説明

薬用チューインガム

本発明は、チューインガム基剤、生物学的活性成分、ポリマー材料、並びに、1つ又はそれ以上の甘味剤及び香味剤を含むチューインガム組成物を提供する。含有されるポリマー材料は、両親媒性であり、直鎖又は分枝鎖状の炭素−炭素主鎖と、主鎖に結合する複数の側鎖を有する。チューインガム組成物の製造方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューインガム基剤、生物学的活性成分、並びに、1つ又はそれ以上の香味剤又は甘味剤を含むチューインガム組成物に関する。チューインガム組成物の製造方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
チューインガム組成物は、典型的には、水溶性のバルク部分、水に溶けない咀嚼可能なガム基剤及び香味剤を含む。ガム基剤は、典型的には、エラストマー、ビニルポリマー、エラストマー溶媒又は可塑剤、乳化剤、賦形剤及び軟化剤(可塑剤)の混合物を含む。エラストマー、ワックス、エラストマー溶媒及びビニルポリマーは全て、ガム基剤の接着性に寄与することが知られている。
【0003】
生物学的活性成分は、これまでにもチューインガム組成物中に含有されている。非特許文献1における、“In Vitro Release of Nicotine from Chewing Gum Formulations”という表題の論文中において、Morjariaらは、欧州薬局方装置を用いて、従来のガムからのニコチンの放出について評価している。放出特性は、SPI Pharmaによって開発された圧縮可能ガムPharmagu M(登録商標)と比較されている。
【0004】
特許文献1は、薬用活性物質を含むチューインガムを記載している。この活性物質の放出は、コーティング及び乾燥させることによって活性物質を物理的に改変することにより制御されている。活性成分カフェイン、ニコチン、イブプロフェン、ケトプロフェン及びナプロキセンを含むチューインガムが全て、具体的に記載されている。
【0005】
ニコレットTMは、ニコチンを含有する市販のチューインガムの良く知られた例である。
【0006】
特許文献2は、勃起機能不全治療のために使用され得るクエン酸シルデナフィルを含有するチューインガムを記載している。この特許に記載された製造方法において、薬物は、ガム基剤、甘味剤及び香味剤と、好ましくは、混合の最初の5分以内に、混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際特許公開第00/35298号
【特許文献2】米国特許第6,592,850号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“In Vitro Release of Nicotine from Chewing Gum Formulations”、Dissolution Technologies,2004年5月,12−15
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術に照らして、生物学的活性成分、例えば、ニコチンを、身体に送達するための改良されたチューインガム組成物を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様にしたがい、チューインガム基剤、生物学的活性成分、ポリマー材料、並びに、1つ又はそれ以上の甘味剤又は香味剤を含むチューインガム組成物であって、ポリマー材料が、両親媒性であり、直鎖又は分枝鎖状の炭素−炭素主鎖と、主鎖に結合する複数の側鎖とを有する、チューインガム組成物が提供される。
【0011】
本発明の第1の態様のチューインガム組成物においては、生物学的活性成分の放出は制御されている。活性成分とポリマー材料との相互作用の特性及び強さが、その活性物質が速く放出されるか、緩徐な放出を示すかを決定する。いくつかのケースにおいては、ポリマー材料が、放出される活性物質の全体量にも影響し、設定時間にわたって、従来技術のガムよりも多くの活性物質を放出する場合もあることが示されている。このことは、従来技術のガムと比較して、本発明のチューインガム組成物においては、より少ない活性物質を使用し得ることを意味する。
【0012】
本発明のチューインガム組成物を噛むことにより、チューインガムから活性物質が放出される。唾液は、舌の下(舌下)の口腔組織と口腔内側部とを被覆しており、その場所で、薬物が唾液中から口腔粘膜中へ入ることを妨げ得る。咀嚼することにより口腔に圧力が生じ、これにより、活性成分は、口腔内に含まれる口腔粘膜を通じて、個体の全身系に直接入ると考えられる。このことは、典型的な消化管経路と比較して、薬物の全身系への吸収を大いに促進する。
【0013】
本発明の第2の態様にしたがい、(i)任意に、エラストマー可塑剤、軟化剤、賦形剤、乳化剤及びワックスの1つ又はそれ以上と、エラストマー材料を混合することにより、チューインガム基剤を製造する工程;及び、(ii)そのガム基剤に、1つ又はそれ以上の甘味剤又は香味剤と一緒に、生物学的活性成分を添加して、チューインガム組成物を製造する工程;を含み、両親媒性であり、且つ、直鎖又は分枝鎖状の炭素−炭素主鎖、及び、主鎖に結合する複数の側鎖を有するポリマー材料が、工程(i)におけるチューインガム基剤、及び/又は工程(ii)におけるチューインガム組成物に添加される、チューインガム組成物の製造方法が提供される。
【0014】
工程(i)において、チューインガム基剤は、当技術分野において公知の典型的なガム基剤成分を混合することにより製造される。これらチューインガム基剤は、典型的には、以下により詳細に記載するように、エラストマー材料と、任意に、以下のうちの1つ又はそれ以上:エラストマー可塑剤、軟化剤、賦形剤、乳化剤及びワックス、とを含む。
【0015】
本方法は、薬物の均一な分布及び優れた咀嚼性を有する安定したチューインガム組成物を提供することが示されている。我々は、自身の従前の特許出願(国際特許公開第2006/016179号として公開)において、上記に定義されるポリマー材料が、ネバネバを減らし、チューインガム組成物の接着性を減少し得ることを開示している。ポリマー材料は、直鎖又は分枝鎖状の炭素−炭素ポリマー主鎖と、主鎖に結合する複数の側鎖とを有する。側鎖は、アルキルシリルポリオキシアルキレン又はポリオキシアルキレンに由来する。生物学的活性成分の放出を制御するためのこれらのポリマーの使用を記載するのは、これが初めてである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、HPLCを用いて測定した時の、市販品及びP1を含むガムからの累積的なニコチンの放出を示す。
【図2】図2は、P1を含まない対照ガムサンプルと比較した、P1を含むガムサンプルからの、HPLCを用いて測定した時の、人工唾液中への累積的なカフェインの放出を示す。
【図3】図3は、図2の2つのサンプルからの一定時間にわたるカフェインの放出を示す。
【図4】図4は、HPLCを用いて測定した時の、P1を含むガムからの人工唾液中への累積的なイブプロフェンの放出を、対照ガムと比較する。
【図5】図5は、HPLCを用いて測定した時の、P1を含むガムからの累積的なニコチンの放出を、対照ガムと比較する(両方のガムは、ニコチンポラクリレックスを用いて作られている)。
【図6】図6は、HPLCを用いて測定した時の、P1を含むガムからの人工唾液中への累積的なカフェインの放出を、対照ガムと比較する。
【図7】図7は、チューインガムからのシンナムアルデヒドの放出を示す。
【図8】図8は、サンプルからのイブプロフェンの放出を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ガム基剤
典型的には、チューインガム基剤は、重量あたり2〜90%の両親媒性ポリマー材料を含み、好ましくは、重量あたり2〜50%、より好ましくは、2〜25%、最も好ましくは、3〜20%含む。ポリマー材料は、接着性に関与するガム基剤中の一部又は全部の成分の代わりとして機能し得る。
【0018】
あるいは、ガム基剤は、両親媒性ポリマー材料を全く含まない。その代わり、チューインガム基剤とは独立して、チューインガム組成物に両親媒性材料が添加される。最も典型的には、ガム基剤とチューインガム組成物の両方に両親媒性ポリマーが添加される。
【0019】
チューインガム基剤は、重量あたり0〜6%のワックスを含んでもよい。ガム基剤中に含まれてもよいワックスの例としては、微晶質ワックス、天然ワックス、石油ワックス、パラフィンワックス及びこれらの混合物が挙げられる。ワックスは、通常、ガム基剤の凝固及び保存期間とテクスチャーの向上に役立つ。ワックスは、基剤混合物を柔軟にし、咀嚼時の弾性を向上して、香りの維持に影響を及ぼすことも知られている。好ましくは、ガム基剤は、実質的にワックスを含まず、これらの特性は、ポリマー材料によって提供される。しかしながら、いくつかの実施形態においては、ワックスが含まれ、ワックスは、両親媒性ポリマーと協力して活性物質の放出を制御する。
【0020】
エラストマー材料は、体積だけでなく、所望の弾性及びテクスチャー特性を提供する。好適なエラストマー材料としては、合成及び天然のゴムが挙げられる。より具体的には、エラストマー材料は、ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリイソブチレン及びイソブチレン−イソプレンコポリマーから選択される。エラストマー材料の合計量が少なすぎる場合には、ガム基剤は、弾性、咀嚼テクスチャー、凝集性を欠くのに対して、含有量が多すぎる場合には、ガム基剤は、硬く、弾性を有することが知られている。典型的なガム基剤は、重量あたり10〜70%のエラストマー材料を含み、より典型的には、重量あたり10〜15%含む。典型的には、ポリマー材料は、チューインガム基剤中、重量あたり少なくとも1%、好ましくは、重量あたり少なくとも10%、より好ましくは、重量あたり少なくとも50%のエラストマー材料を構成し得る。いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、チューインガム基剤中のエラストマー材料と完全に置き換わる。
【0021】
エラストマー可塑剤(エラストマー溶媒としても知られる)は、エラストマー材料を柔軟にするのに役立ち、例えば、ロジン又は修飾ロジン(例えば、水素化、二量体化、又は高分子化されたロジン又はそれらの混合物)のメチルグリセロール又はペンタエリスリトールエステルが挙げられる。本発明のチューインガム基剤中において使用するのに好適なエラストマー可塑剤としては、部分的に水素化されたウッドロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドロジンのペンタエリスリトールエステル、部分的に二量体化されたロジンのグリセロールエステル、高分子化されたロジンのグリセロールエステル、トール油ロジンのグリセロールエステル、ウッドロジンと部分的に水素化されたウッドロジンのグリセロールエステル及びロジンの部分的に水素化されたメチルエステル;d−リモネンポリマー、α−ピネン又はβ−ピネンのポリマー、及びそれらの混合物等のポリテルペンを含むテルペン樹脂が挙げられる。エラストマー可塑剤は、ガム基剤の重量あたり、30%まで使用することができる。しかしながら、エラストマー溶媒の好ましい範囲は、重量あたり2〜18%である。好ましくは、重量あたり15%未満である。あるいは、全くエラストマー溶媒を使用しなくてもよい。
【0022】
エラストマー可塑剤に対するエラストマーとポリマー材料の合計の重量比は、好ましくは、(1〜50):1の範囲であり、好ましくは、(2〜10):1である。
【0023】
チューインガム基剤は、好ましくは、非毒性ビニルポリマーを含む。そのようなポリマーは、水に対していくらかの親和性を有し得、例えば、ポリ(ビニルアセテート)、エチレン/ビニルアセテート及びビニルラウレート/ビニルアセテートコポリマーが挙げられる。好ましくは、非毒性ビニルポリマーは、ポリ(ビニルアセテート)である。好ましくは、非毒性ビニルポリマーは、チューインガム基剤の重量あたり15〜45%含まれる。非毒性ビニルポリマーは、少なくとも2000の分子量を有する必要がある。特に明示しないかぎり、本明細書において使用される分子量の単位は、g/molである。
【0024】
別の実施形態において、チューインガム基剤は、ビニルポリマーを全く含まない。
【0025】
チューインガム基剤は、好ましくは、賦形剤、好ましくは、粒子状賦形剤も含む。賦形剤は、ガム基剤のテクスチャーを修飾するために使用され、その加工に役立つ。典型的な賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、タルク、非晶質シリカ及びリン酸三カルシウムが挙げられる。好ましくは、賦形剤は、シリカ、又は炭酸カルシウムである。賦形剤粒子の大きさは、圧縮時におけるガム基剤の、凝集性、密度及び加工性に影響を及ぼす。より小さい賦形剤粒子は、ガム基剤の接着性を減少させることが示されている。
【0026】
チューインガム基剤中に含まれる賦形剤の量は、典型的には、チューインガム基剤の重量あたり0〜40%、より典型的には、重量あたり5〜15%である。
【0027】
好ましくは、チューインガム基剤は、軟化剤を含む。凝集性を調節するために、テクスチャーを修飾するために、及び、製品の咀嚼時に明らかな融解転移をもたらすために、軟化剤は使用される。軟化剤は、ガム基剤の十分な混合を確実なものにする。軟化剤の典型的な例は、硬化植物油、ラノリン、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム及びグリセリンである。軟化剤は、典型的には、チューインガム基剤の重量あたり約15%〜約40%の量で、好ましくは、チューインガム基剤の約20%〜約35%の量で使用される。
【0028】
好ましいチューインガム基剤は、乳化剤を含む。乳化剤は、チューインガム組成物の非混和性成分を単一の安定した系の中に分散させるのに役立つ。好適な例は、レシチン、グリセロール、グリセロールモノオレエート、脂肪酸のラクチルエステル、グリセロール及びプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、モノ−、ジ−、及び、トリ−ステアリルアセテート、モノグリセリドシトレート、ステアリン酸、ステアリルモノグリセリジルシトレート、ステアリル−2−ラクチル酸、トリアセチルグリセリン、トリエチルシトレート及びポリエチレングリコールである。乳化剤は、典型的には、チューインガム基剤の約0%〜約15%、及び、好ましくは約4%〜約6%を構成する。
【0029】
本発明のチューインガム基剤において使用されるポリマー材料の主鎖は、好ましくは、エチレン性不飽和炭化水素モノマーのホモポリマー、又は2つ若しくはそれ以上のエチレン性不飽和炭化水素モノマーのコポリマーに由来する。ポリマー材料が由来する基本ポリマー(すなわち、側鎖を有しない)は、エラストマー材料である。ポリマー材料は概してエラストマー材料でもあり得る。
【0030】
両親媒性ポリマー材料は、炭素−炭素ポリマー主鎖を有し、典型的には、エチレン性不飽和重合可能炭化水素モノマーのホモポリマー、又は2つ若しくはそれ以上のエチレン性不飽和重合可能炭化水素モノマーのコポリマーに由来する主鎖を有する。用語「エチレン性不飽和重合可能炭化水素モノマー」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む重合可能炭化水素を意味し、これは、炭素−炭素ポリマー主鎖を有する直鎖又は分枝鎖状の炭化水素ポリマーを形成するように付加(さもなければ、鎖成長又は鎖反応)重合させることができる。一つの好ましい実施形態によれば、炭素−炭素ポリマー主鎖は、4又は5個の炭素原子を含むエチレン性不飽和重合可能炭化水素モノマー、例えば、イソブチレン(2−メチルプロペン)のホモポリマーに由来する。別の実施形態によれば、炭素−炭素ポリマー主鎖は、共役ジエン炭化水素モノマー、特に、4又は5個の炭素原子を含むもの、例えば、1,3−ブタジエン又はイソプレンのホモポリマーに由来してもよい。
【0031】
上記したように、炭素−炭素ポリマー主鎖は、2つ又はそれ以上のエチレン性不飽和重合可能炭化水素モノマーのコポリマーに由来し得る。好ましくは、ポリマー主鎖は、2つのかかるモノマーのコポリマーに由来する。例えば、ポリマー主鎖は、1つの炭素−炭素二重結合を有する炭化水素モノマーと、2つの炭素−炭素二重結合を有する炭化水素モノマーとの炭化水素コポリマーに由来してもよい。例えば、炭素−炭素ポリマー主鎖は、イソブチレンとイソプレンのコポリマーに由来し得る。異なる実施形態によれば、炭素−炭素ポリマー主鎖は、ブタジエン−スチレンブロックコポリマーに由来する。主鎖は、ランダム、交互又はブロック、例えば、A−B又はAB−Aブロック、コポリマーであってもよい。
【0032】
あるいは、両親媒性ポリマー材料は、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーと無水マレイン酸のコポリマーである主鎖を有する。用語コポリマーは、バイポリマー及びターポリマーの両方を網羅する。好ましくは、モノマーは、炭化水素モノマーである。用語「エチレン性不飽和重合可能炭化水素モノマー」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む重合可能炭化水素を意味し、これは、炭素−炭素ポリマー主鎖を有する直鎖又は分枝鎖状の炭化水素ポリマーを形成するように重合化させることができる。好ましい一実施形態によれば、エチレン性不飽和重合可能炭化水素モノマーは、4又は5個の炭素原子を含み、例えば、イソブチレン(2−メチルプロペン)である。エチレン性不飽和モノマーは、あるいは、コンジュゲートジエン炭化水素モノマー、特に、4又は5個の炭素原子を含むもの、例えば、1,3−ブタジエン又はイソプレンであってもよい。エチレン性不飽和モノマーは、あるいは、1−オクタデセンであってもよい。
【0033】
本発明のこの態様において、エチレン性不飽和モノマーは、芳香族であってもよく、且つ/又は、水素及び炭素以外の原子を含んでもよい。好適なエチレン性不飽和モノマーには、スチレン及びビニルメチルエーテルを含む。
【0034】
炭化水素ポリマー(ポリマー材料の主鎖が由来するもの)は、典型的には、10,000〜200,000、好ましくは、15,000〜50,000、より好ましくは、25,000〜45,000の範囲の分子量を有する。
【0035】
ポリマー材料の主鎖は、典型的には本来、疎水性である。対照的に、側鎖は、親水性であり得、このことにより、いくつかの利点を与える。クシ状コポリマー構造の疎水性/親水性バランスは、乾燥状態のガム基剤の硬さに実質的変化をもたらし、これにより、廃棄される食べ戻しが表面から除かれるのを容易にする。さらに、親水性側鎖は、咀嚼時に唾液がエラストマー溶媒として機能することを可能にし、これにより、ガムがより噛みやすくなる。このことは、有利に、ワックス及び/又はエラストマー溶媒含有量の一部又は全てがポリマー材料と置き換わることを可能にする。
【0036】
親水性側鎖が、ポリマー材料に界面活性特性を与える。ガム基剤中、親水性側鎖を有するポリマー材料は、咀嚼時に表面が高密度化され、これにより、疎水性表面、例えば、アスファルト及び脂っぽい敷石、に結合しない親水性コーティングがもたらされる。水の存在下では、このポリマー材料は、最も一般的な表面から、より容易に除去することができる。
【0037】
さらに、ポリマー材料の両親媒性特性が、材料と生物学的活性成分との間の好ましい相互作用を可能にし、これにより、成分が、チューインガム組成物中に含まれ、口の中でガムを噛んでいる際に放出されることを可能にする。
【0038】
ポリマー材料の疎水性側鎖は、好ましくは、ポリ(エチレンオキシド)、ポリグリシドール、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(スチレンスルホネート)又はポリ(アクリル酸)に由来し、最も好ましくは、ポリ(エチレンオキシド)に由来する。ポリ(エチレンオキシド)は、ヘアシャンプー及び洗浄液において使用されるもの等の単純なアニオン性界面活性剤と強力に結合して、電解質を作る。そのようなアニオン性界面活性剤及び水の存在下で、このポリマー材料は、多くのオキシド表面を含む最も一般的なアニオン性表面、木綿製衣服及び頭髪と反発する。このことは、石鹸水で洗浄することにより、ガム基剤が除去されることを、有利に可能にする。
【0039】
あるいは、側鎖は、ポリペプチド、例えば、ポリリジンに由来してもよい。
【0040】
あるいは、ポリマー材料の側鎖は、主鎖よりも疎水性であってもよい。好適な例としては、フルオロアルカン、ポリシラン、ポリアルキルシラン、アルキルシリルポリオキシアルキレン及びシロキサンが挙げられ、これらは、ガム基剤に与える表面エネルギーが非常に少ない。
【0041】
ポリマー材料の各主鎖は、上記した側鎖の組み合わせを含み、且つ/又は、異なる鎖長/分子量を有し得る、複数の側鎖を含んでもよい。しかしながら、好ましくは、各側鎖は同じ鎖長/分子量を有する。
【0042】
チューインガム基剤又は組成物は、2つ又はそれ以上の上記したポリマー材料を含んでもよい。
【0043】
好ましくは、ポリマー材料の側鎖は、以下の式
【化1】

を有するか、又は、以下の式
【化2】

を有する。
(式中、Rは、H、−C(O)OR又は−C(O)Qであり、Rは、−C(O)OR又は−C(O)Qであり、但し、R及びRの少なくとも一方は、基−C(O)Qであり;
は、H又は−CHであり;
は、H、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
Qは、式−O−(YO)−(ZO)−Rを有する基であり、ここで、Y及びZのそれぞれは、独立して、2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、Rは、H、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;
aは3又は4であり、b及びcのそれぞれは、独立して、0又は1〜125の整数であり、但し、b+cの合計は、10〜250、好ましくは、10〜120の範囲の値を有する)。
【0044】
好ましくは、側鎖は、無水マレイン酸に由来する基を介して、ポリマー材料の主鎖に結合している。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、ポリマー材料中の側鎖は、以下の式
【化3】

(式中、R、R及びQは、上記定義の通りである)
を有する。これらの基は、無水マレイン酸単位又はその誘導体に由来し、主鎖上にグラフトされる。
【0046】
好ましくは、ポリマー材料は、ペンダントカルボン酸基を有する。したがって、上記式において、好ましいのは、RがHである。
【0047】
別の実施形態によれば、側鎖は、以下の式
【化4】

(式中、Qは上記定義の通りである)
を有してもよい。
【0048】
別の実施形態において、側鎖は、以下の式
【化5】

(式中、Qは上記定義の通りである)
を有してもよい。これらは、メタクリルグラフト材料に由来する。
【0049】
別の実施形態によれば、側鎖は、以下の式
【化6】

を有してもよい。
【0050】
あるいは、側鎖は、以下の式
【化7】

を有してもよい。
【0051】
これらはアクリルグラフト材料に由来する。
【0052】
新規チューインガム基剤中で使用し得る2つのポリマー材料を以下の表1に詳述する。2つの部分的に好ましいポリマー材料が、P1及びP2である。
【0053】
【表1】

【0054】
適当な分子量分布及び無水マレイン酸含有量の任意のPIP−g−MAが、グラフトコポリマーの合成に適し得る。あるいは、無水マレイン酸が開環して、二酸又は一酸/モノメチルエステルを形成する、カルボキシルPIP−g−MA材料も適し得、後者は、P2において示される。
【0055】
これらのポリマーのそれぞれの主鎖は、無水マレイン酸がグラフトされているポリイソプレンに由来する。MAをグラフトするレベルは、典型的には、基本的方向を示すために使用されるPIP−g−MAで、約1.0mol%である。PIP−g−MaMmeの場合、同じレベルは、MAの一酸モノメチルエステルの2.7mol%であった。グラフトレベルは、ポリイソプレンの官能化の程度に依存する。
【0056】
例えば、P1では、鎖あたりのグラフト数は、通常、1〜7の間であるのに対し、P2では、1〜10の間である。
【0057】
アルキレンオキシ側鎖長を変化させることにより、エラストマー特性と親水性の所望のバランスを有するポリマー材料を製造することが可能である。アルキレンオキシ鎖長を増加させると、ポリマー材料の親水性が増加する。上記の基Qにおける乗数b及びcは、それぞれ独立して、0〜125であり、但し、b+cの合計は、10〜250の範囲に該当する。好ましくは、b+cは、10〜120、より好ましくは、20〜60、特に、30〜50、最も好ましくは、40〜45の範囲である。これにより、ポリマーに、必要とされる程度の親水性を与える。
【0058】
側鎖の全てが同じ値のb及びcを共有する必要はない。
【0059】
側鎖の疎水性は炭素含量とともに増加するので、Y及びZの両方がエチレン基であることが好ましい。同様に、側鎖の親水性を損なわないためには、Rは、好ましくは、H又はCHである。
【0060】
上記したように、ポリマー材料の特性は、炭素−炭素ポリマー主鎖にグラフトされる側鎖の特性ばかりでなく、グラフトされる側鎖の数にも依存する。本発明によれば、複数の側鎖が主鎖に結合していることは必須である。用語「複数」は、1つ又はそれ以上のグラフトされる側鎖を意味するものとして、本明細書において定義される。炭素−炭素ポリマー主鎖にグラフトされる側鎖の数は、本発明によれば、典型的には、炭素−炭素ポリマー主鎖に平均して少なくとも1つの側鎖である。炭素−炭素ポリマー主鎖にグラフトされる側鎖の実際の数は、側鎖の特性と、側鎖がポリマー主鎖にグラフトされる方法(及び、そこで用いられる反応条件)とに依存する。ポリマー材料において所望の程度の親水性を獲得するためには、主鎖単位に対する側鎖の比は、1:350〜1:20の範囲であることが好ましいが、より好ましくは、1:100〜1:30の範囲である。側鎖は、典型的には、炭素−炭素ポリマー主鎖に沿って統計的に妨害される。なぜならば、主鎖に対する側鎖の結合位置は、製造時に使用される炭化水素ポリマーの主鎖における適当な結合場所の位置に依存し得るからである。
【0061】
側鎖がグラフト無水マレイン酸単位を介してポリマー主鎖に連結される場合、ポリマー主鎖中の各無水マレイン酸単位は、0、1又は2個いずれかの側鎖で誘導体化されていてもよい。
【0062】
本発明の一実施形態において、各側鎖は2つの基を有し、それにより、2つの主鎖と結合することができ、架橋構造を形成する。例えば、ポリエチレングリコール側鎖は、通常、誘導体化前に、各末端でアルコールによって末端化されている。各アルコールは、主鎖の無水マレイン酸単位にグラフトされてもよい。
【0063】
本発明のガム基剤において使用される好ましいポリマー材料は、炭素−炭素ポリマー主鎖の炭素原子に直接結合する側鎖を有しており、この側鎖は、以下の式:
【化8】

(式中、Y、Z、R、b及びcは、上記定義の通りである)を有し、直鎖又は分枝鎖状の炭化水素ポリマーを、溶媒中及び不活性雰囲気中で、以下のモノメタクリレート化合物
【化9】

と、フリーラジカル開始剤の存在下で、反応させる工程を含む方法により調製することができる。炭化水素ポリマーとメタクリレート化合物との反応は、国際特許公開第2006/016179号にさらに記載されるようにして行われる。
【0064】
炭素−炭素ポリマー主鎖の炭素原子に直接結合する側鎖が、以下の式
【化10】

(式中、Y、Z、R、a、b及びcは、上記定義の通りである)
を有する、本発明のポリマー材料は、以下の工程を含む方法により調製することができる:
(i)以下の式
【化11】

で示される化合物を、乾燥有機溶媒中、不活性雰囲気下で、水素化ナトリウムと反応させる工程;
(ii)工程(i)による生成物を、以下の化合物
【化12】

(式中、qは、1又は2である)
と反応させることにより、以下の化合物II
【化13】

を得る工程;
(iii)化合物IIをクロロジメチルシランと反応させることにより、以下の化合物III
【化14】

を得る工程;及び
(iv)化合物IIIを還元し、生成物α−ヒドロジメチルシリルポリアルキレンオキシドを、炭化水素ポリマー主鎖中に複数の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖又は分枝鎖状の炭化水素ポリマーと、遷移金属塩の存在下で、反応させる工程。
【0065】
好ましくは、上記の工程(ii)において、工程(i)による生成物は、側鎖について上記した式において、aが3である、3−ブロモプロペンと反応させる。
【0066】
この方法については、国際特許公開第2006/016179号にさらに開示されている。
【0067】
炭素−炭素ポリマー主鎖の炭素原子に直接結合する側鎖が、以下の式
【化15】

(式中、R及びRの一方は、−C(O)Qであり、他方は、−C(O)ORであり、ここで、Q及びRは、上記定義の通りである)
を有する、本発明のポリマー材料は、ポリイソプレン−グラフト−無水マレイン酸又はそのモノエステル誘導体を、化合物HO−(YO)−(ZO)−R(式中、Y、Z、R、b及びcは、上記定義の通りである)と反応させる工程を含む方法によって製造することができる。典型的には、この反応は、トルエン等の有機溶媒中で行われる。
【0068】
上記方法において、ポリマー主鎖に結合する側鎖の数は、アルコールHO−(YO)−(ZO)−Rとのエステル化反応に関与し得るポリイソプレン分子への、無水マレイン酸のグラフト数に依存し得る。例えば、以下の式
【化16】

のポリイソプレン−グラフト−無水マレイン酸を使用した場合、形成され得る、上記一般式を有する側鎖の数は、明らかに、yの値に依存し得る。ポリイソプレン−グラフト−無水マレイン酸(PIP−g−MA)は市販されている。単に一例として、CAS番号139948−75−7を有し、Aldrich社より入手可能である、一つのそのようなPIP−g−MAは、約25,000の平均分子量を有する。このグラフトコポリマーにおける無水マレイン酸単位に対するイソプレン単位のモノマー比は、典型的には、98:1.1であり、このことは、このPIP−g−MAと上記アルコールとの反応は、分子あたり約1〜7個の側鎖を生じ得ることを示す。ポリイソプレン−グラフト−無水マレイン酸は、文献に記載される技法にしたがって調製することができる。例えば、Visonte L.L.Y.ら,Polymers for Advanced Technologies,Vol 4,1993,pp 490−495にしたがって、o−ジクロロベンゼン中に溶解させたポリイソプレンを、無水マレイン酸と、180〜190℃にて反応させることにより、改変イソプレンが得られた。7、15、19、26及び29mol%無水マレイン酸を有する、様々なポリイソプレン−g−無水マレイン酸コポリマーが、反応時間を5〜11時間まで増加させることにより得られた。
【0069】
PIP−g−MAとポリ(アルキレンオキシ)アルコールとの反応は、典型的には、トルエン等の有機溶媒中で行われ、典型的には、アクチベーター、例えば、トリエチルアミンの存在下、高温下で行われる。エステルの収量は、この反応においては、共沸蒸留により反応混合物から水を除去することにより増加し得る。なぜならば、トルエンと水は、他の成分よりも低温で沸騰する共沸混合物を形成するからである。ポリ(アルキレンオキシ)アルコールもまた、PIP−g−MAのモノエステル誘導体と反応させてもよい。例えば、我々は、以下の一般式
【化17】

を有し、約10の官能基(すなわち、n)、約25,000の平均分子量、及び−59℃のガラス転移温度を有するモノメチルエステルを用いて、良好な結果を得た。このモノメチルエステルとポリ(アルキレンオキシ)アルコールの反応は、典型的には、高温下で、トルエン等の有機溶媒中で行われる。エステルの収量は、共沸蒸留により反応混合物から水を除去することにより増加し得る。あるいは、反応は、ポリイソプレン主鎖の溶融物を、ポリ(アルキレンオキシ)アルコールグラフトの溶融物と混合することにより、溶媒を用いずに行ってもよい。これらの方法は、カルボキシ官能基を有する予め形成されたポリイソプレンの使用を必要とするが、比較的単純で迅速な反応を含み、高収率を得るという利点を有する。
【0070】
両親媒性ポリマー材料の主鎖が、無水マレイン酸とエチレン性不飽和モノマーとのコポリマーである場合、側鎖前駆物質は、典型的には、一端はアルコール単位により、もう一端はアルキルオキシ基により末端化されている。MeO−PEO−OHが、好ましい側鎖前駆物質の一例である。ポリマー材料の製造方法において、そのような側鎖は、無水物のアルコール分解を介して、無水マレイン酸由来の単位と反応することにより、カルボン酸エステルとカルボン酸を生じる。
【0071】
無水マレイン酸とアルコールの反応は、アルコール分解反応であり、これにより、エステルとカルボン酸の形成を生じる。この反応はエステル化としても知られる。この反応は、比較的速く、触媒を必要としないが、酸又は塩基触媒を使用してもよい。
【0072】
全体の反応は、以下に示すように表すことができる。P及びPは、コポリマー/ターポリマーの残りを表し、ROHは、側鎖前駆物質を表す。
【化18】

【0073】
この方法において、ROHにより表わされる2つの側鎖前駆物質は、同じ無水マレイン酸モノマーの位置で反応することにより、以下の一般式
【化19】

の化合物が得られる。
【0074】
あるいは、一つの側鎖前駆物質だけが、無水マレイン酸モノマーに対して反応する。これにより、遊離のカルボン酸基を有する無水マレイン酸由来の単位を解離し、この方法の後の段階において、これは誘導体化され得る。この基をまた、脱プロトン化することにより、ポリマー材料中にイオン性の主鎖を生じさせてもよい。
【0075】
本発明の方法において、側鎖前駆物質は、それぞれの各末端にヒドロキシル基を有していてもよく、各末端は、異なる主鎖における無水マレイン酸に由来する単位と反応して、架橋ポリマー材料を形成する。
【0076】
側鎖前駆物質のコポリマー又はターポリマー出発物質との反応後、主鎖の無水マレイン酸に由来する任意の未反応単位は開環していてもよい。このことは、加水分解によって、又は塩基を用いて行ってもよい。得られる生成物はイオン性である。このさらなる反応工程は、主鎖に多数の無水マレイン酸を含む場合に、例えば、交互コポリマーの場合に、特定の有用性を有する。
【0077】
チューインガム組成物
チューインガム組成物は、ガム基剤、1つ又はそれ以上の甘味剤又は香味剤及び生物学的活性成分を含む。典型的には、チューインガム組成物は、甘味剤及び香味剤の両方を含む。チューインガム組成物は、さらに、その他の物質、例えば、栄養補助活性物質、ハーブ抽出物、刺激性物質、香料、冷たい感じ、温かい感じ又はチクチクする感じを与える感覚性物質、マイクロカプセル、研磨剤、美白剤及び着色剤を含んでもよい。
【0078】
最終的チューインガム組成物中のガム基剤の量は、典型的には、最終的組成物の重量あたり5〜95%の範囲であり、好ましい量は、重量あたり10〜50%、より好ましくは、重量あたり15〜25%の範囲である。
【0079】
生物学的活性成分
生物学的活性成分は、ヒト又は動物の身体の化学的又は物理的プロセスを変化させる任意の物質である。好ましくは、それは、薬学的活性成分であり、例えば、抗血小板凝集薬、勃起機能不全薬、充血除去剤、麻酔薬、経口避妊薬、癌化学治療薬、精神治療薬、心臓血管薬、NSAID、狭心症用NO供与剤、非オピオイド性鎮痛薬、抗菌薬、制酸剤、利尿薬、制吐薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、鎮咳薬、抗糖尿病薬(例えば、インスリン)、オピオイド、ホルモン類、及びこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、活性成分は、カフェイン又はニコチン等の刺激性物質である。あるいは、活性成分は鎮痛剤である。活性成分のさらなる例はインスリンである。
【0080】
本発明の一実施形態において、生物学的活性成分は、ジクロフェナック、ケトプロフェン、イブプロフェン又はアスピリン等の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。あるいは、活性成分は、パラセタモールである(通常、NSAIDとして分類されない)。
【0081】
本発明の異なる実施形態において、生物学的活性成分は、ビタミン、ミネラル、又は他の栄養補助物質である。
【0082】
生物学的活性成分は、制吐薬、例えば、ドラセトロン、であってもよい。あるいは、生物学的活性成分は、勃起機能不全薬、例えば、クエン酸シルデナフィルである。
【0083】
一般的に、チューインガム組成物は、0.01〜20wt%の活性成分、より典型的には、0.1〜5wt%を含む。チューインガム組成物は、経口投与に適した単位投与形態であってもよい。この単位投与形態は、好ましくは、0.5〜4.5gの範囲、例えば、約1g、の質量を有する。一般的に、チューインガム組成物は、1〜400mgの生物学的活性成分、より典型的には、1〜10mgを含み、それはその活性成分に依存する。例えば、活性成分がニコチンである場合、チューインガム組成物は、典型的には、1〜5mgのニコチンを含む。活性成分が、イブプロフェン等の非ステロイド性抗炎症薬である場合、組成物は、典型的には、10〜100mgの活性成分を含む。
【0084】
一般的に、チューインガム組成物は、30分までがより一般的ではあるが、一時間程度まで噛まれ得る。好ましくは、噛んで30分後に、チューインガム組成物中に含まれる活性成分の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50%が口内に放出されている。活性成分の特性とその意図される用途に応じて、放出は、比較的長い期間又は短い期間にわたって生じさせてよい。例えば、いくつかの活性成分については、緩徐な、持続的放出が好ましく、なぜならば、これにより、活性物質の副作用を減少し得るからである。これは、米国特許第6,592,850号に記載されるクエン酸シルデナフィルのような場合である。そのような場合、噛んで15分後に、最大で50%の活性物質が放出し、噛み始めてから15〜30分後に依然として活性物質が放出しているのが好ましい。
【0085】
あるいは、より速い速度の放出が好ましい場合もある。例えば、ニコチン補充療法を利用している喫煙者であれば、彼らのニコチンへの欲望を満たすために、ニコチンのより速い送達を嗜好するであろう。そのような場合、噛んで10分後に、25〜100%の活性物質が放出されるのが好ましい。より典型的には、噛んで10分後に、35〜65%の活性物質が放出される。合理的な咀嚼時間後に、高い合計放出量のニコチンを送達する迅速放出型チューインガム組成物は、消費者が購入し、噛む必要のあるガムがより少なくてすむ(すなわち、より少ないガム片、又はより少ない塊のガム片)という利点を有する。あるいは、チューインガム組成物に添加する必要がある活性物質がより少なくてすむ、という製造業者にとっての利点を有する。
【0086】
甘味剤は、水溶性人工甘味料、水溶性物質及びジペプチド系甘味料等の広範な物質(それらの混合物を含む)から選択することができる。好ましくは、甘味剤はソルビトールである。香味剤は、植物、葉、花、果実等由来の合成芳香液及び/又は油、並びにそれらの混合物から選択することができる。好適な甘味剤及び香味剤は、米国特許第4,518,615号にさらに記載されている。
【0087】
本発明のチューインガム組成物は、チューインガム基剤、甘味剤及び香味剤に加えて、さらなる両親媒性ポリマー材料(すなわち、チューインガム基剤中に含まれ得るポリマー材料に加えて)を含んでもよい。好ましくは、このさらなるポリマー材料は、存在する場合には、チューインガム組成物の重量あたり1〜20%、より好ましくは3〜15%を構成する。それは、水溶性であっても、水溶性でなくてもよい。
【0088】
チューインガム組成物の製造方法
本方法は、典型的には、ガム基剤を、生物学的活性成分と甘味剤と香味剤と一緒にブレンドすることにより、チューインガム組成物を製造する工程を含む。チューインガム組成物の標準的製造方法は、Formulation and Production of Chewing and Bubble Gum.ISBN:0−904725−10−3に記載されており、これには、コーティングを有するガム及び液体の中心を有するガムの製造も含む。
【0089】
典型的には、チューインガム組成物は、ガム基剤を、甘味剤と香味剤と一緒に、溶融状態でブレンドし、次いで、そのブレンドを冷却することにより作られる。そのような方法を本発明において使用してもよい。
【0090】
本発明者等は、温度条件を調節することにより、生物学的活性成分のチューインガム組成物中への取り込みを促進することを見出した。
【0091】
実験室では、ガム基剤及びチューインガム組成物の両方を製造するために、HAAKE MiniLab Micro Compounder(Thermo Fisher Corporation)を使用してもよい。
【0092】
ガム基剤の場合、成分は、典型的には、80〜120℃の範囲の温度にて、典型的には、約100℃にて、それらを徐々に添加することにより、一緒に混合する。ガム基剤の形成後、MiniLabから材料が押し出される。
【0093】
MiniLab Compounderは、大規模バッチのチューインガムを混合するためには使用され得ないことに留意されるであろう。工業規模機械、例えば、Z−ブレードミキサーが、この場合、使用されるであろう。
【0094】
チューインガム組成物は、成分を均一に混合するために、約100℃の温度(例えば、80〜120℃の範囲)まで加熱する必要があり得る。このことは、生物学的活性成分が温度感受性である場合、すなわち、そのような高温下において不安定である場合、問題を生じ得る。活性成分が温度感受性である場合、本方法の工程(ii)は、2つの区別し得る段階で行うのが好ましい。第1段階は、チューインガム基剤を、1つ又はそれ以上の甘味剤及び/又は香味剤と混合して加熱する、混合工程である必要がある。次に、この混合物を、活性成分が安定である温度まで冷却し、次に、チューインガム組成物を製造するために、活性成分を、任意で、1つ又はそれ以上のさらなる甘味剤及び香味剤と一緒に、冷却された混合物に混合する。本発明の第1の態様における上記定義の両親媒性ポリマー材料は、ガム基剤製造工程、又は、工程(ii)(チューインガム組成物が製造される場合)のいずれかにおいて添加される。ポリマー材料はこれら両工程で添加されてもよい。
【0095】
好ましくは、混合物は、80〜120℃の範囲の温度、典型的には、約100℃まで加熱される。その混合物は、通常、40〜80℃、好ましくは、50〜70℃の温度まで冷却される。
【0096】
混合完了後、チューインガム組成物は押し出すことができる。
【0097】
生物学的活性成分は、固体、溶融又は液体形態で添加することができる。例えば、ニコチンは、通常、油状物として添加されるが、固体形態での使用(例えば、イオン交換樹脂、例えば、PolacrilexTM上でのニコチン)が好ましい。工程(ii)において活性成分を添加する前に、活性成分を、ポリマー材料及び/又は甘味剤と予め混合してもよい。好ましくは、甘味剤はソルビトールである。
【0098】
本方法の工程のいずれの間においても、均質性を向上させるために、混合物を撹拌してもよい。
【0099】
工程(ii)は、チューインガム組成物を製造するために、圧縮の使用を含んでもよい。
【0100】
チューインガム組成物の単位投与形態は、チューインガムを押し出して、その押し出し物を所望の形態に成形することにより、製造することができる。単位投与形態は、典型的には、0.5〜2.5gの範囲、典型的には、約1gの質量を有する。投与単位は、円柱又は球状、又はタブの形態を取り得る。
【0101】
典型的には、チューインガム組成物は、チューインガム基剤の重量あたり5〜95%、好ましくは重量あたり10〜50%、より好ましくは15〜45%を構成する。チューインガム組成物を製造するために、チューインガム組成物の1〜15%、より好ましくは3〜15%を構成する量で、さらなるポリマー材料を添加してもよい。
【0102】
チューインガム組成物の製造工程は、同一装置で連続的に行ってもよく、又は、断続的な冷却及び加熱工程が存在し得る場合には、異なる場所で行ってもよい。
【0103】
本方法において、チューインガム基剤は、上記の好ましい特性のいずれを有していてもよい。
【0104】
本発明の一実施形態は、ヒト又は動物の身体への生物学的活性成分の送達に使用するための、直鎖又は分枝鎖状の炭素−炭素主鎖と、主鎖に結合する複数の側鎖とを有する両親媒性ポリマー材料を提供する。
【0105】
本発明のその他の態様について、両親媒性材料及び生物学的活性成分は上記されている。
【0106】
送達は、経口、経静脈、経直腸、非経口、吸入による、局所、眼内、鼻腔内又は口腔内であってもよい。
【0107】
両親媒性ポリマー材料は、意図される送達に適した組成物形態へと、生物学的活性物質と一緒に処方することができる。組成物は、本発明の化合物の制御された放出、例えば、迅速な放出又は持続的放出をもたらすために、当業者に公知の様式で処方することができる。好ましくは、組成物は薬学的組成物である。
【0108】
そのような組成物において使用するのに適した、薬学的に許容される担体は、当技術分野において周知である。本発明の組成物は、重量あたり0.1〜99%の生物学的活性化合物を含んでもよい。本発明の組成物は、通常、単位投与形態で調製される。好ましくは、その単位投与は、1〜500mgの量の活性化合物を含む。これらの組成物の調製において使用される賦形剤は、当技術分野において公知である。経口投与のための組成物には、そのような投与のための公知の薬学的形態、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬質又は軟質カプセル、又はシロップ及びエリキシルを含む。組成物はまた、本発明の第1の態様で詳述されるようなチューインガムであってもよい。組成物は、薬学的に見た目が良く、味の良い調製物を提供するために、1つ又はそれ以上の物質、例えば、甘味剤、香味剤、着色剤及び保存剤を含んでもよい。
【0109】
経口用途のための処方は、活性成分が、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合されている硬質ゼラチンカプセルとして、又は、活性成分が、水又は油性媒体、例えば、ピーナッツ油、液状パラフィン又はオリーブ油と混合されている軟質ゼラチンカプセルとして提供することができる。
【0110】
あるいは、組成物は、水性又は油性の懸濁液の形態であってもよい。
【0111】
薬学的組成物は、滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、それらの好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、公知の技術にしたがって処方することができる。
【0112】
局所投与のための組成物もまた、本発明における使用に適し得る。活性化合物を、薬学的に許容されるクリーム、軟膏又はジェル中に分散させてもよい。
【実施例】
【0113】
本発明を以下の実施例において、添付された図面を参照しながら、さらに説明する。
【0114】
<参照例A>
ポリイソプレン−グラフト−無水マレイン酸とポリ(エチレングリコール)メチルエーテルの反応(P1の調製)
PIP−g−MA(3.50Kg、ポリイソプレン−グラフト−無水マレイン酸、クラレ社から取得、LIR−403等級)(CAS番号139948−75−7、平均M約25,000、MAの平均的グラフトレベル約1.0mol%を有する)とポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(PEGME)(2.67kg、Aldrich社から購入)(平均分子量2000を有する)を秤量し、20リットル容で、オーバーヘッド撹拌装置を備えた、気密ジャケット付反応装置に添加した。トルエン(8.15Kg)を反応装置中に添加し、出発物質を溶解させて、窒素気体流を装置中に通過させた。
【0115】
次に、反応装置のジャケット部に連結され、140℃に設定された油浴を用いて、トルエンが還流するまで容器を加熱した(115〜116℃)。共沸蒸留によってポリ(エチレングリコール)メチルエーテルとトルエンからいずれの水も除去するために、容器と窒素排出口との間にあるDean−Starkトラップ及び濃縮装置を使用した。このように、反応工程にわたり、Dean−Starkトラップ中に水を回収した。
【0116】
反応混合物を、合計約37.5時間還流させた。この反応は、酸又は塩基の添加により触媒させることも可能である。生成物は、依然として温かい(50℃)材料を3Lタンクの脱イオン水に添加することにより、2Lのバッチに精製した。各バッチについて、濾過により水を除去し、脱イオン水によるグラフトコポリマーの洗浄工程及び濾過による洗浄水の除去工程をさらに5回繰り返した。生成物は、50℃にて1週間、真空下で乾燥させた。
【0117】
H NMRスペクトルを、CDCl(重水素クロロホルム)中、Delta/GX 40 NMRスペクトルメーターを用いて、400MHzにて操作して取得した。P1を取得した。
【0118】
<参照例B>
ポリイソプレン−グラフト−一酸モノメチルエステルとポリ(エチレングリコール)メチルエーテルの反応(P2の調製)
ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルを、PIP−g−MaMme(ポリイソプレン−グラフト−一酸モノメチルエステル、クラレ社より提供、LIR−410等級)と反応させた。このPIP−g−MaMmeは、10個の官能基(すなわち、分子あたりのカルボン酸基)と、約25,000の分子量とを有する。
【0119】
ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(PEGME)(2.60kg、Aldrich社から購入)(平均分子量2000を有する)を秤量し、20リットル容で、オーバーヘッド撹拌装置を備えた、気密ジャケット付反応装置に添加した。PEGMEを、60℃まで加熱することにより融解し、PIP−g−MaMme(3.20Kg)、次に、トルエン(7.35Kg)を反応装置中に添加し、窒素気体流を装置中に通しながら、材料を混合した。
【0120】
次に、反応装置のジャケット部に連結され、140℃に設定された油浴を用いて、トルエンが還流するまで容器を加熱した(115〜116℃)。共沸蒸留によってポリ(エチレングリコール)メチルエーテルとトルエンからいずれの水も除去するために、容器と窒素排出口との間にあるDean−Starkトラップ及び濃縮装置を使用した。このように、反応工程にわたり、Dean−Starkトラップ中に水を回収した。
【0121】
反応混合物を、合計約98.5時間還流させた。この反応は、酸又は塩基の添加により触媒させることも可能である。生成物は、典型的には、依然として温かい(50℃)材料を3Lタンクの脱イオン水に添加することにより、2Lのバッチに精製した。各バッチについて、濾過により水を除去し、脱イオン水によるグラフトコポリマーの洗浄工程及び濾過による洗浄水の除去工程をさらに5回繰り返した。生成物は、50℃にて1週間、真空下で乾燥させた。
【0122】
H NMRスペクトルを、CDCl(重水素クロロホルム)中、Delta/GX 40 NMRスペクトルメーターを用いて、400MHzにて操作して取得した。P2を取得した。
【0123】
ポリマーの物理学的特性を表2に示す。
【0124】
【表2】

【0125】
<参照例C>
主鎖の無水マレイン酸を用いたポリマーのPEGグラフト化
無水マレイン酸コポリマー
ポリ(イソブチレン−交互−無水マレイン酸):
2種類の分子量(M:6000、60,000g/mol、供給業者による申告)、両方ともSigma−Aldrich社より取得。
【0126】
ポリ(無水マレイン酸−交互−1−オクタデセン):
分子量30〜50 000 g/mol(供給業者による申告)、Sigma−Aldrich社より取得。
【0127】
エチレン−無水マレイン酸ターポリマー
これらは、エチレン、無水マレイン酸、及び別のモノマーのランダムコポリマーである。
【0128】
ポリ(エチレン−コ−ブチルアクリレート−コ−無水マレイン酸)
これは、エチレン(91重量%)、N−ブチルアクリレート(6%)、及び無水マレイン酸(3%)のコポリマーである。この材料は、Sigma−Aldrich社から取得した(分子量は非開示、機密情報)。
【0129】
ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート−コ−無水マレイン酸)
これは、エチレン、ビニルアセテート及び無水マレイン酸のコポリマーである。ポリマーは、Arkema社から取得し、商標名Orevac(等級9304を使用した)として販売されている。
【0130】
側鎖前駆物質
全ての場合において、グラフトはメトキシポリ(エチレングリコール)(MPEG)(ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(PEGME)としても知られる)であった。材料は2つの供給業者Sigma−Aldrich社及びClariantから取得した(Polyglykol M2000Sとして販売されている)。両方の場合で、ポリマーは分子量2000を有するものとして販売されており、非常に類似した化学的構造及び特性を有すると考えられる。ポリマーA、C〜E及びG(表3)は、Aldrich社の材料を用いて合成し、その他は、Clariant社の材料を用いて合成した。
【0131】
グラフトコポリマー
「グラフトコポリマー」とは「ポリマー材料」のことを意味し、これらの2つの用語は同義的に使用される。
【0132】
MPEGを上記の主鎖にグラフトすることにより合成されるいくつかのグラフトコポリマー
【0133】
【表3】

【0134】
表3から明らかなように、多くの場合、全てのMAが反応を標的とするわけではない。例えば、ポリマーサンプルA〜Eの場合、交互コポリマーの主鎖の無水マレイン酸の部分のみが反応した。このことは、開環によって利用され得る主鎖上に多数の無水マレイン酸環を残したままにする(乳化の項を参照)。いくつかの場合においては、MPEGとの反応を標的とする無水マレイン酸の全てが反応し得るとはかぎらないことが留意され得る。
【0135】
グラフトコポリマーの合成
ポリマーA:
ポリ(イソブチレン−交互−無水マレイン酸)(M:6000g/mol、40g)及びポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(M:2000g/mol、50g)を、DMF(100mL)及びトルエン(100mL)の混合物中に、反応フラスコ中で溶解させた。フラスコを、窒素気体下で24時間、還流温度において加熱し、存在するいずれの水も共沸蒸留及びDean−Stark装置への回収により除去した。得られたポリマー溶液を冷却し、ジエチルエーテル中で沈殿させ、次に、濾過を利用してポリマーを回収し、乾燥させることにより微量の溶媒を除去した。MPEGの主鎖へのグラフト化を、無水マレイン酸単位に関連する領域1700〜1850cm−1における変化を観察することにより、Brukerスペクトロメーターを用いた赤外分光法を用いて確認した。
【0136】
ポリマーB:
ポリマーBを、グラフトとしてポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(M:2000g/mol、110g)を用いて、ポリマーAと同様に合成した。反応を合計36時間継続させた。ポリマーを、ポリマーAと同様に特性決定した。
【0137】
ポリマーC:
ポリマーCを、主鎖としてポリ(イソブチレン−交互−無水マレイン酸)(M:60 000g/mol、40g)を用いて、ポリマーAと同様に合成した。ポリマーを、ポリマーAと同様に特性決定した。
【0138】
ポリマーD:
ポリマーDを、主鎖としてポリ(無水マレイン酸−交互−1−オクタデセン)(M:30〜50 000g/mol、50g)及びグラフトとしてポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(M:2000g/mol、30g)を用いて、ポリマーAと同様に合成した。トルエン(200mL)を反応溶媒として使用した;この場合、ポリマー溶液を水中で沈殿させた。得られたグラフトコポリマーの両親媒性が収率の低さをもたらした(25%の理論値)。ポリマーを、ポリマーAと同様に特性決定した。
【0139】
ポリマーE:
ポリマー溶液を水中で沈殿させずに、その代わり、反応溶媒を真空下で除去すること以外は、ポリマーDと同様にして、ポリマーEを合成した。この物質は、結果として、Dよりも高い収率で単離され、最終生成物中で過剰なPEGが重要な問題ではない適用に対して好適であり得る。ポリマーを、ポリマーAと同様に特性決定した。
【0140】
ポリマーF:
ポリマーFを、主鎖としてポリ(無水マレイン酸−交互−1−オクタデセン)(M:30〜50 000g/mol、20g)、グラフトとしてポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(M:2000g/mol、136g)を用いて、ポリマーDと同様に合成した。トルエン(500mL)を反応溶媒として使用した;ポリマー溶液をヘキサン中で沈殿させた。反応を合計36時間継続させた。ポリマーを、ポリマーAと同様に特性決定した。過剰なPEGは、透析又は同様の方法を介して、ポリマーから除去することができる。
【0141】
ポリマーG:
ポリマーGは、主鎖としてポリ(エチレン−コ−ブチルアクリレート−コ−無水マレイン酸)(40g)及びグラフトとしてポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(Mn:2000g/mol、30g)を用いて、ポリマーAと同様に合成した。キシレン(100mL)及びトルエン(100mL)の混合物を反応溶媒として使用した;この場合、ポリマー溶液をエタノール中で沈殿させた。ポリマーを、ポリマーAと同様に特性決定した。
【0142】
ポリマーH:
ポリマーHは、主鎖としてポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート−コ−無水マレイン酸)(40g)及びグラフトとしてポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(Mn:2000g/mol、13g)を用いて、ポリマーAと同じように合成した。キシレン(125mL)及びトルエン(125mL)の混合物を反応溶媒として使用した;この場合、ポリマー溶液をエタノール中で沈殿させた。ポリマーを、ポリマーAと同様に特性決定した。
【0143】
ポリマーI:
ポリマーIは、グラフトとしてポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(Mn:2000g/mol、39g)を用いて、ポリマーHと同じように合成した。ポリマーからPEGを除去するために、濾過後により多くのエタノールを用いて十分に洗浄した。ポリマーを、ポリマーAと同様に特性決定した。
【0144】
<参照例D>
薬用チューインガムにおける薬剤放出試験−試験方法
予め成形したガム片のそれぞれを咀嚼前に秤量し、記録して、各片における薬剤の総量を計算できるようにした。
【0145】
2つのメッシュ格子間でガムを交互に圧縮し、捻ることにより操作する、AB FIA社製「ERWEKA DRT−1」咀嚼装置を使用した。咀嚼速度が1分あたり40「咀嚼」に設定されている場合、in vivoで咀嚼した場合に期待されるものへと咀嚼セル中の温度を調節するために、37℃に水温を設定した水ジャケットを用いた。顎間隔は1.6mmに設定した。
【0146】
40mLの人工唾液(ほぼpH6の、各種の塩の水性溶液からなる、下記の表4を参照されたい)を咀嚼セルへと添加し、次いでプラスチック製メッシュをその底部に置いた。公知の重量のガム片をメッシュの中央に置いて、第二のメッシュ片を頂上に置いた。
【0147】
【表4】

【0148】
ガムからの活性成分放出プロファイルの分析手順
他に記載がない限り、咀嚼において表5のパラメーターが常に使用された。
【0149】
【表5】

【0150】
各測定の開始において、人工唾液及びガムを含むセルは、系が37℃に平衡化されるように、5分間置かれた。次いでガムを咀嚼した。次いで、0.5mLのサンプル容量を、放出実行の間(5、10、15、20、25、30、40、50及び60分)定期的に試験セルから取りだした。
【0151】
次いで、全てのサンプルを、オートサンプラー、ポンプ、及びダイオードアレイ検出器を備えた典型的なPerkin Elmer HPLC Series 200 systemを用いたHPLCにより分析した。データ操作及び装置の制御は、Totalchrom v6.2 ソフトウェアを介して提供された。カラム及び移動相は、以下のように活性成分に対して調整した:
イブプロフェンHPLC詳細:カラム:Hypersil C18 BDS、150×4.6mm;移動相:アセトニトリル/0.05% 水性オルトリン酸を60/40の比で、1mL/分;UV 検出器、波長−220nm。
カフェインHPLC詳細:カラム−Polaris C18−A 58、250×4.6mm.移動相:アセトニトリル/0.05% 水性オルトリン酸を60/40の比で、流速−1mL/分 UV検出器波長−270nm。
ニコチンHPLC詳細:カラム−Hypersil Gold C18 58、250×4.6mm。移動相−アセトニトリル/0.05M 水性無水リン酸アンモニウム、pH8.5(水酸化アンモニウムを用いてpHを調整)を30/70の比で。流速−1mL/分。UV検出器波長−260nm。
シンナムアルデヒド詳細:カラム−Varian Polaris 5u C18−A 250×4.6m。移動相−アセトニトリル/0.05% オルトリン酸(60/40)。流速−1mL/分。検出−UV250nm。インジェクション容量−5μL。
再現性を確保するため、各サンプルについて、HPLCカラムへの2回のインジェクションを行った。
【0152】
ガム基剤及びチューインガムの調製
化学物質
炭酸カルシウム(CaCO3)、エステルガム、硬化植物油(HVO)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリ(ビニルアセテート)(PVAc)、グリセロモノステアレート(GMS)、マイクロワックス、ソルビトール液、ソルビトール固体、及びペパーミント油、は、全てGum Base社から入手した食品等級の素材であり、イブプロフェン(40等級)はAlbemarleより入手し;ケトプロフェン、ナプロキセン及び(−)ニコチン油はSigma−Aldrich社より入手した。ニコチンポラクリレックスはSiegfriedより入手した。
【0153】
チューインガム及びチューインガム基剤の混合
ガム基剤及びチューインガムを、Thermo Fisher Corporationにより製造されたHAAKE MiniLab Micro Compounder (すなわち、ラボミキサー)を用いて混合した。スクリューは80回転/分で共回転するように設定した。
ガム基剤の場合、成分は、典型的には、100℃における4つの異なる段階においてそれらを添加することによって一緒に混合した。各段階で、成分はHAAKE MiniLab中に一緒に入れられ、次の段階が実行される前に、設定された時間混合された。最終段階の後で、次いで素材は、MiniLab Compounderから押し出された。
【0154】
チューインガムも、同様の複数段階の方法でMiniLabにて製造された。ガム基剤の一部を、典型的には、最初の段階でソルビトールと共に混合物中へと戻し、最初の段階の間100℃で混合した。ミキサーを60℃に冷まし、活性成分/P1混合物を適切な成分と共に添加した。もし活性成分及びその他の添加剤が100℃で安定であれば、この温度で成分を混合することは好ましい場合があり得る。混合の完了後、ガムをMiniLab compounderから押し出した。
【0155】
<実施例1>
ニコチンを含むガムの処方
目的
2mgのニコチンを含有し、そのニコチンがクロロホルム中のポリマー材料と予め混合されたチューインガムを混合する。
【0156】
試験
3gのP1(参照例Aにおいて調製された)を5mLのクロロホルム中に溶解し、次いで0.1mLのニコチン油を添加した。混合物を十分に撹拌し、次いでペトリ皿中に注いで、ドラフト中で一晩乾燥させた。全てのクロロホルムの痕跡を除去するために、室温にて真空オーブン中でさらに3時間置いた。次いで、ニコチン/P1混合物を、以下の表6に記載の処方を用いて、甘味剤の段階でR3ガム基剤へと混合した。この表中、各段階は、「化学物質」の項に記載の化合物が混合される特定の段階をいう。
【0157】
【表6】

【0158】
【表7】

【0159】
ガムを均一な白色のテープとして押し出し、次いでそれを2枚のガラス表面の間で転がして、円柱状のガムを形成した。
【0160】
結果
薬物放出解析のためのHPLCを実行した。2mgのニコチンを含むガムを、40mlの唾液(用いた方法の詳細は、参照例Cの「試験」を参照されたい)を用いて「咀嚼」した。全てのニコチンが40mlの人工唾液中に放出されたと仮定される理論上の最大放出は、50μg/mLであった。NicoretteTMガムを、P1を含むガムと比較した。HPLC分析のためにサンプルを5分おきに取得した。図1は、NicoretteTM及びP1ガムからのニコチンの放出を比較する。ニコチンの放出は、P1を含むガムから、より速く観察された。結果として、P1を含むガムからのニコチンの総放出量は、5分後、及び残りの試験経過の間で、より多く観察された。
【0161】
<実施例2>
ニコチンを含む対照ガムの処方
目的
ニコチン放出において、通常のガムに対するポリマー材料の効果と比較するために、2mgのニコチンを含むがポリマー材料を含まず、ポリマー材料の代わりにマイクロワックスを予め混合した薬剤を含むチューインガムを混合する。
【0162】
試験
3gのマイクロワックスを5mLのクロロホルム中に溶解した。ワックスを溶解するために、この後、この溶液を「スピナー(spinner)」中に一晩置いてこの溶液を撹拌することが必要であった。この後、マイクロワックスの大半をクロロホルム中に分散させ、そして0.1mLのニコチンを添加した。混合物を十分に撹拌し、次いでペトリ皿中に注いで、ドラフト中で一晩乾燥させた。全てのクロロホルムの痕跡を除去するために、室温にて真空オーブン中でさらに3時間置いた。次いで、ニコチン/マイクロワックス混合物を、以下に記載のより低温の処方を用いて、甘味剤の段階でS3ガム基剤へと混合した。
【0163】
【表8】

【0164】
【表9】

【0165】
ガムを均一な白色のテープとして押し出し、1gの円柱状のガムを形成した。ガムは2枚のガラス表面の間で転がして、円柱状に形成した。
【0166】
<実施例3>
カフェイン
表10のサンプルを実施例1及び2記載のものと類似の方法を用い、しかし、ニコチンではなくカフェインを用いて調製した。
【0167】
ガム基剤は、表5に記載の標準的なガム基剤のR3であった。
【0168】
【表10】

【0169】
図2及び3は、ここに記載のポリマー材料がガムサンプルからのカフェインの放出を促進することを示す;P1を含有するサンプルからの放出は、P1を含有しない対照からの放出よりも早く、より多い。
【0170】
<実施例4>
各種NSAID薬剤を含むガム基剤の処方
目的
イブプロフェン、ケトプロフェン及びナプロキセンを含むガム基剤を混合する。
【0171】
試験
薬剤を最初に、チューインガムミキサーを用いて、HVO及び両親媒性ポリマー材料(P1)の混合物へと混合した。先の実施例で用いた処方方法に対し、いくつかの変更がなされた。
【0172】
両親媒性ポリマー材料をミキサーに添加する前に小片へと細かくし、ポリマー及びHVOを少量ずつ交互に添加して、2つの分布が均等となるようにした。
【0173】
HVO/ポリマー混合物を、冷ます前に少なくとも10分間置いた。混合物を薬剤添加前に63℃に冷ました。この温度は、イブプロフェンを含む大多数の活性成分が、少なくとも本開示中に記載されるチューインガムの製造に必要とされる期間、効果的に安定である温度であることが知られている。
【0174】
薬剤は、均一に拡がって分布するように、5〜10分にわたり徐々に添加した。
【0175】
HVO/ポリマー/薬剤混合物は、それぞれのガムについて少なくとも30分間混合した;いくつかのサンプル(例えば、P1混合物中の20mgのイブプロフェン)に関しては、混合物はまだこの段階ではかなり透明であり(ミキサーを開けず、覗き窓を通じて)、多量の薬剤が混合されてはいないことが示唆されたため、必要であれば、白色が観察されるまで、混合を1時間まで継続した。
【0176】
【表11】

【0177】
次いでガムを押し出し、H NMRを行って、押出物中の薬剤の量を調べた。これは、薬物から得られるピークと、(P1中の)ポリイソプレンから得られるピークの比率をスペクトルで比較することによってなされた。イブプロフェン、ケトプロフェン及びナプロキセン中の芳香族基に由来するシグナルは、典型的には、7.1ppm、7.7ppm、及び7.5ppmにおいてそれぞれ観察される。ポリイソプレンにおいて、ピークは、二重結合に隣接する水素原子由来の5.1ppm付近で検出される。ポリイソプレンにおけるこのシグナルは、ポリマー中の繰り返し単位あたり1個、ポリマー鎖あたり約367個の水素原子から得られる。イブプロフェン混合物を用いた、例示的な計算は以下の通りである。
【0178】
イブプロフェン:P1シグナルの比=2:8.754、それぞれ1モルのイブプロフェン(8.754/367)=0.024モルのP1に相当する。イブプロフェン Fw=206及びP1 Mn=30,000。これは1:3.47の質量比を与え、1.5gのガム基剤部分あたり23.7mgのイブプロフェンを与える。3つの全ての薬剤についての結果を以下の表に示す。
【0179】
【表12】

【0180】
次いで、すべての薬剤/オイル/ポリマー混合物を、‘R3’処方より得られたガム基剤へと以下のように混合した。
【0181】
【表13】

【0182】
<実施例5>
両親媒性ポリマー材料及びバルク中に混合されるイブプロフェンを含むチューインガムの処方
目的
ミキサー中で予め(溶媒なしに)混合されたチューインガム処方の最後に、両親媒性ポリマー材料及び薬剤を添加する。このことにより、残りのチューインガムは、ガムについて通常的であろう100℃で混合することができる。このことが、完成されたガムの吸着性向上の一助となるであろう。
【0183】
P1のイブプロフェンとの混合:
【0184】
【表14】

【0185】
本処方に用いられる“R3”ガム基剤の処方の詳細は、表6を参照されたい。
【0186】
【表15】

【0187】
この生成物は展性を有する白色固体として押し出された。ガムの大半が100℃にて混合されたことにより、向上されたガムの特性、例えば、柔軟性等を有するようにみえた。
【0188】
<実施例6>
最後に添加されるイブプロフェンを含むチューインガムの処方
目的
最終段階が行われる、60℃での(感受性を有する活性成分が分解するリスクを回避するための)ガムの処方は挑戦的である。低温で混合を行うと、吸着性と咀嚼特性に乏しいチューインガムがもたらされ得るためである。したがって、本実施例は、残りの混合を通常通り100℃で行い得るように、薬剤を処方のまさに最後で添加する可能性について試験することを狙いとした。この場合、20mgのイブプロフェンを1gのチューインガム片中に分散させた。
【0189】
本処方に用いられる“R3”ガム基剤の処方の詳細は、表6を参照されたい。
【0190】
【表16】

【0191】
押し出された白色のガムは、うまく成形することが可能ではあったが、実施例7のものほどの展性はなかった。
【0192】
<実施例7>
ポリマー材料と、バルク中にブレンドするイブプロフェンとを含み、ソルビトール−20mgを添加するチューインガムの処方
目的
これまでの低温ブレンドよりも良好な粘着力を有するガムを製造することを目的として、60℃にてポリマー材料と薬物をブレンドし、様々な処方にする。
【0193】
試験
イブプロフェンを予めポリマー材料と混合し、ソルビトール及び香料と同様の段階で添加した。
【0194】
ポリマー材料のイブプロフェンとの混合:
【0195】
【表17】

【0196】
P1及びP2の両方に関し、この混合を行った。生成物を検査後に撹拌を10分間行い、必要な場合はさらに10分間混合した。
【0197】
実施例4に示す方法を用いて、各混合物中に存在するイブプロフェンの量を、H NMRのピーク比から計算した:
P1サンプル:ピーク比=2.0:7.73
1.0gのチューインガムあたり26.8mgのイブプロフェンに相当
P2サンプル:ピーク比=2.0:4.80
1.0gのチューインガムあたり28.9mgのイブプロフェンに相当
【0198】
両方の混合物には、P1を用いて処方された同じR3のガム基剤(表6)を用いた。完全に処方されたガムへ混合するための条件を表18に示す。
【0199】
【表18】

【0200】
両生成物は、展性を有する白色固体として押し出される。
このガム及び、他の比較可能な処方及び方法論により製造されたP1を含まない対照ガムからのイブプロフェンの放出における比較については、実施例9を参照されたい。
【0201】
<実施例8>
対照サンプルの処方:両親媒性ポリマー材料を含まないイブプロフェンチューインガム
【0202】
目的
放出試験のための対照サンプルとして、最終段階において取り込まれたイブプロフェンを含むが、ポリマー材料を何ら含まないチューインガムを処方する。
【0203】
S3ガム基剤(表8)を用いた、20mgのイブプロフェン/g チューインガムのための処方:
【0204】
【表19】

【0205】
<実施例9>
バルク中に予め混合され最後に添加されるマイクロワックス及びイブプロフェンを含む対照サンプルの処方
【0206】
目的
実施例7との比較のため、P1の代わりにマイクロワックスを含む対照サンプルのガムを混合する。
【0207】
試験
混合物は実施例7の繰り返しで、P1に代えてマイクロワックスを用いた。この混合物に関する量はわずかにスケールアップされ、使用されるソルビトール液を低減し、混合物が依然として8gに達することを確実にする。
【0208】
【表20】

【0209】
「S3」ガム基剤の処方は、表8に示すものを用いた。
【0210】
これを次いで混合し、完全に処方されたガムとした:
【0211】
【表21】

【0212】
生成物は展性を有する白色固体として押し出され、以下の通常の手順に従って成形した。次いで、その処方が実施例7中に記載される、P1を含有するガムから放出されるイブプロフェンの放出を、参照例C中に記載される手順を用いて、この対照ガムからの放出と比較した。図4に結果を示す。データから明らかであろうように、最初の30分間(現実的な咀嚼時間)にわたり、P1を用いたガムは顕著に速いイブプロフェン放出を有している。60分経過してやっと、ガムから放出されるニコチンの総量が同程度になる。
【0213】
<実施例10>
ニコチンポラクリレックスを用いたガムの処方
目的
ニコチンポラクリレックスの形態でニコチンが取り入れられたチューインガムを混合する。このものは、Amberlite IRP64陽イオン交換樹脂上に吸着させた純化ニコチンからなる。本発明実施例中で用いられるポラクリレックスのバッチ中、21.5重量パーセントの素材はニコチンであった。このポラクリレックスは、取り扱いがより簡単で、かつニコチンの安定性を増加させるため、しばしばニコチンオイルの代わりに用いられる。この実施例中で製造される完成したガムは、ガム1グラムあたり2mgのニコチンを含むと予測される。
【0214】
試験
1gのP1を、アルミニウム容器中で、スパチュラを用いて0.154gのニコチンポラクリレックスと十分に混合した。以下に記載の調整された低温処方を用いて、甘味剤添加段階で、ニコチン/P1混合物をR3ガム基剤(表6)と混合した。
【0215】
【表22】

【0216】
ガムを均一な白色のテープとして押し出し、次いでそれを2枚のガラス表面の間で転がして、1gの円柱状のガムを形成した。
【0217】
このガム及び、他の比較可能な処方及び方法論により製造されたP1を含まない対照のガムからのニコチンの放出における比較については、実施例11を参照されたい。
【0218】
<実施例11>
ニコチンポラクリレックスを含む対照ガムの処方
目的
実施例10との比較のため、P1の代わりにマイクロワックスを用い、ニコチンポラクリレックスを含むチューインガム対照サンプルを混合する。本実施例で製造される完成したガムは、1gのガムあたり2mgのニコチンを含有することが予測される。
【0219】
試験
1gのマイクロワックスを、アルミニウム容器中で、スパチュラを用いて0.154gのニコチンポラクリレックスと十分に混合した。最初にワックスをやわらかくするためには、少々の加熱(〜約30℃)が必要とされた。以下の記載に調整された低温処方を用いて、甘味剤添加段階で、ニコチン/マイクロワックス混合物をS3ガム基剤(表7)と混合した。
【0220】
【表23】

【0221】
ガムを均一な白色のテープとして押し出し、次いでそれを2枚のガラス表面の間で転がして、1gの円柱状のガムを形成した。
【0222】
図5は、参照例Cに記載の方法を用いて調べた人工唾液中での、この対照ガム及びP1を用いた比較ガムからの、累積のニコチンの放出を示す。P1を用いたガムからのニコチンの放出速度は、試験経過における多くの間で対照からの放出よりも実質的に速い。結果として、両親媒性ポリマーP1を含むガムからのニコチンの総放出量は、この試験の早期時点および試験の残りの期間において、対照のそれを実質的に超えて増加する。P1を含むガムからの総放出量は、60分後の対照におけるそれの、概ね2倍である。
【0223】
<実施例12>
カフェインを含むガムの処方
目的
1グラムの完成したガムあたり47mgのカフェインを含むチューインガムを混合する。活性成分の放出速度を制御する目的で、処方には、対照に対してP1を含む。このガムは、P1がむしろガム基剤へと取り込まれる先の実施例とは対照的に、カフェインがP1と混合され、ガム製造の最終段階に添加されるという点で、実施例3に記載のものとは原理的に異なっている。
【0224】
試験
1gのP1を、アルミニウム容器中で、スパチュラを用いて0.78gのカフェインと十分に混合した。表24に記載の処方における製造の最終段階で、甘味剤と共にカフェイン/P1混合物をR3ガム基剤(表5)へと混合した。
【0225】
【表24】

【0226】
ガムを均一な白色のテープとして押し出し、次いでそれを2枚のガラス表面の間で転がして、1gの円柱状のガムを形成した。
【0227】
このガム及び、他の比較可能な処方及び方法論により製造されたP1を含まない対照のガムからのカフェインの放出における比較については、実施例13を参照されたい。
【0228】
<実施例13>
カフェインを含む対照ガムの処方
目的
実施例12との比較のために、カフェインを含みP1を含まないチューインガムサンプルを混合する;P1の代わりにガム基剤中にマイクロワックスを用いる。本実施例中で製造される完成したガムは、1gのガムあたり47mgのカフェインを含むことが期待される。
【0229】
試験
表25に記載の処方における製造の最終段階で、カフェインを、甘味剤と共にS3ガム基剤(表7中の処方)へと混合した。
【0230】
【表25】

【0231】
ガムを展性を有する白色のテープとして押し出し、次いでそれを2枚のガラス表面の間で転がして、1gの円柱状のガムを形成した。
【0232】
図6は、参照例Cに記載の方法を用いて調べた人工唾液中での、この対照ガム及びP1を用いた比較ガムからの、累積のカフェインの放出を示す。P1を用いたガムからのカフェインの放出速度は、試験経過における対照からの放出に等しいか、あるいはそれよりも多かった。より具体的には、試験の最初の20分間について、カフェインの放出は、P1を含有するガムの方から、より多く観察された。結果として、両親媒性ポリマーP1を含むガムからのカフェインの総放出量は、最初のデータポイント(5分)以降で対照ガムからの放出よりも16%多く、より遅い時点での各データポイントでは、対照の放出量よりも少なくとも20%多かった。
【0233】
<実施例14>
チューインガムからの化学成分の放出を介在するための両親媒性グラフトコポリマーの使用
【0234】
14.1 ねらい
チューインガムからの化学成分(この場合、市販の香味剤であるシンナムアルデヒド)の放出を介在することに関する、チューインガム中へのグラフトコポリマーの使用を実証する。活性成分のあるものに伴う味をマスクすることを助けるためには、薬用チューインガムにおける香味剤の放出が注意深く制御されることは重要である。
【0235】
14.2 方法論
化学物質
炭酸カルシウム(CaCO)、エステルガム、硬化植物油(HVO、水素化大豆油)、ポリイソブチレン(PIB、分子量51,000g/mol)、ポリビニルアセテート)(PVAc、分子量26,000g/mol)、グリセロモノステアレート(GMS)、微結晶ワックス(マイクロワックス、融点82〜90℃)、ソルビトール液、及びソルビトール固体は全て食品等級の素材であり、Gum Base社から入手した。シンナムアルデヒド(98+%)はFisher−Scientific UKから入手した。
【0236】
チューインガムの製造
チューインガム基剤は、以下の表に示される組成を有するものとした:
【0237】
【表26】

【0238】
小スケールのラボラトリーミキサー/エクストルーダーであるThermo Electron Corporation社製のHaake Minilab micro compounderにてガム基剤素材を混合した。成分を4段階で一緒に混合し、最終段階後になってはじめてガムを押し出した。ガム基剤は100℃にて混合した。
【0239】
チューインガムは以下の表に従って混合した。
【0240】
【表27】

【0241】
ガムは基材と同様の装置を用いて混合し、最終段階の後で押し出した。ガムは60℃で混合した。段階1において、ソルビトール液および粉末を、ガムに添加前に予め混合した。
【0242】
試験方法
参照例Dを参照されたい。
【0243】
サンプルは、0.02〜1.00mg/mLをカバーする範囲で、標準物質(人工唾液中で調製)と比較した。シンナムアルデヒドのリテンションタイムは、本装置上で4.9分であり、すなわち、このリテンションタイムにおけるピークを、シンナムアルデヒドの放出を検出するために使用した。サンプルを2、3回咀嚼し、全ての場合について2つの一致した放出曲線を得た。全サンプルをHPLC装置において2回ずつ測定し、結果は高度に再現性を有していた。
【0244】
14.3 結果
ポリマーA〜D及びF〜Iを用いてガムを製造し、人工唾液中で咀嚼して、放出されたシンナムアルデヒドをHPLCにより分析した。グラフトコポリマーがマイクロワックスで置き換えられた対照(S3)も製造し、同様のやり方で分析した(図7)。
【0245】
60分後に約60%の放出に至る、シンナムアルデヒドの適正な安定放出を与えるために、対照(S3)を観察した。2つ(H及びI)のグラフトコポリマーを含有するガムは、マイクロワックス素材と同様の放出プロファイルを有し、たいていは、より速くより高い、又は、より遅くより低い、シンナムアルデヒドの最大放出プロファイルを有する。例えば、ポリマーHのみが、60分後に、対照の場合の50%と比較して、ガム中の40%のシンナムアルデヒドを放出する。対照的に、Dを用いたガムからのシンナムアルデヒドの放出は、約70%のシンナムアルデヒドの放出が30分までにプラトーに達するように見える。Cを含有するガムからの放出速度は、より遅いが、最大放出は同程度か、またはわずかに高い。
【0246】
14.4 結論
両親媒性化合物の主鎖及びグラフトの度合(すなわち親水性)を変えることにより、チューインガムからの化学物質種(この場合、シンナムアルデヒド)の放出プロファイルを変化させることが可能である。放出速度は、主鎖の化学的類似性及びグラフトの度合を含む多くの要素により調べることができると思われ、唾液、及び、ガムのその他の成分との相互作用の変化をもたらす。従って、チューインガム中への処方に関し、入手可能性を有する、一連の異なる放出速度を有するグラフトコポリマー系が開示されている。
【0247】
<実施例15>
活性成分の放出を介在するための、両親媒性グラフトコポリマーの使用
【0248】
15.1 ねらい
ポリマー及びイブプロフェンの固体混合物からの、すなわち、イブプロフェンがカプセル化されている場合におけるイブプロフェンの放出を考察することにより実証される、活性成分の送達及び放出のための両親媒性グラフトコポリマーの使用を実証する。カプセル化とは、活性成分がグラフトコポリマーにより物理的に被覆され、またはグラフトコポリマー内に包み込まれることを意味する。係るカプセル化された物質は、次いで、消費者にとってより口にあうようにするために、本発明に記載の方法を用いてチューインガム中に分散される。
【0249】
15.2 方法論
材料
イブプロフェン(40等級)は、Albemarle社より入手した。
【0250】
ポリマー及びイブプロフェンの固体混合物の作製
イブプロフェンが1重量パーセントを構成するように、粉末化されたグラフトコポリマー及びイブプロフェンをビーカー中に測りとった。2つを予めスパチュラで混合し、ほぼ均一な混合物を作成し、次いで、60℃にてHaake Minilab micro compounderを用いて混合し、押し出した。ポリマーBの場合、3.96gのポリマー及びイブプロフェン(0.04g)を用い;ポリマーCの場合、2.97gのポリマー及びイブプロフェン(0.03g)を用いた。
【0251】
試験方法
カプセル化したイブプロフェンサンプル(重量のわかっている約1gの素材)を2つのプラスチック製メッシュの間に置き、人工唾液中で機械的に咀嚼した。カプセル化したイブプロフェンの咀嚼に関する詳細は、上記のシンナムアルデヒドチューインガムに用いたものと同様であり、サンプルは5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分、及び60分後に取得した。これに次いで、それらを10mmのPTFE acrodiscシリンジフィルターを通して濾過し、HPLC分析のために準備した。参照例Dに記載のHPLC装置を用いて、サンプルを分析した。
【0252】
カプセル化したイブプロフェンサンプルを2、3回咀嚼し、全ての場合について2つの一致した放出曲線を得た。全サンプルをHPLC装置において2回ずつ測定し、結果は高度に再現性を有していた。
【0253】
15.3 結果
イブプロフェンをカプセル化するために、2つの異なるポリマーを用い、両方を噛んで、放出プロファイルをHPLCによりモニターした(図8)。
【0254】
ポリマー/イブプロフェン混合物の両方は、咀嚼中にイブプロフェンを溶液中に放出し、試験された2つの例においては、類似する総量のイブプロフェンが唾液中に放出され、放出がプラトーに達する時点では、最大総量の約60%であった。興味深いことに、イブプロフェンの放出は、ポリマーCよりもポリマーBの場合において、より迅速であり、一方で、両方のポリマーは化学的に類似する主鎖を有し、主鎖に対してグラフトされたMPEGの量は、Bの場合で一層多い。従って、ポリマーの親水性が増すことにより、カプセル化されたサンプルの分散が助けられ、咀嚼/すり潰し(ポリマーは固い固体である)間のより速い放出をもたらすということは、説明可能である。
【0255】
15.4 結論
イブプロフェンは、グラフトコポリマーの2つのサンプル中にカプセル化され、人工唾液中でサンプルを咀嚼することによって放出された。グラフトコポリマーBは、グラフトコポリマーCよりも迅速にイブプロフェンを放出し、前者はまた、より多くのPEGを含有し、より親水性である。両親媒性グラフトコポリマーの親水性を調整することにより、イブプロフェンの放出速度を変えることが可能であると思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューインガム基剤、生物学的活性成分、ポリマー材料、並びに、1つ又はそれ以上の甘味剤又は香味剤を含むチューインガム組成物であって、該ポリマー材料が、両親媒性であり、直鎖又は分枝鎖状の炭素−炭素主鎖と、主鎖に結合する複数の側鎖とを有する、該チューインガム組成物。
【請求項2】
前記ポリマー材料の主鎖が、エチレン性不飽和炭化水素モノマーのホモポリマー、又は、2つ若しくはそれ以上のエチレン性不飽和重合可能炭化水素モノマーのコポリマーに由来し、且つ、前記側鎖が、親水性である、請求項1に記載のチューインガム組成物。
【請求項3】
前記炭素−炭素ポリマー主鎖が、4又は5個の炭素原子を含むエチレン性不飽和重合可能炭化水素モノマーのホモポリマーに由来する、請求項1又は2に記載のチューインガム組成物。
【請求項4】
前記炭素−炭素ポリマー主鎖が、イソブチレン、ブタジエン又はイソプレンのホモポリマーに由来する、請求項3に記載のチューインガム組成物。
【請求項5】
前記ポリマー材料の側鎖が、ポリ(エチレンオキシド)、ポリグリシン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(スチレンスルホネート)又はポリ(アクリル酸)に由来する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項6】
前記側鎖が、無水マレイン酸に由来する基を介して、主鎖に結合している、請求項1〜5のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項7】
前記ポリマー材料が、ペンダントカルボン酸基を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項8】
前記両親媒性ポリマー材料の主鎖が、10,000〜200,000、好ましくは、15,000〜50,000、より好ましくは、25,000〜45,000の範囲の分子量を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項9】
前記主鎖の単位に対する側鎖の比が、1:350〜1:20、好ましくは、1:100〜1:30の範囲である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項10】
前記側鎖が、以下の式
【化20】

(式中、Rは、H、−C(O)OR又は−C(O)Qであり、Rは、−C(O)OR又は−C(O)Qであり、但し、R及びRの少なくとも一方は、基−C(O)Qであり;
は、H又は−CHであり;
は、H、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり;
Qは、式−O−(YO)−(ZO)−Rを有する基であり、ここで、Y及びZのそれぞれは、独立して、2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、Rは、H、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;
b及びcのそれぞれは、独立して、0又は1〜125の整数であり、但し、b+cの合計は、10〜250、好ましくは、10〜120の範囲の値を有する)
を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項11】
前記ポリマー材料中の側鎖が、以下の式
【化21】

(式中、R及びRの一方は、−C(O)Qであり、他方は、−C(O)ORであり、ここで、Q及びRは、請求項10における定義の通りである)
を有する、請求項10に記載のチューインガム組成物。
【請求項12】
前記生物学的活性成分が、薬学的活性成分である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項13】
前記生物学的活性成分が、抗血小板凝集薬、勃起機能不全薬、充血除去剤、麻酔薬、経口避妊薬、癌化学治療薬、精神治療薬、心臓血管薬、NSAID、狭心症用NO供与剤、非オピオイド性鎮痛薬、抗菌薬、制酸剤、利尿薬、制吐薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、鎮咳薬、抗糖尿病薬、オピオイド、及びホルモン類、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項14】
前記生物学的活性成分が、刺激性物質、好ましくは、カフェイン又はニコチンである、請求項13に記載のチューインガム組成物。
【請求項15】
前記生物学的活性成分が、ジクロフェナック、ケトプロフェン、イブプロフェン、アスピリン又はナプロキセン等の非ステロイド性抗炎症薬である、請求項13に記載のチューインガム組成物。
【請求項16】
前記生物学的活性成分が、ビタミン、ミネラル又は他の栄養補助物質である、請求項13に記載のチューインガム組成物。
【請求項17】
前記チューインガム基剤が、前記ポリマー材料以外のエラストマー材料、エラストマー可塑剤、軟化剤、賦形剤、乳化剤、及び、任意でワックスを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項18】
前記チューインガム基剤が、前記ポリマー材料を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項19】
0.1〜50%の前記ポリマー材料、好ましくは、1〜25%のポリマー材料を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項20】
前記チューインガム組成物が、経口投与に適した単位形態であり、且つ、1〜400mgの生物学的活性成分を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載のチューインガム組成物。
【請求項21】
前記生物学的活性成分が、ニコチンであり、且つ、前記組成物単位が、1〜5mgのニコチンを含む、請求項20に記載のチューインガム組成物。
【請求項22】
前記活性成分が、非ステロイド性抗炎症薬であり、且つ、前記組成物単位が、10mg〜100mgの薬物を含む、請求項20に記載のチューインガム組成物。
【請求項23】
(i)エラストマー材料を、任意に、エラストマー可塑剤、軟化剤、賦形剤、乳化剤及びワックスの1つ又はそれ以上と、混合することにより、チューインガム基剤を製造する工程;及び、(ii)該ガム基剤に、1つ又はそれ以上の甘味剤又は香味剤と一緒に、生物学的活性成分を添加して、チューインガム組成物を製造する工程;を含み、
両親媒性であり、且つ、直鎖又は分枝鎖状の炭素−炭素主鎖、及び、主鎖に結合する複数の側鎖を有するポリマー材料が、工程(i)におけるチューインガム基剤、及び/又は工程(ii)におけるチューインガム組成物に添加される、
チューインガム組成物の製造方法。
【請求項24】
工程(ii)において、前記ガム基剤が、好ましくは、80〜120℃の範囲の温度まで、加熱される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(ii)において、加熱後、前記混合物が、好ましくは、40〜80℃の範囲の温度まで、冷却され、且つ、前記生物学的活性成分が、該冷却された混合物に添加される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記チューインガム組成物が、工程(ii)の後、押出成形されて、単位チューインガム組成物が製造される、請求項23〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
予備的工程を含み、工程(ii)においてチューインガム基剤に添加される前に、前記生物学的活性成分が、ポリマー材料又は甘味剤、好ましくは、ソルビトールと、混合される、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記チューインガム組成物が、請求項1〜22に記載のチューイングガム組成物である、請求項23〜27のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−518845(P2010−518845A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550730(P2009−550730)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052326
【国際公開番号】WO2008/104547
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(507369154)リヴォリマー リミテッド (5)
【Fターム(参考)】