薄型発光体固定部材
【課題】 漏電を防止するとともに、がたつき・弾力性・耐熱性を有する薄型発光体固定部材を提供する。
【解決手段】 平面型放電管14の縁部は、平面型放電管固定具10の長尺状の樹脂製端部収容部11を有しており、その一側面に形成されている溝部11aに嵌め込まれて保持される。また、樹脂製の鍔部12が、同樹脂製端部収容部の同溝部11aが形成された側面と反対側の側面に、一体にして形成されている。この鍔部12には、穴12aが開口され、ネジ固定部材によって他の物体に螺着・固定される。
【解決手段】 平面型放電管14の縁部は、平面型放電管固定具10の長尺状の樹脂製端部収容部11を有しており、その一側面に形成されている溝部11aに嵌め込まれて保持される。また、樹脂製の鍔部12が、同樹脂製端部収容部の同溝部11aが形成された側面と反対側の側面に、一体にして形成されている。この鍔部12には、穴12aが開口され、ネジ固定部材によって他の物体に螺着・固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面型放電管や有機EL等の薄型発光体を保持・固定するために使用される薄型発光体固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の薄型発光体として、図18に示すような平面型放電管がある。 図18(a),(b)に示すように、平面型放電管11は互いに対向する一対の長方形状のガラス基板51,51を備えている。両ガラス基板51,51の外周縁間がガラス接着剤52により封止されることにより、両ガラス基板51,51間には放電空間53が形成されている。この放電空間53内には放電管14の側壁(即ち、両ガラス基板51,51間のガラス接着剤52)を貫通した給排気管54を使用して放電ガスとしてキセノンガス(Xe)等の不活性ガス又はキセノンガスを含む混合ガスが封入されている。
【0003】
放電空間53内には複数の誘電体リブ55が介在されている。誘電体リブ55はガラス等の誘電体により長尺状に形成されている。各誘電体リブ55は両ガラス基板51,51の長手方向へ延びるように、且つ互いに平行をなすように短手方向において所定間隔毎に配置されている。各誘電体リブ55の上下の側縁部は、それぞれ両ガラス基板51,51の内面に図示しないガラス接着材により接合されている。各誘電体リブ55により両ガラス基板51,51の間隔が一定に保持されている。
【0004】
両ガラス基板51,51のうち一方のガラス基板51の表面は発光面(光を取り出す面)Sとされており、当該発光面Sにはその全面にわたって膜状の透明電極56が形成されている。この透明電極56は例えば酸化インジウムスズにより形成されている。発光面Sとされない他方のガラス基板51の外面には、その全面にわたって不透明電極57が形成されている。この不透明電極57は例えば銀やアルミニウム等の光を反射する性質を有する金属材料の金属蒸着膜により形成されている。また、放電空間53内において、不透明電極57が設けられたガラス基板51の内面には、蛍光体膜58が形成されている。
【0005】
透明電極56及び不透明電極57の外面にはそれぞれ半田等の導電接着材59によりリード線60の一端が接続されている。両リード線60,60の他端は、図示しないインバータ電源に接続される。駆動装置としてのインバータは、約100ボルトの電源で駆動し、両リード線60,60を介して、透明電極56と不透明電極57との間に所定の交流電圧が印加されると、両ガラス基板51,51間には誘電体バリヤ放電が発生し、励起したキセノン原子から紫外線が発生する。この紫外線が蛍光体膜58により可視光に変換されて発光面から出射する。このようにして、平面型放電管11の発光面から輝度の大きな照射光が均一に発光する。
【0006】
上述した薄型発光体としての平面型放電管は、例えば、液晶表示装置のバックライトとして利用する事例(特許文献1)や、電飾看板や写真パネル等の内照式表示装置に内蔵する発光体として応用される事例がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−117808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、電飾看板等の内照式表示装置内に、図18に示したような平面型放電管を保持・固定する場合、この平面型放電管外表面には一対の薄膜状の電極(前述の透明電極56あるいは不透明電極57に相当する)が存在するため、漏電防止の観点から、ステンレス鋼等の金属壁面には、同電極を接しないように固定部材を工夫する必要があった。
【0009】
また、この固定部材は、平面型放電管から放射される熱によって被害を受けないようある程度の耐熱性を必要とするとともに、固定することによって平面型放電管が割れないよう、ある程度の弾力性を保持させる必要があった。さらに、同平面型放電管のがたつきをも吸収することが可能な素材とする必要があった。
【0010】
本発明では、上記問題点を鑑みてなされたものであって、漏電を防止するとともに、がたつき・弾力性・耐熱性を有する薄型発光体固定部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に記載した薄型発光体固定部材は、
薄型発光体の一端縁を収容するための溝部を形成する端部収容部分と、
前記端部収容部分と一体にして形成されるとともに、前記平面状発光体以外の平面状物体に固定する固定部分と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の薄型発光体固定部材によれば、
端部収容部分に溝部を設け、ここに薄型発光体の一端縁を収容することにより、薄型発光体の固定によるがたつきを防止することが可能になる。
【0013】
また、請求項2に記載した薄型発光体固定部材は、請求項1に記載の薄型発光体固定部材に加えて、前記端部収容部分は樹脂材料からなる、ことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の薄型発光体固定部材によれば、請求項1に記載した薄型発光体固定部材の作用に加えて、この端部収容部分を樹脂材料にて形成したことにより、弾力性・耐熱性を保有させることができる。
【0015】
また、請求項3に記載した薄型発光体固定部材は、請求項1または請求項2に記載の薄型発光体固定部材に加えて、前記固定部分は樹脂材料からなる、ことを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の薄型発光体固定部材によれば、請求項1または請求項2に記載した薄型発光体固定部材の作用に加えて、この固定部分を樹脂材料にて形成したことにより、弾力性・耐熱性を保有させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の発明の薄型発光体固定部材によれば、漏電を防止するとともに、がたつき・弾力性・耐熱性を有する薄型発光体固定部材を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る薄型発光体固定部材の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態における平面型放電管の基本的構成は、図18の従来の平面型放電管と同じ構成であるため、実施形態を説明するための図面に記載された従来と同じ構成要素には、同じ符号を付してある。
【0019】
<基本構造>
図1(a)は、薄型発光体としての平面型放電管14の両縁部に、一対の薄型発光体固定部材としての平面型放電管固定具10を取り付けた状態を示している。図1(b)は、図1(a)のX−X断面図である。図2(a)は、図1(b)のG部の拡大図であり、図2(b)は、その拡大部分の平面方向(上側)から見た図である。
【0020】
平面型放電管14の縁部は、平面型放電管固定具10の長尺状の樹脂製端部収容部11を有しており、その一側面に形成されている溝部11aに嵌め込まれて保持される。また、平面型放電管14が上下Y方向(図2(b)参照)に上下しないように、上下両端固定部材11bが同溝部11の上下両端に勘合されている。
【0021】
平面型放電管固定具10の溝部11が形成されている樹脂製端部収容部11の側面に対して、その反対側の側面には、固定部分としての樹脂製の鍔部12が、同樹脂製端部収容部側面に一体にして形成されている。この鍔部12には、壁や看板ケース等の平らな面を有する他の物体に固定するために、穴12aが開口され、ここにビス等のネジ固定部材(図示しない)によって前記他の物体に螺着・固定される。
【0022】
以上に示された平面型放電管固定具10の基本構造から、以下の作用効果が把握される。
(1)平面型放電管固定具10の端部収容部11に溝部11aを設け、ここに平面型放電管14の一端縁を収容することにより、平面型放電管14の固定によるがたつきを防止することができる。
【0023】
(2)平面型放電管固定具10の端部収容部11を樹脂材料にて形成したことにより、平面型放電管14の両外表面上に形成された薄膜状電極に溝部11aが接しても、絶縁が保たれるので、他の保持物体への漏電を防止することができる。ひいては、人への感電防止に寄与する。
【0024】
(3)平面型放電管固定具10の端部収容部11および鍔部12を耐熱性の樹脂材料にて形成したことにより、耐熱性・弾力性を保有させることができる。従って、平面型放電管から照射される熱による同固定具10の熱変形がなくなり、かつ、ある程度の熱膨張も許容できるので、耐久性を向上させることが可能となる。
【0025】
(第1の実施形態)
第1の実施形態を図3〜図5に示す。図3は斜視図、図4は、正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。図5は、図4の正面図に記載のA−A断面について表した拡大A−A断面図である。平面図および底面図に現れる一致の円形部分は透孔(貫通孔)であり、前記<基本構造>における穴12aに相当する。なお、本物品(第1の実施形態)の全長は157mmである。
【0026】
(第2の実施形態)
第2の実施形態を図6〜図8に示す。図6は斜視図、図7は、正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。図8(a)は、図7の正面図に記載のA−A断面について表した拡大A−A断面図であり、図8(b)は、図7の正面図に記載のB−B断面について表した拡大B−B断面図である。平面図および底面図に現れる一致の円形部分は透孔(貫通孔)であり、前記<基本構造>における穴12aに相当する。図8から分かるように、この実施形態においては、端部収容部11の平面側に切り欠き部11cを設けている。
【0027】
図9は、平面型放電管14の両縁に第1の実施形態および第2の実施形態の平面型放電管固定具10、10’を取り付けている。前述のように平面型放電管固定具10’には切り欠き部11cを設けている。図9に示すように、この切り欠き部11cに、平面型放電管14の表面角に設けられた接着部(図18における半田等の導電接着材59に相当する)が収容されるようになっている。なお、本物品(第2の実施形態)の全長は157mmである。
【0028】
(第3の実施形態)
第3の実施形態を図10〜図12に示す。図10は斜視図、図11は、正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。図12(a)は、図11の正面図に記載のA−A断面について表した拡大A−A断面図であり、図12(b)は、図11の正面図に記載のB−B断面について表した拡大B−B断面図である。平面図および底面図に現れる一致の円形部分は透孔(貫通孔)であり、前記<基本構造>における穴12aに相当する。図12から分かるように、この実施形態においては、端部収容部11の平面側および底面側に切り欠き部11c、11cを設けている。なお、図中において、本物品(第3の実施形態)の一点鎖線によって省略した部分の長さは150mmであり、全長は258mmである。
【0029】
(第4の実施形態)
第4の実施形態を図13〜図15に示す。図13は斜視図、図14は、正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。図15(a)は、図14の正面図に記載のA−A断面について表した拡大A−A断面図であり、図15(b)は、図14の正面図に記載のB−B断面について表した拡大B−B断面図である。平面図および底面図に現れる一致の円形部分は透孔(貫通孔)であり、前記<基本構造>における穴12aに相当する。図12から分かるように、この実施形態においては、端部収容部11の底面側に切り欠き部11cを設けている。なお、図中において、本物品(第4の実施形態)の一点鎖線によって省略した部分の長さは320mmであり、全長は428mmである。
【0030】
(他の実施形態等)
なお、本発明は上記の実施形態に限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な実施が可能である。以下にその他の実施形態等を列記する。
【0031】
・ 前記<基本構造>および実施形態においては、薄型発光体として平面型放電管14を用いて説明しているが、これに限定されず、他の発光体、例えば有機ELであってもよい。また、この平面型放電管14は、両外表面上に一対の薄膜電極を有しているが、これに限定される必要はなく、少なくともいずれか一方を内部電極としてもよい。両電極を内部電極とした場合には、前記(2)の作用効果は得られないが、前記(1)および(2)の作用効果を同様に得ることができる。
【0032】
・ 図16(a)に示すように、平面型放電管固定具10の端部収容部11と鍔部12との間に折り曲げ部13を設けるようにする。このような構成により、図16(b)に示すような各種の取り付け場面に対応させることができ、汎用性が向上する。また、折り曲げ部13を可とう性材料を用いると好ましく、経年変化に強いものとなる。
【0033】
・ 前記<基本構造>および実施形態においては、平面型放電管固定具10の鍔部12を、端部収容部11の溝部11aを有する面と反対側の側面に形成しているが、これに限定されない。例えば、平面側(上側)、底面側(下側)に形成しても良いし(図17(a)および(b)参照)、正面側(紙面側)や背面側(紙面反対側)に形成してもよい(図17(c)参照)。
【0034】
・ 前記<基本構造>および各実施形態においては、平面型放電管固定具10の各部を構成する樹脂材料としているが、この樹脂材としては、アクリル材、ABS等があるが特に限定されない。なお、アクリル樹脂よりは、ABS樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂とすることが最も好ましい。ポリカーボネート樹脂材とすることによって、平面型放電管固定具10が100℃近くの高温となっても変形はなく耐熱性、耐久性に優れている。
【0035】
・ 前記<基本構造>および各実施形態においては、平面型放電管14と平面型放電管固定具10とは、各々別部品として組み込んでいるが、これらを接着剤や嵌合などによって一体結合させた固定部材付の平面型放電管14としてもよい。この場合、各々が一体結合とされているので、壁などへの取り付けに際し、取り扱いが容易になる。
【0036】
(附記)
上述した他の実施形態から把握される技術的思想とその作用効果を以下に列挙する。
(A)前記端部収容部分と前記固定部分とを可とう性材料からなる折り曲げ部によって結合したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄型発光体固定部材。
この構成によれば、図16に例示されるように、各種の取り付け場面に対応させることができる。
【0037】
(B)請求項1〜3および前記(A)のいずれかに記載の薄型発光体固定部材と、前記薄型発光体とを一体結合したことを特徴とする固定部材付薄型発光体。ここで、固定部材付薄型発光体とは、前記他の実施形態として開示された固定部材付の平面型放電管が例示される。
この構成によれば、各々が一体結合とされているので、壁などへの取り付けに際し、取り扱いが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】平面型放電管固定具の取り付けに関する基本構成を示した図であり、(a)は、その平面図および正面図を示し、(b)は、(a)のX−X断面を示す。
【図2】図1におけるG部詳細を示す図であり、(a)は、拡大断面図、(b)はその平面方向から見た図である。
【0039】
【図3】第1の実施形態を示す斜視図であり、(a)は、正面・平面・右側面側からの斜視図であり、(b)は、背面・平面・左側面側からの斜視図である。
【図4】第1の実施形態を示す正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。
【図5】図4の正面図に示したA−A断面に関する拡大A−A断面図である。
【図6】第2の実施形態を示す斜視図であり、(a)は、正面・平面・右側面側からの斜視図であり、(b)は、背面・平面・左側面側からの斜視図である。
【図7】第2の実施形態を示す正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。
【図8】(a)は、図7の正面図に示したA−A断面に関する拡大A−A断面図、(b)は、図7の正面図に示したB−B断面に関する拡大B−B断面図である。
【図9】第1および第2の実施形態の平面型放電管固定具を平面型放電管に取り付けた状態を示す図である。
【図10】第3の実施形態を示す斜視図であり、(a)は、正面・平面・右側面側からの斜視図であり、(b)は、背面・平面・左側面側からの斜視図である。
【図11】第3の実施形態を示す正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。
【図12】(a)は、図11の正面図に示したA−A断面に関する拡大A−A断面図、(b)は、図11の正面図に示したB−B断面に関する拡大B−B断面図である。
【図13】第4の実施形態を示す斜視図であり、(a)は、正面・平面・右側面側からの斜視図であり、(b)は、背面・平面・左側面側からの斜視図である。
【図14】第4の実施形態を示す正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。
【図15】(a)は、図14の正面図に示したA−A断面に関する拡大A−A断面図、(b)は、図14の正面図に示したB−B断面に関する拡大B−B断面図である。
【0040】
【図16】実施形態の別例を示した図であり、(a)は稼働状態の変化、(b)は取り付け場面の各種対応の状態を示す。
【図17】実施形態の別例を示した図である。
【図18】従来の平面型放電管の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
14・・・平面型放電管、10、10’・・・薄型発光体固定部材としての平面型放電管固定具、11・・・端部収容部分としての樹脂製端部収容部、11a・・・溝部、11b・・・上下両端固定部材、11c・・・切り欠き部、12・・・固定部分としての鍔部、12a・・・穴、13・・・折り曲げ部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面型放電管や有機EL等の薄型発光体を保持・固定するために使用される薄型発光体固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の薄型発光体として、図18に示すような平面型放電管がある。 図18(a),(b)に示すように、平面型放電管11は互いに対向する一対の長方形状のガラス基板51,51を備えている。両ガラス基板51,51の外周縁間がガラス接着剤52により封止されることにより、両ガラス基板51,51間には放電空間53が形成されている。この放電空間53内には放電管14の側壁(即ち、両ガラス基板51,51間のガラス接着剤52)を貫通した給排気管54を使用して放電ガスとしてキセノンガス(Xe)等の不活性ガス又はキセノンガスを含む混合ガスが封入されている。
【0003】
放電空間53内には複数の誘電体リブ55が介在されている。誘電体リブ55はガラス等の誘電体により長尺状に形成されている。各誘電体リブ55は両ガラス基板51,51の長手方向へ延びるように、且つ互いに平行をなすように短手方向において所定間隔毎に配置されている。各誘電体リブ55の上下の側縁部は、それぞれ両ガラス基板51,51の内面に図示しないガラス接着材により接合されている。各誘電体リブ55により両ガラス基板51,51の間隔が一定に保持されている。
【0004】
両ガラス基板51,51のうち一方のガラス基板51の表面は発光面(光を取り出す面)Sとされており、当該発光面Sにはその全面にわたって膜状の透明電極56が形成されている。この透明電極56は例えば酸化インジウムスズにより形成されている。発光面Sとされない他方のガラス基板51の外面には、その全面にわたって不透明電極57が形成されている。この不透明電極57は例えば銀やアルミニウム等の光を反射する性質を有する金属材料の金属蒸着膜により形成されている。また、放電空間53内において、不透明電極57が設けられたガラス基板51の内面には、蛍光体膜58が形成されている。
【0005】
透明電極56及び不透明電極57の外面にはそれぞれ半田等の導電接着材59によりリード線60の一端が接続されている。両リード線60,60の他端は、図示しないインバータ電源に接続される。駆動装置としてのインバータは、約100ボルトの電源で駆動し、両リード線60,60を介して、透明電極56と不透明電極57との間に所定の交流電圧が印加されると、両ガラス基板51,51間には誘電体バリヤ放電が発生し、励起したキセノン原子から紫外線が発生する。この紫外線が蛍光体膜58により可視光に変換されて発光面から出射する。このようにして、平面型放電管11の発光面から輝度の大きな照射光が均一に発光する。
【0006】
上述した薄型発光体としての平面型放電管は、例えば、液晶表示装置のバックライトとして利用する事例(特許文献1)や、電飾看板や写真パネル等の内照式表示装置に内蔵する発光体として応用される事例がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−117808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、電飾看板等の内照式表示装置内に、図18に示したような平面型放電管を保持・固定する場合、この平面型放電管外表面には一対の薄膜状の電極(前述の透明電極56あるいは不透明電極57に相当する)が存在するため、漏電防止の観点から、ステンレス鋼等の金属壁面には、同電極を接しないように固定部材を工夫する必要があった。
【0009】
また、この固定部材は、平面型放電管から放射される熱によって被害を受けないようある程度の耐熱性を必要とするとともに、固定することによって平面型放電管が割れないよう、ある程度の弾力性を保持させる必要があった。さらに、同平面型放電管のがたつきをも吸収することが可能な素材とする必要があった。
【0010】
本発明では、上記問題点を鑑みてなされたものであって、漏電を防止するとともに、がたつき・弾力性・耐熱性を有する薄型発光体固定部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に記載した薄型発光体固定部材は、
薄型発光体の一端縁を収容するための溝部を形成する端部収容部分と、
前記端部収容部分と一体にして形成されるとともに、前記平面状発光体以外の平面状物体に固定する固定部分と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の薄型発光体固定部材によれば、
端部収容部分に溝部を設け、ここに薄型発光体の一端縁を収容することにより、薄型発光体の固定によるがたつきを防止することが可能になる。
【0013】
また、請求項2に記載した薄型発光体固定部材は、請求項1に記載の薄型発光体固定部材に加えて、前記端部収容部分は樹脂材料からなる、ことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の薄型発光体固定部材によれば、請求項1に記載した薄型発光体固定部材の作用に加えて、この端部収容部分を樹脂材料にて形成したことにより、弾力性・耐熱性を保有させることができる。
【0015】
また、請求項3に記載した薄型発光体固定部材は、請求項1または請求項2に記載の薄型発光体固定部材に加えて、前記固定部分は樹脂材料からなる、ことを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の薄型発光体固定部材によれば、請求項1または請求項2に記載した薄型発光体固定部材の作用に加えて、この固定部分を樹脂材料にて形成したことにより、弾力性・耐熱性を保有させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の発明の薄型発光体固定部材によれば、漏電を防止するとともに、がたつき・弾力性・耐熱性を有する薄型発光体固定部材を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る薄型発光体固定部材の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態における平面型放電管の基本的構成は、図18の従来の平面型放電管と同じ構成であるため、実施形態を説明するための図面に記載された従来と同じ構成要素には、同じ符号を付してある。
【0019】
<基本構造>
図1(a)は、薄型発光体としての平面型放電管14の両縁部に、一対の薄型発光体固定部材としての平面型放電管固定具10を取り付けた状態を示している。図1(b)は、図1(a)のX−X断面図である。図2(a)は、図1(b)のG部の拡大図であり、図2(b)は、その拡大部分の平面方向(上側)から見た図である。
【0020】
平面型放電管14の縁部は、平面型放電管固定具10の長尺状の樹脂製端部収容部11を有しており、その一側面に形成されている溝部11aに嵌め込まれて保持される。また、平面型放電管14が上下Y方向(図2(b)参照)に上下しないように、上下両端固定部材11bが同溝部11の上下両端に勘合されている。
【0021】
平面型放電管固定具10の溝部11が形成されている樹脂製端部収容部11の側面に対して、その反対側の側面には、固定部分としての樹脂製の鍔部12が、同樹脂製端部収容部側面に一体にして形成されている。この鍔部12には、壁や看板ケース等の平らな面を有する他の物体に固定するために、穴12aが開口され、ここにビス等のネジ固定部材(図示しない)によって前記他の物体に螺着・固定される。
【0022】
以上に示された平面型放電管固定具10の基本構造から、以下の作用効果が把握される。
(1)平面型放電管固定具10の端部収容部11に溝部11aを設け、ここに平面型放電管14の一端縁を収容することにより、平面型放電管14の固定によるがたつきを防止することができる。
【0023】
(2)平面型放電管固定具10の端部収容部11を樹脂材料にて形成したことにより、平面型放電管14の両外表面上に形成された薄膜状電極に溝部11aが接しても、絶縁が保たれるので、他の保持物体への漏電を防止することができる。ひいては、人への感電防止に寄与する。
【0024】
(3)平面型放電管固定具10の端部収容部11および鍔部12を耐熱性の樹脂材料にて形成したことにより、耐熱性・弾力性を保有させることができる。従って、平面型放電管から照射される熱による同固定具10の熱変形がなくなり、かつ、ある程度の熱膨張も許容できるので、耐久性を向上させることが可能となる。
【0025】
(第1の実施形態)
第1の実施形態を図3〜図5に示す。図3は斜視図、図4は、正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。図5は、図4の正面図に記載のA−A断面について表した拡大A−A断面図である。平面図および底面図に現れる一致の円形部分は透孔(貫通孔)であり、前記<基本構造>における穴12aに相当する。なお、本物品(第1の実施形態)の全長は157mmである。
【0026】
(第2の実施形態)
第2の実施形態を図6〜図8に示す。図6は斜視図、図7は、正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。図8(a)は、図7の正面図に記載のA−A断面について表した拡大A−A断面図であり、図8(b)は、図7の正面図に記載のB−B断面について表した拡大B−B断面図である。平面図および底面図に現れる一致の円形部分は透孔(貫通孔)であり、前記<基本構造>における穴12aに相当する。図8から分かるように、この実施形態においては、端部収容部11の平面側に切り欠き部11cを設けている。
【0027】
図9は、平面型放電管14の両縁に第1の実施形態および第2の実施形態の平面型放電管固定具10、10’を取り付けている。前述のように平面型放電管固定具10’には切り欠き部11cを設けている。図9に示すように、この切り欠き部11cに、平面型放電管14の表面角に設けられた接着部(図18における半田等の導電接着材59に相当する)が収容されるようになっている。なお、本物品(第2の実施形態)の全長は157mmである。
【0028】
(第3の実施形態)
第3の実施形態を図10〜図12に示す。図10は斜視図、図11は、正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。図12(a)は、図11の正面図に記載のA−A断面について表した拡大A−A断面図であり、図12(b)は、図11の正面図に記載のB−B断面について表した拡大B−B断面図である。平面図および底面図に現れる一致の円形部分は透孔(貫通孔)であり、前記<基本構造>における穴12aに相当する。図12から分かるように、この実施形態においては、端部収容部11の平面側および底面側に切り欠き部11c、11cを設けている。なお、図中において、本物品(第3の実施形態)の一点鎖線によって省略した部分の長さは150mmであり、全長は258mmである。
【0029】
(第4の実施形態)
第4の実施形態を図13〜図15に示す。図13は斜視図、図14は、正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。図15(a)は、図14の正面図に記載のA−A断面について表した拡大A−A断面図であり、図15(b)は、図14の正面図に記載のB−B断面について表した拡大B−B断面図である。平面図および底面図に現れる一致の円形部分は透孔(貫通孔)であり、前記<基本構造>における穴12aに相当する。図12から分かるように、この実施形態においては、端部収容部11の底面側に切り欠き部11cを設けている。なお、図中において、本物品(第4の実施形態)の一点鎖線によって省略した部分の長さは320mmであり、全長は428mmである。
【0030】
(他の実施形態等)
なお、本発明は上記の実施形態に限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な実施が可能である。以下にその他の実施形態等を列記する。
【0031】
・ 前記<基本構造>および実施形態においては、薄型発光体として平面型放電管14を用いて説明しているが、これに限定されず、他の発光体、例えば有機ELであってもよい。また、この平面型放電管14は、両外表面上に一対の薄膜電極を有しているが、これに限定される必要はなく、少なくともいずれか一方を内部電極としてもよい。両電極を内部電極とした場合には、前記(2)の作用効果は得られないが、前記(1)および(2)の作用効果を同様に得ることができる。
【0032】
・ 図16(a)に示すように、平面型放電管固定具10の端部収容部11と鍔部12との間に折り曲げ部13を設けるようにする。このような構成により、図16(b)に示すような各種の取り付け場面に対応させることができ、汎用性が向上する。また、折り曲げ部13を可とう性材料を用いると好ましく、経年変化に強いものとなる。
【0033】
・ 前記<基本構造>および実施形態においては、平面型放電管固定具10の鍔部12を、端部収容部11の溝部11aを有する面と反対側の側面に形成しているが、これに限定されない。例えば、平面側(上側)、底面側(下側)に形成しても良いし(図17(a)および(b)参照)、正面側(紙面側)や背面側(紙面反対側)に形成してもよい(図17(c)参照)。
【0034】
・ 前記<基本構造>および各実施形態においては、平面型放電管固定具10の各部を構成する樹脂材料としているが、この樹脂材としては、アクリル材、ABS等があるが特に限定されない。なお、アクリル樹脂よりは、ABS樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂とすることが最も好ましい。ポリカーボネート樹脂材とすることによって、平面型放電管固定具10が100℃近くの高温となっても変形はなく耐熱性、耐久性に優れている。
【0035】
・ 前記<基本構造>および各実施形態においては、平面型放電管14と平面型放電管固定具10とは、各々別部品として組み込んでいるが、これらを接着剤や嵌合などによって一体結合させた固定部材付の平面型放電管14としてもよい。この場合、各々が一体結合とされているので、壁などへの取り付けに際し、取り扱いが容易になる。
【0036】
(附記)
上述した他の実施形態から把握される技術的思想とその作用効果を以下に列挙する。
(A)前記端部収容部分と前記固定部分とを可とう性材料からなる折り曲げ部によって結合したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄型発光体固定部材。
この構成によれば、図16に例示されるように、各種の取り付け場面に対応させることができる。
【0037】
(B)請求項1〜3および前記(A)のいずれかに記載の薄型発光体固定部材と、前記薄型発光体とを一体結合したことを特徴とする固定部材付薄型発光体。ここで、固定部材付薄型発光体とは、前記他の実施形態として開示された固定部材付の平面型放電管が例示される。
この構成によれば、各々が一体結合とされているので、壁などへの取り付けに際し、取り扱いが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】平面型放電管固定具の取り付けに関する基本構成を示した図であり、(a)は、その平面図および正面図を示し、(b)は、(a)のX−X断面を示す。
【図2】図1におけるG部詳細を示す図であり、(a)は、拡大断面図、(b)はその平面方向から見た図である。
【0039】
【図3】第1の実施形態を示す斜視図であり、(a)は、正面・平面・右側面側からの斜視図であり、(b)は、背面・平面・左側面側からの斜視図である。
【図4】第1の実施形態を示す正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。
【図5】図4の正面図に示したA−A断面に関する拡大A−A断面図である。
【図6】第2の実施形態を示す斜視図であり、(a)は、正面・平面・右側面側からの斜視図であり、(b)は、背面・平面・左側面側からの斜視図である。
【図7】第2の実施形態を示す正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。
【図8】(a)は、図7の正面図に示したA−A断面に関する拡大A−A断面図、(b)は、図7の正面図に示したB−B断面に関する拡大B−B断面図である。
【図9】第1および第2の実施形態の平面型放電管固定具を平面型放電管に取り付けた状態を示す図である。
【図10】第3の実施形態を示す斜視図であり、(a)は、正面・平面・右側面側からの斜視図であり、(b)は、背面・平面・左側面側からの斜視図である。
【図11】第3の実施形態を示す正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。
【図12】(a)は、図11の正面図に示したA−A断面に関する拡大A−A断面図、(b)は、図11の正面図に示したB−B断面に関する拡大B−B断面図である。
【図13】第4の実施形態を示す斜視図であり、(a)は、正面・平面・右側面側からの斜視図であり、(b)は、背面・平面・左側面側からの斜視図である。
【図14】第4の実施形態を示す正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図および底面図である。
【図15】(a)は、図14の正面図に示したA−A断面に関する拡大A−A断面図、(b)は、図14の正面図に示したB−B断面に関する拡大B−B断面図である。
【0040】
【図16】実施形態の別例を示した図であり、(a)は稼働状態の変化、(b)は取り付け場面の各種対応の状態を示す。
【図17】実施形態の別例を示した図である。
【図18】従来の平面型放電管の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
14・・・平面型放電管、10、10’・・・薄型発光体固定部材としての平面型放電管固定具、11・・・端部収容部分としての樹脂製端部収容部、11a・・・溝部、11b・・・上下両端固定部材、11c・・・切り欠き部、12・・・固定部分としての鍔部、12a・・・穴、13・・・折り曲げ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型発光体の一端縁を収容するための溝部を形成する端部収容部分と、
前記端部収容部分と一体にして形成されるとともに、前記平面状発光体以外の平面状物体に固定する固定部分と、
を備える薄型発光体固定部材。
【請求項2】
前記端部収容部分は樹脂材料からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の薄型発光体固定部材。
【請求項3】
前記固定部分は樹脂材料からなる、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄型発光体固定部材。
【請求項1】
薄型発光体の一端縁を収容するための溝部を形成する端部収容部分と、
前記端部収容部分と一体にして形成されるとともに、前記平面状発光体以外の平面状物体に固定する固定部分と、
を備える薄型発光体固定部材。
【請求項2】
前記端部収容部分は樹脂材料からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の薄型発光体固定部材。
【請求項3】
前記固定部分は樹脂材料からなる、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄型発光体固定部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−218111(P2008−218111A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52132(P2007−52132)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
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