蓄電池充放電制御装置及び方法
【課題】複数の蓄電池モジュールを直列接続した多重化PCSにおいて、制御ソフトの変更のみで、各段個別に充放電電流を瞬時的に安定に制御するための安価な制御方法及び制御装置を提供すること。
【解決手段】(1)全体の有効電力P(=Idc1×Vdc1+Idc2×Vdc2+・・・+IdcN×VdcN)の偏差により全体の有効電力の制御を行うための制御量Qを決定する。(2)各段の直流電流の偏差により各段の配分補正αnを決める。(3)Qとαnにより各段の制御量を決定し、n段目の制御量はQ+αn若しくはQ×(1+αn)とする。全体の有効電力Pの偏差をPI制御器に入力し、その出力Qを各段の直接制御系のPI制御器の出力αnにより補正する。
【解決手段】(1)全体の有効電力P(=Idc1×Vdc1+Idc2×Vdc2+・・・+IdcN×VdcN)の偏差により全体の有効電力の制御を行うための制御量Qを決定する。(2)各段の直流電流の偏差により各段の配分補正αnを決める。(3)Qとαnにより各段の制御量を決定し、n段目の制御量はQ+αn若しくはQ×(1+αn)とする。全体の有効電力Pの偏差をPI制御器に入力し、その出力Qを各段の直接制御系のPI制御器の出力αnにより補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電池充放電制御装置及び方法に関し、より詳細には、複数の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)における直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル水素電池や鉛蓄電池では過充電が品質低下の原因となることが少ないが、NAS電池などの金属食塩電池及びリチウム電池などは、過充電した場合に活物質が分解されて腐食性ガスを発生し、品質低下が生ずる。そのため、充電末期には過電圧による過充電を防止するため、電圧を絞りながら充電するなどの精緻な制御が必要となる。
【0003】
さらには蓄電池モジュールを直列接続した場合は、各段で個別の電流・電圧制御が必要となる。
【0004】
蓄電池モジュールを直列接続した場合の各段個別の充電率(SOC)制御を可能とする従来の充電制御システムでは、長時間をかけて全てのSOCを一定にすることができるが、比例積分制御ができないため、短期期間で充電を行う場合、制御目標値との偏差が大きくなって残留偏差が生じる可能性がある(非特許文献1参照)。
【0005】
また、リチウムセルを直列に接続したシステムで、セル毎に充電の終了を正確に制御する別の方法では、セル毎に充電を制御するレギュレータを装備する必要があり、高コストとなる可能性がある(特許文献1参照)。
【0006】
そこで、追加のハードウェアを必要とせず、制御ソフトの変更のみで各段個別のSOC制御を実現することを考える。先ず図1の(a)に、直流側電流制御として一般的に用いられる主回路構成を示し、(b)に、インバータを制御するための制御回路構成を示す。直流電流の測定値Idcとその目標値(Idc*)の偏差をPI制御器に入力し、PI制御器の出力に正弦波を乗じた値から交流側電流is、交流電圧vsをそれぞれ減算、加算する。
【0007】
図2の(a)に、従来の直流側電流制御を蓄電池モジュール多重化PCSに応用した主回路構成を示し、(b)に、2つのインバータをそれぞれ独立に制御する制御回路構成を示す。各段はそれぞれ独立に制御され、1段目はIdc1のみを制御量とし、2段目はIdc2のみを制御量としてPI制御している。本願明細書では、この制御方法を直接制御と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−178010号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「カスケードPWM変換器と二次電池を利用した6.6kVトランスレス電力貯蔵システム」、電学論D、129第1号、2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような各段を独立に制御する直接制御を用いると、放電動作は制御可能であるが、充電動作を制御できないという課題があった。
【0011】
図3に、蓄電池モジュール多重化PCSの2つのインバータをそれぞれ独立に直接制御した場合のシミュレーション結果を示す。図3(a)、(b)が充電時の状態を示し、図3(c)、(d)が放電時の状態を示している。放電側は正しく目標値に追従して安定に制御できているが、充電側は振動して不安定で、目標値に追従できていない。
【0012】
図4(a)にIdc1*=1A、Idc2*=1Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示し、(b)は、Idc1*=1A、Idc2*=1.5Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示す。また、図5にIdc1*=−1A、Idc2*=−1Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示し、(b)は、Idc1*=−1A、Idc2*=−1.5Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示す。
【0013】
図4に示す放電動作時は、制御偏差は零に収束している。一方、図5に示す充電動作時は、制御偏差は零に収束せず不安定となっている。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、複数の蓄電池モジュールを直列接続した多重化PCSにおいて、制御ソフトの変更のみで、各段個別に充放電電流を瞬時的に安定に制御するための安価な制御方法及び制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御装置であって、i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、複数の前記蓄電池モジュール全体の直流側有効電力を帰還制御するための制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御装置であって、i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、他の段の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αj(1≦j≦N)を少なくとも1つ含む制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の蓄電池充放電制御装置において、前記補正した制御量Qiは、Qi=Q+αiと定義されることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の蓄電池充放電制御装置において、前記補正した制御量Qiは、Qi=Q(1+αi)と定義されることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電池充放電制御装置において、前記制御量Q、αiは、それぞれPI制御されたものであることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明は、N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御方法であって、i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、複数の前記蓄電池モジュール全体の直流側有効電力を帰還制御するための制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明は、N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御方法であって、i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、他の段の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αj(1≦j≦N)を少なくとも1つ含む制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の蓄電池充放電制御方法において、前記補正した制御量Qiは、Qi=Q+αiと定義されることを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項6又は7に記載の蓄電池充放電制御方法において、前記補正した制御量Qiは、Qi=Q(1+αi)と定義されることを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項6乃至9のいずれかに記載の蓄電池充放電制御方法において、前記制御量Q、αiは、それぞれPI制御されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、複数の蓄電池モジュールを直列接続した多重化PCSにおいて、制御ソフトの変更のみで、各段個別に充放電電流を瞬時的に安定に制御可能にする効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は、直流側電流制御として一般的に用いられる主回路構成を示す図であり、(b)インバータを制御するための制御回路構成を示す図である。
【図2】(a)は、従来の直流側電流制御を蓄電池モジュール多重化PCSに応用した主回路構成を示す図であり、(b)は、2つのインバータをそれぞれ独立に直接制御する制御回路構成を示す図である。
【図3】蓄電池モジュール多重化PCSの2つのインバータをそれぞれ独立に直接制御した場合のシミュレーション結果を示す図であり、(a)はIdc1*=1A、Idc2*=1Aとして制御した場合のグラフであり、(b)はIdc1*=1A、Idc2*=1.5Aとして制御した場合のグラフであり、(c)はIdc1*=−1A、Idc2*=−1Aとして制御した場合のグラフであり、(d)はIdc1*=−1A、Idc2*=−1.5Aとして制御した場合のグラフである。
【図4】(a)はIdc1*=1A、Idc2*=1Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示すグラフであり、(b)はIdc1*=1A、Idc2*=1.5Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図5】(a)はIdc1*=−1A、Idc2*=−1Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示すグラフであり、(b)はIdc1*=−1A、Idc2*=−1.5Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図6】蓄電池モジュール多重化PCSの主回路の等価回路を示す図である。
【図7】本願発明の実施形態1に係る蓄電池モジュール多重化PCSの第1の制御回路構成を示す図である。
【図8】本願発明の実施形態1に係る蓄電池モジュール多重化PCSの第2の制御回路構成を示す図である。
【図9】本願発明の実施形態1に係る第1の制御方法によるシミュレーション結果を示す図である。
【図10】本願発明の実施形態1に係る第2の制御方法によるシミュレーション結果を示す図である。
【図11】本願発明の実施形態1に係る第1の制御方法を用いた試作機による実験結果を示す。
【図12】本願発明の実施形態2に係る蓄電池モジュール多重化PCSの第3の制御回路構成を示す図である。
【図13】本願発明の実施形態2に係る蓄電池モジュール多重化PCSの第4の制御回路構成を示す図である。
【図14】本願発明の実施形態2に係る第3の制御方法を用いた試作機による実験結果を示す。
【図15】本願発明の実施形態2に係る第4の制御方法を用いた試作機による実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明が解決しようとする課題に述べた充電側での制御の不安定性の原因は以下の通りと考えられる。
【0028】
図6に、蓄電池モジュール多重化PCSの主回路の等価回路を示す。インバータ102aとそれに接続された直流電源とを含む第1段目を交流電源105aとし、インバータ102bとそれに接続された直流電源とを含む第2段目を交流電源105bとする。
【0029】
直接制御の制御回路は、放電時には下記の動作を行う。
|Idc1|が不足
→インバータ−102aからの有効電力の出力を増やすため|vc1|を増加
→|vs|に対し|vc1+vc2|が増加
→|is|が増加
→インバータ−102bからの有効電力の出力(|vc1|×|is|)が増加
→|Idc1|が増加
→|Idc1|の不足は解消
従って、放電の場合は負の帰還がかかり制御は安定する。
【0030】
一方、充電時には直接制御の制御回路は下記の動作を行う。
|Idc1|が不足
→インバータ−102aへの有効電力の入力を増やすため|vc1|を増加
→|vs|に対し|vc1+vc2|が増加
→|is|が減少
→インバータ−102bへの有効電力の入力(|vc1|×|is|)が減少
→|Idc1|が減少
→|Idc1|は更に不足
従って、この場合は正の帰還となり制御は不安定となると考えられる。また、|is|が減少する代わりに、|vc1|の増加分だけ|vc2|が減少する場合も考えられ、そのような場合は下記の動作を行う。
|Idc1|が不足
→インバータ−102aへの有効電力の入力を増やすため|vc1|を増加
→|vc1+vc2|が|vs|で一定なので|vc2|が減少
→|Idc2|が減少
→インバータ−102bへの有効電力の入力を増やすため|vc2|を増加
→|vc1+vc2|が|vs|で一定なので|vc1|が減少
→|Idc1|が減少
このように、Idc1を増加させようとすると、Idc2の減少を引き起こし、それがまたIdc1の減少を引き起こすという負のサイクルに陥って不安定な制御となるものと考えられる。
【0031】
以上から、放電の場合はインバータ交流側電圧と直流電流とは増えると増える関係にあり、帰還制御としたときにPI制御で定常偏差を零にできるが、充電動作の場合は交流側電圧と直流電流との関係が増えると減る関係にあるため帰還制御をかけると偏差が拡大する方向に動作すると考えられる。また、Idc1とIdc2との間に相関があり、一方を増やす動作が他方を減らすように作用すると考えられる。
【0032】
従って、これらの現象が複合的に生じることにより、蓄電池モジュール多重化PCSにおいては、各段独立して直流電流制御を行った場合、充電動作時に制御が収束しなくなると考えられる。
【0033】
本発明は、この対策として蓄電池モジュール変換器を直列接続した変換器全体での充放電電力を帰還制御した上で、各段の蓄電池モジュール変換器については各段の直流電流を個別に帰還制御した値により補正して制御する方法を提供する。
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0035】
この方法によれば、以下の手順により各段個別制御を可能とする。
(1)全体の有効電力P(=Idc1×Vdc1+Idc2×Vdc2+・・・+IdcN×VdcN)の偏差により全体の有効電力Pの制御を行うための制御量Qを決定する。
(2)各段の直流電流の偏差により各段の配分補正αnを決める。
(3)Qとαnにより各段の制御量を決定する。
(4)各段の制御量を決定する方法としては下記の方法がある。
(i)n段目の制御量=Q+αn ・・・制御方法1
(ii)n段目の制御量=Q×(1+αn) ・・・制御方法2
尚、ここで重要なのは、各段の直流電流の制御目標値が他の段においても制御目標値の1つとされることである。そのため、制御量Qは必ずしも全体の有効電力Pの制御を行うものでなくてもよく、他の段の制御目標値を含むものであればよい。
【0036】
これらの方法には以下の特徴がある。制御対象は有効電力及び直流電流というスカラー量である。そのため帰還制御に比例積分動作を用いることが可能となり、直流電流の定常偏差を“0”にすることができる。
【0037】
また、この方法は制御ソフトの変更だけで実現できるため、特別な補助的制御ユニットなどの追加ハードウェアは不要であるため、特段のコスト増加はない。
【0038】
(実施形態1)
図7に、本願発明の実施形態1に係る蓄電池モジュール多重化PCSの方法1に基づく制御回路構成を示す。図7に示す第1の制御方法では、全体の有効電力Pの偏差をPI制御器に入力し、その出力Qを各段の直接制御系のPI制御器の出力α1、α2にそれぞれ加算する。尚、この第1の制御方法では、制御目標値の正負によりオープンループ特性の傾きが反転するため、制御目標値の正負により、フィードバック値の符号を変換する必要がある。そのためIdc1、Idc2の制御偏差は、IP制御器に入力する前にIdc1*、Idc2*の符号に応じてそれぞれ正負を転換する。
【0039】
図8に、本願発明の実施形態1に係る蓄電池モジュール多重化PCSの方法2に基づく制御回路構成を示す。図8に示す第2の制御方法では、全体の有効電力Pの偏差をPI制御器に入力し、その出力Qを各段の直接制御系のPI制御器の出力α1、α2にそれぞれ乗算する。そして、その乗算した値に出力Qをさらに加算する。これにより、各インバータは、自身の段の直流電流を目標値に収束させ、同時に他の段の直流電流をも段毎の目標値に収束させるように振舞う。
【0040】
図9に、第1の制御方法によるシミュレーション結果を示し、図10に、第2の制御方法によるシミュレーション結果を示す。過渡応答の比較を目的として、直流電流の目標値を「Idc1*=−1A、Idc2*=−1.5A」とした場合の制御の応答性の比較を行った。いずれの制御方法でもオーバーシュートなど無い、安定した制御特性が得られている。
【0041】
図11に、第1の制御方法を用いた試作機による実験結果を示す。Idc1、Idc2の制御目標値を一分ごとに変化して各段の追従性を実験により確認した。この実験結果から、Idc1、Idc2のそれぞれが安定的に制御目標値に追従制御できていることが確認できた。
【0042】
以上は2段構成の場合の例であるが、蓄電池モジュールをN段構成とした場合でも全体の有効電力制御としての制御量で、各段の直流電流の変化を基に各段の制御量を補正することにより同様の効果を発揮できる。
【0043】
(実施形態2)
図12に、本願発明の実施形態2に係る蓄電池モジュール多重化PCSの方法1に基づく制御回路構成を示す。図12に示す第3の制御方法では、全体の有効電力PをPI制御した値により補正を行う代わりに、1段目のPI制御した値を2段目のPI制御した値に加算している。実施形態1と同様の理由から、Idc2の制御偏差をIP制御器に入力する前にIdc1*の符号に応じて正負を転換する。
【0044】
図13に、本願発明の実施形態2に係る蓄電池モジュール多重化PCSの方法2に基づく制御回路構成を示す。図13に示す第4の制御方法では、全体の有効電力Pの偏差で補正を行う代わりに、1段目のPI制御した値を2段目の直流電流のPI制御した値に乗算し、その乗算した値と1段目のPI制御した値とを加算している。
【0045】
本実施形態では、1段目は直接補正されないが、2段目の補正によって間接的に補正されることになる。
【0046】
図14、第3の制御方法を用いた試作機による実験結果を示し、図15に、第4の制御方法を用いた試作機による実験結果を示す。いずれも各段個別に安定して充放電電流を制御できている。
【0047】
本実施形態2では便宜的に蓄電池モジュールを2段構成としたが、ここで重要なのは、N段構成の蓄電池モジュールの内少なくとも1段の蓄電池モジュールのインバータは、他の段の直流電流の制御量で自身の段の直流電流の制御量を補正した制御量で制御されていることである。従って、蓄電池モジュールをN段構成とした場合も、同様の効果を発揮できる。
【符号の説明】
【0048】
101、105a、105b 交流電源
102、102a、102b インバータ
103 制御システム
104 直流電源
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電池充放電制御装置及び方法に関し、より詳細には、複数の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)における直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル水素電池や鉛蓄電池では過充電が品質低下の原因となることが少ないが、NAS電池などの金属食塩電池及びリチウム電池などは、過充電した場合に活物質が分解されて腐食性ガスを発生し、品質低下が生ずる。そのため、充電末期には過電圧による過充電を防止するため、電圧を絞りながら充電するなどの精緻な制御が必要となる。
【0003】
さらには蓄電池モジュールを直列接続した場合は、各段で個別の電流・電圧制御が必要となる。
【0004】
蓄電池モジュールを直列接続した場合の各段個別の充電率(SOC)制御を可能とする従来の充電制御システムでは、長時間をかけて全てのSOCを一定にすることができるが、比例積分制御ができないため、短期期間で充電を行う場合、制御目標値との偏差が大きくなって残留偏差が生じる可能性がある(非特許文献1参照)。
【0005】
また、リチウムセルを直列に接続したシステムで、セル毎に充電の終了を正確に制御する別の方法では、セル毎に充電を制御するレギュレータを装備する必要があり、高コストとなる可能性がある(特許文献1参照)。
【0006】
そこで、追加のハードウェアを必要とせず、制御ソフトの変更のみで各段個別のSOC制御を実現することを考える。先ず図1の(a)に、直流側電流制御として一般的に用いられる主回路構成を示し、(b)に、インバータを制御するための制御回路構成を示す。直流電流の測定値Idcとその目標値(Idc*)の偏差をPI制御器に入力し、PI制御器の出力に正弦波を乗じた値から交流側電流is、交流電圧vsをそれぞれ減算、加算する。
【0007】
図2の(a)に、従来の直流側電流制御を蓄電池モジュール多重化PCSに応用した主回路構成を示し、(b)に、2つのインバータをそれぞれ独立に制御する制御回路構成を示す。各段はそれぞれ独立に制御され、1段目はIdc1のみを制御量とし、2段目はIdc2のみを制御量としてPI制御している。本願明細書では、この制御方法を直接制御と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−178010号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「カスケードPWM変換器と二次電池を利用した6.6kVトランスレス電力貯蔵システム」、電学論D、129第1号、2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような各段を独立に制御する直接制御を用いると、放電動作は制御可能であるが、充電動作を制御できないという課題があった。
【0011】
図3に、蓄電池モジュール多重化PCSの2つのインバータをそれぞれ独立に直接制御した場合のシミュレーション結果を示す。図3(a)、(b)が充電時の状態を示し、図3(c)、(d)が放電時の状態を示している。放電側は正しく目標値に追従して安定に制御できているが、充電側は振動して不安定で、目標値に追従できていない。
【0012】
図4(a)にIdc1*=1A、Idc2*=1Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示し、(b)は、Idc1*=1A、Idc2*=1.5Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示す。また、図5にIdc1*=−1A、Idc2*=−1Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示し、(b)は、Idc1*=−1A、Idc2*=−1.5Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示す。
【0013】
図4に示す放電動作時は、制御偏差は零に収束している。一方、図5に示す充電動作時は、制御偏差は零に収束せず不安定となっている。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、複数の蓄電池モジュールを直列接続した多重化PCSにおいて、制御ソフトの変更のみで、各段個別に充放電電流を瞬時的に安定に制御するための安価な制御方法及び制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御装置であって、i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、複数の前記蓄電池モジュール全体の直流側有効電力を帰還制御するための制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御装置であって、i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、他の段の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αj(1≦j≦N)を少なくとも1つ含む制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の蓄電池充放電制御装置において、前記補正した制御量Qiは、Qi=Q+αiと定義されることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の蓄電池充放電制御装置において、前記補正した制御量Qiは、Qi=Q(1+αi)と定義されることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電池充放電制御装置において、前記制御量Q、αiは、それぞれPI制御されたものであることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明は、N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御方法であって、i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、複数の前記蓄電池モジュール全体の直流側有効電力を帰還制御するための制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明は、N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御方法であって、i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、他の段の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αj(1≦j≦N)を少なくとも1つ含む制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の蓄電池充放電制御方法において、前記補正した制御量Qiは、Qi=Q+αiと定義されることを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項6又は7に記載の蓄電池充放電制御方法において、前記補正した制御量Qiは、Qi=Q(1+αi)と定義されることを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項6乃至9のいずれかに記載の蓄電池充放電制御方法において、前記制御量Q、αiは、それぞれPI制御されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、複数の蓄電池モジュールを直列接続した多重化PCSにおいて、制御ソフトの変更のみで、各段個別に充放電電流を瞬時的に安定に制御可能にする効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は、直流側電流制御として一般的に用いられる主回路構成を示す図であり、(b)インバータを制御するための制御回路構成を示す図である。
【図2】(a)は、従来の直流側電流制御を蓄電池モジュール多重化PCSに応用した主回路構成を示す図であり、(b)は、2つのインバータをそれぞれ独立に直接制御する制御回路構成を示す図である。
【図3】蓄電池モジュール多重化PCSの2つのインバータをそれぞれ独立に直接制御した場合のシミュレーション結果を示す図であり、(a)はIdc1*=1A、Idc2*=1Aとして制御した場合のグラフであり、(b)はIdc1*=1A、Idc2*=1.5Aとして制御した場合のグラフであり、(c)はIdc1*=−1A、Idc2*=−1Aとして制御した場合のグラフであり、(d)はIdc1*=−1A、Idc2*=−1.5Aとして制御した場合のグラフである。
【図4】(a)はIdc1*=1A、Idc2*=1Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示すグラフであり、(b)はIdc1*=1A、Idc2*=1.5Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図5】(a)はIdc1*=−1A、Idc2*=−1Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示すグラフであり、(b)はIdc1*=−1A、Idc2*=−1.5Aとして制御した場合の直流電流とPI制御器直前での制御偏差のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図6】蓄電池モジュール多重化PCSの主回路の等価回路を示す図である。
【図7】本願発明の実施形態1に係る蓄電池モジュール多重化PCSの第1の制御回路構成を示す図である。
【図8】本願発明の実施形態1に係る蓄電池モジュール多重化PCSの第2の制御回路構成を示す図である。
【図9】本願発明の実施形態1に係る第1の制御方法によるシミュレーション結果を示す図である。
【図10】本願発明の実施形態1に係る第2の制御方法によるシミュレーション結果を示す図である。
【図11】本願発明の実施形態1に係る第1の制御方法を用いた試作機による実験結果を示す。
【図12】本願発明の実施形態2に係る蓄電池モジュール多重化PCSの第3の制御回路構成を示す図である。
【図13】本願発明の実施形態2に係る蓄電池モジュール多重化PCSの第4の制御回路構成を示す図である。
【図14】本願発明の実施形態2に係る第3の制御方法を用いた試作機による実験結果を示す。
【図15】本願発明の実施形態2に係る第4の制御方法を用いた試作機による実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明が解決しようとする課題に述べた充電側での制御の不安定性の原因は以下の通りと考えられる。
【0028】
図6に、蓄電池モジュール多重化PCSの主回路の等価回路を示す。インバータ102aとそれに接続された直流電源とを含む第1段目を交流電源105aとし、インバータ102bとそれに接続された直流電源とを含む第2段目を交流電源105bとする。
【0029】
直接制御の制御回路は、放電時には下記の動作を行う。
|Idc1|が不足
→インバータ−102aからの有効電力の出力を増やすため|vc1|を増加
→|vs|に対し|vc1+vc2|が増加
→|is|が増加
→インバータ−102bからの有効電力の出力(|vc1|×|is|)が増加
→|Idc1|が増加
→|Idc1|の不足は解消
従って、放電の場合は負の帰還がかかり制御は安定する。
【0030】
一方、充電時には直接制御の制御回路は下記の動作を行う。
|Idc1|が不足
→インバータ−102aへの有効電力の入力を増やすため|vc1|を増加
→|vs|に対し|vc1+vc2|が増加
→|is|が減少
→インバータ−102bへの有効電力の入力(|vc1|×|is|)が減少
→|Idc1|が減少
→|Idc1|は更に不足
従って、この場合は正の帰還となり制御は不安定となると考えられる。また、|is|が減少する代わりに、|vc1|の増加分だけ|vc2|が減少する場合も考えられ、そのような場合は下記の動作を行う。
|Idc1|が不足
→インバータ−102aへの有効電力の入力を増やすため|vc1|を増加
→|vc1+vc2|が|vs|で一定なので|vc2|が減少
→|Idc2|が減少
→インバータ−102bへの有効電力の入力を増やすため|vc2|を増加
→|vc1+vc2|が|vs|で一定なので|vc1|が減少
→|Idc1|が減少
このように、Idc1を増加させようとすると、Idc2の減少を引き起こし、それがまたIdc1の減少を引き起こすという負のサイクルに陥って不安定な制御となるものと考えられる。
【0031】
以上から、放電の場合はインバータ交流側電圧と直流電流とは増えると増える関係にあり、帰還制御としたときにPI制御で定常偏差を零にできるが、充電動作の場合は交流側電圧と直流電流との関係が増えると減る関係にあるため帰還制御をかけると偏差が拡大する方向に動作すると考えられる。また、Idc1とIdc2との間に相関があり、一方を増やす動作が他方を減らすように作用すると考えられる。
【0032】
従って、これらの現象が複合的に生じることにより、蓄電池モジュール多重化PCSにおいては、各段独立して直流電流制御を行った場合、充電動作時に制御が収束しなくなると考えられる。
【0033】
本発明は、この対策として蓄電池モジュール変換器を直列接続した変換器全体での充放電電力を帰還制御した上で、各段の蓄電池モジュール変換器については各段の直流電流を個別に帰還制御した値により補正して制御する方法を提供する。
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0035】
この方法によれば、以下の手順により各段個別制御を可能とする。
(1)全体の有効電力P(=Idc1×Vdc1+Idc2×Vdc2+・・・+IdcN×VdcN)の偏差により全体の有効電力Pの制御を行うための制御量Qを決定する。
(2)各段の直流電流の偏差により各段の配分補正αnを決める。
(3)Qとαnにより各段の制御量を決定する。
(4)各段の制御量を決定する方法としては下記の方法がある。
(i)n段目の制御量=Q+αn ・・・制御方法1
(ii)n段目の制御量=Q×(1+αn) ・・・制御方法2
尚、ここで重要なのは、各段の直流電流の制御目標値が他の段においても制御目標値の1つとされることである。そのため、制御量Qは必ずしも全体の有効電力Pの制御を行うものでなくてもよく、他の段の制御目標値を含むものであればよい。
【0036】
これらの方法には以下の特徴がある。制御対象は有効電力及び直流電流というスカラー量である。そのため帰還制御に比例積分動作を用いることが可能となり、直流電流の定常偏差を“0”にすることができる。
【0037】
また、この方法は制御ソフトの変更だけで実現できるため、特別な補助的制御ユニットなどの追加ハードウェアは不要であるため、特段のコスト増加はない。
【0038】
(実施形態1)
図7に、本願発明の実施形態1に係る蓄電池モジュール多重化PCSの方法1に基づく制御回路構成を示す。図7に示す第1の制御方法では、全体の有効電力Pの偏差をPI制御器に入力し、その出力Qを各段の直接制御系のPI制御器の出力α1、α2にそれぞれ加算する。尚、この第1の制御方法では、制御目標値の正負によりオープンループ特性の傾きが反転するため、制御目標値の正負により、フィードバック値の符号を変換する必要がある。そのためIdc1、Idc2の制御偏差は、IP制御器に入力する前にIdc1*、Idc2*の符号に応じてそれぞれ正負を転換する。
【0039】
図8に、本願発明の実施形態1に係る蓄電池モジュール多重化PCSの方法2に基づく制御回路構成を示す。図8に示す第2の制御方法では、全体の有効電力Pの偏差をPI制御器に入力し、その出力Qを各段の直接制御系のPI制御器の出力α1、α2にそれぞれ乗算する。そして、その乗算した値に出力Qをさらに加算する。これにより、各インバータは、自身の段の直流電流を目標値に収束させ、同時に他の段の直流電流をも段毎の目標値に収束させるように振舞う。
【0040】
図9に、第1の制御方法によるシミュレーション結果を示し、図10に、第2の制御方法によるシミュレーション結果を示す。過渡応答の比較を目的として、直流電流の目標値を「Idc1*=−1A、Idc2*=−1.5A」とした場合の制御の応答性の比較を行った。いずれの制御方法でもオーバーシュートなど無い、安定した制御特性が得られている。
【0041】
図11に、第1の制御方法を用いた試作機による実験結果を示す。Idc1、Idc2の制御目標値を一分ごとに変化して各段の追従性を実験により確認した。この実験結果から、Idc1、Idc2のそれぞれが安定的に制御目標値に追従制御できていることが確認できた。
【0042】
以上は2段構成の場合の例であるが、蓄電池モジュールをN段構成とした場合でも全体の有効電力制御としての制御量で、各段の直流電流の変化を基に各段の制御量を補正することにより同様の効果を発揮できる。
【0043】
(実施形態2)
図12に、本願発明の実施形態2に係る蓄電池モジュール多重化PCSの方法1に基づく制御回路構成を示す。図12に示す第3の制御方法では、全体の有効電力PをPI制御した値により補正を行う代わりに、1段目のPI制御した値を2段目のPI制御した値に加算している。実施形態1と同様の理由から、Idc2の制御偏差をIP制御器に入力する前にIdc1*の符号に応じて正負を転換する。
【0044】
図13に、本願発明の実施形態2に係る蓄電池モジュール多重化PCSの方法2に基づく制御回路構成を示す。図13に示す第4の制御方法では、全体の有効電力Pの偏差で補正を行う代わりに、1段目のPI制御した値を2段目の直流電流のPI制御した値に乗算し、その乗算した値と1段目のPI制御した値とを加算している。
【0045】
本実施形態では、1段目は直接補正されないが、2段目の補正によって間接的に補正されることになる。
【0046】
図14、第3の制御方法を用いた試作機による実験結果を示し、図15に、第4の制御方法を用いた試作機による実験結果を示す。いずれも各段個別に安定して充放電電流を制御できている。
【0047】
本実施形態2では便宜的に蓄電池モジュールを2段構成としたが、ここで重要なのは、N段構成の蓄電池モジュールの内少なくとも1段の蓄電池モジュールのインバータは、他の段の直流電流の制御量で自身の段の直流電流の制御量を補正した制御量で制御されていることである。従って、蓄電池モジュールをN段構成とした場合も、同様の効果を発揮できる。
【符号の説明】
【0048】
101、105a、105b 交流電源
102、102a、102b インバータ
103 制御システム
104 直流電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御装置であって、
i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、複数の前記蓄電池モジュール全体の直流側有効電力を帰還制御するための制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする蓄電池充放電制御装置。
【請求項2】
N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御装置であって、
i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、他の段の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αj(1≦j≦N)を少なくとも1つ含む制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする蓄電池充放電制御装置。
【請求項3】
前記補正した制御量Qiは、Qi=Q+αiと定義されることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電池充放電制御装置。
【請求項4】
前記補正した制御量Qiは、Qi=Q(1+αi)と定義されることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電池充放電制御装置。
【請求項5】
前記制御量Q、αiは、それぞれPI制御されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電池充放電制御装置。
【請求項6】
N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御方法であって、
i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、複数の前記蓄電池モジュール全体の直流側有効電力を帰還制御するための制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする蓄電池充放電制御方法。
【請求項7】
N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御方法であって、
i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、他の段の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αj(1≦j≦N)を少なくとも1つ含む制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする蓄電池充放電制御方法。
【請求項8】
前記補正した制御量Qiは、Qi=Q+αiと定義されることを特徴とする請求項6又は7に記載の蓄電池充放電制御方法。
【請求項9】
前記補正した制御量Qiは、Qi=Q(1+αi)と定義されることを特徴とする請求項6又は7に記載の蓄電池充放電制御方法。
【請求項10】
前記制御量Q、αiは、それぞれPI制御されたものであることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の蓄電池充放電制御方法。
【請求項1】
N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御装置であって、
i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、複数の前記蓄電池モジュール全体の直流側有効電力を帰還制御するための制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする蓄電池充放電制御装置。
【請求項2】
N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御装置であって、
i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、他の段の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αj(1≦j≦N)を少なくとも1つ含む制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする蓄電池充放電制御装置。
【請求項3】
前記補正した制御量Qiは、Qi=Q+αiと定義されることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電池充放電制御装置。
【請求項4】
前記補正した制御量Qiは、Qi=Q(1+αi)と定義されることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電池充放電制御装置。
【請求項5】
前記制御量Q、αiは、それぞれPI制御されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電池充放電制御装置。
【請求項6】
N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御方法であって、
i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、複数の前記蓄電池モジュール全体の直流側有効電力を帰還制御するための制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする蓄電池充放電制御方法。
【請求項7】
N個の蓄電池モジュールを直列多段に接続した交直変換装置(PCS)において直流側充放電電流を各段個別に制御する蓄電池充放電制御方法であって、
i段目(1≦i≦N)の前記蓄電池モジュールのインバータは、少なくとも充電時には、他の段の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αj(1≦j≦N)を少なくとも1つ含む制御量Qで、前記i段目の蓄電池モジュールの直流電流を帰還制御するための制御量αiを補正した制御量Qiに基づいて制御されていることを特徴とする蓄電池充放電制御方法。
【請求項8】
前記補正した制御量Qiは、Qi=Q+αiと定義されることを特徴とする請求項6又は7に記載の蓄電池充放電制御方法。
【請求項9】
前記補正した制御量Qiは、Qi=Q(1+αi)と定義されることを特徴とする請求項6又は7に記載の蓄電池充放電制御方法。
【請求項10】
前記制御量Q、αiは、それぞれPI制御されたものであることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の蓄電池充放電制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−188556(P2011−188556A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48361(P2010−48361)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000217686)電源開発株式会社 (207)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000217686)電源開発株式会社 (207)
【Fターム(参考)】
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