説明

薄型表示装置

【課題】リアキャビネットの取外し作業を容易に行い外観上の体裁を良好に維持する。
【解決手段】フロントキャビネット2のフック5に対向してリアキャビネット3の突出片12に係合凹部13が形成され、該係合凹部13の開口縁を削除することによりその係合凹部13のフック係合面13aの高さh1がフック5の高さh2よりも小さく設定され、フロントキャビネット2の外周縁部2aに所定間隔をおいて対向させた支持片23が該フロントキャビネット2の内周面に一体突設され、突出片12の係合凹部13に対向する細幅のフック係合部分12aからリアキャビネット3の外周縁部3aにかけて該係合凹部13の底面を横断する複数の補強片24が所定間隔をおいて一体形成されており、リアキャビネット3の突出片12をフロントキャビネット2の外周縁部2aと支持片23との間に嵌入させて、各フック5を各係合凹部13内に嵌入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶テレビなどの薄型表示装置に関し、特に、リアキャビネットの取
外し作業を容易に行い外観上の体裁を良好に維持することができるものである。
【背景技術】
【0002】
薄型表示装置の一例として図7に示すものがあり、これは液晶テレビであって、液晶モ
ジュール(薄型表示部)1を収納する合成樹脂製フロントキャビネット2と合成樹脂製リ
アキャビネット3とを連結する連結手段としてビス4が用いられており、該ビス4の点数
削減によるコストダウンを図るため、そのビス4の本数を最小数(この例では4本)に限
定し、両キャビネット2,3の外周縁部2a,3aの天板複数箇所(この例では5箇所)
及び側板中央箇所をフック5で連結することが行われている。なお、図7中、6は開口部
、7はスタンドである。
【0003】
前記フック5は、図8及び図9に示すように、フロントキャビネット2の外周縁部2a
の内周面に一体突設した突条状フック本体8を有し、該フック本体8と外周縁部2aとの
間に三角形のガイド片9が一体形成され、該ガイド片9にフック本体8の先端から外周縁
部2aの端面10まで傾斜状ガイド面9aが形成されている。
【0004】
図9に示すように、前記リアキャビネット3の外周縁部3aの端面11の内周側から前
方に突出する突出片12に、前記フック5に対向して長方形状係合凹部13が形成されて
いる。
【0005】
組立手順を説明すると、作業台上にフロントキャビネット2を載せ、リアキャビネット
3の突出片12をフロントキャビネット2の外周縁部2a内に嵌入させることにより、各
フック5を各係合凹部13内に嵌入させ、図8に示すように、ビス4でリアキャビネット
3をフロントキャビネット2に止着する。
【0006】
従来、図11に示すように、例えばユーザが液晶テレビの天板を強く押すなどして外圧
P1がかかり、両キャビネット2,3の外周縁部2a,3aが弾性変位されることにより
(図11仮想線参照)、フック5と係合凹部13との連結状態が解除されないようにする
ため、係合凹部13のフック係合面13aの高さh1を大きくしてフック5の高さh2と
ほぼ同一に設定している。
【0007】
上記構成において、キャビネット2,3の組立作業後、作業のやり直しなどのためにそ
の組立状態を解除する場合には、図13に示すように、リアキャビネット3に押上力P2
をかけて係合凹部13をフック5から離脱させるが、前記したように、係合凹部13のフ
ック係合面13aの高さh1を大きく設定しているため、離脱作業を容易に行えない。
【0008】
また、前記離脱作業を無理に行うと、突出片12の係合凹部13に対向する細幅nのフ
ック係合部分12a(図10参照)が大きく弾性変位されてひび割れしたり損傷されるお
それがある。そこで、フック係合部分12aから外周縁部3aにかけて係合凹部13の底
面を覆う補強板18がリアキャビネット3の内周面に一体形成されている。なお、関連す
る技術として特許文献1に記載したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−182622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の構成では、リアキャビネット3の取外し作業を容易に行えないという難点が
解消されておらず、また、補強板18で補強することにより、リアキャビネット3の補強
板18の付近の肉厚が大きくなり、該リアキャビネット3の成形時に、そのリアキャビネ
ット3の外周縁部3aに「ひけ」が生じるため、図9及び図11に示しているように、外
周縁部3aの外周面にわずかな深みt(例えば0.2mm程度)の窪み20が生じ、外観
上の体裁が悪くなる。
【0011】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、リアキャビネットの取外し作業を容易に行い外観上
の体裁を良好に維持することができるようにした薄型表示装置を提供することを目的とし
ている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、薄型表示部を収納する合成樹脂製
フロントキャビネットと合成樹脂製リアキャビネットとを連結する連結手段として所定間
隔をおいて配置した複数のビス及びフックが用いられ、該フックに対向してリアキャビネ
ットの外周縁部の端面の内周側から突出する突出片に係合凹部が形成されており、リアキ
ャビネットの突出片をフロントキャビネットの外周縁部内に嵌入させることにより、フッ
クを係合凹部内に嵌入させ、ビスでリアキャビネットをフロントキャビネットに止着する
ようにした薄型表示装置において、前記係合凹部の開口縁を削除することにより該係合凹
部のフック係合面の高さがフックの高さよりも小さく設定され、フロントキャビネットの
外周縁部に所定間隔をおいて対向させた支持片が該フロントキャビネットの内周面に一体
突設されており、その支持片とフロントキャビネットの外周縁部との間に前記突出片を差
し込むようにしたことを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記突出片の係合凹部に対
向する細幅のフック係合部分からリアキャビネットの外周縁部にかけて該係合凹部の底面
を横断する複数の補強片が所定間隔をおいて一体形成されていることを特徴している。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、キャビネットの組立作業後、作業のやり直しなどのた
めにその組立状態を解除する場合には、リアキャビネットに押上力をかけて係合凹部をフ
ックから離脱させるわけであるが、このとき、係合凹部のフック係合面の高さを小さく設
定しているので、フックを係合凹部から円滑に離脱させ、リアキャビネットをフロントキ
ャビネットから簡単に取外すことができる。
【0015】
フロントキャビネットの内周面に一体突設した支持片で両キャビネットの外周縁部を支
持しているので、例えばユーザが薄型表示装置の天板を強く押すなどして両キャビネット
の外周縁部に外圧がかかったときでも、フックによる連結状態を確実に維持することがで
きる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、リアキャビネットに押上力をかけて係合凹部をフック
から離脱させる際に、その押上力が細幅のフック係合部分に集中的にかかるが、該フック
係合部分を複数の補強片で補強しているので、そのフック係合部分がひび割れしたり損傷
されることがなく、フックによる連結状態を確実に維持することができる。
【0017】
前記補強片が所定間隔をおいて設けられており、リアキャビネットの補強片の付近の肉
厚が大きくならないため、従来のように「ひけ」によるリアキャビネットの外周縁部の外
周面に窪みが生じることがなく、外観上の体裁を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の一形態である薄型表示装置の一部切欠き側面図である。
【図2】同要部の分解斜視図である。
【図3】同リアキャビネット側の斜視図である。
【図4】同要部の横断面図である。
【図5】図4のA−A矢視図である。
【図6】同要部のリアキャビネット取外し状態を示す斜視図である。
【図7】薄型表示装置の一例を示す斜視図である。
【図8】従来の薄型表示装置の一部切欠き側面図である。
【図9】図9は同要部の分解斜視図である。
【図10】同要部のリアキャビネット側の斜視図である。
【図11】同要部の横断面図である。
【図12】図11のB−B矢視図である。
【図13】同要部のリアキャビネット取外し状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図6は本発明の実施の一形態である薄型表示装置を示し、これは液晶テレビであ
って、液晶モジュール(薄型表示部)1を収納する合成樹脂製フロントキャビネット2と
合成樹脂製リアキャビネット3とを連結する連結手段として所定間隔をおいて配置した複
数のビス4及びフック5が用いられ、該フック5に対向してリアキャビネット3の突出片
12に係合凹部13が形成され、該係合凹部13の開口縁を削除して傾斜面22を形成す
ることによりその係合凹部13のフック係合面13aの高さh1がフック5の高さh2よ
りも小さく設定され(h1<h2)、フロントキャビネット2の外周縁部2aに突出片1
2の厚さよりも大きい間隔αをおいて対向させた支持片23が該フロントキャビネット2
の内周面に一体突設され、該支持片23のフック対向先端縁が円弧状ガイド面23aとさ
れ、突出片12のフック係合部分12aからリアキャビネット3の外周縁部3a外周縁部
にかけて係合凹部13の底面を横断する複数(この例では3本)の補強片24が所定間隔
kをおいて一体形成されている。上記以外の構成は図7〜図13に示す構成とほぼ同じで
あるから、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0020】
組立手順を説明すると、作業台上にフロントキャビネット2を載せ、リアキャビネット
3の突出片12をフロントキャビネット2の外周縁部2aと支持片23との間に嵌入させ
ることにより、各フック5を各係合凹部13内に嵌入させ、図1に示すように、ビス4で
リアキャビネット3をフロントキャビネット2に止着する。
【0021】
キャビネット2,3の組立作業後、作業のやり直しなどのためにその組立状態を解除す
る場合には、図6に仮想線で示すように、リアキャビネット3に押上力P2をかけて係合
凹部13をフック5から離脱させるわけであるが、このとき、係合凹部13のフック係合
面13aの高さh1(図4参照)を小さく設定しているので、フック5を係合凹部13か
ら傾斜面22に沿って円滑に離脱させ、リアキャビネット3をフロントキャビネット2か
ら容易に取外すことができる。
【0022】
また、リアキャビネット3に押上力P2をかけて係合凹部13をフック5から離脱させ
る際に、その押上力P2が細幅nのフック係合部分12aに集中的にかかるが、該フック
係合部分12aを複数の補強片24で補強しているので、そのフック係合部分12aがひ
び割れしたり損傷されることがなく、フック5による連結状態を確実に維持することがで
きる。
【0023】
更に、前記補強片24が所定間隔kをおいて設けられており、リアキャビネット3の補
強片24の付近の肉厚が大きくならないため、従来のように「ひけ」によるリアキャビネ
ット3の外周縁部3aの外周面に窪みが生じることがなく(図9参照)、外観上の体裁を
良好に維持することができる。
【0024】
フロントキャビネット2の内周面に一体突設した支持片23で両キャビネット2,3の
外周縁部2a,3aを支持しているので、例えばユーザが液晶テレビの天板を強く押すな
どして両キャビネット2,3の外周縁部2a,3aに外圧P1がかかったときでも(図4
仮想線参照)、フック5と係合凹部13との連結状態を確実に維持することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 液晶モジュール(薄型表示部)
2 フロントキャビネット
2a フロントキャビネットの外周縁部
3 リアキャビネット
3a リアキャビネットの外周縁部
4 ビス
5 フック
12 突出片
12a フック係合部分
13 係合凹部
13a フック係合面
23 支持片
24 補強片
h1 フック係合面の高さ
h2 フックの高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型表示部を収納する合成樹脂製フロントキャビネットと合成樹脂製リアキャビネット
とを連結する連結手段として所定間隔をおいて配置した複数のビス及びフックが用いられ
、該フックに対向してリアキャビネットの外周縁部の端面の内周側から突出する突出片に
係合凹部が形成されており、リアキャビネットの突出片をフロントキャビネットの外周縁
部内に嵌入させることにより、フックを係合凹部内に嵌入させ、ビスでリアキャビネット
をフロントキャビネットに止着するようにした薄型表示装置において、前記係合凹部の開
口縁を削除することにより該係合凹部のフック係合面の高さがフックの高さよりも小さく
設定され、フロントキャビネットの外周縁部に所定間隔をおいて対向させた支持片が該フ
ロントキャビネットの内周面に一体突設されており、その支持片とフロントキャビネット
の外周縁部との間に前記突出片を差し込むようにしたことを特徴とする薄型表示装置。
【請求項2】
前記突出片の係合凹部に対向する細幅のフック係合部分からリアキャビネットの外周縁
部にかけて該係合凹部の底面を横断する複数の補強片が所定間隔をおいて一体形成されて
いることを特徴とする請求項1に記載の薄型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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