説明

蒸気ボイラ用給水タンク

【課題】ドレン熱の十分な有効活用を図るとともに、キャビテーションを防止することのできる蒸気ボイラ用給水タンクの提供を目的とする。
【解決手段】蒸気ボイラ用給水タンク1は、蒸気ボイラ14に接続され、ドレン回収配管30及び給水口12を備え、ドレン回収配管30が、ドレン回収用内管31と、空気排出用外管32と、流路33とを有し、ドレン回収用内管31が、ドレン回収ライン16に接続され、かつ、タンクの水中に所定の長さだけ水没し、空気排出用外管32の上端部が、タンクの水面より上方に位置し、かつ、空気排出用外管32の下端部が、ドレン回収用内管31の下端部より下方に位置する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気ボイラ用給水タンクに関し、特に、ドレン熱の十分な有効活用を図るとともに、キャビテーションを防止することのできる蒸気ボイラ用給水タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気ボイラは、給水の温度が高いほど、燃料の消費効率が上がる。そのため、熱交換器(蒸気使用機器)からのドレン(凝縮水)を蒸気ボイラ用給水タンクに回収し、ドレンの持っている熱を回収することが、一般的に行われている。
【0003】
(第一従来例)
次に、本発明に関連する蒸気ボイラ用給水タンクについて、図面を参照して説明する。
図3は、第一従来例にかかる蒸気ボイラ用給水タンクを説明するための概略図を示している。
図3において、蒸気ボイラ用給水タンク101は、給水口12、ドレン回収配管17、及び、空気孔18などを備えている。
【0004】
給水口12は、通常、蒸気ボイラ用給水タンク101の下部に設けられており、補給水を供給する。この補給水は、予め原水中の溶存気体(空気、特に酸素)を除去した脱気水である。これは、溶存気体がタンク内の水とともに蒸気ボイラ14に供給されると、蒸気ボイラ14の缶体腐食の原因となるからである。
なお、蒸気ボイラ用給水タンク101は、ボールタップ装置(図示せず)を備えており、タンク内の水位が低下したら補給水をタンク内に供給し、水位が所定水位まで上昇したら補給水を停止する構成になっている。
【0005】
ドレン回収配管17は、一端がドレン回収ライン16と接続され、他端が蒸気ボイラ用給水タンク101の上部に接続されており、ドレンを蒸気ボイラ用給水タンク101に供給する。このドレン回収配管17は、他端(ドレンの放出口とも呼ばれる。)がタンク内の水面の上方に位置しており、ドレンはタンク内の空気に触れつつ(あるいは、空気を水中に伴うようにして)供給される。
また、空気孔18は、蒸気ボイラ用給水タンク101の上部に設けられており、タンク内の空気(蒸気をも含む。)をタンク外に放出する。
【0006】
また、蒸気ボイラ用給水タンク101は、蒸気ボイラ14などとともに、ボイラシステムを構成している。すなわち、このボイラシステムは、蒸気ボイラ用給水タンク101、給水ポンプ13、蒸気ボイラ14、熱交換器15及びドレン回収ライン16などを備えている。
蒸気ボイラ用給水タンク101は、給水ポンプ13を介して蒸気ボイラ14に接続されており、タンク内の水を蒸気ボイラ14に供給し、蒸気ボイラ14は、蒸気を熱交換器15に供給する。供給された蒸気は、熱交換器15で熱交換され、熱交換後のドレンは、ドレン回収ライン16及びドレン回収配管17を介して蒸気ボイラ用給水タンク101内へ流入する。上記ドレンの流入によって、蒸気ボイラ用給水タンク101は、ドレンの持っている熱を回収する。
【0007】
(第二従来例)
図4は、第二従来例にかかる蒸気ボイラ用給水タンクを説明するための概略図を示している。
図4に示すように、第二従来例の蒸気ボイラ用給水タンク102は、上述した蒸気ボイラ用給水タンク101と比べると、ドレン回収配管17の代わりに、ドレン回収配管21を備えている点などが相違する。
なお、本従来例の他の構成は、蒸気ボイラ用給水タンク101とほぼ同様としてある。したがって、図4において、図3と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0008】
ドレン回収配管21は、蒸気ボイラ用給水タンク102の上部を貫通して設けられており、一端がドレン回収ライン16と接続され、他端(ドレンの放出口とも呼ばれる。)が蒸気ボイラ用給水タンク102のほぼ中段部に位置している。また、蒸気ボイラ用給水タンク102は、通常、水位がタンク内高さの約80%の高さ位置に設定されているので、ドレンは、水中に位置する他端から、タンク内の上方の空気に触れることなくタンク内の水中に放出される。上記ドレンの放出によって、蒸気ボイラ用給水タンク102は、ドレンの持っている熱を回収する。
【0009】
また、本発明に関連する様々な技術が提案されている。
たとえば、特許文献1には、給水タンクの水面に泡立ちを発生させないことを目的として、給水タンク内に筒状容器と連通管とからなる気体分離器を設け、この気体分離器にドレン回収ラインを接続した給水タンクの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−121005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図3に示す蒸気ボイラ用給水タンク101は、ドレンの熱が、タンク内の水を温める前に空気孔18を介してタンク外に排出されてしまい、有効なドレン熱利用ができていないといった問題があった。
また、図4に示す蒸気ボイラ用給水タンク102は、ドレン回収配管21の先端がタンク内の水中に位置することにより、ドレンの熱が十分に有効活用されるものの、ドレン内の気泡が、給水ポンプ13内に浸入しキャビテーションを起こす恐れがあるといった問題があった。
さらに、特許文献1に記載の給水タンクは、ポンプ内への気泡の浸入を抑制しキャビテーション防止に効果が期待できるものの、筒状容器の小孔から蒸気が逃げてしまい、熱回収の効率が悪いといった問題があった。
【0012】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、ドレン熱の十分な有効活用を図るとともに、キャビテーションを防止することのできる蒸気ボイラ用給水タンクの提供を目的とする。
なお、本発明者は、鋭意検討の結果、ドレン回収内管と空気排出外管からなる二重構造のドレン配管を設けた給水タンクによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の蒸気ボイラ用給水タンクは、蒸気ボイラに接続され、ドレン回収配管及び給水口を備えた蒸気ボイラ用給水タンクにおいて、前記ドレン回収配管は、ドレン回収用内管と、このドレン回収用内管の挿入される空気排出用外管と、前記ドレン回収用内管及び前記空気排出用外管によって形成される流路とを有し、前記ドレン回収用内管は、ドレン回収ラインに接続され、かつ、前記蒸気ボイラ用給水タンクの水中に所定の長さだけ水没し、前記空気排出用外管は、上端部が前記蒸気ボイラ用給水タンクの水面より上方に位置し、かつ、下端部が前記ドレン回収用内管の下端部より下方に位置する構成としてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の蒸気ボイラ用給水タンクによれば、ドレン回収内管により、ドレンを直接水中に放出することによって、ドレン熱の有効利用を図ることができ、また、ドレン内の気泡を、ドレン回収内管と空気排出外管との間隙(流路)を通過(上昇)させ、水中から排出することによって、ポンプにおけるキャビテーションを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる蒸気ボイラ用給水タンクを説明するための概略図を示している。
【図2】図2は、本発明の実施例にかかる蒸気ボイラ用給水タンクを説明するための概略図を示している。
【図3】図3は、第一従来例にかかる蒸気ボイラ用給水タンクを説明するための概略図を示している。
【図4】図4は、第二従来例にかかる蒸気ボイラ用給水タンクを説明するための概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[蒸気ボイラ用給水タンクの実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態にかかるスロットマシンの筐体構造を説明するための概略斜視図を示している。
図1は、本発明の一実施形態にかかる蒸気ボイラ用給水タンクを説明するための概略図を示している。
図1において、本実施形態の蒸気ボイラ用給水タンク1は、上述した蒸気ボイラ用給水タンク101と比べると、ドレン回収配管17の代わりに、ドレン回収配管30を備えた点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、蒸気ボイラ用給水タンク101とほぼ同様としてある。
したがって、図1において、図3と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0017】
ドレン回収配管30は、ドレン回収用内管31と、このドレン回収用内管31の挿入される空気排出用外管32と、ドレン回収用内管31及び空気排出用外管32によって形成される流路33とを有している。
ドレン回収用内管31は、蒸気ボイラ用給水タンク1の上部を貫通して設けられており、一端がドレン回収ライン16と接続され、かつ、他端(ドレンの放出口とも呼ばれる。)がタンク内の水中に位置し、すなわち、ドレン回収用内管31の他端側は、タンク内の水中に所定の長さだけ水没している。このドレン回収用内管31により、ドレンをタンク内の水中に導くとともに、直接水中に放出することができ、ドレン熱の有効利用(ドレン熱の回収率を向上させた状態での利用)を図ることができる。
【0018】
ここで、ドレン回収用内管31の水没する長さは300mm〜3000mmとするとよい。このようにすると、低コストでドレン熱の回収率を向上させることができる。すなわち、ドレン回収用内管31の水没する長さが300mmに満たないと、水面位置の制御の許容誤差などにより、下端部が水面の上方、あるいは、水面近傍に位置したときにドレン熱の回収率が低くなるからであり、また、3000mmより長いと、ドレン回収用内管31の水没する長さが必要以上となって、ドレン熱の回収率に対するコストが高くなるからである。
なお、ドレン回収用内管31は、通常、ストレート(直線状の)管であり、上下方向に沿って設けられるが、これに限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、少なくとも一部が曲がった管でもよく、また、傾斜させて設けられてもよい。
【0019】
空気排出用外管32は、上述したように、ドレン回収用内管31が挿入される構成としてあり、この空気排出用外管32は、ドレン回収用内管31が挿入された状態で、リブなど(図示せず)を介してドレン回収用内管31に取り付けられている。また、ドレン回収用内管31が挿入されることにより、空気排出用外管32とドレン回収用内管31との間に、ドレン内の気泡を排出するための流路33が形成される。通常、空気排出用外管32の中心軸は、ドレン回収用内管31の中心軸と一致しており、流路33の断面形状は、ほぼ円環状である。
なお、ドレン内の気泡とは、ドレンに溶存していた気体やドレンとともに排出された気体などから発生する気泡をいう。
【0020】
また、空気排出用外管32は、上端部がタンクの水面より上方に位置し、かつ、下端部が、ドレン回収用内管31の下端部(他端)より下方に位置する構成としてある。
このように、空気排出用外管32の下端部がドレン回収用内管31の下端部(他端)より下方に位置することにより、ドレン回収用内管31の他端から排出されたドレン内の気泡は、ドレンとともにいったん降下するが、空気排出用外管32の下端部より上方において、浮力によりドレン中を上昇するので、空気排出用外管32の外側の領域(水中)に拡散するといった不具合を効果的に防止することができる。
また、ドレン回収用内管31の下端部(他端)より下方に移動する間に、気泡を含まなくなったドレンは、空気排出用外管32の下端部から、空気排出用外管32の外側の領域に(水中に)放出される。なお、蒸気ボイラ用給水タンク1は、上述した特許文献1の技術のように、空気に触れた状態でドレンを落下させる構成を有していないので、落下の際、再び空気がドレンに溶存されるといった不具合を回避することができる。
【0021】
また、空気排出用外管32の上端部がタンクの水面より上方に位置することにより、流路33は、水面の上方において、蒸気ボイラ用給水タンク1の上部空間に開放されており、流路33を上昇するドレン内の気泡は、流路33の上方の水面からのみ排出される。これにより、気泡が排出される際、空気排出用外管32の外側の水面に悪影響を与える(たとえば、空気排出用外管32の外側の水面全部を波立たせ、空気を水面全部から水に溶存させる)といった不具合を効果的に防止することができる。さらに、流路33を上昇するドレン内の気泡は、流路33内のドレンに熱を放出するので、ドレン熱の回収率をさらに向上させることができる。
【0022】
ここで、好ましくは、ドレン回収用内管31の外面と空気排出用外管32の内面との距離を、20mm〜500mmとするとよい。このようにすると、低コストでドレン熱の回収率を向上させることができる。すなわち、ドレン回収用内管31の外面と空気排出用外管32の内面との距離が20mmより短いと、流路33を上昇するドレン内の気泡が、流路33内のドレンに十分に熱を伝達しない状態で放出されてしまう場合があるので、ドレン熱の回収率が低くなるからであり、また、長さに関しては長いほど効果は期待できるものの、500mmより長いと、空気排出用外管32が必要以上に太くなってドレン熱の回収率に対するコストが高くなるからである。
【0023】
また、好ましくは、空気排出用外管32の下端部を、ドレン回収用内管31の下端部より50mm〜1500mmだけ下方に位置させるとよい。このようにすると、低コストでドレン内の気泡がタンク内の水中に拡散することを防止することができる。すなわち、空気排出用外管32の下端部が、ドレン回収用内管31の下端部より50mmに満たない下方位置であると、ドレン回収用内管31から排出されたドレン内の気泡が流路33内を上昇する前に、空気排出用外管32の外側の領域に(水中に)拡散してしまうからであり、また、長さに関しては長いほど効果は期待できるものの、1500mmより長い下方位置であると、空気排出用外管32が必要以上の長さとなって、ドレン熱の回収率に対するコストが高くなるからである。
【0024】
また、好ましくは、空気排出用外管32の上端部を、タンク内の水面から50mm〜500mm上方に位置させるとよい。このようにすると、ドレン内の気泡が排出される流路33内の水面と空気排出用外管32の外側の水面とを仕切ることができる。すなわち、空気排出用外管32の上端部が、タンク内の水面から50mmに満たないと、上昇してきた気泡が水面ではじけるとき、しぶきが空気排出用外管32の上端部を越えて空気排出用外管32の外側の領域に(水面に)落下してしまうからであり、また、長さに関しては長いほど効果は期待できるものの、500mmより長いと、空気排出用外管32が必要以上の長さとなって、ドレン熱の回収率に対するコストが高くなるからである。
【0025】
また、蒸気ボイラ用給水タンク1は、上部(通常、上板や側板の上側の部分)が密封され、かつ、空気孔18を備えている。このようにすると、タンク上部の空気が、空気孔18を介してのみ外気と連通するので、タンクの保温性などを高めることができ、ドレン熱の回収率を向上させることができる。
さらに、好ましくは、タンク内の水面に(すなわち、空気排出用外管32の外側の水面に)、多数の空気混入防止用ビーズ34を敷設するとよい。このようにすると、水面が空気混入防止用ビーズ34で覆われ、空気との接触面積が低減するので、溶存気体の増加を抑制することができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態の蒸気ボイラ用給水タンク1によれば、ドレン回収配管30のドレン回収用内管31により、ドレンをタンク内の水中に直接放出することによって、ドレン熱の有効利用を図ることができ、また、ドレン内の気泡を、ドレン回収用内管31と空気排出用外管32との間隙(すなわち、流路33)を上昇させ、水中から排出することによって、給水ポンプ13におけるキャビテーションを効果的に防止することができる。
【0027】
次に、上記実施形態の実施例について、図面を参照して説明する。
なお、以下に記載の実施例は、好ましい一例であり、蒸気ボイラ用給水タンク1の大きさ、給水ポンプ13や蒸気ボイラ14の能力、ドレン回収量等により、各部の寸法などは異なるため、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0028】
「実施例」
図2は、本発明の実施例にかかる蒸気ボイラ用給水タンクを説明するための概略図を示している。
図2において、本実施例の蒸気ボイラ用給水タンク1は、円筒状のタンクであり、高さHを1500mmとし、直径φDをφ1100mmとした。また、ドレン回収用内管31及び空気排出用外管32の材質は、耐熱性及び腐食性を考慮し、ステンレス製とした。
なお、蒸気ボイラ用給水タンク1に対する給水ポンプ13、蒸気ボイラ14、熱交換器15及びドレン回収ライン16などは、上述した実施形態とほぼ同様とした。
【0029】
ドレン回収用内管31の長さLを、タンク上部より900mmとし、また、タンク内の水面を、タンク上部の下方400mmに位置するように設定し、ドレン回収用内管31の水没する長さを、500mmとした。これにより、コストパフォーマンスに優れた状態で、ドレン熱を有効利用することができた。また、ドレン回収用内管31の下端部(他端)は、常に水中に位置し、水中深さの中段(タンク上部の下方950mmに位置)よりなるべく上方になるようにすることが望ましい。
【0030】
また、ドレン回収用内管31の外径φDを、φ60mmとし、空気排出用外管32の内径φDを、φ200mmとした。これにより、水(ドレン)に熱を伝達しつつドレン内の気泡を上昇させるための流路33の断面積が確保され、ドレン熱の回収率を向上させることができた。
【0031】
また、空気排出用外管32の長さを、950mmとし、下端部を、ドレン回収用内管31の下端部よりL(=300mm)だけ下方に位置させた。これにより、ドレン回収用内管31の下端部から排出されたドレン内の気泡が流路33内を上昇する前に、空気排出用外管32の外側の領域に(水中に)拡散(あるいは、流出)してしまうといった不具合を効果的に防止することができた。なお、本実施例では、空気排出用外管32の下端部を、ドレン回収用内管31の下端部より300mm下方に位置させたが、さらに下方に位置させてもよく、このようにすると、気泡の流出を防止する信頼性を向上させることができる。
【0032】
また、空気排出用外管32の上端部を、タンク内の水面からH(=150mm)だけ上方に位置させた。これにより、ドレン内の気泡が放出される流路33内の水面と空気排出用外管32の外側の水面とを仕切ることができ、ドレン(たとえば、しぶき状のドレン)が空気排出用外管32の上端部を越えて空気排出用外管32の外側の領域に(水面に)落下してしまうといった不具合を効果的に防止することができた。
さらに、空気排出用外管32の上端部とタンク上部との距離Lを、250mmとし、常に気泡が排出できるように十分な開放スペースを確保した。
【0033】
このように、本実施例の蒸気ボイラ用給水タンク1は、ドレン回収配管30のドレン回収用内管31により、ドレンをタンク内の水中に直接放出することによって、タンク内温度を平均70℃度から90℃度にすることができた。また、ドレン内の気泡を、流路33内を上昇させ、水面から突き出た空気排出用外管32の上端部から排出することによって、給水ポンプ13におけるキャビテーションの発生を防止することができた。
【0034】
以上、本発明の蒸気ボイラ用給水タンクについて、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係る蒸気ボイラ用給水タンクは、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、ドレン回収用内管31や空気排出用外管32は、通常、円筒管であるが、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、矩形管などの多角形管であってもよい。また、ドレン回収用内管31や空気排出用外管32は、放熱用のフィンや、流路33の形状を変更するための(たとえば、螺旋状の流路を形成するための)仕切り板などを有する構成としてもよい。このようにすると、ドレン熱の回収率をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0035】
1、101、102 蒸気ボイラ用給水タンク
12 給水口
13 給水ポンプ
14 蒸気ボイラ
15 熱交換器
16 ドレン回収ライン
17 ドレン回収配管
18 空気孔
21 ドレン回収配管
30 ドレン回収配管
31 ドレン回収用内管
32 空気排出用外管
33 流路
34 空気混入防止用ビーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気ボイラに接続され、ドレン回収配管及び給水口を備えた蒸気ボイラ用給水タンクにおいて、
前記ドレン回収配管は、ドレン回収用内管と、このドレン回収用内管の挿入される空気排出用外管と、前記ドレン回収用内管及び前記空気排出用外管によって形成される流路とを有し、
前記ドレン回収用内管は、ドレン回収ラインに接続され、かつ、前記蒸気ボイラ用給水タンクの水中に所定の長さだけ水没し、
前記空気排出用外管は、上端部が前記蒸気ボイラ用給水タンクの水面より上方に位置し、かつ、下端部が前記ドレン回収用内管の下端部より下方に位置することを特徴とする蒸気ボイラ用給水タンク。
【請求項2】
前記ドレン回収用内管の水没する所定の長さが、300mm〜3000mmであることを特徴とする請求項1に記載の蒸気ボイラ用給水タンク。
【請求項3】
前記ドレン回収用内管の外面と前記空気排出用外管の内面との距離が、20mm〜500mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気ボイラ用給水タンク。
【請求項4】
前記空気排出用外管の下端部が、前記ドレン回収用内管の下端部より50mm〜1500mm下方に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の蒸気ボイラ用給水タンク。
【請求項5】
前記空気排出用外管の上端部が、前記水面から50mm〜500mm上方に位置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の蒸気ボイラ用給水タンク。
【請求項6】
前記蒸気ボイラ用給水タンクの上部が密封され、かつ、空気孔を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の蒸気ボイラ用給水タンク。
【請求項7】
前記水面に、空気混入防止用ビーズを敷設したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の蒸気ボイラ用給水タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−237099(P2011−237099A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108282(P2010−108282)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)