説明

薄膜太陽電池及びその製造方法

【課題】本発明は薄膜太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の薄膜太陽電池は、基板(110)の上に位置する複数のセルを含み、それぞれのセルは、基板の一方面に位置する第1電極(120)と、第1電極の上に位置する少なくとも一つの光電変換部(130)と、光電変換部と接触する第1反射膜(141)、そして第1反射膜の一部領域を露出する開口部(143a)を含み、第1反射膜と接触する第2反射膜(143)を含む後面反射層(140)と後面反射層上に位置し、開口部を通じて第1反射膜と接続された第2電極(150)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池はほとんど無限のエネルギー源である太陽をエネルギー源にし、発電過程で公害物質をほとんど生成せず、寿命が20年以上で非常に長いという長所と共に、関連産業分野への波及効果が大きいという長所によって非常に注目されており、そのため多くの国家で太陽電池を次世代の主要産業として育成している。
【0003】
現在太陽電池の90%以上は単結晶または多結晶シリコンウェハ(Si wafer)を基板として製作販売されており、それら以外に薄膜型シリコン基板の太陽電池が小規模で製作販売されている。
【0004】
太陽電池の最大の問題点は発電単価が他のエネルギ源に比べて非常に高いというのである。したがって今後クリーンエネルギの需要を満たすためには発電単価を大幅に低めなければならない。
【0005】
しかし、現在単結晶あるいは多結晶シリコンウェハを基板としたいわゆるバルク(bulk)型シリコン太陽電池は必要な原材料量が最小150μm厚さ以上であるので、原価の多くの部分を材料費、すなわちシリコン原材料が占めているのに、原材料の供給が急激に増える需要に付いて行くことができなくて原価を低めることができる可能性が容易でないのが実情である。
【0006】
これに比べて、薄膜型太陽電池はその厚さが2μm以内なのでバルク型太陽電池に比べて原材料の使用量が非常に少なくて材料費を飛躍的に低めることができる。したがって発電単価面でバルク型太陽電池に比べて大きい長所を有している。しかし薄膜型太陽電池はバルク型太陽電池に比べて同じ面積対比発電性能が半分位で非常に低い。
【0007】
一般的に太陽電池の効率を表現する時は100mW/cm2の光量で得ることができる電力の大きさを%で示しており、バルク型太陽電池の効率は12%乃至20%であるが、薄膜型太陽電池の効率は8%乃至9%程度である。したがって薄膜型太陽電池の効率はバルク型太陽電池に比べて低い方である。
【0008】
このため、薄膜型太陽電池の効率を高めるために多くの努力が傾けられている。
【0009】
薄膜型太陽電池の一番基本的なモデルは単一接合(single junction)型の構造を有する。ここで単一接合型薄膜太陽電池は光吸収用真性半導体層(intrinsic layer)と、光生成された電荷分離のための内部電界を形成するために真性半導体層の上部及び下部にそれぞれ配置されるp型ドーピング層及びn型ドーピング層を含む光電変換部が基板の上に形成された太陽電池を言う。
【0010】
一方、前述の薄膜太陽電池の効率を改善するためには太陽電池に流れる電流密度を増加させることが要求される。したがって薄膜太陽電池では真性半導体層を透過した太陽光を真性半導体層に反射し、反射した太陽光が真性半導体層で吸収されるようにすることで真性半導体層の光吸収率を高めるための後面反射層を備えて電流密度を増加させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、最適化された後面反射層を有する薄膜太陽電池を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は薄膜太陽電池の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の課題を解決するために本発明の一側面による薄膜太陽電池は、基板の上に位置する複数のセルを含み、それぞれのセルは、基板の一方面に位置する第1電極と第1電極の上に位置する少なくとも一つの光電変換部と、光電変換部と接触する第1反射膜、そして第1反射膜の一部領域を露出する開口部を含み第1反射膜と接触する第2反射膜を含む後面反射層と、後面反射層上に位置し、開口部を通じて第1反射膜と接続された第2電極を含む。
【0014】
第1反射膜は導電性を有する物質、例えばAZO(Aluminum zinc-oxide)またはBZO(Boron zinc-oxide)を含む。この時、第2電極は開口部を通じて第1反射膜と接触するアルミニウムを含むことができる。
【0015】
第1反射膜は100nm以下の厚さに形成され、第2反射膜は特定波長、例えば600nm以上の長波長帯域の光を反射する白色顔料が媒質に混合した物質に形成される。
【0016】
この時、白色顔料は酸化チタン(TiO2)及び硫酸バリウム(BaSO4)などの酸化物や、窒化物や、炭化物を含むことができ、第2反射膜は白色顔料を含む白色ペイント、白色ホイル(foil)、エチルビニルアセテート(EVA、Ethyl Vinyl Acetate)ホイルのうちでいずれか一つを含むことができる。
【0017】
開口部は円形、四角形または長方形などの多様な形状に形成することができ、一つのセルまたは一つの後面電極に少なくとも一つ以上位置する。
【0018】
開口部の幅は第2電極の幅より狭く形成され、開口部の長さは第2電極の長さより短かく形成される。
【0019】
このような構成の薄膜太陽電池は、基板の上に第1電極を形成する段階と、第1電極の上に少なくとも一つの光電変換部を形成する段階と、光電変換部上に導電性を有する第1反射膜を形成し、第1反射膜の一部領域を露出する開口部を有する第2反射膜を第1反射膜上に形成し後面反射層を形成する段階と、開口部を通じて第1反射膜と電気的に接続された第2電極を第2反射膜上に形成する段階を含む製造方法によって製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
このような特徴によれば、第2反射膜に含まれた白色顔料によって高い散乱効果を得ることができるので、効果的な光捕獲(light trapping)が可能であり、これを通じて光電変換部の厚さを減少させることが可能である。
【0021】
そして第2電極が第2反射膜に位置する開口部を通じて第1反射膜と電気的に接続されるので、銀(Ag)に比べて価格が安いアルミニウム(Al) だけで第2電極を構成しても銀(Ag)とアルミニウムを共に使う場合と同様の水準の伝導性を得ることができる。
【0022】
したがって、銀(Ag)とアルミニウムを共に使う場合と同様の水準の伝導性を得るために第1反射膜の厚さを増加させる必要がないので、第1反射膜の蒸着による時間及び費用を節減することができる。また、長波長帯域の光が第1反射膜を透過しながら吸収されて発生する損失を最小化することができる。
【0023】
そして第2反射膜で銀(Ag)を使う場合に第2反射膜と第1反射膜の界面で発生する表面プラズモン吸収(surface Plasmon absorption) 現象による反射損失が防止されるので、第2反射膜で銀(Ag)を使う場合と同様の水準の反射度を具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る薄膜太陽電池の部分断面図である。
【図2】後面反射層の種類による反射度(reflectance)及びヘイズ(haze)を示すグラフである。
【図3】後面反射層の種類による反射度(reflectance)及びヘイズ(haze)を示すグラフである。
【図4】AZOで形成された第1反射膜の波長帯別光吸収率を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態に係る薄膜太陽電池の製造方法を示す工程図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る薄膜太陽電池の製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る薄膜太陽電池の製造方法を示す工程図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る薄膜太陽電池の製造方法を示す工程図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る開口部を示す図8の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について 本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。
【0026】
しかし本発明はいろいろな形態に具現することができ、ここで説明する実施の形態に限定されない。そして図面で本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて同様の部分に対しては類似の図面符号を付けた。
【0027】
図で多くの層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。層、膜、領域などの部分が他の部分「上に」あると言う時、これは他の部分「真上に」ある場合だけではなくその中間に他の部分がある場合も含む。反対に何れの部分が他の部分「真上に」あると言う時には中間に他の部分がないことを意味する。
【0028】
それでは添付した図面を参照にして本発明の一つの実施の形態を説明する。
【0029】
図1は本発明の第1実施の形態に係る薄膜太陽電池の部分断面図であり、図2及び図3は後面反射層の種類による反射度(reflectance)及びヘイズ(haze)を示すグラフである。
【0030】
そして図4はAZOで形成された第1反射膜の波長帯別光吸収率を示すグラフであり、 図5乃至図8は本発明の実施の形態に係る薄膜太陽電池の製造方法を示す工程図であり、図9は本発明の実施の形態に係る開口部を示す図8の平面図である。
【0031】
図面を参照すれば、本実施の形態に係る薄膜太陽電池は基板110を通じて光が入射される上板(superstrate)型構造を有する。
【0032】
上板型構造を有する薄膜太陽電池はガラスまたは透明プラスチックなどの光透過物質からなる基板110、基板110上に位置する導電性透明電極(transparent conductive oxide、TCO)120、透明電極120上に位置する光電変換部130、光電変換部130上に位置する後面反射層140、そして後面反射層140上に位置する後面電極150を備える。この時、透明電極120は第1電極であり、後面電極150は第2電極である。
【0033】
導電性透明電極120は基板110上に形成されており、第1光電変換部130と電気的に接続されている。したがって導電性透明電極120は光によって生成されたキャリア(carrier)のうちの一つ、例えば正孔を収集して出力する。導電性透明電極120はまた反射防止膜の機能も遂行することができる。
【0034】
導電性透明電極120の上部表面はランダム(random)なピラミッド構造を有する複数個の凹凸(図示せず)を備えたテクスチャリング表面(texturing surface)で形成される。
【0035】
このように、導電性透明電極120の表面をテクスチャリング表面で形成すれば、導電性透明電極の光反射度が減少し光の吸収率が増加するので、太陽電池の効率が向上する。この時形成される凹凸の高さは約1μm乃至10μmで有り得る。
【0036】
導電性透明電極120は大部分の光が透過し電気がよく流れるように高い光透過度と高い電気伝導度が要求される。
【0037】
このような導電性透明電極120はインジウム・ティン・オキサイド(indium tin oxide:ITO)、スズ系酸化物(SnO2など)、AgO、ZnO−(Ga23またはAl23)、fluorine(フッ素)ティンオキサイド(fluorine tin oxide:FTO)及びこれらの混合物からなる群から選択されたものにより形成することができる。導電性透明電極120の比抵抗範囲は約10-2Ωcm乃至10-11Ωcmで有り得る。
【0038】
光電変換部130は単一接合型、2重接合型または3重接合型からなることができる。
【0039】
単一接合型の場合、光電変換部は水素化された非晶質シリコン(hydrogenated amorphous silicon: a−Si: H)からなることができ、約1.7eVの光学バンドギャップを有し、近紫外線、紫、青などのような短波長帯域の光を主に吸収することができる。
【0040】
このような光電変換部130は導電性透明電極120上に順次積層された第1導電型の半導体層であるp型ドーピング層、真性半導体層、そして第1導電型と反対である第2導電型の半導体層であるn型ドーピング層を含む。
【0041】
p型ドーピング層はシリコン(Si)を含む原料ガスにホウ素、ガリウム、インジウムなどのような3価元素の不純物を含むガスを混合し形成することができる。
【0042】
本実施の形態で第p型ドーピング層はa−Si: Hまたは他の物質で形成することができる。
【0043】
真性半導体層はキャリアの再結合率を減らし光を吸収するためのもので、電子と正孔のようなキャリアがここから主に生成される。このような真性半導体層はa−Si:Hで形成することができ、約200nm乃至300nmの厚さを有することができる。真性半導体層は微結晶シリコン(μc−Si)または水素化された微結晶シリコン(μc−Si: H)からなることもできる。
【0044】
n型ドーピング層はシリコンを含む原料ガスにりん(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)などのように5価元素の不純物を含むガスを混合し形成することができる。
【0045】
このような構成の光電変換部130はプラズマ化学気相成長(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)のような化学気相成長(chemical vapor deposition、CVD)によって形成することができる。
【0046】
光電変換部130のp型ドーピング層及びn型ドーピング層は真性半導体層を間に置いてp−n接合を形成し、これによる光起電力効果(photovoltatic effect)によって真性半導体層から生成された電子と正孔は接触電位差によって分離して互いに異なる方向に移動する。例えば、正孔はp型ドーピング層を通じて導電性透明電極120の方へ移動し、電子はn型ドーピング層を通じて後面電極の方に移動する。
【0047】
2重接合型の場合、透明電極120と後面反射層140の間に2個の光電変換部を備える。
【0048】
この時、透明電極120に隣接した一つの光電変換部は水素化された非晶質シリコン(hydrogenated amorphous silicon:a−Si:H)からなることができ、後面反射層140に隣接した他の一つの光電変換部は水素化された微結晶シリコン(μc−Si:H)からなることができる。
【0049】
水素化された微結晶シリコンからなる光電変換部は約1.1eVの光学バンドギャップを有し赤色から近赤外線までの長波長帯域の光を主に吸収することができる。
【0050】
水素化された微結晶シリコンからなる光電変換部は水素化された非晶質シリコンからなる光電変換部と同様にp型ドーピング層、真性半導体層、そしてn型ドーピング層を含む。
【0051】
後面反射層(back reflector、140)は光電変換部130を透過した光を光電変換部130の方へ反射させ、光電変換部130の動作効率を向上するものであり、本実施の形態では第1反射膜141及び第2反射膜143を含む。
【0052】
後面反射層で、従来はドーピングされた酸化亜鉛(AZO、ZnO: Al)からなる第1反射膜と銀(Ag)からなる第2反射膜の2重膜構造(以下、「従来1の構造」と称する)を使うか、前記AZOからなる第1反射膜と白色ペイントからなる第2反射膜の2重膜構造(以下、「従来2の構造」と称する)を使った。
【0053】
従来1の構造は第1反射膜を薄く(50nm乃至200nm)形成することができ装備投資額が安価であり、製造工程が簡単であるとの長所がある。
【0054】
また、銀(Ag)とアルミニウム(Al)の複合電極構造で伝導性がすぐれるとの長所がある。
【0055】
しかし、従来1の構造は第1反射膜と第2反射膜の界面で発生する表面プラズモン吸収(surface Plasmon absorption)現象によって反射損失が発生し、反射光の散乱効果が弱くて光の捕獲(light trapping) 効果が相対的に弱い短所がある。
【0056】
すなわち、図2に示すように、AZOからなる第1反射膜と銀(Ag)からなる第2反射膜を共に使って後面反射層を形成した場合の反射度(点線で図示する)は銀(Ag)からなる第2反射膜だけで後面反射層を形成した場合の反射度(実線で図示する)に比べて低く測定される。その理由は上で説明したように第1反射膜と第2反射膜の界面で反射損失が発生するからである。
【0057】
図2のグラフで一点鎖線に示したものはAZOからなる第1反射膜と銀(Ag)からなる第2反射膜を有する後面反射層において散乱効果を示すヘイズ(HAZE)値である。
【0058】
そして従来2の構造は第1反射膜と第2反射膜の界面で発生する反射損失がないので高反射材料である銀(Ag)と同様の水準の反射度を具現することができ、銀(Ag)を使わないので材料費を節減することができ、白色ペイントが有している高い散乱特性を利用し効果的な光を捕獲できるとの長所がある。
【0059】
しかし、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)などの導電物質を使わないので第1反射膜の抵抗を低めるためには第1反射膜を厚く(1μm乃至2μm)形成しなければならない。したがって、第1反射膜を長期間蒸着するために低圧式CVD(LPCVD)を要するので高い装備投資額が要求され、厚い第1反射膜自体で発生する長波長帯域の吸収損失が発生する短所がある。
【0060】
すなわち、図3に示すように、AZOからなる第1反射膜と白色ペイントからなる第2反射膜を共にに使って後面反射層を形成した場合の反射度(点線で図示する)は白色ペイントからなる第2反射膜だけで後面反射層を形成した場合の反射度(実線で図示する)に比べて低く測定される。その理由は上で説明したように第1反射膜自体で発生する長波長帯域の吸収損失が発生するからである。
【0061】
図3のグラフで一点鎖線に示したものはAZOからなる第1反射膜と白色ペイントからなる第2反射膜を有する後面反射層において散乱効果を示すヘイズ(HAZE) 値である。この時、図2及び図3に示すように、白色ペイントを利用し第2反射膜を構成する場合には第2反射膜を銀(Ag)で構成する場合に比べて散乱効果がすぐれていることが分かる。
【0062】
図4はAZOで形成された第1反射膜の光吸収特性を示すグラフとして、第1反射膜が200nm以下で薄く形成される場合(d,e,f)には低い吸収率を維持するが、厚さが1μm以上に増加すれば(a,b)長波長領域での吸収率が10%を超過することが分かる。
【0063】
図4で、a,b,c,d,e,fはAZOで形成された第1反射膜が50nm、100nm、200nm、500nm、1000nm、1500nmの厚さでそれぞれ形成された場合の吸収率を示すものである。
【0064】
したがって、白色ペイントからなる第2反射層を効果的に活用するためにはAZOで形成された第1反射膜の厚さを最小限に薄くするのが重要である。
【0065】
すなわち、本実施の形態は第1反射膜と第2反射膜の界面で反射損失が発生することを防止または減少させ、AZOからなる第1反射膜の厚さを薄く形成してこの膜での光吸収を低減し、また散乱効果を増加させた後面反射層を提供する。
【0066】
本実施の形態で、後面反射層140はAZOまたはBZO(Boron zinc-oxide)で構成された第1反射膜141と、白色ペイントを含む第2反射膜143からなる。
【0067】
第2反射膜143は特定波長、例えば600nm以上の長波長帯域の光を反射する白色顔料が媒質に混合した物質に形成される。
【0068】
この時、白色顔料は酸化チタン(TiO2)及び硫酸バリウム(BaSO4)などの酸化物や、窒化物や、または炭化物のうちの少なくとも一つを含むことができ、第2反射膜143は白色顔料を含む白色ペイント、白色ホイル(foil)、エチルビニルアセテート(EVA、Ethyl Vinyl Acetate)ホイルのうちで何れか一つを含むことができる。
【0069】
このように、AZOまたはBZOで形成された第1反射膜141と白色ペイントで形成された第2反射膜143からなる後面反射層140の基本的な構造は前述の従来2と異なる。
【0070】
すなわち、本実施の形態は第1反射膜141の厚さを増加させる代りに、第2反射膜143に開口部143aを形成し、開口部143aを通じて後面電極150が透明導電層141と接触されるようにすることで導電性を確保する。
【0071】
開口部143aは円形、楕円形、三角形、四角形または長方形の多様な形状に形成することができ、図8には長方形の形状を有する開口部143aを示した。
【0072】
図9に示すように、開口部143aは一つの後面電極150に少なくとも一つ以上形成することができ、開口部143aの幅W1は後面電極150の幅W2より狭く形成され、開口部143aの長さL1は後面電極150の長さL2より短かく形成される。
【0073】
後面電極150は開口部143aを通じて第1反射膜141と接触するアルミニウム(Al)で形成される。
【0074】
このように、本実施の形態の薄膜太陽電池は後面電極150が開口部143aを通じて第1反射膜141と接触するので、導電性を確保するために銀(Al)を使う必要がなく、AZOまたはBZOで形成される第1反射膜141を厚く形成する必要がない。本実施の形態によれば、第1反射膜141を100nm以下の厚さで形成しても導電性を充分に確保することができる。
【0075】
このような構成によれば、第2反射膜143に含まれた白色顔料によって高い散乱効果を得ることができるので、効果的な光捕獲(light trapping)が可能であり、このために光電変換部130の厚さを減少させることが可能である。
【0076】
そして後面電極150が第2反射膜143に位置する開口部143aを通じて第1反射膜141と電気的に接続されるので、銀(Ag)に比べて価格が安いアルミニウム(Al)だけで後面電極150を構成しても銀(Ag)とアルミニウムを共に使う場合と同様の水準の伝導性を得ることができる。
【0077】
したがって、銀(Ag)とアルミニウムを共に使う場合と同様の水準の伝導性を得るために第1反射膜141の厚さを増加させる必要がないので、第1反射膜141の蒸着による時間及び費用を節減することができる。また、長波長帯域の光が第1反射膜141を透過しながら吸収されて発生する損失を最小化することができる。
【0078】
そして第2反射膜143で銀(Ag)を使う場合に第2反射膜143と第1反射膜141の界面で発生する表面プラズモン吸収(surface Plasmon absorption)現象による反射損失が防止されるので、第2反射膜143で銀(Ag)を使う場合と同様の水準の反射度を具現することができる。
【0079】
以下、前述した構成の薄膜太陽電池を製造する方法に対して説明する。
【0080】
前述の図1の薄膜太陽電池を製造するため、先ず、図5に示すように基板110の全体表面の上に透明導電層を蒸着する。
【0081】
ここで、透明導電層は金属酸化物、例えば酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、 またはインジウム・ティン・オキサイド(ITO)のうちで選択された少なくとも一つの物質からなることができる。また、金属酸化物に一つ以上の不純物を混合した混合物質からなることもできる。
【0082】
次いで、透明導電層をパターニングし発電領域に複数の透明電極120を形成する。
【0083】
ここで、パターニング工程は第1スクライビング工程によって実施することができる。第1スクライビング工程は基板110の下部から基板110の方へレーザを照射し一部領域の透明導電層を蒸発させる工程として、第1スクライビング工程を実行すれば発電領域には一定な間隔を置いて互いに離隔された複数の透明電極120が形成される。
【0084】
前述のように第1スクライビング工程を実施した後には基板110上にシリコン薄膜層を蒸着する。この時、シリコン薄膜層は透明電極120の間の空間にも満たされる。
【0085】
シリコン薄膜層は非晶質シリコン系(p/i/n) 薄膜で形成されるか、非晶質シリコン系薄膜と微結晶シリコン系薄膜が積層されたタンデム型シリコン系薄膜層で形成することができる。
【0086】
シリコン薄膜層がタンデム型シリコン系薄膜層に形成される場合には非晶質シリコン系薄膜と微結晶シリコン系薄膜の間に中間透明導電層をさらに形成することもできる。このように、シリコン薄膜層の構造は本発明で制限されず、多様な形態の薄膜構造で形成することができる。
【0087】
次いで、シリコン薄膜層をパターニングし図6に示すように発電領域に複数の光電変換部130を形成する。ここで、パターニング工程は第2スクライビング工程によって実施することができる。
【0088】
一方、第2スクライビング工程に使うレーザの出力は第1スクライビング工程に使うレーザの出力より小さい。
【0089】
したがって、第2スクライビング工程を実行するために基板110の下部から基板110の方へレーザを照射する時、発電領域の透明電極120は蒸発されないが透明電極120上のシリコン薄膜層は蒸発され除去される。
【0090】
これによって、発電領域には一定な間隔を置いて互いに離隔された複数の光電変換部130が形成される。
【0091】
前述の第2スクライビング工程を実施した後には基板110上に透明反射膜を形成する。この時、透明反射膜は光電変換部130の間の空間にも満たされる。ここで、透明反射膜はAZOまたはBZOからなることができ、100nm以下の厚さに形成される。さらに、透明反射膜は透明電極120と電気的に接続される。本発明の実施の形態で、透明反射膜は透明電極の露出した部分に接触することができる。
【0092】
次いで、透明反射膜及び光電変換部130をパターニングし図7に示すように発電領域に複数の第1反射膜141を形成する。ここで、パターニング工程は第3スクライビング工程によって実施することができる。
【0093】
第3スクライビング工程を実行するために基板110の下部から基板110の方へレーザを照射すれば、発電領域の透明電極120は蒸発しないが、光電変換部130 及び透明反射膜は蒸発し除去する。
【0094】
これによって、発電領域には一定な間隔を置いて互いに離隔された複数の第1反射膜141が形成される。
【0095】
前述の第3スクライビング工程を実施した後には図8に示すように開口部143aを有する第2反射膜143を形成する。この時、第2反射膜143は第3スクライビング工程によって除去された部分にも満たされる。したがって、隣接したセルの間の空間には第2反射膜143が位置する。
【0096】
第2反射膜143は特定波長、例えば600nm以上の長波長帯域の光を反射する白色顔料が媒質に混合した物質で形成される。
【0097】
この時、白色顔料は酸化チタン(TiO2)及び硫酸バリウム(BaSO4)などの酸化物、窒化物、炭化物を含むことができるし、第2反射膜143は白色顔料を含む白色ペイント、白色ホイル(foil)、エチルビニルアセテート(EVA、Ethyl vinyl Acetate) ホイルのうちいずれか一つを含むことができる。
【0098】
開口部143aは円形、四角形または長方形の多様な形状で形成することができ、図9に示すように一つの後面電極150に少なくとも一つ以上形成することができる。
【0099】
そして開口部143aの幅W1は後面電極150の幅W2より狭く形成され、開口部143aの長さL1は後面電極150の長さL2より小さく形成される。
【0100】
この時、開口部143aの幅W1及び長さL1は開口部143aを有する第2反射膜143をスクリーン印刷法によって形成することができるほどの幅及び長さで形成するのが望ましい。スクリーン印刷法によって第2反射膜143を形成すれば、開口部143aを形成するための別途の工程をとり除くことができるので、製造原価を節減するのが可能である。
【0101】
前述の方法によって形成された第1反射膜141及び第2反射膜143は本実施の形態の後面反射層140を構成する。
【0102】
後面反射層140を形成した後、基板110上に後面電極150を形成する。この時、 後面電極150は第2反射膜143に具備された開口部143aにも満たされる。したがって、後面電極150は第1反射膜141と電気的に接続され、第1反射膜141を通じて隣合う薄膜太陽電池の透明電極と電気的に接続される。
【0103】
後面電極150は銀(Ag)に比べて安価な原価のアルミニウム(Al)を利用し形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に位置する複数のセルを含み、
それぞれのセルは、
基板の一方面に位置する第1電極と、
前記第1電極の上に位置する少なくとも一つの光電変換部と、
前記光電変換部と接触する第1反射膜、そして前記第1反射膜の一部領域を露出する開口部を含み、前記第1反射膜と接触する第2反射膜を含む後面反射層と、
前記後面反射層上に位置し、前記開口部を通じて前記第1反射膜と接続された第2電極と
を含む薄膜太陽電池。
【請求項2】
前記第1反射膜は導電性を有するAZOまたはBZOを含む請求項1記載の薄膜太陽電池。
【請求項3】
前記第2電極は前記開口部を通じて前記第1反射膜と接触するアルミニウムを含む請求項2記載の薄膜太陽電池。
【請求項4】
前記第1反射膜は100nm以下の厚さに形成される請求項3記載の薄膜太陽電池。
【請求項5】
前記第2反射膜は600nm以上の長波長帯域の光を反射する白色顔料が媒質に混合した物質で形成される請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の薄膜太陽電池。
【請求項6】
前記白色顔料は酸化物、窒化物、または炭化物を含む請求項5記載の薄膜太陽電池。
【請求項7】
前記酸化物は酸化チタン(TiO2)及び硫酸バリウム(BaSO4)のうち少なくとも一つである請求項6記載の薄膜太陽電池。
【請求項8】
前記第2反射膜は前記白色顔料を含む白色ペイント、白色ホイル(foil)、エチルビニルアセテート(EVA)ホイルのうちのいずれか一つを含む請求項6記載の薄膜太陽電池。
【請求項9】
前記開口部は円形、四角形または長方形の形状に形成される請求項5記載の薄膜太陽電池。
【請求項10】
前記開口部の幅は前記第2電極の幅より狭く形成される請求項9記載の薄膜太陽電池。
【請求項11】
前記開口部の長さは前記第2電極の長さより短かく形成される請求項9記載の薄膜太陽電池。
【請求項12】
前記開口部は一つの後面電極に少なくとも一つ以上位置する請求項9記載の薄膜太陽電池。
【請求項13】
基板の上に第1電極を形成する段階と、
前記第1電極の上に少なくとも一つの光電変換部を形成する段階と、
前記光電変換部上に導電性を有する第1反射膜を形成し、前記第1反射膜の一部領域を露出する開口部を有する第2反射膜を前記第1反射膜上に形成して後面反射層を形成する段階と、
前記開口部を通じて前記第1反射膜と電気的に接続された第2電極を前記第2反射膜上に形成する段階と、
を含む薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項14】
AZOまたはBZOで前記第1反射膜を形成する請求項13記載の薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項15】
アルミニウムで前記第2電極を形成する請求項13記載の薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記第1反射膜を100nm以下の厚さで形成する請求項13記載の薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項17】
600nm 以上の長波長帯域の光を反射する白色顔料が媒質に混合した物質で前記第2反射膜を形成する請求項13記載の薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記第1開口部の幅を前記第2電極の幅より狭く形成する請求項17記載の薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項19】
前記第1開口部の長さを前記第2電極の長さより短かく形成する請求項17記載の薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項20】
白色顔料は酸化物、窒化物、または炭化物のうちの少なくとも一つで形成し、前記酸化物は酸化チタン(TiO2)及び硫酸バリウム(BaSO4)のうち少なくとも一つで形成する請求項17記載の薄膜太陽電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−151438(P2012−151438A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230696(P2011−230696)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】