説明

薬液含有ティシュペーパーの製造方法及び薬液中の紙粉除去装置

【課題】薬液を循環使用する際に薬液に混入する紙粉を効率的に除去し、塗布液の粘度を安定化させ、塗布量のバラツキを抑制することができる装置および方法を提供する。
【解決手段】通液性で紙粉を捕捉する無端フィルターベルト10と、その連続方向の位置を変更可能に支持する手段15と、透過液を収容する濾液受けパン20と、薬液含有ティシュペーパーの製造ラインにおける薬液塗布装置53の薬液収容容器との間で構成される薬液の第1循環路内に設けた貯留タンクと、第1循環路からの紙粉含有液が、フィルターベルト10の上方走行部上に供給され、その透過液を前記濾液受けパン20により受けて、第1循環路に対して返送する第2循環路を備え、フィルターベルト10は紙粉含有液の受け位置を変更更新するように操作可能され、フィルターベルト10上に堆積した紙粉は、受け位置と異なる位置で排除するようにした薬液中の紙粉除去装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液塗布ティシュペーパーの製造工程において、薬液中の紙粉を除去する方法及び装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
表面に保湿剤や柔軟剤等の薬液を塗布した、ローションタイプとも言われるティシュペーパーはよく知られる(特許文献1)。
このような薬液塗布ティシュペーパーを製造するにあたり、柔軟剤やグリセリンを主原料とする保湿剤は高価であることから、これらの塗布薬液の有効利用や廃棄時に環境に与える影響を考慮し、薬液塗布工程での薬液の塗布効率をできるだけ高くするよう余剰の薬液は回収して再度塗布工程に供する、いわゆる薬液の循環使用を行うのが一般的である。しかし、塗布工程より回収された薬液には紙粉が混入し、塗布時間、塗布流れとともに塗布薬剤中の紙粉量が増加して薬剤の粘度が増加し、塗布量が増加したり、塗布幅方向や流れ方向での塗布量のばらつきが大きくなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−9121号公報
【特許文献2】特開2008−264564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の主たる課題は、薬液塗布ティシュペーパーの製造工程において、薬液を循環使用する際に薬液に混入する紙粉を効率的に除去し、結果として、塗布液の粘度を安定化させ、塗布量のバラツキを抑制することができる装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明は次記の通りである。
<請求項1記載の発明>
通液性で紙粉を捕捉する無端フィルターベルトと、その連続方向の位置を変更可能に支持する手段と、前記フィルターベルトの上方走行部の裏面側にあって、透過液を収容する濾液受けパンと、薬液含有ティシュペーパーの製造ラインにおける薬液塗布装置の薬液収容容器との間で構成される薬液の第1循環路内に設けた貯留タンクと、
さらに、前記第1循環路からの紙粉含有液が、前記フィルターベルトの上方走行部上に供給され、その透過液を前記濾液受けパンにより受けて、前記第1循環路に対して返送する第2循環路を備え、
前記フィルターベルトは紙粉含有液の受け位置を変更更新するように操作可能とされ、フィルターベルト上に堆積した紙粉は、前記受け位置と異なる位置で排除するようにした
ことを特徴とする薬液中の紙粉除去装置。
【0006】
(作用効果)
ティシュペーパー原紙に対して薬液を塗布する場合、浸漬、ロール転写、スプレー塗布、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式によるなど公知の塗布方法をいずれも使用することができる。しかし、いずれの塗布方法によっても塗布時薬液の全量がティシュペーパー原紙に塗布されるものではなく、浸漬槽、版、ロールに未塗布薬液が残り、塗布薬液に未塗布液が混入される。薬液は安価ではないし、しかも、廃液とするとしても廃液処理による環境への影響もある。そこで、未塗布薬液は回収して再度塗布に供するのが望ましい。
【0007】
しかし、未塗布薬液を回収すると、ティシュペーパー原紙の高速での走行によって飛散した紙粉が、あるいは紙から版へ薬剤とは逆に転移した紙粉が未塗布薬液に混入し、回収した未塗布薬液の再利用を継続すると紙粉の含有量の増大に伴って徐々に薬液の粘度が高まり、ティシュペーパー原紙への塗布量が増大し、また塗布幅方向や流れ方向において塗布量のばらつきが生じる問題があった。また、フレキソ印刷方式やグラビア印刷方式の場合には、版の目詰まりの原因となり、均一な塗布を妨げるという問題があった。
そこで、本発明では、回収した未塗布薬液を含む紙粉含有液をフィルターベルトに供給し濾過し、濾液を塗布液として使用するようにすることにより、塗布液中への紙粉の混入を抑制することができる。
【0008】
薬液塗布を行なう浸漬式、ロール転写方式、スプレー塗布方式、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式のいずれも薬液収容容器からの薬液をティシュペーパー原紙に塗布するものである。しかるに、その薬液収容容器の粘度は可能な限り一定であることが望ましいので、別途、貯留タンクを設けて薬液収容容器との間で薬液を循環させる第1循環路を構成するのが望ましい。
【0009】
さらに、この第1循環路から、望ましくは前記の貯留タンクから紙粉含有液を抜き出して、フィルターベルトの上方走行部上に供給し、その透過液を濾液受けパンにより受けて、第1循環路に対して、望ましくは前記の貯留タンクに返送する第2循環路を設けると、紙粉の除去を第2循環路内の濾過装置で連続的に除去するために、第1循環路内には紙粉の含有量が増大することなく経時的に安定した状態となり、安定した塗布量をもって塗布を行なうことができる。
【0010】
前記フィルターベルトは無端であるために、紙粉の堆積が進行し目詰まりが進行した時点では、濾過速度が低下し、紙粉含有液の受け位置において、薬液があふれ出てしまうことがある。特に、起泡性の薬液の場合には溢れ出を生じる傾向が高い。この場合には、フィルターベルトをあるピッチ分前進走行させ、紙粉含有液の受け位置を変更更新することにより、濾過能力の低下を防止できる。
【0011】
ここで、必要ならば、フィルターベルトは連続的に前進走行させてもよいが、ベルト上に残存する液を可能な限り減じるために、ベルト上の液を一定時間静置しベルトを通過させることのできる、間欠走行とする方が好ましい。フィルターベルトの前進走行は自動的に行なうほか、人力によってもよい。
【0012】
他方、濾過をバッチ処理によることが考えられるが、使用した濾布を廃棄するのは経済的ではないし、濾布を再生する方式も可能であるが、その再生機構のコストが嵩むものとなる。
【0013】
これに対し、本発明では無端フィルターベルトを使用しているので、フィルターベルト上に堆積した紙粉は、その性質上、前記受け位置と異なる位置でエアの吹付などで容易に排除できるために、簡素な構成で自動的に紙粉の除去が可能である。
【0014】
なお、後述のように、特に高速で塗布方式する場合には、フレキソ印刷方式とすることが好ましく、特にドクターチャンバーを用いたフレキソ印刷方式とすることが好ましい。高速でのフレキソ印刷方式においては、未塗布薬液中に紙粉が大量に混入することを知見しており、本発明例の薬液中の紙粉除去装置を有効に適用できる。
【0015】
<請求項2記載の発明>
前記濾液受けパンにより受けた濾液は、前記貯留タンクに対して返送されるようにした請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【0016】
(作用効果)
濾液受けパンにより受けた濾液は紙粉をほとんど含有しないので、貯留タンクに返送し、塗布液として使用することができる。なお、薬液塗布装置の薬液収容容器又はその近くに返送すると、紙粉含有回収未塗布薬液中との接触を防止しながらそのまま塗布に供することができるので、薬液収容容器中の薬液の粘度の安定及び紙粉混入の防止の観点から、より好ましい形態である。
【0017】
<請求項3記載の発明>
原薬液が前記第1循環路に対して補給されるようにした請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【0018】
(作用効果)
原薬液は、第1循環路に対して、たとえば貯留タンク内に補給される。紙粉を含有しない原薬液についても、濾液受けパンにより受けた濾液と同様に、そして同様の理由により、薬液塗布装置の薬液収容容器又はその近くに補給すると、紙粉含有回収未塗布薬液中との接触を防止しながらそのまま塗布に供することができるので、薬液収容容器中の薬液の粘度の安定及び紙粉混入の防止の観点から、より好ましい形態である。
【0019】
<請求項4記載の発明>
前記フィルターベルトの上方走行部の裏面側に金属製無端メッシュベルトが設けられ、その無端メッシュベルトの下方に前記濾液受けパンが設けられている請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【0020】
(作用効果)
フィルターベルトとしては、不織布、合成繊維織物、金属製メッシュを使用できるが、適度なメッシュを確保するうえで、金属製メッシュでは粗すぎて適切ではない。したがって、不織布や合成繊維織物を使用できるが、これ単独であると、形状的に安定しない。特に、実施の形態のように、フィルターベルトの上方走行部の少なくとも前後にそれぞれ左右一対を下方に押し下げ、このフィルターベルトの押し下げ領域に左右の壁及び前後の壁を形成して濾過用の液溜まりを形成しようとする場合に、形状安定性に劣る。そこで、上方走行部の裏面側に金属製無端メッシュベルトを設けると、濾過用の液溜まりの形成が容易である。フィルターベルトを透過した濾液は、金属製無端メッシュベルトも透過し、濾液受けパンに受けられる。
【0021】
<請求項5記載の発明>
前記フィルターベルトは、駆動回転ロールと対向するロールとの間でサンドイッチされて前進するようにした請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【0022】
(作用効果)
この形態によると、フィルターベルト前進走行が簡易である。
【0023】
<請求項6記載の発明>
前記フィルターベルトの上方走行部の少なくとも前後にそれぞれ左右一対を下方に押し下げ、このフィルターベルトの押し下げ領域に左右の壁及び前後の壁を形成している請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【0024】
(作用効果)
前述のように濾過用の液溜まりを形成し、フィルターベルトを前進走行させ液溜まりを更新させるようにすると、順次新鮮な濾過部を形成でき、紙粉の堆積を防止できる。
【0025】
<請求項7記載の発明>
前記フィルターベルトの上方走行部の裏面側に金属製無端メッシュベルトが設けられ、その無端メッシュベルトの下方に前記濾液受けパンが設けられおり、
前記フィルターベルトの上方走行部の少なくとも前後にそれぞれ左右一対を前記メッシュベルトと共に下方に押し下げ、前記フィルターベルト及び前記メッシュベルトの押し下げ領域に左右の壁及び前後の壁を形成している請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【0026】
(作用効果)
前記フィルターベルト及び前記メッシュベルトの両者を押し下げるようにすると、濾過用の液溜まりの形状安定性に優れる。
【0027】
<請求項8記載の発明>
フィルターベルト上に堆積した紙粉は、フィルターベルトの裏面から表面へのエア噴射により除去し、第2の固液分離手段により紙粉と薬液とを分離するようにした請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【0028】
(作用効果)
受け位置と異なる位置で、フィルターベルト上に堆積した紙粉をエアの吹付などで容易に排除できるが、その排除紙粉中にも薬液が含有されているので、第2の固液分離手段たとえば小型の遠心分離器により紙粉と薬液とを分離し、薬液は回収するのが望ましい。
【0029】
<請求項9記載の発明>
前記第2の固液分離手段により分離した薬液と前記濾液受けパンにより受けた濾液との両者を、前記第1循環路に対して返送されるようにした請求項8記載の薬液中の紙粉除去装置。
【0030】
(作用効果)
前記第2の固液分離手段により分離した薬液は、濾液受けパンにより受けた濾液との両者を、前記第1循環路に対して返送することができ、系外への薬液の廃棄を防止できる。
【0031】
<請求項10記載の発明>
通液性で紙粉を捕捉する無端フィルターベルトと、その連続方向の位置を変更可能に支持する手段と、前記フィルターベルトの上方走行部の裏面側にあって、透過液を収容する濾液受けパンと、薬液含有ティシュペーパーの製造ラインにおける薬液塗布装置の薬液収容容器との間で構成される薬液の第1循環路内に設けた貯留タンクと、前記第1循環路からの紙粉含有液が、前記フィルターベルトの上方走行部上に供給され、その透過液を前記濾液受けパンにより受けて、前記第1循環路に対して返送する第2循環路とを備えた紙粉除去装置を使用し、
前記フィルターベルトの上方走行部に紙粉含有液を供給し、前記フィルターベルトを連続的又は間欠的に走行させ、フィルターベルト上に堆積した紙粉は、前記受け位置と異なる位置で排除することを特徴とする薬液中の紙粉除去方法。
【0032】
(作用効果)
請求項1と同様の効果を奏する。
【0033】
<請求項11記載の発明>
通液性で紙粉を捕捉する無端フィルターベルトと、その連続方向の位置を変更可能に支持する手段と、前記フィルターベルトの上方走行部の裏面側に設けられた金属製無端メッシュベルトと、その無端メッシュベルトの下方に設けられ濾液受けパンと、薬液含有ティシュペーパーの製造ラインにおける薬液塗布装置の薬液収容容器との間で構成される薬液の第1循環路内に設けた貯留タンクと、前記第1循環路からの紙粉含有液が、前記フィルターベルトの上方走行部上に供給され、その透過液を前記濾液受けパンにより受けて、前記第1循環路に対して返送する第2循環路とを備えた紙粉除去装置を使用し、
前記フィルターベルトの上方走行部に紙粉含有液を供給し、前記フィルターベルトを連続的又は間欠的に走行させ、フィルターベルト上に堆積した紙粉は、前記受け位置と異なる位置で排除することを特徴とする薬液中の紙粉除去方法。
【0034】
(作用効果)
請求項1及び請求項4と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、薬液塗布ティシュペーパーの製造工程で薬液の循環使用を行うにあたり、薬液中に混入する紙粉等の紙粉を自動的に、かつ効率よく除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る薬液中の紙粉除去装置及び配管の一例を示すフロー図である。
【図2】フィルターベルト、メッシュベルトの上方走行面押し下げ部分の幅方向断視図である。
【図3】フィルターベルトの上方走行面上のフィルター押し下げロールの配置を模式的に示す上面図である。
【図4】本発明に係る薬液中の紙粉除去装置及び配管の別の一例を示すフロー図である。
【図5】ティシュペーパーの製造設備、製造方法を示す概略図である。
【図6】フレキソ塗布に係る装置の一例を示す概略図である。
【図7】グラビア塗布に係る装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明において、装置のフィルターベルト移動方向を「前後方向」あるいは「長手方向」とし、装置上方から見たフィルターベルトが向かう方向を「前方向」、逆を「後ろ方向」とする。また、フィルターベルトの移動方向と垂直な方向を「側方」あるいは「幅方向」と表記する。
【0038】
(薬液の例)
本発明に係る装置において紙粉を除去される薬液の成分は、特に限定されるものではないが、以下、当該装置に供される薬液の成分の例について示す。
ティシュペーパーに付与する薬液の粘度は、加工速度を向上させる観点から、40℃で1〜700mPa・sとすることが好ましく、特に50〜400mPa・sとすることが好ましい。1mPa・sより小さいと薬液が飛散しやすくなり装置の汚損につながり、逆に700mPa・sより大きいと塗布量をコントロールしにくくなる。
成分はポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬品を0.01〜22%含むものとすることが好ましい。
ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
【0039】
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0040】
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を助けたり、維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
【0041】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
【0042】
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
薬液塗布時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0043】
(薬液中の紙粉除去装置本体の構成)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の薬液中の紙粉除去装置と配管の一例を示すフロー図である。図1において、薬液中の紙粉除去装置本体1の円柱型の駆動回転ロール12と内周テンションロール14が、断面が側面を向くように設置されており、無端状の金属性メッシュベルト11がロール12、13に巻きかけられている。更に無端メッシュベルト11の上下前後を取り囲み、かつ外周テンションロール14を覆うように無端のフィルターベルト10が巻きかけられている。駆動回転ロール12はベルト駆動用減速機21に連結されており、ベルトの走行及び走行速度制御を可能としている。駆動回転ロール12の回転により、メッシュベルト11とフィルターベルトが駆動回転ロール12とブロックロール17に挟みこまれて移動する。
【0044】
フィルターベルト10は、ポリエステル等の樹脂製、金属性メッシュシート等、通常ベルト型濃縮機に使用されるものを使用できるが、後述するように押し下げによりベルト形状を一部変形させながら移動させるため、可橈性に優れた樹脂製のフィルターを使用することがより好ましい。薬液濾過は、特に薬液に混入する紙粉の除去を目的としており、紙粉の大きさは平均繊維長で0.3〜3.0mmであることから、フィルターは、網目が縦、横それぞれ20〜50本で、糸の太さ0.25〜0.8mmのものを使用することが好ましい。
【0045】
メッシュベルト11を省略し、フィルターベルト10を直接駆動回転ロール12に巻きかける形態とすることもできるが、フィルターベルトの形状を安定させ、かつフィルターベルトを確実に移動させるためにメッシュベルト11を使用することが好ましい。メッシュベルト11は、濾過機能を付加するものではないため、フィルターベルトに比して疎なメッシュを使用することが望ましい。メッシュベルトの素材は、ステンレス、アルミニウム、ポリエチレン等、水分の付着による錆びの生じにくいものとすることが好ましい。金属チェーンメッシュベルトは、上方走行面の押し下げにより凹部を形成する程度の可橈性を有することが好ましい。
【0046】
図2、図3に示すように、メッシュベルト11とフィルターベルトが重なる上方走行面のうち少なくとも2箇所(図示例では4箇所)がフィルター押し下げロール15により押し下げられることにより、凹部が形成される。押し下げ手段は、ロールに限られず、例えば角のない樹脂製の凸部によってもよいが、その場合、押し下げられた状態のフィルターベルトをそのまま移動させると、押し下げ手段とベルトの摩擦によりベルトが破損する恐れがある。
【0047】
押し下げ手段により形成された凹部は、被濾過薬液が薬液供給管より直接導入される薬液貯留部16となる。薬液貯留部には液量検知手段が備えられ(図示せず)、フィルターの目詰まりにより貯留量が一定量を超えるとフィルターベルトが移動する構成となっている。液量検知手段は、公知の液量検知手段のいずれを使用してもよく、ボールタップ、水位計、微圧センサ等、公知の液量検知機器をいずれも使用できる。
【0048】
フィルター押し下げロール15は、2か所以上備えるものとし、4か所以上備えることがより好ましい。フィルター押し下げロールの配置を図3に例示するが、フィルター押し下げロールを2つ以上使用し、かつフィルターベルト上面に凹部を形成する構成であれば、フィルター押し下げロールの配置は特に図示例に限定されるものではない。貯留量の多い凹部を上方走行面に形成するためには、最もフィルター側部側に位置するフィルター押し下げロールのフィルター幅方向側部からの距離aは、フィルターの幅方向の長さbの10〜50%、より好ましくは20〜35%とすることが好ましい。10%より側部に近い位置に配置すると凹部に深さを持たせることができず、また、50%より幅方向中央寄りとすると、フィルターベルト側部の撓みが大きくなり、凹部の形状及び容量が安定しにくい。
【0049】
フィルターが目詰まりを起こして薬液貯留部の液量が一定量を超えると、目詰まりを起こした部分が前方に移動し、目詰まりを起こしていない部分が新たな薬液貯留部を形成する。この際、凹部を形成していたフィルターが平坦となる部分において、フィルターに随伴して移動してきた薬液により側部から液漏れを生じる恐れがある。また、薬液が前方、及び下方へ移動すると、後述のバッチ操作による遠心分離に供する薬液量が増大し、バッチ操作の回数が増大し操作が煩雑となる。そのため、フィルターベルトの当該部分を横断するように、側面に断面を有するブロックロール17を備え、フィルター移動に随伴して移動する薬液を、新たに形成される薬液貯留部へ押し戻す構成とすることが望ましい。ブロックロール17は、表面が吸水性を備えたスポンジフォーム、ウレタンフォーム等で構成されており、駆動回転ロール12の上方に配されることが好ましい。ブロックロール17に吸収された薬液は、ブロックロール17と駆動回転ロール12との間に生じた押圧により、絞り出されるように薬液貯留部に押し出される。
【0050】
ブロックロール17を通過した後のフィルターベルトは、装置前方または装置下方において、エア噴射手段18からのエア噴射により、目詰まりを除去される構成とするのが望ましい。エア噴射手段18は、フィルターベルトの形成した内部空隙内に配置され、フィルター内部から外部の方向に向かって、目詰まりの要因となる紙粉と、フィルター表面に残存した薬液を吹き飛ばす構成とするのが好ましい。エア噴射手段18は、具体的にはエアコンプレッサー等を使用することができる。エア噴射により飛ばされた紙粉及び薬液は、薬液受け19に貯留された後、遠心分離手段22へ送られる。
【0051】
薬液貯留部のフィルターベルトを透過した薬液は、濾液受けパンに貯留されたのち、サービスタンク23またはサービスタンク24(図4)に送られる。
【0052】
(遠心分離手段)
薬液受け19に貯留された紙粉及び薬液は、遠心分離手段22おいて、更に固液分離がなされる。遠心分離は、下記の条件で行われるのが好ましい。
○バッグフィルター: 樹脂製、好ましくはポリエステル製
○メッシュサイズ:100〜400メッシュ
○1回あたりの分離試料量:1.0〜5.0kg
○回転数:2000〜500rpm
○分離時間:15〜45分
遠心分離により得られた分離済みの薬液は、サービスタンク23またはサービスタンク24(図4)へ送られる。
【0053】
(薬液のフローの形態)
図1に、紙粉除去装置本体1と薬液塗布工程との配管の一例を示す。薬液塗布工程から回収された紙粉を含む未塗布薬液は、遠心分離手段22に送られるか、または、ポンプP−2により返送され、スクリーン等で紙片等の大きな夾雑物を除去された後にサービスタンク23に貯留される。サービスタンク23の温度は、薬液の粘度を一定の範囲内に保つため、ヒータ26により20〜60℃とされることが好ましい。サービスタンク23内の未塗布薬液には、原液タンク25からポンプP−1により送られる原液薬液が付加されることが好ましい。ティシュペーパーに付加される薬液の品質を均一化するため、循環薬液と原液とを分けてラインに導入するのではなく、薬液を一体的に処理・使用することが好ましいためである。循環薬液と原液とは、4:1〜100:1の割合で混合されることが好ましい。
【0054】
サービスタンク23の薬液は、ポンプP−3により紙粉除去装置本体1の薬液貯留部16に供給され、フィルターベルト10により濾過処理される。濾液受けパン20に貯留した濾液は、ポンプP−4によりサービスタンク23に送られる。
【0055】
薬液受け19に貯留された薬液及び紙粉は、遠心分離手段22に供され、さらに分離処理されることが好ましい。分離された薬液はポンプP−5により、サービスタンク23に送られる。残存した分離パルプは廃棄物として処理される。
【0056】
サービスタンク23内の薬液はポンプP−6により薬液塗布工程に送られる。その際、薬液は過剰量送られ、余剰分は塗布装置(図示例ではドクターチャンバー61)から戻りポンプP−7により、再びサービスタンクに返送される。
【0057】
ポンプP−1〜P−7は、エアポンプ等、公知のポンプをいずれも使用できるが、薬液が気泡を生じると濾過工程における効率が低下するため、気泡を生じにくいギアポンプを使用することが好ましい。
【0058】
(薬液のフローの別の形態)
図4に、紙粉除去装置本体1と薬液塗布工程との配管の別の例を示す。図4に示すように、濾液受けパン20と薬液受け19に貯留した薬液は、サービスタンク23とは別のサービスタンク24に送られる構成としてもよい。この場合、薬液塗布工程において紙粉が混入した未塗布薬液と、紙粉をほとんど含まない濾液、分離液を混和することがないため、より紙粉の混入の少ない薬液を薬液塗布工程に供することができるため好ましい。しかし、薬液の濾過速度が薬液供給の律速となるため、薬液を安定的に供給するためには処理能力の高い大型装置、または複数台の装置を使用することが好ましい。
この形態においては、原薬液はサービスタンク23に供給するのではなく、サービスタンク24から薬液塗布工程に供給される薬液に混入されるのが好ましい。
【0059】
未塗布薬液の粘度が700mPa・s以下(より好ましくは400mPa・s以下)の場合は、図1の形態を使用できるが、粘度が700mPa・sを超える場合には、当該粘度が200mPa・s未満に低下するまで、図4の形態に変更することが好ましい。
【0060】
(薬液塗布ティシュー製造工程の一例)
以下、本発明に係る装置より供給された薬液を塗布したティシュペーパーの製造工程の例を示す。図5に、本発明に係るティシュペーパーのプライ工程の装置X1の概要を示した。なお、図5に係る工程は、一体となった装置であるプライマシンで実施されることが好ましい。
【0061】
抄紙機において抄紙された原紙は、連続シートとして、クレープを施し、カレンダー処理を施したうえで、これを巻き取り、一次原反ロールJR(一般的にジャンボロールともいわれている)とされる。
【0062】
連続シートS11,S12は積層ローラー51で積層されて2プライとされ、必要に応じてプライマシンカレンダー52でカレンダー処理され、薬液付与手段53に送られる。薬液付与は各プライの片面側のみより行われ、薬液を付与されていない面同士が重ね合わされて、後にプライ固定を施されるのが好ましい。薬液塗布の方法は、浸漬、スプレー塗布、フレキソ塗布、グラビア塗布によるなど公知の塗布方法をいずれも使用することができる
【0063】
薬液を塗布された2プライの連続シートは、コンタクトエンボスコロ54B及びコロロール54Aに供され、コンタクトエンボス(ナーリング)処理を施すことにより固定されることが好ましい。コンタクトエンボスは、両側部から紙幅に対して1/10〜1/20の位置に幅1〜10mmで縦方向に一様に施されるのが好ましい。プライを接着剤等で固定するなど、公知の方法のいずれを使用してもよいが、接着剤を使用する場合、肌触りが固くなりやすい、薬液付与時に剥がれやすい、等の問題があるため、コンタクトエンボスの使用がより好ましいといえる。
【0064】
コンタクトエンボスを付与した2プライの連続シートは、直接ロータリー式インターフォルダ等に供されて折り加工を施された後に製品サイズに裁断されるか、または、スリッター55により製品幅にカットされた後、ワインディングドラム56により巻き取り二次原反ロールRとされ、折り加工が施され、紙箱への収納がなされる。
なお、本形態ではコンタクトエンボス前に薬液を付与する構成をとっているが、コンタクトエンボス後に薬液を付与する構成としてもよい。
【0065】
上述の二次原反ロールは、特にティシュペーパー製品においては折り加工工程に供される。折り加工工程としては、ロータリー式インターフォルダ、マルチスタンド式インターフォルダ等公知の方法を使用することができるが、生産性の高いマルチスタンド式インターフォルダの使用がより好ましい。
【0066】
なお、2プライのティシュペーパーの製造工程を例示したが、本発明に係る薬剤中の紙粉除去装置から供給される薬液は、他の製造工程にも有効に使用できるものであり、上記の製造工程への使用に限定されるものではない。
【0067】
(薬液塗布工程−グラビア塗布の一例)
薬液塗布工程としては、公知の塗布手段をいずれも使用することができるが、塗布面全体にムラなく薬液塗布を行うグラビア塗布、フレキソ塗布等の印刷方式の使用が好ましい。
【0068】
図7にグラビア塗布に係る装置の一例を示す。図7において、積層シートS2は、一対のリンク式オフセットグラビアプレス201、202の間に送られる。プレス201は、下部グラビアシリンダ203と、上部オフセットシリンダ204とによって構成されている。また、プレス202は、下部グラビアシリンダ205と、上部オフセットシリンダ206とによって構成されている。グラビアシリンダ203,205は各々、特定の蝕刻されたセルパターンと寸法を有し、クロムメッキされた表面を有しており、オフセットシリンダ、204,206は各々、平滑なポリウレタンゴムの表面を有している。グラビアロールのセル容積の寸法は、所望の被覆重量、ライン速度、及び薬液の粘度で決まる。これらのグラビアシリンダとオフセットシリンダは、矢印の方向に回転する。図7に示されるように、オフセットシリンダ204,206、は、直接対向し互いに平行であり、積層シートS2が通過するニップ領域207を提供する。
【0069】
インキ溜めトレイ208,209が、グラビアシリンダ203,205の下にそれぞれ配置されている。グラビアシリンダ203,205が、トレイ208,209内で、矢印の方向に回転すると、グラビアシリンダ203,204は、一定量の薬液を取り上げる。
【0070】
次いで、グラビアシリンダのセル203、205に残った薬液は、シリンダの各対間のニップ領域210,211のところで、オフセットシリンダ204,206に移される。次いで、オフセットシリンダ204,206に移された薬液は、積層シートS2の両面に同時に移される。積層シートS2に移される薬液の量は、(1)ニップ領域207の幅の調整、及び/又は、(2)ニップ領域210、211の幅の調整によって制御される。
【0071】
(薬液塗布工程−フレキソ塗布の一例)
薬液塗布工程のうち、特にドクターチャンバー61を備えたフレキソコーターを使用すると、安定した塗布量で薬液を供給することができるため、より好ましい。
【0072】
図6にフレキソ印刷方式におけるドクターチャンバー形式の一例を示す。図6に示すように一方のドクターチャンバー形式とされる薬液塗布部53Aは、薬液の入っているドクターチャンバー61Aが、回転可能なアニロックスロール63Aと対向して配置されていて、ドクターチャンバー61Aからアニロックスロール63Aに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール63Aと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール64Aが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール63Aから刷版ロール64Aに薬液を受け渡すようになっている。さらに、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール64Aと対向している弾性ロール65Aとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ、刷版ロール64Aから積層連続シートS2に薬液を塗布するようになっている。
【0073】
そして、本形態では、この薬液塗布部53Aがコンタクトエンボス手段54のコロ54Aと対向し且つ、前述のワインディングドラム56Aとも対向する積層連続シートS2の面側に位置している。尚、前述のドクターチャンバー61Aに対して薬液を塗布する供給ポンプ(図示しない)及び、このドクターチャンバー61Aから薬液を戻すための排出供給ポンプ(図示しない)が、ドクターチャンバー61Aに設置されている。
【0074】
他方、図6に示すように他方のドクターチャンバー形式とされる薬液塗布部53Bは、薬液の入っているドクターチャンバー61Bが、回転可能なアニロックスロール63Bと対向して配置されていて、ドクターチャンバー61Bからアニロックスロール63Bに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール63Bと接し且つ積層連続シートS2の他の面とも接する刷版ロール64Bが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール63Bから刷版ロール64Bに薬液を受け渡すようになっている。さらに、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール64Bと対向している弾性ロール65Bとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ、刷版ロール64Bから積層連続シートS2に薬液を塗布するようになっている。薬液の粘度によっては、刷版ロール64Bに紙粉が付着しやすくなるという問題があることから、刷版64B下部に紙粉除去手段27を設けることが好ましい。図1、図4の図示例では紙粉除去手段27として回転ブラシを使用しているが、他にもエア噴射手段、液体噴射手段等を適宜選択することができる。
【0075】
そして、本実施の形態では、この薬液塗布部53Bがコロ54Aと非対向とされ且つ、前述のワインディングドラム56Aとも非対向となる積層連続シートS2の他の面側に位置している。尚、前述のドクターチャンバー61Bに対して薬液を塗布する供給ポンプ(図示しない)及び、このドクターチャンバー61Bから薬液を戻すための排出供給ポンプ(図示しない)が、ドクターチャンバー61Bにも設置されている。
【0076】
従って、積層連続シートS2の両面に薬液塗布部53A及び薬液塗布部53Bから薬液がそれぞれ塗布されるが、この際、薬液塗布部53Aによるコロ54Aと対向する積層連続シートS2の面側の塗布量を薬液塗布部53Bによる他の面側の塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートS2の両面からそれぞれ積層連続シートS2に対して薬液を塗布することができる。
【0077】
具体的には、片面毎の塗布量を変えるだけでなく、フレキソ版の線数を15〜40線程度、頂点面積率を20〜40%程度の薬液が飛散しない程度に粗くすることが考えられ、このようにすることで、塗布直後はドット柄が残り、瞬間的に塗布部分と未塗布部分ができるようになる。
【0078】
従って、本形態によれば、フレキソ印刷方式を用いることで版が樹脂であり弾力性があるため衛生用薄葉紙に多少の凹凸があっても印圧で調整可となるので、積層連続シートS2にシワが入り難くなる。他方、フレキソ印刷方式を用いることにより、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができるようになる。具体的には、積層連続シートS2を700m/分以上とし、好ましくは900m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を後述の範囲の塗布量で塗布する際にも、塗布が均一で蛇行無く積層連続シートS2を巻き取れるようになる。
【0079】
また、本形態に付随する薬液塗布手段53の要件としては、以下のものが考えられる。
2ロールフレキソ形式の薬液塗布手段では、薬液タンク等の塗布装置内で循環する薬液に含まれる紙粉やエアーのろ過装置を設置する必要があるが、本実施の形態のようなドクターチャンバー形式の薬液塗布手段53とした場合、紙粉等が少なくなるので、ろ過装置の負荷が軽減されることも考えられる。さらに、ドクターチャンバー61A、61B等の塗布装置内で薬液の温度をコントロールし、薬液粘度を安定させる必要が考えられるが、ドクターチャンバー61A、61Bに繋がる中間タンク及び配管にヒータを設置することにできる。他方、操業中に積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理する必要が考えられるが、例えば赤外線の検査機等を用いて常に幅方向の水分量とバラツキをチェックするようにできる。
【実施例】
【0080】
本発明に係る紙粉除去装置を使用して、ティシュペーパー製造ラインからの循環薬液の紙粉除去操作を行い、操作の各段階における薬液の粘度、具体的には薬液原液、循環薬液、濾液受けパン20内の薬液、薬液受け19内の薬液、遠心分離手段22で分離された薬液、及びサービスタンク内の薬液の粘度を測定した。本実施例は、図1に示す装置及び配管を用いた条件で行った。
【0081】
本実施例において、フィルターベルト10は、メッシュが1インチ当たり縦33本、横31本、糸の太さ0.4mmのポリエステルメッシュベルト((株)日本ベルト製)を使用した。また、遠心分離機のバッグフィルターは、200メッシュ(糸の太さ:0.48mm)のポリエステル製バッグ(蒲田工業(株))を使用した。
【0082】
各段階における薬液の粘度を表1に示す。薬液の粘度は、B型粘度計を使用し、薬液温度27.0℃の条件で測定した。
【0083】
【表1】

【0084】
表1に示す通り、本発明に係る紙粉除去装置を使用することにより、循環薬液の粘度を有意に低下させて製造ラインに再供給することが可能であることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、薬液塗布ティシュペーパーの製造工程に限らず、液体中の微細な夾雑物の効率的な除去を要する他分野においても適用できるものである。
【符号の説明】
【0086】
1…紙粉除去装置本体、10…フィルターベルト、1…金属チェーンメッシュベルト、12…駆動回転ロール、13…内周テンションロール、14…外周テンションロール、15…フィルター押し下げロール、16…薬液貯留部、17…ブロックロール、18…エア噴射手段、19…薬液受け、20…濾液受けパン、21…減速機、22…遠心分離手段、23,24…サービスタンク、25…原液タンク、26…ヒータ、27…紙粉除去手段、P−1〜P−7…ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通液性で紙粉を捕捉する無端フィルターベルトと、その連続方向の位置を変更可能に支持する手段と、前記フィルターベルトの上方走行部の裏面側にあって、透過液を収容する濾液受けパンと、薬液含有ティシュペーパーの製造ラインにおける薬液塗布装置の薬液収容容器との間で構成される薬液の第1循環路内に設けた貯留タンクと、
さらに、前記第1循環路からの紙粉含有液が、前記フィルターベルトの上方走行部上に供給され、その透過液を前記濾液受けパンにより受けて、前記第1循環路に対して返送する第2循環路を備え、
前記フィルターベルトは紙粉含有液の受け位置を変更更新するように操作可能とされ、フィルターベルト上に堆積した紙粉は、前記受け位置と異なる位置で排除するようにした
ことを特徴とする薬液中の紙粉除去装置。
【請求項2】
前記濾液受けパンにより受けた濾液は、前記貯留タンクに対して返送されるようにした請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【請求項3】
原薬液が前記第1循環路に対して補給されるようにした請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【請求項4】
前記フィルターベルトの上方走行部の裏面側に金属製無端メッシュベルトが設けられ、その無端メッシュベルトの下方に前記濾液受けパンが設けられている請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【請求項5】
前記フィルターベルトは、駆動回転ロールと対向するロールとの間でサンドイッチされて前進するようにした請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【請求項6】
前記フィルターベルトの上方走行部の少なくとも前後にそれぞれ左右一対を下方に押し下げ、このフィルターベルトの押し下げ領域に左右の壁及び前後の壁を形成している請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【請求項7】
前記フィルターベルトの上方走行部の裏面側に金属製無端メッシュベルトが設けられ、その無端メッシュベルトの下方に前記濾液受けパンが設けられおり、
前記フィルターベルトの上方走行部の少なくとも前後にそれぞれ左右一対を前記メッシュベルトと共に下方に押し下げ、前記フィルターベルト及び前記メッシュベルトの押し下げ領域に左右の壁及び前後の壁を形成している請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【請求項8】
フィルターベルト上に堆積した紙粉は、フィルターベルトの裏面から表面へのエア噴射により除去し、第2の固液分離手段により紙粉と薬液とを分離するようにした請求項1記載の薬液中の紙粉除去装置。
【請求項9】
前記第2の固液分離手段により分離した薬液と前記濾液受けパンにより受けた濾液との両者を、前記第1循環路に対して返送されるようにした請求項8記載の薬液中の紙粉除去装置。
【請求項10】
通液性で紙粉を捕捉する無端フィルターベルトと、その連続方向の位置を変更可能に支持する手段と、前記フィルターベルトの上方走行部の裏面側にあって、透過液を収容する濾液受けパンと、薬液含有ティシュペーパーの製造ラインにおける薬液塗布装置の薬液収容容器との間で構成される薬液の第1循環路内に設けた貯留タンクと、前記第1循環路からの紙粉含有液が、前記フィルターベルトの上方走行部上に供給され、その透過液を前記濾液受けパンにより受けて、前記第1循環路に対して返送する第2循環路とを備えた紙粉除去装置を使用し、
前記フィルターベルトの上方走行部に紙粉含有液を供給し、前記フィルターベルトを連続的又は間欠的に走行させ、フィルターベルト上に堆積した紙粉は、前記受け位置と異なる位置で排除することを特徴とする薬液中の紙粉除去方法。
【請求項11】
通液性で紙粉を捕捉する無端フィルターベルトと、その連続方向の位置を変更可能に支持する手段と、前記フィルターベルトの上方走行部の裏面側に設けられた金属製無端メッシュベルトと、その無端メッシュベルトの下方に設けられ濾液受けパンと、薬液含有ティシュペーパーの製造ラインにおける薬液塗布装置の薬液収容容器との間で構成される薬液の第1循環路内に設けた貯留タンクと、前記第1循環路からの紙粉含有液が、前記フィルターベルトの上方走行部上に供給され、その透過液を前記濾液受けパンにより受けて、前記第1循環路に対して返送する第2循環路とを備えた紙粉除去装置を使用し、
前記フィルターベルトの上方走行部に紙粉含有液を供給し、前記フィルターベルトを連続的又は間欠的に走行させ、フィルターベルト上に堆積した紙粉は、前記受け位置と異なる位置で排除することを特徴とする薬液中の紙粉除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−183087(P2011−183087A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54028(P2010−54028)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】