説明

薬剤分包装置

【課題】ユーザーが簡単かつ正確に仕切手段のセット位置を認識でき、操作性の良い薬剤分包装置を提供する。
【解決手段】薬剤を、入力された処方データに基づいて所定の分包数に分包する薬剤分包装置10において、散剤が投入される散剤投入部1と、前記散剤投入部1に投入された散剤等、薬剤分包装置に供給された薬剤を分包する分包手段と、薬剤分包装置の各部を制御する制御部とを備え、前記散剤投入部1は、長手方向に延びるように設けられ、散剤を収容可能な散剤収容枡11と、当該散剤収容枡11の内部において、当該長手方向における所定位置にセットされることで当該散剤収容枡の内部を仕切ることが可能な仕切手段12と、当該散剤収容枡の近傍にて長手方向に延びるように設けられた位置表示手段13とを有し、前記制御部は、前記入力された処方データから得られる分包数に基づいて、前記散剤収容枡11における前記仕切手段12のセット位置を前記位置表示手段13に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を、入力された処方データに基づいて所定の分包数に分包する薬剤分包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬局などに薬剤分包装置が設置されて用いられている。この薬剤分包装置は、図5に示すように散剤投入部501と、錠剤投入部502と、前記各投入部501,502に投入された薬剤を包装シートで包む作業を行う分包手段(図示しない)を有している。
【0003】
この薬剤分包装置500の使用に際して、ユーザーによって投入された散剤は、まず、散剤投入部501に収容される。そして、散剤投入部501に収容された散剤が装置内に設けられた分割器(図示しない)で分割され、分包手段により小分けされた状態で包装シートに包まれる。そして、ユーザーによって錠剤投入部502に手撒きされた錠剤もまた、分包手段により、散剤とは別に、または、散剤と共に小分けされた状態で包装シートに包まれる。
【0004】
この薬剤分包装置500は、処方データが入力され、この処方データに基づいて分包手段を動作させるコントローラ及び制御部を備える。そして、散剤投入部501は、長手方向に延びるように設けられた散剤収容枡503と、板状の仕切手段504とを備える。この仕切手段504は、散剤収容枡503の内部を長手方向に移動可能とされ、散剤の投入に先立ち、ユーザーによって前記入力された処方データ(より具体的には、散剤収容枡503に投入する散剤の分包数)に対応する位置へのセットがなされるものである。なお、この仕切手段504は、分包手段で分包すべき分包数を指定するための入力スイッチを兼ねている。そのため、散剤の分包を行わずに錠剤のみの分包を行う場合であっても、仕切手段504を処方データ(分包数)に基づいた位置へセットする必要がある。つまり、仕切手段504のセット位置は、薬剤が散剤であるか錠剤であるかを問わず、分包手段で分包すべき分包数に応じて定まる。
【0005】
ここで、散剤収容枡503は分包数に対応する目盛が記載された目盛部505を備えており、散剤収容枡503への散剤の投入、あるいは、錠剤投入部502への錠剤の投入に先立ち、ユーザーは目盛部505を見つつ分包数に一致する目盛に合わせて仕切手段504をセットする。
【0006】
この仕切手段504をセットすることに関し、特許文献1には、薬剤分包装置が液晶ディスプレイ等の表示装置を備え、この表示装置に仕切手段のセット位置を表示させるとの記載がある(0045段落、図14)。ユーザーは表示装置に表示された仕切手段のセット位置に一致する目盛を目盛部を見て探し出し、探し出した目盛に合わせて仕切手段をセットする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4278259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1に記載された薬剤分包装置では、表示装置が散剤収容枡から離れた位置にある。そのため、前記のように目盛を探し出す際に、ユーザーは表示装置の表示内容を記憶し、その上で視線を表示装置から目盛部に移動してから目盛を探し出す必要があって面倒であり、操作性が悪かった。
【0009】
そこで本発明は、ユーザーが簡単かつ正確に仕切手段のセット位置を認識でき、操作性の良い薬剤分包装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、薬剤を、入力された処方データに基づいて所定の分包数に分包する薬剤分包装置において、散剤が投入される散剤投入部と、前記散剤投入部に投入された散剤等、薬剤分包装置に供給された薬剤を分包する分包手段と、薬剤分包装置の各部を制御する制御部とを備え、前記散剤投入部は、長手方向に延びるように設けられ、散剤を収容可能な散剤収容枡と、当該散剤収容枡の内部において、当該長手方向における所定位置にセットされることで当該散剤収容枡の内部を仕切ることが可能な仕切手段と、当該散剤収容枡の近傍にて長手方向に延びるように設けられた位置表示手段とを有し、前記制御部は、前記入力された処方データから得られる分包数に基づいて、前記散剤収容枡における前記仕切手段のセット位置を前記位置表示手段に表示させることを特徴としている。
【0011】
なお、前記「近傍」とは、ユーザーが前記入力された処方データに基づいた位置へ仕切手段をセットする際に、散剤収容枡を見たユーザーの視野に入る程度の位置関係を意味する。
【0012】
前記構成によると、制御部が、入力された処方データから得られる分包数に基づいて、散剤収容枡における仕切手段のセット位置を位置表示手段に表示させることにより、薬剤分包装置に供給された薬剤が散剤であるか錠剤であるかを問わず、ユーザーはいちいち視線を移動させることなく、仕切手段をセットできる。
【0013】
そして、前記位置表示手段は、前記長手方向に並んで配置され、分包数に対応した複数の単位表示体からなることが好ましい。
【0014】
前記好ましい構成によると、位置表示手段が、長手方向に並んで配置され、分包数に対応した複数の単位表示体からなることにより、分包数に基づいた仕切手段のセット位置を正確に表示できる。
【0015】
そして、前記仕切手段は、散剤を分包する場合に、前記散剤収容枡の内部を散剤投入領域と散剤非投入領域とに仕切るものであり、前記制御部は、前記位置表示手段のうち、前記処方データに基づいた、前記仕切手段のセット位置に対応する単位表示体を第一の態様で表示させ、前記散剤非投入領域に対応する単位表示体を前記第一の態様とは異なる第二の態様で表示させることが好ましい。
【0016】
前記好ましい構成によると、制御部が仕切手段のセット位置に対応する単位表示体を第一の態様で表示させ、散剤非投入領域に対応する単位表示体を前記第一の態様とは異なる第二の態様で表示させることにより、仕切手段のセット位置をユーザーに報知でき、かつ、ユーザーによる散剤非投入領域への散剤の誤投入を抑制できる。なお、前記「第一の態様」及び「第二の態様」とは、各単位表示体の表示態様の区別のために用いた表現に過ぎず、当該区別を超えて本発明を制限的に解釈するものではない。
【0017】
そして、前記仕切手段は、散剤を分包する場合に、前記散剤収容枡の内部を散剤投入領域と散剤非投入領域とに仕切るものであり、前記制御部は、前記位置表示手段のうち、前記処方データに基づいた、前記仕切手段のセット位置に対応する単位表示体を第一の態様で表示させ、前記散剤非投入領域に対応する単位表示体を前記第一の態様とは異なる第二の態様で表示させ、前記散剤投入領域に対応する単位表示体を前記第二の態様と異なる第三の態様で表示させることが好ましい。
【0018】
前記好ましい構成によると、制御部が仕切手段のセット位置に対応する単位表示体を第一の態様で表示させ、散剤非投入領域に対応する単位表示体を前記第一の態様とは異なる第二の態様で表示させ、散剤投入領域に対応する単位表示体を前記第二の態様と異なる第三の態様で表示させることにより、仕切手段のセット位置をユーザーに報知でき、かつ、ユーザーによる散剤非投入領域への散剤の誤投入を抑制できる。なお、前記「第一の態様」乃至「第三の態様」とは、各単位表示体の表示態様の区別のために用いた表現に過ぎず、当該区別を超えて本発明を制限的に解釈するものではない。
【0019】
そして、前記制御部は、前記仕切手段が前記処方データに基づいたセット位置にセットされると、前記第一の態様で表示がなされていた単位表示体を当該態様とは異なる態様の表示に変化させるものとすることが好ましい。
【0020】
前記好ましい構成によると、制御部が、仕切手段が処方データに基づいたセット位置にセットされると、前記第一の態様で表示がなされていた単位表示体を当該態様とは異なる態様の表示に変化させることにより、仕切手段が処方データに基づいたセット位置に正しくセットされたことをユーザーが認識できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、ユーザーがいちいち視線を移動させることなく仕切手段をセットできるため、ユーザーが簡単かつ正確に仕切手段のセット位置を認識でき、操作性の良い薬剤分包装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置のうち上部を示す斜視図である。
【図2】同実施形態に係る薬剤分包装置の各部制御に関するブロック図である。
【図3】同実施形態に係る薬剤分包装置の位置表示手段の制御に関するフロー図である。
【図4】同実施形態に係る薬剤分包装置の位置表示手段の表示状態を示す概略図であり、(A)は処方データの入力後であって仕切手段のセット前を示し、(B)は仕切手段のセット後を示す。
【図5】従来の薬剤分包装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。
【0024】
本実施形態の薬剤分包装置10は、散剤投入部1、錠剤投入部2、分包手段、印字手段、コントローラ3を備えている。
【0025】
散剤投入部1は、散剤収容枡11と仕切手段12とを有している。散剤収容枡11は「V枡」とも呼ばれるもので、薬剤分包装置10の正面側から見て左右の長手方向に延びるように設けられたもので、上方が開放されており、ここにユーザーが分包するための散剤を投入する。
【0026】
この散剤収容枡11は、固定板111と、この固定板111に対して下側部分が当接及び離反可能に設けられた可動板112とを備えており、前記の各板111,112間に形成される縦断面がV字状の空間に、ユーザーが投入した散剤を一時的に収容することができる。ユーザーは、散剤収容枡11に収容された散剤の表面をヘラ等を用いて均した上で、薬剤分包装置10の本体(前記の散剤投入部1、錠剤投入部2、分包手段、印字手段の設けられた部分)に設けられた入力部52(図2参照)を操作することで、制御部51(図2参照)が固定板111に対して可動板112の下側部分が離反するように当該可動板を112を移動させ、薬剤分包装置10の内部に設けられた分割器(図示しない)へと散剤を落下させることができる。分割器に入った散剤は後に分包手段により分包される。なお、本実施形態のように入力部52ではなく、コントローラ3を操作することで散剤の落下をさせても良い。
【0027】
仕切手段12は板状あるいはブロック状のものであって、散剤収容枡の内部(前記V字状の空間)において長手方向に移動可能とされ、散剤の投入に先立ち、ユーザーによって前記入力された処方データに基づいた位置へスライドさせることでセットがなされる(セットの仕方については後述する)。このセットにより、仕切手段12は、散剤を分包する場合に、散剤収容枡11の内部を散剤投入領域11aと散剤非投入領域11bとに仕切る(図4(B)参照。
【0028】
次に、錠剤投入部2は薬剤分包装置10の上面に設けられたものであって、上側から見て前後左右に配置された複数の小分け枡21…21を有しており、ここにユーザーが手撒きで錠剤を供給する。そして、各小分け枡21…21の下部には開閉可能なシャッター22が設けられており、ユーザーが入力部52を操作することで、制御部51がこのシャッター22を開放し、落下した錠剤は後に分包手段により分包される。なお、本実施形態のように入力部52ではなく、コントローラ3を操作することで錠剤の落下をさせても良い。
【0029】
分包手段(図示しない)は、薬剤分包装置10の内部に設けられており、散剤投入部11及び錠剤投入部2に投入された散剤・錠剤、つまり、薬剤分包装置10に供給された薬剤を包装シートで1包毎に分包する分包処理を行うものである。
【0030】
なお本実施形態では、仕切手段12が分包手段で分包すべき分包数を指定するための入力スイッチを兼ねている。そのため、薬剤分包装置10の使用方法によって、散剤の分包を行わずに錠剤のみの分包を行う場合であっても、仕切手段12を処方データに基づいた位置へセットする必要がある。
【0031】
印字手段(図示しない)は、包装シートの外面に処方データに基づいた服用時期等の印字を行うものである。
【0032】
コントローラ3(図1上に破線表示)は、ユーザーにより処方データが入力され、当該処方データを薬剤分包装置10の本体に設けられた制御部51(図2参照)に送り、制御部51によって薬剤分包装置10の各部の動作を行わせるためのものである。
【0033】
本実施形態のコントローラ3としては、薬剤分包装置10の本体とデータ及び信号の授受ができるように接続されたノートパソコンが用いられる。このノートパソコンは、薬剤分包装置10の上面の一部であるコントローラ配置部4に載せて用いられる。また、このノートパソコンはハードウェアとしては汎用のものであって、ユーザーにより入力された処方データあるいは外部からの通信によって得た処方データを処理し、当該処方データに基づいて薬剤分包装置10の各部の動作を行わせるためのソフトウェアがインストールされたものである。
【0034】
なお、このようにノートパソコンを用いず、コントローラ3を薬剤分包装置10の本体と一体に設けても良い。また、ノートパソコンをコントローラ3として用いる場合、入力手段(キーボード)と表示手段(ディスプレイ)とが一体となるが、薬剤分包装置10の本体とコントローラ3とを一体とした場合においては、入力手段と表示手段とを離して設けても良い。
【0035】
本実施形態では、ユーザーが1日の服用回数及び投与日数を含む処方データを入力手段(キーボード)から入力すると、コントローラ3が分包数を算出して表示手段(ディスプレイ)に表示する。このコントローラ3で算出された分包数は、薬剤分包装置10の本体内の制御部51により取得され、制御部51は、当該分包数に応じた表示を位置表示手段13(後述)に表示させる。なお、このコントローラ3による分包数に応じた位置表示手段13の表示は、コントローラから処方データが入力された場合に限ってなされる。一方、処方データが入力されない場合、コントローラ3は位置表示手段13の表示に関与せず、ユーザーがセットした仕切手段12のセット位置に対応する分包数以下の分包数に対応する全ての単位表示体(LED)131…131を点灯表示する(図3参照)。
【0036】
次に、本実施形態の散剤投入部1は、前記の構成に加え、位置表示手段13を有している。この位置表示手段13は、散剤収容枡11の近傍(本実施形態では散剤収容枡11の背面側に隣接する位置)に、散剤収容枡11と長手方向に並んで配置された複数の単位表示体131…131からなる。単位表示体131は本実施形態ではLEDとされており、1包単位の一定間隔で長手方向に並んで配置されている。そして、各単位表示体131…131の近くには分包数を示す数字132が表示されている(図1上では部分的に表示しているように描かれているが、実際には全ての単位表示体131の近くに表示されている)。このように位置表示手段13が複数の単位表示体131…131からなることにより、分包数に基づいた仕切手段12のセット位置を正確に表示できる。
【0037】
位置表示手段13は、本実施形態のLEDからなるもの以外に、例えば液晶表示体(LCD)等、光、色彩、模様により表示態様を変化させ、ユーザーに対して視覚的に報知できる手段であれば、種々の手段を用いることができる。この表示態様を変化させることに関しては、例えばLEDの場合、点灯、点滅、消灯と、少なくとも3種の表示態様に変化させることができ、色彩を変えて点灯及び点滅をさせたり点滅周期を変化させることにより、更に多種の表示態様に変化させることができる。また、位置表示手段13は、本実施形態のように複数の単位表示体131…131からなるもの以外に、長手方向に細長い単一の表示体であっても良い。
【0038】
この位置表示手段13は、コントローラ3に処方データが入力された際、当該処方データに対応した仕切手段12のセット位置を表示することで、ユーザーに当該セット位置を報知する。詳しくは後述する。
【0039】
次に、ブロック図である図2を参照しつつ、薬剤分包装置10の各部制御について簡単に説明する。この各部制御のため、薬剤分包装置10には制御部51が設けられており、この制御部51に入力部52、表示部53、記憶部54、仕切手段位置検出部55、各部駆動系56が接続されている。
【0040】
制御部51は、薬剤分包装置10全体の制御を司る部分である。入力部52はコントローラ3とは別に薬剤分包装置10の設定入力を行う部分で、表示部53は当該設定入力に関する表示がなされる部分である(処方入力及び分包に関しての入力及び表示はコントローラ3によってなされる)。記憶部54はコントローラ3から制御部51が取得した処方データを一時的に記憶しておくことのできる部分である。仕切手段位置検出部55は散剤投入部1に設けられたセンサーであり、散剤収容枡11における仕切手段12の位置を検出する。各部駆動系55は、薬剤分包装置10の各部(例えば、散剤投入部1の可動板112、錠剤投入部2のシャッター22、分包手段、印字手段)を駆動させるための複数のモーター等の機構である。
【0041】
前記仕切手段位置検出部55のセンサーは、仕切手段12に設けられた磁石と、散剤収容枡11の固定板111の裏側に、1包単位の一定間隔で長手方向に並んで配置された(つまり、単位表示体131…131の配置と同じである)複数のホールICとから構成されている(図示しない)。各ホールICに仕切手段12の磁石が接近すると、この磁石による磁場を検出したホールICは、制御部51に対して信号を出力する。制御部51はこの信号を検知することによって、散剤収容枡11の内部における仕切手段12の位置を正確に把握できる。
【0042】
次に、フロー図である図3を参照しつつ、本実施形態の制御部51における位置表示手段13の制御について説明する。まず、分包手段が分包可能になった状態から位置表示手段13の制御が開始される(S1)。次に、前回分包時のLED設定がクリア(初期化)される(S2)。
【0043】
次に、制御部51は、コントローラ3からの処方データ入力の有無を判断する(S3)、処方データの入力がある場合は、コントローラ3から処方データを取得する。そして特に、分包数(のデータ)を取得する(S4)。そして次に、制御部51は、散剤投入部1における仕切手段12の現在位置を取得する(S5)。
【0044】
本実施形態では、前記のようにコントローラ3が分包数を算出するため、制御部51がコントローラ3から取得した処方データには分包数(のデータ)が含まれているが、これに限らず、制御部51は分包数(のデータ)が含まれていない処方データを取得し、制御部51内の演算によって分包数を求めても良い。
【0045】
そして、S4で取得した分包数に対応する仕切手段12のセット位置と、S5で得た仕切手段12の現在位置が同じかどうかを判断する(S6)。異なっていると判断した場合は制御部51のLED設定を点滅状態に設定した上で(S7)、図4(A)に示すように、制御部51は、S4で取得した分包数以下の分包数に対応する全ての単位表示体(LED)131…131(つまり、仕切手段12のセット位置を表示する単位表示体(LED)131aから図示左側にある全ての単位表示体(LED)131…131)を点滅表示させる(S8)。なお、前記点滅表示以外の単位表示体(LED)131…131は消灯している。その後、S5以降の処理が繰り返される。
【0046】
つまり、制御部51は、仕切手段12のセット位置に対応する単位表示体(LED)131aを第一の態様で表示(点滅表示)させ、散剤収容枡11の散剤非投入領域11bに対応する単位表示体(LED)131…131を第二の態様で表示(消灯表示)させ、散剤収容枡11の散剤投入領域11aに対応する単位表示体(LED)131…131を第三の態様で表示(点滅表示)させる。本実施形態では、第一の表示態様と第三の表示態様とがいずれも同じ点滅表示であるが、異なる表示態様であっても良い。
【0047】
ユーザーが前記点滅表示の単位表示体(LED)131aの位置に仕切手段12をセットした場合は、前記S6にて、分包数に対応する仕切手段12のセット位置と、S5で得た仕切手段12の現在位置が同じであると判断し、制御部51のLED設定を点灯状態に設定した上で(S9)、図4(B)に示すように、S4で取得した分包数以下の分包数に対応する全ての単位表示体(LED)131…131(つまり、仕切手段12のセット位置を表示する単位表示体(LED)131aから図示左側にある全ての単位表示体(LED)131…131)を点灯表示に変化させる(S10)。つまり、制御部51は、前記第一及び第三の態様で表示(点滅表示)がなされていた単位表示体(LED)131…131を当該態様とは異なる態様の表示(点灯表示)に変化させる。これにて制御が終了する(S11)。
【0048】
ちなみに、前記S3で処方データの入力がない場合には、制御部51は散剤投入部1における仕切手段12の現在位置を取得し(S12)、制御部51のLED設定を点灯状態に設定した上で(S13)、前記仕切手段12の現在位置に対応する分包数以下の分包数に対応する全ての単位表示体(LED)131…131を点灯表示に変化させる(S10)。これにて制御が終了する(S11)。
【0049】
前記S7及びS8のように、点滅表示の単位表示体(LED)131…131のうち、図4(A)に示す右端のものが単位表示体(LED)131aとなるが、この単位表示体(LED)131aが仕切手段12のセット位置を表示するため、ユーザーは、散剤収容枡11における仕切手段12のセット位置を容易に知ることができる。しかも、単位表示体(LED)131…131は散剤収容枡11の近傍に配置されているため、散剤収容枡11を見たユーザーが、いちいち視線を移動させることなく、図示右端の単位表示体(LED)131aを視野に入れることができる。そのため、ユーザーは簡単かつ正確に仕切手段12のセット位置を知ることができる。そしてユーザーは、点滅又は点灯表示している全ての単位表示体(LED)131…131により、散剤収容枡11において散剤投入領域11a(図4(B)参照)を迷わずに認識でき、散剤非投入領域11bへの散剤の誤投入を抑制できる。これらにより、薬剤分包装置10の操作性が向上する。
【0050】
なお、分包数が複数である場合は、仕切手段12のセット位置を表示する単位表示体(LED)131aと散剤投入領域11aに対応する単位表示体(LED)131…131とは異なるが、分包数が1包の場合に限り、仕切手段12のセット位置を表示する単位表示体(LED)131aが散剤投入領域11aに対応する単位表示体(LED)131を兼ねるものとなる。
【0051】
そして、前記S9及びS10のように、単位表示体(LED)131…131の表示態様が変化(点滅表示から点灯表示に変化)することにより、仕切手段12が入力された処方データに基づいた位置に正しくセットされたことをユーザーが知ることができる。ちなみに、仕切手段12が正しくセットされない限り、制御部51は分包を開始するための信号を分包手段に発信しないため、分包動作が開始されない。以上により、人為的な仕切手段12のセットミスを排除し、処方データに基づいて正しく分包を行うことができる。
【0052】
また、例えば点滅表示と点灯表示のように、個々の単位表示体(LED)131の表示態様を分けることにより、複数の情報(本実施形態では仕切手段12のセット位置と散剤収容枡11において散剤を投入する範囲)を表示できる。
【0053】
なお本実施形態では、前記のように単位表示体(LED)131を点滅表示させたり点灯表示させたりすることで、位置表示手段13のユーザーへの報知内容を区別するようにしているが、これに限らず、色彩あるいは模様を変化させることにより報知内容を区別するものであっても良い。
【0054】
また、コントローラ3から入力された処方データに基づく一連の分包処理が完了して、薬剤分包装置10内部に残った散剤の一部、及び、錠剤等が欠けることにより発生した粉塵を回収する集塵動作が行われた後に、次回処方についての処方データがコントローラ3より入力されている場合には、この次回の処方データに基づいて仕切手段12のセット位置を単位表示体(LED)131に表示するようにしても良い。
【符号の説明】
【0055】
10 薬剤分包装置
1 散剤投入部
11 散剤収容枡
11a 散剤投入領域
11b 散剤非投入領域
12 仕切手段
13 位置表示手段
131 単位表示体、LED
131a 仕切手段のセット位置に当たる単位表示体
51 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を、入力された処方データに基づいて所定の分包数に分包する薬剤分包装置において、
散剤が投入される散剤投入部と、
前記散剤投入部に投入された散剤等、薬剤分包装置に供給された薬剤を分包する分包手段と、
薬剤分包装置の各部を制御する制御部とを備え、
前記散剤投入部は、長手方向に延びるように設けられ、散剤を収容可能な散剤収容枡と、当該散剤収容枡の内部において、当該長手方向における所定位置にセットされることで当該散剤収容枡の内部を仕切ることが可能な仕切手段と、当該散剤収容枡の近傍にて長手方向に延びるように設けられた位置表示手段とを有し、
前記制御部は、前記入力された処方データから得られる分包数に基づいて、前記散剤収容枡における前記仕切手段のセット位置を前記位置表示手段に表示させることを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項2】
前記位置表示手段は、前記長手方向に並んで配置され、分包数に対応した複数の単位表示体からなることを特徴とする請求項1に記載の薬剤分包装置。
【請求項3】
前記仕切手段は、散剤を分包する場合に、前記散剤収容枡の内部を散剤投入領域と散剤非投入領域とに仕切るものであり、
前記制御部は、前記位置表示手段のうち、前記処方データに基づいた、前記仕切手段のセット位置に対応する単位表示体を第一の態様で表示させ、前記散剤非投入領域に対応する単位表示体を前記第一の態様とは異なる第二の態様で表示させることを特徴とする請求項2に記載の薬剤分包装置。
【請求項4】
前記仕切手段は、散剤を分包する場合に、前記散剤収容枡の内部を散剤投入領域と散剤非投入領域とに仕切るものであり、
前記制御部は、前記位置表示手段のうち、前記処方データに基づいた、前記仕切手段のセット位置に対応する単位表示体を第一の態様で表示させ、前記散剤非投入領域に対応する単位表示体を前記第一の態様とは異なる第二の態様で表示させ、前記散剤投入領域に対応する単位表示体を前記第二の態様と異なる第三の態様で表示させることを特徴とする請求項2に記載の薬剤分包装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記仕切手段が前記処方データに基づいたセット位置にセットされると、前記第一の態様で表示がなされていた単位表示体を当該態様とは異なる態様の表示に変化させることを特徴とする請求項3又は4に記載の薬剤分包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−231821(P2012−231821A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100639(P2011−100639)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(510154420)高園テクノロジー株式会社 (29)
【Fターム(参考)】