説明

薬剤供給具

【課題】高濃度薬剤を溶出させる薬剤供給具において、高濃度薬剤を供給部に一定量貯留させ、水洗トイレの便器のリムの裏側の給水孔から流出する水で、便器水溜まり部において所望の濃度の薬剤を貯留させ、所望の効果を得ることが可能となる薬剤供給具を提供することを目的とする。
【解決手段】水洗時に便器のリムの裏側の給水孔から流出する水に薬剤が略定量的に供給できるようにするため、便器のリムに嵌着する保持部材によって保持された薬剤供給具であって、薬剤供給具はボトル容器に封入された高濃度薬剤を有し、高濃度薬剤を水洗時の水に所望の濃度にして供給するための薬剤供給部を有する薬剤供給具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗トイレの便器のリムに取り付けられる薬剤供給具に関する。
【背景技術】
【0002】
水洗トイレの便器を洗浄し、汚れの付着を防止し、消臭し、あるいは芳香を漂わせるため、水洗トイレの水洗時にリムの裏側の給水孔から流出する水に固形洗浄剤あるいは液体洗浄剤が晒され、水に溶出するようにした洗浄剤溶出装置が提案されている。
(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5)

【特許文献1】実公昭58−35748号公報
【特許文献2】実公昭53−49237号公報
【特許文献3】特公昭49−44504号公報
【特許文献4】特表2003−517123号公報
【特許文献5】特開2005−9156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、水洗トイレの便器のリムに取り付けられる従来の薬剤供給具は、薬剤供給具の容器形状によっては、取り付け不可能なものが多く存在し、取り付け可能な場合においてもリムから放出される水を受けることが不可能な設置状態となるものがあった。そのため、定量的な芳香と洗浄の効果を得られないという問題があった。
【0004】
これに対して、本発明は、多くの便器に取り付け可能で、かつ、薬液を安定に供給することが可能となり、便器水溜まり部に略定量的に、芳香、洗浄、汚れ防止、除菌などの機能を有する薬剤を貯留させ、さらには水洗時に略定量の芳香、洗浄、汚れ防止、除菌などの効果を十分に行えるようにする機構の薬剤供給具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究したところ、薬剤供給具のボトル容器の構造を特定され、さらに、便器のリムに嵌着する保持部材によって保持された薬剤供給具を発明した。さらには、ボトル容器に封入された高濃度薬剤を水洗時の水に所望の濃度にして供給するための薬剤供給部材を有する薬剤供給具を発明した。
【0006】
すなわち、本発明は次の通りである。
【0007】
項1 薬剤を貯留させるボトル容器を有し、便器のリムに取り付けた状態で便器内壁側となる前記ボトル容器側面のボトル容器中心から最も突出した部分が略R形状を有し、そのR値が70〜340mmであることを特徴とする薬剤供給具。
項2 前記ボトル容器高さが10〜40mmであることを特徴とする項1記載の薬剤供給具。
項3 前記ボトル容器幅が10〜50mmであることを特徴とする項1又は2記載の薬剤供給具。
項4 フック、底部及び/又は側部に薬剤吐出口を有するボトル容器、薬剤供給部材を有することを特徴とする項1乃至3記載の薬剤供給具。
【0008】
本発明の薬剤供給具は、高濃度の薬剤を収容するボトル容器を有し、ボトル容器には高濃度の薬剤を吐出させる吐出口を少なくとも1個以上、ボトル容器の側部及び/又は底部に有する。
ボトル容器は、リム部にかけるフックを有しても良い。
また、薬液補充のため、かつ定量的な薬液吐出を可能にするための空気流入のための穴をボトル容器の側部及び/又は上部に有しても良い。
【0009】
ボトル容器の大きさは便器のリムの内側にフックにより設置した際に、外観を損ねることがないことを特徴とする。
具体的には、便器内壁側のボトル容器側部の中心から最も突出した部分(a)において、略R形状を有し、R値として、70〜340mm、好ましくは100〜250mm、さらに好ましくは120〜200mmである。 ここで示した略R形状のR値は、R形状をなす曲線を円周とする真円の半径で表されるものである。 ボトル容器高さ(b)は、10〜40mm、好ましくは10〜30mmであり、ボトル容器幅(c)は、10〜50mm、好ましくは15〜35mm、さらに好ましくは15〜20mmであり、ボトル容器の奥行き(d)としては、30〜140mmであり、好ましくは60〜90mmであることを特徴とする。
ボトル容器側部の中心から最も突出した部分(a)が、70mm未満となると前記(a)部分付近のみが便器内壁に接し、薬剤供給部が便器内壁に適切に接しない場合を生じ、340mmを越えるとボトル容器が便器内壁と離れすぎてしまうなどして沿わず、薬剤供給部が便器内壁に適切に接しない場合を生じる。
ボトル容器の高さ(b)が、10mm未満となると薬剤の収納に不適となり、40mmを越えると便器内壁に薬剤供給具がつっかえてしまい、フックにより適切な位置に設置できない等の問題を生じる。
【0010】
ボトル容器幅(c)が、10mm未満となると薬剤の収納に適切ではない場合を生じ、50mmを越えると排泄物が接触する危険性があり不衛生になる場合があるなどの問題を生じる。
ボトルの奥行き(d)が、30mm未満となると、薬剤の収納に適切ではない場合を生じ、140mmを越えると、ボトルのいずれかの部分が便器リム部から乖離し、外観を損ねる場合や排泄物が接触する危険性があり不衛生になる場合があるなどの問題を生じる。
【0011】
さらに、本発明の薬剤供給具は、ボトル容器から吐出された高濃度の薬剤を保持する薬剤供給部材を有し、薬剤供給部材はボトル容器の側部及び/又は底部に配置される。薬剤供給部材は、ボトル容器と一体成型物でも良いし、別部材としての薬剤供給部材であっても良い。
薬剤供給部材は、網目構造を有し、弾性変形をして便器内壁にほぼ密着する性質の物であれば良く、例えば、繊維構造物、樹脂成型物などが一例としてあげられる。繊維構造物としては、親水性、親油性、両性を問わず、パルプ、レーヨンなどの繊維を一種又は二種以上を組み合わせれば良く、構造物としても、織物、不織布などが用いることが出来る。
薬剤供給部材を使用する場合は、ボトルに薬剤供給部材を配置するための開口部を設けることもできる。
【0012】
樹脂成型物は、親水性、親油性、両性の性質は問わず、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリルなどの樹脂を一種又は二種以上を組み合わせれば良く、薬剤を内蔵することが出来る網目構造を有し、
少なくとも便器内壁側が弾性を有していれば良く、全体又は少なくとも先端部が弾性を有していれば良い。
薬剤供給部材を用いる場合は、ボトル容器の吐出口と接するように配置され、ボトル容器への設置をさらなる別部材としての結合部材により達成しても良い。
結合部材は、ボトル容器と薬剤供給部材を接するための目的だけではなく、フックを有して、薬剤供給具全体を便器リムに設置させることができるものでも良い。
【0013】
本発明の薬剤供給具は、水洗トイレのリムに保持させるフックを有する場合、フックは、高濃度薬剤を収容するボトル容器と一体成形物であっても良いし、別部材と組み合わせたものであっても良い。
そして、本発明の薬剤供給具は、フックにより便器内壁に沿うように設置され、便器内壁にほぼ密着するように接する薬剤供給部を介して便器のリムの裏側の給水孔から流出する洗浄水に、高濃度薬剤を溶解・希釈し、便器水溜り部に定量的に薬剤希釈液を貯留させ、略定量的な薬剤の効果を得ることが出来る。
さらに、リム部の複数箇所又は全体にわたるように本発明の薬剤供給具を設置した場合、便器表面に均一に薬剤希釈液を広げることもできる。
【0014】
高濃度薬剤は、芳香剤、洗浄剤、汚れ防止剤、除菌剤、消臭剤、の単独、またはこれらの組み合わせで良く、水洗トイレの水洗時の水で希釈され、所望の濃度となって、所望の効果を得られるものであれば良い。
即ち、本発明は、高濃度薬剤が充填されるボトル容器と、ボトル容器から吐出された高濃度薬剤を保持し水洗トイレ水溜まり部に供給する供給部を有し、便器のリムに保持することができるフックを有する薬剤供給具であって、水洗トイレのリムの裏側の吸水孔から流出する水と薬剤供給部が適切に接触する薬剤供給具であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高濃度薬剤を溶出させる薬剤供給具において、高濃度薬剤を供給部に一定量貯留させ、水洗トイレの便器のリムの裏側の給水孔から流出する水で、便器水溜まり部において所望の濃度の薬剤を貯留させ、所望の効果を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明を説明するが、一例でありこれらに限定されない。
なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
図1は、本発明の実施例の薬剤供給具である。
ボトル容器(1)はアクリル樹脂製であり、便器内壁側のボトル容器側部の中心から最も突出した部分(a)は、略R形状を有しており、R値は120mmであり、ボトル容器高さ(b)は30mm、ボトル容器幅(c)は30mm、ボトル容器奥行き(d)90mmであって、フック(3)を有する。
薬剤供給部材(2)として厚さ5mmの不織布を用い、5mm便器内壁側に向かって突き出しており、さらに薬剤供給部材は、ボトル容器の側部と底部に設けた開口部に突き刺すように配置されている。
本発明の構造によれば、フック(3)によって薬剤供給具はリムから下方に向かって便器内に配置され、ボトル容器部分(a)は便器内壁に沿うように配置されることになる。
さらに、ボトル容器高さ(b)とボトル容器幅(c)により便器内に収容され、吐出口に接している薬剤供給部材(2)が便器内壁にほぼ密着した状態で高濃度薬剤をリムから流出された水に接触させ、薬剤を供給する。
そして、優れた外観を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例の斜視図
【図2】実施例の背面図
【図3】実施例のA−A断面図
【図4】実施例の平面図
【符号の説明】
【0018】
(1)ボトル容器
(2)薬剤供給部材
(3)フック
(a)ボトル容器側部の中心から最も突出した部分
(b)ボトル容器高さ
(c)ボトル容器幅
(d)ボトル容器奥行き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を貯留させるボトル容器を有し、便器のリムに取り付けた状態で便器内壁側となる前記ボトル容器側面のボトル容器中心から最も突出した部分が略R形状を有し、そのR値が70〜340mmであることを特徴とする薬剤供給具。
【請求項2】
前記ボトル容器高さが10〜40mmであることを特徴とする請求項1記載の薬剤供給具。
【請求項3】
前記ボトル容器幅が10〜50mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の薬剤供給具。
【請求項4】
フック、底部及び/又は側部に薬剤吐出口を有するボトル容器、薬剤供給部材を有することを特徴とする請求項1乃至3記載の薬剤供給具。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−283501(P2006−283501A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108098(P2005−108098)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】