説明

薬害軽減剤および除草剤組成物

【課題】本発明は、除草活性成分であるベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤を含有する組成物において、除草活性成分が本来有している優れた除草効果を損なわずに、除草活性成分の薬害が軽減された除草剤組成物を得るにある。
【解決手段】除草活性成分としてベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤と、薬害軽減剤として水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムとを含有することを特徴とする構成要件とで、剤型が水和剤、粒剤、ジャンボ剤またはフロアブル剤のいずれかである除草剤組成物を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草活性成分の優れた除草効果を損なわずに、除草活性成分の薬害が著しく軽減された除草剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有用作物の生育に対して悪影響を及ぼす雑草を防除することを目的として、多種の除草活性成分が開発され、使用されている。それら除草活性成分は、雑草を防除する反面、散布時または散布後の畑・水田の状態や気象条件の急激な変化などの諸要因によって、有用作物の生育抑制や葉枯れなどの薬害を発生させる場合がある。
そのため、除草活性成分がひきおこす薬害を軽減する目的で様々の研究がなされており、その一環として種々の薬害軽減剤を添加した除草剤組成物が提案されている。しかし、従来の薬害軽減剤の中で、本発明で使用される除草活性成分であるベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤に対して有効な薬害軽減剤は、これまでに知られていない。
また、本発明で使用する水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムは、水性懸濁状農薬組成物における貯蔵時の貯蔵安定剤及び/又は使用時の水希釈液の保存安定剤(特許文献2)、あるいは再分散にすぐれる農薬を調製することができる農薬用無機粉体(特許文献1)として知られていたが、除草活性成分のベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤に対して、薬害軽減効果を有するという知見はこれまでえられていない。
【0003】
【特許文献1】特開平11−1405号公報
【特許文献2】特開平11−12116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
除草活性成分であるベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤を含有する組成物において、除草活性成分が本来有している優れた除草効果を損なわずに、除草活性成分の薬害が軽減された除草剤組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した。その結果、水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムが、除草活性成分であるベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤に対して薬害軽減効果を有することを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は以下の内容をその要旨とするものである。
(1)除草活性成分としてベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤と、水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムとを含有してなることを特徴とする、除草剤組成物。
(2)剤型が水和剤、粒剤、ジャンボ剤またはフロアブル剤のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の除草剤組成物。
(3)水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムを含有することを特徴とする、ベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤における薬害軽減剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明の除草剤組成物を実施すると次のような効果がもたらされる。すなわち、除草活性成分であるベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤が本来有している優れた除草効果を損なわずに、有用作物の生育抑制や葉枯れなどの薬害を軽減して、安全な除草剤組成物を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の除草剤組成物についてより詳細に説明する。
<除草活性成分ベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤について>
本発明における除草活性成分のベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤の具体例として、2−[(2’、4’−ジクロロ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(特開平10−59929号公報に記載の化合物。以下、化合物1と記載する。)、2−[(2’、4’−ジブロモ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(特開平10−59929号公報に記載の化合物。以下、化合物2と記載する。)、2−(2−クロロ−4−メチルベンゾイル)シクロシクロヘキサン−1,3−ジオン(一般名はsulcotrione)、2−(4−メシル−2−ニトロベンゾイル)シクロシクロヘキサン−1,3−ジオン(一般名はmesotrione)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
除草活性成分の製剤中への添加量は特に限定されないが、製剤100重量部中に通常0.1〜80重量部、好ましくは0.1〜60重量部である。
【0008】
本発明における除草剤組成物では、除草活性成分としてベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤を必須成分とするが、必要に応じてその他の除草活性成分を添加して混合製剤を得ることができる。
その他の除草活性成分として、MCPA、クロメプロップ、シハロホップブチル、フルジアホップ、フェンメディファム、デスメディファム、ベンチオカーブ、オルソベンカーブ、エスプロカルブ、モリネート、ピリブチカルブ、DCPA、アラクロール、プレチラクロール、メトラクロール、ブタクロール、ジメテナミド、テニルクロール、ブロモブチド、エトベンザニド、ジフルフェニカン、メフェナセット、ナプロパミド、カフェンストロール、イソキサベン、アシュラム、アニロホス、DCMU、リニュロン、シデュロン、ダイムロン、クミルロン、ベンスルフロンメチル、エトキシスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、アジムスルフロン、ハロスルフロンメチル、フラザスルフロン、シノスルフロン、チフェンスルフロンメチル、イマゾスルフロン、メトスルフロンメチル、シクロスルファムロン、ピリミノバックメチル、ビスピリバックナトリム塩、シメトリン、プロメトリン、ジメタメトリン、ターバシル、レナシル、PAC、ベンタゾン、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ、ピラフルフェンエチル、オキサジアゾン、パラコート、ジクワット、トリフルラリン、ペンディメタリン、オリザリン、フェントラザミド、ビアラホス、DBN、セトキシジム、クレトジム、ACN、ブタミホス、インダノファン、ベンフレセート、ペントキサゾン、オキサジクロメホン、ベンゾビシクロン、ピリフタリドなどが挙げられる。そして、これらの農薬活性成分は、1種または2種以上を併用しても何ら問題がない。
農薬活性成分の製剤中への添加量は特に限定されないが、製剤100重量部中に通常0.1〜70重量部、好ましくは0.3〜60重量部である。
また、本発明においては、農薬活性成分のほかに、植物成長調整成分などを添加してもかまわない。
なお、上記農薬性成分の例は、それぞれ単剤、2種以上の混合剤ともに「農薬ハンドブック2005年版」第475頁−674頁(社団法人日本植物防疫協会発行)に記載されている。
【0009】
<水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムについて>
本発明における水溶性カチオンコポリマーは、ジアリルアミン塩および/またはアルキルジアミン塩と非イオン性ビニルモノマーから構成されている。
アルキルジアミン塩のアルキル基は炭素数1〜8であるが、好ましくは炭素数1〜4である。また、ジアリルアミンおよび/またはアルキルジアミンの塩としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や酢酸、クエン酸、乳酸などの有機酸との塩が挙げられる。
非イオン性ビニルモノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸メチルエステル、メタアクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタアクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、メタアクリル酸ブチルエステルなどが挙げられるが、これらのうち、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドが好ましい。
炭酸カルシウム100重量部に対して、前述のアリルアミン塩および/またはアルキルジアミン塩と非イオン性ビニルモノマーを任意のモル比で配合して得られた水溶性カチオンコポリマー0.01〜5重量部を水溶液中で混合および湿式粉砕した後、乾燥して得られる粉末が表面改質された炭酸カルシムである。なお、粉末の平均粒子径は特に限定されないが、好ましくは5μm以下、更に好ましくは2μm以下である。
なお、このようにして製造されたものが使用できることはもちろんのこと、AFF−60(商品名:株式会社ファイマッテク製)、AFF−95(商品名:株式会社ファイマッテク製)、AFF−100(商品名:株式会社ファイマッテク製)など市販品も使用可能である。
そして、これらの水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムは、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
製剤中への添加量は、製剤100重量部中に通常0.5〜60重量部である。0.5重量部未満になると薬害の軽減効果がなくなり、60重量部より多く添加すると、顕著な薬害の軽減効果が認められなくなる。
【0010】
<その他の成分について>
本発明における除草剤組成物の剤型は、特に限定されないが、例として水和剤、粒剤、顆粒水和剤、ジャンボ剤、フロアブル剤などが挙げられる。
また、各剤型に応じて必要な助剤を添加することができ、例として界面活性剤、固体担体、溶剤、結合剤、水、増粘剤、安定化剤、防菌・防かび剤、農薬活性成分などが挙げられる。
【0011】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤および両性界面活性剤などがあげられ、これらの界面活性剤を1種または2種以上を併用してもかまわない。
このような非イオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、などがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
また、陰イオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェート、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩などがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
また、陽イオン界面活性剤および両性界面活性剤の例としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイドなどがあげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
製剤中への添加量は、製剤100重量部中に通常0.1〜30重量部である。
【0012】
固体担体の例として、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、ジークライト、セリサイト、酸性白土、珪石、ケイソウ土、ゼオライト、カオリン、ホワイトカーボン、塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、更には、グルコース、フルクトース、マルトース、シュークロース、ラクトースなどの単糖類、二糖類、多糖類などがあげられる。製剤中への添加量は、製剤100重量部中に通常0.5〜98重量部である。
ジャンボ剤のように組成物を水面に浮遊させたい場合は、ガラス質中空体、合成樹脂中空体、木粉、コルクなどの水面浮遊基剤も必要に応じて併用することができる。 製剤中への添加量は、製剤100重量部中に通常0.5〜98重量部である。
なお、これらの例示のみに限定されるものではなく、上記の固体担体は、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。
【0013】
溶剤としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオレイル、アジピン酸ジイソデシル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジデシル、トリメット酸2−エチルヘキシル、トリメット酸トリデシルなどの多塩基酸アルコールエステル、2−エチルヘキサン酸セチル、ヤシ脂肪酸セチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、オレイン酸メチル、オレイン酸オクチルなどの脂肪酸アルコールエステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエートなどの多価アルコール脂肪酸エステル、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールなどの高級アルコール、メチルジグリコール、メチルトリグリコール、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルなどのグリコールエーテル、1,2−ジメチル−4−エチル−ベンゼン、メチルナフタレン、1−フェニル−1−キシリルエタン、1−キシリル−1−(3−α−メチルベンジルフェニル)エタンなどの芳香族炭化水素、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、流動パラフィンなどのパラフィン系炭化水素、大豆油、ヤシ油、ナタネ油、キリ油、ヒマシ油、綿実油などの植物油が挙げられるが、これらの例示のみに限定されるわけではない。
また、溶剤は、1種または2種以上を併用しても何ら問題ない。製剤中への添加量は、製剤100重量部中に通常0.1〜20.0重量部である。
【0014】
結合剤の例としては、ポリビニルアルコール、デンプン、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロースなどが挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。製剤中への添加量は、製剤100重量部中に通常0.1〜20.0重量部である。
【0015】
増粘剤は、フロアブルなどの水性懸濁液の組成物の沈降防止を目的に使用され、例としては、キサンタンガム、グアガム、ウェランガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、コロイド性含水珪酸アルミニウム、コロイド性含水珪酸マグネシウムなどが挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。製剤中への添加量は、製剤100重量部中に通常0.05〜20.0重量部である。
【0016】
防菌・防かび剤の例としては、ソルビン酸カリウム、パラクロロメタキシレノール、p-オキシ安息香酸ブチルなどが挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
農薬活性成分の安定化剤の例として、酸化防止剤(アスコルビン酸、BHT、BHAなど)、紫外線防止剤(PABA、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、サリチル酸フェニルなど)があげられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
【0017】
本発明における除草剤組成物は、例えば次の方法によって製造できる。
水和剤の製造方法としては、除草活性成分としてベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤と水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムの他に界面活性剤、固体担体などの補助剤を添加し、混合して得られる。
粒剤、顆粒水和剤、ジャンボ剤の製造方法としては、除草活性成分としてベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤と水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムの他に界面活性剤、固体担体、結合剤などの補助剤を添加し、よく混合する。得られた混合物に対して押出し造粒機、転動造粒機、噴霧乾燥造粒機にて粒状成型物を製造して得られる。本発明の除草剤組成物は、重量、大きさ、形状については特に制限はなく、目的を達成しうる範囲内で適宜変更して実施できる。
フロアブルの製造方法としては、除草活性成分としてベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤と水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムの他に界面活性剤、増粘剤など補助剤を水中で混合、または必要に応じて湿式粉砕・混合して得られる。
上記の方法により製剤化した本発明の除草剤組成物を散布すると、有用作物の生育に対して悪影響を及ぼす雑草を防除し、且つ、有用作物に対して生育抑制などの薬害の発生を抑制することができる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例において「部」は、「重量部」の意味である。
[実施例1]
2−[(2’、4’−ジクロロ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物1)20.0部、AFF−95(株式会社ファイマテック製)30.0部、アルキル硫酸ナトリム塩2.0部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル1.0部、およびクレー47.0部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)で混合して、本発明の除草剤組成物の水和剤を得た。前述の除草剤組成物を水にて20倍に希釈した水溶液20μlを薬害試験と除草試験に供試した。
【0019】
[実施例2]
2−[(2’、4’−ジクロロ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物1)1.0部、AFF−95(株式会社ファイマテック製)10.0部、アルキル硫酸ナトリム塩2.0部、デキストリン5.0部、およびクレー82.0部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)で混合後、この混合物100部に対し、水10.0部を添加し、双腕ニーダー(不二パウダル株式会社製)で混練混合する。次に、1.2mm径のスクリーンを付けた押出し造粒機(日本薬業株式会社製)で造粒し、さらに流動層乾燥機(不二パウダル株式会社製)で乾燥した後、目開き1.7mmと0.85mmの篩を用いて篩別して、本発明の除草剤組成物の粒剤を得た。前述の除草剤組成物20mgを薬害試験と除草試験に供試した。
【0020】
[実施例3]
2−[(2’、4’−ジブロモ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物2)1.0部、AFF−95(株式会社ファイマテック製)60.0部、アルキル硫酸ナトリム塩2.0部、デキストリン5.0部、およびクレー32.0部を実施例2に準じて製造して、本発明の除草剤組成物の粒剤を得た。前述の除草剤組成物20mgを薬害試験と除草試験に供試した。
【0021】
[実施例4]
2−[(2’、4’−ジクロロ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物1)1.0部、シメトリン4.5部、AFF−60(株式会社ファイマテック製)3.0部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリム塩2.0部、カルボキシメチルセルロース3.0部、およびクレー86.5部を実施例2に準じて製造して、本発明の除草剤組成物の粒剤を得た。前述の除草剤組成物20mgを薬害試験と除草試験に供試した。
【0022】
[実施例5]
2−[(2’、4’−ジクロロ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物1)2.0部、AFF−60(株式会社ファイマテック製)10.0部、リグニンスルホン酸ナトリム塩10.0部、ジアルキルスルホコハク酸ナトリム塩2.0部、シラスバルーン40.0部、およびクレー36.0部をハンマーミル(不二パウダル株式会社製)で混合後、この混合物100部に対し、水20.0部を添加し、双腕ニーダー(不二パウダル株式会社製)で混練混合する。次に、1.5mm径のスクリーンを付けた押出し造粒機(日本薬業株式会社製)で造粒し、さらに流動層乾燥機(不二パウダル株式会社製)で乾燥した後、目開き2.0mmと1.18mmの篩を用いて篩別して、本発明の除草剤組成物のジャンボ剤を得た。得られた粒状物10mgをポリビニルアルコールのフィルム(厚さ40μm)包装して、薬害試験と除草試験に供試した。
【0023】
[実施例6]
水93.5部に2−[(2’、4’−ジクロロ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物1)2.0部、AFF−95(株式会社ファイマテック製)0.5部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル2.0部を加えて、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて混合する。その後、硬質ガラスビーズを用いてダイノミルKDL(Willy
A. Bachofen AG製)にて湿式粉砕し、更に、ウェランガム2.0部を添加してスリーワンモーター(HEIDON製)でよく撹拌して、本発明の除草剤組成物のフロアブルを得た。前述の除草剤組成物10mlを薬害試験と除草試験に供試した。
【0024】
[比較例1]
2−[(2’、4’−ジクロロ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物1)20.0部、アルキル硫酸ナトリム塩2.0部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル1.0部、およびクレー77.0部を実施例1に準じて製造し、水和剤の除草剤組成物を得た。前述の除草剤組成物を水にて20倍に希釈した水溶液20μlを薬害試験と除草試験に供試した。
【0025】
[比較例2]
2−[(2’、4’−ジクロロ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物1)1.0部、アルキル硫酸ナトリム塩2.0部、デキストリン5.0部、およびクレー92.0部を実施例2に準じて製造し、粒剤の除草剤組成物を得た。前述の除草剤組成物20mgを薬害試験と除草試験に供試した。
【0026】
[比較例3]
2−[(2’、4’−ジブロモ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物2)1.0部、アルキル硫酸ナトリム塩2.0部、デキストリン5.0部、およびクレー92.0部を実施例2に準じて製造して、粒剤の除草剤組成物を得た。前述の除草剤組成物20mgを薬害試験と除草試験に供試した。
【0027】
[比較例4]
2−[(2’、4’−ジブロモ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物2)1.0部、AFF−95(株式会社ファイマテック製)70.0部、アルキル硫酸ナトリム塩2.0部、デキストリン5.0部、およびクレー22.0部を実施例2に準じて製造して、粒剤の除草剤組成物を得た。前述の除草剤組成物20mgを薬害試験と除草試験に供試した。
【0028】
[比較例5]
2−[(2’、4’−ジブロモ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物2)2.0部、AFF−95(株式会社ファイマテック製)0.1部、アルキル硫酸ナトリム塩2.0部、デキストリン5.0部、およびクレー93.9部を実施例2に準じて製造して、粒剤の除草剤組成物を得た。前述の除草剤組成物20mgを薬害試験と除草試験に供試した。
【0029】
[比較例6]
AFF−95(株式会社ファイマテック製)10.0部、アルキル硫酸ナトリム塩2.0部、デキストリン5.0部、およびクレー83.0部を実施例2に準じて製造し、粒剤の組成物得た。前述の除草剤組成物20mgを薬害試験と除草試験に供試した。
【0030】
[比較例7]
2−[(2’、4’−ジクロロ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物1)1.0部、アルキル硫酸ナトリム塩2.0部、デキストリン5.0部、および炭酸カルシム92.0部を実施例2に準じて製造し、粒剤の除草剤組成物を得た。前述の除草剤組成物20mgを薬害試験と除草試験に供試した。
【0031】
[比較例8]
2−[(2’、4’−ジクロロ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物1)2.0部、リグニンスルホン酸ナトリム塩10.0部、ジアルキルスルホコハク酸ナトリム塩2.0部、シラスバルーン40.0部、およびクレー46.0部を実施例5に準じて製造し、包装されたジャンボ剤の除草剤組成物を得た。前述の除草剤組成物10mg包装物を薬害試験と除草試験に供試した。
【0032】
[比較例9]
水94.0部に2−[(2’、4’−ジクロロ−3’−(メチルチオメチルオキシ)ベンゾイル]−1,3−シクロヘキサジオン(化合物10)2.0部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル2.0部、ウェランガム2.0部を実施例6に準じて製造し、フロアブルの除草剤組成物を得た。前述の除草剤組成物10mlを薬害試験と除草試験に供試した。
【0033】
次に試験例により、本発明の除草剤組成物の有用性を示す。
[試験例1] 薬害試験
1/5000アールの大きさのワグネルポットに水田土壌を充填して、第2葉期の水稲苗(品種:日本晴)を移植(湛水深3cm)した。その後の管理は17〜28℃のガラス室内で行い、水稲移植の5日後に薬剤を散布した。薬剤散布より28日後に水稲の株元の最長葉の先端までの長さ(cm)を「草丈」として測定する。また、併せて、茎葉部、根部の乾燥重量(g)も測定した。同時期に薬剤の無処理区についても草丈と各部分の乾燥重量を測定し、下記式により薬害の程度を比較した。なお、各試験は3連制で実施し、試験結果の値は平均値で記載する。
その試験結果を表1(実施例)、表2(比較例)に示す。
【0034】
【数1】

【0035】
【数2】

【0036】
【数3】

【0037】
[試験例2] 除草試験
1/5000アールの大きさのワグネルポットに水田土壌を充填後、アゼナの種子土壌表層に播種し、湛水深3cmとした。その後の管理は17〜28℃のガラス室内で行い、ワグネルポット内のアゼナの個体数を10体に調整し、アゼナ4.0葉時期に薬剤を散布した。薬剤散布40日後に試験区内に残存するアゼナを抜き取り、その乾燥重量(g)を測定し、下記式にて除草効果(%)を求めた。なお、各試験は3連制で実施し、試験結果の値は平均値で記載する。
結果は表1(実施例)、表2(比較例)に示す。
【0038】
【数4】

【0039】
【表1】

【0040】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
除草活性成分としてベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤と、水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムとを含有してなることを特徴とする、除草剤組成物。
【請求項2】
剤型が水和剤、粒剤、ジャンボ剤またはフロアブル剤のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項3】
水溶性カチオンコポリマーで表面改質された炭酸カルシウムを含有することを特徴とする、ベンゾイルシクロヘキサジオン系除草剤における薬害軽減剤。

【公開番号】特開2009−256279(P2009−256279A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109875(P2008−109875)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000242002)北興化学工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】