説明

蒸気吐出機構

【課題】安価な構成で、ミルクタンクの脱着が安全にできる蒸気吐出機構を提供する。
【解決手段】蒸気通路(図示せず)を開閉する蒸気開閉軸3に設けられたカム8と、カム8に設けた凸部11と、一端が凸部11に当接してカム8の回転を規制し、他端にストッパー17を軸支した回動自在なリンク9を備え、ストッパー17は、ミルクタンク20の突設部21と当接する突起部23と、突設部21と係止する爪部22を有し、ストッパー17を案内すると共にストッパー17が前方向に移動したときに爪部22が上がるようにするガイド24を備えたもので、ミルクタンク20の未装着時は、カム8の回転が規制されて蒸気が吐出せず、装着時は、カム8が回転し蒸気が吐出可能となり、蒸気吐出時は、リンク9の動作が規制され、爪部22が突設部21に係止しミルクタンク20を外すことができず、カム8を回転させて蒸気を止めると、爪部22が上がりミルクタンクが外せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスプレッソコーヒーメーカーなどに使用される蒸気吐出機構に関するもので、特に、フォームドミルクを生成するための蒸気吐出の際の安全機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蒸気吐出機構は、ミルクタンクをセットしたときにマイクロSWで検知し、蒸気通路を開閉することによって行われるようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、上記特許文献1に記載された従来の蒸気吐出機構を示すものである。図6に示すように、従来の蒸気吐出機構は、ミルクタンク41内に手動レバー42と、これと係合する係止レバー43と、機体内に係止レバー43の他端を検知するマイクロSW44とこのマイクロSW44の信号により開閉する電磁弁から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−533382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の蒸気吐出機構の構成では、電気信号を検知することにより電磁弁45の開閉を行っているため、誤検知を起こす可能性があり、また、電磁弁45は高価であるという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、安価なリンク機構により、ミルクタンク未装着時には、機構的に蒸気の吐出を防止することができる蒸気吐出機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の蒸気吐出機構は、蒸気通路を開閉する蒸気開閉軸に設けられたカムと、前記カムの円周方向に設けられた凸部と、一端が前記凸部に当接して前記カムの回転を規制し、他端にストッパーを軸支した回動自在なリンクとを備え、前記ストッパーは、ミルクタンクに設けた突設部と当接する突起部と、前記突設部と係止する爪部を有し、前記ストッパーを案内すると共に前記ストッパーが前方向に移動したときに前記爪部が上がるように前記ストッパーを回動させるガイドを備えたもので、ミルクタンク未装着時は、カムの回転が規制されて蒸気が吐出せず、ミルクタンク装着時は、カムが回転し蒸気が吐出可能となり、蒸気吐出時は、リンクがカムの凸部に当接するためリンクの動作が規制され、ストッパーの爪部がミルクタンクの突設部に係止するためミルクタンクを外すことができない。また、カムを回転させて蒸気を止めると、リンクの規制が外れてストッパーが前方向に移動し、爪部が上がってミルクタンクを外すことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の蒸気吐出機構は、ミルクタンク未装着時には蒸気の吐出を防止することが安価で確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における蒸気吐出機構の蒸気吐出時の側面図
【図2】同蒸気吐出機構の待機時の側面図
【図3】同蒸気吐出機構のストッパー部詳細図
【図4】同蒸気吐出機構の蒸気吐出開閉部の蒸気吐出時の断面図
【図5】同蒸気吐出機構の蒸気吐出開閉部の待機時の断面図
【図6】従来の蒸気吐出機構の側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、蒸気通路を開閉する蒸気開閉軸に設けられたカムと、前記カムの円周方向に設けられた凸部と、一端が前記凸部に当接して前記カムの回転を規制し、他端にストッパーを軸支した回動自在なリンクとを備え、前記ストッパーは、ミルクタンクに設けた突設部と当接する突起部と、前記突設部と係止する爪部を有し、前記ストッパーを案内すると共に前記ストッパーが前方向に移動したときに前記爪部が上がるように前記ストッパーを回動させるガイドを備えたもので、ミルクタンク未装着時は、カムの回転が規制されて蒸気が吐出せず、ミルクタンク装着時は、カムが回転し蒸気が吐出可能となり、蒸気吐出時は、リンクがカムの凸部に当接するためリンクの動作が規制され、ストッパーの爪部がミルクタンクの突設部に係止するためミルクタンクを外すことができない。また、カムを回転させて蒸気を止めると、リンクの規制が外れてストッパーが前方向に移動し、爪部が上がってミルクタンクを外すことができる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明のカムの動作を検知する検知手段を設け、前記カムの動作後一定時間経過すると、蒸気を発生させるボイラーの温度を下げるもので、ボイラーの空焚きを防止することができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における蒸気吐出機構の待機時の側面図、図2は、同蒸気吐出機構の蒸気吐出時の側面図、図3は、同蒸気吐出機構のストッパー部詳細図、図4は、同蒸気吐出機構の蒸気吐出開閉部の蒸気吐出時の断面図、図5は、同蒸気吐出機構の蒸気吐出開閉部の待機時の断面図である。
【0014】
図1〜5において、ボイラー1上面に蒸気導入パイプ2を備え、蒸気導入パイプ2は、蒸気開閉軸3と嵌合するネジ部4と、蒸気開閉軸3の先端と当接するテーパー部5と、蒸気吐出ノズル6よりなる。蒸気開閉軸3には、Oリング7が嵌合され、蒸気開閉軸3には、カム8が嵌合されている。
【0015】
カム8の外周に、リンク9の先端部10と当接する凸部11と凹部12を備え、蒸気閉時は、凸部11が押圧し、蒸気吐出時は、凹部12にて開放される位置に検知手段13が設けられている。
【0016】
リンク9は、軸14により回動自在に軸支され、引っ張りバネ15の付勢力によりカム8側に引っ張られている。また、他端には軸ピン16が設けられている。
【0017】
ストッパー17は、軸ピン16に回動自在に軸支され、その先端突起部18を押圧するように捻りバネ19が軸ピン16に装着されている。ストッパー17は、ミルクタンク20の上面に設けられた突設部21の背面と当接する爪部22と、突設部21の前面と当接する突起部23を構成する。
【0018】
ガイド24は、ストッパー17の先端突起部18を水平方向に案内する平面部25と、リンク9がカム8の凹部12に入り込んだときに、ストッパー17の爪部22を持ち上げるように案内する傾斜部26より構成されている。
【0019】
また、検知手段13が動作し、一定時間が過ぎるとボイラー1の温度を下げる信号を送る制御部(図示せず)を有する。
【0020】
蒸気排出ノズル27は、蒸気吐出ノズル6とチューブ28により連結されている。また、ミルクタンク20の両サイドにはリブ29が設けられ、ガイド板30により蒸気入口31を蒸気排出ノズル27に嵌合するよう案内する。
【0021】
以上のように構成された本実施の形態における蒸気吐出機構について、以下その動作、作用を説明する。
【0022】
ミルクタンク20のリブ29を、ガイド板30に嵌合させて挿入すると、ミルクタンク20の突設部21の前面が、ストッパー17の突起部23を押し、リンク9が回動し、カム8の凸部11より外れ、カム8が回転できるようになる。このときストッパー17の爪部22は、ガイド24の傾斜部26に案内されて、ミルクタンク20の突設部21の背面に降りてくる。
【0023】
カム8を回転すると、蒸気開閉軸3が蒸気導入パイプ2を開放し、蒸気が、蒸気吐出部6より吐出する。このとき、ミルクタンク20を引き出そうとすると、リンク9は、カム8の凸部11と当接するために、ミルクタンク20の突設部21がストッパー17の爪部22と当接して引き出すことができない。
【0024】
また、蒸気を出し続けて、ボイラー1内の湯が減って空焚きとなるのを防止するため、カム8の動作を検知手段13が検知し、一定時間が経過するとボイラーの温度を下げる。
【0025】
そして、カム8を逆回転させて蒸気を止めると、リンク9が開放されるため、ミルクタンク20を引き出すと、ストッパー17の爪部22が、ガイド24の傾斜部26に沿って上昇し、ミルクタンク20の突設部21が開放され、ミルクタンク20を引き出すことができる。
【0026】
以上のように、本実施の形態においては、待機状態では、カム8の動作がリンク9により規制されているため、誤って蒸気を吐出させることはない。また、蒸気発生中は、ストッパー17により規制されているため、誤ってミルクタンク20を引き出すことはできない。
【0027】
また、蒸気発生時間を検知手段13により検知することができるため、ボイラー1が空焚きとなることを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明にかかる蒸気吐出機構は、対象物をセット中以外は蒸気等の危険物質を吐出することができないため、安全装置としていろいろな産業機器に利用が可能である。
【符号の説明】
【0029】
3 蒸気開閉軸
8 カム
9 リンク
11 凸部
13 検知手段
16 軸ピン
17 ストッパー
20 ミルクタンク
21 突設部
22 爪部
23 突起部
24 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気通路を開閉する蒸気開閉軸に設けられたカムと、前記カムの円周方向に設けられた凸部と、一端が前記凸部に当接して前記カムの回転を規制し、他端にストッパーを軸支した回動自在なリンクとを備え、前記ストッパーは、ミルクタンクに設けた突設部と当接する突起部と、前記突設部と係止する爪部を有し、前記ストッパーを案内すると共に前記ストッパーが前方向に移動したときに前記爪部が上がるように前記ストッパーを回動させるガイドを備えた蒸気吐出機構。
【請求項2】
カムの動作を検知する検知手段を設け、前記カムの動作後一定時間経過すると、蒸気を発生させるボイラーの温度を下げることを特徴とする請求項1に記載の蒸気吐出機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−251026(P2011−251026A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127461(P2010−127461)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】