説明

薄膜およびカラーフイルターの製造方法

【目的】 ミセル電解法により薄膜およびカラーフィルターを製造する方法を開発すること。
【構成】 界面活性剤によるミセル溶液にパターニングされた透明導電性基板を挿入し、通電処理をする際に、パターニングされた電極を目的電極とその他の電極に分け、目的電極には界面活性剤の酸化還元電位より高い電位を印加し、その他の電極には自然電位を含む製膜されない範囲の電位(制御電位)(より具体的には、界面活性剤の酸化還元電位より低い電位)を印加し、透明導電性基板上に薄膜および色分解フィルターを形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜およびカラーフィルターの製造方法に関し、詳しくは、ミセル電解法による薄膜及びカラーフィルターの製造方法において、パターニングされた電極を目的電極とその他の電極に分けて通電処理する際、目的電極及びその他の電極に印加する電位を変えることにより、膜厚が均一な薄膜を形成することができ、また、色ムラや白抜けがなく、平滑性の優れた色分解フィルターを形成することができる薄膜およびカラーフィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、薄膜やカラーフィルターの製造方法の一つとして、ミセル電解法が知られている。このミセル電解法では、パターニングされた電極、例えば、ストライプやモザイク状にパターニングされた電極を用いて電解を行う際、単に目的電極に電位を印加しただけでは、電極のエッジ部分の製膜性が悪くなる。そして、得られる薄膜の膜厚がエッジ部分で不均一になるという問題(エッジ効果)がある。また、このミセル電解法では、パターニングされた電極を用いてカラーフィルターを製造する場合には、この現象は色ムラとなりあるいは白抜け、平滑性の喪失といった不具合を惹起する。
【0003】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、上記従来法の欠点を解消し、電極を用いてミセル電解を行うときに、目的電極の内部電位を均一にして、電位の偏り現象やエッジ効果のない方法で電極上に製膜できる方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、所謂ミセル電解法により製膜及びカラーフィルターを製造する際、目的電極にミセル化剤の酸化還元電位より高い所望の製膜電位を印加するとともに他電極には自然電位を含む製膜されない範囲の電位(制御電位)をポテンショスタットにより印加することによって、目的を達成できることを見出した。本発明はかかる知見に基いて完成したものである。
【0004】すなわち本発明は、水性媒体中で界面活性剤を用いて疎水性物質を分散あるいは可溶化して得られる分散液あるいはミセル溶液に、パターニングされた透明導電性基板を挿入し、通電処理を行う薄膜の製造方法において、透明導電性基板上にパターニングされた電極を目的電極とその他の電極に分け、該目的電極には前記界面活性剤の酸化還元電位より高い電位を印加し、その他の電極には自然電位を含む製膜されない範囲の電位(制御電位)を印加し、該透明導電性基板上に前記疎水性物質の薄膜を形成することを特徴とする薄膜の製造方法を提供するものである。また、本発明は、水性媒体中で界面活性剤を用いて赤色,緑色,青色三原色の分光特性を有する顔料あるいは染料を、分散あるいは可溶化して得られる分散液あるいはミセル溶液に、パターニングされた透明導電性基板を挿入し、通電処理を行うカラーフィルターの製造方法において、透明導電性基板上にパターニングされた電極を目的電極とその他の電極に分け、該目的電極には前記界面活性剤の酸化還元電位より高い電位を印加し、その他の電極の少なくとも一つには、自然電位を含む製膜されない範囲の電位(制御電位)を印加し、該透明導電性基板上に前記顔料あるいは染料の色分解フィルターを形成することを特徴とするカラーフィルターの製造方法をも提供するものである。
【0005】本発明において使用される薄膜材料は、様々なものがあり、大きく疎水性有機物質および無機物質に分けることができる。ここで、疎水性有機物質としては、各種のものがあるが、例えば、フタロシアニン,フタロシアニンの金属錯体およびこれらの誘導体、ナフタロシアニン,ナフタロシアニンの金属錯体およびこれらの誘導体、ポルフィリン,ポルフィリンの金属錯体およびこれらの誘導体、ペリレン,ペリレンの誘導体、キナクリドン,ビオロゲン,スーダンなどの光メモリー用色素や有機色素をはじめ1,1'−ジヘプチル−4,4'−ビピリジニウムジブロマイド;1,1'−ジドデシル−4,4'−ビピリジニウムジブロマイドなどのエレクトロクロミック材料,6−ニトロ−1,3,3−トリメチルスピロ−(2'−H−1'−ベンゾピラン−2,2'−インドリン)(通称スピロピラン)などの感光材料(フォトクロミック材料)や光センサー材料,p−アゾキシアニソールなどの液晶表示用色素、更に「カラーケミカル事典」株式会社シーエムシー,1988年3月28日発行の第542〜717頁に列挙されているエレクトロニクス用色素,記録用色素,環境クロミズム用色素,写真用色素,エネルギー用色素,バイオメディカル用色素,食品・化粧用色素,染料,顔料,特殊着色用色素のうちの疎水性の化合物などがあげられる。また、7,7,8,8−テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)とテトラチアフルバレン(TTF)との1:1錯体などの有機導電材料やガスセンサー材料,ペンタエリスリトールジアクリレートなどの光硬化性塗料,ステアリン酸などの絶縁材料,1−フェニルアゾ−2−ナフトールなどのジアゾタイプの感光材料や塗料等をあげることができる。さらには、水に不溶性のポリマー、例えばポリカーボネート,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアミド,ポリフェニレンサルファイド(PPS),ポリフェニレンオキサイド(PPO),ポリアクリロニトリル(PAN)などの汎用ポリマー、またポリフェニレン,ポリピロール,ポリアニリン,ポリチオフェン,アセチルセルロース,ポリビニルアセテート,ポリビニルブチラールをはじめ、各種各様のポリマー(ポリビニルピリジンなど)あるいはコポリマー(メタクリル酸メチルとメタクリル酸とのコポリマーなど)をあげることができる。
【0006】一方、無機物質としては、無機酸化物,無機硫化物など各種のものがあるが、例えば、TiO2 ,C,CdS,FeO3 ,Y2 3 −ZrO2 ,ZrO2 ,Al23 ,CuS,ZnS,TeO2 ,LiNbO3 ,Si34 ,SrCeO3 ,WO3 ,PLZTさらには各種の超電導酸化物などをあげることができる。
【0007】また、カラーフィルターを製造する際には、これらの各種疎水性有機物質または無機物質の内、RGB三原色の分光特性を有する顔料あるいは染料、すなわち、赤色,緑色及び青色の疎水性色素を使用する。赤色色素としては、ペリレン系顔料,レーキ顔料,アゾ系顔料,キナクリドン系顔料,アントラキノン系顔料あるいはアントラセン系顔料等があり、例えば、ペリレン顔料,レーキ顔料(Ca,Ba,Sr,Mn),キナクリドン,ナフトールAS,シコミン顔料,アントラキノン(Sudan I,II,III ,R),ジスアゾ,ベンゾピラン,硫化カドミウム系顔料,Fe (III) 酸化物系顔料などがあり、そのうちペリレン顔料やレーキ顔料が好ましい。また、緑色色素としては、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料,ハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料あるいはトリフェニルメタン系塩基性染料等があり、例えば、クロロ多置換フタロシアニン,その銅錯体あるいはバリウム・トリフェニルメタン染料などがあり、青色色素としては、銅フタロシアニン系顔料,インダンスロン系顔料,インドフェノール系顔料あるいはシアニン系顔料などがあり、例えば、クロロ銅フタロシアニン,クロロアルミニウムフタロシアニン,バナジン酸フタロシアニン,マグネシウムフタロシアニン,亜鉛フタロシアニン,鉄フタロシアニン,コバルトフタロシアニンなどのフタロシアニン金属錯体,フタロシアニン,メロシアニンあるいはインドフェノールブルーなどがある。これらの疎水性有機物質または無機物質は、その形状や大きさ等に関しては特に制限はないが、好ましくは粒径10μm 以下の粉末が用いられる。次に、本発明において、薄膜形成の際に用いる水性媒体としては、水をはじめ、水とアルコールの混合液,水とアセトンの混合液など様々な媒体をあげることができる。
【0008】本発明の方法で用いる界面活性剤は、通常の界面活性剤でよいが、フェロセン誘導体よりなるものが好ましい。ここで、フェロセン誘導体としてはアンモニウム型,エーテル型,エステル型,その他と各種のものがあるが、そのなかで代表的な幾つかを例示する。すなわち、一般式(I)
【0009】
【化1】


【0010】で表わされるFPEG,一般式(II)
【0011】
【化2】


【0012】で表わされるFESR8,一般式(III)
【0013】
【化3】


【0014】で表わされるFEST9,一般式(IV)
【0015】
【化4】


【0016】で表わされるFTMA等があげられる。
【0017】これらフェロセン誘導体のミセル化剤の酸化還元電位は、次の通りである。
酸化還元電位FPEG : 0.25VFEST8: 0.19VFEST9: 0.22VFTMA : 0.14V
【0018】なお、フェロセン誘導体としては、このほかに国際公開WO89/01939号明細書,特開平1−45370号公報,特開平1−226894号公報,特開平2−83387号公報,特開平2−250892号公報等に記載された方法によって製造されるものを使用することができる。
【0019】本発明の方法では、界面活性剤として上記フェロセン誘導体の一種または二種以上を適宜用いるのを好適とする。さらに、このようなフェロセン誘導体とともに、あるいはこれに代えて、他の界面活性剤を用いることもできる。なお、このような界面活性剤としては、様々なものがある。この界面活性剤の好適例をあげれば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等の非イオン系界面活性剤などがある。そのほか、アルキル硫酸塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩,塩化アルキルトリメチルアンモニウム,脂肪酸ジエチルアミノエチルアミドなどのカチオン性,アニオン性界面活性を使用することもできある。
【0020】本発明の方法では、まず、水性媒体中に上記の界面活性剤および疎水性有機物質もしくは無機物質を入れて、メカニカルホモジナイザー,超音波ホモジナイザー,パールミル,サンドミル,スターラー,三本ロールミル等により充分攪拌する。この操作で疎水性物質は、界面活性剤の作用で、水性媒体中に均一に分散あるいは可溶化して、分散液あるいはミセル溶液となる。この際の界面活性剤の濃度は、特に制限はないが、通常は上記フェロセン誘導体をはじめとする界面活性剤を限界ミセル濃度以上、好ましくは10μM〜0.1Mの範囲で選定する。そして、疎水性有機物質や無機物質の濃度は1〜100g /リットルである。また、水性媒体の電気伝導度を調節するために支持塩(支持電解質)を必要に応じて加えることができる。この支持塩の添加量は、可溶化あるいは分散している薄膜材料や色素材料の析出を妨げない範囲であればよく、通常は上記ミセル化剤の0〜300倍程度の濃度、好ましくは50〜200倍程度の濃度を目安とする。この支持塩を加えずに電解を行うこともできるが、この場合支持塩を含まない純度の高い薄膜が得られる。また、支持塩を用いる場合、その支持塩の種類は、ミセルの形成や電極への前記薄膜材料や色素素材の析出を妨げることなく、水性媒体の電気伝導度を調節しうるものであれば特に制限はない。具体的には、一般に広く支持塩として用いられている硫酸塩(リチウム,カリウム,ナトリウム,ルビジウム,アルミニウムなどの塩),酢酸塩(リチウム,カリウム,ナトリウム,ルビジウム,ベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,アルミニウムなどの塩),ハロゲン化物塩(リチウム,カリウム,ナトリウム,ルビジウム,カルシウム,マグネシウム,アルミニウムなどの塩),水溶性酸化物塩(リチウム,カリウム,ナトリウム,ルビジウム,カルシウム,マグネシウム,アルミニウムなどの塩)が好適で、具体的には、LiBr,KCl ,Li2SO4,(NH4)3BF4 等があげられる。
【0021】本発明の方法では、このようにして調製したミセル溶液あるいは分散液に、パターニングされた透明導電性基板を挿入し、通電処理を行う。透明導電性基板は、ガラス等の透明な支持基板上に透明電極を形成したものである。ガラス基板としては、青板ガラス(ソーダライム),白板ガラス,無アルカリガラス(例えば、コーニング社製:7059,HOYA社製:NA45),低膨張ガラス(NA),石英ガラス等が用いられる。そして、ガラス基板は、研磨品が好ましいが、無研磨品であってもよい。このガラス基板上には、金属薄膜の透明電極が形成され、透明導電性基板として供される。金属薄膜は、Cr(クロム),Ni(ニッケル)等の金属をスパッタリング法,蒸着法,CVD法等によってガラス基板上に付着させて形成する。なお、ガラス基板上にシリカ(SiO2)をコートした後、その上に金属薄膜を形成すると、金属薄膜とガラス基板との密着性が向上するので好ましい。
【0022】ガラス基板上に形成された金属薄膜のパターニングは、フォトリソグラフィー法によって行い、ブラックマトリックスを形成する。フォトリソグラフィー法によるパターニングは、(イ)レジスト塗布,(ロ)露光,(ハ)現像,(ニ)ポストベーク,(ホ)金属薄膜のエッチング,(ヘ)レジスト剥離の順で行なわれる。なお、露光に際しては、ブラックマトリックス形成用のマスクを使用する。ブラックマトリックスが形成されたガラス基板上には、絶縁膜が形成される。絶縁膜は、シリカ(SiO2),チタニア(TiO2),アルミナ(Al2 3)等のスパッタや、シリカまたはポリマーの塗布(コート)または浸漬(ディップ)等によって形成される。そして、絶縁膜上には、ITO薄膜を形成する。ITO膜は、スパッタ法,蒸着法,バイオゾル法等によって形成される。さらに、ITO薄膜のパターニングをフォトリソグラフィー法によって行ない、ITO電極を形成する。フォトリソグラフィー法によるパターニングのプロセスは前記の金属薄膜のパターニングと同様である。なお、ITO電極は、色素層形成用電極として用いられ、通常、パターンはストライプパターンとされる。
【0023】従来、ミセル電解法は、上述のミセル溶液あるいは分散液に、パターニングされた透明導電性基板を挿入した後、基板に飽和甘コウ電極(SCE)に対し1.0〜3.0Vの電位を印加する。本発明においては、このパターニングされた透明導電性基板を挿入した後、基板に飽和甘コウ電極(SCE)に対し電位を印加する際、透明導電性基板上にパターニングされた電極を目的電極とその他の電極に分け、該目的電極には、疎水性物質及び赤色,緑色,青色三原色の分光特性を有する顔料あるいは染料を分散あるいは可溶化分するために使用した前記界面活性剤の酸化還元電位より高い電位を印加し、その他の電極の少なくとも一つには、自然電位を含む製膜されない範囲の電位(制御電位)を印加する。この制御電位は、より具体的には、前記界面活性剤の酸化還元電位より低い電位である。本発明は、このような制御電位を印加し、該透明導電性基板上に前記疎水性物質の薄膜及び前記顔料あるいは染料の色分解フィルターを形成することを特徴とするものである。実際にはITOのIRドロップ等もあるため、酸化還元電位より50〜100mV程度高い範囲まで印加可能となる。これをフェロセン誘導体をミセル化剤としたときに、FPEGの場合、目的電極に+0.3〜+0.9V程度、その他の電極に−0.3〜+0.28V程度の電位を印加する。FEST8では、目的電極,その他の電極にそれぞれ+0.3〜+0.9V,−0.3〜+0.25V、FEST9では、+0.3〜+0.9V,−0.3〜+0.25V、FTMAでは、+0.2〜+0.9V,−0.3〜+0.20Vの電位を印加する。また、電解処理における製膜温度は、通常は0〜90℃で、好ましくは20〜70℃である。
【0024】このようにして透明導電性基板上に形成された薄膜には、必要に応じて、後処理として平坦膜剤を用いて保護膜が形成され、その表面は保護される。薄膜に保護膜を形成するには、先ず、薄膜が形成された透明電極をスビンコーターにセットし、ディスペンサーを用いて平坦膜剤を薄く均一に塗布する。次いで、所定温度で所要時間ベークし硬化させることにより薄膜に保護膜を形成することができる。
【0025】カラーフィルターを構成する三原色の疎水性色素薄膜を形成するには、赤色,緑色及び青色の疎水性色素のいずれか一つを水性媒体に加えて、上述の操作で所望色調の薄膜を所望のパターンで形成する。次いで、疎水性色素の種類を変えて上述の操作を繰返し行えばRGBのカラーフィルター色素薄膜を得ることができる。さらに、上記操作を三原色(赤,緑,青色)の疎水性色素の他に、一種以上の他の色の疎水性色素についても繰返すことにより、他の色の疎水性色素薄膜を各透明電極上に形成することができる。また、赤色,緑色又は青色の疎水性色素を同時に水性媒体中に存在させて、これにミセル電解法を適用することによってもよい。
【0026】このようにして得られたRGBのカラーフィルター色素薄膜には、必要に応じて、後処理として、保護膜が形成される。その保護膜を形成するにあたっては、上記の薄膜のときと同様にして保護膜を形成し、RGBのカラーフィルター色素薄膜の表面を保護する。次いで、このRGBのカラーフィルター色素薄膜の上から常法によりITOをスパットしてITO薄膜を形成することにより本発明のカラーフィルターを製造することができる。
【0027】ここで、本発明で特徴とする電位の印加方法をカラーフィルターを製造する場合について、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の電位の印加方法を示す図である。また、図2は、従来法の電位の印加方法を示す図である。先ず、従来法では、図2より、常法によって基板上にパターニングされたR,G,BのITO電極を形成し、三原色の色分解特性を有する顔料あるいは染料を界面活性剤で分散あるいは可溶化したミセル溶液に挿入し、製膜電位制御用ポテンショスタットで電位を制御して電解処理を行う。例えば、R極に色分解フィルターを形成する場合には、R1 〜R4 の電極を連結し、飽和甘コウ電極に対してポテンショスタットで所望の電位に制御して印加し電解処理を行う。これをG極及びB極についても同様に電解処理をすることにより色分解フィルターを得ることができる。これに対して、本発明では、図1より、R極に色分解フィルターを形成する場合には、R極を目的電極にし、R1 〜R4 の電極を連結し、飽和甘コウ電極に対して製膜電位制御用ポテンショスタットで所望の電位に制御して印加し、同時に、G極およびB極をその他の電極とし、G1 〜G4 極およびB1〜B4 極を連結し自然電位印加用ポテンショスタットでR極よりも低い電位を印加して電解処理を行う。本発明では、色分解フィルターを形成する場合に、この自然電位印加用ポテンショスタットを組み入れることを特徴とするものである。本発明では、R極から色分解フィルターを形成する場合、上記したようにR極を目的電極にし、G極とB極をその他の電極とし、次いで、G極を目的電極にし、R極とB極をその他の電極とし、更に、B極を目的電極にし、R極とG極をその他の電極として順次電解処理を行うことによりカラヲフィルターを製造することができる。
【0028】
【実施例】更に、本発明を実施例及び比較例に基いて、さらに詳しく説明する。
実施例1イ) ITO基板パターニング工程ITO膜として20Ω/□の面抵抗を持つガラス基板(青板ガラス、研磨、シリカディプ品:松崎真空製)に紫外線硬化型レジスト剤(IC-28/T3:富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製)をキシレンで2倍希釈した溶液を1,000rpm の回転速度でスピンコートした。スピンコート後、80℃で15分間プリベークを行った。その後、このレジスト/ITO基板を露光機にセットした。マスクは、線幅100μm ・ギャップ20μm 、線長230mm、1920本のストライプ縦パターンとした。光源は2kWの高圧水銀灯を用いた。(露光能力:10mW/cm2 ・s)プロキシミティギャップ70μm をとり、60秒間露光した後、現像液にて現像した。現像後、純水にてリンスした後、180℃でポストベークした。次に、エッチャントとして1M FeCl3 ・1N HCl ・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO3)4の水溶液を準備し、前記基板のITOをエッチングした。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。前記エッチングには約20分の時間を要した。エッチング後、純水でリンスし、レジストを1N NaOHにて剥離した。このようにして、ITOパターニングガラス基板を得た。
【0029】ロ)ブラックマトリックス作製工程ブラックマトリックス形成レジスト剤として富士ハントエレクトロニクステクノロジー社のカラーモザイクCKにCR,CG,CBをそれぞれ3:1:1:1重量部混合したものを用いた。先に作製したITOパターニングガラス基板を10rpm で回転させ、この上にこのレジスト剤30ccを噴霧した。次に、スピンコートの回転数を2,500rpm にし、基板上に均一に製膜した。この基板を80℃で15分間プリベークした。そして、高圧水銀灯2kWのアライメント機能のある露光機で位置合わせしながら、ブラックマトリックスのデザイン(90×310μm 角・20μm 線幅)のマスクを用いて露光した。光源は2kWの高圧水銀灯を用いた。(露光能力:100mJ/cm2) プロキシミティギャップ70μm をとり、200秒間露光した後、アルカリ現像液にて現像した。その後、富士ハントCD(現像液)を純水で4倍希釈し、30秒現像した。さらに、純水でリンスし、200℃、100分間ポストベークした。
【0030】ハ)色素膜製造工程次に、4リットルの純水にフェロセン誘導体のミセル化剤FPEG(同仁化学製)、Li Br (和光純薬製)とクロモフタールA2B(チバガイギー製)を加え、それぞれ2mM,0.1M ,10g /リットルの溶液とし、超音波ホモジナイザーで30分間分散させミセル溶液を調製し、前記ITOパターニング基板をこのミセル溶液に挿入し、ストライプのR列にポテンショスタットを接続した。0.5V 、15分間の定電位電解を行い、カラーフィルターRの薄膜を得た。この時、同時にストライプのG列及びB列にポテンショスタットを接続し0.2Vの電位をR製膜時に印加した。その後、純水で洗浄後、オーブンにてプレベーク(120℃)した。G列では、ヘリオゲングリーンL9361(BASF製)とイソインドリノンイエロー(チバガイギー製)をそれぞれ15g /リットルの濃度でR列の製膜と同じ条件で分散させた後、7:3の割合でそれぞれの液を混合し、R列の製膜と同じ条件で製膜した。このとき、同時にストライプR列及びB列にポテンショスタットを接続し0.2Vの電位をG製膜時に印加した。製膜後、R列の製膜と同じ条件で後処理を行った。B列では、ヘリオゲンブルーK7080(BASF製)とジオキサジンバイオレット(チバガイギー製)をそれぞれ10.9g /リットルの濃度でR列の製膜と同じ条件で分散させた後、7:3の割合でそれぞれの液を混合し、R列の製膜と同じ条件で製膜した。このとき、同時にストライプR列及びG列にポテンショスタットを接続し0.2Vの電位をB製膜時に印加した。製膜後、R列の製膜と同じ条件で後処理を行った。このようにして、RGBカラーフィルター色素薄膜を得た。
【0031】ニ)保護膜の形成前記色素薄膜基板をスピンコーターにセットし、平坦膜剤としてOS−808(長瀬産業製)をディスペンサーを用いて塗布した。このとき、基板を10rpm の回転数でゆっくり回転し、基板全体に斑なく塗布した。さらに、800rpm で2分間回転し、均一な薄膜を得た。その後、260℃、2時間ベークし硬化させた。このようにして、保護膜を形成したRGBカラーフィルターを得た。
【0032】ホ)液晶駆動用ITO薄膜の形成このRGBカラーフィルターをスパッタ装置にいれ、ITOをスパッタし、約1,100Åの薄膜を形成した。この上に紫外線硬化型レジスト剤(IC-28/T3:富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製)を1,000rpm の回転速度でスピンコートした。スピンコート後、80℃で15分間ブリベークを行った。その後、このレジスト/ITO/カラーフィルター基板を露光機にセットした。光源は2kWの高圧水銀灯(露光能力:10mW/cm2 ・s)を用いた。プロキシミティギャップ70μm をとり、マスクとして線幅310μm ・ギャップ20μm、線長240mm、480本のストライプ横パターンを用い、60秒間露光した後、現像液にて現像した。現像後、純水にてリンスした後、180℃でポストベークした。次に、エッチャントとして1M FeCl3 ・1N HCl ・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO3)4の水溶液を準備し、前記基板のITOをエッチングした。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。前記エッチングには約15分を要した。エッチング後、純水でリンスし、レジストを1N NaOHにて剥離した。このようにして、カラーフィルター部分のみにITOの薄膜が形成され、STN用カラーフィルター基板を完成させた。
【0033】ヘ)カラー液晶ディスプレイの作製前記カラーフィルター基板の表面にポリアミック酸樹脂モノマーをレジスト同様にスピンコートした。ポリアミック酸樹脂モノマーを250℃、1時間硬化させポリイミド樹脂化した後、ラビングを行い、配向させた。ITO膜として20Ω/□の面抵抗を持つガラス基板(青板ガラス、研磨、シリカディプ品:松崎真空製)に紫外線硬化型レジスト剤(IC-28/T3:富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製)をキシレンで2倍希釈した溶液を1,000rpm の回転速度でスピンコートした。スピンコート後、80℃で15分間プリベークを行った。その後、このレジスト/ITO基板を露光機にセットした。マスクは、線幅100μm ・ギャップ20μm 、線長230mm、1920本のストライプ縦パターンとした。光源は2kWの高圧水銀灯を用いた。(露光能力:10mW/cm2 ・s)プロキシミティギャップ70μm をとり、60秒間露光した後、現像液にて現像した。現像後、純水にてリンスした後、180℃でポストベークした。次に、エッチャントとして1M FeCl3 ・1N HCl ・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO3)4の水溶液を準備し、前記基板のITOをエッチングした。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。前記エッチングには約20分を要した。エッチング後、純水でリンスし、レジストを1N NaOHにて剥離した。このようにしてITOパターニングガラス基板(対向板)を得た。この対向板にポリアミック酸樹脂モノマーをスピンコートし、250℃、1時間硬化させポリイミド樹脂化させ、ラビングした後、前記カラーフィルター基板との間にガラスビーズ、STN液晶の順に入れ、接着剤にて封止し、パネルを完成させた。FPCにドライバーICを搭載した取り出し電極を接続し、偏光板を両面に接着した後、回路を作動させ、液晶の駆動を確認した。
【0034】実施例2ミセル化剤としてFESTを用い、目的電極以外のその他の電極に0.15Vの電位を印加した他は、実施例1と同様の操作を行った。結果を第1表に示す。
比較例1実施例1で目的電極以外のその他の電極に0.2Vの電位を印加することを止めた他は、実施例1と同様の操作を行った。結果を第1表に示す。
【0035】実施例3イ)ブラックマトリックスの形成無アルカリガラス基板(HOYA製:NA45/300角,厚さ1.1mm)に、Cr 薄膜を約2,000Åスパッタした。(アルバック製:SDP−550VT)この上に、紫外線硬化型レジスト剤(IC-28/T3:富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製)を1,000rpm の回転速度でスピンコートした。スピンコート後、80℃で15分間プリベークを行った。その後、このレジスト/Cr /ガラス基板をステッパー露光機にセットした。マスクは、画素サイズ90μm ×310μm ・線幅20μm 、有効エリア160μm ×155μm の格子パターンを四分割したマスクを用いて露光した。露光能力は10mW/cm2・s 、スキャンスピード5mm/秒で露光した後、専用の現像液にて現像した。現像後、純水にてリンスした後、150℃でポストベークした。次に、エッチャントとして1N HCl ・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO3)4の水溶液を準備し、前記基板のCr をエッチングした。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。前記エッチングには20分を要した。エッチング後、純水でリンスし、レジストを1N NaOHにて剥離した。純水で十分に洗浄し、ブラックマトリックス(BM)及び取り出し電極を完成させた。
【0036】ロ)絶縁膜・ITO薄膜電極の形成次に、このBM上に、絶縁膜としてOCDTYPE−7(シリカ:東京応化製)を1,000rpm の回転速度でスピンコートした。250℃で60分間ベークした後、室温まで冷却し、さらに、アルバック製:SDP−550VTに基板をセットし、基板の上からITOを約1,300Åスパッタした。このときワークを200℃としてITOの表面抵抗を20Ω/□に調製した。ITO膜/Cr /ガラス基板(NA45/300角:HOYA製)に紫外線硬化型レジスト剤(IC-28/T3:富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製)を1,000rpm の回転速度でスピンコートした。スピンコート後、80℃で15分間プリベークを行った。その後、このレジスト/ITO/Cr /ガラス基板をコンタクト露光機(露光能力:10mW/cm2・s) にセットした。マスクは、線幅92μm ・ギャップ18μm 、線長155mmの縦ストライプパターンとした。光源は2kWの高圧水銀灯を用いた。アライメントした後、プロキシミティギャップ50μm をとり、15秒間露光した後、アルカリ現像液にて現像した。現像後、純水にてリンスした後、150℃でポストベークした。次に、エッチャントとして1M FeCl3 ・1N HCl ・0.1N HNO3・0.1N Ce(NO3)4の水溶液を準備し、前記基板のITOをエッチングした。エッチングの終点は電気抵抗により測定した。前記エッチングには20分を要した。エッチング後、純水でリンスし、レジストを1N NaOHにて剥離した。さらに、純水で洗浄してITO電極の隣同志の電気的リークがないことを確認し、ITOパターニングBM付き基板を完成させた。
【0037】ハ)電極取出帯の形成アクリル系レジスト(CT:富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製)を電極取出用として用いた。前工程で作製した前記ITOパターニングBM付き基板を10rpm 回転させ、この上にこの前記レジスト剤30ccを噴霧した。次に、スピンコートの回転数を1,500rpm にし、基板上に均一に製膜した。この基板を80℃で15分間プリベークした。そして、高圧水銀灯2kWのアライメント機能のあるコンタクト露光機で位置合わせしながら、電極取出帯の部分のみを作製するデザインのマスク(図3参照)を用いて露光した。その後、現像液で90秒間現像した。さらに、純水でリンスし、180℃、100分間ポストベークした。このようにして、カラーフィルター作製用基板を完成させた。
【0038】ニ)色素膜製造工程4リットルの純水にフェロセン誘導体のミセル化剤FPEG(同仁化学製)、LiBr (和光純薬製)とクロモフタールA2B(チバガイギー製)を加え、それぞれ2mM,0.1M ,10g /リットルの溶液とし、超音波ホモジナイザーで30分間分散させミセル溶液を調製し、前記カラーフィルター作製用基板をこのミセル溶液に挿入し、ストライプのR列にポテンショスタットを接続した。0.5V 、15分間の定電位電解を行い、カラーフィルターRの薄膜を得た。このとき、同時にストライプのG列およびB列にポテンショスタットを接続し0.10Vの電位をR製膜時に印加した。その後、純水で洗浄後、オーブンにてプレベーク(120℃)した。G列では、ヘリオゲングリーンL9361(BASF製)とイソインドリノンイエロー(チバガイギー製)をそれぞれ15g /リットルの濃度で、ミセル化剤としてFESTを用いた以外は、R列の製膜と同じ条件で各々分散させた後、7:3の割合でそれぞれの液を混合し、R列の製膜と同じ条件で製膜した。このとき、同時にストライプR列およびB列にポテンショスタットを接続し0.16Vの電位をG製膜時に印加した。製膜後、R列の製膜と同じ条件で後処理を行った。B列では、ヘリオゲンブルーK7080(BASF製)とジオキサジンバイオレット(チバガイギー製)をそれぞれ10.9g /リットルの濃度、ミセル化剤としてFTMA、濃度10mMとした以外は、R列の製膜と同じ条件で各々分散させた後、7:3の割合でそれぞれの液を混合し、R列の製膜と同じ条件で製膜した。このとき、同時にストライプR列およびG列にポテンショスタットを接続し0.09Vの電位をB製膜時に印加した。製膜後、R列の製膜と同じ条件で後処理を行った。このようにして、RGBカラーフィルター色素薄膜を得た。
【0039】ホ)保護膜の形成得られたRGBカラーフィルター基板を10rpm で回転させ、この上にJSS7265トップコート剤(日本合成ゴム製)を30cc噴霧した。次に、スピンコートの回転数を1,000rpm にし、基板(RGBカラーフィルター色素薄膜)上に均一に製膜した。この基板を180℃、50分間ポストベークした。このようにして、RGBのカラーフィルター薄膜を得た。
【0040】ヘ)液晶駆動用ITO薄膜の形成このRGBカラーフィルターの上からITOを約1,300Åスパッタした。(アルバック製:SDP−550VT)このときワークを120℃として水蒸気と酸素の導入によりITOの表面抵抗を20Ω/cm2 に調製した。このようにして、TFT用カラーフィルター基板を得た。
【0041】ト)カラー液晶ディスプレイの作製前記カラーフィルター基板の表面にポリアミック酸樹脂モノマーをレジスト同様にスピンコートした。ポリアミック酸樹脂モノマーを250℃、1時間硬化させポリイミド樹脂化した後、ラビングを行い、配向させた。対極はTFT駆動回路付きITOガラス基板にポリアミック酸樹脂モノマーをスピンコートし、250℃、1時間硬化させポリイミド樹脂化させ、ラビングした後、前記カラーフィルター基板との間にガラスビーズ、TN液晶の順に入れ、接着剤にて封止し、パネルを完成させた。FPCにドライバーICを搭載した取り出し電極を接続し、偏光板を両面に接着した後、TFTを作動させ、液晶の駆動を確認した。
【0042】比較例2実施例3で目的電極以外のその他の電極に電位を印加することを止めた他は、実施例3と同様の操作を行った。結果を第1表に示す。
比較例3実施例1で目的電極以外のその他の電極に0.2Vの電位を印加することを止め、RGB3色製膜するところをR(RRR)のみ製膜した他は、実施例1と同様の操作を行った。結果を第1表に示す。
比較例4実施例1で目的電極以外のその他の電極に0.2Vの電位を印加することを止め、RGB3色製膜するところをG(GGG)のみ製膜した他は、実施例1と同様の操作を行った。結果を第1表に示す。
比較例5実施例1で目的電極以外のその他の電極に0.2Vの電位を印加することを止め、RGB3色製膜するところをB(BBB)のみ製膜した他は、実施例1と同様の操作を行った。結果を第1表に示す。
【0043】実施例及び比較例で作製されたカラーフィルターの性能評価については、次の各物性を測定した。先ず、透過率は分光光度計(MCPD−1100:大塚電子製)を用いて、ガラス基板の透過率を基準に測定した。透過率の値はRGBそれぞれ、450nm,545nm, 610nmの波長を基準とした。汚れは各色の電極が、目的の色以外の電解液で汚染されて汚れとなる。この汚れの評価(汚れ率)としては、ここで作製したカラーフィルターの透過率と比較例2〜4の透過率との値の差をもつて評価した。また、400倍の光学顕微鏡で写真撮影し、白抜けしている面積を画素面積に対する比を白抜率として評価した。斑の評価としては、基板のコーナー、各辺の中点を合計9点の画素の色度(MCPD−1100:大塚電子製)を各色ごとに測定し、その色差の最も大きいものを△Eとして評価した。そして、表面の平滑性は、表面凹凸測定装置(ディックタック製)を用いて測定した。また、STNを作動させ、コントラストを測定した。実施例及び比較例で作製されたカラーフィルターの各物性を測定した結果を第1表に示す。
【0044】
【表1】


【0045】
【表2】


【0046】第1表から、本発明の製造方法によるカラーフィルターは、品質的に非常に優れていることが判る。
【0047】
【発明の効果】以上の如く、本発明の方法によれば、正確にパターニングされた電極に膜厚が均一な薄膜を形成することができる。また、本発明の方法によれば、正確にパターニングされた電極に、色ムラや白抜けがなく、しかも平滑性が非常に優れたカラーフィルターを形成することができる。したがって、本発明の方法によって製造されるカラーフィルタは、例えば、液晶表示素子,エレクトロクロミック表示素子,調階表示素子,プラズマディスプレイパネル,分光機器,固体撮像素子,調光器などの種々の表示素子やフィルタに利用することができる。具体的には、例えば、ラップトップ型のパーソナルコンピューター,ワードプロッセッサー,ワークステーション,オーロラビジョン,液晶プロジェクター,液晶カラーテレビ,液晶カラーフィルタ,色調ガラス,オーバーヘッドプロジェクタ(OHP),車搭載インパネ,機器モニター等の分野に有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電位の印加方法を示す図である。
【図2】従来法の電位の印加方法を示す図である。
【図3】電極取出帯部作製デザインのマスクを示す図である。
【符号の説明】
1:基板
2:パターニングされたR,G,BのITO電極
3:製膜電位制御用ポテンショスタット
4:自然電位印加用ポテンショスタット
5:飽和甘コウカロメル参照極(SCE)
6:対極

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水性媒体中で界面活性剤を用いて疎水性物質を分散あるいは可溶化して得られる分散液あるいはミセル溶液に、パターニングされた透明導電性基板を挿入し、通電処理を行う薄膜の製造方法において、透明導電性基板上にパターニングされた電極を目的電極とその他の電極に分け、該目的電極には前記界面活性剤の酸化還元電位より高い電位を印加し、その他の電極には自然電位を含む製膜されない範囲の電位を印加し、該透明導電性基板上に前記疎水性物質の薄膜を形成することを特徴とする薄膜の製造方法。
【請求項2】 自然電位を含む製膜されない範囲の電位が、界面活性剤の酸化還元電位以下の電位である請求項1の方法。
【請求項3】 水性媒体中で界面活性剤を用いて赤色,緑色,青色三原色の分光特性を有する顔料あるいは染料を分散あるいは可溶化して得られる分散液あるいはミセル溶液に、パターニングされた透明導電性基板を挿入し、通電処理を行うカラーフィルターの製造方法において、透明導電性基板上にパターニングされた電極を目的電極とその他の電極に分け、該目的電極には前記界面活性剤の酸化還元電位より高い電位を印加し、その他の電極の少なくとも一つには、自然電位を含む製膜されない範囲の電位を印加し、該透明導電性基板上に前記顔料あるいは染料の色分解フィルターを形成することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【請求項4】 自然電位を含む製膜されない範囲の電位が、界面活性剤の酸化還元電位以下の電位である請求項3の方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平5−60914
【公開日】平成5年(1993)3月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−224098
【出願日】平成3年(1991)9月4日
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)