説明

蒸気発生装置

【課題】蒸気を発生させるためのフィンユニットに対して空気流を無駄なく供給し、エネルギーの損失を回避しつつ騒音を小さくすることのできる蒸気発生装置を提供する。
【解決手段】複数の薄板42からなるフィンユニット35と、このフィンユニット35に湯を供給する温水供給ユニット36と、フィンユニット35の上流側に配置されたファンユニット37と、吸気口20と、下部吹出口27及び側部吹出口30A、30Bとが形成されたケース11を備えて蒸気発生装置10が構成されている。同装置10は、ファンユニット35とフィンユニット37との間に導風部材40が設けられており、これにより、ファン53の回転によってケース11外に蒸気を吹き出す空気流がフィンユニット35を経由するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気発生装置に係り、更に詳しくは、蒸気若しくは温風を効率よく発生させて外部に吹き出すことのできる蒸気発生装置に係り、特に、浴室内に設置して室内の暖房装置として利用することのできる蒸気発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室を暖房することのできる装置としては、例えば、特許文献1に開示されたスチームサウナ装置が知られている。このスチームサウナ装置は、ケースの下部に設けられた吹出口から浴室内に蒸気を吹き出すことで、浴室を暖房することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−63102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたスチームサウナ装置にあっては、熱交換促進部材に湯を放散し、それによって発生する蒸気をファンユニットで吹出口より吹き出すように構成しているが、ファンユニットにより生成される空気流を効率良く熱交換促進部材に導く構成が採用されていない。すなわち、ファンユニットは前記吹出口と熱交換促進部材との間に配置された構成となっており、ファンの回転でケース内を負圧化させることで外気をケース内に取り込み、当該取り込まれた空気を熱交換促進部材に通過させるように構成したものとなっている。
従って、熱交換促進部材に効率的に空気を供給することができず、これが蒸気発生効率を低下させる要因となり、また、エネルギーの損失に伴う騒音対策も必要になる、という改善すべき点があった。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、蒸気を発生させるためのフィンユニットに対して空気流を無駄なく供給し、エネルギーの損失を回避しつつ騒音を小さくすることのできる蒸気発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、複数の薄板を有するフィンユニットと、当該フィンユニットの上方に配置された温水供給ユニットと、前記フィンユニットの上流側に配置されたファン及びモータを含むファンユニットと、これら各ユニットを収容するとともに吸気口と吹出口とが形成されたケースを含む蒸気発生装置であって、
前記ファンユニットとフィンユニットとの間に、前記ファンの回転による空気流をフィンユニットに導く導風部材を設ける、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記ケースの左右両側に前記吸気口と吹出口が設けられる、という構成を採ることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ファンユニットとフィンユニットとの間に導風部材を設けたことにより、ファンユニットによって生成される空気流がフィンユニットの外側を通過することを抑止できる。すなわち、ファンユニットによって生成される空気流が無駄なくフィンユニットを通過することで、エネルギー損失を回避できるので、ファンの回転数を上げなくても蒸気発生を十分に促進でき、騒音も低減することができる。ここで、ファンユニットによって生成される空気流が無駄なくフィンユニットを通過するとは、ファンユニットによって生成される全ての空気流又は、大半の空気流がフィンユニットを通過することをいう。
また、ケースの左右両側に前記吸気口と吹出口を設ける構成とすることで、ケースを浴室の壁パネルに接する状態で配置しても、何れか一方の吸気口と吹出口を機能的に作用させることができ、レイアウトの自由度を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る蒸気発生装置の概略斜視図。
【図2】前記蒸気発生装置の前パネルを外した状態を示す分解斜視図。
【図3】前記蒸気発生装置の縦側断面図。
【図4】導風部材の概略斜視図。
【図5】前記導風部材を反対側から見た概略斜視図。
【図6】前記蒸気発生装置の正面図。
【図7】前記蒸気発生装置の浴室内レイアウトを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、位置若しくは方向を示す用語は、特に明示しない限り、図1を矢印A方向から見た場合を基準とする。
【0011】
図1及び図2に示されるように、蒸気発生装置10は、箱形の外観を呈するケース11と、当該ケース11内に設けられた各種ユニットとにより構成され、ケース11は、本体部12、上パネル13及び前パネル14により構成されている。
【0012】
前記本体部12は左右両側に位置する側部15、底部17及び後部18を含み、前部及び上部が開放する形状に設けられている。側部15の各面内には、本体部12内に外気を取り入れるための吸気口20がそれぞれ形成されている。なお、本体部12の前部下端の左右両側には突軸19が形成されている。
【0013】
前記上パネル13は、前端部が前下がりの傾斜面13Aに形成されており、当該傾斜面13Aに各種スイッチを含む操作部21が設けられている。
【0014】
前記前パネル14は、前壁22と、その上端から後方水平方向に延びる上片23と、前壁22の左右両側の下部に段部24を介して面位置を後方にシフトさせた下部前壁25と、当該下部前壁25と前壁22の下端との間に設けられた横長の下部吹出口27とを備えて構成されている。ここで、下部吹出口27は、前下がりの傾斜面27Aによって吹出方向を前方に向けるようになっている。
前記上片23の上面において、左右方向に沿う3箇所にフック28が突設されており、これらのフック28は、前記傾斜面13Aの前部内面側に係合可能となっている。また、前壁22は、前パネル14を本体部12の前部に取り付けたときに、右側及び左側に一対の側部吹出口30A、30Bを形成するようになっている。また、前壁22の下部両側の下部内面には図3に示されるように筒体29が突設され、当該筒体29に本体部12側の突軸19が嵌合するようになっている。
【0015】
前記ケース11内に配置されるユニットは、図3に示されるように、フィンユニット35と、当該フィンユニット35の上方に配置された温水供給ユニット36と、フィンユニット35の上流側(図3中右側)に配置されたファンユニット37と、当該ファンユニット37とフィンユニット35との間に配置された導風部材40とを含む。
【0016】
前記フィンユニット35は、複数の薄板42を用いて構成されている。これら薄板42は、各面が図3の紙面と平行となる向きで、同図中紙面直交方向(図1中左右方向)に所定間隔を隔てて並べられ、フィンユニット35は、その外側が略方形枠状をなすフレーム44に保持される。フレーム44は、上部に温水供給ユニット36を配置するスペースを備えた上部枠45と、フィンユニット35の下部に位置する下部枠46と、上部枠45及び下部枠46の各前端部間を接続するとともに前記複数の薄板42の前部に位置する横長の連結体47と、上部枠45と下部枠46の左右両端部間に位置する図示しない側枠とを含む。従って、フィンユニット35は、図3中右側を除く外側がフレーム44で囲まれている。
【0017】
前記温水供給ユニット36は、前記上部枠45を構成する凹状の溝47内に配置されている。この温水供給ユニット36は、図示しない給湯器から湯が供給されるパイプ50を含み当該パイプ50の外周下部には、多数の小孔51が穿設され、これらの小孔51から流出する湯が前記溝47の底部に設けられた穴を通じてフィンユニット35の上部に放散されるようになっている。フィンユニット35に放散された湯は、薄板42上を拡がりながら流下する。
【0018】
前記ファンユニット37はファン52と、当該ファン52を回転駆動させるモータ53とからなり、ファン52の回転により吸気口20からケース11内に取り入れられた空気がフィンユニット35に導入される。フィンユニット35に導入される空気は、フィンユニット35の薄板42上を拡がりながら流下する湯、すなわち大きな表面積となった湯と接することで、湯を効率よく気化することができる。この気化した湯、すなわち、蒸気が下部吹出口27、側部吹出口30A、20Bから吹き出しできるようになっている。
【0019】
前記導風部材40は、前記フレーム44に対して上流側に配置されている。この導風部材40は、図4及び図5にも示されるように、前記フレーム44の上部枠45に当接する上片60と、フィンユニット35の下端と略同一高さに位置する下片61と、これら上片60及び下片61の左右両端部間に位置して前記フレーム44の図示しない側枠に突き当たる側片62とを有する角筒65を含む。角筒65の図3中右端には仕切板66が形成されており、当該仕切板66の面内に、ファン52を受容する円形穴67が形成されている。円形穴67の形成縁は、図3に示されるように、円弧状に湾曲し、下流側の内径が次第に縮小する所謂ノズル状のリング部66Aとして形成され、これにより、上流側からフィンユニット35に向かう空気流がスムースになるようになっている。
【0020】
前記角筒65の図4中左右両側には翼片部68が形成されている。図示例では、角筒65の側片62に切欠部62A、62Bが形成されているが、これらは、フィンユニット35側に組み付ける際の形状的干渉を避けるためのものにすぎず、フィンユニット35の上流側に導風部材40を配置した状態では、角筒65と仕切板66とにより、ファン52の回転に伴って導風部材40に供給される空気がフィンユニット35の外側を通過することを抑止できるようになっている。
なお、図4中右側の翼片部68の上部に形成された穴70は、温水供給ユニット36のパイプ50に接続される湯供給管用通路を示す。
【0021】
本実施形態に係る蒸気発生装置10は、図7(A)に示されるように、浴室の洗い場Sのコーナーに配置することができる。図7(A)では、正面を図の左側又は図の下側に向けて配置できる。正面が図の左側に向けられたレイアウトでは、左側の側部吹出口30Bは壁面で閉塞されて右側の側部吹出口30Aと下部吹出口27から蒸気が吹き出される。この一方、正面が図の下側に向けられたレイアウトでは、右側の側部吹出口30Aが壁面で閉塞されて左側の側部吹出口30Bと下部吹出口27から蒸気が吹き出されることになる。また、図7(B)では、正面を図の右側に向けたときに、右側の側部吹出口30Aが壁面で閉塞されて左側の側部吹出口30Bと下部吹出口27から蒸気が吹き出される一方、正面が下側に向けられたときに、左側の側部吹出口30Bが壁面で閉塞されて右側の側部吹出口30Aと下部吹出口27から蒸気が吹き出すようになる。
【0022】
本実施形態において、ファン52が回転することにより、左右の吸気口20から空気がそれぞれ取り入れられて正面のフィンユニット35を経由して下部吹出口27及び側部吹出口30A、30Bから蒸気がそれぞれ吹き出されるようになる。この際、ファン52の回転による空気の流れは、導風部材40によってフィンユニット35の外側を通過することを抑止されて、フィンユニット35に導入されるので、エネルギーの損失を生ずることなく効率よく蒸気を各吹出口27、30A、30Bから吹き出すことができる。
【0023】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0024】
例えば、前記実施形態では、下部吹出口27、側部吹出口30A、30Bを設けたが、少なくとも、何れか一つの吹出口が形成されていれば足りる。
また、本発明は、ファンユニット37とフィンユニット35との間に位置する導風部材40によってケース11外に吹き出す空気がフィンユニット37を経由するように設けられている限り、ケース11の外形や、各ユニットの相対的な配置等は種々変更することができる。
【符号の説明】
【0025】
10…蒸気発生装置、11…ケース、20…吸気口、27…下部吹出口、30A、30B…側部吹出口、35…フィンユニット、36…温水供給ユニット、37…ファンユニット、52…ファン、53…モータ、40…導風部材、42…薄板、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薄板を有するフィンユニットと、当該フィンユニットの上方に配置された温水供給ユニットと、前記フィンユニットの上流側に配置されたファン及びモータを含むファンユニットと、これら各ユニットを収容するとともに吸気口と吹出口とが形成されたケースを含む蒸気発生装置であって、
前記ファンユニットとフィンユニットとの間に、前記ファンの回転による空気流をフィンユニットに導く導風部材を設けたことを特徴とする蒸気発生装置。
【請求項2】
前記ケースの左右両側に前記吸気口と吹出口が設けられていることを特徴とする請求項1記載の蒸気発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−104585(P2013−104585A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247056(P2011−247056)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】