説明

蓋体及び蓋体を有するパッケージ

【課題】筒形状の容器本体の開口部にシールされるメンブレンの予期しない破断を確実に防止できる蓋体及びこの蓋体を有するパッケージを提供する。
【解決手段】蓋体304aは、樹脂の射出成型等で形成されるものであり、平板状の天板330と、天板330の外周縁に接続される環状の側壁331と、天板330の内面に設けられ、天板330の中心から緩やかな曲線を描いて放射状に延びる放射状リブ332a〜332hとを備える。天板330の内面には、隣接するリブ同士を接続する横リブ334a〜334h及び335a〜335hが更に設けられる。放射状リブ332a〜332hと、横リブ334a〜334h及び335a〜335hとによって、蓋体304aの曲げ及びねじれに対する剛性が向上するため、蓋体304aが取り付けられる包装容器の開口部の変形及びこれに起因するメンブレンの破断を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体及び蓋体を有するパッケージに関し、より特定的には、筒形状の容器本体の開口部がメンブレンで封止された包装容器に取り付けられて、メンブレンを保護する蓋体及びこの蓋体を有するパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インスタントコーヒー等の粉末状の食品は、保存時の密閉性を保持できるように、一般に、キャップ付き瓶のような密閉性の高い包装容器に充填した状態で販売される。また、内容物を再充填して保存容器を再利用する目的で、内容物を簡易に包装した詰め替え用パッケージも知られている。このような詰め替え用パッケージの包装容器としては、例えばパウチやガゼット袋等が知られているが、近年では、省資源化や廃棄の容易性の面から、紙を主体とする材料で作製したカップ状の包装容器(以下、「カップ容器」という)が好まれる場合がある。
【0003】
また、特許文献1〜3には、軽量で廃棄が容易な紙製のカップ容器を補強するために、カップ容器の開口部に樹脂製の補強リングを取り付けた構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭63−24464号公報
【特許文献2】特開平8−58764号公報
【特許文献3】特開2002−264918号公報
【特許文献4】特許第2895556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
詰め替え用パッケージにカップ容器を用いる場合、カップ容器への内容物の充填後に開口部を封止する必要があるが、多くの場合、紙や樹脂、金属箔等で形成したシート材料で作製したメンブレン(蓋材)をカップ容器の開口部にシールすることによって封止を行う。メンブレンのシール後は、購入者によって開封される時までメンブレンの破断を防止するために、蓋体等の保護材がカップ容器に取り付けられる。メンブレンを確実に保護するためには、この保護材がカップ容器やメンブレンの材質や強度、形状等に応じた最適な構造を有していることが求められる。
【0006】
それ故に、本発明は、筒形状の容器本体の開口部にシールされるメンブレンの予期しない破断を確実に防止できる蓋体及びこの蓋体を有するパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、開放端を有する筒形状の容器本体と、狭口側の開口部を開放端に向けて容器本体内部に収納される漏斗と、容器本体の開放端を封止すると共に、中心から放射状に延びる複数の切断線が設けられて、外部からの押圧によって破断するメンブレンとを含むパッケージに着脱自在に取り付けられ、メンブレンを保護する蓋体に関するものである。本発明に係る蓋体は、その一方面がメンブレンと対向するように配置される天板と、天板の外周縁に接続され、その内部に容器本体の開放端が嵌め込まれる環状の側壁と、天板の一方面に設けられ、天板の中心から放射状に延びる複数のリブとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、放射状リブによって蓋体の剛性が向上するため、パッケージの開放端部分の変形を抑制し、容器本体の変形に伴うメンブレンの破断を確実に防止できる。また、放射状リブとメンブレンに設けられた切断線との重なりを少なくすることにより、蓋体に衝撃が加わった際に、放射状リブがメンブレンの切断線を誤って破断させてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るパッケージの概略構成を示す斜視図
【図2】図1に示されるパッケージの分解斜視図
【図3】図1に示されるIII−IIIラインの断面図
【図4】図2に示されるメンブレンの平面図
【図5】図4に示されるV−Vラインの断面図
【図6】本発明に係るパッケージの使用状態を示す斜視図
【図7】図6に示されるVII−VIIラインの断面図
【図8】本発明の第1の実施形態に係る蓋体を有するパッケージの斜視図
【図9】図8に示されるパッケージの上面図
【図10】図9に示されるA3−A3’ラインの断面図
【図11】図8に示される蓋体の裏面図
【図12】図11に示されるB3−B3’ラインの断面図
【図13】本発明の第2の実施形態に係る蓋体を有するパッケージの斜視図
【図14】図13に示されるC3−C3’ラインの断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(基本構成)
まず、図1〜7を参照しながら、本発明に係るパッケージの基本的な構成を説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパッケージの概略構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示されるパッケージの分解斜視図である。また、図3は、図1に示されるIII−IIIラインの断面図である。
【0012】
パッケージ1は、粉粒状または液状の材料を包装し、他の保存容器に内容物を再充填するための詰め替え用パッケージとして使用されるものであり、包装容器2と、包装容器2の内部に充填される内容物5と、包装容器2の開放端11を封止するメンブレン3とを備える。更に、包装容器2には、メンブレン3を保護するために、高密度ポリエチレン(HDPE)やポリプロピレン(PP)等で形成したオーバーキャップ4が取り付けられている。内容物5は、流動性を有するものであれば特に限定されず、本発明に係る包装容器2は粉状、粒状、液状等の様々な材料に適用できる。
【0013】
包装容器2は、一端が開放された筒形状の容器本体10と、容器本体10の内部に収納された漏斗20を含む漏斗パーツ8とを備える。
【0014】
容器本体10は、側壁17と底部16と開放端11とを有する。本実施形態では、容器本体10は、矩形形状のシート材料を丸めて部分的に重ね合わせ、重なり部分を貼り合わせることによって筒状に形成されている。容器本体10の底部16は、円形状の底板19と、底板19の外周部を挟み込んで保持する折り返し部18とによって構成されている。一方、容器本体10の開放端11には、側壁17の一部を外方に折り曲げて環状に巻き込むことによって、カーリング12が形成されている。
【0015】
容器本体10の形成材料は特に限定されないが、容器の軽量化や廃棄の容易さ、省資源化を考慮して、紙を主体とする材料を用いることが好ましい。一例として、食品の包装用途では、容器本体10の内面となる側から順に、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、アルミニウム箔、紙を積層して形成され、高いガスバリア性(特に、酸素、水蒸気、芳香成分等の内容物由来の揮発成分を遮断する性質)を有するシート材料を利用できる。
【0016】
漏斗パーツ8は、一方端に向かって径の狭まる部分を有する漏斗と、これに一体化された部材からなる部品のことをいう。図1〜3に例示した漏斗パーツ8は、漏斗20と、漏斗パーツ8の広口部分に接続される円筒形状の側壁22とを備え、容器本体10の開放端11から内部へと挿入され、収納容器10に嵌め込まれている。後述するように、漏斗20は、他の容器への内容物5の詰め替えを容易にするために設けられているものであり、開放端11に向かって径が狭まるように配置されている。漏斗20のテーパー角αは、内容物の流動性に応じて適宜設定されるが、内容物が粉体の場合には、少なくとも20〜45°、より好ましくは20°に設定される。
【0017】
漏斗パーツ8は、例えば、HDPEやPP等の樹脂材料によって一体成型しても良いし、紙や樹脂、紙混合樹脂等を用いて別個に形成した漏斗20及び側壁22を互いに接続して構成しても良い。樹脂や紙混合樹脂を用いる場合、漏斗パーツ8は、例えば射出成形によって成形しても良い。漏斗20や漏斗パーツ8の形状や取り付け方法は、図1〜3の例に限らず、様々なバリエーションがある。
【0018】
図4は、図2に示されるメンブレンの平面図であり、図5は、図4に示されるV−Vラインの断面図である。
【0019】
メンブレン3は、包装容器2に材料を充填した後に、包装容器2の開放端11を封止するために用いられるものであり、包装容器2の用途に応じて、単一の層よりなるシート材料または複数層を積層したシート材料を利用できる。包装容器2の内容物が食品等の場合には、ガスバリア性を有する材料でメンブレン3を形成することが好ましい。
【0020】
具体的には、メンブレン3は、図5に示されるように、包装容器2にシールされるシーラント層31と、シーラント層31上に積層された樹脂層32と、接着剤層33を介して樹脂層32上に張り合わされた金属箔層34とから構成される。一例として、シーラント層31をポリエチレンで形成し、樹脂層32をポリエチレンテレフタラート(PET)で形成し、金属箔層34はアルミニウムで形成しても良い。メンブレン3を構成する層の積層数や積層方法は特に限定されず、任意で良い。
【0021】
メンブレン3には、外部からの押圧によって張力が所定の大きさを超えたときに破断するように、中心から放射状に延びる6本の切断線30が形成されている。切断線30は、図4及び5に示されるように、メンブレン3の厚み方向においては、シーラント層31及び樹脂層32のみを切断し、かつ、メンブレン3の延伸方向においては、破線を描くように形成されている。
【0022】
切断線30は、メンブレン3の破断強度を調整するためのものであり、メンブレン3に加えられる押圧力に応じて、数やライン形状、切断箇所の長さ及び深さを任意に設定することができる。切断線30の理想的な数としては、中心から放射状に3〜10本の範囲で設けるのが望ましい。切断線30は、直線状でも良いし曲線状でも良い。また、メンブレン3の延伸方向において、切断線30は必ずしも破線状のミシン目である必要はなく、実線を描くように形成しても良い。
【0023】
図6は、本発明に係るパッケージの使用状態を示す斜視図であり、図7は、図6に示されるVII−VIIラインの断面図である。より特定的には、図6及び7において、(a)は、メンブレンの破断前の状態を示し、(b)は、メンブレンの破断後の状態を示す。
【0024】
パッケージ1内の内容物5を他の容器7に再充填する際には、まず、図6(a)及び7(a)に示すように、オーバーキャップを取り外した包装容器2を倒立させ、メンブレン3を保存容器7の開口部に当接させる。このとき、漏斗20の狭口側の開口部が保存容器7の開口の範囲内に配置するため、包装容器2の中心を保存容器7の中心とを合わせる。
【0025】
次に、パッケージ1の底部を図の矢印方向に押下する。このとき、メンブレン3は、包装容器2の押圧に伴って、漏斗20及び容器7の開口部から押圧力を受けるが、メンブレン3の張力が所定の破断強度を上回ると、図6(b)及び7(b)に示すように、メンブレン3が破断する。メンブレン3が破断すると、包装容器2に加えられた押圧力に従って、漏斗20は容器7の内部へと挿入され、破断したメンブレン3は、漏斗20と側壁22とで挟まれた空間内に折り込まれる。この結果、漏斗20の外方側の開口部が大きく開いた状態となるので、内容物5は、重力に従って、漏斗20のテーパーに沿って容器7の内部に流入する。
【0026】
以上説明したように、本発明に係る包装容器2及びこれを用いたパッケージ1によれば、メンブレン3と容器7の開口部とを突き合わせて、包装容器2を保存容器7に向かって押圧することにより、メンブレン3の破断とほぼ同時に漏斗20の開口部が保存容器7内に挿入される。包装容器2内の内容物5は漏斗20によって保存容器7の内部に誘導されるため、詰め替え作業時に内容物5が飛散したりこぼれたりするのを防止できる。よって、本実施形態に係る包装容器2及びパッケージ1によれば、内容物の詰め替えを容易に行うことが可能となる。
【0027】
以下、本発明の第1及び第2の実施形態に係る蓋体及びこれを用いたパッケージの特徴を説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
図8は、本発明の第1の実施形態に係る蓋体を有するパッケージの斜視図であり、図9は、図8に示されるパッケージの上面図であり、図10は、図9に示されるA3−A3’ラインの断面図である。また、図11は、図8に示される蓋体の裏面図であり、図12は、図11に示されるB3−B3’ラインの断面図である。
【0029】
蓋体304aは、上述した構成を有する包装容器302の開放端を封止するメンブレン303を保護するためのものであり、例えば樹脂の射出成型によって形成される。具体的には、本実施形態に係る蓋体304aは、板状の天板330と、天板330の外周縁に接続される環状の側壁331と、側壁331の内面から突出する突起337a〜337dと、天板330の一方面に形成される複数の放射状リブ332a〜332hと、隣接するリブ同士を接続する複数の横リブ334a〜334h及び335a〜335hとを備える。
【0030】
天板303は、容器本体310の開放端に対応する円形状を有し、その内面がメンブレン303に対向するように配置される。また、図10に示されるように、天板330の外面の外周縁近傍は階段状に形成され、外周縁上に位置する段差338aと、段差338aより内周に位置する段差338bとが設けられている。段差338aは、パッケージに取り付ける前の蓋体304aをスタッキングをし易くするためのものであり、段差338bは、蓋体304aを包装容器302に取り付けたパッケージ301のスタッキングをし易くするためのものである。更に、天板330には、蓋体304aとメンブレン303とで挟まれた空間から空気を排気するための開孔333a及び333bが形成されている。
【0031】
側壁331は、天板330の外周縁から天板330と直交する方向に立ち上がるように形成されている。側壁331内面に設けられた突起337a〜337は、側壁331の延伸方向(すなわち、天板330の周方向)に間欠的に配置されている。蓋体304aを包装容器302に取り付けた状態では、図10に示すように、容器本体310の開放端部分側壁331の内部に嵌め込まれている。より詳細には、突起337a〜337hは、後述するリブ334a〜334hとの間に容器本体310のフランジ312を挟んだ状態で、容器本体302のフランジ312と係合し、蓋体304aの容器本体310への取り付け状態を維持する。
【0032】
放射状リブ332a〜332hは、天板330の内面に設けられ、天板330の中心から側壁331へと向かって、緩やかな弧を描いて放射状に延びている。放射状リブ332a〜332hの外方端は、図10及び11に示されるように、側壁331の内面には接続されていない。
【0033】
横リブ334aは、天板330の内面に設けられ、隣接する一対の放射状リブ332a及び332hを接続する。他の横リブ332b〜332hも同様に、それぞれ対応する一対の放射状リブ同士を接続する。これらの横リブ334a〜334hは、漏斗320の狭口側の開口部321と同軸かつ同一径の第1の円形状リブを構成している。また、横リブ334a〜334hの外側には、隣接する一対の放射状リブ同士を接続し、横リブ334a〜334hによって構成される円と同心の第2の円形状リブを構成する複数の横リブ335a〜335hが設けられている。
【0034】
放射状リブ332a〜332h、横リブ334a〜334h及び335a〜335hの天板330内面からの高さは、各々の端面(メンブレン303に向けられる面)が同一平面を構成するように設定されている。また、横リブ334a〜334h及び335a〜335hの各々の端面には、図12示すような切欠336が形成されている。切欠336は、放射状リブ332a〜332h、横リブ334a〜334h及び335a〜335hで仕切られる区画間を繋ぐ空気の流路として機能する。
【0035】
本発明に係るパッケージ301では、上述したような使用方法(図6及び7)を想定しているため、メンブレン303にはその破断強度を調整するための切断線309(図9)が形成されている。したがって、メンブレン303がシールされた容器本体310の開放端部分が大きく変形して、切断線309と交差する方向に所定以上の張力が加わると、メンブレン303が破断してしまう可能性がある。上記のように構成された蓋体304aは、放射状リブ332a〜332h、横リブ334a〜334h及び335a〜335hによって曲げやねじれに対する剛性が高められているので、蓋体304aを包装容器302に取り付けることによって、容器本体310の開放端の変形を抑制することができる。よって、本実施形態に係る蓋体304aによれば、表面を覆うことによってメンブレン303の直接の損傷を防止することに加えて、容器本体310の変形に伴う予期しない破断を防止することができる。
【0036】
また、蓋体304aを包装容器302に取り付けた状態では、図10に示されるように、メンブレン303は、その全体に渡って、放射状リブ332a〜332h、横リブ334a〜334h及び335a〜335hで構成される面と接触する。したがって、蓋体304aの天板330に押圧力が加わった場合でも、その押圧力を分散してメンブレン303に伝達でき、一部分に押圧力が集中することに起因するメンブレン303の破断を防止できる。
【0037】
特に、本実施形態に係る蓋体304aにおいては、横リブ334a〜334hは、漏斗320の狭口側の開口部321と同軸かつ同一径の円を構成しているため、図10に示すように、横リブ334a〜334hの端面がメンブレン303を介して漏斗320の開口部321に当接する。天板330に押圧力が加わった場合、その中央側ほど相対的に撓みやすいが、放射状リブ332a〜332hによって撓みが抑制されていることに加えて、容器本体310に溶着された漏斗320によって天板330の撓みが阻止されるので、メンブレン303の中央部の破断が更に効果的に防止される。また、横リブ334a〜334hと開口部321との間にメンブレン303を密着状態に挟み込むことによって、包装容器302の内容物が開口部321を通じて漏斗320の外面側に回り込むことも抑制できる。
【0038】
図9に示されるように、放射状リブ332a〜332hは曲線状であるため、メンブレン303に設けられた直線状の切断線309と、放射状リブ332a〜332hとは完全に重ならず、また、その交差箇所は最小限に抑えられる。したがって、強度が相対的に小さい切断線309に対してリブ302a〜302hから押圧力が加わることに起因するメンブレン303の破断が防止される。特に、本実施形態では、メンブレン303に形成された切断線309の数と、放射状リブ332a〜332hの数とが異なっている。このように構成することで、メンブレン303の破断線309と放射状リブ332a〜332hとが合致するのを避けることができるので、蓋体304aに衝撃が加わった際に誤って切断線309が破断するのをより効果的に防止することが可能となる。
【0039】
更に、放射状リブ332a〜332hの外方端部と側壁331の内面との間が切断されているため、側壁331の撓みがある程度許容されている。このように構成すると、蓋体304aを取り付けたパッケージ301の落下時に側壁331部分に大きな衝撃が加わった場合でも、側壁331と共に天板330が変形する代わりに、側壁331のみが撓んで衝撃を緩和することができる。したがって、パッケージ301の落下時等におけるメンブレン303の破断も防止される。本実施形態では、図8及び11に示されるように、フランジ312と係合する突起337a〜337dが間欠的に配置されているため、側壁331のうち突起が設けられていない部分の撓みの自由度が大きく、落下時における破断防止効果が一層向上する。
【0040】
本実施形態に係る蓋体304aでは、天板330に開孔333a及び333bを設けると共に、横リブ334a〜334h及び335a〜335hの端面に切欠336を設けることによって、天板330の内面に構成された区画間また蓋体304a内部と外部との間に空気の逃げ道が確保されている。このような通気口がない場合、蓋体に押圧力や衝撃が加わった際に、蓋体とメンブレン303との間で圧縮された空気によってメンブレン303を破断させてしまう可能性がある。本実施形態に係る蓋体304aでは、通気口が設けられているのでそのような虞がない。
【0041】
上述の取り付け後における破断防止効果に加えて、本実施形態に係る蓋体304aは、以下に説明するように、蓋体304aを包装容器302に取り付ける際におけるメンブレン303の破断も防止できる。
【0042】
包装容器302に対する蓋体304aの取り付け時には、側壁331を押し広げながら容器本体310のフランジ312が側壁331内部に嵌め込まれる。この過程では、天板330の開孔333a及び333bや側壁331内面の突起337a〜337d間に形成される隙間から、蓋体304aとメンブレン303との間に挟まれた空気が外部に排気される。したがって、蓋体304aの取り付け時に、蓋体304aとメンブレン303との間で空気が圧縮されてメンブレン303を破断させてしまう虞がない。
【0043】
また、放射状リブ332a〜332hの外方端部と側壁331との内面を分離することによって、フランジ312を嵌め込む際に側壁331を押し広げやすくなるので、嵌め込まれる容器本体310の変形が小さくなる。したがって、蓋体304aの取り付け時に容器本体310が変形してメンブレン303を破断させてしまうことを防止できる。
【0044】
更に、フランジ312と係合する突起337a〜337dを、側壁331の全周ではなく部分的に設けているため、蓋体304aの嵌め込みに要する力を小さくでき、これによっても容器本体310の変形及びこれに起因するメンブレン303の破断を防止できる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、パッケージ301の製造時及び製造後のいずれにおいても、安定してメンブレンを保護できる蓋体304aを実現できる。また、本実施形態に係る蓋体304aは、最小限の樹脂量で成型できるため、省資源化の面でも優れる。
【0046】
(第2の実施形態)
図13は、本発明の第2の実施形態に係る蓋体を有するパッケージの斜視図であり、図14は、図13に示されるC3−C3’ラインの断面図である。
【0047】
本実施形態に係る蓋体304bの基本的な構成は、第1の実施形態に係る蓋体304aと同じであるので、以下では本実施形態と第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0048】
本実施形態では、側壁331に複数のスリット339が形成されている。また、側壁331の内面には、スリット339が形成された部分を除いて、側壁331の全周に渡って突起340が設けられている。
【0049】
このようにスリット339を設けることにより、側壁331の変形の自由度が向上するため、パッケージ301の落下時に側壁331が撓んで衝撃を緩和することができる。これにより、容器本体310の変形及びこれに起因するメンブレン303の破断を抑制できる。
【0050】
また、スリット339によって、蓋体304aの嵌め込みに要する力を小さくできるので、蓋体304aの取り付け時における容器本体310の変形及びこれに起因するメンブレン303の破断も防止できる。
【0051】
(その他の変形例)
尚、上記の第1及び第2の各実施形態では、天板の内面に横リブが設けられているが、天板やメンブレンの材質や強度、寸法によっては、横リブを備えない蓋体を構成しても良い。
【0052】
また、上記の各実施形態では、複数の横リブが漏斗の狭口側の開口部と同軸かつ同一径の円を構成しているが、必ずしもこのように構成する必要はなく、複数の横リブを非連続に配置したり、多角形を構成するように形成しても良い。また、横リブの数は特に限定されず、必要な蓋体の強度等に応じて任意に設定できる。
【0053】
更に、上記の各実施形態において、横リブの端面に設けた切欠に加えて、放射状リブの端面に切欠を形成しても良い。あるいは、横リブの端面に切欠を設ける代わりに、放射状リブの端面にのみ切欠を設けても良い。
【0054】
更に、上記の各実施形態において、横リブの端面に切欠を形成する代わりに、放射状リブ及び横リブで閉塞される区画の天板に開孔を設けても良い。
【0055】
更に、上記の各実施形態では、放射状リブを弧状に形成し、メンブレンの切断線を直線状に形成した例を説明したが、放射状リブ及び切断線の形状は特に限定されない。ただし、上述したように、メンブレンの破断防止の面では、放射状リブ及び切断線の形状が互いに一致しない形状を有していることが好ましい。
【0056】
更に、上記の第1の実施形態に係る蓋体の側壁に、第2の実施形態で示したスリットを形成しても良い。あるいは、上記の第2の実施形態に係る蓋体の側壁内面の突起を、第1の実施形態のように、周方向に間欠的に設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、インスタントコーヒーや粉ミルク等の食品や、複写機やレーザープリンター用のトナーなど、粉状・顆粒状・液状の流動性を有する材料を充填し、開口部をメンブレンで封止した包装容器の蓋体として利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 パッケージ
2 包装容器
3 メンブレン
5 粉体
7 容器
8 漏斗パーツ
10 容器本体
11 開放端
17 側壁
20 漏斗
301 パッケージ
302 包装容器
303 メンブレン
304 蓋体
309 切断線
310 容器本体
312 フランジ
320 漏斗
321 開口部
330 天板
331 側壁
332 放射状リブ
334 横リブ
335 横リブ
336 切欠
337 突起
339 スリット
340 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放端を有する筒形状の容器本体と、狭口側の開口部を前記開放端に向けて前記容器本体内部に収納される漏斗と、前記容器本体の開放端を封止すると共に、中心から放射状に延びる複数の切断線が設けられて、外部からの押圧によって破断するメンブレンとを含むパッケージに着脱自在に取り付けられ、前記メンブレンを保護する蓋体であって、
その一方面が前記メンブレンと対向するように配置される天板と、
前記天板の外周縁に接続され、その内部に前記容器本体の開放端が嵌め込まれる環状の側壁と、
前記天板の前記一方面に設けられ、前記天板の中心から放射状に延びる複数の放射状リブとを備える、蓋体。
【請求項2】
前記放射状リブは、前記メンブレンに設けられた破断線と合致しないように延びる、請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記放射状リブと前記側壁との間が切断されている、請求項1または2に記載の蓋体。
【請求項4】
隣接する一対の前記放射状リブ同士を接続する複数の横リブを更に備える、請求項1〜3のいずれかに記載の蓋体。
【請求項5】
前記漏斗の狭口側の開口部は、前記メンブレンと当接しており、
前記リブ及び前記横リブの端面は、前記メンブレンに当接する同一平面を構成し、
前記複数の横リブは、前記漏斗の狭口側の開口部と同心及び同一径の円を構成する、請求項4に記載の蓋体。
【請求項6】
前記放射状リブ及び前記横リブの端面は、前記メンブレンに当接する同一平面を構成し、
前記横リブの前記端面に切欠が形成される、請求項4または5に記載の蓋体。
【請求項7】
前記天板には、開孔が形成される、請求項1〜6のいずれかに記載の蓋体。
【請求項8】
前記容器本体の開放端にはフランジが設けられ、
前記側壁の内面から突出すると共に前記側壁の延伸方向に間欠的に配置され、前記フランジと係合する複数の突起を更に備える、請求項1〜7のいずれかに記載の蓋体。
【請求項9】
前記側壁には、複数のスリットが形成される、請求項1〜8のいずれかに記載の蓋体。
【請求項10】
内容物を他の容器に移し替えるためのパッケージであって、
開放端を有する筒形状の容器本体と、
狭口側の開口部を前記開放端に向けて前記容器本体内部に収納される漏斗と
前記容器本体内部に充填される粉粒状または液状の材料と、
前記容器本体の開放端を封止すると共に、中心から放射状に延びる複数の切断線が設けられて、外部からの押圧によって破断するメンブレンと、
前記メンブレンを覆うように取り付けられる請求項1〜9のいずれかに記載の蓋体とを備える、パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−280285(P2009−280285A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104375(P2009−104375)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】