【0097】
製造方法は、微量要素及び特殊成分の原料を、それぞれ計量して通常の衝撃式粉砕機を用いて粒径を0.1mm以下に粉砕し、同時に混合した後、リボンミキサーに2:1型粘土鉱物と一緒に投入して、30分間攪拌した後、選別、混合するという工程で実施した。
【0098】
使い方は、ゴルフ場のグリーン用洋芝(ベントグラス・ペンクロス)の苗床で行った。そして、葉面散布液は肥料用尿素1部に対して本障害発生防止剤2部を配合し、100部の水に溶解して散布液とした。散布方法は小型のハンドスプレーヤーで葉面散布する方法で実施した。
【0099】
本散布液を散布した区を、防止剤区と呼ぶことにした。そして、対象として無散布区肥料用尿素1部を水100部に溶解して散布した肥料用尿素区を設けた。そして散布液量は、200ml/1m2とした。その他の実験方法、調査方法は、実施例1に準ずるものとした。試験結果は表10に示す。
【表10】

【実施例6】
【0100】
本来、葉面散布は追肥であって追肥では窒素成分の補給を目的とする場合が多く、燐酸、加里は元肥に施したもので充分であることから追秘する必要性は少ない。
既に紹介したとおり各種肥料成分の多くは無機質であり、吸収して無機質のままで栄養に役立つが、窒素と硫黄は無機質で吸収して有機質に同化して役立つのである。有機質に同化するには、多量の光合成産物である糖質を多量に消耗する。作物が光合成産物、糖質を多量に必要とするのは、果実の生産と、窒素の同化だと言われている。したがって、作物体内の遊離の糖質が不足しているときに、窒素肥料が効くと窒素過剰となり伝染病等の発病の原因となる。
【0101】
一方、作物体内の遊離の糖質が不足しているときに、蔗糖の葉面散布が糖質の補給に役立つことがすでに公知となっている。そして、本発明者の研究により、糖質の生体内での代謝産物である酢酸の葉面散布も有効であり、蔗糖よりも即効性であることが明らかになっている。
【0102】
肥料用尿素を葉面散布するには不良天候が続いた後、天候の回復と同時に作物の生育を速やかに回復することを目的とする場合が多いが、このような場合には、糖質不足による窒素過剰の害を生じやすい。
【0103】
本実施例は、肥料用尿素のビウレットによる障害発生を防除するだけでなく糖質不足による窒素の過剰障害の併せて防止するのが目的である。
蔗糖は市販の上白糖を用いた。この場合、注意しなければならないことは、ブドウ糖等、他の糖類の混入していないものを選定することである。
酢酸原としては、市販の酢酸マグネシウムを用いた。マグネシウムは、窒素と共に、葉緑素を構成する重要な成分であるためか、窒素成分と葉面散布する効果は高い。
【0104】
これまでの蔗糖の添加量は、葉面散布液に対して1%程度を適量としてきた。しかし、蔗糖添加の目的が、窒素と糖質の不均衡を改善するのが目的であるので、窒素量に対する蔗糖の量を定めるべきと考えられた。本発明者はこの点について鋭意検討を加えた結果、窒素成分1部に対して、蔗糖を約7部以上、従って尿素1部に対して蔗糖を約3部以上を添加するのが適量であることを発見した。それで、三者の混合比率は、2:1型粘土鉱物40部、蔗糖55部、酢酸マグネシウム5部が適量である。
【0105】
製造方法は、市販の酢酸マグネシウムを衝撃型粉砕機で粒径5mm以下に粉砕し、所定の量を計量して、リボンミキサーに入れ、続いて実施例2で用いた2:1型粘土鉱物と前記市販の上白糖を所定の量を加えて30分間攪拌する。
使い方は、水100部に対して、肥料用尿素1部、本製品を5部の割合で混合、溶解して、噴霧器を用いて作物の葉面に散布する。
【0106】
この葉面散布液を、梅雨明けの7月1日、ゴルフ場の高麗芝グリーンに、1m2当たり、200ml、の割合で葉面散布した。そして、芝刈りをした場合の刈り草量を無散布と比較した結果、大差のあることを認めた。その結果を表11に示す。
【表11】

【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は2:1型粘土鉱物を用いて肥料用尿素による障害発生に限らず、葉面散布に伴って発生する各種障害の発生を総合的に防止することが可能であり、葉面散布剤として極めて有用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】ビウレットが2:1型粘土鉱物に対して何価のイオンとして働いているを見る実験を行った結果を示す図である。
【図2】肥料用尿素1部に対する、2:1型粘土鉱物のCEC.とその添加量との関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基置換容量が60ミリグラム当量以上で、粒径が0.15mm以下の2:1型粘土鉱物を含有する肥料用尿素からなる葉面散布剤。
【請求項2】
酸性白土化した2:1型粘土鉱物を用いる請求項1記載の葉面散布剤。
【請求項3】
酢酸苦土、モリブデン酸加里、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、クエン酸アンモン、硫酸銅、ホウ酸を含む微量要素・特殊成分を配合した請求項1または2記載の葉面散布剤。
【請求項4】
蔗糖と酢酸マグネシウムを配合した請求項1または2記載の葉面散布剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−217259(P2007−217259A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42661(P2006−42661)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(592179207)株式会社テイー・エー・シー・ハセガワ (1)
【Fターム(参考)】