説明

蓋材、蓋材付き包装体、および前記蓋材の製造方法

【課題】開蓋時においてその開蓋状態を適切に維持することが可能な蓋材を提供する。
【解決手段】互いに積層して接着された第1および第2のシート1,2を有し、包装体7の表面に接着されて包装体7の開口部70を開閉するのに用いられる蓋材Bであって、第1および第2のシート1,2の基端部60b寄りの位置には、第1および第2のシート1,2を開蓋状態にしてこれらの先端部60a側を基端部60b側に折り返すときに、この折り返し領域64の基部64aに、開口部63または切欠き部63aを形成することが可能な1または複数の切り込み部4が設けられており、第1のシート1には、折り返し領域64の基部64aとなる箇所において、第1のシート1を先端部寄り領域1aと基端部寄り領域1bとに分断する分断部10が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティシュなどの所望物品を収容した包装体の開口部を開閉自在とするための蓋材、この蓋材を備えた蓋材付き包装体、および前記蓋材を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばウェットティシュを収容した包装体の開口部を開閉するための蓋材の具体例として、特許文献1に記載のものがあり、これを図9(a)に示す。同図に示す蓋材9は、合成樹脂製の第1および第2のシート91,92が互いに積層して接着された構成であり、包装体8の開口部80を覆うようにして包装体8の表面に接着される。ただし、第2のシート92の基端部側は、第1のシート91の基端部側からはみ出した延長部92aとして形成されており、この延長部92aには、補強シート93が接着されている。延長部92aのうち、補強シート93が接着されていない部分92a'は、包装体8の表面に粘着剤94を介して接着される。
【0003】
このような構成によれば、図9(b)に示すように、蓋材9を開状態とした際に、第1のシート91と延長部92aとの境界部BDにおいて第2のシート92を屈曲させることが可能となる。第1のシート91については屈曲させる必要がないため、蓋材9の開閉が円滑となる
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、図9(b)に示したように、蓋材9を屈曲させたときに、第1のシート91が屈曲しないように形成しているに過ぎず、第2のシート92においては、元の形状に戻ろうとする復元力が生じる。この復元力は、第2のシート92の厚みを薄くすることによって小さくすることは可能であるものの、第2のシート92の取り扱い性や強度確保などの観点から、その厚みをある程度以上の寸法に確保しなければならない場合が多い。その結果、前記した復元力に起因し、蓋材9が包装体8の開口部80を覆う元の閉状態に戻り易くなる場合があった。開蓋状態時において、蓋材9が元の閉状態に不用意に戻ったのでは、開口部80からウェットティッシュを取り出す際に蓋材9が邪魔になるなど、使い勝手が悪くなる。したがって、このようなことが改善されることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3659792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、開蓋時においてその開蓋状態を適切に維持することが可能な蓋材、これを備えた蓋材付き包装体、および前記蓋材の製造方法を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供される蓋材は、第1のシートおよびこの第1のシート上に積層して接着された第2のシートを有しており、収容物を外部に取り出すための開口部を有する包装体の表面に接着されて前記開口部を開閉するのに用いられる蓋材であって、
前記第1および第2のシートの基端部寄りの位置には、前記第1および第2のシートを開蓋状態にしてこれらの先端部側を基端部側に折り返すときに、この折り返し領域の基部に、開口部または切欠き部を形成することが可能な1または複数の切り込み部が設けられており、前記第1のシートには、前記折り返し領域の基部となる箇所において、前記第1のシートを先端部寄り領域と基端部寄り領域とに分断する分断部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、包装体の表面に接着された蓋材を開蓋状態としてその先端部側を基端部側に折り返すときには、この折り返し領域の基部において、第1のシートを先端部寄り領域と基端部寄り領域とに分断し、この第1のシートにおいて前記の折り返しに対する復元力を生じないようにすることができる。一方、折り返し領域の基部における第2のシートについては、開口部または切欠き部が形成されるために、その分だけ前記基部における第2のシートの断面積は小さくなり、前記の折り返しに対する復元力を弱くすることができる。その結果、蓋材が折り返された開蓋状態を適切に維持するのに好ましいものとなる。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記切り込み部は、前記第1および第2のシートを開蓋状態とすべく前記包装体の表面から剥離させていくときに、前記第1および第2のシートが所定の剥離停止線を越えて剥離されることを規制可能であり、前記分断部は、前記第1および第2のシートの積層方向において、前記剥離停止線に重なった配置に設けられている。
【0011】
このような構成によれば、蓋材が折り返された開蓋状態を適切に維持するのに一層好ましいものとなる。すなわち、前記構成によれば、蓋材の先端部側を基端部側に折り返した開蓋状態に設定する際において、蓋材の先端部側を基端部側に比較的強く引っ張ったとしても、蓋材の剥離停止線よりも基端部側の領域を包装体の表面に接着させておくことができ、この部分が剥離して浮き上がらないようにすることができる。このことにより、第2のシートを大きな角度で容易に屈曲させることができる。第2のシートを大きな角度で屈曲させて略水平に寝かせるようにするほど、第2のシートが閉蓋状態に復元し難くなり、開蓋状態を適切に維持することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記分断部は、前記第1のシートの両側縁部の一方から他方にかけて連続して延びた直線状の切り込み線として構成されている。
【0013】
このような構成によれば、分断部の構成が簡素であり、その形成加工が容易となる。
【0014】
本発明の第2の側面により提供される蓋材付き包装体は、収容物を外部に取り出すための開口部を有する包装体と、この包装体の表面に接着され、かつ前記開口部を開閉するための蓋材と、を備えている、蓋材付き包装体であって、前記蓋材として、本発明の第1の側面により提供される蓋材が用いられていることを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される蓋材について述べたのと同様な効果が得られる。
【0016】
本発明の第3の側面により提供される蓋材の製造方法は、本発明の第1の側面により提供される蓋材を製造するための方法であって、前記第1のシートの原材料となる第1の原材料シートに、切り込みを入れて前記分断部を形成する分断部形成工程と、この分断部形成工程の後において、前記2のシートの原材料となる第2の原材料シートを前記第1の原材料シートに積層させて接着させる貼合せ工程と、この貼合せ工程の後において、前記第1および第2の原材料シートから前記第1および第2のシートの外形および前記切り込み
部を打ち抜く打抜き工程と、を有していることを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される蓋材を容易かつ的確に製造することができる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、本発明が適用された蓋付き包装体の一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)の蓋付き包装体の開蓋状態を示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1の蓋付き包装体に用いられている蓋材の平面視であり、(b)は、図1(a)のII−II断面図である。
【図3】(a)は、図1(b)のIIIa−IIIa断面図であり、(b)は、図1(b)のIIIb−IIIb断面図である。
【図4】(a)〜(f)は、蓋材の製造工程の一例を示し、(a)〜(d)および(f)は要部断面図であり、(e)は要部平面図である。
【図5】(a),(b)は、本発明の他の例を示す要部斜視図である。
【図6】(a),(b)は、本発明の他の例を示す要部斜視図である。
【図7】本発明の他の例を示す平面図である。
【図8】本発明の他の例を示す平面図である。
【図9】(a),(b)は、従来技術の一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1〜図3は、本発明が適用された蓋材を備えた蓋付き包装体の一例を示している。図1に示すように、本実施形態の蓋付き包装体Aは、包装体7の上面部に蓋材Bが接着され、包装体7の上面部に形成されている開口部70を蓋材Bによって開閉可能としたものである。包装体7は、たとえば可撓性を有する樹脂製であり、その内部には、たとえばウェットティシュ(図示略)が収容されている。蓋材Bを開くことにより、前記ウェットティシュを開口部70から取り出し可能である。
【0022】
図2によく表われているように、蓋材Bは、接着剤層3が下面部に設けられた第1のシート1、この第1のシート1の上面上に積層して接着された第2のシート2、一対の切り込み部4、および分断部10を備えている。接着剤層3は、たとえば感圧接着剤が塗布された層であり、包装体7の表面に対する蓋材Bの接着および剥離を複数回にわたって繰り返し可能とする。第1および第2のシート1,2は、略横長矩形状であり、これらの形状およびサイズは略同一に揃えられている。第1のシート1は、たとえば厚みが50μm程度のPET製シートである。第2のシート2は、第1のシート1よりも厚みが薄く、たとえば20μm程度のOPP製シートである。蓋材Bの長手方向の一端部(先端部60a)には、摘まみ部61が形成されている。
【0023】
一対の切り込み部4は、蓋材Bを開状態とする際にこの蓋材Bが包装体7の表面から所定の剥離停止線SLを越えて剥離されないようにする役割を果たすものである。これら一対の切り込み部4は、蓋材Bの基端部60b寄りに位置し、かつ第1および第2のシート1,2の双方に跨がって設けられている。各切り込み部4は、図2(a)に示すように、先端部分が丸みを帯びた横向き略V字状の切り込み線40aと、この切り込み線40の両端に繋がった半円弧状の切り込み線40b,40cとを有している。半円弧状の切り込み線40b,40cのうち、切り込み線40bの方が切り込み線40cよりも蓋材Bの先端
部60a寄りに位置している。剥離停止線SLは、切り込み線40bの後端部(基端部60b寄りの端部)を通過する直線である。なお、切り込み線40b,40cが半円弧状であれば、蓋材Bを剥離させる際にその部分に破れを生じ難くすることが可能である。
【0024】
図1(b)に示すように、蓋材Bを開状態にして矢印N1方向に折り返した際には、各切り込み部4によって囲まれていた領域は、包装体7の表面に接着したままとなり、接着状態維持部62となる。このため、蓋材Bのうち、包装体7の表面から起立して折り返された折り返し領域64の基部64aには、接着状態維持部62に対応した開口部63が形成されることとなる(図3(b)も参照)。
【0025】
分断部10は、蓋材Bを開状態にして折り返したときに蓋材Bが元の閉状態に復元することを、一対の切り込み部4と協働して抑制する役割を果たすものである。図2(a)に示すように、この分断部10は、第1のシート1の短手方向両側縁部66a,66bの一方から他方にかけて連続して延びた直線状の切り込み線として構成されている。同図(b)においては、分断部10が下部開口のスリット状に示されているが、この分断部10は、そのような形状でなくてもよく、たとえば下部が実質的に閉塞された形態を有する非常に細い幅の切り込み線として構成されていてもよい。平面視において、分断部10は、剥離停止線SLと重なった配置に設けられている。このことにより、蓋材Bを開状態とした際には、図3(a)に示すように、分断部10が折り返し領域64の基部64a(基部64aのうち、最も下端部分)に位置する。加えて、第1のシート1は、包装体7の表面から起立して折り返された先端部寄り領域1aと、包装体7の表面に接着したままの後端部寄り領域1bとに分断される。なお、分断部10は、第2のシート2には設けられていない。また、第2のシート2のうち、分断部10に対面する箇所は、包装体7の表面には接着されていない。
【0026】
前記した蓋付き包装体Aよれば、次のような作用が得られる。
【0027】
まず、図1(a)に示すように、包装体7の開口部70を蓋材Bによって閉塞した状態において、蓋材Bの摘まみ部61をユーザが摘んで蓋材Bを剥離させていくと、一対の切り込み部4の作用に基づき、蓋材Bが剥離停止線SLを越えて剥離されることが適切に規制される。次いで、図1(b)に示すように、蓋材Bの先端部60a側を基端部60b側に折り返した場合、図3(a)を参照して説明したとおり、折り返し領域64の基部64aにおいて、第1のシート1は、先端部寄り領域1aと後端部寄り領域1bとに分断される。したがって、第1のシート1自体は曲げられないために、この第1のシート1が前記の折り返しに対する抵抗力および復元力を発揮することはない。
【0028】
一方、第2のシート2は、前記の折り返しに対する抵抗力および復元力を発揮するものの、図1(b)および図3(b)に示したように、折り返し領域64の基部64aには開口部63が形成される。したがって、この開口部63が形成される分だけ、第2のシート2の断面積が小さくなって腰が弱くなり、折り返しに対する抵抗力および復元力が小さくなる。このことにより、蓋材Bが元の閉蓋状態に容易に復帰しないようにする効果が得られる。加えて、本実施形態においては、次のような格別な効果も得られる。すなわち、蓋材Bを大きく開く場合には、図3(a)に示すように、蓋材Bの先端部60aに力Fが加えられるが、本実施形態においては、前記した力Fによって第1のシート1の後端部寄り領域1bが包装体7の表面から容易に剥離されることはない(この作用は、分断部10と剥離停止線SLとが平面視において重なった配置であることによる)。このため、蓋材Bの先端部60aに力Fを適切に加えて、蓋材Bの先端部60a側を大きく折り返して略水平な状態に寝かせることが可能となる。その結果、蓋材Bが元の閉蓋状態に戻ることをより確実に防止し、蓋付き包装体Aの使い勝手を良好なものとすることができる。
【0029】
次に、前記した蓋材Bの製造方法の一例について、図4を参照して説明する。
【0030】
蓋材Bを製造するには、まず図4(a)に示すように、離型紙19に接着剤層3を介して接着された第1の原材料シート1Aを準備する。第1の原材料シート1Aは、既述した第1のシート1の原材料となるシートであり、好ましくは、たとえば長尺状またはそれに近い形態とされ、第1のシート1を複数枚取り可能なサイズである。次いで、同図(b)に示すように、第1の原材料シート1Aに分断部10を形成する。この分断部10の形成は、薄肉の適当な刃を利用して第1の原材料シート1Aに切り込みを入れることにより容易に行なうことができる。分断部10の形成工程の前または後には、同図(c)に示すように、第1の原材料シート1Aの表面に、印刷を適宜施す。その後は、同図(d)に示すように、第1の原材料シート1A上に、第2の原材料シート1Bを積層して接着させる。第2の原材料シート1Bは、第2のシート2の原材料となるシートであり、その形状やサイズ(厚みを除く)は、第1の原材料シート1Aと同様である。
【0031】
第2の原材料シート1Bを第1の原材料シート1A上に積層した後には、図4(e),(f)に示すように、第1および第2のシート1,2の外形および一対の切り込み部4を打ち抜く。この作業は、所定形状の打ち抜き刃を有する型を利用して容易に行なうことが可能である。このような打ち抜きを終えた後に、第1および第2の原材料シート1A,1Bのうち、第1および第2のシート1,2の外形線の周囲に存在する余剰部分を除去すると、離型紙19上には蓋材Bが作製されることとなる。好ましくは、離型紙19上には複数枚の蓋材Bを作製しておく。このようにすれば、複数枚の蓋材Bを離型紙19から1枚ずつ順次剥離させていくことにより、これら複数の蓋材Bを複数の包装体7に対して効率良く貼付していくことが可能となる。
【0032】
図5〜図8は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図面において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0033】
図5(a)に示す実施形態においては、蓋材Bに設けられる切り込み部4が1つのみとされている。この切り込み部4は、図1〜図4に示した実施形態の切り込み部4とはその形状やサイズが若干相違するものの、やはり蓋材Bが所定の剥離停止線SLを越えて剥離されることを規制可能である。また、図5(b)に示すように、蓋材Bが包装体7の表面から剥離されて折り返されたときには、折り返し領域64の基部64aに開口部63が形成される。したがって、前記実施形態と同様な効果が得られる。
【0034】
図6(a)に示す実施形態においては、蓋材Bに設けられる一対の切り込み部4が、蓋材Bの両側縁部66a,66bから中央寄りに斜めに延びた直線状であり、この直線状の終端部には、破れ防止用の小孔部が設けられている。本実施形態においては、剥離停止線SLが各切り込み部4の終端部(前記小孔部)を通過する配置となる。同図(b)に示すように、蓋材Bを開状態として折り返した際には、折り返し領域64の基部64aの両側縁には、各切り込み部4に対応する一対の切欠き部63aが形成される。このような切欠き部63aが形成されると、たとえば先に述べた開口部63が形成される場合と同様に、折り返し領域64における第2のシート2の断面積が小さく、腰が弱くなることにより、蓋材Bが元の閉状態に復帰し難くする効果が得られる。
【0035】
前記した実施形態から理解されるように、本発明でいう切り込み部としては、種々の形態のものに形成することが可能であり、またその具体的な数についても、単数、複数の区別を問わない。さらに、切り込み部は、蓋材を開状態として折り返した際に、この折り返し領域の基部に、開口部が形成されることに代えて、切欠き部が形成されるように構成されたものであってもよい。
【0036】
図7に示す実施形態においては、分断部10が互いに離間した複数の直線状に設けられており、切り込み部4によって囲まれた領域La(接着状態維持部62に相当する領域)に、分断部10は設けられていない。蓋材Bを包装体の表面から剥離させて蓋材Bの先端部60a側を折り返した際には、前記した領域Laにおいては、第1のシート1が包装体の表面に接着したままであるために、この領域Laにおいては分断部10が設けられていなくても特に支障はない。本実施形態に示す構成であっても、本発明の意図する作用を得ることが可能である。ただし、分断部10の形成作業の容易化を図る観点からすると、分断部10を1本の連続した直線状に形成することが好ましい。
【0037】
図8に示す実施形態においては、分断部10が剥離停止線SLよりも蓋材Bの先端部60a側に適当な寸法L1だけ位置ずれしている。ただし、分断部10は、切り込み部4によって囲まれた領域(接着状態維持部62)に交差する配置である。このような構成においては、蓋材Bを包装体の表面から剥離させる際に、剥離停止線SLまで剥離させるのではなく、分断部10の形成位置まで剥離させてから、蓋材Bの先端部60a側を基端部60b側に折り返すように操作することとなる。このような操作を行なうと、やはり蓋材Bの折り返し領域の基部には、接着状態維持部62に対応する開口部(図示略)が形成されることとなり、本発明が意図する作用を得ることが可能である。本発明においては、分断部と剥離停止線とを重なった配置とすることが好ましいものの、図8に示す実施形態のように、それら分断部と剥離停止線とが位置ずれした配置とすることも可能である。
【0038】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る蓋材、および蓋材付き包装体の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。同様に、本発明に係る蓋材の製造方法の各工程の具体的な構成も、種々に変更自在である。
【0039】
本発明でいう分断部は、非常に細い幅の切り込み線として形成することが可能であるが、これに代えて、比較的幅が広いスリットまたはスリットに類する形態に形成することも可能である。第1および第2のシートの具体的な形状、サイズ、材質は、特定されない。本発明に係る蓋材は、第1および第2のシートに加えて、他のシート(いわゆる第3のシートなど)が付加された構成とすることもできる。本発明でいう包装体は、ウェットティシュの包装体に限らず、内容物の種類などは限定されない。また、包装体は、必ずしも比較的軟質の樹脂製の袋体である必要もなく、たとえば硬質または比較的硬質の材質からなる箱体(たとえば、紙製の箱であって、蓋材が貼付される箇所が樹脂コーティングされたものなど)も、本発明でいう包装体の概念に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
A 蓋付き包装体
B 蓋材
SL 剥離停止線
1 第1のシート
2 第2のシート
4 切り込み部
7 包装体
10 分断部
10a 先端部寄り領域(第1のシートの)
10b 後端部寄り領域(第1のシートの)
60a 先端部(蓋材の)
60b 基端部(蓋材の)
63 開口部(蓋材の)
63a 切欠き部(蓋材の)
64 折り返し領域
64a 基部(折り返し領域の)
70 開口部(包装体の)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシートおよびこの第1のシート上に積層して接着された第2のシートを有しており、
収容物を外部に取り出すための開口部を有する包装体の表面に接着されて前記開口部を開閉するのに用いられる蓋材であって、
前記第1および第2のシートの基端部寄りの位置には、前記第1および第2のシートを開蓋状態にしてこれらの先端部側を基端部側に折り返すときに、この折り返し領域の基部に、開口部または切欠き部を形成することが可能な1または複数の切り込み部が設けられており、
前記第1のシートには、前記折り返し領域の基部となる箇所において、前記第1のシートを先端部寄り領域と基端部寄り領域とに分断する分断部が設けられていることを特徴とする、蓋材。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋材であって、
前記切り込み部は、前記第1および第2のシートを開蓋状態とすべく前記包装体の表面から剥離させていくときに、前記第1および第2のシートが所定の剥離停止線を越えて剥離されることを規制可能であり、
前記分断部は、前記第1および第2のシートの積層方向において、前記剥離停止線に重なった配置に設けられている、蓋材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蓋材であって、
前記分断部は、前記第1のシートの両側縁部の一方から他方にかけて連続して延びた直線状の切り込み線として構成されている、蓋材。
【請求項4】
収容物を外部に取り出すための開口部を有する包装体と、
この包装体の表面に接着され、かつ前記開口部を開閉するための蓋材と、
を備えている、蓋材付き包装体であって、
前記蓋材として、請求項1ないし3のいずれかに記載の蓋材が用いられていることを特徴とする、蓋材付き包装体。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の蓋材を製造するための方法であって、
前記第1のシートの原材料となる第1の原材料シートに、切り込みを入れて前記分断部を形成する分断部形成工程と、
この分断部形成工程の後において、前記2のシートの原材料となる第2の原材料シートを前記第1の原材料シートに積層させて接着させる貼合せ工程と、
この貼合せ工程の後において、前記第1および第2の原材料シートから前記第1および第2のシートの外形および前記切り込み部を打ち抜く打抜き工程と、
を有していることを特徴とする、蓋材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−101818(P2012−101818A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251341(P2010−251341)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(510297358)株式会社富士印刷 (1)
【出願人】(390020019)レック株式会社 (49)
【Fターム(参考)】