説明

蒸発式空調装置

【課題】減圧にした第1容器1及び第2容器2と,間接式の冷暖房用熱交換器5と,間接式の放吸熱用熱交換器10とから成り,蒸発性液体を前記第1容器と前記冷暖房用熱交換器との間を循環する第1循環手段7と,同じく蒸発性液体を前記第2容器と前記放吸熱用熱交換器との間を循環する第2循環手段12とを備え,更に,前記第1容器内と前記第2容器内とを接続する蒸気ダクト17中に,正逆回転可能なルーツ式圧縮機18を設けて成る蒸発式空調装置において,前記ルーツ式圧縮機の圧縮比を高くして,冷房及び暖房能力の向上を図る。
【解決手段】前記ルーツ式圧縮機18におけるケーシング18aに,当該ケーシング内への注水口19を設けて,この注水口に,前記第1容器1側における蒸発性液体の一部,又は前記第2容器2側における蒸発性液体の一部を導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,水等のように蒸発性を有する液体における蒸発及び凝縮を利用して,少なくとも冷房を行うように構成した蒸発式の空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行技術としての特許文献1には,
「密閉した第1容器及び第2容器と,間接式の冷暖房用熱交換器と,間接式の放吸熱用熱交換器と,前記第1容器及び第2容器内を大気圧よりも低い減圧にする手段とから成り,水等のような蒸発性液体を前記第1容器と前記冷暖房用熱交換器との間を循環する第1循環手段と,同じく水等のような蒸発性液体を前記第2容器と前記放吸熱用熱交換器との間を循環する第2循環手段とを備え,更に,前記第1容器内と前記第2容器内とを接続する蒸気ダクト中に,正逆回転可能なルーツ式圧縮機を設けて成る蒸発式空調装置。」
が記載されている。
【0003】
この先行技術の蒸発式空調装置においては,
「冷房の場合には,前記ルーツ式圧縮機を,前記第1容器内で発生した蒸気を吸引して圧縮する方向に回転する。
【0004】
これにより,前記第1容器内は前記ルーツ式圧縮機による吸引にて減圧度が高くなり,この第1容器内の蒸発性液体は,減圧状態で沸騰蒸発することで冷却されて前記冷暖房用熱交換器に送られたのち再び前記第1容器内に戻るという循環をするから,冷暖房箇所を冷房する。
【0005】
一方,前記ルーツ式圧縮機にて圧縮された蒸気は,前記第2容器内に入り,ここで,当該第2容器と前記放吸熱用熱交換器との間を循環する蒸発性液体にて冷やされて凝縮し,この蒸気の凝縮にて温度が高くなった蒸発性液体は,この第2容器内から前記放吸熱用熱交換器に送られたのち再び前記第2容器内に戻るという循環をするから,放吸熱箇所で放熱を行う。
【0006】
また,暖房の場合には,前記ルーツ式圧縮機を,前記第2容器内で発生した蒸気を吸引して圧縮するように逆方向に回転する。
【0007】
これにより,今度は,前記第2容器内がルーツ式圧縮機の逆回転による吸引にて減圧度が高くなり,この第2容器内の蒸発性液体は減圧状態で沸騰蒸発し,ここに発生した蒸気は,前記ルーツ式圧縮機にて圧縮されたのち前記第1容器内に入り,ここで当該第1容器と前記冷暖房用熱交換器との間を循環する蒸発性液体にて冷やされて凝縮し,この蒸気の凝縮にて温度が高くなった蒸発性液体は,この第1容器内から前記冷暖房用熱交換器に送られたのち再び前記第1容器内に戻るという循環をするから,前記冷暖房箇所を暖房する。
【0008】
一方,前記第2容器内において沸騰蒸発にて温度が下がった蒸発性液体は,この第2容器内から前記放吸熱用熱交換器に送られたのち再び前記第2容器内に戻るという循環をするから,前記放吸熱箇所で吸熱を行う。」
というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−97989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで,前記先行技術の蒸発式空調装置において使用されているルーツ式圧縮機は,正逆回転可能であるから冷房及び暖房の両方を行うことできることに加えて,蒸気の圧縮比を,遠心式圧縮機を使用して蒸気の圧縮を行う場合よりも大幅に高くできるから,前記第1容器と第2容器との間における温度差を大きくできるという利点を有する。
【0011】
しかし,その反面,このルーツ式圧縮機は,従来から良く知られているように,楕円形断面のケーシング内に,繭型断面にした二つのロータを互いに位相をずらせて配設し,この二つのロータを互いに逆方向に回転するという構成であって,その圧縮比を高くすると,これに応じて圧縮後の蒸気における過熱度が高くなって,その温度が上昇することにより,前記ケーシング内で回転する両ロータは熱膨張し,この熱膨張により,両ロータの相互間,及び両ロータとケーシングの内面とが直接に摩擦することになるから,その部分における摩耗が増大するばかりか,駆動動力の損失の増大,ひいては,焼付きが発生することになる。
【0012】
このために,前記ルーツ式圧縮機における圧縮比の上限には,前記両ロータの相互間,及び両ロータとケーシングの内面との直接的な摩擦を回避しなければならないことに起因して,限界値が存在し,圧縮比をこの上限の限界値以上に高くすることができないのであった。
【0013】
本発明は,前記先行技術の蒸発式空調装置において,そのルーツ式圧縮機における圧縮比の上限値を,冷房及び暖房のうちいずれか一方又は両方における能力の低下を招来することなく,一層高くできるようにすることを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この技術的課題を達成するため本発明の請求項1は,
「密閉した第1容器及び第2容器と,間接式の冷暖房用熱交換器と,間接式の放吸熱用熱交換器と,前記第1容器及び第2容器内を大気圧よりも低い減圧にする手段とから成り,蒸発性液体を前記第1容器と前記冷暖房用熱交換器との間を循環する第1循環手段と,同じく蒸発性液体を前記第2容器と前記放吸熱用熱交換器との間を循環する第2循環手段とを備え,更に,前記第1容器内と前記第2容器内とを接続する蒸気ダクト中に,正逆回転可能なルーツ式圧縮機を設けて成る蒸発式空調装置において,
前記ルーツ式圧縮機におけるケーシングに,当該ケーシング内への注水口を設けて,この注水口に,前記第1容器側における蒸発性液体の一部,又は前記第2容器側における蒸発性液体の一部を導くように構成した。」
ことを特徴としている。
【0015】
本発明の請求項2は,
「前記請求項1の記載において,前記注水口を,前記ケーシングのうち軸線方向に沿った複数箇所に設ける。」
ことを特徴としている。
【0016】
本発明の請求項3は,
「前記請求項1又は2の記載において,前記注水口に,前記ルーツ式圧縮機を第1容器の蒸気を吸引・圧縮するように回転しているときには,前記第2容器側における蒸発性液体を導くように構成する。」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の記載によると,ルーツ式圧縮機におけるケーシング内には,第1容器内にお
ける蒸発性液体か当該第1容器と冷暖房用熱交換器との間を循環する蒸発性液体,つまり,第1容器側における蒸発性液体の一部,又は,第2容器内における蒸発性液体か当該第2容器と放吸熱用熱交換器との間を循環する蒸発性液体,つまり,第2容器側おける蒸発性液体の一部が,当該ケーシングに設けた注水口より導入されることにより,この蒸発性液体にて,前記ケーシング内において回転する二つロータを冷却できて,両ロータにおける熱膨張を確実に抑制することができるとともに,前記ケーシング内に導入した蒸発性液体にて,両ロータの相互間及び両ロータとケーシングの内面との間における確実なシーリング及び潤滑を図ることができるから,前記ルーツ式圧縮機における圧縮比をより高くすることができて,装置全体の小型化と,高い能力化とを達成できる。
【0018】
ところで,前記ルーツ式圧縮機のケーシング内における両ロータの温度上昇は,例えば,特開平9−236093号公報に記載されているように,前記ルーツ式圧縮機における吸い込み側に,水を噴霧注入することによって防止することができる。
【0019】
しかし,この構成によると,ルーツ式圧縮機への吸い込み側に噴霧注入した水は,その多くがケーシング内に入るまでの間に気化(ガス化)して大きく体積膨張することになる。このように噴霧注入水が大きく体積膨張することに起因して,前記ルーツ式圧縮機に吸い込まれる蒸気も体積膨張することにより,前記ケーシング内に両ロータの回転にて吸い込まれて圧縮される実際の蒸気量は,前記噴霧注入水が大きく体積膨張する分だけ少なくなるから,冷房能力又は暖房能力の低下を招来することになる。
【0020】
これに対し,前記請求項1に記載したように,ルーツ式圧縮機におけるケーシング内に,第1容器側における蒸発性液体の一部,又は第2容器側における蒸発性液体の一部を注入することにより,前記ケーシング内に注入した蒸発性液体の大部分は,気化(ガス化)することなく,液体の状態のままで冷却及びシーリング並びに潤滑に供することができるから,前記ルーツ式圧縮機において圧縮される実際の蒸気量が減少すること,ひいては,冷房能力又は暖房能力が低下することを確実に回避できる。
【0021】
この場合において,前記注水口を,請求項2に記載したように,ケーシングのうち軸線方向に沿った複数箇所に設けることにより,軸線方向の各所について的確な冷却及びシーリング並びに潤滑を,少ない量の蒸発性液体の注水によって確実に達成できる。
【0022】
また,前記請求項1の記載した構成において,前記ルーツ式圧縮機を,冷房運転に際して第1容器内の蒸気を吸引・圧縮するように回転するときには,第1容器が温度の低い蒸発側で,第2容器が温度の高い凝縮側であるから,前記冷房運転の際に,前記ルーツ式圧縮機におけるケーシング内に第1容器側における温度の低い蒸発性液体を注入することは,熱量のロスを招来する。
【0023】
そこで,請求項3に記載した構成したように,冷房運転の際には,前記ルーツ式圧縮機におけるケーシング内に,第2容器の凝縮側において蒸気の凝縮で温度が高くなった状態の蒸発性液体を注入することにより,前記ケーシング内への注水による熱量のロスを低減できて,熱効率の向上を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施の形態を示す図である。
【図2】図1のII−II視断面図である。
【図3】第2の実施の形態を示す図である。
【図4】第3の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下,本発明の実施の形態を図面について説明する。
【0026】
図1及び図2は,第1の実施の形態を示す。
【0027】
図1及び図2において,符号1は,密閉構造にした第1容器を,符号2は,同じく密閉構造にした第2容器を各々示し,これら両容器1,2のうちいずれか一方又は両方には,
当該両容器1,2内を大気圧より低い減圧にするための真空ポンプ3等の真空発生装置が接続されており,また,前記両容器1,2の相互間は,その各々に入れた水等の蒸発性液体が互いに往来するように連通管路4にて接続されている。
【0028】
符号5は,間接熱交換型の冷暖房用熱交換器を示し,この冷暖房用熱交換器5と,前記第1容器1との間を,循環ポンプ6を備えた第1循環管路7を介して接続することにより,前記第1容器1内における水等の蒸発性液体を,前記冷暖房用熱交換器4に送り,次いで,この冷暖房用熱交換器4から前記第1容器内の上部に設けたノズル8に送り,このノズル8から第1容器1内に噴出するように戻すという循環を行う構成にしている。
【0029】
この場合,前記冷暖房用熱交換器5は,室内等のような冷暖房箇所9に,当該冷暖房箇所9における空気と間接的に熱交換するように設置されている。
【0030】
次に,符号10は,間接熱交換型の放吸熱用熱交換器を示し,この放吸熱用熱交換器10と,前記第2容器2との間を,循環ポンプ11を備えた第2循環管路12を介して接続することにより,前記第2容器2内における水等の蒸発性液体を,前記放吸熱用熱交換器10に送り,次いで,この放吸熱用熱交換器10から前記第2容器2内の上部に設けたノズル13に送り,このノズル13から第2容器2内に噴出するように戻すという循環を行う構成にしている。
【0031】
この場合,前記放吸熱用熱交換器10は,放吸熱用容器14内に設けられており,地面に掘削の汲み上げ用井戸15よりポンプ15にて汲み上げた地下水を,前記放吸熱用容器14内に供給したのち,この放吸熱用容器14から排出して,同じく地面に掘削の還元用井戸16を介して地中に戻すように構成している。
【0032】
そして,前記第1容器1の上部と,前記第2容器2の上部との間は,蒸気ダクト17を介して接続され,この蒸気ダクト17には,図示しない伝動モータ又は内燃機関等の動力源にて回転駆動されるルーツ式圧縮機18が設けられている。
【0033】
このルーツ式圧縮機18は,従来から良く知られていように,楕円形断面のケーシング18a内に,繭型断面にした二つのロータ18b,18cを互いに位相をずらせて配設し,この二つのロータ18b,18cを互いに逆方向に回転するという構成であり,前記ケーシング18aには,当該ケーシング18a内に開口するように構成した注水口19が,図2に示すように,軸線方向に沿った複数箇所に設けられている。
【0034】
前記各注水口19には,前記第1循環管路7から分岐した冷却用管路20がバルブ21を介して接続されているとともに,前記第2循環管路12から分岐した冷却用管路22がバルブ23を介して接続されている。
【0035】
この構成において,冷房を行う場合には,前記ルーツ式圧縮機18を,図1に実線矢印Aで示すように,前記第1容器1内で発生した蒸気を吸引して圧縮する方向に回転駆動する。
【0036】
これにより,前記第1容器1内は前記ルーツ式圧縮機18による吸引にて減圧度が高くなり,この第1容器1内の蒸発性液体は,減圧状態で沸騰蒸発することで冷却されて前記冷暖房用熱交換器5に送られ,ここで温度上昇したのち再び前記第1容器1内に戻るというように,第1容器1と冷暖房用熱交換器5との間を第1循環管路7を介して循環するから,冷暖房箇所9を冷房する。
【0037】
一方,前記ルーツ式圧縮機18にて圧縮された蒸気は,前記第2容器2内に入り,ここ
で,当該第2容器2と前記放吸熱用熱交換器10との間を循環する蒸発性液体にて冷やされて凝縮し,この蒸気の凝縮にて温度が高くなった蒸発性液体は,この第2容器2内から前記放吸熱用熱交換器10に送られたのち再び前記第2容器2内に戻るというように,第2容器2と放吸熱用熱交換器10との間を第2循環管路12を介して循環することにより,放吸熱用容器14において,地下水への放熱を行う。
【0038】
この冷房に際しては,前記第2循環管路12から分岐した冷却用管路22におけるバルブ23のみを開くことにより,前記第2容器2において,蒸気の凝縮で温度が高くなった水等の蒸発性液体の一部が,前記ルーツ式圧縮機18におけるケーシング18a内に,当該ケーシング18aに設けた各注水口19より導入されるから,この蒸発性液体にて,前記ケーシング18a内において回転する二つロータ18b,18cを冷却できて,両ロータ18b,18cにおける熱膨張を確実に抑制することができ,しかも,両ロータ18b,18cの相互間及び両ロータ18b,18cとケーシング18aの内面との間を,軸線方向の各所について確実にシーリングできるとともに,確実に潤滑することができる。
【0039】
なお,前記冷房の場合においては,前記ケーシング18aにおける各注水口19に,前記第2容器2内における蒸発性液体の一部を直接に導くという構成にしても良い。
【0040】
つまり,冷房の場合においては,前記したように,前記ケーシング18aにおける各注水口19に,第2容器2側における温度の高い蒸発性液体を導入することにより,この分だけ,熱量のロスを低減できる。
【0041】
次に,暖房を行う場合には,前記ルーツ式圧縮機18を,図1に点線矢印Bで示すように,前記第2容器2内で発生した蒸気を吸引して圧縮するように逆方向に回転する。
【0042】
これにより,今度は,前記第2容器2内がルーツ式圧縮機18の逆回転による吸引にて減圧度が高くなり,この第2容器2内の蒸発性液体は減圧状態で沸騰蒸発し,ここに発生した蒸気は,前記ルーツ式圧縮機18にて圧縮されたのち前記第1容器1内に入り,ここで当該第1容器1と前記冷暖房用熱交換器5との間を循環する蒸発性液体にて冷やされて凝縮し,この蒸気の凝縮にて温度が高くなった蒸発性液体は,この第1容器1内から前記冷暖房用熱交換器5に送られたのち再び前記第1容器内に戻るという循環をするから,前記冷暖房箇所を暖房する。
【0043】
一方,前記第2容器2内において沸騰蒸発にて温度が下がった蒸発性液体は,この第2容器2内から前記放吸熱用熱交換器10に送られたのち再び前記第2容器2内に戻るというように,第2容器2と放吸熱用熱交換器10との間を第2循環管路12を介して循環することにより,放吸熱用容器14において,地下水からの吸熱を受ける。
【0044】
この暖房に際しては,前記第1循環管路7から分岐した冷却用管路20におけるバルブ21のみを開くことにより,前記第1容器1において,蒸気の凝縮で温度が高くなった水等の蒸発性液体の一部が,前記ルーツ式圧縮機18におけるケーシング18a内に,当該ケーシング18aに設けた各注水口19より導入されるから,この蒸発性液体にて,前記ケーシング18a内において回転する二つロータ18b,18cを冷却できて,両ロータ18b,18cにおける熱膨張を確実に抑制することができ,しかも,両ロータ18b,18cの相互間及び両ロータ18b,18cとケーシング18aの内面との間を,軸線方向の各所について確実にシーリングできるとともに,確実に潤滑することができる。
【0045】
なお,前記暖房の場合においては,前記ケーシング18aにおける各注水口19に,前記第1容器1内における蒸発性液体の一部を直接に導くという構成にしても良い。
【0046】
また,前記暖房の場合においては,前記したように,前記ケーシング18aにおける各注水口19に,第1容器1側における温度の高い蒸発性液体を導入することにより,熱量のロスを低減できる。
【0047】
しかし,前記暖房の際に,第2容器2側における温度の低い蒸発性液体を導入する場合における熱量のロスは,冷房の際に第1容器1側における温度の低い蒸発性液体を導入することによる熱量のロスよりも遥かに少ないので,前記暖房の際には,第1容器1側における蒸発性液体を導入することに代えて,第2容器2側における蒸発性液体を導入するか,或いは,第1容器1側における蒸発性液体及び第2容器2側における蒸発性液体の両方を導入するという構成にすることができる。
【0048】
前記した実施の形態は,冷房に際しての放熱,及び暖房に際しての吸熱に地下水を利用した場合であったが,本発明は,これに限らず,地下水に代えて他の工業用水を使用することができるほか,以下の図3に示す第2の実施の形態にするか,或いは,図4に示す第3の実施の形態に構成することにより,冷房に際しての放熱及び暖房に際しての吸熱に大気空気を利用することができる。
【0049】
すなわち,図3は,前記第2循環管路10における放吸熱用熱交換器10を内蔵する放吸熱用容器14に,フアン24による強制通風の通風塔25内の底に溜まる水等の蒸発性液体をポンプ26にて供給し,この放吸熱用容器14から排出される蒸発性液体を,前記通風塔25内に設けたラシヒリング等の充填層27に対して散布して,大気空気と接触するという循環を行うように構成したものである。
【0050】
また,図4は,前記第2循環管路10における放吸熱用熱交換器10を,フアン28による強制通風の通風塔29内に配設し,この通風塔29内の底に溜まる水等の蒸発性液体をポンプ30にて汲み出して,前記放吸熱用熱交換器10に対してノズル31にて散布するという循環を行うように構成したものである。
【0051】
これら図3及び図4の構成によると,大気空気を利用して冷房時における放熱と,暖房時における吸熱とを行うことかできる。
【符号の説明】
【0052】
1 第1容器
2 第2容器
3 真空ポンプ
4 連通管路
5 冷暖房用熱交換器
7 第1循環管路
9 冷暖房箇所
10 放吸熱用熱交換器
12 第2循環管路
17 蒸気ダクト
18 ルーツ式圧縮機
18a ルーツ式圧縮機のケーシング
18b,18c ルーツ式圧縮機のロータ
19 注水口
20,22 冷却用管路
21,23 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉した第1容器及び第2容器と,間接式の冷暖房用熱交換器と,間接式の放吸熱用熱交換器と,前記第1容器及び第2容器内を大気圧よりも低い減圧にする手段とから成り,蒸発性液体を前記第1容器と前記冷暖房用熱交換器との間を循環する第1循環手段と,同じく蒸発性液体を前記第2容器と前記放吸熱用熱交換器との間を循環する第2循環手段とを備え,更に,前記第1容器内と前記第2容器内とを接続する蒸気ダクト中に,正逆回転可能なルーツ式圧縮機を設けて成る蒸発式空調装置において,
前記ルーツ式圧縮機におけるケーシングに,当該ケーシング内への注水口を設けて,この注水口に,前記第1容器側における蒸発性液体の一部,又は前記第2容器側における蒸発性液体の一部を導くように構成したことを特徴とする蒸発式空調装置。
【請求項2】
前記請求項1の記載において,前記注水口を,前記ケーシングのうち軸線方向に沿った複数箇所に設けることを特徴とする蒸発式空調装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2の記載において,前記注水口に,前記ルーツ式圧縮機を第1容器の蒸気を吸引・圧縮するように回転しているときには,前記第2容器側における蒸発性液体を導くように構成することを特徴とする蒸発式空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−177543(P2012−177543A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−136556(P2012−136556)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【分割の表示】特願2007−224983(P2007−224983)の分割
【原出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000143972)株式会社ササクラ (138)